説明

成分測定装置

【課題】成分測定装置において、筐体を片手で把持した状態で測定チップを簡単に取り外す。
【解決手段】成分測定装置(血糖値測定装置)10は、血糖値を測定する測定部30と、該測定部30を保持する筐体12と、該測定部30に着脱可能に装着される測定チップ84とを有する。筐体12は、測定チップ84に当接して該測定チップ84を押し出すイジェクト部材36が接続されるパネル18を備える。そして、パネル18を筐体12に対し相対的にスライドさせることで、イジェクト部材36が測定チップ84を押し出し、測定部30から測定チップ84が取り外される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液中の所定成分を測定する成分測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、血液や尿等の体液中の生体成分を検出して、その成分量や性質等を測定する成分測定装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、血糖値を計測する計測表示器(成分測定装置)が開示されている。特許文献1に開示されている成分測定装置は、筐体の先端部に設けられたセンサ取付構造によってセンサユニット(試験具)を保持し、試験具内の流入部に接触した血液を検体保留部に流入させ、端子を介して該血液の血糖値を計測して、その計測結果を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−43116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献1に開示されている成分測定装置では、血糖値の計測が終了すると、筐体の先端側上部(センサ取付構造の上部)に設けられたスライダーを指で押し出してスライドすることにより、センサユニット(試験具)をセンサ取付構造から取り外す構成となっている。この被測定部の取外時には、通常、使用者が筐体を片手で把持した状態で、該片手の指(例えば、親指)をスライダーに当ててスライド操作を実施する。
【0006】
しかしながら、使用者の手のサイズが小さい場合は、筐体を把持したままの姿勢ではスライダーに指が届き難い、又は指が届いたとしてもスライダーのスライド操作がしづらいという不都合が生じる。この場合、使用者が筐体をつかんだ後、指をスライダーの位置に合わせるために筐体をつかみ直すことが多くなるので、使い勝手(操作感)が悪くなる。
【0007】
また、スライダーを単純に大きくしても、筐体の同一面に配置される表示画面と干渉することになるため、その配設状態には制限が生じる。仮に、スライダーを大きくすることに合わせて表示画面を小さくすると、測定結果等の視認において、目の不自由な人が多い糖尿病患者にとって大きな不都合となる。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、使用者の手のサイズに影響を受けずに、また筐体を持ち直すことなく、筐体を片手で把持した瞬間の状態で試験具を簡単に取り外すことができ、これにより装置の使い勝手を向上することができる成分測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明は、体液に含まれる所定成分を測定する測定部と、前記測定部を保持する筐体と、前記測定部に着脱可能に装着され前記体液を収容する試験具と、前記試験具を離脱するために該試験具に対し進退移動自在なイジェクト部と、測定結果を表示する表示部と、を有する成分測定装置であって、前記筐体は、前記表示部を視認するための透過部を有するとともに前記イジェクト部に接続される可動部と、前記測定部を支持する固定部と、を備え、前記可動部を前記固定部に対し相対的にスライドさせることで前記イジェクト部を前進移動させ、該イジェクト部の移動作用下に前記測定部に装着されている前記試験具を離脱させることを特徴とする。
【0010】
上記によれば、表示部を視認するための透過部を有するとともにイジェクト部に接続される可動部を備えることで、使用者の手のサイズが小さい場合でも筐体を把持している片手の指を透過部(又は可動部の他の箇所)に押し当てて、可動部を容易にスライドさせることができる。これにより、可動部を固定部に対し相対的にスライドさせてイジェクト部を進退移動させ、該イジェクト部により測定部に装着されている試験具を簡単に取り外すことができる。すなわち、使用者の手のサイズに影響を受けずに、筐体をつかんだ状態のまま持ち直すことなくイジェクト操作(試験具の離脱)が可能となり、成分測定装置の使い勝手を向上することができる。
【0011】
また、従来の装置では、単にイジェクタを大きくすると、表示部の面積を小さくせざるを得なかったが、本発明の上記構成によれば、透過部を有する可動部を前記イジェクト操作に利用することで、表示部の面積を小さくすることなく、試験具を離脱させることができるため、測定結果等の視認性の向上が可能となり、例えば、目の不自由な人が多い糖尿病患者でも取扱が容易な装置とすることができる。
【0012】
ここで、前記表示部は、前記固定部の内部において、前記可動部を臨むように配設され前記測定結果を表示する表示画面を有し、前記透過部は、前記可動部が前記所定成分の測定を行う際に位置する原点位置にあるとき、前記表示画面に重なり該表示画面を視認可能とするように配置されているとよい。
【0013】
このように、可動部が所定成分の測定を行う原点位置にある状態で、透過部が表示画面に重なることで、使用者に確実に測定結果を視認させることができる。
【0014】
さらに、前記筐体の端部に着脱自在に装着され、前記測定部を覆うキャップを有し、前記キャップは、前記可動部のスライドによって前記筐体から離脱されるようにしてもよい。
【0015】
このように、測定部を覆うキャップを可動部のスライドによって筐体から離脱させる構成とすることで、筐体を把持している一方の手(片手)によってキャップを取り外すことができる。このため、他方の手によって取り外したキャップを容易に受け取ることが可能となり、キャップを落として失ってしまう等の不都合を低減することができる。
【0016】
