説明

懸濁安定性を有する懸濁液組成物

【課題】水または有機分散媒に無機微粒子を分散させてなる懸濁液組成物において、該懸濁液組成物の粘度上昇、発泡、コスト増大等の好ましくない特性を付与することなく、無機微粒子の均一分散性、均一分散状態の長期安定性および再分散性を改善した組成物を提供すること。
【解決手段】懸濁液組成物中に対し、その中のアルミナやシリカ等無機微粒子の1/10〜1/2の平均粒子径をもつハイドロタルサイト類化合物や合成チャルコアルマイト化合物を添加し、それらの永久表面荷電の作用により該懸濁液組成物における無機微粒子の分散性が向上するとともに、自然沈降による経時的な沈降凝集・固化も防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水または有機分散媒に無機微粒子を均一に分散させた懸濁液組成物に関する。詳細には、金属酸化物等からなる分散相を、水や有機溶媒からなる分散媒に、凝集、沈殿または固化することなく均一にかつ長期安定して分散させ、かつ沈殿した場合でも再分散可能である懸濁液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
工業上利用される、無機微粒子を含有する懸濁液組成物(以下スラリー)としては、ヒュームドシリカ、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、水酸化マグネシウム、酸化セリウム、炭化ケイ素および炭化ホウ素等を主成分とするスラリーが様々な用途に使用されている。これらは、医薬または保健機能食品のうち懸濁剤と呼ばれる薬剤、水性顔料、研磨スラリー、コーティング液、水硬性組成物あるいは噴霧農薬等として使用されるものである。
【0003】
具体的には、以下のような無機微粒子を分散相とするスラリーが例示できる。酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムおよび水酸化アルミニウム等の医薬または保健機能食品の懸濁剤または乳剤;ヒュームドシリカ、酸化セリウム、α−アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、三酸化二マンガンおよび四三酸化マンガン等の研磨スラリー;炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化コバルト、バナジウム酸ビスマス、アルミナ、水酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化セリウム、酸化セリウム、水酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化鉄、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、シリカおよびケイ酸アルミニウム等の水性顔料インク、水性塗料またはコーティング液;粘土、石膏、セメント、モルタル、コンクリート等の水硬性組成物;炭酸カルシウム、タルク、クレー、ゼオライトおよびベントナイト等の農業用乳剤。
【0004】
これらは、使用に際してに前記した微粒子を水または有機溶剤に懸濁させてスラリー化する場合と、スラリー状態で市販されている場合があるが、いずれにしてもスラリー中で、微粒子が凝集、沈殿または固化することなく均一に分散しており、沈殿しても振とう等により再分散させることができる特性が要求される。そのため、これまではスラリー組成物には通常pH調整剤、分散剤あるいは界面活性剤等を添加して分散性や分散の長期安定性を確保することが試みられてきた。
【0005】
医薬または保健機能食品には、有効成分である難溶性のアロエ末、ウコン末、ハッカ末、ローヤルゼリー等の生薬、カオリン、天然ケイ酸アルミニウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等の止寫剤および乾燥水酸化アルミニウムゲル、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の制酸剤または亜鉛化合物、カルシウム化合物、銅化合物、マグネシウム化合物等特定の有効性をもつ粒子を、微粒子に粉砕あるいは造粒した後、懸濁安定剤を用いて精製水に懸濁させた、懸濁剤または乳剤と呼ばれるものがある。該懸濁剤または乳剤において、分散剤のはたらきをする該懸濁安定剤は通常乳化剤とよばれ、具体例としては、例えばヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロースエーテル類、カルボキシビニルポリマー・ポリビニルピロリドンなどの合成高分子類、アルギン酸・ヒアルロン酸、アラビアゴムなどの天然高分子類、ベントナイトなどの粘土類、結晶セルロース・カルメロースナトリウムのような複合物などが挙げられる。分散性を向上させるために、さらに界面活性剤が使用される場合もある。該界面活性剤としてはポリソルベート類や、ソルビタン類の他、ラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。このようにして調製された懸濁剤または乳剤はその目的に応じて経口剤、皮膚用外用剤、鼻腔用外用剤などとして使用されるが、必要に応じてその他の成分、例えば緩衝剤、防腐剤、保存剤、着色剤、矯味・矯臭剤、浸透圧調節剤等としての多種の微粒子が配合され最終的な製剤とされる。
【0006】
前記懸濁剤または乳剤においては、一定の薬効を維持するために有効成分である微粒子が均一分散しており、該微粒子の沈降速度が遅いことが要求されるが、一定期間静置後、たとえ一部の粒子が沈降している場合であっても、服用前の振とうによって容易に再分散するようなものでなければならない。従来の懸濁安定剤は、主としてゲルを形成して粘度を上昇させて成分粒子の自由沈降を防止するものが多いが、懸濁剤または乳剤には前記したような多種の微粒子が含まれるので、長期間の保存中あるいは温度などの環境の急激な変化により粒子径、粒子密度の大きな粒子が沈降してケーキを形成し、再分散しなくなるという問題があった。
【0007】
研磨剤の分野では、(1)半導体装置の製造工程では、水のような低粘度の分散媒に、分散相(砥粒)として酸化セリウム、シリカまたはアルミナを分散させたものを研磨スラリーとして、CMP法により半導体ウェーハ表面の研磨、無機絶縁膜層の平坦化等に使用する。(2)光学素子の加工においては、水またはアルコール等の有機溶媒を分散媒として、酸化セリウムを含む希土類酸化物の砥粒を分散させた研磨スラリーを用いて、CMP法により光ディスク・磁気ディスク用ガラス基板、LCD用ガラス基板、LSI用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光学レンズ、ブラウン管等の研磨に用いられる。(3)金属、ガラスまたはセラミック等の精密加工における表面仕上げ工程では、研磨剤を油脂等の高粘度の分散媒に分散させてペースト状にしたものをフェルト、バフ、不織布等の基材に塗布して用いることが多い。(4)医療、精密工業部品(磁気ヘッド等)の研磨においては、薄い樹脂の基材(テープまたはシート)または不織布上に、樹脂バインダに分散した研磨剤組成物を塗布した研磨テープまたは研磨シートが使用される。
【0008】
