説明

懸濁用組成物

【課題】体の調子を整える機能および美容への効果を高める機能を発揮することができる懸濁用組成物を提供すること。また、コラーゲンを含有する懸濁用組成物を液体に溶かしても、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができる懸濁用組成物を提供すること。
【解決手段】難消化性デキストリンとコラーゲンとを含有しているので、体の調子を整える機能および美容への効果を高める機能を発揮することができる。また、コラーゲンを、果汁入り飲料、栄養補給飲料、ルイボス茶、乳酸菌飲料、スポーツドリンク、野菜汁入り飲料、ヨーグルト飲料、ココア、ニアウォーター、麦茶、アセロラ飲料、ウーロン茶、炭酸飲料、インスタントコーヒー、煎茶、紅茶、湯からなる群より選択される少なくとも1種に溶かすことで、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、懸濁用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
懸濁用組成物は、例えば水等の液体に懸濁させることで、飲料として手軽に栄養素を取ることができることから、健康食品として広く利用される組成物である。この懸濁用組成物に含有される素材としては、健康食品としての性質を反映させて、体の調子を整えるものや、或いは美容への効果が高いものが良く利用される(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−21097号公報
【特許文献2】特開2006−14730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特開2005−21097号公報に記載された懸濁用組成物では、体の調子を整える機能を発揮する素材を含有するので、この機能は発揮できるものの、美容への効果を高めることはできない。一方、上述した特開2006−14730号公報に記載された懸濁用組成物では、美容への効果を高める機能を発揮する素材を含有するので、この機能は発揮できるものの、体の調子を整える機能を発揮することはできない。即ち、上述の各特許文献における懸濁用組成物では、体の調子を整える、或いは、美容への効果を高めるといった機能の一方は発揮できるものの、その両方を発揮することはできないという問題点があった。
【0005】
また、ここで、美容への効果を高める機能を発揮する素材として代表的なものにコラーゲンがあるが、コラーゲンを含有する懸濁用組成物は、それを液体に溶かした場合に、コラーゲン特有の不快な臭い・味が発生するという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、体の調子を整える機能および美容への効果を高める機能の両方を発揮することができる懸濁用組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、コラーゲンを含有した懸濁用組成物を液体に溶かしても、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができる懸濁用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の懸濁用組成物は、難消化性デキストリンとコラーゲンとを含有するものである。
【0008】
また、請求項2記載の懸濁用組成物は、請求項1記載の懸濁用組成物において、緑茶、麦茶、抹茶、紅茶、アップル茶、ローズヒップ茶、ウーロン茶、ルイボス茶からなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
【0009】
また、請求項3記載の懸濁用組成物は、請求項1または2記載の懸濁用組成物において、ニアウォーター粉末、果汁入り飲料粉末、野菜汁入り飲料粉末、スポーツドリンク粉末、アイソトニック飲料粉末、炭酸飲料粉末、栄養補給飲料粉末、乳酸菌飲料粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト飲料粉末、ココア粉末からなる群より選択される少なくとも1種を含有するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の懸濁用組成物によれば、体の調子を整える機能を発揮する難消化性デキストリンと美容への効果を高める機能を発揮するコラーゲンとを含有しているので、1の懸濁用組成物で、上述の両方の機能を発揮することができるという効果がある。また、請求項2記載の懸濁用組成物によれば、請求項1記載の懸濁用組成物の効果に加え、懸濁用組成物を液体に溶かした場合でも、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができるという効果がある。また、請求項3記載の懸濁用組成物によれば、請求項2と同様の効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、後述する実施形態の記載により限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0012】
本発明の懸濁用組成物に含有される難消化性デキストリンは、デンプンを加熱により加水分解した後、アミラーゼにより加水分解して得られるものである。難消化性デキストリンとしては、特に制限されるものではなく、通常入手可能な難消化性デキストリンまたは難消化性デキストリンを含む原料が挙げられる。難消化性デキストリンは、粉末、細粒、顆粒などの形態で市販されており、いずれの形態でも使用可能である。なお、難消化性デキストリンは、整腸効果のほか、食後血糖上昇抑制効果、血中脂質の改善効果等の、体の調子を整える機能を発揮することができる。
