成分測定装置
【課題】成分測定装置の基板に液体が接触したり、埃等が付着したりすることを防止する。
【解決手段】成分測定装置10は、測定部50の内部において、照射光の照射光用光路108と反射光の反射光用光路110を有するとともに試験紙70と対向する前部にレンズ88を保持する測光ブロック72と、照射光を発光する発光素子100及び反射光を受光する受光素子102が実装される基板74と、を有している。この測光ブロック72の後部には、基板74が配設される基板配置部80が備えられるとともに、該基板配置部80よりも後方に突出する隔壁112が形成されている。
【解決手段】成分測定装置10は、測定部50の内部において、照射光の照射光用光路108と反射光の反射光用光路110を有するとともに試験紙70と対向する前部にレンズ88を保持する測光ブロック72と、照射光を発光する発光素子100及び反射光を受光する受光素子102が実装される基板74と、を有している。この測光ブロック72の後部には、基板74が配設される基板配置部80が備えられるとともに、該基板配置部80よりも後方に突出する隔壁112が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液中の生体成分を光学的に測定する成分測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの体液中の生体成分を検出し、その成分量や性質等を光学的に測定する際に成分測定装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。成分測定装置は、先端側に測定部を備え、この測定部は体液が染み込んだ試験紙(測定対象)に所定の波長を有する照射光を照射し、この試験紙からの反射光を受光してその強度(光量)を測定することで、液体中の成分を検出する。
【0003】
この種の成分測定装置では、通常、生体成分を検出する測定部に照射光を集光するレンズ(又は、反射光を集光するレンズを含むこともある)が配設される。この場合、成分測定装置は、レンズによって照射光を測定対象の一部に集光することで、測定時の光量を増加させる。
【0004】
また、試験紙は、通常、該試験紙を保持するホルダを備えた測定チップを介して、成分測定装置の先端部に装着される。成分測定装置には、測定後の測定チップを手で触れずに脱着できるようにイジェクト部材が設けられている。イジェクト部材は、測定部の近傍に配置され、測定チップを押し出すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3155842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、成分測定装置は、測定部に配設したレンズの表面に汚れが付着することがあり、必要に応じてレンズの洗浄等のメンテナンス作業が行われる。レンズの洗浄を行う場合は、通常、水分やアルコール等の液体を含む綿棒によりレンズ表面を擦ることで汚れを拭き取る。しかしながら、この洗浄時に、イジェクト部材が配置された空間、すなわち、レンズを保持している成分測定装置の保持部材(以下、測光ブロックという)の側面に液体が入り込み、液体がそのまま測光ブロックの後部に回り込むことがある。
【0007】
このため、発光素子や受光素子等の電子部品を実装した基板が測光ブロックの後部に取り付けられている構造では、測光ブロックの後部に回り込んだ液体が基板に接触することになり、基板上の電子部品に不具合をもたらす原因となる。また、成分測定装置は、測定部の開口部分から埃が入り込むこともあり、この埃が測光ブロックの測面から回り込んで基板に付着することで、基板や基板に装着された電子部品に悪影響を及ぼすおそれもある。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、簡単な構成によって、基板に対する液体の接触や埃等の付着を少なくすることができ、これにより基板上の電子部品の安定的な動作に寄与し、ひいては生体成分の測定が安定化する成分測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、測定対象に測定用の照射光を照射して該測定対象から反射された反射光を受光する測定部と、該測定部を収容する筐体と、を備え、前記反射光の検出結果に基づいて前記測定対象に含まれる成分を測定する成分測定装置であって、前記測定部は、該測定部の内部に取り付けられ、前記照射光と前記反射光の光路を有するとともに前記測定対象と対向する前部にレンズを保持する測光ブロックと、前記照射光を発光する発光素子及び前記反射光を受光する受光素子が実装される基板と、を備え、前記測光ブロックの後部には、前記基板が配設される基板配置部が備えられるとともに、該基板配置部よりも後方に突出する隔壁が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、測光ブロックの後部に隔壁が形成されていることで、例えば、レンズ等を洗浄する場合に、液体が測光ブロックの側面から回り込んでも、後方に突出する隔壁によって液体を遮ることができ、該液体を基板に接触し難くすることができる。また、例えば、測定部の開口部分から埃等が入り込んでも、隔壁が備えられていることで、この埃等を基板に付着し難くすることができる。したがって、成分測定装置は、液体や埃等の影響を受けることが少なくなり、これにより基板に実装した電子部品の安定的な動作に寄与し、成分測定の精度をより安定化することができる。
【0011】
さらに、隔壁は、測光ブロックと基板との当接部分を介して側方から外光が入り込むことを低減させることができる。これにより、反射光を受光する受光素子に余計な光が入り込むことが回避されるため、測定精度を向上することができる。また、隔壁によって外光の入り込みを防ぐことで、筐体を薄肉に成形する、或いは筐体を透明又は半透明とする等の設計の自由度を向上することができる。
【0012】
以上のように、発光素子及び受光素子を備えた基板に対して、液体の接触、埃等の付着、及び光の侵入が防止されるため、測光ブロックのレンズに近づけて該基板を取り付けることに支障がなくなり、測定部の小型化を実現することができる。
【0013】
また、前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板の全ての側辺を囲う構成であることが好ましい。このように、隔壁が基板の全側辺を囲うことで、基板に対する液体の接触や埃等の付着をより妨げることができる。
【0014】
さらに、前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板よりも後方に突出するように形成されていることが好ましい。このように、隔壁が基板よりも後方に突出していれば、この隔壁によって、測光ブロックと基板との当接部分を側面方向から確実に覆うことができ、基板に対する液体の接触や埃等の付着を一層妨げることができる。
【0015】
ここで、成分測定装置の具体的構成として、前記測定部には、測定対象として試験紙が収容されるとともに、前記測定部に対して係止可能な係止部を備える測定チップが挿入され、前記測定部の周囲には、前記測定チップの挿入方向に摺動し、前記係止部に当接して前記測定チップを前方に押し出すイジェクト部材が設けられ、さらに、前記筐体の内周面と前記測光ブロックの側面との間には、前記イジェクト部材が摺動可能なクリアランスが形成されていてもよい。
【0016】
このように、筐体の内周面と前記測光ブロックの側面との間のクリアランスに、イジェクト部材が摺動することで、測定チップの係止部に当接し測定チップを容易に押し出すことができる。また、クリアランスから液体や埃等が入り込み測光ブロックの側面に回りこんだとしても、測光ブロックの後部には隔壁が形成されているため、基板に対する液体の接触や埃等の付着を妨げることができる。
【0017】
また、前記基板配置部には、前記基板がねじ止めされる基板固定孔が前記隔壁の近傍に形成されていてもよい。このように基板固定孔が隔壁の近傍に形成されていることで、測光ブロックと基板とをねじ止めする場合に基板配置部に応力がかかっても、基板固定孔の近くにある隔壁により、基板配置部が歪むことを防ぐことができる。したがって、測光ブロックと基板とを強固にねじ止めすることが可能となり、発光素子や受光素子が実装された基板の実装面に、外光等が入り込むことをより低減させることができる。
【0018】
さらに、前記測光ブロックの後方には、前記隔壁と同じ突出量で該隔壁に連なる段部が形成されるとともに、前記段部には、前記測光ブロックが前記筐体にねじ止めされる取付用ねじ孔が穿設されていてもよい。隔壁と同じ突出量で連なる段部は、充分な肉厚を有することになるため、この段部に取付用ねじ孔が穿設されていることで、測光ブロックを筐体に強固にねじ止めすることができる。したがって、例えば、成分測定装置を持ち運ぶ時等に、筐体から振動等が伝わっても、測光ブロックや基板をがたつかせることがなくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単な構成によって、基板に対する液体の接触や埃等の付着を妨げることができ、これにより基板上の電子部品の安定的な動作に寄与し、ひいては生体成分の測定が安定化する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す血糖値測定装置の側面図である。
