成分分離デバイスと、この成分分離デバイスを用いた化学分析デバイス
【課題】本発明は、振動装置の駆動電圧が小さくても、定在波の強度を増大させ、成分の分離精度を向上させることを目的とする。
【解決手段】この目的を達成する為に本発明は、上面に流路溝7が形成された基板8と、流路溝7の上面開口部を覆うように基板8の上方に設けられた封止部9と、流路溝7の外側壁7aに形成された突起部10とを備え、この突起部10は、流路溝7の深さ方向のたわみ振動を与える振動装置11を有するものとした。
これにより本発明は、突起部10のたわみ振動が、てこの原理により増幅され、突起部10の形成されている流路溝7の外側壁7aで大きな応力を発生させ、その結果、小さな駆動電圧でも流路溝7内の定在波の強度が増し、成分分離精度を向上させることが出来る。
【解決手段】この目的を達成する為に本発明は、上面に流路溝7が形成された基板8と、流路溝7の上面開口部を覆うように基板8の上方に設けられた封止部9と、流路溝7の外側壁7aに形成された突起部10とを備え、この突起部10は、流路溝7の深さ方向のたわみ振動を与える振動装置11を有するものとした。
これにより本発明は、突起部10のたわみ振動が、てこの原理により増幅され、突起部10の形成されている流路溝7の外側壁7aで大きな応力を発生させ、その結果、小さな駆動電圧でも流路溝7内の定在波の強度が増し、成分分離精度を向上させることが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば血液、乳液などを液体成分と固形成分とに分離するための小型成分分離デバイスと、これを用いて検体の化学分析を行う化学分析デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代の分析技術として注目されているマイクロトータルアナリシスシステム(Micro Total Analysis Systems)とは、例えば血液などの液体成分と固形成分の混合物である検体を導入し、成分分離デバイスへ輸送してそれぞれの成分に分離し、これらの成分と試薬とを反応させ、その反応情報を読み取り分析する工程を一体化したものなど、μmスケールの小型化学分析デバイスのことである。
【0003】
図18の断面図に示すように、従来の成分分離デバイス1は、基板2と、この基板2の上方を覆う封止部3と、基板2の側面に形成された振動装置4とを備えている。
【0004】
また基板2は、検体を輸送する流路溝5を有している。
【0005】
そして振動装置4は、圧電体素子で形成され、所定の周波数の音響波を発生させている。そして流路溝5内に立てた音響定在波の節に固形成分を凝集させて種々の成分を分離している。
【0006】
なお、音響波を利用した分離方法の実施例としては非特許文献1および非特許文献2などが知られている。
【非特許文献1】Carl Siversson、Micro Total Analysis Systems 2004、pp330−332、vol2
【非特許文献2】Holden Li、Micro Total Analysis Systems 2004、pp12−14、vol1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の成分分離デバイス1では、振動装置4の駆動電圧を大きくする必要があった。
【0008】
それは、振動装置4からの振動は、基板2全体や封止部3へ拡散して減衰し、流路溝5で発生する定在波が弱くなり、成分の分離精度が低下するためであった。
【0009】
そこで本発明は、振動装置4の駆動電圧が小さくても、定在波の強度を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そしてこの目的を達成するために本発明の成分分離デバイスは、流路溝の外側壁に形成された突起部を備え、この突起部は、流路溝の深さ方向のたわみ振動を与える振動装置を有するものとした。
【発明の効果】
【0011】
これにより本発明の成分分離デバイスは、振動装置の駆動電圧が小さくても、定在波の強度を増大させることが出来る。
【0012】
それは、突起部のたわみ振動は、てこの原理により振動が増幅され、突起部の形成されている流路溝の外側壁で大きな応力を発生させるためである。
【0013】
そしてその結果、小さな駆動電圧でも流路溝内の定在波の強度が増し、成分分離精度を向上させることが出来るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における成分分離デバイス6について説明する。
【0015】
図1に示す本実施の形態の成分分離デバイス6は、上面で開口する流路溝7が形成された基板8と、流路溝7の開口部を覆うように基板8の上方に設けられた封止部9と、流路溝7の外側壁7aに形成された突起部10と、この突起部10上面に形成された振動装置11とを備えている。
【0016】
この基板8と封止部9とは、接着剤で接合されている。
【0017】
本実施形態では、基板8はシリコン、封止部9はガラスを用いた。なお、封止部9としては、ガラスの他プラスチックやシリコンを用いてもよい。
【0018】
また、図2に示すように、本実施形態における振動装置11は、突起部(図1の10)に接する順に、チタンおよび白金で形成した第一電極12、チタン酸ジルコン酸鉛で形成した圧電体13、チタンおよび金で形成した第二電極14の積層構造で構成されており、突起部10を流路溝7の深さ方向にたわみ振動させるものである。なお、これらの材料を用いた振動装置は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する効率が高く、駆動電圧が小さくても大きな変位を実現することができる。
【0019】
また、図3の成分分離デバイス6の断面図に示すように、流路溝7は液体成分15および固形成分16の混合物を収容あるいは流すことができるよう、所定の幅と深さを有している。この流路溝7の幅は流路溝7内に所望の定在波(図4の17)を形成できるように設計する。
【0020】
この流路溝7の設計方法について、図4の流路溝7の摸式断面図を用いて以下に説明する。
【0021】
たとえば、流路溝7の幅をWとし、流路溝7に導入する液体成分15および固形成分16の混合物のうち、前記液体成分15における音速をvとすると