また、前記可動部は、前記筐体の長手方向の全長に対し少なくとも半分以上の長さ延在するパネルによって構成され、前記固定部は、前記パネルを前記長手方向にスライド自在に取り付けるパネル取付部を有する構成とすることができる。
【0017】
このように、固定部がパネルを長手方向にスライド自在に取り付けるパネル取付部を有することで、従来から成分測定装置に取り付けられているパネル(例えば、表示画面等を保護するためのカバー部材)をそのまま利用することができる。したがって、試験具を取り外すための部材(例えば、特許文献1のスライダー等)を設ける必要がなく、装置の製造コスト等を抑えることができる。また、試験具を離脱させるパネルが筐体の長手方向の全長に対し少なくとも半分以上の長さ延在していることで、使用者が筐体を片手で把持した状態で、パネルを容易にスライドさせることができる。
【0018】
この場合、前記固定部の内部には、当該成分測定装置を操作する操作部が前記パネルを臨むように配設され、前記パネルは、前記所定成分の測定を行う際に位置する原点位置において前記操作部に当接可能であり、且つ該パネルと共にスライドする押ボタンを有することが好ましい。
【0019】
このように、パネルが押ボタンを有することで、成分の測定時に表示画面を確認しつつ押ボタンを容易に操作することができる。また、押ボタンをパネルと共にスライドさせることで、該パネルのスライド時に押ボタンが邪魔となることがない。
【0020】
さらに前記可動部は、前記筐体の上部を構成し、該筐体の長手方向の全長に対し少なくとも半分以上の長さを有する上側筐体を備え、前記固定部は、前記筐体の下部を構成するとともに、前記上側筐体を前記長手方向にスライド自在に取り付ける下側筐体を有していてもよい。
【0021】
このように、可動部が筐体の上部を構成する上側筐体を有し、固定部が筐体の下部を構成する下側筐体を有することで、筐体の上部を全体的にスライドすることが可能となり、スライド操作をより容易に行うことができる。すなわち、上側筐体の何れの箇所に指を押し当てても、該上側筐体を容易にスライドさせることができる。
【0022】
この場合、前記上側筐体には、前記所定成分の測定を駆動制御する回路を備えた基板と、前記表示部と、当該成分測定装置を操作する操作部とが取り付けられ、該上側筐体と共にスライドするように構成すると好適である。
【0023】
このように、上側筐体と共に、基板、表示部及び操作部がスライドすることで、上側筐体のスライドによって、例えば、基板、表示部及び操作部の配設位置がずれる等の不具合をなくすことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、使用者の手のサイズに影響を受けずに、また筐体を持ち直すことなく、筐体を片手で把持した瞬間の状態で試験具を簡単に取り外すことができ、これにより装置の使い勝手を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る血糖値測定装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1の血糖値測定装置を示す分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線の断面図である。
【図4】図1のIV−IV線の断面図である。
【図5】図3の血糖値測定装置の測定部を示す拡大断面図であり、図5Aはキャップの装着状態を示す図であり、図5Bはキャップの離脱状態を示す図である。
【図6】図3の血糖値測定装置の測定チップの着脱を示す拡大断面図であり、図6Aは測定チップの装着状態を示す図であり、図6Bは測定チップの離脱状態を示す図である。
【図7】血糖値測定装置から測定チップが離脱された状態を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る血糖値測定装置の全体構成を示す斜視図である。
【図9】図8の血糖値測定装置を示す一部分解斜視図(断面図)である。
【図10】図8のX−X線の断面図である。
【図11】図8のXI−XI線の断面図である。
【図12】図8の血糖値測定装置に対する測定チップの着脱を示す説明図(断面図)であり、図12Aは測定チップの装着状態を示す図であり、図12Bは測定チップの離脱状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る成分測定装置について好適な実施の形態(第1及び第2実施形態)を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
本発明の説明では、成分測定装置として、血液中のグルコース濃度(血糖値)を測定する血糖値測定装置について詳述する。この血糖値測定装置は、使用者(医師や看護師、或いは糖尿病患者等)が、穿刺部位から滲出した血液を採取して血糖値を測定し、その血糖値の測定データを管理する装置である。なお、成分測定装置は、本血糖値測定装置に限定されないことは勿論である。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る血糖値測定装置(成分測定装置)10の全体構成を示す斜視図であり、図2は、図1の血糖値測定装置10を示す分解斜視図であり、図3は、図1のIII−III線の断面図であり、図4は、図1のIV−IV線の断面図である。第1実施形態に係る血糖値測定装置10は、図1に示すように、人が片手で持ち易いように、細長で上下に扁平なスティック状に形成された筐体12を備える。
【0029】
なお、以下の説明では、図1における筐体12の幅方向(短手方向)をX方向、筐体12の延在方向(長手方向)をY方向、筐体12の高さ方向をZ方向とも呼ぶ。また、筐体12の前方(先端)をY1方向、筐体12の後方(基端)をY2方向、血糖値測定装置10を先端側から見て右方をX1方向、左方をX2方向、上方をZ1方向、下方をZ2方向とも呼ぶ。なお、これらの方向は説明の便宜上のものであり、血糖値測定装置10は任意の向きで使用可能であることは勿論である。
【0030】