【図3】図1に示す血糖値測定装置の正面図である。
【図4】図1に示す血糖値測定装置の分解斜視図である。
【図5】図1に示す血糖値測定装置のV−V線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置の測定部を示す分解斜視図である。
【図7】図5に示す血糖値測定装置の測定部の背面図である。
【図8】図5に示す血糖値測定装置の測定部の側面断面図である。
【図9】図5に示す血糖値測定装置の測定部の平面断面図である。
【図10】本実施の形態に係る血糖値測定装置によって実際に血液成分の検出を行う状態を示す説明図である。
【図11】本実施の形態に係る血糖値測定装置においてレンズの洗浄を行う状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る成分測定装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施の形態の説明では、成分測定装置として、血液成分のうち主に血糖値を測定する血糖値測定装置について詳述する。この血糖値測定装置は、医師や看護師、或いは糖尿病患者等が、血液を採取して血糖値を測定し、その血糖値の測定データを管理する装置である。なお、成分測定装置は、本血糖値測定装置に限定されないことは勿論である。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置(成分測定装置)の全体構成を示す斜視図であり、図2は同装置の側面図、図3は同装置の正面図、図4は同装置の分解斜視図、図5は図1のV−V線の側面断面図である。
【0024】
図1〜図3に示すように、血糖値測定装置10は、外観を構成する筐体12を有し、この筐体12は、人が片手で持って操作スイッチ14を容易に押圧操作できるように、少し細長であって手にフィットする立体形状に形成されている。この筐体12は、上ケース16と、下ケース18と、先端ケース20とを含み、上ケース16と下ケース18とが上下に重ね合わされるとともに、上ケース16及び下ケース18の先端部に先端ケース20が装着されることで組み立てられる。また、筐体12には、血糖値の測定に必要な情報の入力事項や確認事項、測定結果等が表示される表示部22と、2つの操作スイッチ14からなる操作部24が配置されている。
【0025】
図4に示すように、血糖値測定装置10の表示部22には、上ケース16に形成された開口窓26に液晶カバー28が嵌め込まれており、この液晶カバー28の下層に液晶パネル30が内蔵されている。なお、上ケース16の上面には、液晶カバー28及び2つの操作スイッチ14を覆うため適宜な大きさに形成された正面パネル32が貼り付けられる。
【0026】
操作部24は、2つの操作スイッチ14が、上ケース16の上面に設けた挿通孔34にそれぞれ挿入されて、これら操作スイッチ14を介して血糖値測定装置10のオン/オフ操作等の各種操作が可能とされている。
【0027】
表示部22及び操作部24が備えられた上ケース16の裏面側(筐体12内部)には、表示部22の液晶パネル30と、本血糖値測定装置10を制御するメイン配線基板36が配置されている。メイン配線基板36には、所定形状に形成された電気回路が印刷配線等によって設けられている。そして、メイン配線基板36には予め設定された所定の機能を実行するためのマイクロコンピュータ、予め所定のプログラムが記憶されたROMやRAM等の記憶装置、コンデンサや抵抗その他の電子部品等が実装されている(ともに図示せず)。
【0028】
また、下ケース18の上面側(筐体12内部)には、電池収納部38が設けられている。電池収納部38には、携帯用電源としてのボタン型電池40が収納されている。この電池収納部38は、下ケース18に対して着脱可能に構成された電池蓋42によって開閉可能に覆われている。血糖値測定装置10は、ボタン型電池40の電力により、メイン配線基板36等の制御、或いは表示部22の表示等が行われるようになっている。なお、血糖値測定装置10に用いられる電源は、ボタン型電池に限られるものではなく、丸型乾電池や角型乾電池、又は二次電池や外部電源に電源コードを介して接続する構成としてもよい。
【0029】
図1及び図2に示すように、上ケース16及び下ケース18が重ね合わされた筐体12は、中間部から先端部にかけて先細となり、且つ全体的に下ケース18側に湾曲するように形成されている。先端ケース20は、この先端部に取り付けられ、血液を検出する測定部50の筐体として構成されている。
【0030】
また、上ケース16上面の先端部寄りには、イジェクト操作子44の移動を案内する長孔46が設けられている(図4参照)。この長孔46は、筐体12の前後方向へ所定の長さだけ直線的に延在しており、イジェクト操作子44の脚部44aが摺動可能に挿入される(図5参照)。この脚部44aには、筐体12内部においてイジェクト部材48がねじ止めされる。すなわち、イジェクト操作子44は、イジェクト部材48の摺動を操作することができる。
【0031】
図4に示すように、先端ケース20は、上ケース16及び下ケース18に取り付けられる角筒部52と、この角筒部52の先端側に形成された円筒部54と、を有する。角筒部52の内部には、血液を光学的に測定するための種々の部材が取り付けられる。一方、円筒部54は先端面が開口しており、この開口部56には測定チップ58が着脱自在に取り付けられる。
【0032】
測定チップ58は、円板状に形成されたベース部60と、このベース部60の先端面側に形成されたノズル62と、ノズル62の反対面側に形成された係合部64と、を備える。ベース部60は、外径が円筒部54の外径と略一致するように形成されている。このベース部60の中央にはノズル62が立設されている。ノズル62は、先端面から背面に貫通する採取孔62aが中心軸上に形成されている(図5参照)。また、ノズル62の先端面には血液を吸収しやすくするための凹溝62bが設けられている(図3参照)。
【0033】
測定チップ58の係合部64は、円筒状に形成され、円筒部54の開口部56に嵌合する外径に形成されている。この係合部64は、弾性力を有した4つの係止爪(係止部)66が後方に突出するように形成されている。各係止爪66は、円筒部54に挿入された時に円筒部54内に形成された突条54aに係合する凸部66aが外周側に形成されており、この凸部66aが突条54aを乗り越えて、該突条54aに係止されることにより、測定チップ58を円筒部54に取り付けることができる(図8参照)。
【0034】
また、係合部64の内側には、図5に示すように、採取孔62aに連通する試験紙収容部68が設けられている。この試験紙収容部68には、血液を採取した際に該血液が染み込む試験紙(測定対象)70が収容されている。血糖値測定装置10は、この試験紙70に照射光を照射して、試験紙70からの反射光を受光することで血液成分の測定を行う。
【0035】
図6は、本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置10の測定部50を示す分解斜視図であり、図7は、測定部50の背面図、図8は測定部50の側面断面図、図9は測定部50の平面断面図である。
【0036】
血糖値測定装置10の測定部50は、測定チップ58に採取した血液成分を光学的に測定する部位である。図6に示すように、測定部50は、先端ケース20、測光ブロック72、基板74及びイジェクト部材48等を含む構成である。先端ケース20は、既述したように、角筒部52と円筒部54からなり、上ケース16と下ケース18を重ね合わせた筐体12の先端部に取り付けられる。この先端ケース20は、例えば、ASB樹脂やポリカーボネート等の合成樹脂によって成形される。
【0037】
測光ブロック72は、血液成分の検出を行う基板74を保持して、先端ケース20内部に取り付けられる部材である。この測光ブロック72は、先端ケース20と同じ材料で成形することができ、平板状の基端部76と、基端部76から先端方向に突出する突出部78とからなる。
【0038】
図8に示すように、測光ブロック72の基端部76は、前面に突出部78が形成され、後面に基板配置部80が備えられている。基板配置部80は、基板74が配置可能な平坦状に形成されており、この基板配置部80には、基板74を位置決めする位置決め突起80aが略中央部に立設されている。位置決め突起80aは基板74を貫通し、後述する発光素子100と受光素子102の間に介在して、発光素子100から受光素子102への直接的な光の伝搬を阻止している。
