説明

成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における使用のための方法、医薬組成物及びキット

本発明は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における使用のための方法、医薬組成物及びキットに関する。より特には、本発明は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置のための、インターフェロン、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤の組み合わせに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における使用のための方法、医薬組成物及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血球ウイルスI型(HTLV−I)と結合した成熟活性化CD4+T細胞の侵攻性増殖である。非常に長い潜伏期間の後に白血病は発症し、白血病に先立ってHTLV−I感染活性化T細胞がオリゴクローナルに増殖する。これらのクローン性増殖は、ウイルス転写活性化タンパク質Taxの発現によって起こり、Taxは、様々な細胞遺伝子を活性化し、インターロイキン2、インターロイキン15及びそれらの同族レセプターに関係する自己分泌ループ(autocrine loop)を作り出す。ATL患者の臨床的特徴及び予後における多様性により、それはくすぶり型、慢性、リンパ腫及び急性サブタイプに下位分類される。一般的に、侵攻性ATL(急性及びリンパ腫サブタイプ)を有する患者は、悪性細胞の内因性の化学抵抗性、多臓器不全を伴う大きな腫瘍量、高カルシウム血症、及び/又は重度のT細胞免疫不全により頻繁に起こる感染合併症のために、非常に予後不良である。無痛性ATL(すなわち、慢性又はくすぶり型サブタイプ)を有する患者は、より良い予後である。しかしながら、日本からのデータは、これらの患者が、疾患の進行まで静観方針(watchful−waiting policy)により管理されているか、又は化学療法により管理されている場合に、長期生存不良になることを示していた。実際、慢性ATLの4年生存は、30%未満である。
【0003】
抗レトロウイルスヌクレオチド類似物ジドブジン(AZT)及びインターフェロンα(IFN)の組み合わせによって、ATL患者において高い奏功率が達成されることが示された(Gill PS, Harrington W Jr, Kaplan MH, et al. Treatment of adult T-cell leukemia-lymphoma with a combination of interferon alfa and zidovudine. N Engl J Med. 1995;332:1744-1748. ; Hermine O, Bouscary D, Gessain A, et al. Brief report: treatment of adult T-cell leukemia-lymphoma with zidovudine and interferon alfa. N Engl J Med. 1995;332:1749-1751.; Bazarbachi A, Hermine O. Treatment with a combination of zidovudine and alpha-interferon in naive and pretreated adult T-cell leukemia/lymphoma patients. J Acquir Immune Defic Syndr Hum Retrovirol. 1996;13(suppl 1):S186-S190.; White JD, Wharfe G, Stewart DM, et al. The combination of zidovudine and interferon alpha-2B in the treatment of adult T-cell leukemia/lymphoma. Leuk Lymphoma. 2001;40:287-294; Hermine O, Allard I, Levy V, et al. A prospective phase II clinical trial with the use of zidovudine and interferon-alpha in the acute and lymphoma forms of adult T-cell leukemia/lymphoma. Hematol J. 2002;3:276-282. ; Matutes E, Taylor GP, Cavenagh J, et al. Interferon alpha and zidovudine therapy in adult T-cell leukaemia lymphoma: response and outcome in 15 patients. Br J Haematol. 2001;113:779-784.)。しかしながら、ほとんどの患者は最終的には再発しており、このことは、新しい治療アプローチの必要性を強調している。
【0004】
三酸化ヒ素(As)は、急性前骨髄球性白血病(APL)(固有の臨床的特徴及び特異的細胞遺伝学的異常t(15;17)(これは、15番染色体上のPML遺伝子と17番染色体上のレチノイン酸レセプターα(RAR−α)遺伝子との間の相互転座をもたらす)によって特徴付けられる、急性骨髄性白血病の明確に区別できるサブタイプ)の非常に効果的な処置である。臨床的には、Asは、PML/RARA融合タンパク質を直接的にターゲティング及び分解し、APL患者の臨床的寛解を誘導する。
【0005】
ATL細胞株において、以前、本発明者らは、AsがIFNと相乗作用して、細胞周期停止及びアポトーシスを誘導することを示した(Bazarbachi A, El-Sabban ME, Nasr R, et al. Arsenic trioxide and interferon-alpha synergize to induce cell cycle arrest and apoptosis in human T-cell lymphotropic virus type I-transformed cells. Blood. 1999;93:278-283.)。分子レベルにおいて、As/IFNの組み合わせは、HTLV−1癌タンパク質Taxのプロテオソーム分解(proteosomal degradation)及びNF−κB活性化の逆転を特異的に誘導する(El-Sabban ME, Nasr R, Dbaibo G, et al. Arsenic-interferon-alpha-triggered apoptosis in HTLV-I transformed cells is associated with tax down-regulation and reversal of NF-kappa B activation. Blood. 2000;96:2849-2855. ; Nasr R, Rosenwald A, El-Sabban ME, et al. Arsenic/interferon specifically reverses 2 distinct gene networks critical for the survival of HTLV-1-infected leukemic cells. Blood. 2003;101:4576-4582.)。IFN/As処置によるウイルス癌タンパク質のこのような特異的ターゲティング(これは、APLにおけるPML/RARのAsターゲティングを思い起こさせる)は、ATL患者におけるIFN/As併用療法に強い論理的根拠を提供する。