血糖値測定装置10の筐体12は、長手方向(Y方向)に所定長さ延在する上ケース14と、該上ケース14と同じ長さでY方向に延在する下ケース16と、上ケース14と同じ長さでY方向に延在し、該上ケース14の上面を覆うパネル18を有する。この筐体12は、上ケース14と下ケース16を上下方向(Z方向)に重ね合わせることで固定部17を構成し、該固定部17に対する可動部としてパネル18を、上ケース14の上面にスライド自在に取り付けることで組み立てられる。
【0031】
上ケース14の上面に取り付けられるパネル18は、Y方向中央部の略全面を覆う透過部20と、該透過部20を囲うとともに先端方向及び基端方向に延在する周辺部21とを備える。さらに、透過部20よりも基端側(Y2方向側)の周辺部21には、押ボタン22が設けられ、透過部20の先端側(Y1方向側)の周辺部21には複数のリブ24が設けられている。
【0032】
透過部20は、透明な樹脂材からなるパネル18において、色材が塗られて意匠面が形成された周辺部21に対し、色材が塗られていない透明部分にあたる。この透過部20の内側(上ケース14の内側)には、血糖値測定装置10によって測定された測定結果(例えば、血糖値)や操作状態等を表示する液晶ディスプレイ26(表示部:図2参照)が配設されている。
【0033】
すなわち、透過部20は、液晶ディスプレイ26の表示画面26aからの光を透過することで、使用者に表示画面26aの視認を可能としている。本発明に係る血糖値測定装置10では、筐体12の中央部分の略全面が透過部20によって構成されることにより、小型化された血糖値測定装置10であっても、比較的大きな表示画面26aを搭載することができ、測定結果等の視認性を向上させることができる。
【0034】
一方、押ボタン22は、可撓性を有する弾性部材(例えば、ゴム等)からなる平面視で円形の部材である。押ボタン22は、図示しない周辺部分がパネル18に連設されている。すなわち、押ボタン22は、使用者の操作(押圧)によってZ2方向に移動し、使用者が押圧を解除すると周辺部分の弾性力によって自動的に元の位置に復帰するように構成されている。
【0035】
また、先端側に設けられているリブ24は、X方向に延在するとともに、Y方向に複数並べて設けられている。このリブ24は、パネル18をスライドさせる際に指を宛がったときのすべり止めとして機能することが可能であり、さらにパネル18のスライド操作時にZ2方向にかかる応力(押圧力)を受ける補強部材としての役割も果たしている。本実施形態において、パネル18は可動部として機能する。
【0036】
また、筐体12のY方向両端部には、それぞれキャップ28が取り付けられる。これらのキャップ28は、血糖値測定装置10を使用していない時に、筐体12の先端部に露出している測定部30(図2参照)と、筐体12に基端部に設けられているコンピュータ接続用の接続端子32(図2参照)、例えば、USB(Universal Serial Bus)を外部環境(例えば、埃や水滴等)から保護する機能を有している。
【0037】
図2に示すように、上ケース14と下ケース16によって構成される内部空間には、血液成分の測定を行う内部機構として、先端側から順に、先端ブロック34、イジェクト部材(イジェクト部)36、測光ブロック38及び制御系基板40等が収容される。先端ブロック34は、上ケース14と下ケース16の内周面に嵌め込まれることで、筐体12の先端部に固定される。イジェクト部材36は、測光ブロック38の前部に取り付けられ、該測光ブロック38が先端ブロック34に装着固定されることにより、先端ブロック34と測光ブロック38の間に介在するようになる(図3参照)。制御系基板40は、筐体12の長手方向に沿って延在し、その上面には液晶ディスプレイ26と操作部42が実装されている。
【0038】
筐体12を構成するパネル18は、制御系基板40の液晶ディスプレイ26及び操作部42に対向する位置に上記の透過部20及び押ボタン22を備えている。また、パネル18の先端側の下面には、Z2方向に突出する一対(2本)の突起44(図4参照)が設けられており、この一対の突起44は、下端部がイジェクト部材36に接続される。すなわち、第1実施形態に係る血糖値測定装置10では、上ケース14の上面を覆うパネル18をスライド操作することにより、一対の突起44を介して、イジェクト部材36を進退移動させる構成となっている。
【0039】
このため、上ケース14の上部側には、パネル18がスライド自在に取り付けられるパネル取付部46が設けられている。さらに、上ケース14は、このパネル取付部46から斜め下方向に延びる一対の上ケース側部48を有している。
【0040】
パネル取付部46は、正面断面視(図4参照)で略凹形状に形成された凹部50と、この凹部50の底面に形成された表示画面用窓52、揺動部54及び長孔56とを有する。凹部50の底面の幅は、パネル18の幅と略一致し、該凹部50の底面は、先端から基端にかけて平坦状に延在している。
【0041】
表示画面用窓52は、凹部50の底面においてY方向中央部分の略全面を切り欠いて構成されたものであり、パネル取付部46に取り付けられるパネル18の透過部20に重なる位置に形成されている。上述したように、上ケース14の内側には液晶ディスプレイ26が配設されており、表示画面用窓52は、液晶ディスプレイ26の表示画面26aを上面側に露出させる機能を有している。
【0042】
揺動部54は、凹部50の底面において表示画面用窓52より基端側(Y2方向側)に設けられている。この揺動部54は、押ボタン22との対向位置に円板54aを有し、この円板54aが弾性変形可能な連結部を介して上ケース14に連結されることで、Z方向に揺動可能となっている。また、揺動部54(円板54a)の下面側には、ボタン突出部58(図3参照)が形成されている。このボタン突出部58は、制御系基板40の上面に設けられている操作部42に対し、その頂部が所定間隔離間するように対向配置される。すなわち、揺動部54は、押ボタン22の操作(押圧)にともないZ2方向に押圧され、ボタン突出部58を操作部42に当接させることで、該操作部42を操作する。また、揺動部54は、操作解除にともない、連結部の弾性力によって円板54aを元の位置に復帰させる。
【0043】