上記研磨剤においては、分散性および分散安定性は極めて重要であり、分散不良は様々な問題を引き起こす。すなわち、具体的には(1)半導体装置の製造工程においては、研磨剤を分散させた水または有機溶媒系のスラリーがポリッシング装置のスラリー貯蔵タンク内で沈殿したり、粒径が大きくなって「スクラッチ(研磨傷)」が発生し易くなり、光学分野または金属、ガラスまたはセラミック等の表面仕上げ工程では、スラリーを循環使用するため、凝集した砥粒は研磨パッド上または基材上に沈殿・固化し、目詰まりしたパッドにより被研磨材表面に「スクラッチ」や「焼け」が生じる、(2)精密加工における表面仕上げ工程では、研磨剤のペーストへの分散性が悪いと特に鏡面仕上げ等において良好な光沢面がえられない、(3)医療、精密工業部品(磁気ヘッド等)の研磨においては有機溶媒中に均一分散させた研磨剤を、樹脂等のバインダに混練する際、あらかじめ有機溶媒に分散させてからバインダ樹脂へ添加するのであるが、有機溶媒中の研磨剤の分散が均一でないと、研磨剤のバインダ中における分散性も悪く、研磨対象が平滑かつ所望の形状に研磨できず偏磨耗や変質を起こす、といった問題があった。
【0009】
水性顔料インク、水性塗料またはコーティング液は、水からなる溶剤に、顔料および水性アクリル系樹脂、アミノ樹脂等の水溶性樹脂を分散、溶解させた塗料またはコーティング液であり、顔料の分散性を向上させるためにイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩、保護コロイド樹脂等の流動化剤とよばれる分散剤を使用する。しかし、水は溶剤に比べ顔料表面への濡れ性に乏しいため、前記分散剤を添加しても、水性塗料は従来の溶剤系の塗料やコーティング液より分散性が悪い。また、OA用のインクジェットプリンタ用インクとしても用いられる水性顔料インクは、染料インクに比べて低価格で耐光性および耐水性に優れるが、分散性、分散安定性および再分散性に劣るため、顔料の微粒子化および界面活性剤等の分散剤やpH調整剤の添加により分散性を向上させる試みがなされている。また、近年の、インクジェットプリントヘッドの高駆動周波数化、小ドロップレット化の流れの中で、インクの分散性および分散安定性は益々重要視されるようになってきている。
【0010】
セメント、モルタルおよびコンクリート等水硬性組成物の分散剤は減水剤と呼ばれ、従来はナフタレンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリカルボン酸塩等が使用されてきた。しかしながら、前記ポリカルボン酸系セメント分散剤も、初期分散性は改善するものの、分散の経時安定性に関しては満足のいくものではなく、さらに、高強度コンクリートに必要とされる高減水率領域においては、コンクリートの流動性が低下し、特に高シェアー下における粘性が高くなり、ポンプ圧送時のポンプ負荷が極めて大きくなってポンプ圧送に弊害が生じるという、コンクリート組成物のワーカビリティ低下の問題が生じている。特に、コンクリートの粘性が高くなる、冬季においてワーカビリティの低下は著しく、さらにはセメント分散剤の初期の分散性も低下して、必要添加量が増加したり、混練に長時間を要して生産性が低下するという問題が生じている。したがって、高減水率領域においても高分散性、スランプロス防止性および粘性低減性にも優れたセメント分散剤が求められている。
【0011】
農薬のうち、微粒子である農薬有効成分を分散剤、界面活性剤または乳化剤で水中に均一分散させた、いわゆる乳剤または水和剤においては、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩のホルムアルデヒド縮合物等の分散剤およびアニオン系またはノニオン系界面活性剤が乳化剤として多く用いられてきたが、有効成分として含まれるカルシウムイオンやマグネシウムイオン等の多価陽イオンの影響により未だ分散が不十分で、長期間静置保存すると沈降・凝集して再分散不良になり、散布ノズルの詰まりを起こすことがある。また、沈降を防止するために増粘剤を多量に添加すると粘度上昇により散布不能となるという欠点を有する。
【0012】
以上の説明からわかるように、上記いずれの分野においても、自然沈降または凝集沈降による沈殿・固化防止および再分散性が共通の課題である。したがって、有効成分である無機微粒子の分散性を良好に保ち、長期間保存しても沈降・固化することがなく、再分散性を維持させるような分散剤が求められている。このような分散剤としては、従来は有機系のものであることが多く、使用後の廃スラリーの処理が困難で環境負荷が大きかったり、高価であるという欠点があった。従って、分散剤としては環境負荷の小さい無機系分散剤であることが好ましく、そのうちでも有害な重金属等を含まないものがより一層好ましい。
【0013】
特許文献1には、水性懸濁医薬品組成物において、水難溶性薬物の表面をカルメロースナトリウム等の負電荷帯電性高分子で被覆するとともに、負電荷に帯電した結晶セルロース・カルメロースナトリウム粒子を添加し、両者の間に斥力を生じさせ、水難溶性薬物を長期に安定な懸濁状態に保つ方法が開示されている。
【0014】
特許文献2には、CMPにより半導体製造工程で用いられるシリコン基板や静電チャック製造工程で用いられるアルミニウム基板等の基板を製造するための、分散性および再分散性の向上した研磨剤スラリーが開示されている。当該文献によれば、酸化セリウム(CeO)、珪素酸化物(SiO)系研磨スラリーに、研磨粒子径より小さい粒子径のコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ等のコロイド状酸化物を添加することにより、有機系分散剤を全く使用せずに研磨微粒子の沈降・凝集が防止できる。
【0015】
特許文献3には、キナクリドン顔料を水に溶解するように染料化したのち、水中で溶解、膨潤又は分散したハイドロタルサイト等の無機層状化合物中にキナクリドン染料を会合状態で定着することにより、水分散性、耐水性、耐光性に優れた、鮮やかな赤色のキナクリドン系着色材を得る方法が開示されている。
【0016】
特許文献4には、解砕処理され、解砕後の平均凝集粒子径が粉体塗料の粒子径に対して0.001倍以上であって0.5倍以下である気相法シリカ、気相法チタニアおよび気相法アルミナ等を表面疎水化処理した、粉体塗料の流動化剤が開示されている。
【0017】
特許文献5には、液状のポリカルボン酸系共重合体と無機粉体とからなる粉状セメント分散剤であり、液状のポリカルボン酸系共重合体と無機粉体とを、噴霧乾燥装置に導入し、噴霧乾燥することを特徴とする粉状セメント分散剤の製造方法が開示されている。当該文献における無機粉体としては高炉スラグやフライアッシュなどの微粉砕物、並びに、シリコン、含シリコン合金、及びジルコニア等の製造時の副産物であるシリカ質ダストやシリカヒューム、炭酸カルシウム、シリカゲル、オパール質硅石、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、各種ガラス、ベントナイト等の粘土鉱物やその仮焼物、非晶質アルミノシリケート、酸化クロム、及び活性炭等の微粉の使用も可能である。
【0018】
