説明

成分測定用チップ

【課題】チップの小型化、薄型化が図れ、成分測定装置への装着に際しての試験片の破損、汚損等を防止することができる。
【解決手段】チップ1は、平盤状のチップ本体2と、その上面側中心部に突出形成され、検体導入流路31を有する細管3と、チップ本体2の下面側に設置され、検体中の特定成分の量を検出する試験紙5と、チップ本体2の下面でかつ試験紙5の外周部に立設された複数の脚部4とを備える。試験紙5の下面の中心付近から各脚部4の下端までの垂線の長さをA、チップ本体2の上面上でかつ各脚部4の根元部42に対応する部位28で形成される平面から細管3の先端までの垂線の長さをBとしたとき、A>Bを満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分測定用チップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血糖値の測定を行う血糖測定装置(血中成分測定装置)が知られている。この血糖測定装置は、血中のブドウ糖量に応じて呈色する試験紙に血液(検体)を供給・展開し、試験紙の呈色の度合いを光学的に測定(測色)して血糖値を定量化するものである。
【0003】
このような従来の血糖測定装置では、試験紙の測色は、発光素子および受光素子を備える測光部において、試験紙に光を照射しその反射光の強度を測定することにより行われている。
【0004】
この血糖測定装置では、試験紙に血液(検体)を供給・展開する操作を行った後、その試験紙を遮光状態が確保される空間へ挿入し、血糖値の測定を開始するが、操作性が劣るという欠点があるとともに、試験紙への血液の供給から測色までの時間が一定でなく、それによる測定誤差が生じるという問題がある。
【0005】
そこで、試験紙への血液の供給・展開から測定までの一連の操作を連続的、自動的に行うことができる血糖自動測定装置が開発されている。
【0006】
この血糖自動測定装置は、血糖測定用チップを装着するチップ装着部を有し、このチップ装着部に血糖測定用チップ(以下単に「チップ」と言う)を装着して測定を行う。この装置に用いられるチップとしては種々の構造のものがあるが、最近開発されたものとして、次のようなものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
すなわち、チップは、全体形状が平盤上のチップ本体と、チップ本体の上面側に突出形成された細管と、チップ本体の下面側に立設された複数の弾性変形可能な爪と、チップ本体の下面側に設置された試験紙とで構成されている。
【0008】
このチップを血糖自動測定装置のチップ装着部に装着した状態で、細管の先端に検体(血液)を接触させると、毛細管現象により検体は細管内に吸引されて移送され、試験紙へ到達し、供給される。試験紙の中央部付近に供給された検体は、試験紙上に放射状に展開され、担持されている試薬と反応して呈色する。血糖自動測定装置のチップ装着部の近傍には、発光素子および受光素子を備える測光部(図示せず)が設けられ、この測光部により試験紙の呈色強度を光学的に測定し、検体中の糖量を定量化する。
【0009】
このチップは、血糖自動測定装置のチップ装着部に対し、適正に位置決めされて装着されるので、装置が内蔵する光学測定部との距離を一定にすることができ、その結果、装着状態のばらつきによる測定誤差が回避され、測定精度が高いという利点がある。さらに、このチップは、その構造上小型化(薄型化)に有利であるという利点もある。
【0010】
しかしながら、チップを小型化した場合、視認性が低下したり、指で摘みにくかったりし、それによる次のような弊害が生じるおそれがある。
【0011】
血糖値の測定は、医師や看護士が行う以外に、患者自身が自分で行う場合があるが、通常糖尿病患者は、高齢であったり、その合併症から視力が弱い場合がしばしばある。このような患者が自分で血糖測定を行う場合、チップの視認性が悪かったり、指で摘みにくかったりすると、チップの血糖自動測定装置への装着を適正に行うことができない場合がある。
【0012】
例えば、血糖自動測定装置に既にチップが装着されているのに、これに気付かず、さらにもう一つの同型のチップを装着しようとすると、上記特許文献1に記載のチップでは、各爪の長さより細管の長さが長いため、血糖自動測定装置に装着済みのチップの細管が新たに装着しようとするチップの爪の内側に侵入して試験片に接触し、該試験片を傷付けたり汚したりすることがある。
【0013】
また、チップを血糖自動測定装置のチップ装着部に対し斜めに接近させて装着しようとした場合、チップ装着部の角部がチップの爪の内側に侵入して試験片に接触し、該試験片を傷付けたり汚したりすることがある。
【0014】
このように、試験片が破損または汚損したチップは、使用不能(測定不能)であるかまたは使用しても適正な測定結果が得られない。万一、患者がこのような不良チップであること気が付かずに使用してしまった場合、血糖値を誤認してしまおそれがある。
【0015】
【特許文献1】特開2000−230904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上述した問題を解消すべくなされたもので、その目的は、チップの小型化、薄型化が図れ、測定精度の高い成分測定用チップにおいて、簡単な構成で、成分測定装置への装着等に際しての試験片の破損、汚損等を防止することができる成分測定用チップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的は、下記(1)〜(16)の本発明により達成される。
(1) 成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップであって、
全体形状が平盤状のチップ本体と、
前記チップ本体の一方の面側に突出形成され、検体の導入流路を形成する細管と、
前記チップ本体の他方の面側に設置され、検体中の特定成分の量を検出し得る試験片と、
前記チップ本体の前記他方の面側でかつ前記試験片の外周付近に立設された複数の脚部とを備え、
前記試験片の前記他方の面の中心付近から前記各脚部の端部までの垂線の長さをA、前記チップ本体の前記一方の面上でかつ前記各脚部の根元部に対応する部位で形成される平面から前記細管の先端までの垂線の長さをBとしたとき、
A>Bを満足することを特徴とする成分測定用チップ。
【0018】
(2) 成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップであって、
全体形状が平盤状のチップ本体と、
前記チップ本体の一方の面側に突出形成され、検体の導入流路を形成する細管と、
前記チップ本体の他方の面側に設置され、検体中の特定成分の量を検出し得る試験片と、
前記チップ本体の前記他方の面側でかつ前記試験片の外周付近に、周方向に沿って間欠的に立設された複数の脚部とを備え、
隣接する前記脚部同士の周方向における最短距離Cが0.1〜5mmであることを特徴とする成分測定用チップ。
【0019】
(3) 成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップであって、
全体形状が平盤状のチップ本体と、
前記チップ本体の一方の面側に突出形成され、検体の導入流路を形成する細管と、
前記チップ本体の他方の面側に設置され、検体中の特定成分の量を検出し得る試験片と、
前記チップ本体の前記他方の面側でかつ前記試験片の外周付近に、周方向に沿って間欠的に立設された複数の脚部とを備え、