長孔56は、凹部50の底面の表示画面用窓52より前方側(Y1方向側)に、X方向に2つ並んで穿設されている。一対の長孔56は、パネル18の突起44の外径に略一致する幅を有し、筐体12の組立状態において一対の突起44が挿通される。また、一対の長孔56は、筐体12の長手方向(Y方向)に所定長さ延設し、一対の突起44は、該長孔56により規制された範囲内で上ケース14の長手方向に沿って移動可能となっている。
【0044】
さらに、パネル取付部46の凹部50には、図4に示すように、幅方向内側に突出するパネル用フック部60が両側面の上部に形成されている。このパネル用フック部60はY方向(図3参照)に延設されている。一方、パネル18の幅方向両端部の上面には、中央部分の板厚よりも薄い板厚からなる係合用段差部62が形成されている。パネル18は、この係合用段差部62がパネル用フック部60に係合するようにパネル取付部46に取り付けられる。すなわち、パネル18は、係合用段差部62がパネル用フック部60に引っ掛かることでZ1方向への抜けが防止されるとともに、凹部50内をY方向にガイドされる。
【0045】
また、上ケース14の幅方向両側に連設される上ケース側部48は、パネル取付部46の両側から円弧状に形成されて斜め下方に延在している。この上ケース側部48の内側面には溝部64が形成されており、この溝部64には下ケース16の組付突出部66が引っ掛けられる。
【0046】
筐体12の下ケース16は、図2〜図4に示すように、前記組付突出部66が立設される一対の下ケース側部68と、これら一対の下ケース側部68の下端部側に連結する平坦状の下面部70とを有する。
【0047】
下ケース側部68は、上ケース側部48と略対称となるように、下面部70の幅方向両側から円弧状に形成されて斜め上方向に延在している。組付突出部66は、長手方向に沿って下ケース側部68の先端部、中央部及び後端部の3箇所(左右で計6箇所)から上方に向かって突出形成されている。組付突出部66は、溝部64に引っ掛かるフック66aを上端部に備える。筐体12は、これら各フック66aが溝部64にそれぞれ係合することで、上ケース14と下ケース16が強固に組付けられる。
【0048】
下ケース16の下面部70は、長手方向に平坦状に延在し、Y方向の略中央部には、電池が挿通可能な電池用窓72が形成されている。この電池用窓72には電池蓋72aが嵌め込まれる。血糖値測定装置10は、制御系基板40の下面に電池収納部74が設けられており、該電池収納部74にはボタン型電池74aが収容される。この際、電池蓋72aを外し、電池用窓72を通してボタン型電池74aを収容する。なお、血糖値測定装置10を駆動する電源としては、ボタン型電池74a以外にも、丸型乾電池や角型乾電池、又は二次電池や外部電源に接続する電源コード等を適用してもよいことは勿論である。
【0049】
図5は、図3の血糖値測定装置10の測定部30を示す拡大断面図であり、図5Aはキャップ28の装着状態を示す図であり、図5Bはキャップ28の離脱状態を示す図である。図6は、図3の血糖値測定装置10の測定チップ84の着脱を示す拡大断面図であり、図6Aは測定チップ84の装着状態を示す図であり、図6Bは測定チップ84の離脱状態を示す図である。
【0050】
図5に示すように、測定部30は、血液を光学的に検出する機構を収納する先端ブロック34を有し、この先端ブロック34は、筐体12(上ケース14及び下ケース16)の先端開口部に装着固定される。先端ブロック34は、基端側において筐体12に固定される固定筒部76と、該固定筒部76の前面から突出する円筒部78とを備える。
【0051】
固定筒部76は、筐体12の内周面に略一致する有底筒状に形成されている。すなわち、上面及び下面が平坦状に形成され、両側面が上ケース側部48と下ケース側部68の内側面に沿う円弧状に形成されている。また、図2に示すように、固定筒部76の側面のY方向中間部には、係止溝80が刻設されており、この係止溝80には、上ケース14及び下ケース16の内周面に形成されている係止凸部82が嵌め込まれる。先端ブロック34は、筐体12に組付ける際に、係止溝80に係止凸部82が嵌合されることで、脱落が防止された状態となって筐体12に固定される。
【0052】
先端ブロック34の円筒部78は、先端方向(Y1方向)に所定長さ突出して開口しており、この開口部78aには測定チップ84(試験具)が着脱自在に取り付けられる。また、円筒部78は、開口部78aを囲む内壁が先端部から後方に向かって徐々に縮径するテーパ形状に形成されるとともに、所定箇所において拡径することで円筒部側段差部78bが形成されている。
【0053】
円筒部78に取り付けられる測定チップ84は、図6に示すように、円板状に形成されるベース部86と、このベース部86の前面からY1方向に突出するノズル88と、ベース部86の後面からY2方向に突出する係合部90とを備える。ベース部86は、その外径が円筒部78の外径と略一致するように形成されている。ノズル88は、ベース部86の中心部から突出し、その中心軸に沿って先端面から後面に貫通する採取孔88aが形成されている。
【0054】
一方、測定チップ84の係合部90は、円筒部78の開口部78aに係合する円筒形状に形成されている。この係合部90には、後方に突出し弾性的に揺動可能な4つの係止爪90aが円周上に等間隔に形成されている。各係止爪90aは、測定チップ84を取り付ける際に、円筒部78内のテーパ形状を乗り越えて円筒部側段差部78bに係合する。これにより、血糖値測定装置10は、測定チップ84を円筒部78に保持することができる。
【0055】
また、係合部90の内側には、採取孔88aに連通する試験紙収容部92が設けられている。この試験紙収容部92には、血液を採取した際に血液中の成分と反応する発色試薬を担持した試験紙94が収容される。血糖値測定装置10は、この試験紙94に測定光を照射して、試験紙94からの反射光を受光することで血液成分の測定を行う。
【0056】
図2〜図6に示すように、血糖値測定装置10の測定部30は、試験紙94に染み込んだ血液成分(血糖値)を光学的に検出する部分である。この測定部30は、先端ブロック34、測光ブロック38、光学系基板96によって構成されている。先端ブロック34は、上述したように筐体12の先端部に取り付けられる部材であり、固定筒部76内には測光ブロック38が固定支持される。この先端ブロック34は、例えば、ASB樹脂やポリカーボネート等の合成樹脂によって成形される。