f=(n/2)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数fの音響波が流路溝7に照射されると、流路溝7内に定在波17が発生するのである。
【0022】
また、図3に示すように、本実施形態では、突起部10の形状を、周波数fで一次の共振周波数となるように設定した。
【0023】
また、基板8と突起部10とを、同一の基板で形成している。これにより、突起部10のたわみ振動によって基板8と突起部10との接続部分に負荷がかかっても強度を強く保つことができる。なお図3の矢印19aはたわみ振動を示している。
【0024】
次に、本実施形態における成分分離デバイス6の動作方法を説明する。
【0025】
まず、図3に示すように、液体成分15と固形成分16の混合物を流路溝7に導入する。そして、振動装置11に周波数fの振動を与える駆動電圧を印加すると、この駆動電圧に応じて、突起部10は図3の点線形状に変化するようにたわみ振動を起こす。ここで、突起部10は基板8に比べて幅が細い形状であるため、容易に形状変化を起こし振動する。また、流路溝7の外側壁7aと突起部10とは連結されているので、突起部10のたわみ振動により生じた振動は、音響波として流路溝7の外側壁7aに伝播する。なお、図3の矢印19bはこの音響波振動を示している。また本実施形態では突起部10と外側壁7aとが同一基板で形成されているため、音響波の伝播抵抗が小さく、効率よく伝播することができる。そしてこの音響波は、図4に示すように、流路溝7内に定在波17を発生させる。この定在波17により、固形成分16は定在波17の節18に向かう方向へ力を受け、節18に固形成分16を凝集させることができる。
【0026】
そして図5の流路溝7の上面図に示すように、流路溝7内部において混合物を液体成分15と固形成分16とに分離させ、液体成分15を主成分とする流れ20aと、固形成分16の濃度の高い流れ20bとを流路溝7の分岐などで分けると、液体成分15と固形成分16をそれぞれ抽出することができる。
【0027】
また、突起部10は周波数fで1次の共振周波数となるように形状を設定されているので、共振周波数となるように形状を設定していない場合に比べ、効率よく変位の大きいたわみ振動を起こすことができる。したがって、より強度の強い定在波17を発生させることができ、小型の成分分離デバイス6を実現することができる。
【0028】
本実施形態における効果を以下に説明する。
【0029】
本実施形態の成分分離デバイス6は、振動装置11の駆動電圧が小さくても、定在波の強度を増大させることが出来る。
【0030】
すなわち、図18に示すように、従来の成分分離デバイス1は基板2の側面に直接振動装置4が貼り付けられていたのに対し、本実施形態では、図3に示すように、流路溝7の外側壁7aに突起部10を備え、この突起部10に振動装置11を設けている。
【0031】
したがって本実施形態では、突起部10のたわみ振動が、音響波として突起部10の形成されている流路溝7の外側壁7aへと集中して伝搬する。この時、てこの原理により振動は増幅され、てこの支点兼作用点である流路溝7外側壁7aに、大きな応力を発生させることができる。
【0032】
そしてその結果、駆動電圧が小さい場合やその他振動装置11が小さい場合でも流路溝7内の定在波の強度が増し、成分分離精度を向上させることが出来るのである。なお、振動は基板8全体や封止部9へと伝搬し、ある程度は減衰してしまうが、本実施形態により定在波の強度を増大しておくことで分離精度の低下を抑制することができる。
【0033】
また突起部10の幅、配置位置を変えることによって、流路溝7の所望の位置に定在波(図4の17)を発生させることが出来、成分分離精度の向上に寄与する。
【0034】
また、本実施形態の振動装置11は、密着力に優れた積層構造のため、連続する変位に対しても耐久性を高く保つことができる。また、本実施形態の振動装置11は、前述の材料を用いることにより、突起部10上にスパッタリング後ドライエッチング加工するなど高精度なパターン成形が可能で、流路溝7の定在波17を発生させたい部分に対して、高精度な位置に振動装置11を形成することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、振動装置11を突起部10の上面に形成したが、図6のように下面に形成してもよい。下面に形成する場合は、振動装置11の配線が流路溝7や封止部9と干渉することなく自由に行うことができる。
【0036】
(実施の形態2)
本実施の形態2と実施の形態1との違いは、図7に示すように、突起部10の上面に同一形状の2つの振動装置11a、11bが形成されており、また図8に示すように、突起部10の形状が周波数fで2次の共振周波数となるように設計されている点である。
【0037】
これにより本実施形態では、流路溝7で発生させる定在波17の強度を増大させることができ、成分分離デバイス6の分離精度を向上させることが出来る。
【0038】
すなわち、周波数fが非常に高周波である場合、突起部10のたわみ振動の1次共振を利用しようとすると、小さな振動装置11を一つしか配置できず、弱い定在波しか発生させることができない場合がある。また、大きな振動装置を一つ配置して高次共振を利用しようとすると、圧電体が変形しくにいため、効率よく共振を起こすことができない。
【0039】
しかし本実施形態では、突起部10に複数の振動装置11を配置したことによって、突起部10に効率よく高次の共振を起こすことが出来、十分な強度の定在波17を発生させることができるのである。
【0040】
例えば、本実施の形態では、図8に示すように、周波数fの位相が180度異なる駆動電圧を、振動装置11aと11bとに印加すると、2次の共振であるたわみ振動19aを効率的に発生させることができる。そのため、周波数fが非常に高周波であっても、実施の形態1に示したように液体成分15と固形成分16の混合物を液体成分15と固形成分16に効率的に分離、抽出することができる。また、振動装置11の設置数を変えることで、定在波17の強度を広範囲で調整することができる。
【0041】
(実施の形態3)
本実施の形態3と実施の形態1との違いは、図9に示すように、流路溝7の片側の外側壁7aに同一形状の複数個の突起部10a〜10cを形成し、それぞれの上面に振動装置11a〜11cを配置した点である。