特許文献6には、平均粒径が1μm以下である水難溶性の農薬有効成分と、分散剤、界面活性剤及び水からなる水性懸濁状農薬組成物であって、分散剤としてアタパルジャイト、モンモリロナイト等の粘土鉱物精製物系分散剤を使用した、静置時に該農薬組成物水相下部に形成される沈降層が、軽い振盪により容易に再分散する水性懸濁状農薬組成物が開示されている。
【0019】
特許文献7には、樹脂、塗料等における酸化チタン系顔料の分散性を向上させるために、分散剤としてハイドロタルサイト類を添加する方法が開示されている。しかし、この方法は、樹脂の白色度は改善されているが、分散性そのものの改善は十分ではない。
【0020】
非特許文献1には、酸化鉄顔料を塩化第二鉄水溶液に分散させた懸濁液の分散性における、界面活性剤のはたらきが以下のとおり論じられている。塩化第二鉄水溶液では酸化鉄顔料表面は負に帯電しており、その周囲に溶液中の鉄イオンを吸着して電気二重層を形成している。この懸濁液にアニオン性界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を添加していくと、SDSが一層吸着した状態では、SDSが酸化鉄顔料表面に吸着した正電荷を打ち消して凝集するが、二層吸着の状態だと良好な分散性を示す。
【特許文献1】特開平11−130658号公報
【特許文献2】特開2004−331852号公報
【特許文献3】特開2005−290071号公報
【特許文献4】特開2004−210875号公報
【特許文献5】特許第2669761号公報
【特許文献6】特開2000−128704号公報
【特許文献7】特許第2838306号公報
【非特許文献1】技術情報協会発行「顔料分散技術−表面処理と分散剤の使い方および分散性評価−」第1刷 1999年2月24日、p.6−7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
スラリー中の分散相の沈降には、分散相粒子が重力によって沈降する自然沈降と、粒子間の静電的反発力が小さいために粒子同士が凝集して沈降する凝集沈降の2種類があるとされている。
【0022】
自然沈降については、stokesの式から導かれる結論、すなわち、粒子径および粒子の重量密度を小さくすることにより終末沈降速度が小さくなり、その結果、沈降を防止できるという理論的根拠から、分散相粒子を微粒子化するという方法は従来から広く行なわれており慣用技術である。しかし、様々な工業分野において、分散相粒子を必ずしも微小化できるとは限らず、特に研磨剤等の分野では研磨速度の要求から0.5μm以上の粒子でなければならない用途も多い。このような超微粒子とまでは呼べない0.5μm以上の微粒子についての自然沈降→沈降凝集→固化 による再分散不良は未だ解決していない。
【0023】
分散媒にベントナイトやカオリナイト等の粘土鉱物に代表される膨潤性の化合物を分散剤として添加して、分散媒の粘度および密度を上昇させることにより自然沈降を防止する特許文献6に開示された方法や、さらには、分散相を分散性のよい担体に担持させる特許文献3に開示された方法は、自然沈降防止に関しては効果の大きい公知の方法であるが、これらの方法は、用途・目的によってはスラリーの粘度上昇という好ましくない結果をもたらす。また、一般に良く知られるようにバーミキュライトやスメクタイト等に代表される陽イオン交換能を有する天然および合成の粘土鉱物においては、同形置換により、基本層部分は永久負電荷を帯び、後述するように本発明における課題の解決には適さない。
【0024】
凝集沈降の防止方法としては、(1)荷電ゼロ点付近においては、分散媒の種類に応じて懸濁粒子に表面処理を施して荷電を与えて凝集を防ぐ(2)pH調整剤を添加して、スラリーを荷電ゼロ点から離れた(ζ−電位の絶対値の大きい)酸性ないしアルカリ性に保って静電斥力によって反発させる(3)界面活性剤を添加して表面荷電を与えて凝集を防ぐ等の方法が提案されておりこれらいずれの方法も公知である。特許文献4に開示された方法は上記(1)に、特許文献1および特許文献2に開示された方法は上記(2)に、特許文献5および非特許文献1に開示された方法は上記(3)に相当する。しかしながら、通常の無機微粒子においては、荷電ゼロ点からプラス側およびマイナス側いずれにおいてもζ−電位の絶対値が大きくなるということは少なく、プラス側およびマイナス側いずれかにおいては、荷電ゼロ点から離れたpH領域でもζ−電位の絶対値が10mV程度と小さいため、凝集沈降し易い状態であることが多い。したがって上記(1)〜(3)の方法はいずれも、必ずζ−電位の絶対値が大きくなる側へスラリーのpHを調製する必要があり、用途に大きな制約が課されるという難点がある。
【0025】
例えば荷電ゼロ点が6〜8である酸化チタン、アルミナ、酸化セリウム等のスラリーの場合は、pHが10以上の高pH領域では、粒子のζ電位は−10mV程度であり絶対値が小さいため、従来はpH調製剤を添加して、ζ電位が+40mV程度になる弱酸性〜酸性にpH調製して分散性を向上させていた。したがって、アルミナ等の安定な懸濁液は通常は弱酸性〜酸性でなければならず、用途によっては使用できなかった。
【0026】
あるいは、荷電ゼロ点が2〜3であるシリカ等のスラリーの場合は、弱酸性〜アルカリ性の広い範囲において粒子表面では負の電荷が優勢となるが、ζ電位が−10mVと小さいため、従来はpH調製剤を添加して、ζ電位が+40mV程度になる酸性にpH調製して分散性を向上させていた。すなわち、シリカの安定なスラリーも酸性でなければならず、用途によっては使用できなかった。
【0027】
また、上記のようなpH調製のみによる分散安定化方法には、温度等周囲の環境によっては、経時的に分散性が損なわれて凝集沈降が発生するという難点もあった。
【0028】
そこで、最近では、スラリーが酸性またはアルカリ性であるにかかわらず広い範囲で分散性を改善するために、荷電ゼロ点より低pHの領域においてはアニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を併用、一方、荷電ゼロ点より高pHの領域においてはカチオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤を併用して、凝集沈降を防止する方法が用いることが多くなっているが、この方法は、スラリーが多種・多量の界面活性剤を含むことになり、発泡等により用途に大きな制約が課されるという難点がある。また、用途によっては、界面活性剤に含まれる塩類が好ましくない影響を及ぼす場合がありさらには高価な界面活性剤を多量にもちいることはコストの上昇につながる。
【0029】
本発明の目的は、水または有機分散媒に無機微粒子を分散相として分散させてなるスラリーにおいて、スラリーの粘度上昇、発泡、コスト上昇等の好ましくない特性を付与することなく、凝集沈降および自然沈降を防止し、無機微粒子の均一分散性、均一分散状態の長期安定性および再分散性を改善する方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明者らは、かかる目的を満足する、よりすぐれた方法を得るべく鋭意検討を重ねた結果、下記化1で表され、その平均粒子径が懸濁粒子の平均粒子径の1/100〜1/2であるハイドロタルサイト類化合物が、特に水性スラリーの分散剤として特に好適であることを見出した。
【化1】