前記試験片の前記他方の面の中心付近から前記各脚部の端部までの垂線の長さをA、隣接する前記脚部同士の周方向における最短距離をCとしたとき、C/Aが0.1〜1であることを特徴とする成分測定用チップ。
【0020】
(4) 前記Cが0.1〜5mmである上記(3)に記載の成分測定用チップ。
【0021】
(5) 前記試験片の前記他方の面の中心付近から前記各脚部の端部までの垂線の長さをA、前記チップ本体の前記一方の面上でかつ前記各脚部の根元部に対応する部位で形成される平面から前記細管の先端までの垂線の長さをBとしたとき、
A>Bを満足する上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0022】
(6) B/Aが0.3〜0.98である上記(1)または(5)に記載の成分測定用チップ。
【0023】
(7) 成分測定用チップの少なくとも一部が、樹脂材料中に強磁性体粉末または磁石粉末を配合してなる材料で構成されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0024】
(8) 成分測定用チップの少なくとも一部が、強磁性体または磁性材料で構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0025】
(9) 前記各脚部は、前記チップ本体の最大外径部より内側に設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0026】
(10) 前記各脚部は、少なくともその端部が弾性変形可能である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0027】
(11) 前記各脚部は、前記チップ装着部に係合する係合部を有しており、この係合部の係合により前記チップ装着部への装着状態が保持される上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0028】
(12) 成分測定用チップの前記チップ装着部への装着状態では、前記チップ本体の外周部が前記チップ装着部の先端に当接して前記細管の長手方向の位置決めがなされる上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0029】
(13) 成分測定用チップの前記チップ装着部への装着状態では、前記試験片が前記チップ装着部の最先端より基端側に位置するよう位置決めがなされる上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0030】
(14) 隣接する脚部同士の周方向における間隙は、その周方向の長さが前記試験片の中心方向に向かって漸減している上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0031】
(15) 成分測定用チップ全体または主要部の色彩が黒色または暗色である上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【0032】
(16) 前記試験片は、検体中の特定成分と反応して呈色する試験紙である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、成分測定用チップの小型化、薄型化が図れ、ケースへの収納や、保管、携帯に便利であり、使用後の廃棄にも有利である。
【0034】
また、本発明によれば、成分測定装置のチップ装着部への着脱(装着および取り外し)を容易、迅速、適正に行うことができる。また、チップ装着部に対する位置決め機能を有するので、検体の付着によるチップ装着部の汚染を防止することができるとともに、装着された成分測定用チップの試験紙と、成分測定装置が内蔵する測光部との距離を一定にすることができ、その結果、装着状態の不適による測定エラーを防止し、高い測定精度での測定が可能となる。
【0035】
特に、チップ装着部に装着された成分測定用チップを適正な位置および姿勢で、しかも一定の力(脚部の弾性力や磁気吸着力)で保持することができるので、着脱作業をさらに容易、確実に行えるととともに、測定条件のバラツキを防止することができ、測定精度の向上に大きく貢献する。
【0036】
そして、本発明によれば、簡単な構成で、誤装着、誤操作等による試験紙の破損、汚損等を防止することができる。特に、視力や指で摘む力が弱い患者自身が操作した場合、誤装着、誤操作を生じ易いが、このような場合でも、試験紙の破損、汚損等をより確実に防止することができる。そのため、本発明の成分測定用チップは、患者自身が使用する場合に特に適している。
【0037】
また、本発明によれば、内部に検体の流路が形成された細管の長さを比較的短くすることができるので、測定に必要な検体量を少なくすることができる。患者の指先等を穿刺して出血させ、その血液を採取する場合には、必要な出血量がより少なくて済むため、指先等の穿刺深さもより浅くて済む。そのため、患者の負担(苦痛、恐怖心等)が軽減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の成分測定用チップを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の成分測定用チップの第1実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す成分測定用チップの底面図、図3は、図1に示す成分測定用チップにおいて、試験紙を設置していない状態の底面図、図4は、本発明の成分測定用チップにおける細管の検体流入側端部の構成を示す斜視図、図5は、本発明の成分測定用チップにおける細管の検体流出側端部の構成を示す斜視図、図6は、図1に示す成分測定用チップを成分測定装置のチップ装着部に装着した状態を示す縦断面図である。なお、図1、図6中の下側を「基端」、上側を「先端」として説明する。
【0040】
図1〜図6に示すように、本発明の成分測定用チップ1(以下、単に「チップ1」と言う)は、成分測定装置100のチップ装着部101に装着して使用されるものであり、チップ本体2と、該チップ本体2の図1中上面(先端側の面であり、以下単に「上面」と言う)側に突出形成された細管3と、チップ本体2の図1中下面(基端側の面であり、以下単に「下面」と言う)側に立設された複数の脚部(爪)4と、チップ本体2の下面側に設置された試験紙(試験片)5とで構成されている。
【0041】
チップ本体2は、その全体形状が平盤状をなしており、特に本実施形態では、円盤状(円板状等の板状)をなしている(図2、図3参照)。これにより、チップ1の薄型化に寄与する。ここで、平盤状とは、例えばスカート部等を有さないような平坦な形状(扁平形状)の総称を意味する。
【0042】
なお、チップ本体2の平面視での形状は、図示のような円形(円盤状)に限らず、例えば、楕円形、長円形、四角形、六角形、八角形等の多角形、あるいは多角形でその角部が丸みを帯びた形状、その他の任意の形状であってもよい。
【0043】
チップ本体2の厚さは、特に限定されないが、最も厚い部分の厚さが0.3〜3mm程度であるのが好ましく、0.7〜1.5mm程度であるのがより好ましい。この厚さが3mmを超えると、チップ1の十分な小型化、薄型化が図れず、また、0.3mm未満であると、強度が低下するおそれがある。
【0044】
また、チップ本体2の外径は、チップ装着部101の先端の外径とほぼ等しいかまたはそれより小さいのが好ましい。図示の実施形態では、チップ本体2の外径は、チップ装着部101の先端の外径より若干小さく設定されている。これにより、チップ本体2の外縁部に指等が触れたときでも、チップ1が不本意にチップ装着部101から外れることが防止される。