その意味では、AZT、IFN及び化学療法後に再発性/難治性の侵攻性ATLを有する7人の患者におけるAs/IFN組み合わせの第二相試験の結果が、以前に報告された(Hermine O, Dombret H, Poupon J, et al. Phase II trial of arsenic trioxide and alpha interferon in patients with relapsed/refractory adult T-cell leukemia/lymphoma. Hematol J. 2004;5:130-134.)。1人の患者は完全寛解を達成し、3人は部分寛解を達成し、3人は進行した。完全寛解(CR)の患者は、経過観察の5年を過ぎた後、依然として生存している。これらの結果は、予後不良であるこれらの選択した侵攻性ATL患者において、As及びIFNによる処置が実行可能であり、in vivoで抗白血病効果を示すことを示している。同様に、難治性の急性ATLを有する2人の患者において、As/IFN組み合わせに対する一時的な応答が、日本で報告された(Ishitsuka K, Suzumiya J, Aoki M, Ogata K, Hara S, Tamura K. Therapeutic potential of arsenic trioxide with or without interferon-alpha for relapsed/refractory adult T-cell leukemia/lymphoma. Haematologica. 2007;92:719-720)。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における使用のための、インターフェロン、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤の組み合わせに関する。
【0007】
発明の詳細な説明:
前向き第ニ相試験中に、本発明者らは、イラン北東部のマシュハド地方出身の新たに診断された慢性ATL患者10人におけるAs、IFN及びAZTの組み合わせによる処置の効果及び安全性を調査した。それらは、この併用療法が実行可能であり、穏やかな副作用を伴う非常に高い奏効率を示すことを示している。
【0008】
さらに、本発明者らは、三酸化ヒ素/インターフェロンα連合(association)がin vivoにおいてTax駆動性マウスATLを治癒することを実証した。予想外のことに、この連合は二次レシピエントへの白血病移植を直ちに無効にするが、原発腫瘍は成長し続けてかなり後に枯渇するだけである。処置によりトリガーされた白血病を引き起こす細胞(LIC)クリアランスは、プロテアソーム阻害によって無効にされる。結果は、治療により誘導されたPML/RARA分解によるAPL白血病を引き起こす細胞の根絶を非常に思い起こさせる。それらは、患者におけるヒ素/インターフェロン治療のごく最近の成功に関する合理的根拠を提供し、腫瘍の大部分ではなくLICだけが連続的な癌遺伝子発現に依存していることを示唆している。
【0009】
従って、本発明は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における使用のための、インターフェロン、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤の組み合わせに関する。
【0010】
その最も広い意味において、「処置する」又は「処置」という用語は、このような用語が適用される障害もしくは状態、もしくはこのような障害もしくは状態の1つ以上の症候の進行を逆転させること、軽減すること、阻害すること又は予防すること意味する。
【0011】
本明細書において使用される「インターフェロン」又は「IFN」は、例えば任意の種類のIFN(I型及びII型)、そして特にIFNα、IFNβ、IFNω及びIFNγを含む、文献においてそのように定義された任意の分子を含むことを意図する。本明細書において使用されるインターフェロンという用語はまた、塩、機能的誘導体、変異体、ムテイン、融合タンパク質、類似体及びそれらの活性フラグメントを包含することを意図する。ヒトインターフェロンαのポリペプチド配列は、アクセッションナンバー:AAA52716、AAA52724及びAAA52713の下でデータベースに供託されている。ヒトインターフェロンβのポリペプチド配列は、アクセッションナンバーAAC41702、NP_002167、AAH96152、AAH96153、AAH96150、AAH96151、AAH69314及びAAH36040の下でデータベースに供託されている。ヒトインターフェロンγのポリペプチド配列は、アクセッションナンバーAAB59534、AAM28885、CAA44325、AAK95388、CAA00226、AAP20100、AAP20098、AAK53058及びNP−000610の下でデータベースに供託されている。
【0012】
好ましい実施形態では、インターフェロンは、インターフェロンαである。インターフェロンαとしては、リコンビナントインターフェロンα2a(例えば、Hoffman-LaRoche, Nutley, N.J.から入手可能なROFERON(登録商標)インターフェロン)、インターフェロンα2b(例えば、Schering Corp., Kenilworth, N.J., USAから入手可能なイントロンAインターフェロン)、コンセンサスインターフェロン及び精製インターフェロンα産物を含むが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書において使用される「ヒ素化合物」という用語は、ヒ素、及びヒ素と同じ生物学的特性を有する任意の化合物を含むことを意図する。「ヒ素と同じ生物学的特性を有する化合物」という表現は、ヒ素のようなホスファターゼの阻害剤であり及び/又はジチオール基と結合することによって共有結合付加体を作り出すことができる任意の化合物を意味すると理解されるべきである。
【0014】
特定の実施形態では、ヒ素化合物は、ヒ素、三酸化ヒ素(As2O3)、メラルソプロール及びヒ素硫黄誘導体からなる群より選択される。ヒ素の効果の多くは酸化的ストレスによって媒介されるので、ヒ素の様に活性酸素種の産生を促進する物質は、本発明に包含される。
【0015】
本明細書において使用される「リバーストランスクリプターゼ阻害剤」という用語は、HTVL−1のリバーストランスクリプターゼの活性を阻害することができる任意の化合物を意味する。この用語は、ヌクレオシド類似体リバーストランスクリプターゼ阻害剤、ヌクレオチド類似体リバーストランスクリプターゼ阻害剤及び非ヌクレオシドリバーストランスクリプターゼ阻害剤を包含する。
【0016】
特定の実施形態では、リバーストランスクリプターゼ阻害剤は、ジドブジン(AZT、ZDV及びアジドチミジンとも称され、Retrovirの商品名を有する)、ディダノシン(ddIとも称され、商品名Videx及びVidexを有する)、ザルシタビン(ddC及びジデオキシシチジンとも称され、商品名Hividを有する)、スタブジン(スタブジン、d4Tとも称され、商品名Zerit及びZerit XRを有する)、アバカビル(アバカビル、ABCとも称され、商品名Ziagenを有する)、エムトリシタビン(FTCとも称され、商品名Emtrivaを有する)及びアプリシタビン(ATCとも称される)からなる群より選択されるヌクレオシド類似体リバーストランスクリプターゼ阻害剤である。
【0017】
特定の実施形態では、リバーストランスクリプターゼ阻害剤は、テノホビル(フマル酸テノホビルジソプロキシルとしても知られており、商品名Vireadを有する)及びアデフォビル(ビス−POM PMPAとしても知られており、商品名Preveon及びHepseraを有する)からなる群より選択されるヌクレオチド類似体リバーストランスクリプターゼ阻害剤である。
【0018】
特定の実施形態では、リバーストランスクリプターゼ阻害剤は、エファビレンツ(商品名Sustiva及びStocrinを有する)、ネビラピン(ビラミューン)、デラビルジン(商品名Rescriptorを有する)及びエトラビリン(商品名Intelenceを有する)からなる群より選択される非ヌクレオシドリバーストランスクリプターゼ阻害剤である。