(ただし、化1中M2+はMg2+、Ca2+、Ni2+およびCu2+なる群から選ばれる少なくとも1種の2価陽イオン、M3+はAl3+およびFe3+なる群から選ばれる少なくとも1種の三価陽イオン、An−はCO2−、SO2−、SO2−、PO3−、HPO2−、CO2−、NO、SiO4−、SiO2−およびBO3−なる群から選ばれる少なくとも1種のn価アニオン、mおよびxは、0≦m≦1、0.2≦x≦0.5とする。)
【0031】
すなわち、発明者らは、水にアルミナやシリカを懸濁させたスラリーに対し、上記ハイドロタルサイト類化合物を添加することにより、該スラリーの分散性が向上するとともに、自然沈降による経時的な沈降凝集・固化も防止できるという実験結果による知見を得た。さらに、上記ハイドロタルサイト類化合物とともに適宜選択した界面活性剤を添加することにより、他の界面活性剤および分散剤の併用やpH調整剤等の添加を必要とせず、しかも周囲の環境に影響されずに該スラリーの分散性を長期間にわたって維持できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0032】
よく知られているようにハイドロタルサイト類化合物を含む粘土鉱物は、荷電として永久荷電と変異荷電の両方をもち、特にハイドロタルサイト類化合物の場合は、化1においてM2+の一部がM3+で同形置換したために、結晶表面は常に正電荷を帯びる数少ない粘土鉱物である。この電荷を中和するために、層間にCO2−、SO2−等のアニオンが取り込まれて変異荷電を構成しているが、発明者らは、結晶表面全体としては前記永久正荷電が支配的であると考えた。永久正荷電は周囲環境に影響されないので、このハイドロタルサイト類化合物を水に分散させた懸濁液のpHが、ハイドロタルサイト類化合物の変異荷電の荷電ゼロ点のpH(7〜10)より大きい、小さいにかかわらず結晶表面は常に正に帯電している。したがって、上記した永久正荷電どうしの反発により、ハイドロタルサイト類化合物は、極性、非極性溶媒中にかかわらずそれ自身きわめて分散性がよい。
【0033】
このような特性の、すなわち結晶表面全体としては永久正荷電が支配的である物質としては、他に下記化2で表されるLi−Alハイドロタルサイト系化合物や化3で表される合成チャルコアルマイト化合物が挙げられる。