【0042】
これにより、広い範囲で定在波17を発生させることができ、定在波音圧から受ける力が小さく、凝集の困難な小さい固形成分16であっても十分に凝集させることができる。
【0043】
さらに、流路溝7と平行な辺を長くした突起部10と比較して、副次振動を抑制することができ、より効率的な成分分離が可能となる。
【0044】
なお、本実施形態では、流路溝7の片側の外側壁7aに突起部10を形成したが、図10に示すように、流路溝7の両側の外側壁7a、7bに突起部10を形成してもよい。この場合、流路溝7の両側から音響波を伝播することができるので、より強度の強い定在波17を発生させることができる。
【0045】
(実施の形態4)
本実施の形態4と実施の形態1との違いは、図11に示すように、流路溝7の外側壁7aに、形状の異なる二つの突起部10d、10eを設けた点である。
【0046】
本実施形態では、第1の突起部10dの形状は、流路溝7の幅をWとし、この流路溝7に導入する液体成分(図12の15)および固形成分(図12の16a、16b)の混合物のうち、液体成分15における音速をvとすると
f1=n×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f1が、たわみ振動の共振周波数となるように設定されている。
【0047】
また第2の突起部10eの形状は、
f2=(1/2)×v/W もしくは
f2=(1/2+n)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f2が、たわみ振動の共振周波数となるように設定されている。そしてこのような突起部10d、10eの上面に振動装置11d、11eが形成されている。
【0048】
上記構成では、図12に示すように節18の数が異なる定在波が発生し、性質の異なる固形成分16を分離することができる。
【0049】
以下に、本実施形態における成分分離デバイス6を用いた分離方法について説明する。
【0050】
まず、図12の流路溝7の上面図に示すように、液体成分15と小さい固形成分16aと大きい固形成分16bの混合物を流路溝7に導入する。
【0051】
そして、振動装置11dに、例えば
f3=v/W
を満たす周波数f3の駆動電圧を印加すると、振動装置11dに対向する流路溝7の領域には、2つの定在波17の節18が発生する。この場合、駆動電圧を上げることによって、小さい固形成分16aおよび大きい固形成分16bのいずれも十分に凝集することができる。
【0052】
一方で、振動装置11eには、例えば
f4=(1/2)×v/W
を満たす周波数f4の駆動電圧を印加すると、振動装置11eに対向する流路溝7の領域に1つの定在波17の節18が発生する。このとき、駆動電圧を下げていくと、大きい固形成分16bを優先して凝集させることができる。
【0053】
なお、固形成分16a、16bを球形の微粒子とすると、定在波17から受ける力の大きさは粒子径の3乗、つまり体積に比例することが知られている。そのため、定在波17の発生する領域、強度を制御することで、固形成分16a、16bの大きさの違いにより定在波17の節18への凝集密度を変えることが可能である。
【0054】
このようにして本実施形態では、小さな固形成分16aの濃度の高い流れ20aと、大きな固形成分16bの濃度の高い流れ20bに分離することができる。さらに図13に示すように、これらの流れ20a、20bを流路溝7の分岐などにより分けることで、小さい固形成分16aと大きい固形成分16bとを抽出することができる。
【0055】
なお、図14に示すように、突起部10a、10bは流路溝7の両側の外側壁7a、7bに形成してもよい。このような構成では、突起部10aと突起部10bとを同時に駆動させた場合でも、振動源がそれぞれ対向する外壁に形成されているため、互いの周波数が干渉するのを低減することができ、高精度に定在波17を発生させることができる。
【0056】
(実施の形態5)
図15に示すように、本実施形態と実施の形態2との違いは、流路溝7が複数形成されており、対面する流路溝7の外側壁7aに形成されたそれぞれの突起部10は、互いに隣接するように形成されている点である。
【0057】
本実施形態では、突起部10に振動装置11を配置しているため、振動装置11が隣接する場合も、振動装置11は空間を隔てて隣接しており、互いの音響波の干渉を抑制することができる。また、複数の振動装置11を近接して配置することができるため、デバイス内のスペースを有効に活用することができる。
【0058】
なお、本実施形態は、流路溝7が複数形成されている場合だけでなく、流路溝7が折り曲がり構造をしている場合や、分岐構造をしている場合にも、流路溝7が対面することがあるため、応用が可能である。これらの場合も、上記と同様に隣接する流路溝7の側壁に配置されたそれぞれの突起部10を互いに隣接させることができ、省スペースで音響波の干渉を抑制することができる。
【0059】
(実施の形態6)
図16に示すように、本実施形態と実施の形態1との違いは、突起部10の厚みを基板8よりも小さくなるように形成したものであり、流路溝7の深さとほぼ同一になるように形成した点である。
【0060】
これにより、たわみ振動の変位が大きくなり、流路溝7で発生させる定在波17の強度を大きくすることが出来る。
【0061】
また、流路溝7の深さと突起部10の厚みとを略同一にしたことにより、振動を流路溝7へ集中して伝搬することができ、流路溝7で発生させる定在波の強度をさらに大きくすることが出来る。
【0062】
(実施の形態7)
図17は本実施形態の血液検査用の化学分析デバイス21であり、前述の実施の形態1で示した成分分離デバイス6を搭載している。
【0063】
この化学分析デバイス21は、検体導入口22と、この検体導入口22に接続された輸送部23(ポンプ)と、この輸送部23と接続された成分分離デバイス6と、この成分分離デバイス6に接続された反応部24と、この反応部24に接続された分析部25とを備えている。
【0064】
採血した血液を検体導入口22から注入すると、血液は輸送部23を経て前述の成分分離デバイス6へと運ばれ、流路溝(図1の7)を通って各血液成分が分離される。そしてそれぞれの成分が各反応部24に到達すると、この反応部24に試薬が注入され、化学反応が開始される。そしてこの化学反応の情報が分析部25で読み取られるものである。