【0045】
チップ本体2の下面側には、試験紙5を支持、固定するための台座部21が形成されている。試験紙5は、その外周部(固定部51)において、例えば融着または接着剤による接着等の方法により台座部21に固定される。
【0046】
また、チップ本体2の台座部21より外周側には、フランジ部(当接部)22が形成されている。このフランジ部22の厚さは、台座部21の厚さより薄い。フランジ部22の下面(基端面)23は、平坦な面で構成され、台座部21の下面(基端面)より基端側に位置している。
【0047】
図6に示すように、成分測定装置100のチップ装着部101にチップ1を装着した状態(以下「チップ装着状態」と言う)では、下面23がチップ装着部101の先端に当接し、チップ1の図6中上下方向(試験紙5の法線方向)の位置決めを行う。すなわち、チップ本体2は、それ自体がチップ1のチップ装着部101に対する位置決め機能を有している。
【0048】
細管3は、血液(検体)を採取するためのものであり、その内部には、検体導入流路31が形成されている。この検体導入流路31は、試験紙5に対しほぼ直交する方向に延在しており、その先端には検体流入口32、その基端には検体流出口33がそれぞれ形成されている。また、検体導入流路31は、試験紙5の中心部に設置されている。
【0049】
血液は、毛細管現象により検体導入流路31を通って試験紙5へ供給されるので、検体導入流路31の内径(平均)は、0.2〜2.0mm程度であるのが好ましく、0.3〜1.0mm程度であるのがより好ましい。検体導入流路31の内径が大き過ぎると、毛細管現象による血液の移送が困難となり、また、内径が小さ過ぎると、血液の供給速度が遅く、十分な量の血液を試験紙5へ供給するのに長時間を要する。
【0050】
なお、検体導入流路31の内径(横断面積)は、検体導入流路31の長手方向に沿って一定でも、変化していてもよい。
【0051】
図4等に示すように、細管3の先端面には、検体導入流路31に連通する溝34が形成されている。図示の例では、溝34は、細管3の径方向に延在する一文字状の溝である。この溝34の両端は、それぞれ細管3の外周面に開放している。
【0052】
この溝34を設けたことにより、血液を採取するにあたり細管3の先端面を指等の表面に接触させた際、検体導入流路31が塞がれず、血液の流入路が確保されるので、血液の試験紙5への供給を円滑かつ確実に行うことができる。
【0053】
また、溝34の深さP1は、皮膚の状態等によりその好適な範囲があり、特に限定されないが、通常は、0.1mm以上が好ましく、0.2〜1.8mm程度がより好ましい。溝34の深さP1が浅過ぎると、特に皮膚への圧着力が大きい等の場合に、溝34内の血液の通過が不十分となることがある。
【0054】
なお、溝34の形状、本数、配置等は、図示のものに限定されず、細管3の先端面を皮膚に当接したとき、その先端面の一部が皮膚と接触しないような構成であればよい。例えば、複数の溝34を、検体導入流路31の検体流入口32を中心として放射状(例えば十文字状)に形成したり、検体導入流路31に接するように平行に形成したりするパターンが挙げられる。
【0055】
図5に示すように、細管3の基端側は、チップ本体2の下面に若干突出する突出部35を形成しており、この突出部35の基端面には、検体導入流路31に連通する溝(第2の溝)36が形成されている。図示の例では、溝36の形状は、十文字状をなしている。この溝36の外側端部は、それぞれ突出部(細管3の基端部)35の外周面に開放している。
【0056】
この溝36を設けたことにより、検体導入流路31を通過した血液が検体流出口33から溝36を介して外周方向へ広がり、試験紙5上に供給、展開されるので、その展開が迅速かつ均一になされ、よって、より正確な測定値が得られる。
【0057】
また、溝36の深さP2は、特に限定されないが、通常は、0.01mm以上が好ましく、0.05〜0.5mm程度がより好ましい。溝36の深さP2が浅過ぎると、その機能を十分に発揮することができなくなるおそれがある。
【0058】
なお、前記溝34と同様に、溝36の形状、本数、配置は、図示のものに限定されず、例えば、一文字状に形成したり、複数の溝36を検体導入流路31に接するように平行に形成したりするパターンが挙げられる。
【0059】
図1に示すように、試験紙5の細管3側の部分、すなわち、試験紙5とチップ本体2との間には、間隙6が設けられている。この間隙6は、チップ本体2の下面の台座部21より内側の部分に凹部を形成することにより得られるもので、試験紙5上での血液の展開を補助(促進)する機能を有している。すなわち、検体導入流路31の検体流出口33から流出した血液は、毛細管現象により当該間隙6を通って放射状に広がるので、試験紙5上での血液の展開を迅速かつ均一に行うことができる。
【0060】
間隙6の幅(凹部の深さ)は、特に限定されないが、0.02mm以上(平均値)が好ましく、0.04〜0.4mm程度がより好ましい。このような寸法において、間隙6の前記機能をより有効に発揮することができる。なお、間隙6の幅(深さ)は、一定であっても、試験紙5の中心部から外周側へ向かって変化(例えば漸減)していてもよい。
【0061】
また、間隙6の外周には、当該間隙6に連通し、間隙6よりも深く形成された円環状凹部よりなる検体溜り61が設けられている。これにより、間隙6を通って放射状に広がった血液は、この検体溜り61に留まり、それ以上外周(試験紙5の接着、融着等による固着部位)へ移動することが阻止されるので、血液が過剰に供給された場合でも、余分な血液の漏れ出しが防止される。よって、成分測定装置100のチップ装着部101の先端等の血液付着による汚染が防止される。
【0062】
チップ本体2の下面側には、4本の脚部(アンカー:位置決め部材)4が立設されている。これらの脚部4は、周方向に沿って間欠的に設けられている。各脚部4の少なくとも基端部は、チップ本体2の径方向に弾性変形可能である。また、各脚部4は、好ましくは等角度間隔(本実施形態では90°間隔)で配置されている。各脚部4の形成位置は、チップ本体2の最大外径部より内側で、かつ試験紙5の外周付近とされている。すなわち、各脚部4は、台座部21の外周部(下面23との境界部)に形成されている。
【0063】
各脚部4の周方向の両端面43a、43bは、半径方向に対し傾斜した傾斜面を構成している。これにより、隣接する脚部4同士の周方向における間隙44は、その幅(周方向の長さ)が試験紙5の中心方向(チップ本体2の中心方向)に向かって漸減し、最も中心側で最短(後述する最短距離C)となっている。
【0064】
このような構成とすることにより、間隙44の幅の最短部が試験紙5の中心に近い側に位置するので、図10に示すように、チップ装着部101の先端面に対し斜めにチップ1を装着しようとした場合に、チップ装着部101の先端の角部(縁部)105がチップ1の脚部4で囲まれる空間に入り難くなり、あるいは当該空間に角部105が深く侵入せず、角部105が試験紙5に接触して試験紙5を傷付けたり汚したりすることを防止することができる。
【0065】
この場合、間隙44を介して対面する端面43a、43bのなす角度は、10〜130°程度が好ましく、30〜120°程度がより好ましく、60〜110°程度がさらに好ましい。
【0066】