【0019】
本発明のさらなる形態は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置を必要とする被験体に、IFN、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤の量を投与する段階を含む、成人T細胞白血病/リンパ腫を処置するための方法に関する。
【0020】
本明細書において使用される「被験体」という用語は、齧歯類、ネコ科動物、イヌ科動物及び霊長類などの哺乳動物を意味する。好ましくは、本発明による被験体は、ヒトである。
【0021】
本明細書において使用される「本発明の有効成分」という用語は、上記に定義される前骨髄球性白血病タンパク質(PML)発現の誘導因子、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤を意味することを意図する。
【0022】
本発明の有効成分は、以下に定義される医薬組成物の形態で投与され得る。
【0023】
好ましくは、本発明の有効成分は、治療有効量で投与される。
【0024】
「治療有効量」は、任意の医療処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比で成人T細胞白血病/リンパ腫を処置するのに十分な量の本発明の有効成分を意味する。
【0025】
当然のことながら、本発明の有効成分の1日の総使用量は、正しい医学的判断の範囲内で主治医によって決定されるであろう。任意の特定の被験体に対する具体的な治療有効投与量レベルは、処置されている障害及び障害の重症度;使用された具体的な化合物の活性;使用された具体的な組成物、被験体の年齢、体重、全体的な健康、性別及び食生活;使用された具体的な有効成分の投与時間、投与経路及び排出経路;処置期間;使用された具体的な有効成分と組み合わせて又は偶然一緒に使用された薬物;そして医療分野において周知の要素などの様々な要素によって決まるであろう。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要とされるものよりも低いレベルで有効成分の投薬を開始して、所望の治療効果が達成されるまで投薬量を次第に増加させることは、十分に当技術分野の技術内である。
【0026】
想定される投与量は、例えば、ヒ素化合物に関しては好ましくは静脈内経路によって1日当たり1〜50mg、好ましくは1日当たり10〜15mgであり得、体重1kg当たり及び1日当たり1〜1500mg、好ましくは体重1kg当たり600〜1000mgのリバーストランスクリプターゼ阻害剤であり得、ならびにIFNに関しては1日当たり又は2日ごとに100〜2000万国際単位(MIU)、好ましくは1日当たり300〜900万国際単位(MIU)であり得る。
【0027】
好ましい実施形態では、本発明のヒ素化合物は好ましくは静脈内経路によって投与され、本発明のリバーストランスクリプターゼ阻害剤は好ましくは経口経路によって投与され、IFNは筋肉内又は皮下経路によって投与される。
【0028】
本発明によれば、本発明の有効成分は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における同時使用、単独使用又は逐次使用のための組み合わせ調製物として投与され得る。
【0029】
本発明の有効成分は、治療組成物を形成するために、薬学的に許容しうる賦形剤及び場合により生分解性高分子などの徐放性マトリックスと組み合わせられ得る。
【0030】
「薬学的に」又は「薬学的に許容しうる」という用語は、必要に応じて哺乳動物、特にヒトに投与された場合に、副反応、アレルギー反応又は他の有害反応を起こさない分子的実体及び組成物を意味する。薬学的に許容しうる担体又は賦形剤は、非毒性の固体、半固体もしくは液体充填剤、希釈剤、封入材料又はあらゆる種類の製剤助剤(formulation auxiliary)を意味する。
【0031】
本発明の医薬組成物では、本発明の有効成分は、従来の薬学的支持体との混合物として、単位投与形態で動物及びヒトに投与され得る。好適な単位投与形態は、錠剤、ゲルカプセル、粉剤、顆粒剤及び経口懸濁液又は液剤などの経口経路形態、舌下及び口腔投与形態、噴霧剤、インプラント、皮下(subcutaneous)、経皮、局所、腹腔内、筋肉内、静脈内、皮下(subdermal)、経皮、くも膜下及び鼻腔内投与形態ならびに直腸投与形態を含む。
【0032】
好ましくは、医薬組成物は、注射され得る製剤のための薬学的に許容しうるビヒクルを含む。これらは、特に滅菌等張食塩水(リン酸一ナトリウムもしくはリン酸ニナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど又はこのような塩の混合物)又は状況に応じて滅菌水もしくは生理食塩水を添加することによって注射用溶液の構成を可能にする乾燥物、特に凍結乾燥組成物であり得る。
【0033】
注射用途に好適な薬学的形態は、滅菌水溶液又は分散剤;ごま油、落花生油又は水性プロピレングリコールを含む製剤;及び滅菌注射用溶液又は分散剤の即時調製のための滅菌粉剤を含む。全ての場合において、形態は滅菌したものでなければならず、容易に注射可能な程度まで流動性でなければならない。それは、製造及び保管の条件下で安定的でなければならず、細菌及び菌類などの微生物の汚染作用に対して予防されなければない。
【0034】
本発明の化合物を遊離塩基又は薬理学的に許容しうる塩として含む溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合された水中で調製され得る。分散剤もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの混合物中でならびに油中で調製され得る。微生物の増殖を防ぐために、保管及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は防腐剤を含む。
【0035】
本発明の有効成分は、中性又は塩形態で組成物に製剤化され得る。薬学的に許容しうる塩は、(タンパク質の遊離アミノ基で形成された)酸付加塩、及び、例えば塩酸もしくはリン酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸で形成された酸付加塩を含む。遊離カルボキシル基で形成された塩もまた、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム又は水酸化鉄などの無機塩基、及びイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基に由来し得る。
【0036】
担体はまた、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、及び植物油を含む、溶媒又は分散剤であり得る。例えば、レシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散剤の場合は必要な粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持され得る。微生物の作用の予防は、様々な抗菌及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によってもたらされ得る。
【0037】
滅菌注射用溶液は、適切な溶媒中の必要量の本発明の有効成分を、上記に列挙される様々な他の成分と組み合わせた後、必要に応じてろ過滅菌することによって調製される。一般的には、分散剤は、塩基性分散媒及び上記に列挙されるものに由来する必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに、様々な滅菌有効成分を組み入れることによって調製される。滅菌注射用溶液の調製のための滅菌粉剤の場合、好ましい調製方法は、任意のさらなる所望の成分を加えた有効成分の粉剤を、それらの前もって滅菌ろ過された溶液から生じさせる、真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0038】