【0065】
本実施形態の化学分析デバイス21は、20〜30mm四方のシリコン基板26をベースに形成したものである。
【0066】
この化学分析デバイス21は、成分分離デバイス6の突起部10の周辺に空孔27が形成されている。したがって、突起部10上に配置した振動装置(図示せず)の振動が周囲に拡散するのを抑制することができ、流路溝7内部に発生させる定在波の強度を向上させることが出来る。
【0067】
また、突起部10周辺に空孔27が形成されることによってデバイスの軽量化に寄与する。
【0068】
なお、本実施形態の化学分析デバイス21に搭載する成分分離デバイス6としては、実施の形態2から6に記載したものを用いても同様の効果を有する。更に、実施の形態6の成分分離デバイス6を搭載した場合は、突起部10の上下に空孔27が形成されるため、デバイス全体の軽量化と音響波の減衰の低減に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、たとえば、血液、乳液などに代表される、液体成分と固形成分が混合された溶液の成分を、それぞれの成分に分離することができるという効果を有し、成分分離器、成分分析機などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図2】本発明の振動装置の断面摸式図
【図3】本発明の成分分離デバイスの動作を示す摸式断面図
【図4】本発明の流路溝の摸式断面図
【図5】本発明の流路溝の摸式上面図
【図6】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図7】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図8】本発明の成分分離デバイスの動作を示す摸式断面図
【図9】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図10】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図11】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図12】本発明の成分分離デバイスの摸式上面図
【図13】本発明の成分分離デバイスの摸式上面図
【図14】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図15】本発明の基板および突起部の斜視図
【図16】本発明の成分分離デバイスの動作を示す摸式断面図
【図17】本発明の化学分析デバイスの斜視図
【図18】従来の成分分離デバイスの断面図
【符号の説明】
【0071】
6 成分分離デバイス
7 流路溝
7a、7b 外側壁
8 基板
9 封止部
10 突起部
10a〜10e 突起部
11 振動装置
11a〜11e 振動装置
12 第一電極
13 圧電体
14 第二電極
15 液体成分
16 固形成分
16a、16b 固形成分
17 定在波
18 節
19a たわみ振動を示す矢印
19b 音響波振動を示す矢印
20a、20b 流れ
21 化学分析デバイス
22 検体導入口
23 輸送部
24 反応部
25 分析部
26 シリコン基板
27 空孔
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば血液、乳液などを液体成分と固形成分とに分離するための小型成分分離デバイスと、これを用いて検体の化学分析を行う化学分析デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代の分析技術として注目されているマイクロトータルアナリシスシステム(Micro Total Analysis Systems)とは、例えば血液などの液体成分と固形成分の混合物である検体を導入し、成分分離デバイスへ輸送してそれぞれの成分に分離し、これらの成分と試薬とを反応させ、その反応情報を読み取り分析する工程を一体化したものなど、μmスケールの小型化学分析デバイスのことである。
【0003】
図18の断面図に示すように、従来の成分分離デバイス1は、基板2と、この基板2の上方を覆う封止部3と、基板2の側面に形成された振動装置4とを備えている。
【0004】
また基板2は、検体を輸送する流路溝5を有している。
【0005】
そして振動装置4は、圧電体素子で形成され、所定の周波数の音響波を発生させている。そして流路溝5内に立てた音響定在波の節に固形成分を凝集させて種々の成分を分離している。
【0006】
なお、音響波を利用した分離方法の実施例としては非特許文献1および非特許文献2などが知られている。
【非特許文献1】Carl Siversson、Micro Total Analysis Systems 2004、pp330−332、vol2
【非特許文献2】Holden Li、Micro Total Analysis Systems 2004、pp12−14、vol1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の成分分離デバイス1では、振動装置4の駆動電圧を大きくする必要があった。
【0008】
それは、振動装置4からの振動は、基板2全体や封止部3へ拡散して減衰し、流路溝5で発生する定在波が弱くなり、成分の分離精度が低下するためであった。
【0009】
そこで本発明は、振動装置4の駆動電圧が小さくても、定在波の強度を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そしてこの目的を達成するために本発明の成分分離デバイスは、流路溝の外側壁に形成された突起部を備え、この突起部は、流路溝の深さ方向のたわみ振動を与える振動装置を有するものとした。
【発明の効果】
【0011】
これにより本発明の成分分離デバイスは、振動装置の駆動電圧が小さくても、定在波の強度を増大させることが出来る。
【0012】
それは、突起部のたわみ振動は、てこの原理により振動が増幅され、突起部の形成されている流路溝の外側壁で大きな応力を発生させるためである。
【0013】