【0013】
本発明の懸濁用組成物に含有されるコラーゲンとしては、特に制限されるものではなく、通常入手可能なコラーゲンを用いることができる。例えば、豚由来、魚由来、またはその他の動物由来のコラーゲンを用いることができる。なお、コラーゲンは、皮膚の張りを保つ効果等、美容への効果を高める機能を発揮することができる。
【0014】
本発明の懸濁用組成物に含有される難消化性デキストリンとコラーゲンとの配合比としては、特に制限されるものではないが、難消化性デキストリン1重量部に対して、コラーゲンを0.5重量部から1.5重量部の範囲とする配合比とすることが好ましい。
【0015】
本発明における難消化性デキストリンおよびコラーゲンを含有する懸濁用組成物の他、難消化性デキストリンおよびコラーゲンに加えて、緑茶、麦茶、抹茶、紅茶、アップル茶、ローズヒップ茶、ウーロン茶、ルイボス茶からなる群より選択される少なくとも1種を含有する懸濁用組成物は、そのまま、または種々の成分を加えて、飲食品類として利用することができる。同様に、難消化性デキストリンおよびコラーゲンに加えて、ニアウォーター粉末、果汁入り飲料粉末、野菜汁入り飲料粉末、スポーツドリンク粉末、アイソトニック飲料粉末、炭酸飲料粉末、栄養補給飲料粉末、乳酸菌飲料粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト飲料粉末、ココア粉末からなる群より選択される少なくとも1種を含有する懸濁用組成物も、そのまま、または種々の成分を加えて、飲食品類として利用することができる。
【0016】
本発明の懸濁用組成物に加えることが可能な成分としては、例えば、L−アスコルビン酸、スクラロース、ヒアルロン酸、香料を挙げることができる。その他にも、松樹皮抽出物、ジャガイモ抽出物、葛の花抽出物、チャ抽出物、チャの花抽出物、大豆抽出物、キャベツ粉末、タマネギ粉末、青汁素材(大麦若葉、甘藷若葉、アシタバ、ヨモギ、ケール等の緑葉)等の健康食品用素材を含有しても良い。
【0017】
また、本発明の懸濁用組成物は、水、牛乳、豆乳、清涼飲料、青汁などに添加することで、飲食品類として利用することができる。また、これ以外にも、本発明の懸濁用組成物は、食用に適した形態、例えば、粉末状・粒状・顆粒状・液状・ペースト状・クリーム状・タブレット状・カプセル状・カプレット状・ソフトカプセル状・錠剤状・棒状・板状・ブロック状・丸薬状・固形状・ゲル状・ゼリー状・グミ状・ウエハース状・ビスケット状・飴状・チュアブル状・シロップ状・スティック状などに成形することで、食品素材として利用することができる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、後述する実施例の記載により限定して解釈されるものではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0019】
本実施例では、懸濁用組成物を溶媒(後述する表1に記載の液体)に溶かして飲料とし、それを健常な被験者に摂取してもらった後、コラーゲン臭が気になるかとコラーゲンの味が気になるかとの2項目について、被験者にアンケートを実施して、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生が抑制できたか否かを試験した。なお、以後、懸濁用組成物を水に溶かしたものを「比較例」と称し、懸濁用組成物を後述する表1に記載の飲料に溶かしたものを「試験例」と称する。
【0020】
比較例および試験例に使用した懸濁用組成物について説明する。懸濁用組成物は、難消化性デキストリン3.6g、コラーゲン5.0gの他、L−アスコルビン酸、スクラロースおよび香料で構成されており、計9.0gの組成物となっている。なお、難消化性デキストリンは、「ファイバーソル2(規格基準型適合)」(松谷化学工業株式会社製)を使用し、コラーゲンは、「コラーゲンペプチド SCP−5200」(新田ゼラチン株式会社製)を使用した。
【0021】
次に、比較例および試験例の各調製について説明する。比較例については、上述した懸濁用組成物を、水100ccに溶かして調製した。また、試験例については、上述した懸濁用組成物を、果汁入り飲料(試験例1)、栄養補給飲料(試験例2)、ルイボス茶(試験例3)、乳酸菌飲料(試験例4)、スポーツドリンク(試験例5)、野菜汁入り飲料(試験例6)、ヨーグルト飲料(試験例7)、ココア(試験例8)、ニアウォーター(試験例9)、麦茶(試験例10)、アセロラ飲料(試験例11)、ウーロン茶(試験例12)、炭酸飲料(試験例13)、インスタントコーヒー(試験例14)、煎茶(緑茶の一種、試験例15)、紅茶(試験例16)、湯(試験例17)の各飲料100ccに溶かして調製した。
【0022】
なお、試験例2の栄養補給飲料は、ビタミンBやビタミンC、ローヤルゼリーエキス等の栄養成分が補給可能な飲料を示している。また、試験例5のスポーツドリンクは、発汗等によって体から失われた水分やミネラル分を効率良く補給することを目的とした飲料を示している。
【0023】
また、試験例7のヨーグルト飲料は、ヨーグルトを液状に加工した飲料を示しており、ニアウォーターは、ビタミンやカルシウムに代表される栄養素を水に加え、更に、果汁を若干加えた飲料を示している。また、試験例11のアセロラ飲料は、アセロラ果汁入りの飲料を示している。