製剤化する場合、溶液は、投薬製剤に適合した様式で、及び治療有効量で、投与されるであろう。製剤は上記注射用溶液の種類などの様々な剤形で容易に投与されるが、薬物放出カプセルなどもまた使用され得る。
【0039】
水溶液での非経口投与に関して、例えば、溶液は必要に応じて適切に緩衝されるべきであり、液体希釈剤は最初に十分な食塩水又はグルコースで等張性にされるべきである。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に特に好適である。これに関連して、当業者であれば、本開示を考慮すると使用され得る滅菌水媒体を理解するであろう。例えば、ある投薬量は、1mlの等張NaCl溶液中で溶解され、1000mlの皮下注入溶液に添加されるか、又は注入予定部位に注射され得る。投薬量のいくつかの変化は、処置されている被験体の状態に応じて必然的に生じる。投与に対して責任がある者は、いずれにしても、個々の被験体に関する適切な投与量を決定するであろう。
【0040】
静脈内又は筋肉内注射などの非経口投与のために製剤化される本発明の有効成分に加えて、他の薬学的に許容しうる形態は、例えば、経口投与のための錠剤又は他の固体;リポソーム製剤;徐放性カプセル;及び現在使用されている任意の他の形態を含む。
【0041】
本発明は、IFN、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤ならびに場合により薬学的に許容しうる賦形剤を含む、医薬組成物に関する。
【0042】
上記医薬組成物は、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置に特に好適である。
【0043】
本発明はまた、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における同時使用、単独使用又は逐次使用のための組み合わせ調製物として
a)IFN、
b)ヒ素化合物及び
c)リバーストランスクリプターゼ阻害剤、
を含むキットに関する。
【0044】
本発明はまた、成人T細胞白血病/リンパ腫に罹患している被験体における白血病を引き起こす細胞を根絶するための、IFN及びヒ素化合物の組み合わせに関する。
【0045】
本明細書において使用される「白血病を引き起こす細胞」という用語は、Dick JE. (Dick JE. Stem cell concepts renew cancer research. Blood. 2008 Dec 15;112(13):4793-807.)によって記載されている、完全な白血病の発症及び自己複製を可能にする特異的性質を有する細胞を意味する。
【0046】
特定の実施形態によれば、上記組み合わせは、リバーストランスクリプターゼ阻害剤をさらに含む。
【0047】
本発明は、以下の図面及び実施例によってさらに例示されるであろう。しかしながら、これらの実施例及び図面は、本発明の範囲を限定すると決して解釈されるべきではない。
【0048】
実施例1:新たに診断された慢性成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)における三酸化ヒ素、インターフェロンα及びジドブジンの組み合わせの効果ならびに安全性の第二相試験
以下に報告した結果は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる科学論文(Kchour G, Tarhini M, Kooshyar MM, El Hajj H, Wattel E, Mahmoudi M, Hatoum H, Rahimi H, Maleki M, Rafatpanah H, Rezaee SA, Yazdi MT, Shirdel A, de The H, Hermine O, Farid R, Bazarbachi A. Phase 2 study of the efficacy and safety of the combination of arsenic trioxide, interferon alpha, and zidovudine in newly diagnosed chronic adult T-cell leukemia/lymphoma (ATL). Blood. 2009 Jun 25;113(26):6528-32. Epub 2009 May 1)に掲載された。
【0049】
材料と方法
患者の特徴:新たに診断されたこれまでに未処置の慢性ATL患者10人が、インフォームドコンセントを提出した後にこの前向き第二相試験に参加した。患者の参加は、2007年に開始した。これらの患者を、Ghaem and Imam Reza hospitals, Mashhad University of Medical Sciencesの血液−腫瘍科に付託した。全てのATL患者は、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によるHTLV−I感染の血清学的証拠及び標準ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;データは示さない)によるHTLV−I陽性の確認を有していた。診断時における末梢血のフローサイトメトリー分析は、腫瘍細胞がCD4+、CD8−及びCD25+であったことを示した(表1)。ATLに関するShimoyama分類基準(Shimoyama M. Diagnostic criteria and classification of clinical subtypes of adult T-cell leukaemia-lymphoma: a report from the Lymphoma Study Group (1984-87). Br J Haematol. 1991;79:428-437)に従って、全ての患者は、慢性ATLを有していた。患者の特徴を表1に示す。本試験はMashhad University of Medical Sciencesの倫理委員会によって承認され、ヘルシンキ宣言に従って患者のインフォームドコンセントを得た。
【0050】
【表1】

【0051】
試験デザイン及び処置スケジュール:処置は、静脈内As(10mg/日、5日/週)、皮下IFN(Pooyesh Darou Pharmaceutical, Tehran, Iran;500万単位/日)及び経口AZT(900mg/日)からなった。当初は、ヒ素を60日の期間で計画した。しかしながら、AZT及びIFNと一緒に60日のAs投与を受けた最初の患者における低い認容性のあと、プロトコールを30日のAsに修正した。毒性の場合、AZT及びIFNを一時的に中断するか、又はそれらの投与量を600mg/日及び300万単位/日にそれぞれ減らした。ヒ素の投与量は毒性の場合に減らさなかったが、As処置を一時的に中断した。処置投与量、処置期間及び処置中断に関する詳細を表2に記載する。無応答者の処置は、治験責任医師の裁量であった。
【0052】
【表2】

【0053】
応答基準:完全寛解(CR)を全血球計算値(CBC)の標準化として定義し、これは、全ての測定可能な腫瘍の消失が少なくとも1ヶ月間持続することに関連している。しかしながら、この状況はHTLV−Iの健康保因者において見られ得るので、5%未満の異型リンパ球の存続を伴う患者をCRと考えた。非常に良い部分奏功(VGPR)をCBCの標準化として定義し、これは、全ての測定可能な腫瘍の消失が少なくとも1ヶ月間持続するが、末梢血塗抹標本上に5%超の異型リンパ球が存続することに関連している。部分奏功(PR)を、白血病細胞数及び全ての測定可能な腫瘍サイズの50%超の減少として定義した。無応答(NR)を、白血病細胞数もしくはあらゆる測定可能な腫瘍サイズの50%未満の減少として又は疾患の進行として定義した。無進行生存(PFS)を、処置開始と疾患の進行、死亡又は最後の経過観察の日との間の期間として定義した。全生存(OS)を、処置開始と死亡又は最後の経過観察の日との間の期間として定義した。