そしてその結果、小さな駆動電圧でも流路溝内の定在波の強度が増し、成分分離精度を向上させることが出来るのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における成分分離デバイス6について説明する。
【0015】
図1に示す本実施の形態の成分分離デバイス6は、上面で開口する流路溝7が形成された基板8と、流路溝7の開口部を覆うように基板8の上方に設けられた封止部9と、流路溝7の外側壁7aに形成された突起部10と、この突起部10上面に形成された振動装置11とを備えている。
【0016】
この基板8と封止部9とは、接着剤で接合されている。
【0017】
本実施形態では、基板8はシリコン、封止部9はガラスを用いた。なお、封止部9としては、ガラスの他プラスチックやシリコンを用いてもよい。
【0018】
また、図2に示すように、本実施形態における振動装置11は、突起部(図1の10)に接する順に、チタンおよび白金で形成した第一電極12、チタン酸ジルコン酸鉛で形成した圧電体13、チタンおよび金で形成した第二電極14の積層構造で構成されており、突起部10を流路溝7の深さ方向にたわみ振動させるものである。なお、これらの材料を用いた振動装置は、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する効率が高く、駆動電圧が小さくても大きな変位を実現することができる。
【0019】
また、図3の成分分離デバイス6の断面図に示すように、流路溝7は液体成分15および固形成分16の混合物を収容あるいは流すことができるよう、所定の幅と深さを有している。この流路溝7の幅は流路溝7内に所望の定在波(図4の17)を形成できるように設計する。
【0020】
この流路溝7の設計方法について、図4の流路溝7の摸式断面図を用いて以下に説明する。
【0021】
たとえば、流路溝7の幅をWとし、流路溝7に導入する液体成分15および固形成分16の混合物のうち、前記液体成分15における音速をvとすると
f=(n/2)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数fの音響波が流路溝7に照射されると、流路溝7内に定在波17が発生するのである。
【0022】
また、図3に示すように、本実施形態では、突起部10の形状を、周波数fで一次の共振周波数となるように設定した。
【0023】
また、基板8と突起部10とを、同一の基板で形成している。これにより、突起部10のたわみ振動によって基板8と突起部10との接続部分に負荷がかかっても強度を強く保つことができる。なお図3の矢印19aはたわみ振動を示している。
【0024】
次に、本実施形態における成分分離デバイス6の動作方法を説明する。
【0025】
まず、図3に示すように、液体成分15と固形成分16の混合物を流路溝7に導入する。そして、振動装置11に周波数fの振動を与える駆動電圧を印加すると、この駆動電圧に応じて、突起部10は図3の点線形状に変化するようにたわみ振動を起こす。ここで、突起部10は基板8に比べて幅が細い形状であるため、容易に形状変化を起こし振動する。また、流路溝7の外側壁7aと突起部10とは連結されているので、突起部10のたわみ振動により生じた振動は、音響波として流路溝7の外側壁7aに伝播する。なお、図3の矢印19bはこの音響波振動を示している。また本実施形態では突起部10と外側壁7aとが同一基板で形成されているため、音響波の伝播抵抗が小さく、効率よく伝播することができる。そしてこの音響波は、図4に示すように、流路溝7内に定在波17を発生させる。この定在波17により、固形成分16は定在波17の節18に向かう方向へ力を受け、節18に固形成分16を凝集させることができる。
【0026】
そして図5の流路溝7の上面図に示すように、流路溝7内部において混合物を液体成分15と固形成分16とに分離させ、液体成分15を主成分とする流れ20aと、固形成分16の濃度の高い流れ20bとを流路溝7の分岐などで分けると、液体成分15と固形成分16をそれぞれ抽出することができる。
【0027】
また、突起部10は周波数fで1次の共振周波数となるように形状を設定されているので、共振周波数となるように形状を設定していない場合に比べ、効率よく変位の大きいたわみ振動を起こすことができる。したがって、より強度の強い定在波17を発生させることができ、小型の成分分離デバイス6を実現することができる。
【0028】
本実施形態における効果を以下に説明する。
【0029】
本実施形態の成分分離デバイス6は、振動装置11の駆動電圧が小さくても、定在波の強度を増大させることが出来る。
【0030】
すなわち、図18に示すように、従来の成分分離デバイス1は基板2の側面に直接振動装置4が貼り付けられていたのに対し、本実施形態では、図3に示すように、流路溝7の外側壁7aに突起部10を備え、この突起部10に振動装置11を設けている。
【0031】
したがって本実施形態では、突起部10のたわみ振動が、音響波として突起部10の形成されている流路溝7の外側壁7aへと集中して伝搬する。この時、てこの原理により振動は増幅され、てこの支点兼作用点である流路溝7外側壁7aに、大きな応力を発生させることができる。
【0032】
そしてその結果、駆動電圧が小さい場合やその他振動装置11が小さい場合でも流路溝7内の定在波の強度が増し、成分分離精度を向上させることが出来るのである。なお、振動は基板8全体や封止部9へと伝搬し、ある程度は減衰してしまうが、本実施形態により定在波の強度を増大しておくことで分離精度の低下を抑制することができる。
【0033】
また突起部10の幅、配置位置を変えることによって、流路溝7の所望の位置に定在波(図4の17)を発生させることが出来、成分分離精度の向上に寄与する。
【0034】
また、本実施形態の振動装置11は、密着力に優れた積層構造のため、連続する変位に対しても耐久性を高く保つことができる。また、本実施形態の振動装置11は、前述の材料を用いることにより、突起部10上にスパッタリング後ドライエッチング加工するなど高精度なパターン成形が可能で、流路溝7の定在波17を発生させたい部分に対して、高精度な位置に振動装置11を形成することができる。
【0035】
なお、本実施の形態では、振動装置11を突起部10の上面に形成したが、図6のように下面に形成してもよい。下面に形成する場合は、振動装置11の配線が流路溝7や封止部9と干渉することなく自由に行うことができる。