【化2】


(G2+は、Mg、Zn、Ca及びNiの少なくとも1種の2価金属イオンを示す。Aは、珪素系、燐系及び硼素系酸素酸イオンの少なくとも一種のアニオンを示し、且つその一部及び/または全部が珪素系、燐系及び硼素系多量体酸素酸イオンの少なくとも一種のアニオンであることを示し、Bは、A以外のアニオンの少なくとも一種のアニオンを示し、y、y、X、z、z及びbはそれぞれ下記条件を満足する。y及びyは0<y≦1、0≦y<1、0.5≦(y+y)≦1、XはX=y+2y、z及びzは0<z、0<z、bは0≦b<5)

【化3】


(Q2+はZn2+またはCu2+を示し、Q2+はNi2+、Co2+、Zn2+、Cu2+及びMg2+の2価金属イオンの少なくとも1種を示し、aは0.3<a<2.0を示し、ζは0≦ζ<1.0を示しbは10<b<14を示しAr−はSO2−、HPO2−、CO2−、SO2−、HPO2−、NO、HPO、Cl、OH及び珪酸イオンより選ばれた1種以上を示し、cは0.4<c<2.0を示し、qは0〜4の数を示す)

【0034】
本発明において、ハイドロタルサイト類化合物は、上記化1で表されるハイドロタルサイト類化合物および化2で表されるLi−Alハイドロタルサイト系化合物を併せて称するものとし、以下「ハイドロタルサイト類化合物」または単に「ハイドロタルサイト」と表記する。また、本発明において、合成チャルコアルマイト化合物とは化3で表される化合物を意味するものとし、以下「合成チャルコアルマイト化合物」または単に「チャルコアルマイト」と表記する。
【0035】
荷電ゼロ点より高pH領域のアルミナスラリーにおいては、アルミナ粒子表面は負に帯電しているが、ζ−電位の絶対値は10mVと小さいため凝集沈降し易く、温度変化等によるpH変化によりζ−電位の絶対値はさらに小さくなることがある。前記したようにハイドロタルサイト表面は正の永久荷電をもっているので、ポリカルボン酸塩等のアニオン性高分子界面活性剤とともに該アルミナスラリーにハイドロタルサイトを添加することによって、ハイドロタルサイト表面にアニオン性高分子界面活性剤が吸着し負の荷電を与えている。そのため、負に帯電したアルミナ粒子とハイドロタルサイト粒子の間に静電斥力がはたらき、スラリーの分散性が維持される。
【0036】
逆に荷電ゼロ点より低pH領域のアルミナスラリーにおいては、正に帯電したアルミナ粒子表面にもポリカルボン酸塩が吸着して負の荷電を与えるため、同様に負に帯電したハイドロタルサイト粒子との間に静電斥力がはたらき、スラリーの分散性が維持される。あとの実施例において示されるように、アルミナ粒子の荷電ゼロ点より低pH領域においてはポリカルボン酸塩等の界面活性剤を添加しなくても、ともに正に帯電したアルミナ粒子とハイドロタルサイト粒子の間に静電斥力がはたらき、スラリーの分散性は維持される。
【0037】
しかしながら、上記アルミナスラリーにおいて、粒子径が1μm以上のアルミナ粒子は低粘度溶媒中では急速に自然沈降し凝集・固化する。本来、粒子間の静電斥力の存在のみでは、粒子の自然沈降を防止することができないので、このような自然沈降に対しては、上記pH調整や界面活性剤の添加は有効な解決手段とはなず、従来のスラリーにおいては、pH調整剤や界面活性剤を添加してもこの自然沈降による凝集・固化は改善されなかった。しかし、本発明におけるスラリーにおいては、ハイドロタルサイト粒子等が懸濁粒子の自然沈降を妨げている。その機序は不明であるが、本発明者は、ハイドロタルサイト粒子が、それ自体表面の永久正荷電の静電斥力により、スラリーのpHの値によらず均一に分散しやすいこと、またはポリカルボン酸塩等を吸着して表面が負に帯電したハイドロタルサイト粒子が、相互間の静電斥力により懸濁粒子間に均一に分布していること、およびハイドロタルサイト粒子等の平均粒子径がアルミナ粒子の1/2以下でかつ粗大粒子を含まないこともその要因であろうと考えている。
【0038】
本発明における懸濁液組成物は、ハイドロタルサイト類化合物等を含むことが特徴であり、それによってその分散性、分散の長期安定性および再分散性を維持している。該懸濁液組成物は、必要に応じて界面活性剤等を含有していてもよい。
【0039】
また、前記したように、表面に永久正電荷をもつ、化2および化3でそれぞれ表されるLi−Alハイドロタルサイト系化合物および合成チャルコアルマイト化合物等を用いることによっても、化1のハイドロタルサイト類化合物と同様の効果が得られることは明らかである。これらはそれぞれ特開2001−2408号公報および特許第3762571号明細書に記載された公知の方法に従って合成することができる。
【0040】
かくして本発明によれば、下記懸濁安定剤組成物およびその利用が提供される。
(1)
無機微粒子(a成分)を分散した液体分散媒に、ハイドロタルサイト類化合物および合成チャルコアルマイトからなる群から選ばれた少なくとも一種の無機水酸化物粒子であり、かつ該無機微粒子よりも平均粒子径が小さい粒子(b成分)を配合してなる懸濁安定性を有する懸濁液組成物。
(2)
界面活性剤をさらに配合してなる請求項1に記載の懸濁安定性を有する懸濁液組成物。
(3)上記液体分散媒が水、有機分散媒もしくはこれらの混合物であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の懸濁液組成物。
(4)上記有機分散媒がエタノール、エチレングリコールまたはグリセリンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(3)に記載の懸濁液組成物。
(5)上記無機微粒子が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化セリウム、α−アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、三酸化二マンガン、四三酸化マンガン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化コバルト、バナジウム酸ビスマス、酸化チタン、水酸化セリウム、水酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化鉄、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、塩基性炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、粘土、石膏、セメント、モルタル、コンクリート、タルク、クレー、ゼオライトおよびベントナイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の懸濁液組成物。
(6)上記無機微粒子が、水酸化アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化セリウム、α−アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、モルタルおよびベントナイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の懸濁液組成物。
(7)上記界面活性剤が、アニオン性高分子界面活性剤から選ばれる少なくとも1種のアニオン性高分子界面活性剤であることを特徴とする上記(2)に記載の懸濁液組成物。
(8)アニオン性高分子界面活性剤が、カルボン酸塩、硫酸エステル塩及びスルホン酸塩およびリン酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン性高分子界面活性剤であることを特徴とする上記(7)に記載の懸濁液組成物。
(9)アニオン性高分子界面活性剤が、ポリカルボン酸系、ナフタリン系、メラミン系およびアミノスルホン酸系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(7)に記載の懸濁液組成物。
(10)アニオン性高分子界面活性剤が、ポリカルボン酸多元ポリマーまたはポリカルボン酸エーテルに属する少なくとも1種であることを特徴とする上記(7)に記載の懸濁液組成物。
(11)無機微粒子(a成分)の配合量に対するb成分の配合量(=b成分の配合量/a成分の配合量)が、重量比で0.1〜1.0の範囲であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の懸濁液組成物。
【0041】
以下本発明の懸濁液組成物についてさらに詳細に説明する。
【0042】
本発明において用いるハイドロタルサイト類化合物、Li−Alハイドロタルサイト系化合物および合成チャルコアルマイト化合物等の平均粒子径は、分散相である無機微粒子の平均粒子径の1/100〜1/2までの大きさが好ましい。より好ましくは無機微粒子の平均粒子径の1/10〜1/2であり、さらに好ましくは1/4〜1/2である。1/2より大きいと自然沈降防止効果が充分でなく、1/100未満であると凝集沈降防止効果が小さくなり、また、スラリーの粘度が過度に上昇することがある。具体的には、平均粒子径が、5μmを超えると自然沈降を起こしやすくなり、0.1μm未満であると凝集沈降防止効果が小さくなり、また、スラリーの粘度が過度に上昇することがあるので、平均粒子径が、0.1〜5μmであるようなハイドロタルサイト類化合物粒子を用いることが好ましく、平均粒子径が、0.1〜1μmであるハイドロタルサイト類化合物粒子を用いることがより好ましい。このような粒子径をもつハイドロタルサイト類化合物としては、例えば特公昭58−46146等に記載された方法にしたがって合成された、高分散性かつ微粒子であるハイドロタルサイト類化合物を用いるのが好ましい。具体的には、たとえば、塩化マグネシウムと硫酸アルミニウムの混合溶液を、一定の流量で炭酸ソーダまたは炭酸ソーダと苛性ソーダの混合水溶液と連続的に接触させて反応させてできる白色の沈殿を、濾過、洗浄後150〜250℃で水熱処理する公知の方法により合成されたハイドロタルサイト類化合物を用いる。上記水熱処理のなされていないハイドロタルサイト類化合物あるいは天然のハイドロタルサイト類化合物は、粉砕・分級しても粒子径が5μmを超えるものしか得られず、本発明における課題の解決には不適である。
【0043】
また、平均粒子径が0.1〜1μmであるLi−Alハイドロタルサイト系化合物は、特開2001−2408号公報に記載された方法にしたがって合成されたものを用いるのが好ましい。具体的には、たとえば、以下の方法で合成される。:硫酸リチウム溶液と硫酸アルミニウム溶液の混液をステンレス容器に入れ攪拌しながら、水酸化ナトリウム溶液を注加し反応させたスラリーを、さらに170℃で水熱処理をおこなう。冷却後、濾過、水洗を行なった後、脱水物を再度スラリー化し、90℃において珪酸ソーダ溶液を加えて攪拌することにより得られる。上記水熱処理のなされていないLi−Alハイドロタルサイト系化合物は、粉砕・分級しても粒子径が5μmを超えるものしか得られず、本発明における課題の解決には不適である。
【0044】
同様に、平均粒子径が0.1〜1μmである合成チャルコアルマイト化合物は、特許第3762571号明細書に記載された方法にしたがって合成されたものを用いるのが好ましい。具体的には、たとえば、以下の方法で合成される。:硫酸銅、硫酸亜鉛および硫酸アルミニウムの混合溶液を室温下で撹拌しながら、これに水酸化ナトリウム溶液を注加し撹拌して得られた共沈物を、濾過、水洗後、硫酸亜鉛と硫酸銅との混合溶液中に懸濁させる。該懸濁液を140℃で水熱反応させ、濾過後、水洗することにより得られる。上記水熱処理のなされていない合成チャルコアルマイト化合物は、粉砕・分級しても粒子径が5μmを超えるものしか得られず、本発明における課題の解決には不適である。