【0054】
プロウイルス量:細胞数及び定量的PCRによって評価した細胞1個当たりの平均ウイルスコピー数から、血液1マイクロリットル当たりのHTLV−Iウイルスコピー数を計算した。標準化に関しては、tax遺伝子及びアルブミン遺伝子上に位置するプライマー及びTaqmanプローブを使用して、前記末梢血単核細胞から抽出したDNAでリアルタイム定量的PCRを実施した。qPCR MasterMix(Eurogentec, Leuven, Belgium)を使用して、25μLの反応量でTaqMan増幅を行った。各反応における250ngDNAを使用して、各サンプルを3回分析した。50℃2分間のインキュベーションで熱サイクルを開始し、その後に95℃10分間の最初の変性ステップ、次いで95℃15秒間及びtaxに関しては58℃1分間(アルブミンに関しては60℃1分間)で45サイクル。
【0055】
結果
毒性及び投与量調整:毒性(WHO>3)が4人の患者において生じた(表3)。特に処置の最初の月末に、ほとんどの患者が血液毒性を経験した(重症度>1[6人の患者]、重症度>3[3人の患者])。非血液毒性(重症度>1[7人の患者]、重症度>2[1人の患者])は、胃腸(吐き気及び嘔吐)及び肝臓(細胞溶解及び胆汁鬱滞)の兆候を含んでいた。全体としては、毒性により、7人の患者において投与量を減らすか、又は処置を一時的に中断した。これらの客観的な毒性に加えて、本発明者らは、ヒ素治療の最終週の間にほとんどの患者が重度の疲労を経験したことに注目した。これは、ヒ素の中断後に急速に改善した。
【0056】
【表3】

【0057】
表2に示されるように、ほとんどの患者は、当初に計画したヒ素処置の期間(30日)を達成することができ、投与量は減ったが依然としてAZT及びIFNによる維持療法を受けている。全体としては、AZTを2人の患者において一時的に中断したか、又は6人の患者において投与量を減らして与えた。同様に、IFNを2人の患者において一時的に中断したか、又は5人の患者において投与量を減らして与えた。最後に、Asを1人の患者において一時的に中断した。
【0058】
応答及び生存:全ての患者が、症候性慢性ATLを最初に示した。最も多い症候は、斑点状丘疹、重度のかゆみ及び皮膚潰瘍形成を伴う皮膚症状であった。As、IFN及びAZTによる処置は、素晴らしい100%の奏功率をもたらした(表4)。30日目において、5人の患者がPRを達し、5人の患者がVGPR(これは、CBCの標準化として定義され、全ての測定可能な腫瘍の消失が少なくとも1ヶ月間持続するが、末梢血塗抹標本上に5%超の異型リンパ球が存続することに関連している)を達成した。印象的なことに、2〜4週間以内に、皮膚病変はほとんど消失した。興味深いことに、最初の及び30日目のDNAが使用可能であった7人の患者において、HTLV−Iプロウイルス量が、平均1415コピー/μL血液から226コピー/μLに顕著に減少した(P<.05;表5)。全ての患者が応答を改善し続けた(表4)。実際、最後の経過観察時の疾患評価は、7人の患者がCRであり、2人の患者がVGPRであり(6%及び8%の異型リンパ球が末梢血塗抹標本上にそれぞれ存在することだけを理由とする)、1人の患者がPRであった(2ヶ月間の短期経過観察の後、患者のリンパ球増加は、185000x109/Lから6400x109/Lに減少した)ことを示していた。8ヶ月間(範囲、2〜15ヶ月間)の中期経過観察の後、全ての患者は依然として生存している;患者は誰も再発又は進行しなかった。
【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
考察:
この前向き第二相試験において、本発明者らは、イラン北東部出身の新たに診断された慢性ATL患者10人におけるAs/IFN/AZT組み合わせの有望な臨床結果を示す。CRを達成した7人の患者、VGPR(末梢血塗抹標本上に5%超の異型リンパ球が存在することを除く臨床的及び生物学的CR)を達成した2人の患者、及びPR(2ヶ月間の短期経過観察の後、リンパ球増加は95%超減少した)を達成した1人を含む、素晴らしい100%の奏功率が認められた。この素晴らしい奏功率は、As/IFN/AZT3個組み合わせにおけるAZT及びIFNの存在によって部分的に説明することができるが、公表された研究(Gill PS, Harrington W Jr, Kaplan MH, et al. Treatment of adult T-cell leukemia-lymphoma with a combination of interferon alfa and zidovudine. N Engl J Med. 1995;332:1744-1748. ; Hermine O, Bouscary D, Gessain A, et al. Brief report: treatment of adult T-cell leukemia-lymphoma with zidovudine and interferon alfa. N Engl J Med. 1995;332:1749-1751. ; Bazarbachi A, Hermine O. Treatment with a combination of zidovudine and alpha-interferon in naive and pretreated adult T-cell leukemia/lymphoma patients. J Acquir Immune Defic Syndr Hum Retrovirol. 1996;13(suppl 1):S186-S190. ; White JD, Wharfe G, Stewart DM, et al. The combination of zidovudine and interferon alpha-2B in the treatment of adult T-cell leukemia/lymphoma. Leuk Lymphoma. 2001;40:287-294. ; Hermine O, Allard I, Levy V, et al. A prospective phase II clinical trial with the use of zidovudine and interferon-alpha in the acute and lymphoma forms of adult T-cell leukemia/lymphoma. Hematol J. 2002;3:276-282. ; Matutes E, Taylor GP, Cavenagh J, et al. Interferon alpha and zidovudine therapy in adult T-cell leukaemia lymphoma: response and outcome in 15 patients. Br J Haematol. 2001;113:779-784.)におけるAZT/IFN単独による奏功率及び特にCR率が、本試験において認められたものに満たないことに注目すべきである。さらに、最も高い奏功率は高投与量のAZT及び高投与量のIFN(600万単位/m2)を使用して以前に報告されたのに対して、本発明者らの患者のほとんどはかなり低い投与量のIFN(500〜300万単位の総投与量)を受けていた。最後に、本発明者らの試験の経過観察は比較的短期(8ヶ月間の中期経過観察)であるが、患者は誰も再発又は進行しなかった。要するに、これらの結果は、AsがAZT/IFNの奏功率を顕著に改善することを強く示唆している。
【0062】