【0036】
(実施の形態2)
本実施の形態2と実施の形態1との違いは、図7に示すように、突起部10の上面に同一形状の2つの振動装置11a、11bが形成されており、また図8に示すように、突起部10の形状が周波数fで2次の共振周波数となるように設計されている点である。
【0037】
これにより本実施形態では、流路溝7で発生させる定在波17の強度を増大させることができ、成分分離デバイス6の分離精度を向上させることが出来る。
【0038】
すなわち、周波数fが非常に高周波である場合、突起部10のたわみ振動の1次共振を利用しようとすると、小さな振動装置11を一つしか配置できず、弱い定在波しか発生させることができない場合がある。また、大きな振動装置を一つ配置して高次共振を利用しようとすると、圧電体が変形しくにいため、効率よく共振を起こすことができない。
【0039】
しかし本実施形態では、突起部10に複数の振動装置11を配置したことによって、突起部10に効率よく高次の共振を起こすことが出来、十分な強度の定在波17を発生させることができるのである。
【0040】
例えば、本実施の形態では、図8に示すように、周波数fの位相が180度異なる駆動電圧を、振動装置11aと11bとに印加すると、2次の共振であるたわみ振動19aを効率的に発生させることができる。そのため、周波数fが非常に高周波であっても、実施の形態1に示したように液体成分15と固形成分16の混合物を液体成分15と固形成分16に効率的に分離、抽出することができる。また、振動装置11の設置数を変えることで、定在波17の強度を広範囲で調整することができる。
【0041】
(実施の形態3)
本実施の形態3と実施の形態1との違いは、図9に示すように、流路溝7の片側の外側壁7aに同一形状の複数個の突起部10a〜10cを形成し、それぞれの上面に振動装置11a〜11cを配置した点である。
【0042】
これにより、広い範囲で定在波17を発生させることができ、定在波音圧から受ける力が小さく、凝集の困難な小さい固形成分16であっても十分に凝集させることができる。
【0043】
さらに、流路溝7と平行な辺を長くした突起部10と比較して、副次振動を抑制することができ、より効率的な成分分離が可能となる。
【0044】
なお、本実施形態では、流路溝7の片側の外側壁7aに突起部10を形成したが、図10に示すように、流路溝7の両側の外側壁7a、7bに突起部10を形成してもよい。この場合、流路溝7の両側から音響波を伝播することができるので、より強度の強い定在波17を発生させることができる。
【0045】
(実施の形態4)
本実施の形態4と実施の形態1との違いは、図11に示すように、流路溝7の外側壁7aに、形状の異なる二つの突起部10d、10eを設けた点である。
【0046】
本実施形態では、第1の突起部10dの形状は、流路溝7の幅をWとし、この流路溝7に導入する液体成分(図12の15)および固形成分(図12の16a、16b)の混合物のうち、液体成分15における音速をvとすると
f1=n×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f1が、たわみ振動の共振周波数となるように設定されている。
【0047】
また第2の突起部10eの形状は、
f2=(1/2)×v/W もしくは
f2=(1/2+n)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f2が、たわみ振動の共振周波数となるように設定されている。そしてこのような突起部10d、10eの上面に振動装置11d、11eが形成されている。
【0048】
上記構成では、図12に示すように節18の数が異なる定在波が発生し、性質の異なる固形成分16を分離することができる。
【0049】
以下に、本実施形態における成分分離デバイス6を用いた分離方法について説明する。
【0050】
まず、図12の流路溝7の上面図に示すように、液体成分15と小さい固形成分16aと大きい固形成分16bの混合物を流路溝7に導入する。
【0051】
そして、振動装置11dに、例えば
f3=v/W
を満たす周波数f3の駆動電圧を印加すると、振動装置11dに対向する流路溝7の領域には、2つの定在波17の節18が発生する。この場合、駆動電圧を上げることによって、小さい固形成分16aおよび大きい固形成分16bのいずれも十分に凝集することができる。
【0052】
一方で、振動装置11eには、例えば
f4=(1/2)×v/W
を満たす周波数f4の駆動電圧を印加すると、振動装置11eに対向する流路溝7の領域に1つの定在波17の節18が発生する。このとき、駆動電圧を下げていくと、大きい固形成分16bを優先して凝集させることができる。
【0053】
なお、固形成分16a、16bを球形の微粒子とすると、定在波17から受ける力の大きさは粒子径の3乗、つまり体積に比例することが知られている。そのため、定在波17の発生する領域、強度を制御することで、固形成分16a、16bの大きさの違いにより定在波17の節18への凝集密度を変えることが可能である。
【0054】
このようにして本実施形態では、小さな固形成分16aの濃度の高い流れ20aと、大きな固形成分16bの濃度の高い流れ20bに分離することができる。さらに図13に示すように、これらの流れ20a、20bを流路溝7の分岐などにより分けることで、小さい固形成分16aと大きい固形成分16bとを抽出することができる。
【0055】
なお、図14に示すように、突起部10a、10bは流路溝7の両側の外側壁7a、7bに形成してもよい。このような構成では、突起部10aと突起部10bとを同時に駆動させた場合でも、振動源がそれぞれ対向する外壁に形成されているため、互いの周波数が干渉するのを低減することができ、高精度に定在波17を発生させることができる。
【0056】
(実施の形態5)
図15に示すように、本実施形態と実施の形態2との違いは、流路溝7が複数形成されており、対面する流路溝7の外側壁7aに形成されたそれぞれの突起部10は、互いに隣接するように形成されている点である。
【0057】