【0045】
化1式において、M2+はMg2+、Ca2+、Ni2+およびCu2+なる群から選ばれる少なくとも1種の2価陽イオン、M3+はAl3+およびFe3+なる群から選ばれる少なくとも1種の三価陽イオン、An−はCO2−、SO2−、SO2−、PO3−、HPO2−、CO2−、NO、SiO4−、SiO2−およびBO3−なる群から選ばれる少なくとも1種のn価アニオン であるが、ハイドロタルサイト類化合物の永久正荷電が維持される構造であれば、列挙した以外の任意のM2+、M3+およびAn−は、本発明の効果を低減させるものではないことは明らかである。
【0046】
また、表面に永久正電荷をもつ、化2および化3でそれぞれ表されるLi−Alハイドロタルサイト系化合物および合成チャルコアルマイト化合物等に関しても同様に、永久正荷電が維持される構造であれば、化2におけるG2+、AおよびB、もしくは化3におけるQ2+、Q2+およびAr−は上記した以外の任意の元素であってもその効果が減じられることはない。
【0047】
反対に、良く知られているバーミキュライトやスメクタイト等のように、同形置換により基本層部分が永久負電荷を帯びた粘土鉱物は、該粘土鉱物粒子が0.1〜1μmの粒子径であり、かつ分散性に優れていれば、スラリーのpHが荷電ゼロ点より低pHの領域である場合にはカチオン性高分子界面活性剤を併用、一方、荷電ゼロ点より高pHの領域においては界面活性剤を使用しなくとも有効な懸濁安定剤になりうるが、現在は市販のカチオン性高分子界面活性剤は種類も少なく高価であるため、本願における課題の解決には不適である。
【0048】
本発明において、水または有機分散媒に分散させる分散相としての無機微粒子として、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化セリウム、α−アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、三酸化二マンガン、四三酸化マンガン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化コバルト、バナジウム酸ビスマス、酸化チタン、水酸化セリウム、水酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化鉄、塩基性炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、粘土、石膏、セメント、モルタル、コンクリート、タルク、クレー、ゼオライトおよびベントナイト等が挙げられるが、本発明の懸濁安定剤組成物は上記の無機微粒子のうちでも特に水酸化アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化セリウム、α−アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、モルタルおよびベントナイト等に好適である。
【0049】
本発明において用いられる界面活性剤は、アニオン性高分子界面活性剤であれば良く、好ましくはカルボン酸塩、硫酸エステル塩及びスルホン酸塩およびリン酸エステル塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン性高分子界面活性剤、より好ましくはポリカルボン酸系、ナフタリン系、メラミン系およびアミノスルホン酸系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種、さらに好ましくはポリカルボン酸アンモニウム塩、アリルエーテルコポリマー、ポリカルボン酸多元ポリマー、ポリカルボン酸エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、メラミンスルホン酸塩のホルマリン重縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシレンエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルリン酸塩、アリルアルコール、無水マレイン酸およびスチレン共重合物と、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとのグラフト化合物に属する少なくとも1種、特に好ましくは、アリルアルコール、無水マレイン酸およびスチレン共重合物と、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとのグラフト化合物などのグラフト側鎖を持つグラフト化合物系分散剤が用いられ、そのグラフト側鎖の分子量が、1500以下、好ましくは1000以下のものが用いられる。好ましくは、グラフト側鎖におけるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの成分は、エチレンオキサイドを主成分とする。特に好ましくは、グラフト側鎖におけるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの成分は、エチレンオキサイドを主成分とし、プロピレンオキサイドを50モル%以下含有する。
【0050】
本発明の懸濁液組成物において、分散相である無機微粒子の配合量に対するハイドロタルサイトまたはチャルコアルマイトの配合量は、重量比で0.1〜1.0の範囲であることが好ましい。より好ましい範囲は0.1〜0.5、最も好ましくは0.1〜0.35である。前記比率が0.1より小さいと、ハイドロタルサイト等は分散剤としての効果を発現するに至らず、1.0を超えると、スラリーの粘度が過度に上昇することがあり好ましくない。
【0051】
本発明の懸濁液組成物において、必要に応じて添加する界面活性剤の配合量は分散相である無機微粒子の配合量に対して、重量比で0.01〜1.0の範囲であることが好ましい。0.01より少ないとその効果が顕れず、1.0を超えると発泡し易くなる。また、上に列挙したような界面活性剤は一般に添加剤としては高価なものであるので1.0を超える比率で用いることはコスト上昇につながることもその理由である。本発明においては、酸性領域、特に無機微粒子の荷電ゼロ点より低pH領域においては界面活性剤を添加する必要がないことも大きな長所である。
本発明において、分散媒は分散相の種類、特に分散相の変異荷電の荷電ゼロ点のpH値に応じて適度にpH調整されることが好ましい。pH調製剤としては、特に用途によって課される制約以外に制約はなく、一価金属又は二価金属の水酸化物や炭酸塩等の無機塩、アンモニア、有機アミン等のアルカリ性物質、または、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸および種々の有機酸等の酸性物質を用いて行うことができる。
【0052】
本発明において、ハイドロタルサイトまたはチャルコアルマイトの表面の永久電荷は、分散媒の極性の大小に影響されないので、本発明の懸濁液組成物は、分散媒が水または有機分散媒のいずれであっても同等の効果を有するが、好適な有機分散媒としては、エタノール、エチレングリコールまたはグリセリンが挙げられる。
【発明の効果】
【0053】
本発明の効果は、水または有機分散媒に無機微粒子を分散させてなる懸濁液組成物において、該懸濁液組成物の粘度上昇、発泡、コスト増大等の好ましくない特性を付与することなく、無機微粒子の均一分散性、均一分散状態の長期安定性および再分散性を改善した組成物を提供できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、以下用いた全ての薬品は、特に記すもの以外和光純薬製の一級試薬を使用した。また、懸濁液の調製から評価に及ぶ手順は、特に記すもの以外全て24〜25℃において行なわれた。沈降速度と再分散性についての測定結果を表1〜3に示す。
【実施例1】
【0055】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、酸化アルミニウム粉末(平均粒子径 2.42μm)2g、アニオン性界面活性剤1(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム) 0.5g、合成ハイドロタルサイト類化合物粒子(平均粒子径 0.5μm 商品名:DHT−6/協和化学工業(株))0.5gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは11.71であった。
また、このスラリーの粘度を測定したところ、1.8cP(27.5℃)であった。同じ方法で測定したイオン交換水の粘度が1.8cPであったのに比較しても粘度の上昇は認められなかった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例2】
【0056】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、カチオン性界面活性剤(塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム 商品名:カチオンAB/日本油脂(株))0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.98であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例3】
【0057】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、アニオン性界面活性剤1(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは4.30であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例4】
【0058】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、ノニオン性界面活性剤(ポリソルベート80 商品名:Tween80/メルクジャパン)0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.71であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例5】
【0059】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.90であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例6】
【0060】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、アニオン性界面活性剤2(アリルアルコール、無水マレイン酸およびスチレン共重合物と、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルとのグラフト化合物であって、グラフト側鎖の分子量が500、グラフト側鎖におけるポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルの成分は、エチレンオキサイドが100%のもの マリアリム AKM0531/日本油脂)0.5g、特許第3762571号公報の実施例4に記載の方法(ただし表面処理はおこなわない)で合成した平均粒子径0.8μmの合成チャルコアルマイト化合物粒子
【化4】