As/IFN/AZTの3個組み合わせは、穏やかで管理可能な副作用なので実行可能であった。血液毒性は、何人かの患者において一時的な処置中断又は投与量減少を余儀なくさせた。非血液毒性は、胃腸不快感から主になっていた。しかしながら、ほとんどの患者においてヒ素治療の最終週の間に重度の疲労が見られたことに注目すべきである。これは、ヒ素の中断後に急速に改善した。従って、より短期間のヒ素(3週間)が認容性の増加に関連している可能性があり、将来の試験において調査すべきである。全体としては、本試験に基づくと、慢性ATLを有する患者において、処置の最初の1カ月の間の3物質の推奨開始投与量は、AZT(900mg/日)、IFN(500万IU/日)及びAs(10mg/日)であろう。AZT(600mg/日に)及びIFN(300万IU/日に)の投与量減少は、重度の毒性の場合に行うべきである。同じ投与量においては、この後にAZT/IFNを維持すべきである。しかしながら、第一相試験は、この非常に効果的な併用レジメンにおいて各薬物に関する最大耐用量を確立することを現在推奨されている。
【0063】
作用機序に関して、本発明者らは、NF−κBの構成的活性化の逆転及びプロテアソームによるTax癌タンパク質の分解を介して、ex vivoで、As及びIFNの組み合わせがHTLV−I感染細胞を選択的に殺すことを以前に示している。As/IFNによるTaxのプロテアソーム媒介性分解は、APLにおけるAsによるPML−RARのプロテアソーム媒介性分解を思い起こさせる。長年の論争の後、Taxマウストランスジェニックが顕著なATLの特徴を伴う疾患を発症させるので、ウイルス転写活性化因子Taxが白血病の過程を開始させる重要な役割を果たしていることが現在では確立されている。最近、本発明者らは、As及びIFNが協同してこれらのTaxトランスジェニックに由来するマウスATLを治癒することを実証した。驚くべきことに、この組み合わせは、即時の増殖停止又はアポトーシスをトリガーせず、むしろ白血病を引き起こす細胞(LIC)を選択的に根絶する。このことは、白血病の大部分よりもむしろLICが、連続的な癌遺伝子発現に依存していることを強く示唆している。従って、AsをAZT/IFNに追加することは、LICの排除を通じて、長期の疾患根絶及び最終的な治癒をもたらす可能性がある。本発明者らの試験の短期経過観察では、全生存に関する決定的な証拠が認められない。As/IFN/AZTの組み合わせによって処置した患者の長期経過観察により、この高い完全寛解率が疾患根絶及び患者の治癒という点で変換するか否かが実証されるであろう。
【0064】
侵攻性ATLにおいて、2人の急性ATL患者からの予備段階の結果は、導入期中にAsをAZT/IFNに追加することが、重度の腫瘍崩壊症候群をもたらす可能性があることを示唆している。従って、その設定の魅力的な戦略は、慢性ATL患者に類似する臨床的症状において、CRを達成するために、腫瘍容積を減少させた後にヒ素を低腫瘍量(low tumor burden)で追加する、AZT/IFNによる導入療法であろう。
【0065】
結論として、As、IFN及びAZTによるATLの処置は実行可能であり、慢性ATLを有する患者において穏やかな毒性を伴う素晴らしい奏功率を示す。経過観察は比較的短期(8ヶ月間)であったが、患者は誰も再発せず、ウイルス複製の消滅(AZT)及びTax分解(As/IFN)が疾患を根絶す可能性があるという期待が高まった。これらの臨床結果は、癌遺伝子ターゲット癌治療の概念を強固にする。
【0066】
実施例2:マウスATLにおける白血病を引き起こす細胞の治療誘導性選択的消失:
実験手順
マウス:本発明者らは、Hasegawa(Hasegawa et al., 2006)のATLマウスモデルを使用した。異なるターゲット治療の効果を試験するために、本発明者らは、Taxトランスジェニックマウスに由来する10脾臓細胞をSCIDマウス(Charles River, USA)に直接的に腹腔内移入することによって、疾患の迅速かつ再現性のあるモデルを確立した。Taxの発現は、Q−PCRによって非常に低いレベルで検出可能なだけであった。全てのマウスプロトコールは、American University of Beirutの施設内動物管理利用委員会(Institutional Animal Care and Utilization Committee)(IACUC)によって承認された。全ての動物を、特別な無菌小屋で飼育した。イソフルレンにより深麻酔した後、頸椎脱臼によって動物を屠殺した。
【0067】
処置:Sigma-Aldrich(St Louis, MO, USA)から三酸化ヒ素を入手し、Hoffman-La Roche(Basel, Switzerland)からリコンビナントヒトインターフェロンα(IFN)(Roferon(登録商標))を入手した。Millenium Pharmaceuticalsから、プロテアソーム阻害剤PS341又はボルテゾミブ(Velcade(登録商標))を購入した。in vivo実験に関して、マウスは、ヒ素(5μg/g/日)の腹腔内投与を、IFN(10IU/日)の皮下投与を、ボルテゾミブ(0.5mg/Kg/日)のミニ浸透圧ポンプ(Alzet, Charles river)による投与を受けた。これらの投与量は、以前の他のマウスモデルにおけるものと同程度であり、患者において見られたもの(Nasr et al., 2008)と類似する血漿濃度をもたらすと予測される。異なる個体や組み合わせ処置レジメンのいずれもが、正常SCIDマウスにおいて有毒ではなかった(3ヶ月間を超える100%生存;各条件に関してn=3)。ex−vivo実験において、Taxトランスジェニックマウスに由来する悪性細胞を、ヒ素(1μM)、IFN(1000IU)又はヒ素/IFNの組み合わせのいずれかによって、in vitroで最大48時間処理した。
【0068】
組織病理学及び臨床検査:処置及び未処置マウスの両方に由来する組織を中性緩衝ホルマリン(Sigma)中で固定し、次いでパラフィン中に包埋し、切片化し、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色し、光学顕微鏡によって検査した。ラット抗マウスモノクローナル抗体Ki−67(クローンTEC−3)を使用して、免疫組織化学によってKi−67発現を評価した。ギムザ染色を使用して、末梢血塗抹標本を準備した。通常の臨床検査技術を使用して、白血球(WBC)数、血清カルシウム及び血清ラクテートデヒドロゲナーゼレベルを測定した。
【0069】
プロテイナーゼK(20μgmL-1)により室温で15分間処理した、脱パラフィン処理した5μm切片上で、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ媒介性ニック末端ラベル(TUNEL)アッセイを実施した。2人の病理学者が、広角視野型接眼レンズ番号26.5を備えるOlympus ProvisAX70 microscope(Olympus Optical)上で、試験した各臓器(肝臓、肺及び脾臓)に関して、3箇所の異なる顕微鏡視野においてTUNEL陽性細胞数を評価した。600倍率において、この広角視野型接眼レンズは、0.244mm2の視野サイズを提供した。同じ方法で有糸分裂を数え、結果は、600倍率の視野当たり平均数のアポトーシス細胞又は有糸分裂として表された。
【0070】
単離した脾細胞の細胞周期分析及びTUNELアッセイ:脾細胞を回収し、ろ過し、冷PBSで2回洗浄し、−20℃の100%エタノール中で固定し、−20℃で一晩保管した。続いて、細胞をPBSですすぎ、1%DNaseフリーRNase Aを含むトリスHCl緩衝液(pH7.4)で処理し、ヨウ化プロピジウム(PI)(60mg/ml最終)で染色した。FACScan flow cytometer(Becton Dickinson)を使用して、異なるDNA容量を含む細胞周期相分布を決定した。各サンプルにおいて、10000個の非ゲートのイベント(ungated events)を得た。CellQuest software(Becton Dickinson)を使用して、細胞周期分布(アポトーシスを含む)の分析を実施した。
【0071】
TUNELアッセイもまた、脾細胞アポトーシスをモニタリングするのに使用した。製造業者(Roche)の提言に従って、アッセイを実施した。フローサイトメトリーを使用して、ヌクレオチドポリマー中に組み込まれたフルオレセイン結合dUTPを検出及び定量化した。サンプル1個当たり約10000個の細胞を得、CellQuest software(Becton Dickinson)を使用して分析した。