【0057】
測光ブロック38は、血液成分の検出を行う電子部品を実装した光学系基板96を保持するとともに、血液成分の測定時に外光等を遮光する機能を有している。この測光ブロック38は、先端ブロック34と同じ材料で成形することができ、基端側において平板状に形成された基板保持部98と、該基板保持部98から先端方向に突出する導光部100とを有している。
【0058】
また、測光ブロック38の内部には、2つの光路(測定光用光路102及び反射光用光路104)が幅方向に並んで貫通形成されている。このように、血糖値測定装置10は、2つの光路102、104を測光ブロック38に一体的に形成することで、部品点数を少なくすることができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0059】
測光ブロック38の基板保持部98は、後面が平坦状に形成されており、この後面には光学系基板96が配置される。また、後面の中央部には、光学系基板96を位置決めする位置決め突起98aが立設されている。この位置決め突起98aは、光学系基板96を貫通し、光学系基板96に実装される発光素子106と受光素子108の間に介在して、発光素子106から受光素子108への直接的な光の伝搬を阻止している。
【0060】
一方、測光ブロック38の導光部100は、上下面が直線状で且つ両側面が円弧状の偏円筒体に形成されている。導光部100の前面には2つの光路102、104が連通する導光部側開口部100aが形成され、この導光部側開口部100a内にはレンズ(図示せず)が挿入保持される。測光ブロック38に保持されるレンズは、2つの光路102、104に対応して測定光用レンズ及び反射光用レンズが並んで一体形成されたものを適用することができる。
【0061】
光学系基板96は、基板保持部98の後面に配置可能な形状に形成されており、その略中央部には位置決め突起98aが挿通される。また、光学系基板96は、2つの光路102、104の対向面に、測定光を出射する2つの発光素子106(第1の発光素子106a、第2の発光素子106b)、及び反射光を受光する受光素子108が実装されている。
【0062】
第1の発光素子106aと第2の発光素子106bは、異なる波長の測定光を出射するために設けられる。発光素子106としては、例えば、所定波長の光を発光する発光ダイオード(LED)を適用することができる。また、受光素子108としては、例えば、フォトダイオード(PD)を適用することができる。基板保持部98の後面に光学系基板96を配設した状態では、発光素子106が測定光用光路102の基端側に、受光素子108が反射光用光路104の基端側にそれぞれ配置され、測光ブロック38によって外部との遮光性が確保される。
【0063】
この測光ブロック38を先端ブロック34に取り付けた状態では、先端ブロック34の内周面と測光ブロック38の外周面との間にクリアランス110が形成される。このクリアランス110には、イジェクト部材36が摺動可能に配置される。
【0064】
イジェクト部材36は、先端側に形成される押出部112と、この押出部112からY2方向に延出する平板状の摺動プレート114とを有している。押出部112は、円筒形状のX2方向の側部が所定量切り欠かれた円弧状に形成され、その上部基端側には、摺動プレート114が連設される。
【0065】
摺動プレート114は、中央部が長手方向に切り欠かれており、この切り欠き部114aの後端にはバネ用突起116が形成されている。また、摺動プレート114後端には、パネル18の一対の突起44が嵌合される丸孔118が一対穿設されている。
【0066】
このイジェクト部材36は、バネ部材120が介装された状態で先端ブロック34に取り付けられる。このため、先端ブロック34の上部には、後方に突出するバネ配置突起121が設けられている。バネ部材120は、このバネ配置突起121に一端が嵌め込まれ、イジェクト部材36のバネ用突起116に他端が嵌め込まれる。
【0067】
測光ブロック38とイジェクト部材36を先端ブロック34に配設した状態では、押出部112が測光ブロック38の導光部100の外周面(上下面及び右側面)上に配置される。また、イジェクト部材36は、筐体12の長手方向に摺動自在に配置されることになり、このイジェクト部材36が摺動することで、押出部112が導光部100の外周上(すなわち、クリアランス110)を進退移動する。測定チップ84が先端ブロック34に取り付けられている場合は、イジェクト部材36の先端方向(Y1方向)の移動により、押出部112が測定チップ84の係止爪90aを押し出す。これにより、先端ブロック34から測定チップ84を取り外すことができる。
【0068】
また、測光ブロック38の後方には、長手方向に延在する制御系基板40が配設されており、この制御系基板40は、光学系基板96に電気的に接続されるとともに、上述したように液晶ディスプレイ26と操作部42が上面に実装されている。
【0069】
制御系基板40には、プリントによって所定の配線回路が形成され、所定の処理を実行するためのマイクロコンピュータ、所定のプログラムが記憶されたROMやRAM等の記憶装置、及びその他の電子部品(能動素子、受動素子等)が実装されている(ともに図示せず)。発光素子106は、この制御系基板40からの発光指示(制御信号)に基づき測定光を出射する。受光素子108は、発光素子106が出射して試験紙94によって反射された反射光を受光し、制御系基板40に対し検出信号を送信する。制御系基板40に設けられているマイクロコンピュータは、この検出信号を受けて所定の処理を実施した後、血糖値を算出し、液晶ディスプレイ26の表示画面26aに測定結果を表示する。
【0070】
第1実施形態に係る血糖値測定装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に血糖値測定装置10による血液成分の測定について説明する。
【0071】