各脚部4の外周面には、外方へ向かって突出する山型形状の突部(係合部)41が形成されている。図6に示すように、チップ装着状態では、各脚部4がチップ装着部101に形成されたリング状の凹部102に挿入されて嵌合されるが、このとき、各脚部4の突部41は、縮径部103(凹部102の内壁が中心方向に向かって突出した部分)に係合する。そして、脚部4が持つ弾性力により、各脚部4は外周方向に向けて広がろうとし、その付勢力により突部41が縮径部103に押し付けられ、前記の係合が維持される。これにより、チップ1がチップ装着部101に対し確実に嵌合、固定される。
【0067】
前述したように、各脚部4の形成位置がチップ本体2の最大外径部より内側であるため、チップ装着状態において、脚部4は、チップ装着部101の外周面に露出することなくチップ装着部101の内部に収納される。そのため、チップ装着部101が何かに衝突した場合でも、チップ1がチップ装着部101に対し、ずれたり、外れたりすることが防止される。
【0068】
また、各脚部4の形成位置が試験紙5の外周付近であるため、試験紙5の呈色強度の光学的測定を妨げることが防止される。
【0069】
また、複数の脚部4が等角度間隔で設置されていることや、各脚部4の突部41がチップ装着部101に係合することにより、チップ装着状態をより安定的に維持することができる。
【0070】
以上のようなチップ本体2、細管3および脚部4は、好ましくは樹脂材料(高分子材料)で構成されている。この樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ABS樹脂、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール等またはこれらのうちの1種以上を含むポリマーアロイ、ポリマーブレンド等の各種樹脂材料が挙げられる。このなかでも、検体を迅速に導入、展開するのに特に適したものとして、アクリル系樹脂等の親水性の高い材料または親水化処理されたものが好ましい。
【0071】
親水化処理としては、例えばプラズマ処理、グロー放電、コロナ放電、紫外線照射等の物理活性化処理の他、界面活性剤、水溶性シリコン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の付与(塗布)等により行うことができる。
【0072】
また、チップ本体2、細管3および脚部4の色彩は、黒色、または濃紺、こげ茶色、濃緑色、紫、濃灰色等の暗色であるのが好ましい。これにより、チップ1は遮光性に優れるものとなるので、外光の侵入による読み取りエラーを防止し、高い測定精度を維持することができる。
【0073】
次に、試験紙5の形状、構造、材質等について説明する。
試験紙5の全体形状は、図示のような円形が好ましいが、これに限定されず、その他例えば、楕円形、正方形、長方形、菱形等の四角形、三角形、六角形、八角形等、必要に応じ選択して用いることができる。
【0074】
円形の試験紙5の場合、試験紙5の外径は、2〜12mm程度が好ましく、3〜8mm程度がより好ましい。
【0075】
また、試験紙5の厚さは、0.02〜1.0mm程度が好ましく、0.05〜0.4mm程度がより好ましい。
【0076】
このような試験紙5は、検体(血液)を吸収し得る担体に、試薬(発色試薬)を担持(含浸)させたものである。この担体は、好ましくは多孔質シートで構成されている。
【0077】
多孔質シートによる担体を用いることにより、含浸させる試薬が特にオキシダーゼ反応のように大気中の酸素を基質として反応する過程を含む試薬系の場合に、検体が試験紙5上に展開後、大気中の酸素の十分な供給が確保されるので、反応を迅速に進行させることができ、よって、検体またはその濾別成分(赤血球等)を除去することなく発色状態を検出することができる。
【0078】
多孔質シートによる担体としては、不織布、織布、延伸処理したシート、メンブランフィルター、濾紙等が挙げられる。また、その構成材料としては、例えば、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリオレフィン類、ポリスルホン類、セルロース類、珪酸塩、フッ素系樹脂等が挙げられる。より具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ニトロセルロース、セルロース、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(「テフロン」は登録商標))等が挙げられる。
【0079】
このような担体の構成材料は、試薬を溶解した水溶液を含浸させて製造されたものや、検体の吸収、展開を迅速に行うために、親水性を有する材料または親水化処理されたものが好ましい。親水化処理としては、前述した方法と同様のものが挙げられる。
【0080】
試験紙5に担持される試薬としては、血糖値測定用の場合、グルコースオキシターゼ(GOD)と、ペルオキシターゼ(POD)と、例えば4−アミノアンチピリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジンのような発色剤(発色試薬)とが挙げられ、その他、測定成分に応じて、例えばアスコルビン酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ等の血液成分と反応するものと、前記と同様の発色剤(発色試薬)とが挙げられる。また、さらにリン酸緩衝液のような緩衝剤が含まれていてもよい。なお、試薬の種類、成分については、これらに限定されないことは言うまでもない。
【0081】
このような多孔質シートによる担体は、血液中に含まれる血球、特に赤血球(以下、赤血球で代表する)が透過できない程度の孔径を有するものが好ましい。具体的には、担体における細孔の孔径は、0.05〜2.0μm程度であるのが好ましく、0.1〜0.5μm程度であるのがより好ましい。孔径が小さすぎると、血液の展開性が低下し、また、孔径が大きすぎると、血球が浸み出し、測定感度が低下するとともに、討薬が担持されにくくなり、呈色の感度が低くなる(呈色しにくくなる)。
【0082】
図2に示すように、試験紙5の外周部には、固定部51が形成されており、試験紙5は、この固定部51において、融着または接着剤による接着等の方法によりチップ本体2の台座部21に固定される。
【0083】
この場合、図2に示すように、試験紙5の外周部に沿って複数の固定点52が間欠的に(好ましくは等間隔で)形成されている。これにより、隣接する固定点52間で通気が可能となり、検体流出口33から流出した血液を試験紙5上へ展開する際に、間隙6および検体溜り61内にあった空気が、効率よく排出され、よって、血液の展開をより迅速に行うことができる。
【0084】
また、試験紙5の中心部分を細管3の基端面(突出部35の基端面)に融着または接着剤による接着等の方法により固定することもできる。これにより、試験紙5をさらに安定的にチップ本体2に支持、固定することができ、また、試験紙5の変形(湾曲、歪み、波打ち等)により、血液の均一な展開を妨げることも防止される。
【0085】
さて、本発明のチップ1は、チップ本体2の上面(先端面)側に突出する細管3の長さが、チップ本体2の下面(基端面)側に突出する各脚部4の長さより短いことに特徴を有する。より詳細に説明すると、図1に示すように、試験紙5の下面の中心付近(突出部35付近)から各脚部4の基端(下端)までの垂線の長さをA、チップ本体2の上面でかつ各脚部4の根元部(先端部)42に対応する部位28で形成される平面から細管3の先端までの垂線の長さをBとしたとき、長さA、Bは、好ましくはA>Bを満足し、より好ましくはB/Aが0.3〜0.98であり、さらに好ましくはB/Aが0.5〜0.9である。このような条件を満たすことにより、次のような効果が得られる。