【0039】
また基端部76には、取付用ねじ孔82が二箇所形成されている(図7参照)。測光ブロック72は、この取付用ねじ孔82に後方から取付用ねじ84が挿通されて、先端ケース20に形成された取付用雌ねじ(図示せず)にねじ止めされることで、先端ケース20に取り付けられる。
【0040】
一方、図6に示すように、測光ブロック72の突出部78は、両側面が直線状で且つ上下面が円弧状となった偏円体に形成されている。この突出部78の前面は、突出部側開口部86が形成されており、この突出部側開口部86にはレンズ88が装着される。測光ブロック72に取り付けられるレンズ88は、上部側に照射光用レンズ88aを形成し、下部側に反射光用レンズ88bを形成した一体型となっている。また、レンズ88は側周面にOリング90を嵌め込んで突出部側開口部86に装着されることで、突出部側開口部86をレンズ88によって密封した状態としている。
【0041】
測定部50の基板74は、前記基板配置部80に配置可能な形状に形成されており、この基板74の所定の箇所(二箇所)には基板側ねじ孔92が穿設されている。基板74は、この基板側ねじ孔92に後方から基板用ねじ94が挿通されて、基板配置部80に形成された基板固定孔96にねじ止めされることで、測光ブロック72に配設される(図7参照)。
【0042】
基板74は、基板配置部80と対向する面に、照射光を照射する二つの発光素子100(第1の発光素子100a、第2の発光素子100b:図9参照)、反射光を受光する受光素子102、及び血液成分の検出に必要な各種電子部品が実装されている。照射光を照射する発光素子100としては、例えば、所定波長の光を発光する発光ダイオード(LED)を適用することができ、受光素子としては、例えば、フォトダイオード(PD)を適用することができる。なお、本実施の形態では、砲弾形状の外装(透過体)を有していない発光素子100及び受光素子102を基板74に実装することで、基板74の小型化及び血糖値測定装置10の小型化を実現している。
【0043】
図8に示すように、測光ブロック72の基板配置部80に基板74を配設する場合は、発光素子100及び受光素子102を基板配置部80に向けて配設する。ここで、測光ブロック72の基板配置部80には、2つの開口部(照射光基板側開口部104、反射光基板側開口部106)が形成されている。基板配置部80に基板74を配設した状態では、発光素子100が照射光基板側開口部104に入り込み、受光素子102が反射光基板側開口部106に入り込む構成となっている。
【0044】
また、照射光基板側開口部104は、照射光用光路108に連通し、反射光基板側開口部106は反射光用光路110に連通している。照射光用光路108及び反射光用光路110は、基端部76及び突出部78の内部をそれぞれ貫通して、先端側では共に突出部側開口部86に連通している。このように、血糖値測定装置10は、照射光用光路108及び反射光用光路110を共に測光ブロック72に形成することで、部品点数を少なくすることができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0045】
したがって、基板配置部80に基板74を配設した状態では、発光素子100が照射光用光路108の基端側にあり、発光素子100が出射する照射光を、照射光用光路108からレンズ88に導き、さらにレンズ88を介して試験紙70に照射すること可能となる。一方、受光素子102は、反射光用光路110の基端側にあり、試験紙70から反射される反射光を、レンズ88及び反射光用光路110を介して受光する。
【0046】
さらに、本実施の形態に係る測光ブロック72の基端部76には、基板配置部80から後方に突出する隔壁112が後面に形成されている。隔壁112は、基板配置部80に基板74を配設した状態において、測光ブロック72の後面の全辺を囲い、且つ基板74よりも後方に突出するように形成されており、基板74に対して液体の接触や埃等の付着を防ぐ機能を有している。隔壁112の作用効果については後述する。
【0047】
また、測光ブロック72を先端ケース20に取り付けた状態では、先端ケース20の内周面と測光ブロック72の突出部78側面との間にクリアランス114が形成される。このクリアランス114には、イジェクト部材48が摺動可能に配置される。
【0048】
図6に示すように、測定部50のイジェクト部材48は、先端側に形成された押出部116と、この押出部116が固定されるとともに所定距離だけ摺動可能な摺動プレート118と、を含む構成である。押出部116は、円筒形状の下部が所定量切り欠かれた円弧状に形成されている。
【0049】
摺動プレート118は、押出部116から後方に延在する平板状に成形されている。この摺動プレート118は、中央部が長手方向に切り欠かれており、この切り欠き部118aの後端にバネ用突起120が形成されている。また、摺動プレート118の後部には、イジェクト用ねじ122によってイジェクト操作子44の脚部44aに螺合されるイジェクト部材側ねじ孔124が穿設されている(図5参照)。
【0050】
一方、先端ケース20には、図7に示すように、イジェクト部材48の先端側を収容するイジェクト部材配置部126が形成されている。このイジェクト部材配置部126は、角筒部52内の上側に形成されており、摺動プレート118の両側端部を支持する支持片128と、上部中央部において後方側に突出するバネ配置突起130(図8参照)と、によって構成される。
【0051】
イジェクト部材48は、図6及び図8に示すように、バネ部材132を切り欠き部118aに配して、イジェクト部材配置部126に配置される。この場合、バネ部材132の一端にバネ用突起120が挿入され、他端にバネ配置突起130が挿入される。
【0052】
測光ブロック72及びイジェクト部材48を先端ケース20に配置した状態では、押出部116が測光ブロック72の突出部78の外周面(上面及び両側面)上に配置される。また、イジェクト部材48は、筐体12の先端及び後端方向に摺動自在に配置されることになり、このイジェクト部材48が摺動することで、この押出部116が突出部78の外周上(すなわち、クリアランス114)を進退移動する。測定チップ58が先端ケース20に取り付けられている場合は、イジェクト部材48の先端方向への移動により、押出部116が測定チップ58の係止爪66を押し出す。これによって、筐体12から測定チップ58を取り外すことができる。
【0053】
次に、本実施の形態に係る血糖値測定装置10による血液成分の測定について説明する。血液成分の測定では、まず測定チップ58が装着された筐体12を用いてユーザの血液を採取する。具体的には、指先を専用の穿刺器具(図示せず)で穿刺し、皮膚上に少量(例えば、0.3〜1.5μL程度)の血液を流出させる。そして、指先から流出した血液に、血糖値測定装置10の先端に装着されている測定チップ58のノズル62先端を当接させる。
【0054】
これにより、血液は、ノズル62先端の凹溝62bを経て採取孔62a内に入り込み、毛細管現象によって後端に吸引される。そして、試験紙収容部68内に収容されている試験紙70に染み込み、試験紙70の径方向外側へ向かって円形状に広がっていく。この血液の展開と同時に、血液中のブドウ糖と試験紙70に含まれている発色試薬とが反応を開始し、ブドウ糖の量に応じて試験紙70が呈色する。
【0055】
図10は、本実施の形態に係る血糖値測定装置10によって実際に血液成分の検出を行う状態を示す説明図である。すなわち、血糖値測定装置10は、第1の発光素子100a(又は第2の発光素子100b)から照射光Liを出射する。第1の発光素子100a(又は第2の発光素子100b)から出射された照射光Liは、照射光用光路108を通過し、照射光用レンズ88aに入射される。そして、照射光用レンズ88aに入射された照射光Liは、この照射光用レンズ88aによって集光されて試験紙70に照射される。
【0056】
試験紙70に照射された照射光Liは、試験紙70によって反射され、反射光Lrとして反射光用レンズ88bに入射される。そして、反射光用レンズ88bに入射された反射光Lrは、この反射光用レンズ88bによって集光された後、反射光用光路110を通過し、受光素子102で受光されて、その光量が測定される。これにより、血糖値測定装置10は、試験紙70の呈色の度合いを測定することができる。
【0057】
血糖値測定装置10による血糖値の測定には、第1の発光素子100aと第2の発光素子100bの照射光Liが交互に出射される。そして、第1の発光素子100aが照射する照射光Liによって発色試薬とブドウ糖との反応で生じた色素を検出し、ブドウ糖の量に応じた呈色濃度を測定する。また、第2の発光素子100bが照射する照射光Liによって赤血球を検出し、赤血球の赤色濃度を測定する。そして、呈色濃度から得られるグルコース値を赤色濃度から得られるヘマトクリット値を用いて補正しつつグルコース濃度を定量化して、血糖値を求めることができる。