【0072】
定量的PCR:脾臓を回収し、LightCycler(Roche Diagnostics)を使用したリアルタイムPCR又はRT−PCRを、LightCycler FastStart DNA Master kit又はLight Cycler RNA Master kitをそれぞれ使用して、絶対Tax DNA容量又は絶対Tax mRNA発現を定量化するのに使用した。本発明者らはまた、Lightcycler4.05ソフトウェアバージョンも使用した。TaxプライマーSK43I(5’−CGGATACCCAGTCTACGTGT−3’)及びSK44I(5’−GAGCCGATAACGCGTCCATCG−3’)ならびにプローブSK4I−FL(5’−CCCTACTGGCCACCTGTCCAGAGC−FL−3’)及びSK4I−LC(5’−LCRed640−TCAGATCACCTGGGACCCCATCPH−3’)を、Tib-MolBiolと協同して設計した。本発明者らはまた、インフォームドコンセント後、急性ATLを有する2人の患者に由来する循環ATL白血病細胞も使用した。電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)に関して、処置又は未処置マウスの脾細胞に由来する核抽出物を、記載されている(El-Sabban et al., 2000)ように準備した。
【0073】
統計分析:Kaplan及びMeierの方法に従って、生存曲線を計算した。全生存を、ATL細胞の注射からあらゆる原因による死亡までの時間として定義する。依然として生存していたマウスは、それらが生存していることが最後に知られていた時点で打ち切った。SPSSソフトウェアバージョン15.0(SPSS)を使用して、分析を実施した。ログランク統計分析によって、p値を得た。
【0074】
結果及び考察:
IFNα/Asのin vivo効果を調査するために、本発明者らは、Taxトランスジェニックマウスに由来する10ATL脾臓細胞をSCIDマウスに接種したATL移植モデルを確立した。もとのトランスジェニックマウスと同じように、レシピエントは、大量の白血球増加、脾腫、高カルシウム血症及び多臓器浸潤を発症し、28日以内に死亡した。最初、本発明者らは、これらのマウスATL細胞がIFNα/As組み合わせに対してex vivoで応答したか否か疑問に思った。IFNα又はヒ素は、20%未満のTaxトランスジェニック細胞においてアポトーシスをトリガーした。それらの組み合わせは、ex vivoで一晩曝露した後に80%を超える細胞を殺したが、正常マウスリンパ球は影響を受けなかった。まさに一次ヒトATLにおいてと同様に、ウエスタンブロット分析によってタンパク質が検出できなかったので、これらのATL細胞においてプロテアソームによるTax分解を実証することができなかった。しかしながら、Tax mRNAレベルは、一次マウス及びヒトATL細胞において非常に類似していたが、Taxタンパク質が容易に検出可能であったHuT−102細胞株における方が1000倍高かった。
【0075】
あらゆる生存利益を調査するために、他のマウスモデルにおいて有効だった投与量を使用して、6〜30日目にIFNα、As又は両方でマウスを処置した。IFNα又はAs単独での投与を受けている動物において顕著な生存利益が見られたが、IFNα/As組み合わせの投与を受けている動物はしばしば、特に2回目の治療過程を施した場合に治癒した。マウスを週5日間処置したプロトコールはいかなる治癒も決してもたらさなかったので、IFNα/As処置を途切れることなくしなければならなかった。ヒトHTLV−I感染ATL細胞及びマウスTax駆動性ATLの両方の、IFNα/Asに対するこのようなex vivoならびにin vivoでの優れた感度は、Tax分解がこの組み合わせに対する反応における本質的な寄与因子であることを強く裏付けている。
【0076】
この治癒作用に関する分子基盤を分析するために、本発明者らは、連合で3日間処置した、確立したマウスATLにおいて細胞増殖及びアポトーシスを検査した。脾臓ATL細胞においてNFκB活性化の完全な逆転が認められ、カルシウム血漿レベルが正常に戻った。予想外のことに、この3日間の処置は循環ATL細胞数を減少させたが、脾臓重量には影響を与えなかった。6日間の処置によって、IFNαだけが顕著な脾臓重量の減少をもたらしたが、As又はIFNα/Asは逆にそれを増加させた。従って、ex vivo処置とは対照的に、一次マウスATLは、in vivoにおいて大規模な細胞増殖停止又はアポトーシスを起こさなかった。興味深いことに、IFNα/Asと一緒にプロテアソーム阻害剤(PS341)の投与をマウスが受けた場合に、WBC数の劇的な増加が認められたが、このことは、プロテアソーム媒介性Tax分解が治療に対する反応に寄与しているという考え方と一致している。
【0077】
次いで、本発明者らは、IFNα/As組み合わせを、接種後6日目に開始して15、20及び24日間投与した。全ての時点で、この処置は脾臓重量に穏やかに影響を与えたが、循環ATL細胞の減少をもたらし、肝実質の類洞内の微小転移(micro−metastases)を減少させた。しかし、病理学検査により、持続性かつ大量の組織浸潤及び増殖マーカーKi67の高発現が実証された。実際、脾臓及び肝臓の白血病浸潤における有糸分裂の頻度は2倍減少したが、処置の2週間後でも、ATL脾臓細胞(spleenic cells)において顕著な細胞周期停止は認められなかった。NFκB遮断は細胞をアポトーシスに対して過敏にすることが予想されたので、本発明者らは、TUNEL陽性浸潤腫瘍細胞に関して脾臓及び肝臓を分析した。21及び26日目においてin vivoラベルのわずかな増加が認められ、26日目においてのみ脾臓ATL細胞のex vivoTUNELラベルが増加した。30日目に屠殺した一次レシピエントの分析により顕著な腫瘍退縮が実証されたが、クリアランスは実証されなかった。しかし、180日目において、治癒した動物は非接種対照と区別できなかった。従って、IFNα/Asは遅発性アポトーシスだけを誘導し、これが、最終的なATL根絶の原因である可能性が高い。
【0078】
免疫不全動物における治療下で進行中のATL細胞増殖と、遅発性アポトーシスと、ATL細胞の最終的な完全消失との間のこのような逆説的な脱共役は明らかに、この組み合わせを従来の抗癌レジメンとは別にする。従って、本発明者らは、IFNα/As組み合わせがATL LICに選択的に影響を与え、二次的には進行性白血病の枯渇をもたらすことができるか否か疑問に思った。IFNα/Asによる処置の3日後、同じような量の脾臓白血病細胞を二次レシピエントに注射した。接種した細胞は、あらゆる証拠又は細胞周期停止又はTUNELラベルを示さなかった。しかし、未処置のものからよりもむしろ3日間処置したマウスからの接種によって、二次レシピエントの生存の劇的な増加が認められ、このことは、IFNα/AsがATL LICを特異的にターゲティングすることを示唆している。未処置対IFNα/ヒ素処置マウスに由来するATL細胞の連続希釈法を使用して、二次移植レシピエントの生存時間に明確な相違が認められたが、このことは、IFNα/Asが白血病細胞接種におけるLIC量を劇的に減少させることを正式に実証している。興味深いことに、IFNα/As処置一次レシピエントに由来するブラストで接種した未処置二次移植体から採取したATL細胞において、遅発性アポトーシスが認められた。さらに、これらのマウスに由来するATL細胞の三次レシピエントにおいて、ATLは発症しなかった。従って、一次マウスにおける3日間のIFNα/As曝露は、他の点では未処置二次及び三次移植体において、遅発性ATL細胞アポトーシス及びその後の疾患枯渇をトリガーする。全く対照的に、一次レシピエントにおけるIFNα/As治療過程中にプロテアソーム活性を阻害した場合、ニ次レシピエントにおいてLIC容量の低下はあまり顕著ではなく、全ての三次マウスはATLで死亡した。
【0079】