血液成分を測定する場合、まず筐体12の先端部に取り付けられているキャップ28の取り外しが行われる。図5に示すように、筐体12に取り付けられているキャップ28は、パネル18のスライド操作によって取り外すことができる。すなわち、片手で筐体12を把持した状態で、パネル18の上面を指で押圧し、該パネル18を先端方向にスライドする。これにより、キャップ28の基端側端部がパネル18の先端部によって押され、キャップ28が筐体12から取り外される。
【0072】
このように、測定部30を覆うキャップ28がパネル18のスライドによって該筐体12から取り外される構成とされていることで、筐体12を把持している一方の手(片手)によってキャップ28を取り外すことができる。なお、キャップ28は、単純に筐体12から先端方向に引き抜いて取り外してもよいことは勿論である。また、キャップ28は、紐やヒンジなどの連結機構によって筐体12に連結され、筐体12から分離しないように構成されていてもよい。
【0073】
キャップ28の取り外し後は、使用者によりパネル18の押ボタン22が押圧されることで電源が入力される。この際、パネル18は、透過部20が液晶ディスプレイ26の表示画面26aに対向するとともに、押ボタン22が上ケース14の揺動部54に対向する原点位置に配置されている。このため、押ボタン22は、上ケース14の揺動部54をZ2方向に押圧することで、揺動部54の下面側にあるボタン突出部58を制御系基板40の操作部42に当接させる。血糖値測定装置10は、この操作部42からの操作信号に基づき、発光素子106の発光を開始する。操作部42は主として電源スイッチとして機能する。
【0074】
次に、先端ブロック34の円筒部78に測定チップ84を装着し、測定対象者の血液を採取する。具体的には、指先を専用の穿刺器具(図示せず)で穿刺し、皮膚上に少量(例えば、0.3〜1.5μL程度)の血液を流出させる。そして、指先から流出した血液に、血糖値測定装置10の先端に装着されている測定チップ84のノズル88先端を接触させる。
【0075】
これにより、血液は、ノズル88の先端から採取孔88a内に取り込まれ、毛細管現象によって後端に吸引される。そして、試験紙収容部92内に収容されている試験紙94に染み込み、試験紙94の径方向外側へ向かって広がっていく。この血液の展開と同時に、血液中のブドウ糖と試験紙94に含まれている発色試薬とが反応を開始し、ブドウ糖の量に応じて試験紙94が呈色する。
【0076】
血糖値測定装置10は発光素子106から測定光を出射している。この測定光は、測定光用光路102を通過し照射光用レンズに入射されて集光され試験紙94に照射される。試験紙94に照射された測定光は、試験紙94によって反射され、反射光として反射光用レンズに入射されて集光される。そして、反射光は、反射光用光路104を通過し、受光素子108で受光され、その光量が検出される。これにより、血糖値測定装置10は、この反射光量に基づき試験紙94の呈色の度合いを測定する。そして、血液が試験紙94に染み込んで反射光量が大きく変化した時点から計時を開始し、所定時間経過後の反射光量に基づいて血糖値が算出される。
【0077】
さらに、血糖値測定装置10による血糖値の測定では、第1の発光素子106aと第2の発光素子106bの測定光が交互に出射される。そして、第1の発光素子106aが照射する測定光によって発色試薬とブドウ糖との反応で生じた色素を検出し、ブドウ糖の量に応じた呈色濃度を測定する。また、第2の発光素子106bが照射する測定光によって赤血球を検出し、赤血球の赤色濃度を測定する。そして、呈色濃度から得られるグルコース値を赤色濃度から得られるヘマトクリット値を用いて補正し、血糖値を求めることができる。
【0078】
測定された血糖値は、液晶ディスプレイ26の表示画面26aに表示され、自然状態で原点位置にあるパネル18の透過部20を介して、使用者に測定結果を視認させることができる。
【0079】
測定終了後は、図6Bに示すように、先端ブロック34から測定チップ84の取り外しが行われる。ここで、第1実施形態に係る血糖値測定装置10は、上述したように、パネル18の先端部に設けられている一対の突起44が、上ケース14の長孔56を介して、イジェクト部材36の丸孔118に嵌合されている。パネル18が原点位置にある状態では、パネル18の突起44が長孔56の後端部に当接しており、パネル18及びイジェクト部材36がバネ部材120によってY2方向に付勢されている。
【0080】
使用者は、この原点位置からパネル18を先端方向にスライドすることによって、バネ部材120を収縮させ、イジェクト部材36を先端方向にスライドさせる。このスライドによって、イジェクト部材36の押出部112が測定チップ84の係止爪90aを前方に押し、測定チップ84を取り外すことができる。
【0081】
この場合、使用者は、筐体12を片手で把持した状態で、該片手の指をパネル18の上面のいずれかの箇所(透過部20、周辺部21)に押し当てて、この指によりパネル18を適度に押圧しつつ、先端側に押し出すように操作することで、パネル18をその突起44が長孔56の先端部に当接する前進位置までスライドさせることができる。血糖値測定装置10は、このパネル18のスライド操作によって、測定チップ84を手に触れることなく、簡単且つ迅速に取り外すことができ、容易に廃棄処理を行うことができる。
【0082】
測定チップ84が先端ブロック34から取り外され、使用者がパネル18から指を放すと、イジェクト部材36は、先端ブロック34に取り付けられているバネ部材120の付勢力によってY2方向に付勢される。これにより、パネル18とイジェクト部材36は、一対の突起44が長孔56の後方端部に当接するまで、Y2方向にスライドし、元の原点位置に復帰する。
【0083】
また、パネル18の先端方向のスライドにおいては、図7に示すように、透過部20、周辺部21及び押ボタン22がパネル18と一体的に移動する。このため、スライド時に、透過部20や押ボタン22が邪魔となることがない。
【0084】