【0058】
測定終了後、測定チップ58を筐体12から取り外す場合は、イジェクト操作子44を先端側に押圧してイジェクト部材48を前方(先端側)にスライドさせる。これにより、イジェクト部材48の押出部116が測定チップ58の係止爪66を前方に押圧し、測定チップ58を取り外すことができる。また、改めて血液成分の測定を行う場合は、新しい測定チップ58を先端ケース20に取り付ける。このように、測定チップ58を簡単に交換することができるため、血液成分の測定を効率的に行うことが可能となる。
【0059】
この場合、ユーザは、片手操作によって測定チップ58を血糖値測定装置10から容易に取り外すことができる。しかも、測定チップ58は下ケース18側に湾曲した筐体12の先端に取り付けられているため、イジェクト操作子44の操作によって、測定チップ58に手を触れることなく、簡単且つ迅速に該測定チップ58の廃棄処理を行うことができる。
【0060】
図11は、本実施の形態に係る血糖値測定装置10において隔壁112の機能を示す説明図であり、図11Aは測光ブロック72に隔壁112が設けられている場合、図11Bは測光ブロック72に隔壁112がない場合を示している。
【0061】
図11に示すように、血糖値測定装置10のレンズ88を洗浄する場合は、例えば、該装置10の先端側を上方に向けて、洗浄するレンズ88をユーザに見えるようにして、水やアルコール等の液体を含ませた綿棒によりレンズ88表面が擦られる。このとき、液体が先端ケース20の内周面と測光ブロック72側面の間に形成されたクリアランス114から入り込むことがある。この場合、図11Bに示すように、測光ブロック72に隔壁112がない構成では、液体が基板74に回り込み、この液体が基板74に接触して電子部品に不具合をもたらす可能性がある。
【0062】
しかしながら、本実施の形態に係る血糖値測定装置10は、図11Aに示すように、測光ブロック72の後面に隔壁112が設けられている。この隔壁112によって、測光ブロック72の側面に回り込んだ液体は、基板配置部80に回り込むことが阻害される。このため、液体が基板74に接触することを妨げることができる。
【0063】
また、測定チップ58が筐体12に取り付けられていない場合は、測定部50が開口した状態となっていることから、埃等がクリアランス114に入り込むことがある。しかし、測光ブロック72に備えられた隔壁112が埃等の進路を遮断することで、この埃等が基板74に付着することを妨げることができる。
【0064】
このように、血糖値測定装置10は、液体や埃等の影響を受けることが少なくなり、これにより基板74に実装した発光素子100及び受光素子102等の電子部品をより安定的に動作させることができ、測定精度の安定化を図ることが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態の隔壁112は、既述したように、測光ブロック72の後面の全辺を囲い、且つ基板74の板厚よりも大きな突出量で形成されている。このように隔壁112を形成することによって、基板配置部80に配設した基板74を側面方向から確実に覆うことができ、基板74に対する液体の接触や埃等の付着を一層妨げることができる。
【0066】
ここで、血糖値測定装置10は、試験紙70の血液の染み込み状態を目視するために、先端ケース20又は測定チップ58が半透明(又は透明)に成形されたものが要望されている。このような半透明の先端ケース20又は測定チップ58を適用した場合、図11Bに示すように、外光が先端ケース20や測定チップ58を透過し、さらにこの外光が測光ブロック72と基板74との当接部分から入り込む場合がある。この場合、測光ブロック72内に配置されている受光素子102で外光を検出してしまい、測定精度を低下させる結果を招く。
【0067】
しかしながら、図11Aに示すように、本実施の形態に係る血糖値測定装置10は、隔壁112の存在によって、測光ブロック72と基板74との当接部分に対して側方から外光が入り込むことを低減させることができる。これにより、反射光を受光する受光素子102に余計な光が入り込むことが回避されるため、成分測定の精度を向上することができる。したがって、血糖値測定装置10は、先端ケース20や測定チップ58を半透明(又は透明)に成形しても、測定精度に支障がなく、設計の自由度が向上される。例えば、先端ケース20を含む筐体12を薄肉に成形して、筐体12が外光を透過することになっても測定精度を維持することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、図7に示すように、基板固定孔96を隔壁112の近傍に設けている。これにより、測光ブロック72と基板74とをねじ止め固定することで基板配置部80を歪ませる応力がかかっても、リブ状に形成された隔壁112によって基板配置部80が歪むことを防ぐことができる。したがって、測光ブロック72と基板74とを強固にねじ止めすることが可能となり、発光素子100や受光素子102が実装された実装面に、外光等が入り込むことをより低減させることができる。
【0069】
さらに、本実施の形態の測光ブロック72は、隔壁112と同じ突出量で且つ隔壁112に連なる段部113が後面に形成されており(図7参照)、この段部113に取付用ねじ孔82が穿設されている。すなわち、取付用ねじ孔82は、充分な肉厚を有する段部113に形成されているため、取付用ねじ84によって測光ブロック72を先端ケース20に強固にねじ止めすることができる。したがって、例えば、血糖値測定装置10を持ち運ぶ時等に、筐体12から振動等が伝わっても、測光ブロック72や基板74等をがたつかせることがない。
【0070】
また、血糖値測定装置10は、発光素子100及び受光素子102を備えた基板74に対して、液体の接触、埃等の付着、及び外光の侵入が防止されるため、測光ブロック72のレンズ88に近づけて該基板74を取り付けることに支障がなくなり、測定部50の小型化を実現することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。例えば、本発明に係る成分測定装置は、尿の成分の測定する装置として適用してもよく、或いは、体液以外に、排水や工業用水等の成分測定を行う装置として適用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
10…血糖値測定装置 12…筐体
16…上ケース 18…下ケース
20…先端ケース 48…イジェクト部材
50…測定部 52…角筒部
54…円筒部 58…測定チップ
66…係止爪 70…試験紙
72…測光ブロック 74…基板
80…基板配置部 82…取付用ねじ孔
96…基板固定孔 100…発光素子
102…受光素子 112…隔壁
113…段部 114…クリアランス
116…押出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液中の生体成分を光学的に測定する成分測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や尿などの体液中の生体成分を検出し、その成分量や性質等を光学的に測定する際に成分測定装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。成分測定装置は、先端側に測定部を備え、この測定部は体液が染み込んだ試験紙(測定対象)に所定の波長を有する照射光を照射し、この試験紙からの反射光を受光してその強度(光量)を測定することで、液体中の成分を検出する。
【0003】
この種の成分測定装置では、通常、生体成分を検出する測定部に照射光を集光するレンズ(又は、反射光を集光するレンズを含むこともある)が配設される。この場合、成分測定装置は、レンズによって照射光を測定対象の一部に集光することで、測定時の光量を増加させる。
【0004】
また、試験紙は、通常、該試験紙を保持するホルダを備えた測定チップを介して、成分測定装置の先端部に装着される。成分測定装置には、測定後の測定チップを手で触れずに脱着できるようにイジェクト部材が設けられている。イジェクト部材は、測定部の近傍に配置され、測定チップを押し出すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3155842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、成分測定装置は、測定部に配設したレンズの表面に汚れが付着することがあり、必要に応じてレンズの洗浄等のメンテナンス作業が行われる。レンズの洗浄を行う場合は、通常、水分やアルコール等の液体を含む綿棒によりレンズ表面を擦ることで汚れを拭き取る。しかしながら、この洗浄時に、イジェクト部材が配置された空間、すなわち、レンズを保持している成分測定装置の保持部材(以下、測光ブロックという)の側面に液体が入り込み、液体がそのまま測光ブロックの後部に回り込むことがある。