0.5gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.06であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例7】
【0061】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、アニオン性界面活性剤2を0.5g、特開2001−2408号公報の実施例13に記載された方法(ただし表面処理はおこなわない)にしたがって合成した平均粒子径1.0μmのLi−Alハイドロタルサイト系化合物
【化5】


0.5gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは11.74であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例8】
【0062】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、エチレングリコール200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、アニオン性界面活性剤1を0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.25gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは11.25であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例9】
【0063】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、エチレングリコール200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.44であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例10】
【0064】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、メタノール200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、前記アニオン性界面活性剤1を0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは11.96であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例11】
【0065】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、メタノール200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.25gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.87であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例12】
【0066】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、無水シリカ(平均粒子径 15.11μm/和光)2g、実施例6で用いた合成チャルコアルマイト化合物粒子0.25gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.88であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例13】
【0067】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例12で用いた無水シリカ2g、前記アニオン性界面活性剤2を 0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.25gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは11.57であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例14】
【0068】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、酸化セリウム(平均粒子径 1.7μm 純度60% 商品名:TE−508/セイミケミカル)2g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.13であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例15】
【0069】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例14で用いた酸化セリウム2g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、実施例7で用いたLi−Alハイドロタルサイト系化合物0.5gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは10.11であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表1に示す。
【実施例16】
【0070】
(医薬用アルミゲル液の分散性)
室温において、グリセリン200mL、乾燥水酸化アルミニウムゲル(平均粒子径 3.5μm/協和化学工業(株))30g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子16gおよび0.1mol/Lのクエン酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、医薬用アルミゲル液を調製した。このアルミゲル液のpHは3.84であった。
調製した該アルミゲル液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例17】
【0071】
(医薬用アルミゲル液の分散性)
室温において、水200mL、実施例16で用いた乾燥水酸化アルミニウムゲル30g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子16gおよび0.1mol/Lのクエン酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、医薬用アルミゲル液を調製した。このアルミゲル液のpHは3.84であった。
また、このスラリーの粘度を測定したところ、1.8cP(27.0℃)であった。同じ方法で測定したイオン交換水の粘度が1.8cPであったのに比較しても粘度の上昇は認められなかった。
調製した該アルミゲル液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例18】
【0072】
(医薬用アルミゲル液の分散性)
室温において、グリセリン200mL、実施例16で用いた乾燥水酸化アルミニウムゲル30g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子27gおよび0.1mol/Lのクエン酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、医薬用アルミゲル液を調製した。このアルミゲル液のpHは3.86であった。
調製した該アルミゲル液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例19】
【0073】
(医薬用アルミゲル液の分散性)
室温において、水200mL、実施例16で用いた乾燥水酸化アルミニウムゲル30g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子8gおよび0.1mol/Lのクエン酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、医薬用アルミゲル液を調製した。このアルミゲル液のpHは3.32であった。
調製した該アルミゲル液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例20】
【0074】
(水性顔料懸濁液の分散性)
室温において、水200mL、合成炭酸カルシウム(一次粒子径 150nm 商品名:Brilliant−1500/白石工業(株))30g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5gおよび、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子8gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは3.66であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例21】
【0075】
(水性顔料懸濁液の分散性)
室温において、水200mL、実施例18で用いた合成炭酸カルシウム30g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、実施例6で用いた合成チャルコアルマイト化合物粒子8gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは11.28であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例22】
【0076】
(水性顔料懸濁液の分散性)
室温において、水200mL、ベントナイト(商品名:Osmos N/白石工業(株))30g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子8gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは4.20であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例23】
【0077】
(水性顔料懸濁液の分散性)
室温において、水200mLに、実施例18で用いた合成炭酸カルシウム30g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、実施例6で用いた合成チャルコアルマイト化合物粒子6gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは10.54であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例24】
【0078】
(水性顔料懸濁液の分散性)
室温において、水200mL、実施例22で用いたベントナイト30g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子6gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは3.87であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例25】
【0079】
(水和剤農薬の分散性)
室温において、水200mL、水酸化第二銅0.32gおよび実施例6で用いた合成チャルコアルマイト化合物粒子0.08gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは7.20であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例26】
【0080】
(水和剤農薬の分散性)
室温において、水200mL、塩基性硫酸銅0.32g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.08gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは6.20であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を表2に示す。
【実施例27】
【0081】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、普通ポルトランドセメント(主成分:ケイ酸三カルシウム/太平洋セメント製)600g、豊浦標準砂1200g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5gおよび実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子450gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは8.55であった。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を表3に示す。
【実施例28】
【0082】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、実施例27で用いた普通ポルトランドセメント600g、豊浦標準砂 1200gおよび実施例6で用いた合成チャルコアルマイト化合物粒子450gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは8.28であった。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を表3に示す。
【実施例29】
【0083】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、実施例27で用いた普通ポルトランドセメント600g、豊浦標準砂 1200gおよび実施例7で用いたLi−Alハイドロタルサイト系化合物450gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは8.79であった。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を表3に示す。
【実施例30】
【0084】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、実施例27で用いた普通ポルトランドセメント600g、豊浦標準砂 1200g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子225gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは8.11であった。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を表3に示す。
【実施例31】
【0085】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、実施例27で用いた普通ポルトランドセメント600g、豊浦標準砂 1200gおよび実施例6で用いた合成チャルコアルマイト化合物粒子225gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは7.90であった。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を表3に示す。
【実施例32】
【0086】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、実施例27で用いた普通ポルトランドセメント600g、豊浦標準砂 1200gおよび実施例7で用いたLi−Alハイドロタルサイト系化合物225gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは7.71であった。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を表3に示す。
【実施例33】
【0087】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、前記カチオン性界面活性剤0.5g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.5gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは8.28であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例1として表1に示す。
【実施例34】
【0088】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、前記カチオン性界面活性剤0.5g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.05gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは8.72であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例2として表1に示す。
【実施例35】
【0089】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、前記アニオン性界面活性剤1を0.5g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.05gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは8.12であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例3として表1に示す。
【実施例36】
【0090】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、前記ノニオン性界面活性剤0.5g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.05gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは2.31であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例4として表1に示す。
【実施例37】
【0091】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、および前記カチオン性界面活性剤2gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは2.43であったが、発泡が認められた。また、このスラリーの粘度を測定したところ、3.2cP(27.0℃)であった。同じ方法で測定したイオン交換水の粘度が1.8cPであったのに比較して粘度の上昇が認められた。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例5として表1に示す。
【実施例38】
【0092】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末2g、および前記ノニオン性界面活性剤0.5gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは2.40であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例6として表1に示す。
【実施例39】
【0093】
(研磨用スラリーの分散性)
室温において、水200mL、実施例1で用いた酸化アルミニウム粉末 2g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、合成ハイドロタルサイト類化合物粒子(平均粒子径5.0μm:KW−1100/協和化学工業(株))0.05gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、研磨用スラリーを調製した。このスラリーのpHは3.92であった。
調製した該スラリーの入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例7として表1に示す。
本実施例のように、分散剤の平均粒子径が分散相の平均粒子径より大きいと、懸濁安定剤としての効果を発現しない。
【実施例40】
【0094】
(医薬用アルミゲル液の分散性)
室温において、グリセリン200mL、実施例16で用いた乾燥水酸化アルミニウムゲル30g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子4gおよび0.1mol/Lのクエン酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、医薬用アルミゲル液を調製した。このアルミゲル液のpHは4.6であった。
調製した該アルミゲル液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例8として表2に示す。
【実施例41】
【0095】
(医薬用アルミゲル液の分散性)
室温において、水200mL、実施例16で用いた乾燥水酸化アルミニウムゲル30g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.8gおよび0.1mol/Lのクエン酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、医薬用アルミゲル液を調製した。このアルミゲル液のpHは4.55であった。
調製した該アルミゲル液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例9として表2に示す。
【実施例42】
【0096】
(水性顔料懸濁液の分散性)
室温において、水200mL、実施例18で用いた合成炭酸カルシウム30g、前記アニオン性界面活性剤2を0.5g、実施例6で用いた合成チャルコアルマイト化合物粒子0.8gおよび0.1mol/Lの水酸化ナトリウム16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは11.11であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例10として表2に示す。
【実施例43】
【0097】
(水性顔料懸濁液の分散性)
室温において、水200mL、実施例22で用いたベントナイト30g、実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子0.8gおよび0.1mol/Lの塩酸16mlを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは4.16であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例11として表2に示す。
【実施例44】
【0098】
(水和剤農薬の分散性)
室温において、水200mLと水酸化第二銅0.32gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは6.90であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例12として表2に示す。
【実施例45】
【0099】
(水和剤農薬の分散性)
室温において、水200mL、塩基性硫酸銅0.32g、および前記アニオン性界面活性剤2を0.5gを250mL用沈降管内で混合し、直ちに3分間の超音波分散処理を行なって分散させ、水性顔料懸濁液を調製した。この水性顔料懸濁液のpHは5.90であった。
調製した該水性顔料懸濁液の入った沈降管を室温で静置し、後述する方法で沈降速度と再懸濁性を評価した結果を比較例13として表2に示す。
【実施例46】
【0100】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、実施例27で用いた普通ポルトランドセメント600g、豊浦標準砂1200g、前記アニオン性界面活性剤1を450g、および実施例1で用いた合成ハイドロタルサイト類化合物粒子40gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは8.39であり、若干の発泡がみられた。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を比較例14として表3に示す。
【実施例47】
【0101】
(モルタル組成物の分散性)
室温において、水400mL、実施例27で用いた普通ポルトランドセメント600g、豊浦標準砂1200g、および前記アニオン性界面活性剤2 450gを混合してモルタル組成物を調整した。このモルタル組成物のpHは8.06であり、若干の発泡がみられた。
調製したモルタル組成物につき、JIS R5201にもとづいてフロー試験を行なった結果を比較例15として表3に示す。
【0102】
実施例1〜26においては、発泡およびスラリーの粘度上昇は認めらず、沈降速度は0.2mm/hrで満足できるレベルであると言える。また、振とうによって沈積層は再分散したが、実施例比較例37、38、41、44、および45においては、振とうによっても沈積層の大部分が残る。また、比較例においては、沈降速度は0.2mm/hrを超える場合があり、実施例37、46および47においてはさらに、発泡または粘度上昇が認められた。
モルタル組成物に関するフロー試験では、フロー値が実施例27〜32と実施例46および47では大きく異なり、前者の本発明の懸濁液組成物の方が明らかに分散性に優れている。
【0103】
以上実施例から、本発明の懸濁液組成物は、少量のハイドロタルサイトまたはチャルコアルマイトを含有することにより、粘度上昇、発泡、コスト増大等の好ましくない特性をもつことなく、無機微粒子の均一分散性、均一分散状態の長期安定性および再分散性が改善されていることがわかる。
【0104】
分析、テストの方法および装置を以下に説明する。
【0105】
(1)沈降速度測定
方法:調製したスラリーの入った沈降管を室温で静置し、化学大事典 縮刷版 第5巻 p.981(共立出版(株) 昭和42年3月20日発行)に記載の方法で、A層(清澄液層)、B層(懸濁液層) およびD層(沈積層)の界面の高さを求め、それらのうちA層(清澄液層)とB層(懸濁液層)の界面高さすなわち沈降界面高さの、時間に対する変化率