【0086】
本発明のチップ1は、脚部4に対し細管3の長さが比較的短く、全体として薄くて小型であるという利点があるが、そのために、図6に示すチップ装着状態では、チップ1の存在を確認(視認)しにくい場合がある。例えば、高齢で視力が衰えていたり、糖尿病の合併症から視力が低下していたりする場合、チップ装着部101に既にチップ1(未使用、使用済みを問わず)が装着されているにもかかわらず、それに気が付かず、もう1つの同形状のチップ1'(図6中の一点鎖線で示す)を装着しようとしてしまうことがある。この場合、装着済みのチップ1にもう1つの同形状のチップ1'が重なることとなるが、これら両チップにおける長さA、Bが前述の条件を満足することにより、装着済みのチップ1の細管3の先端がチップ1'の試験紙5'に接触せず、そのため、当該試験紙5'を傷付けたり汚したりすることが防止される。
【0087】
長さA、Bが前述の関係を満たすものであれば、A、Bそれぞれの値は特に限定されないが、Aは、0.5〜15mm程度であるのが好ましく、1〜7mm程度であるのがより好ましく、Bは、0.4〜13mm程度であるのが好ましく、0.8〜5mm程度であるのがより好ましい。また、各脚部4の外周面の半径は、1〜20mm程度であるのが好ましく、3〜10mm程度であるのがより好ましい。このような寸法とすることにより、チップ1の小型化を図りつつ、試験紙5'の損傷、汚損をより確実に防止することができる。
【0088】
また、本発明のチップ1は、長さA、Bが前述の条件を満足するので、細管3の長さが比較的短く、よって、検体導入流路31の長さも比較的短い。これにより、より少ない検体量(採血量)で測定することができるとともに、検体導入流路31の毛細管現象による血液の移送時間が短縮され、より迅速な測定が可能となる。
【0089】
検体導入流路31の好ましい長さは、特に限定されないが、前記の利点が得られるようにするために、通常、検体導入流路31の長さ(全長)は、1〜18mm程度であるのが好ましく、1.5〜7.5mm程度であるのがより好ましい。
【0090】
なお、本実施形態においては、チップ本体2と、細管3と、脚部4とが全て一体形成されているが、これらのうちの少なくとも1つが別部材で構成され、この別部材を接合したものでもよい。
【0091】
図7は、本発明の成分測定用チップの第2実施形態を示す縦断面図、図8は、図7に示す成分測定用チップの底面図、図9は、図7に示す成分測定用チップにおいて、試験紙を設置していない状態の底面図である。以下、この第2実施形態について、前述の第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0092】
第2実施形態におけるチップ1は、チップ本体2が2つの部品2a、2bで構成されている。部品2aには、前記と同様の下面23と、3本の脚部4とが形成され、部品2bには、前記と同様の細管3が形成されている。また、細管3の先端部および基端部の構成も、前記第1実施形態と同様である。
【0093】
部品2aの内周面には、リング状の凹部24が形成され、部品2bの外周には、リング状の凸部25が形成され、これらの凹部24と凸部25とが嵌合することにより、部品2aと部品2bとが結合、一体化され、チップ本体2を構成する。
【0094】
部品2bの図7中下面(基端面)には、前記と同様の間隙6が形成されている。さらに、この間隙6の外周には、当該間隙6に連通し、間隙6よりも深く形成された円環状凹部よりなる検体溜り61が設けられている。間隙6および検体溜り61の機能については、前記第1実施形態と同様である。
【0095】
また、部品2bの検体溜り61より外周側には、試験紙5を支持(挟持)する半球状の複数の突起(スペーサ)26が周方向に沿って形成されている。
【0096】
一方、部品2aの隣接する脚部4同士の間には、それぞれ、扇状の挟持片27が設けられている(図7および8参照)。この3つの挟持片27は、等角度間隔(120°間隔)で設けられている。
【0097】
図7に示すように、部品2aと部品2bとの結合状態では、試験紙5の外周部(固定部51)が突起26と挟持片27とに挟持されることにより、試験紙5がチップ本体2に対し支持、固定される。
【0098】
この場合、突起26は、周方向に沿って間欠的に形成されているので、試験紙5を挟持する点(固定点)も間欠的となる。これにより、隣接する固定点間で通気が可能となり、検体流出口33から流出した血液を試験紙5上へ展開する際に、間隙6および検体溜り61内にあった空気が、効率よく排出され、よって、血液の展開をより迅速に行うことができる。
【0099】
本実施形態のチップ1では、試験紙5が部品2a、2b間に挟持されて固定されるものであるため、チップ本体2に対する試験紙5の固定やその取り外し(交換)を容易に行うことができるという利点がある。特に、多数のチップ1を組み立てる場合、組み立てを容易かつ短時間で行うことができ、生産性の向上に寄与する。
【0100】
このような第2実施形態のチップ1においても、長さA、Bは、前述の条件を満足し、同様の効果を奏する。なお、本実施形態の場合、脚部の根元部に対応する部位28は、部品2bの上面に形成される。
【0101】
図10は、本発明の成分測定用チップの第3実施形態を示す縦断面図、図11は、図10に示す成分測定用チップの底面図である。以下、この第3実施形態について、前述の第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0102】
第3実施形態におけるチップ1は、脚部4の設置間隔に特徴を有する。すなわち、チップ本体2の下面側には、周方向に沿って3つの脚部4が間欠的に設けられており、隣接する脚部4同士の間には、間隙44が形成されているが、この間隙44の周方向の距離の最小値、すなわち隣接する脚部4同士の周方向における最短距離(以下単に「最短距離」と言う)Cは、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜3mmとされる。なお、各間隙44のそれぞれのCが等しくない場合には、それらの平均をCとする。
【0103】
このように、Cを比較的小さい値とすることにより、次のような効果が得られる。
前述したように、本発明のチップ1は、全体として薄くて小型であるという利点があるが、そのため、成分測定装置100のチップ装着部101に着脱する際、チップ1を把持しにくい場合がある。例えば、高齢などで指で摘む力が衰えている場合、チップ1を確実に摘んでチップ装着部101に装着することがでず、図10に示すように、チップ装着部101の先端面に対し斜めにチップ1を装着しようとしてしまうことがある。この場合、チップ装着部101の先端の角部(縁部)105がチップ1の脚部4で囲まれる空間に入るが、Cの値が前述の条件を満足することにより、当該空間に角部105が深く侵入することができず、角部105が試験紙5に接触することが防止され、その結果、試験紙5を傷付けたり汚したりすることが防止される。
【0104】
なお、最短距離Cは、試験紙5の半径方向で見たとき、中心側の位置している、特に最も中心側(脚部4の内周面の延長上付近)に位置しているのが好ましい(図2、図11参照)。これにより、前述した効果がより顕著に発揮される。
【0105】
