説明

成型用ハードコートフィルム

【課題】干渉斑の抑制が良好で、かつ高い表面硬度と成型性を兼ね備えた成型用ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも基材フィルム、中間層、ハードコート層の順で積層された成型用ハードコートフィルムであって、基材フィルムが共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムであり、中間層が水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)とを主たる構成成分とし、(A)/(B)の混合比(質量比)が10/90〜95/5である樹脂組成物を含む水系塗布液を塗布、乾燥したものであり、ハードコート層は、基材フィルムの中間層面に塗布液を塗布硬化させてなり、前記塗布液が、3以上の官能基を有する電離放射線硬化型化合物と、1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物とを少なくとも含み、前記塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物中の1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量が5質量%以上95質量%以下である、成型用ハードコートフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉斑の抑制が良好で、表面硬度、耐擦傷性が優れていて、かつ、成型性にも優れる成型用ハードコートフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成型用フィルムとしては、ポリ塩化ビニルフィルムが代表的であり、近年の耐環境性のニーズにより、環境負荷が小さいポリエステル、ポリカーボネートおよびアクリル系樹脂よるなる未延伸フィルム、さらには耐熱性や耐溶剤性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルム等が使用されている。(例えば、特許文献1〜10を参照)。
【0003】
例えば、家電、自動車の銘板用または建材用部材など、成型用フィルムを外部に触れる位置に装着する場合、キズつき防止のため、成型用フィルムの表面硬度を補い、耐擦傷性を向上させる目的で、表面にハードコート層を設けることが行われる。
【0004】
成型用フィルムにハードコート層を設ける方法として、圧空成型法や真空成型法等で成型した後、ディッピング方式、スプレー方式等によって後加工し、ハードコート層を積層させる方法が一般的である。しかしながら、前述の方法では枚葉加工でハードコート層を積層させるため、生産速度の向上に限界があるほか、品質の安定性に課題があった。そのため、ハードコート層を成型前のフィルムにロール・トゥ・ロール方式で設けた後、成型を行う方法での成型体が求められるようになった。
【0005】
成型前にハードコート層を積層させる方式の場合、ハードコート層に求められる特性として、成形後の後加工でハードコート層を設ける方式と同程度の表面硬度、耐擦傷性が必要であるほか、成型時に伴う変形に追随可能な成型性が必須となる。しかしながら、一般的なハードコート樹脂の場合、表面硬度を満足させるために、ハードコート層が硬すぎるため、成型性が無く、成型加工時の変形によりハードコート層にクラック(ハードコート層の割れ)が発生する問題が生じていた。
【0006】
そこで、硬化後もある程度の表面硬度を有しながらも柔軟性のある樹脂を積層させ、成型性を向上させたハードコートフィルムや、基材上に柔軟性のある層と強い表面硬度がある層を複数積層させることで強い表面硬度と、屈曲性を有するハードコートフィルムが提案されている(特許文献11〜14)。
【0007】
加えて、装飾材などの用途では、近年さらなる高級性が求められ、それにともなって特に蛍光灯下での虹彩状色彩(干渉縞)の抑制に対する要求レベルが高くなってきている。また、蛍光灯は昼光色の再現性のため3波長形が主流となってきており、より干渉縞が出やすくなっている。さらに、反射防止層の簡素化によるコストダウン要求も高くなってきている。そのため、ハードコートフィルムのみでも干渉縞をできるだけ抑制することが求められている(特許文献15)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−156267号公報
【特許文献2】特開平9−187903号公報
【特許文献3】特開平10−296937号公報
【特許文献4】特開平11−268215号公報
【特許文献5】特開2001−129951号公報
【特許文献6】特開2001−212868号公報
【特許文献7】特開2002−249652号公報
【特許文献8】特開2003−211606号公報
【特許文献9】特開2004−075713号公報
【特許文献10】特開2005−290354号公報
【特許文献11】特開2005−305383号公報
【特許文献12】特開2007−284626号公報
【特許文献13】特開2007−313728号公報