【0007】
このため、発光素子や受光素子等の電子部品を実装した基板が測光ブロックの後部に取り付けられている構造では、測光ブロックの後部に回り込んだ液体が基板に接触することになり、基板上の電子部品に不具合をもたらす原因となる。また、成分測定装置は、測定部の開口部分から埃が入り込むこともあり、この埃が測光ブロックの測面から回り込んで基板に付着することで、基板や基板に装着された電子部品に悪影響を及ぼすおそれもある。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、簡単な構成によって、基板に対する液体の接触や埃等の付着を少なくすることができ、これにより基板上の電子部品の安定的な動作に寄与し、ひいては生体成分の測定が安定化する成分測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、測定対象に測定用の照射光を照射して該測定対象から反射された反射光を受光する測定部と、該測定部を収容する筐体と、を備え、前記反射光の検出結果に基づいて前記測定対象に含まれる成分を測定する成分測定装置であって、前記測定部は、該測定部の内部に取り付けられ、前記照射光と前記反射光の光路を有するとともに前記測定対象と対向する前部にレンズを保持する測光ブロックと、前記照射光を発光する発光素子及び前記反射光を受光する受光素子が実装される基板と、を備え、前記測光ブロックの後部には、前記基板が配設される基板配置部が備えられるとともに、該基板配置部よりも後方に突出する隔壁が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、測光ブロックの後部に隔壁が形成されていることで、例えば、レンズ等を洗浄する場合に、液体が測光ブロックの側面から回り込んでも、後方に突出する隔壁によって液体を遮ることができ、該液体を基板に接触し難くすることができる。また、例えば、測定部の開口部分から埃等が入り込んでも、隔壁が備えられていることで、この埃等を基板に付着し難くすることができる。したがって、成分測定装置は、液体や埃等の影響を受けることが少なくなり、これにより基板に実装した電子部品の安定的な動作に寄与し、成分測定の精度をより安定化することができる。
【0011】
さらに、隔壁は、測光ブロックと基板との当接部分を介して側方から外光が入り込むことを低減させることができる。これにより、反射光を受光する受光素子に余計な光が入り込むことが回避されるため、測定精度を向上することができる。また、隔壁によって外光の入り込みを防ぐことで、筐体を薄肉に成形する、或いは筐体を透明又は半透明とする等の設計の自由度を向上することができる。
【0012】
以上のように、発光素子及び受光素子を備えた基板に対して、液体の接触、埃等の付着、及び光の侵入が防止されるため、測光ブロックのレンズに近づけて該基板を取り付けることに支障がなくなり、測定部の小型化を実現することができる。
【0013】
また、前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板の全ての側辺を囲う構成であることが好ましい。このように、隔壁が基板の全側辺を囲うことで、基板に対する液体の接触や埃等の付着をより妨げることができる。
【0014】
さらに、前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板よりも後方に突出するように形成されていることが好ましい。このように、隔壁が基板よりも後方に突出していれば、この隔壁によって、測光ブロックと基板との当接部分を側面方向から確実に覆うことができ、基板に対する液体の接触や埃等の付着を一層妨げることができる。
【0015】
ここで、成分測定装置の具体的構成として、前記測定部には、測定対象として試験紙が収容されるとともに、前記測定部に対して係止可能な係止部を備える測定チップが挿入され、前記測定部の周囲には、前記測定チップの挿入方向に摺動し、前記係止部に当接して前記測定チップを前方に押し出すイジェクト部材が設けられ、さらに、前記筐体の内周面と前記測光ブロックの側面との間には、前記イジェクト部材が摺動可能なクリアランスが形成されていてもよい。
【0016】
このように、筐体の内周面と前記測光ブロックの側面との間のクリアランスに、イジェクト部材が摺動することで、測定チップの係止部に当接し測定チップを容易に押し出すことができる。また、クリアランスから液体や埃等が入り込み測光ブロックの側面に回りこんだとしても、測光ブロックの後部には隔壁が形成されているため、基板に対する液体の接触や埃等の付着を妨げることができる。
【0017】
また、前記基板配置部には、前記基板がねじ止めされる基板固定孔が前記隔壁の近傍に形成されていてもよい。このように基板固定孔が隔壁の近傍に形成されていることで、測光ブロックと基板とをねじ止めする場合に基板配置部に応力がかかっても、基板固定孔の近くにある隔壁により、基板配置部が歪むことを防ぐことができる。したがって、測光ブロックと基板とを強固にねじ止めすることが可能となり、発光素子や受光素子が実装された基板の実装面に、外光等が入り込むことをより低減させることができる。
【0018】
さらに、前記測光ブロックの後方には、前記隔壁と同じ突出量で該隔壁に連なる段部が形成されるとともに、前記段部には、前記測光ブロックが前記筐体にねじ止めされる取付用ねじ孔が穿設されていてもよい。隔壁と同じ突出量で連なる段部は、充分な肉厚を有することになるため、この段部に取付用ねじ孔が穿設されていることで、測光ブロックを筐体に強固にねじ止めすることができる。したがって、例えば、成分測定装置を持ち運ぶ時等に、筐体から振動等が伝わっても、測光ブロックや基板をがたつかせることがなくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単な構成によって、基板に対する液体の接触や埃等の付着を妨げることができ、これにより基板上の電子部品の安定的な動作に寄与し、ひいては生体成分の測定が安定化する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す血糖値測定装置の側面図である。
【図3】図1に示す血糖値測定装置の正面図である。
【図4】図1に示す血糖値測定装置の分解斜視図である。
【図5】図1に示す血糖値測定装置のV−V線断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置の測定部を示す分解斜視図である。
【図7】図5に示す血糖値測定装置の測定部の背面図である。
【図8】図5に示す血糖値測定装置の測定部の側面断面図である。
【図9】図5に示す血糖値測定装置の測定部の平面断面図である。
【図10】本実施の形態に係る血糖値測定装置によって実際に血液成分の検出を行う状態を示す説明図である。
【図11】本実施の形態に係る血糖値測定装置においてレンズの洗浄を行う状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る成分測定装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施の形態の説明では、成分測定装置として、血液成分のうち主に血糖値を測定する血糖値測定装置について詳述する。この血糖値測定装置は、医師や看護師、或いは糖尿病患者等が、血液を採取して血糖値を測定し、その血糖値の測定データを管理する装置である。なお、成分測定装置は、本血糖値測定装置に限定されないことは勿論である。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置(成分測定装置)の全体構成を示す斜視図であり、図2は同装置の側面図、図3は同装置の正面図、図4は同装置の分解斜視図、図5は図1のV−V線の側面断面図である。
【0024】
図1〜図3に示すように、血糖値測定装置10は、外観を構成する筐体12を有し、この筐体12は、人が片手で持って操作スイッチ14を容易に押圧操作できるように、少し細長であって手にフィットする立体形状に形成されている。この筐体12は、上ケース16と、下ケース18と、先端ケース20とを含み、上ケース16と下ケース18とが上下に重ね合わされるとともに、上ケース16及び下ケース18の先端部に先端ケース20が装着されることで組み立てられる。また、筐体12には、血糖値の測定に必要な情報の入力事項や確認事項、測定結果等が表示される表示部22と、2つの操作スイッチ14からなる操作部24が配置されている。
【0025】
図4に示すように、血糖値測定装置10の表示部22には、上ケース16に形成された開口窓26に液晶カバー28が嵌め込まれており、この液晶カバー28の下層に液晶パネル30が内蔵されている。なお、上ケース16の上面には、液晶カバー28及び2つの操作スイッチ14を覆うため適宜な大きさに形成された正面パネル32が貼り付けられる。
【0026】