また、チップ1は、前記長さAと前記最短距離Cとの関係で、C/Aが好ましくは0.1〜1、より好ましくは0.1〜0.6である。このような条件とすることにより、前記と同様に、チップ1の脚部4で囲まれる空間にチップ装着部101の角部105が深く侵入することができず、角部105が試験紙5に接触することが防止され、その結果、試験紙5を傷付けたり汚したりすることが防止される。
【0106】
また、チップ1は、長さAと最短距離Cとの比であるC/Aが前述の条件を満たし、かつCの値が前述の範囲であるのがより好ましい。これにより、チップ装着部101の角部105が試験紙5に接触して試験紙5を傷付けたり汚したりすることをより確実に防止することができる。
【0107】
さらに、チップ1は、長さA、Bが前述の条件を満たすものであるが好ましい。これにより、前述したように、チップ1、1’の重なりにより細管3の先端が試験紙5’に接触して試験紙5’を傷付けたり汚したりすることが防止される。
【0108】
このようなチップ1では、C/Aを前述の条件とするために前記最短距離Cの値を比較的小さくすることが好ましい。そのためには、脚部4の周方向の長さを比較的長くしたり、脚部4の本数を3本以上(特に4本以上)としたりすることが好ましい。
【0109】
また、前記第1および第2実施形態においても、最短距離CやC/Aは、前述の条件を満足するのが好ましい。
【0110】
次に、本発明の成分測定用チップの第4実施形態について説明する。以下、この第4実施形態について、前述の第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0111】
第4実施形態のチップ1は、チップ1が磁気的な吸着によりチップ装着部101に装着、保持されるものであり、その全体形状は、各脚部4の外周に突部(係合部)41を有さない以外は(ただし、突部41を有するものでも可)、前記第1、第2または第3実施形態のチップ1と同様である。
【0112】
第4実施形態のチップ1は、その全部または一部、特に、少なくともチップ本体2を構成する材料が、前述したような樹脂材料中に、強磁性体粉末または磁石粉末を配合(分散)したものである。
【0113】
樹脂材料中に配合される粉末が強磁性体粉末か磁石粉末かは、チップ装着部101側の構成に影響される。チップ装着部101(またはその先端部)が磁石(永久磁石または電磁石)で構成されている場合には、配合される粉末は、強磁性体粉末、磁石粉末のいずれでもよく、通常は、強磁性体粉末が好ましい。チップ装着部101(またはその先端部)が鉄、タングステン、ニッケル、コバルトまたはこれらを含む合金等の強磁性体(磁石で吸着し得る金属)で構成されている場合には、配合される粉末は、磁石粉末とされる。
【0114】
配合される強磁性体粉末としては、例えば、鉄、タングステン、ニッケル、コバルトまたはこれらを含む合金による粉末が挙げられる。また、組成の異なる複数種の混合粉末であってもよい。
【0115】
また、配合される磁石粉末としては、フェライト、アルニコ等の磁性材料の他、希土類元素を含む希土類磁石の粉末が挙げられる。希土類磁石粉末は、高い磁気性能を有し、比較的少ない配合量で大きな磁気吸着力を発揮するので、好ましい。希土類磁石としては、例えばSm−Co系磁石、R−TM−B系磁石(ただし、Rは、Yを含む希土類元素の少なくとも1種、TMは、Fe、Ni、Co等の遷移金属のうちの少なくとも1種)が挙げられ、後者は特に好ましい。
【0116】
強磁性体粉末および磁石粉末(以下、これらを総称して「粉末」と言う)の粒度は、特に限定されないが、製造の容易性、酸化劣化による弊害(例えば磁気性能の低下)防止および高分子材料中での分散性を考慮して、平均粒径が1〜250μm程度のものが好ましく、3〜120μm程度のものがより好ましい。
【0117】
粉末の配合量(含有量)は、十分な磁気吸着力が得られるものであれば、特に限定されないが、通常は、8〜96wt%程度が好ましく、25〜85wt%程度がより好ましい。この配合量が少なすぎると、粉末の組成や磁気性能によっては、磁気吸着力が不充分となる場合があり、また、配合量が多すぎると、チップ本体2等の成形性が低下することがある。なお、粉末の配合量が比較的多い場合は、樹脂材料が粉末同士を結合する結合材(バインダー)として機能する。
【0118】
以上のような材料で構成されるチップ本体2等は、例えば次のようにして製造することができる。樹脂材料(またはその前駆体)と粉末とを所望の比率で混合し、その混合物を、樹脂材料が流動性を有する状態(溶融または軟化した状態)で混練する。次いで、この混練物を、チップ本体2、細管3および爪4に対応する形状の成形空間(キャビティ)を有する金型内に注入し、成形する。この成形の際には、必要に応じ、成形材料に対し加圧または加熱・加圧を施す。その後、樹脂材料を固化(冷却固化)または硬化(加熱硬化、光硬化等)させ、離型して、チップ本体2、細管3および脚部4の一体化物を得る。なお、この製造方法は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0119】
図12は、本発明の成分測定用チップの第5実施形態を示す縦断面図である。以下、この第5実施例について、前述の各実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0120】
第5実施形態のチップ1は、チップ1が磁気的な吸着によりチップ装着部101に装着、保持されるものであり、その全体形状は、前記第1、第2または第3実施形態のチップ1とほぼ同様である。この場合、各脚部4の外周の突部(係合部)41は、チップ装着部101への装着状態を維持するための補助的な役割を果たすものであるが、この突部41は有していなくてもよい。
【0121】
図12に示すように、第5実施形態のチップ1は、チップ本体2のフランジ部22の下部に、磁気吸着に関与する磁気吸着部材8が設置されている。この磁気吸着部材8は、リング状、より詳しくは、ワッシャーのような平板リング状をなしている。
【0122】
磁気吸着部材8は、前述した強磁性体(磁石で吸着し得る金属)または磁石材料で構成されている。また、磁気吸着部材8は、前述した樹脂材料に粉末を比較的高い配合量で配合した材料で構成されていてもよい。なお、チップ本体2の磁気吸着部材8以外の部分や、細管3および脚部4は、前述したような樹脂材料で構成されている。
【0123】
このようなチップ1の製造は、例えば、チップ本体2の磁気吸着部材8以外の部分、細管3および脚部4の一体成形物に、磁気吸着部材8を例えば嵌合、螺合、かしめ、接着剤による接着等により固定する方法や、インナー成形(金型内に予め磁気吸着部材8を装填しておき、樹脂を注入(射出成形)する方法)により同時に成形する方法により行うことができる。
【0124】
このような第5実施形態のチップ1では、磁気吸着に関与する部分を必要箇所に局所的に形成することができる。特に、磁気吸着部材8の形状、設置位置、磁気性能(磁気吸着力)等を適宜選択することにより、チップ装着部101側の条件(形状、構造等)に対応した最適な(特に効率的な)磁気吸着が行えるチップ1を容易に得ることができ、また、設計の幅も広がる。
【0125】
なお、磁気吸着部材8は、着脱自在(交換可能)に設置されていてもよい。例えば、磁気性能(磁気吸着力)の異なる複数の磁気吸着部材8のうちから最適なものを選択し、設置、固定することができる。
【0126】
このような磁気吸着部材8の設置は、前記第2または第3実施形態のチップ1にも適用することができる。
【0127】