このように、第1実施形態に係る血糖値測定装置10は、筐体12の上面を覆うパネル18をスライドすることで測定チップ84を簡単に取り外すことができる。なお、第1実施形態に係る血糖値測定装置10においてパネル18は、筐体12(上ケース14と下ケース16)の長手方向の全長に対し、少なくとも半分以上の長さ延在していればよい。パネル18がこの長さであれば、使用者の手のサイズが小さい場合でも、パネル18に指が充分に届くからである。すなわち、筐体12を片手で把持した状態で、筐体12の上面に取り付けられているパネル18の何れかの箇所に指を押し当て、パネル18を容易にスライドさせることができる。このため、使用者の手のサイズに影響を受けずに、筐体12を把持したまま測定チップ84を取り外すことが可能となり、血糖値測定装置10の使い勝手を向上することができる。
【0085】
また、従来の測定装置(例えば、特許文献1の計測表示器)は、イジェクタ(スライダー)が小さいため、指をイジェクタまで持っていくために装置を持ち直す必要があったが、本実施形態の血糖値測定装置10では、パネル18がイジェクト部材36につながっているので、広い面積を有するパネル18を押せばイジェクト操作(測定チップ84の離脱)が可能であり、装置をつかんだ状態のまま持ち直すことなくイジェクト操作が可能である。さらに、単にイジェクタを大きくすると、液晶ディスプレイ26(表示部)の面積を小さくせざるを得ないが、本実施形態のようにパネル18とイジェクト部材36を連結させ、パネル18をイジェクト操作に利用することで、液晶ディスプレイ26の面積を小さくする必要がなくなる。
【0086】
なお、パネル18の先端部分に形成された複数のリブ24に指を押し当てて操作を行えば、パネル18を一層容易にスライドさせることができることは勿論である。
【0087】
また、血糖値測定装置10は、表示画面26aを覆うパネル18をスライドして測定チップ84を取り外すため、従来から血糖値測定装置10に取り付けられている表示画面保護用のパネルを利用して、測定チップ84を取り外すことができる。すなわち、測定チップ84を取り外すための部材(例えば、特許文献1のスライダー等)を設ける必要がなく、装置の製造コスト等を抑えることができる。
【0088】
〔第2実施形態〕
図8は、第2実施形態に係る血糖値測定装置(成分測定装置)10Aの全体構成を示す斜視図であり、図9は、図8の血糖値測定装置10Aを示す一部分解斜視図であり、図10は、図8のX−X線の断面図であり、図11は、図8のXI−XI線の断面図である。なお、以降の第2実施形態の説明において、第1実施形態に係る血糖値測定装置10と同一の構成又は同一の機能を有する構成には、同一の符号を付し詳細な説明については省略する。
【0089】
第2実施形態に係る血糖値測定装置10Aは、上ケース14が下ケース16に対して相対的にスライドする点で第1実施形態に係る血糖値測定装置10(図1〜図7参照)とは異なる。
【0090】
血糖値測定装置10Aは、第1実施形態と同様に、筐体12として上ケース14、下ケース16及びパネル18を有しているが、このパネル18は上ケース14に接着固定されている。すなわち、第2実施形態においては、下ケース16(固定部)に対し、可動部19を構成する上ケース14とパネル18が一体的にスライドすることで、測定チップ84(及びキャップ28)の離脱が行われる。
【0091】
図8〜図10に示すように、この上ケース14には、該上ケース14と共にスライドする部材として、制御系基板(基板)40及び液晶ディスプレイ(表示部)26が固定されている。この制御系基板40には、操作部42及び電池収納部74等が実装されており、上ケース14のスライドによってこれらの部材も一体的にスライドする。液晶ディスプレイ26は上ケース14の下面側にねじ止めされることで、パネル18の透過部20及び上ケース14の表示画面用窓52に対し表示画面26aが常時略一致するように構成することができる。したがって、上ケース14をスライドした状態でも、表示画面26a(図10及び図11参照)を使用者に視認させることができ、例えば、表示画面26aに測定チップ84の離脱状態を表示させることもできる。
【0092】
また、上ケース14の先端部下面には、一対の突起44が突出形成されている。この突起44は、第1実施形態の突起44と同様に、イジェクト部材36に接続され、上ケース14のスライドとともにイジェクト部材36をスライド可能としている。
【0093】
一方、下ケース16には、測定部30を構成する先端ブロック34及び測光ブロック38が固定支持される。先端ブロック34と測光ブロック38の間には、イジェクト部材36が摺動自在に配置される。このイジェクト部材36は、第1実施形態と同様に、摺動プレート114の後方側両端部に丸孔118(図8〜図12中では図示せず)が形成されており、この丸孔118には上ケース14の突起44が嵌合固定される。
【0094】
光学系基板96と制御系基板40は、フレキシブルケーブル122を介して互いに電気的に接続されている。このフレキシブルケーブル122は、制御系基板40のスライドにともない柔軟に撓むことで、両基板40、96の接続を確保することができる。
【0095】
図11に示すように、筐体12は、上ケース14と下ケース16の境界部分がスライド機構として形成されている。具体的には、上ケース14の側部を形成する一対の上ケース側部48は、正面断面視で、内周面の下端部寄りに矩形の谷部124と、該谷部124に連なる矩形の山部126を備えている。一方、下ケース16の側部を形成する一対の下ケース側部68には、組付突出部66が立設されており、この組付突出部66には、前記谷部124及び山部126に係合する係合山部128と係合谷部130が形成されている。すなわち、筐体12を組み立てた状態(上ケース14と下ケース16を重ね合わせた状態)では、上ケース14の谷部124に下ケース16の係合山部128が係合し、上ケース14の山部126に下ケース16の係合谷部130が係合する。これにより、下ケース16は、上ケース14の抜けを防止しつつ、該上ケース14をY方向にスライド自在とすることができる。
【0096】
第2実施形態に係る血糖値測定装置10Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次に血糖値測定装置10Aの動作について説明する。図12は、図8の血糖値測定装置10Aに対する測定チップ84の着脱を示す説明図(断面図)であり、図12Aは測定チップ84の装着状態を示す図であり、図12Bは測定チップ84の離脱状態を示す図である。