操作部24は、2つの操作スイッチ14が、上ケース16の上面に設けた挿通孔34にそれぞれ挿入されて、これら操作スイッチ14を介して血糖値測定装置10のオン/オフ操作等の各種操作が可能とされている。
【0027】
表示部22及び操作部24が備えられた上ケース16の裏面側(筐体12内部)には、表示部22の液晶パネル30と、本血糖値測定装置10を制御するメイン配線基板36が配置されている。メイン配線基板36には、所定形状に形成された電気回路が印刷配線等によって設けられている。そして、メイン配線基板36には予め設定された所定の機能を実行するためのマイクロコンピュータ、予め所定のプログラムが記憶されたROMやRAM等の記憶装置、コンデンサや抵抗その他の電子部品等が実装されている(ともに図示せず)。
【0028】
また、下ケース18の上面側(筐体12内部)には、電池収納部38が設けられている。電池収納部38には、携帯用電源としてのボタン型電池40が収納されている。この電池収納部38は、下ケース18に対して着脱可能に構成された電池蓋42によって開閉可能に覆われている。血糖値測定装置10は、ボタン型電池40の電力により、メイン配線基板36等の制御、或いは表示部22の表示等が行われるようになっている。なお、血糖値測定装置10に用いられる電源は、ボタン型電池に限られるものではなく、丸型乾電池や角型乾電池、又は二次電池や外部電源に電源コードを介して接続する構成としてもよい。
【0029】
図1及び図2に示すように、上ケース16及び下ケース18が重ね合わされた筐体12は、中間部から先端部にかけて先細となり、且つ全体的に下ケース18側に湾曲するように形成されている。先端ケース20は、この先端部に取り付けられ、血液を検出する測定部50の筐体として構成されている。
【0030】
また、上ケース16上面の先端部寄りには、イジェクト操作子44の移動を案内する長孔46が設けられている(図4参照)。この長孔46は、筐体12の前後方向へ所定の長さだけ直線的に延在しており、イジェクト操作子44の脚部44aが摺動可能に挿入される(図5参照)。この脚部44aには、筐体12内部においてイジェクト部材48がねじ止めされる。すなわち、イジェクト操作子44は、イジェクト部材48の摺動を操作することができる。
【0031】
図4に示すように、先端ケース20は、上ケース16及び下ケース18に取り付けられる角筒部52と、この角筒部52の先端側に形成された円筒部54と、を有する。角筒部52の内部には、血液を光学的に測定するための種々の部材が取り付けられる。一方、円筒部54は先端面が開口しており、この開口部56には測定チップ58が着脱自在に取り付けられる。
【0032】
測定チップ58は、円板状に形成されたベース部60と、このベース部60の先端面側に形成されたノズル62と、ノズル62の反対面側に形成された係合部64と、を備える。ベース部60は、外径が円筒部54の外径と略一致するように形成されている。このベース部60の中央にはノズル62が立設されている。ノズル62は、先端面から背面に貫通する採取孔62aが中心軸上に形成されている(図5参照)。また、ノズル62の先端面には血液を吸収しやすくするための凹溝62bが設けられている(図3参照)。
【0033】
測定チップ58の係合部64は、円筒状に形成され、円筒部54の開口部56に嵌合する外径に形成されている。この係合部64は、弾性力を有した4つの係止爪(係止部)66が後方に突出するように形成されている。各係止爪66は、円筒部54に挿入された時に円筒部54内に形成された突条54aに係合する凸部66aが外周側に形成されており、この凸部66aが突条54aを乗り越えて、該突条54aに係止されることにより、測定チップ58を円筒部54に取り付けることができる(図8参照)。
【0034】
また、係合部64の内側には、図5に示すように、採取孔62aに連通する試験紙収容部68が設けられている。この試験紙収容部68には、血液を採取した際に該血液が染み込む試験紙(測定対象)70が収容されている。血糖値測定装置10は、この試験紙70に照射光を照射して、試験紙70からの反射光を受光することで血液成分の測定を行う。
【0035】
図6は、本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置10の測定部50を示す分解斜視図であり、図7は、測定部50の背面図、図8は測定部50の側面断面図、図9は測定部50の平面断面図である。
【0036】
血糖値測定装置10の測定部50は、測定チップ58に採取した血液成分を光学的に測定する部位である。図6に示すように、測定部50は、先端ケース20、測光ブロック72、基板74及びイジェクト部材48等を含む構成である。先端ケース20は、既述したように、角筒部52と円筒部54からなり、上ケース16と下ケース18を重ね合わせた筐体12の先端部に取り付けられる。この先端ケース20は、例えば、ASB樹脂やポリカーボネート等の合成樹脂によって成形される。
【0037】
測光ブロック72は、血液成分の検出を行う基板74を保持して、先端ケース20内部に取り付けられる部材である。この測光ブロック72は、先端ケース20と同じ材料で成形することができ、平板状の基端部76と、基端部76から先端方向に突出する突出部78とからなる。
【0038】
図8に示すように、測光ブロック72の基端部76は、前面に突出部78が形成され、後面に基板配置部80が備えられている。基板配置部80は、基板74が配置可能な平坦状に形成されており、この基板配置部80には、基板74を位置決めする位置決め突起80aが略中央部に立設されている。位置決め突起80aは基板74を貫通し、後述する発光素子100と受光素子102の間に介在して、発光素子100から受光素子102への直接的な光の伝搬を阻止している。
【0039】
また基端部76には、取付用ねじ孔82が二箇所形成されている(図7参照)。測光ブロック72は、この取付用ねじ孔82に後方から取付用ねじ84が挿通されて、先端ケース20に形成された取付用雌ねじ(図示せず)にねじ止めされることで、先端ケース20に取り付けられる。
【0040】
一方、図6に示すように、測光ブロック72の突出部78は、両側面が直線状で且つ上下面が円弧状となった偏円体に形成されている。この突出部78の前面は、突出部側開口部86が形成されており、この突出部側開口部86にはレンズ88が装着される。測光ブロック72に取り付けられるレンズ88は、上部側に照射光用レンズ88aを形成し、下部側に反射光用レンズ88bを形成した一体型となっている。また、レンズ88は側周面にOリング90を嵌め込んで突出部側開口部86に装着されることで、突出部側開口部86をレンズ88によって密封した状態としている。
【0041】
測定部50の基板74は、前記基板配置部80に配置可能な形状に形成されており、この基板74の所定の箇所(二箇所)には基板側ねじ孔92が穿設されている。基板74は、この基板側ねじ孔92に後方から基板用ねじ94が挿通されて、基板配置部80に形成された基板固定孔96にねじ止めされることで、測光ブロック72に配設される(図7参照)。
【0042】
基板74は、基板配置部80と対向する面に、照射光を照射する二つの発光素子100(第1の発光素子100a、第2の発光素子100b:図9参照)、反射光を受光する受光素子102、及び血液成分の検出に必要な各種電子部品が実装されている。照射光を照射する発光素子100としては、例えば、所定波長の光を発光する発光ダイオード(LED)を適用することができ、受光素子としては、例えば、フォトダイオード(PD)を適用することができる。なお、本実施の形態では、砲弾形状の外装(透過体)を有していない発光素子100及び受光素子102を基板74に実装することで、基板74の小型化及び血糖値測定装置10の小型化を実現している。
【0043】
図8に示すように、測光ブロック72の基板配置部80に基板74を配設する場合は、発光素子100及び受光素子102を基板配置部80に向けて配設する。ここで、測光ブロック72の基板配置部80には、2つの開口部(照射光基板側開口部104、反射光基板側開口部106)が形成されている。基板配置部80に基板74を配設した状態では、発光素子100が照射光基板側開口部104に入り込み、受光素子102が反射光基板側開口部106に入り込む構成となっている。
【0044】
また、照射光基板側開口部104は、照射光用光路108に連通し、反射光基板側開口部106は反射光用光路110に連通している。照射光用光路108及び反射光用光路110は、基端部76及び突出部78の内部をそれぞれ貫通して、先端側では共に突出部側開口部86に連通している。このように、血糖値測定装置10は、照射光用光路108及び反射光用光路110を共に測光ブロック72に形成することで、部品点数を少なくすることができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0045】