(初期の沈降界面高さ−時間T経過後の沈降界面高さ)/経過時間T

を沈降速度(mm/hr)として求めた。
【0106】
(2)再分散性
方法:調製したスラリーの入った沈降管を室温で6ヶ月間静置し、手で軽く5回振盪した後の分散状態を確認した。
評価:スラリーの分散状態を以下の3段階で評価した。

・・・・均一に分散する。
△ ・・・・分散するが沈積層が一部残る。
× ・・・・大部分の沈積層が残る。
【0107】
(3)粘度測定
装置:プログラマブルデジタル粘度計 DV−2+(ブルックフィールド社製)
スピンドル LV1 回転速度30rpm
方法:調製したスラリーをトールビーカーに入れ粘度と温度を測定した。
【0108】
【表1】




【0109】
【表2】



【0110】
【表3】






【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子(a成分)を分散した液体分散媒に、ハイドロタルサイト類化合物および合成チャルコアルマイトからなる群から選ばれた少なくとも一種の無機水酸化物粒子であり、かつ該無機微粒子よりも平均粒子径が小さい粒子(b成分)を配合してなる懸濁安定性を有する懸濁液組成物。
【請求項2】
界面活性剤をさらに配合してなる請求項1に記載の懸濁安定性を有する懸濁液組成物。
【請求項3】
液体分散媒が水、有機分散媒もしくはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の懸濁液組成物。
【請求項4】
有機分散媒がエタノール、エチレングリコールまたはグリセリンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の懸濁液組成物。
【請求項5】
無機微粒子が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化セリウム、α−アルミナ、炭化ケイ素、炭化ホウ素、三酸化二マンガン、四三酸化マンガン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化コバルト、バナジウム酸ビスマス、酸化チタン、水酸化セリウム、水酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化鉄、水酸化第二銅、塩基性硫酸銅、塩基性炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、粘土、石膏、セメント、モルタル、コンクリート、タルク、クレー、ゼオライトおよびベントナイトから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の懸濁液組成物。
【請求項6】
界面活性剤が、アニオン性高分子界面活性剤から選ばれる少なくとも1種のアニオン性高分子界面活性剤であることを特徴とする請求項2に記載の懸濁液組成物。
【請求項7】
アニオン性高分子界面活性剤が、ポリカルボン酸系、ナフタリン系、メラミン系およびアミノスルホン酸系界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項6に記載の懸濁液組成物。
【請求項8】
無機微粒子(a成分)の配合量に対するb成分の配合量(=b成分の配合量/a成分の配合量)が、重量比で0.1〜1.0の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の懸濁液組成物。









【公開番号】特開2008−201984(P2008−201984A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42151(P2007−42151)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000162489)協和化学工業株式会社 (66)
【Fターム(参考)】