【0097】
血糖値測定装置10Aは、血糖値の測定が終了すると、第1実施形態に係る血糖値測定装置10と同様に、先端ブロック34から測定チップ84の取り外しが行われる。ここで、上ケース14は、イジェクト部材36がバネ部材120によって後方に付勢されることで、スライド操作前は原点位置に配置されている。
【0098】
使用者は、この原点位置から上ケース14を先端方向にスライドすることによって、バネ部材120を収縮しイジェクト部材36を先端側にスライドさせる。このスライドにより、イジェクト部材36の押出部112が測定チップ84の係止爪90aに当接して前方に押し出し、測定チップ84を取り外すことができる。
【0099】
この場合、第1実施形態に係る血糖値測定装置10と比較して、筐体12の上側部分を全体的にスライドすることができるため、スライド操作をより容易に行うことができる。すなわち、下ケース16を把持した状態で、上ケース14の何れの箇所に対し指を押し当てても容易にスライドさせることができる。
【0100】
このように、第2実施形態に係る血糖値測定装置10Aは、筐体12の上ケース14をスライドすることで測定チップ84を容易に取り外すことができる。この場合においても、使用者の手のサイズに影響を受けずに、下ケース16を片手で把持した状態で、上ケース14を先端側にスライドさせることができる。このため、片手が無理な姿勢をとならず筐体12を確実に把持した状態で、パネル18をスライド操作することができる。
【0101】
また、上ケース14と共に、液晶ディスプレイ26、制御系基板40及び操作部42がスライドすることで、上ケース14に対して液晶ディスプレイ26、制御系基板40及び操作部42等の配設位置がずれる等の不具合をなくすことができる。
【0102】
なお、本発明は、上記の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成乃至工程を採り得ることは勿論である。例えば、血糖値測定装置10、10Aは、血糖値の測定時における可動部のスライド動作を防止するスライドロック機構等を設けてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10、10A…血糖値測定装置 12…筐体
14…上ケース 16…下ケース
17…固定部 18…パネル
19…可動部 20…透過部
21…周辺部 22…押ボタン
24…リブ 26…液晶ディスプレイ
26a…表示画面 28…キャップ
30…測定部 36…イジェクト部材
40…制御系基板 42…操作部
44…突起 46…パネル取付部
56…長孔 84…測定チップ
94…試験紙 118…丸孔
120…バネ部材 122…フレキシブルケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液に含まれる所定成分を測定する測定部と、前記測定部を保持する筐体と、前記測定部に着脱可能に装着され前記体液を収容する試験具と、前記試験具を離脱するために該試験具に対し進退移動自在なイジェクト部と、測定結果を表示する表示部と、を有する成分測定装置であって、
前記筐体は、前記表示部を視認するための透過部を有するとともに前記イジェクト部に接続される可動部と、
前記測定部を支持する固定部と、を備え、
前記可動部を前記固定部に対し相対的にスライドさせることで前記イジェクト部を前進移動させ、該イジェクト部の移動作用下に前記測定部に装着されている前記試験具を離脱させることを特徴とする成分測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の成分測定装置において、
前記表示部は、前記固定部の内部において、前記可動部を臨むように配設され、前記測定結果を表示する表示画面を有し、
前記透過部は、前記可動部が前記所定成分の測定を行う際に位置する原点位置にあるとき、前記表示画面に重なり該表示画面を視認可能とするように配置されていることを特徴とする成分測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の成分測定装置において、
さらに、前記筐体の端部に着脱自在に装着され、前記測定部を覆うキャップを有し、
前記キャップは、前記可動部のスライドによって前記筐体から離脱されることを特徴とする成分測定装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記可動部は、前記筐体の長手方向の全長に対し少なくとも半分以上の長さ延在するパネルによって構成され、
前記固定部は、前記パネルを前記長手方向にスライド自在に取り付けるパネル取付部を有することを特徴とする成分測定装置。
【請求項5】
請求項4記載の成分測定装置において、
前記固定部の内部には、当該成分測定装置を操作する操作部が前記パネルを臨むように配設され、
前記パネルは、前記所定成分の測定を行う際に位置する原点位置において前記操作部に当接可能であり且つ該パネルと共にスライドする押ボタンを有することを特徴とする成分測定装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の成分測定装置において、
前記可動部は、前記筐体の上部を構成し、該筐体の長手方向の全長に対し少なくとも半分以上の長さを有する上側筐体を備え、
前記固定部は、前記筐体の下部を構成するとともに、前記上側筐体を前記長手方向にスライド自在に取り付ける下側筐体を有することを特徴とする成分測定装置。
【請求項7】
請求項6記載の成分測定装置において、
前記上側筐体には、前記所定成分の測定を駆動制御する回路を備えた基板と、前記表示部と、当該成分測定装置を操作する操作部とが取り付けられ、該上側筐体と共にスライドすることを特徴とする成分測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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