したがって、基板配置部80に基板74を配設した状態では、発光素子100が照射光用光路108の基端側にあり、発光素子100が出射する照射光を、照射光用光路108からレンズ88に導き、さらにレンズ88を介して試験紙70に照射すること可能となる。一方、受光素子102は、反射光用光路110の基端側にあり、試験紙70から反射される反射光を、レンズ88及び反射光用光路110を介して受光する。
【0046】
さらに、本実施の形態に係る測光ブロック72の基端部76には、基板配置部80から後方に突出する隔壁112が後面に形成されている。隔壁112は、基板配置部80に基板74を配設した状態において、測光ブロック72の後面の全辺を囲い、且つ基板74よりも後方に突出するように形成されており、基板74に対して液体の接触や埃等の付着を防ぐ機能を有している。隔壁112の作用効果については後述する。
【0047】
また、測光ブロック72を先端ケース20に取り付けた状態では、先端ケース20の内周面と測光ブロック72の突出部78側面との間にクリアランス114が形成される。このクリアランス114には、イジェクト部材48が摺動可能に配置される。
【0048】
図6に示すように、測定部50のイジェクト部材48は、先端側に形成された押出部116と、この押出部116が固定されるとともに所定距離だけ摺動可能な摺動プレート118と、を含む構成である。押出部116は、円筒形状の下部が所定量切り欠かれた円弧状に形成されている。
【0049】
摺動プレート118は、押出部116から後方に延在する平板状に成形されている。この摺動プレート118は、中央部が長手方向に切り欠かれており、この切り欠き部118aの後端にバネ用突起120が形成されている。また、摺動プレート118の後部には、イジェクト用ねじ122によってイジェクト操作子44の脚部44aに螺合されるイジェクト部材側ねじ孔124が穿設されている(図5参照)。
【0050】
一方、先端ケース20には、図7に示すように、イジェクト部材48の先端側を収容するイジェクト部材配置部126が形成されている。このイジェクト部材配置部126は、角筒部52内の上側に形成されており、摺動プレート118の両側端部を支持する支持片128と、上部中央部において後方側に突出するバネ配置突起130(図8参照)と、によって構成される。
【0051】
イジェクト部材48は、図6及び図8に示すように、バネ部材132を切り欠き部118aに配して、イジェクト部材配置部126に配置される。この場合、バネ部材132の一端にバネ用突起120が挿入され、他端にバネ配置突起130が挿入される。
【0052】
測光ブロック72及びイジェクト部材48を先端ケース20に配置した状態では、押出部116が測光ブロック72の突出部78の外周面(上面及び両側面)上に配置される。また、イジェクト部材48は、筐体12の先端及び後端方向に摺動自在に配置されることになり、このイジェクト部材48が摺動することで、この押出部116が突出部78の外周上(すなわち、クリアランス114)を進退移動する。測定チップ58が先端ケース20に取り付けられている場合は、イジェクト部材48の先端方向への移動により、押出部116が測定チップ58の係止爪66を押し出す。これによって、筐体12から測定チップ58を取り外すことができる。
【0053】
次に、本実施の形態に係る血糖値測定装置10による血液成分の測定について説明する。血液成分の測定では、まず測定チップ58が装着された筐体12を用いてユーザの血液を採取する。具体的には、指先を専用の穿刺器具(図示せず)で穿刺し、皮膚上に少量(例えば、0.3〜1.5μL程度)の血液を流出させる。そして、指先から流出した血液に、血糖値測定装置10の先端に装着されている測定チップ58のノズル62先端を当接させる。
【0054】
これにより、血液は、ノズル62先端の凹溝62bを経て採取孔62a内に入り込み、毛細管現象によって後端に吸引される。そして、試験紙収容部68内に収容されている試験紙70に染み込み、試験紙70の径方向外側へ向かって円形状に広がっていく。この血液の展開と同時に、血液中のブドウ糖と試験紙70に含まれている発色試薬とが反応を開始し、ブドウ糖の量に応じて試験紙70が呈色する。
【0055】
図10は、本実施の形態に係る血糖値測定装置10によって実際に血液成分の検出を行う状態を示す説明図である。すなわち、血糖値測定装置10は、第1の発光素子100a(又は第2の発光素子100b)から照射光Liを出射する。第1の発光素子100a(又は第2の発光素子100b)から出射された照射光Liは、照射光用光路108を通過し、照射光用レンズ88aに入射される。そして、照射光用レンズ88aに入射された照射光Liは、この照射光用レンズ88aによって集光されて試験紙70に照射される。
【0056】
試験紙70に照射された照射光Liは、試験紙70によって反射され、反射光Lrとして反射光用レンズ88bに入射される。そして、反射光用レンズ88bに入射された反射光Lrは、この反射光用レンズ88bによって集光された後、反射光用光路110を通過し、受光素子102で受光されて、その光量が測定される。これにより、血糖値測定装置10は、試験紙70の呈色の度合いを測定することができる。
【0057】
血糖値測定装置10による血糖値の測定には、第1の発光素子100aと第2の発光素子100bの照射光Liが交互に出射される。そして、第1の発光素子100aが照射する照射光Liによって発色試薬とブドウ糖との反応で生じた色素を検出し、ブドウ糖の量に応じた呈色濃度を測定する。また、第2の発光素子100bが照射する照射光Liによって赤血球を検出し、赤血球の赤色濃度を測定する。そして、呈色濃度から得られるグルコース値を赤色濃度から得られるヘマトクリット値を用いて補正しつつグルコース濃度を定量化して、血糖値を求めることができる。
【0058】
測定終了後、測定チップ58を筐体12から取り外す場合は、イジェクト操作子44を先端側に押圧してイジェクト部材48を前方(先端側)にスライドさせる。これにより、イジェクト部材48の押出部116が測定チップ58の係止爪66を前方に押圧し、測定チップ58を取り外すことができる。また、改めて血液成分の測定を行う場合は、新しい測定チップ58を先端ケース20に取り付ける。このように、測定チップ58を簡単に交換することができるため、血液成分の測定を効率的に行うことが可能となる。
【0059】
この場合、ユーザは、片手操作によって測定チップ58を血糖値測定装置10から容易に取り外すことができる。しかも、測定チップ58は下ケース18側に湾曲した筐体12の先端に取り付けられているため、イジェクト操作子44の操作によって、測定チップ58に手を触れることなく、簡単且つ迅速に該測定チップ58の廃棄処理を行うことができる。
【0060】
図11は、本実施の形態に係る血糖値測定装置10において隔壁112の機能を示す説明図であり、図11Aは測光ブロック72に隔壁112が設けられている場合、図11Bは測光ブロック72に隔壁112がない場合を示している。
【0061】
図11に示すように、血糖値測定装置10のレンズ88を洗浄する場合は、例えば、該装置10の先端側を上方に向けて、洗浄するレンズ88をユーザに見えるようにして、水やアルコール等の液体を含ませた綿棒によりレンズ88表面が擦られる。このとき、液体が先端ケース20の内周面と測光ブロック72側面の間に形成されたクリアランス114から入り込むことがある。この場合、図11Bに示すように、測光ブロック72に隔壁112がない構成では、液体が基板74に回り込み、この液体が基板74に接触して電子部品に不具合をもたらす可能性がある。
【0062】
しかしながら、本実施の形態に係る血糖値測定装置10は、図11Aに示すように、測光ブロック72の後面に隔壁112が設けられている。この隔壁112によって、測光ブロック72の側面に回り込んだ液体は、基板配置部80に回り込むことが阻害される。このため、液体が基板74に接触することを妨げることができる。
【0063】
また、測定チップ58が筐体12に取り付けられていない場合は、測定部50が開口した状態となっていることから、埃等がクリアランス114に入り込むことがある。しかし、測光ブロック72に備えられた隔壁112が埃等の進路を遮断することで、この埃等が基板74に付着することを妨げることができる。
【0064】
このように、血糖値測定装置10は、液体や埃等の影響を受けることが少なくなり、これにより基板74に実装した発光素子100及び受光素子102等の電子部品をより安定的に動作させることができ、測定精度の安定化を図ることが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態の隔壁112は、既述したように、測光ブロック72の後面の全辺を囲い、且つ基板74の板厚よりも大きな突出量で形成されている。このように隔壁112を形成することによって、基板配置部80に配設した基板74を側面方向から確実に覆うことができ、基板74に対する液体の接触や埃等の付着を一層妨げることができる。
【0066】