本実施形態では、突起部10に振動装置11を配置しているため、振動装置11が隣接する場合も、振動装置11は空間を隔てて隣接しており、互いの音響波の干渉を抑制することができる。また、複数の振動装置11を近接して配置することができるため、デバイス内のスペースを有効に活用することができる。
【0058】
なお、本実施形態は、流路溝7が複数形成されている場合だけでなく、流路溝7が折り曲がり構造をしている場合や、分岐構造をしている場合にも、流路溝7が対面することがあるため、応用が可能である。これらの場合も、上記と同様に隣接する流路溝7の側壁に配置されたそれぞれの突起部10を互いに隣接させることができ、省スペースで音響波の干渉を抑制することができる。
【0059】
(実施の形態6)
図16に示すように、本実施形態と実施の形態1との違いは、突起部10の厚みを基板8よりも小さくなるように形成したものであり、流路溝7の深さとほぼ同一になるように形成した点である。
【0060】
これにより、たわみ振動の変位が大きくなり、流路溝7で発生させる定在波17の強度を大きくすることが出来る。
【0061】
また、流路溝7の深さと突起部10の厚みとを略同一にしたことにより、振動を流路溝7へ集中して伝搬することができ、流路溝7で発生させる定在波の強度をさらに大きくすることが出来る。
【0062】
(実施の形態7)
図17は本実施形態の血液検査用の化学分析デバイス21であり、前述の実施の形態1で示した成分分離デバイス6を搭載している。
【0063】
この化学分析デバイス21は、検体導入口22と、この検体導入口22に接続された輸送部23(ポンプ)と、この輸送部23と接続された成分分離デバイス6と、この成分分離デバイス6に接続された反応部24と、この反応部24に接続された分析部25とを備えている。
【0064】
採血した血液を検体導入口22から注入すると、血液は輸送部23を経て前述の成分分離デバイス6へと運ばれ、流路溝(図1の7)を通って各血液成分が分離される。そしてそれぞれの成分が各反応部24に到達すると、この反応部24に試薬が注入され、化学反応が開始される。そしてこの化学反応の情報が分析部25で読み取られるものである。
【0065】
本実施形態の化学分析デバイス21は、20〜30mm四方のシリコン基板26をベースに形成したものである。
【0066】
この化学分析デバイス21は、成分分離デバイス6の突起部10の周辺に空孔27が形成されている。したがって、突起部10上に配置した振動装置(図示せず)の振動が周囲に拡散するのを抑制することができ、流路溝7内部に発生させる定在波の強度を向上させることが出来る。
【0067】
また、突起部10周辺に空孔27が形成されることによってデバイスの軽量化に寄与する。
【0068】
なお、本実施形態の化学分析デバイス21に搭載する成分分離デバイス6としては、実施の形態2から6に記載したものを用いても同様の効果を有する。更に、実施の形態6の成分分離デバイス6を搭載した場合は、突起部10の上下に空孔27が形成されるため、デバイス全体の軽量化と音響波の減衰の低減に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、たとえば、血液、乳液などに代表される、液体成分と固形成分が混合された溶液の成分を、それぞれの成分に分離することができるという効果を有し、成分分離器、成分分析機などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図2】本発明の振動装置の断面摸式図
【図3】本発明の成分分離デバイスの動作を示す摸式断面図
【図4】本発明の流路溝の摸式断面図
【図5】本発明の流路溝の摸式上面図
【図6】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図7】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図8】本発明の成分分離デバイスの動作を示す摸式断面図
【図9】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図10】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図11】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図12】本発明の成分分離デバイスの摸式上面図
【図13】本発明の成分分離デバイスの摸式上面図
【図14】本発明の成分分離デバイスの分解斜視図
【図15】本発明の基板および突起部の斜視図
【図16】本発明の成分分離デバイスの動作を示す摸式断面図
【図17】本発明の化学分析デバイスの斜視図
【図18】従来の成分分離デバイスの断面図
【符号の説明】
【0071】
6 成分分離デバイス
7 流路溝
7a、7b 外側壁
8 基板
9 封止部
10 突起部
10a〜10e 突起部
11 振動装置
11a〜11e 振動装置
12 第一電極
13 圧電体
14 第二電極
15 液体成分
16 固形成分
16a、16b 固形成分
17 定在波
18 節
19a たわみ振動を示す矢印
19b 音響波振動を示す矢印
20a、20b 流れ
21 化学分析デバイス
22 検体導入口
23 輸送部
24 反応部
25 分析部
26 シリコン基板
27 空孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に流路溝が形成された基板と、
前記流路溝の上面開口部を覆うように前記基板の上方に設けられた封止部と、
前記流路溝の外側壁に形成された突起部とを備え、
この突起部は、前記流路溝の深さ方向のたわみ振動を与える振動装置を有する成分分離デバイス。
【請求項2】
前記突起部の共振周波数は、
前記流路溝の幅をWとし、
この流路溝に導入する液体成分および固形成分の混合物のうち、前記液体成分における音速をvとすると、
f=(n/2)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数fである請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項3】
前記突起部は、前記基板と同一基板で形成されている請求項1または2に記載の成分分離デバイス。
【請求項4】
前記振動装置は、
第1の電極と、
この第1の電極上に設けられた圧電体と、