これらの結果は、ATLにおけるIFNα/As組み合わせのin vivo効果が、おそらくTaxのタンパク質分解を介したLICの急速な消失を反映することを強く示唆しており、このことは、ヒトATLにおけるAs/IFNα/ジドブジン(zidovuline)治療の成功の裏にある機序を解明する。LICが必ずしも死亡しない程に豊富に存在する場合でも、それらは自己複製を不可逆的に緩め、一次マウスにおいて又は二次移植レシピエントにおいて必然的に消失する。本発明者らの観察は、白血病癌遺伝子の第一の作用の1つが前駆細胞に増殖能又は自己複製能をもたらすことであるという事実と全く一致している。Tax分解に関与する分子経路は今のところ解明されていないが、Taxはユビキチン化もSUMO化もされるので、PML分解に関与するものといくつかの類似点を共有している可能性がある。Tax消失に加えて、AsによるPML分解は、LIC細胞周期開始及び枯渇に寄与している可能性があり、このことが、腫瘤の逆説的な初期増加を説明する。しかしながら、AsはLIC量を減少させたが、疾患を決して取り除かなかった。
【0080】
現在、ATLは不治の病である。その処置に対する本発明者らのアプローチは、HTLV−IがATLの直接的なイニシエーターであるという考え方に依っている。しかし、抗ウイルスジドブジン/IFNα組み合わせは、35〜50%完全奏功(CR)率を誘導し、DNAを損傷させる薬剤と比較して生存を顕著に延長させるが、ほとんどの患者は最終的には再発して死亡する。さらに、治療を中断すると疾患がすぐに再発するので、このレジメンはLICを根絶しない。以前は、IFNα/Asレジメンの効果は、多発性再発IFNα抵抗性患者において評価されており、それにもかかわらず、いくつかの成功を示していた。As/IFNα/ジドブジン組み合わせによるde novo患者における本発明者らの最新試験は、前例のない結果(90%CR、今まで再発なし)をもたらした。本マウスデータは、これらの前向き臨床結果の本発明者らの理解にどのように寄与しているのであろうか?第一に、それらは、IFNα/As連合がTax分解を介して作用する可能性が高いことを示唆しており、それをHTLV−Iターゲット治療として同定している。ここでTaxは複製可能なレトロウイルスによって発現されているというよりむしろLckプロモーターの制御下にあるので、マウスにおいて使用したレジメンはジドブジンを含んでいなかったことに注目すべきである。さらに、ジドブジン/IFNα組み合わせは、IFNα単独よりも良くなかった。スケジュールの問題(週5日間よりも週7日間の方がかなり良い)もまた、現在の週5日間の患者レジメンを調整することにつながる可能性がある。第二に、本発明者らの試験は、LICの選択的クリアランスが癌遺伝子分解によってトリガーされることを確立するが、このことは、これらの細胞が連続的な癌遺伝子発現又は機能に非常に依存していることを示唆している。本発明者らの知る限りでは、これらの結果は、大量LIC消失と腫瘍容積の持続的増殖との間の脱共役を解明する最初のものである。この点において、As/IFNα/ジドブジン処置患者における疾患クリアランスの動態は、細胞毒性薬物による腫瘍減量(tumor debulking)よりも顕著に遅かった。30日目においてAs/IFNα/ジドブジンによる部分奏功だけが認められた場合、完全寛解は翌月にわたって展開したが、このことは、マウスモデルと全く一致している。本発明者らのマウス結果により、As/IFNα/ジドブジンに応答する患者は再発する可能性が低く、ATLの有望な治療の見込みが高まることが予測されるであろう。まとめると、本発明者らの知見は、癌遺伝子分解に基づく新規な癌治療の綿密な構築及びこのような薬物を用いた臨床試験における関連評価項目の定義に対して広範囲にわたる影響を有する。
【0081】
参考文献:
本出願を通じて、様々な参考文献が、本発明が関連する技術水準を記載する。これらの参考文献の開示は、本明細書において参照により本開示に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における使用のための、インターフェロン、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤の組み合わせ。
【請求項2】
前記インターフェロンが、インターフェロンαである、請求項1記載の組み合わせ。
【請求項3】
前記ヒ素化合物が、ヒ素、三酸化ヒ素(As2O3)、メラルソプロール及びヒ素硫黄誘導体からなる群より選択される、請求項1又は2記載の組み合わせ。
【請求項4】
前記リバーストランスクリプターゼ阻害剤が、ジドブジンである、請求項1〜3のいずれかに記載の組み合わせ。
【請求項5】
成人T細胞白血病/リンパ腫の処置を必要とする被験体に、インターフェロン、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤の量を投与する段階を含む、成人T細胞白血病/リンパ腫を処置するための方法。
【請求項6】
前記ヒ素化合物が、1日当たり1〜50mg、好ましくは1日当たり10〜15mgの投与量で投与される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記リバーストランスクリプターゼ阻害剤が、体重1kg当たり及び1日当たり1〜1500mg、好ましくは体重1kg当たり600〜1000mgの投与量で投与される、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
前記インターフェロンが、1日当たり又は2日ごとに100〜2000万国際単位(MIU)、好ましくは1日当たり300〜900万国際単位(MIU)の投与量で投与される、請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
ヒ素化合物が、静脈内経路によって投与され、リバーストランスクリプターゼ阻害剤が、経口経路によって投与され、インターフェロンが、筋肉内又は皮下経路によって投与される、請求項5〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記インターフェロン、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤が、同時使用、単独使用又は逐次使用のための組み合わせ調製物として投与される、請求項5〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
IFN、ヒ素化合物及びリバーストランスクリプターゼ阻害剤ならびに場合により薬学的に許容しうる賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項12】
成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における使用のための、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
本発明はまた、成人T細胞白血病/リンパ腫の処置における同時使用、単独使用又は逐次使用のための組み合わせ調製物として
a)IFN、
b)ヒ素化合物及び
c)リバーストランスクリプターゼ阻害剤、
を含むキットに関する。
【請求項14】
成人T細胞白血病/リンパ腫に罹患している被験体における白血病を引き起こす細胞を根絶するための、IFN及びヒ素化合物の組み合わせ。

【公表番号】特表2013−513655(P2013−513655A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543921(P2012−543921)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/IB2009/056035
【国際公開番号】WO2011/073739
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(591100596)アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル (59)
【Fターム(参考)】