ここで、血糖値測定装置10は、試験紙70の血液の染み込み状態を目視するために、先端ケース20又は測定チップ58が半透明(又は透明)に成形されたものが要望されている。このような半透明の先端ケース20又は測定チップ58を適用した場合、図11Bに示すように、外光が先端ケース20や測定チップ58を透過し、さらにこの外光が測光ブロック72と基板74との当接部分から入り込む場合がある。この場合、測光ブロック72内に配置されている受光素子102で外光を検出してしまい、測定精度を低下させる結果を招く。
【0067】
しかしながら、図11Aに示すように、本実施の形態に係る血糖値測定装置10は、隔壁112の存在によって、測光ブロック72と基板74との当接部分に対して側方から外光が入り込むことを低減させることができる。これにより、反射光を受光する受光素子102に余計な光が入り込むことが回避されるため、成分測定の精度を向上することができる。したがって、血糖値測定装置10は、先端ケース20や測定チップ58を半透明(又は透明)に成形しても、測定精度に支障がなく、設計の自由度が向上される。例えば、先端ケース20を含む筐体12を薄肉に成形して、筐体12が外光を透過することになっても測定精度を維持することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、図7に示すように、基板固定孔96を隔壁112の近傍に設けている。これにより、測光ブロック72と基板74とをねじ止め固定することで基板配置部80を歪ませる応力がかかっても、リブ状に形成された隔壁112によって基板配置部80が歪むことを防ぐことができる。したがって、測光ブロック72と基板74とを強固にねじ止めすることが可能となり、発光素子100や受光素子102が実装された実装面に、外光等が入り込むことをより低減させることができる。
【0069】
さらに、本実施の形態の測光ブロック72は、隔壁112と同じ突出量で且つ隔壁112に連なる段部113が後面に形成されており(図7参照)、この段部113に取付用ねじ孔82が穿設されている。すなわち、取付用ねじ孔82は、充分な肉厚を有する段部113に形成されているため、取付用ねじ84によって測光ブロック72を先端ケース20に強固にねじ止めすることができる。したがって、例えば、血糖値測定装置10を持ち運ぶ時等に、筐体12から振動等が伝わっても、測光ブロック72や基板74等をがたつかせることがない。
【0070】
また、血糖値測定装置10は、発光素子100及び受光素子102を備えた基板74に対して、液体の接触、埃等の付着、及び外光の侵入が防止されるため、測光ブロック72のレンズ88に近づけて該基板74を取り付けることに支障がなくなり、測定部50の小型化を実現することができる。
【0071】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。例えば、本発明に係る成分測定装置は、尿の成分の測定する装置として適用してもよく、或いは、体液以外に、排水や工業用水等の成分測定を行う装置として適用することもできる。
【符号の説明】
【0072】
10…血糖値測定装置 12…筐体
16…上ケース 18…下ケース
20…先端ケース 48…イジェクト部材
50…測定部 52…角筒部
54…円筒部 58…測定チップ
66…係止爪 70…試験紙
72…測光ブロック 74…基板
80…基板配置部 82…取付用ねじ孔
96…基板固定孔 100…発光素子
102…受光素子 112…隔壁
113…段部 114…クリアランス
116…押出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に測定用の照射光を照射して該測定対象から反射された反射光を受光する測定部と、該測定部を収容する筐体と、を備え、前記反射光の検出結果に基づいて前記測定対象に含まれる成分を測定する成分測定装置であって、
前記測定部は、該測定部の内部に取り付けられ、前記照射光と前記反射光の光路を有するとともに前記測定対象と対向する前部にレンズを保持する測光ブロックと、前記照射光を発光する発光素子及び前記反射光を受光する受光素子が実装される基板と、を備え、
前記測光ブロックの後部には、前記基板が配設される基板配置部が備えられるとともに、該基板配置部よりも後方に突出する隔壁が形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の成分測定装置において、
前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板の全ての側辺を囲うことを特徴とする成分測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の成分測定装置において、
前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板よりも後方に突出するように形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記測定部には、測定対象として試験紙が収容されるとともに、前記測定部に対して係止可能な係止部を備える測定チップが挿入され、
前記測定部の周囲には、前記測定チップの挿入方向に摺動し、前記係止部に当接して前記測定チップを前方に押し出すイジェクト部材が設けられ、
さらに、前記筐体の内周面と前記測光ブロックの側面との間には、前記イジェクト部材が摺動可能なクリアランスが形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記基板配置部には、前記基板がねじ止めされる基板固定孔が前記隔壁の近傍に形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記測光ブロックの後方には、前記隔壁と同じ突出量で該隔壁に連なる段部が形成されるとともに、前記段部には、前記測光ブロックが前記筐体にねじ止めされる取付用ねじ孔が穿設されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項1】
測定対象に測定用の照射光を照射して該測定対象から反射された反射光を受光する測定部と、該測定部を収容する筐体と、を備え、前記反射光の検出結果に基づいて前記測定対象に含まれる成分を測定する成分測定装置であって、
前記測定部は、該測定部の内部に取り付けられ、前記照射光と前記反射光の光路を有するとともに前記測定対象と対向する前部にレンズを保持する測光ブロックと、前記照射光を発光する発光素子及び前記反射光を受光する受光素子が実装される基板と、を備え、
前記測光ブロックの後部には、前記基板が配設される基板配置部が備えられるとともに、該基板配置部よりも後方に突出する隔壁が形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の成分測定装置において、
前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板の全ての側辺を囲うことを特徴とする成分測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の成分測定装置において、
前記隔壁は、前記基板配置部に前記基板を配設した状態において、該基板よりも後方に突出するように形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記測定部には、測定対象として試験紙が収容されるとともに、前記測定部に対して係止可能な係止部を備える測定チップが挿入され、
前記測定部の周囲には、前記測定チップの挿入方向に摺動し、前記係止部に当接して前記測定チップを前方に押し出すイジェクト部材が設けられ、
さらに、前記筐体の内周面と前記測光ブロックの側面との間には、前記イジェクト部材が摺動可能なクリアランスが形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記基板配置部には、前記基板がねじ止めされる基板固定孔が前記隔壁の近傍に形成されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記測光ブロックの後方には、前記隔壁と同じ突出量で該隔壁に連なる段部が形成されるとともに、前記段部には、前記測光ブロックが前記筐体にねじ止めされる取付用ねじ孔が穿設されていることを特徴とする成分測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−78182(P2012−78182A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223065(P2010−223065)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】
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