【0024】
試験の評価方法、具体的には、コラーゲン臭が気になるかの試験とコラーゲンの味が気になるかの試験との評価方法について説明する。評価方法は、まず、試験例1〜17および比較例を、健常者4名に摂取してもらい、その後、摂取した各試験例および比較例について、コラーゲン臭が気になるかとコラーゲンの味が気になるかとの2項目について、後述する評点に従って健常者に評価してもらう方法とした。なお、各試験例および比較例の摂取量は、健常者が評価できる量を摂取すれば良いとし、健常者は、各試験例および比較例の摂取毎に水で口腔洗浄を行った。
【0025】
(評価項目の評点)
試験例1〜17および比較例の各々について、上述した2項目のそれぞれに対し、評点を1から5までとする5段階評価を行った。各評点の基準は以下の通りである。
5:コラーゲン臭またはコラーゲン味が、非常に気になる。
4:コラーゲン臭またはコラーゲン味が、かなり気になる。
3:コラーゲン臭またはコラーゲン味が、少し気になる。
2:コラーゲン臭またはコラーゲン味が、ほとんど気にならない。
1:コラーゲン臭またはコラーゲン味が、全く気にならない。
【0026】
健常者(評価者)4名による評価の結果(平均値)を表1に示す。なお、試験例16におけるコラーゲン味の評価については、評価者は3名となっている。
【0027】
【表1】

【0028】
表1の結果から、試験例1〜17は、比較例よりも、コラーゲン特有の不快な臭いを抑制している。また、試験例1〜17は、比較例よりも、コラーゲン特有の味の発生を抑制している。つまり、本発明の懸濁用組成物によれば、コラーゲンを、果汁入り飲料、栄養補給飲料、ルイボス茶、乳酸菌飲料、スポーツドリンク、野菜汁入り飲料、ヨーグルト飲料、ココア、ニアウォーター、麦茶、アセロラ飲料、ウーロン茶、炭酸飲料、インスタントコーヒー、煎茶、紅茶、湯からなる群より選択される少なくとも1種に溶かすことで、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができる。また、本発明の懸濁用組成物によれば、難消化性デキストリンとコラーゲンとを含有しているので、体の調子を整える機能および美容への効果を高める機能の両方の機能を発揮することができる。
【0029】
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0030】
例えば、実施例1〜17においては、難消化性デキストリンとコラーゲンとを、表1に示す飲料に溶かして調製したが、これに限られるものではない。即ち、表1に示す各飲料の原料粉末を予め懸濁用組成物に含有させておき、その組成物を100ccの水に溶かして調製し、これを実施例1〜17としても良い。このように表1に示す各飲料の原料粉末を予め懸濁用組成物に含有させた場合においても、表1に示す結果と同様の結果が得られることは容易に想到できる。
【0031】
また、本実施例では、難消化性デキストリンとコラーゲンとを溶かす茶として、緑茶や紅茶を用いたが(実施例15,16参照)、これに限られるものではなく、抹茶やアップル茶、或いは、ローズヒップ茶を用いても良い。これらの場合においても、比較例よりも、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができる。
【0032】
また、本実施例では、難消化性デキストリンとコラーゲンとを溶かす飲料として、スポーツドリンクを用いたが(実施例5)、これに限られるものではなく、スポーツドリンクと用途・機会が似たアイソトニック飲料を用いても良い。この場合においても、比較例よりも、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができる。なお、アイソトニック飲料とは、ミネラル類や糖分を水に配合し、浸透圧を体液に近づけた飲料を示している。
【0033】
また、本実施例では、実施例1〜17において、難消化性デキストリンとコラーゲンとを、1の飲料に溶かしたが、これに限られるものではない。即ち、難消化性デキストリンとコラーゲンとを、実施例1〜17の飲料を適宜組み合わせた飲料(例えば、実施例1の果汁入り飲料と実施例13の炭酸飲料とを混ぜた飲料)に溶かしても良い。この場合においても、比較例よりも、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、体の調子を整える機能および美容への効果を高める機能の両機能の発揮を必要とする産業で利用することができる。また、本発明は、コラーゲン特有の不快な臭い・味の発生の抑制を必要とする産業で利用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
難消化性デキストリンとコラーゲンとを含有することを特徴とする懸濁用組成物。
【請求項2】
更に、緑茶、麦茶、抹茶、紅茶、アップル茶、ローズヒップ茶、ウーロン茶、ルイボス茶からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の懸濁用組成物。
【請求項3】
更に、ニアウォーター粉末、果汁入り飲料粉末、野菜汁入り飲料粉末、スポーツドリンク粉末、アイソトニック飲料粉末、炭酸飲料粉末、栄養補給飲料粉末、乳酸菌飲料粉末、コーヒー粉末、ヨーグルト飲料粉末、ココア粉末からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1記載の懸濁用組成物。