磁気吸着部材8を備えたチップ1を装着するチップ装着部101は、その先端部に例えばC字状(リング形状の一部を欠損させた形状)の永久磁石(図示せず)を設置した構成とし、それ以外は前記同様(図6に示す構成)とすることができる。なお、磁気吸着部材8が永久磁石である場合、この永久磁石は、前述したような強磁性体で構成されたものに代えることができる。また、永久磁石に代えて、電磁石を用いることもできる。この場合には、後述するピン104を用いず、電磁石のコイルへの通電のオン・オフによりチップ装着部101へのチップ1の装着・取り外しを行うことができる。
【0128】
本明細書中の各実施形態のチップ1は、未使用の状態では、例えば、図6中に示すような容器9に収納され、保管されている。そして、このチップ1は、成分測定装置(血中成分測定装置)100のチップ装着部101に装着して使用される。ここで、成分測定装置100について簡単に説明する。
【0129】
成分測定装置100は、チップ装着部101を有している。チップ装着部101は、筒状をなしており、その先端部には、チップ1が着脱自在に装着される。
【0130】
チップ装着部101には、リング状の凹部102が形成されている。この凹部102は、チップ装着部101の先端に開放している。また、凹部102の外周側の内壁は、中心方向に向かって山型状に突出した部分(縮径部103)を有する。
【0131】
また、チップ装着部101の内側近傍には、発光素子(発光ダイオード)と、受光素子(フォトダイオード)とを有する測光部(図示せず)が設けられている。発光素子は、例えば所定の時間間隔でパルス光を発する。
【0132】
また、成分測定装置100は、マイクロコンピュータで構成される制御手段(図示せず)を有している。この制御手段には、測光部からの信号に基づいて目的とする血中成分(例えばブドウ糖)を算出する演算部が内蔵されている。
【0133】
チップ装着部101にチップ1を装着し、後述するようにしてチップ1の試験紙5に検体(血液)を供給、展開した後、測定を行う。発光素子を点灯させると、発光素子から発せられた光は、チップ1の試験紙5に照射され、その反射光を得る。この反射光の強度は、試験紙5の呈色強度、すなわち検体中の目的成分の量(濃度)に対応している。この反射光は、受光素子に受光され、光電変換される。受光素子からは、その受光光量に応じたアナログ信号が出力され、該信号がデジタル信号に変換された後制御手段に入力され、所望の演算処理、補正処理等がなされ、検体中の目的成分量が定量化される(血糖値が求まる)。
【0134】
チップ装着状態においては、試験紙5がチップ装着部101と非接触である(図6参照)。そのため、試験紙5が保護され、試験紙5の傷付きや破れが防止されるとともに、試験紙5がチップ装着部101に接触してチップ装着部101に血液が付着し、汚染されることが防止される。
【0135】
また、チップ装着状態においては、チップ1が基端方向に引っ張られるような力(保持力のうち細管3の長手方向のベクトル成分)を受け、フランジ部22の下面23(または磁気吸着部材8の下面)がチップ装着部101の先端に当接して、チップ1の細管3の長手方向(試験紙5の法線方向)の位置決めが自動的になされる(図6参照)。そのため、従来のようにチップのチップ装着部への嵌合の程度(嵌合力)を手で調節しなくても、試験紙5と、測光部の発光素子および受光素子との離間距離を一定(適正距離)とすることができる。これにより、前記距離が変動し光学的特性にバラツキが生じることによる測定誤差を少なくすることができ、測定精度の向上に寄与する。
【0136】
そして、チップ装着状態において、チップ1のチップ装着部101に対する保持力(嵌合強度)は、専ら脚部4の弾性力に依存するため、チップ1のチップ装着部101に対する保持力(嵌合力、嵌合強度)は、常に一定となる。チップ1を磁気的に吸着する場合もその吸着力は一定であるため、同様である。従って、チップ装着部への嵌合の程度を手で調節する必要がある従来のチップのように、強く嵌合し過ぎてチップ1を外す作業がし難かったり、嵌合が弱すぎて容易に離脱したりすることが防止される。
【0137】
さらに、各脚部4が縮径部103付近に係合(圧接)しているため、チップ1のチップ装着部101に対する図6中横方向(試験紙5の面方向)の位置決めが確実になされ、当該方向のずれも生じない。そのため、位置ずれによる測定誤差を少なくすることができ、測定精度の向上に寄与する。
【0138】
また、チップ装着状態においては、試験紙5がチップ装着部101の最先端(チップ本体2の下面23が当接する面)より基端側に位置している(図6参照)。従って、従来のチップのように、チップの側面から外光が侵入し、読み取りエラーが生じたり、測定精度を低下させたりすることが防止される。
【0139】
図13は、チップ1を用いて血液(検体)を採取するときの状態を示す側面図である。同図に示すように、血液の採取は、まず、指先(または耳たぶ)等を針やメス等で穿刺し、該穿刺部から皮膚上に少量(例えば1〜6μl程度)の血液7を流出させる。
【0140】
一方、成分測定装置100のチップ装着部101に前述したようにチップ1を装着し、細管3の先端面を皮膚に当接させる。指先の血液7は、溝34内を経て検体流入口32へ至り、毛細管現象により吸引されて検体導入流路31内を基端方向へ流れ、検体流出口33へ到達する。このとき、指先の血液7は、溝34の側面開口部(細管3の外周面に開放した部分)から有効に吸入されるので、皮膚上で過剰に散らされることもなく、ロスも少ない。
【0141】
検体流出口33へ到達した血液は、試験紙5の中心部に接触して吸収されるとともに、その一部は溝36を通って間隙6へ至る。間隙6内へ流入した血液は、間隙6に対面している試験紙5に吸収され、展開されつつ、外周方向へ向かって放射状に広がって行く。このようにして試験紙5による血液の吸収、展開がなされるに従い、検体導入流路31に新たな吸引力が生じ、連続的に血液を試験紙5へ供給することができる。
【0142】
従って、指先の血液7の量が比較的少ない場合でも、それを無駄なく試験紙5へ供給することができる。また、逆に、指先の血液7の量が多く、試験紙5へ過剰に供給された場合でも、余分な血液は、検体溜り61に留まり、それより外周側へ流出することが阻止されるので、血液が試験紙5外へ漏れ出して、チップ1の下面23、チップ装着部101の表面、測光部あるいはこれらの周辺部等に付着し、汚染することが防止される。このため、次回の測定に悪影響を及ぼすこともなく、また、使用済のチップ1の廃棄処分においても、感染等のおそれがなくなり、その安全性が高まる。
【0143】
試験紙5上への血液の供給、展開に伴い、血液中の目的成分(例えばブドウ糖)と試験紙5に担持された試薬とが反応し、目的成分の量に応じて呈色する。
【0144】
試験紙5の呈色強度を前述したように成分測定装置100で光学的に測定することにより、血液中の目的成分量(血糖値)が求まる。
【0145】
また、本発明のチップ1を用いた場合には、指先に流出した血液7の量にかかわらず、その血液を簡単な操作で迅速かつ確実に試験紙5へ供給、展開することができる。従って、測定エラーも極めて少なく、測定精度の向上に寄与する。
【0146】
測定終了後は、チップ装着部101に内臓されているピン(チップ取り外し手段)104を先端方向へスライドさせ、ピン104の先端でチップ1のフランジ部22を押圧し、チップ1をチップ装着部101から取り外す。このとき、チップ1のチップ装着部101に対する嵌合力は、一定であるため、このようなチップ1の取り外し操作は、一定の力で行うことができ、よって、チップ1の取り外しを容易かつ確実に(再現性良く)行うことができる。
【0147】