この圧電体上に設けられた第2の電極とからなる請求項1から3のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項5】
前記振動装置は、前記突起部上に複数個形成されている請求項1から4のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項6】
前記突起部は複数個形成されており、
これらの突起部は、
前記流路溝の一方の外側壁に形成されている請求項1から5のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項7】
前記突起部は複数個形成されており、
これらの突起部は、
前記流路溝の両側の外側壁に形成されている請求項1から5のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項8】
前記突起部は複数個形成されており、
前記流路溝の幅をWとし、
前記流路溝に導入する液体成分および固形成分の混合物のうち、前記液体成分における音速をvとすると、
f1=n×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f1が共振周波数である第1の突起部と、
f2=(1/2)×v/W もしくは (1/2+n)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f2が共振周波数である第2の突起部とを有する請求項1から7のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項9】
前記流路溝が複数形成されている場合、またはこの流路溝が枝分かれしている場合、
対面する流路溝の側壁に形成されたそれぞれの突起部は、
隣接するように形成された請求項1から8のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項10】
前記突起部の厚みは、
音響波伝搬板よりも薄いものとした請求項1から9のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項11】
検体導入口と、
この検体導入口に接続された輸送部と、
この輸送部と接続された請求項1から10に記載の成分分離デバイスのいずれか一つと、
この成分分離デバイスに接続された反応部と、
この反応部に接続された分析部とを備え、
前記突起部の周辺には空孔を有する化学分析デバイス。
【請求項1】
上面に流路溝が形成された基板と、
前記流路溝の上面開口部を覆うように前記基板の上方に設けられた封止部と、
前記流路溝の外側壁に形成された突起部とを備え、
この突起部は、前記流路溝の深さ方向のたわみ振動を与える振動装置を有する成分分離デバイス。
【請求項2】
前記突起部の共振周波数は、
前記流路溝の幅をWとし、
この流路溝に導入する液体成分および固形成分の混合物のうち、前記液体成分における音速をvとすると、
f=(n/2)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数fである請求項1に記載の成分分離デバイス。
【請求項3】
前記突起部は、前記基板と同一基板で形成されている請求項1または2に記載の成分分離デバイス。
【請求項4】
前記振動装置は、
第1の電極と、
この第1の電極上に設けられた圧電体と、
この圧電体上に設けられた第2の電極とからなる請求項1から3のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項5】
前記振動装置は、前記突起部上に複数個形成されている請求項1から4のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項6】
前記突起部は複数個形成されており、
これらの突起部は、
前記流路溝の一方の外側壁に形成されている請求項1から5のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項7】
前記突起部は複数個形成されており、
これらの突起部は、
前記流路溝の両側の外側壁に形成されている請求項1から5のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項8】
前記突起部は複数個形成されており、
前記流路溝の幅をWとし、
前記流路溝に導入する液体成分および固形成分の混合物のうち、前記液体成分における音速をvとすると、
f1=n×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f1が共振周波数である第1の突起部と、
f2=(1/2)×v/W もしくは (1/2+n)×v/W (nは自然数)
を満たす周波数f2が共振周波数である第2の突起部とを有する請求項1から7のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項9】
前記流路溝が複数形成されている場合、またはこの流路溝が枝分かれしている場合、
対面する流路溝の側壁に形成されたそれぞれの突起部は、
隣接するように形成された請求項1から8のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項10】
前記突起部の厚みは、
音響波伝搬板よりも薄いものとした請求項1から9のいずれか一つに記載の成分分離デバイス。
【請求項11】
検体導入口と、
この検体導入口に接続された輸送部と、
この輸送部と接続された請求項1から10に記載の成分分離デバイスのいずれか一つと、
この成分分離デバイスに接続された反応部と、
この反応部に接続された分析部とを備え、
前記突起部の周辺には空孔を有する化学分析デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−134063(P2008−134063A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318239(P2006−318239)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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