取り外された使用済みのチップ1は、廃棄処分に供される。このとき、チップ1が収納されていた容器9に入れ、その容器9ごと廃棄することができる。これにより、周囲の汚染や感染をより確実に防止することができる。
【0148】
このように、使用済みのチップ1は、それに手を触れずに取り外すこと、さらには廃物容器(ゴミ箱)等に廃棄することができるので、チップ1の取り外しや交換に際し、血液(検体)が手などに付着し、汚染、感染を生じるおそれもなく、衛生的であり、安全性が高い。
【0149】
以上、本発明の成分測定用チップを図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、前述した各実施形態のうちの任意の2以上の構成を組み合わせたものでもよい。
また、脚部4の形状、本数、配置等は、図示の各実施形態のものに限定されない。
【0150】
本発明において、試験紙5は、図示のような単一の層で構成されているものに限らず、複数の層を積層した構成のものであってもよい。この場合、各層が異なる機能を有するもの(例えば、赤血球を透過する層、試薬層)とすることができる。
【0151】
また、試験紙5は、例えばリング状の突部のような、種々の凹凸が形成されたものでもよい。
【0152】
また、前記各実施形態では、検体として血液を挙げて説明したが、検体はこれに限らず、その他、例えば尿、リンパ液、隋液、胆汁、唾液等の体液またはその希釈液、濃縮液であってもよい。
【0153】
また、測定目的とする成分は、ブドウ糖(血糖値)に限らず、例えば、タンパク、コレステロール、尿酸、クレアチニン、アルコール、ナトリウム等の無機イオン、ヘモグロビン(潜血)等であってもよい。
【0154】
また、本発明のチップを装着する成分測定装置は、前述したような検体中の成分と試薬との反応により呈色した試験紙の呈色強度を光学的に測定(測色)し、測定値へ換算、表示するものの他に、検体中の成分の量に応じて生じる電位変化を電気的に測定し、測定値へ換算、表示するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明の成分測定用チップの第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す成分測定用チップの底面図である。
【図3】図1に示す成分測定用チップにおいて、試験紙を設置していない状態の底面図である。
【図4】本発明の成分測定用チップにおける細管の検体流入側端部の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の成分測定用チップにおける細管の検体流出側端部の構成を示す斜視図である。
【図6】図1に示す成分測定用チップを成分測定装置のチップ装着部に装着した状態を示す縦断面図である。
【図7】本発明の成分測定用チップの第2実施形態を示す縦断面図である。
【図8】図7に示す成分測定用チップの底面図である。
【図9】図7に示す成分測定用チップにおいて、試験紙を設置していない状態の底面図である。
【図10】本発明の成分測定用チップの第3実施形態を示す縦断面図である。
【図11】図10に示す成分測定用チップの底面図である。
【図12】本発明の成分測定用チップの第5実施形態を示す縦断面図である。
【図13】本発明の成分測定用チップを用いて血液(検体)を採取するときの状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0156】
1、1’ チップ(成分測定用チップ)
2 チップ本体
2a、2b 部品
21 台座部
22 フランジ部
23 下面
24 凹部
25 凸部
26 突起
27 挟持片
28 脚部の根元部に対応する部位
3 細管
31 検体導入流路
32 検体流入口
33 検体流出口
34 溝
35 突出部
36 溝
4 脚部
41 突部
42 根元部
43a、43b 端面(周方向の端面)
44 間隙
5、5’ 試験紙
51 固定部
52 固定点
6 間隙
61 検体溜り
7 血液
8 磁気吸着部材
9 容器
100 成分測定装置
101 チップ装着部
102 凹部
103 縮径部
104 ピン
105 角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップであって、
全体形状が平盤状のチップ本体と、
前記チップ本体の一方の面側に突出形成され、検体の導入流路を形成する細管と、
前記チップ本体の他方の面側に設置され、検体中の特定成分の量を検出し得る試験片と、
前記チップ本体の前記他方の面側でかつ前記試験片の外周付近に立設された複数の脚部とを備え、
前記試験片の前記他方の面の中心付近から前記各脚部の端部までの垂線の長さをA、前記チップ本体の前記一方の面上でかつ前記各脚部の根元部に対応する部位で形成される平面から前記細管の先端までの垂線の長さをBとしたとき、
A>Bを満足することを特徴とする成分測定用チップ。
【請求項2】
成分測定装置のチップ装着部に装着して使用される成分測定用チップであって、
全体形状が平盤状のチップ本体と、
前記チップ本体の一方の面側に突出形成され、検体の導入流路を形成する細管と、
前記チップ本体の他方の面側に設置され、検体中の特定成分の量を検出し得る試験片と、
前記チップ本体の前記他方の面側でかつ前記試験片の外周付近に、周方向に沿って間欠的に立設された複数の脚部とを備え、
前記試験片の前記他方の面の中心付近から前記各脚部の端部までの垂線の長さをA、隣接する前記脚部同士の周方向における最短距離をCとしたとき、C/Aが0.1〜1であることを特徴とする成分測定用チップ。
【請求項3】
前記Cが0.1〜5mmである請求項2に記載の成分測定用チップ。
【請求項4】
前記試験片の前記他方の面の中心付近から前記各脚部の端部までの垂線の長さをA、前記チップ本体の前記一方の面上でかつ前記各脚部の根元部に対応する部位で形成される平面から前記細管の先端までの垂線の長さをBとしたとき、
A>Bを満足する請求項2または3に記載の成分測定用チップ。
【請求項5】
B/Aが0.3〜0.98である請求項1または4に記載の成分測定用チップ。
【請求項6】
前記各脚部は、前記チップ本体の最大外径部より内側に設けられている請求項1ないし5のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項7】
前記各脚部は、少なくともその端部が弾性変形可能である請求項1ないし6のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項8】
隣接する脚部同士の周方向における間隙は、その周方向の長さが前記試験片の中心方向に向かって漸減している請求項1ないし7のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項9】
成分測定用チップ全体または主要部の色彩が黒色または暗色である請求項1ないし8のいずれかに記載の成分測定用チップ。
【請求項10】
前記試験片は、検体中の特定成分と反応して呈色する試験紙である請求項1ないし9のいずれかに記載の成分測定用チップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−138774(P2006−138774A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329702(P2004−329702)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】