【特許文献14】国際公開第2008/029666号パンフレット
【特許文献15】特開2005−97571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献11、13で提案されているハードコートフィルムは、適度な表面硬度を有するものの、成型性については屈曲性や打ち抜き加工といった限定的な加工特性しか有さず、特許文献12で提案されるハードコートフィルムは、伸張性は有するものの、表面硬度については満足のいくものではなくかった。また、特許文献14で提案されるハードコートフィルムでは表面硬度と成形性の両立が試みられているものの、より高度な成形性や、より高度な表面硬度が要求される分野においては十分な性能が発揮できない場合もあった。すなわち、上記特許文献は、高い表面硬度と、高い成型性と両方の特性を同時に満足するような成型用ハードコートフィルムを提供するものではなかった。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、すなわち、成型前に成型用フィルムにハードコート層を加工、積層させることで、生産性、品質の安定性を向上に寄与することができ、かつ、表面硬度、耐擦傷性と成型時の変形に追随可能な成型性の両方を兼ね備え、干渉斑の発生が少ない成型用ハードコートフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記の課題を解決するため、鋭意研究した結果、ついに本発明を完成するに到った。即ち、本発明は、以下の通りである。
【0012】
第1の発明は、少なくとも基材フィルム、中間層、ハードコート層の順で積層された成型用ハードコートフィルムであって、基材フィルムが共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムであり、中間層が水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)とを主たる構成成分とし、(A)/(B)の混合比(質量比)が10/90〜95/5である樹脂組成物を含む水系塗布液を塗布、乾燥したものであり、ハードコート層は、基材フィルムの中間層面に塗布液を塗布硬化させてなり、前記塗布液が、3以上の官能基を有する電離放射線硬化型化合物と、1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物とを少なくとも含み、前記塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物中の1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量が5質量%以上95質量%以下である成型用ハードコートフィルムである。
第2の発明は、前記ハードコート層中に平均粒子径10nm以上300nm以下の粒子を含み、前記粒子のハードコート層中の含有量が5質量%以上70質量%以下である前記成型用ハードコートフィルムである。
第3の発明は、前記塗布液に含まれる電離放射線硬化化合物の少なくとも1種がアミノ基を有する電離放射線硬化化合物である前記成型用ハードコートフィルムである。
第4の発明は、前記ハードコート層中に電離放射線硬化型シリコーン樹脂を含み、前記電離放射線硬化型シリコーン樹脂のハードコート層中の含有量が前記電離放射線硬化型化合物100質量部に対して0.15質量部以上15質量部以下である前記成型用ハードコートフィルムである。
第5の発明は、前記の水性ポリエステル樹脂(A)がスルホン酸金属塩基を含有する芳香族ジカルボン酸成分をポリエステルの全ジカルボン酸成分に対し1〜10モル%含有する共重合ポリエステル樹脂である前記成型用ハードコートフィルムである。
第6の発明は、前記の水性ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が40℃以上である前記成型用ハードコートフィルムである。
第7の発明は、前記成型用ハードコートフィルムを成型してなる成型体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の成型用ハードコートフィルムは、蛍光灯下での虹彩状色彩が少なく、表面硬度、耐擦傷性と成型時の変形に追随可能な成型性の両方の特性を有する。本発明は、視認性に優れ、高い表面硬度と、優れた伸張性を備える為、好ましい実施態様として、例えば銘板用または建材用の部材などに好適に使用しうる。また、本発明の好ましい実施態様として、アミノ基を有する電離放射線硬化樹脂もしくは/および粒子を用いる場合は、表面硬度と成型性の両方の特性をより高度に両立でき、例えば筐体などの部材として好適に使用しうる。さらに、本発明は成型後のハードコート加工が不要であり、成型加工の製造面で生産性、品質の安定性に寄与することができ、本願発明の好ましい実施態様として成型用フィルムロールとして用いる場合は成型体の品質の安定性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
(基材フィルム)
本発明において、基材フィルムとしては、低い温度や低い圧力下での加熱成型時の成型性に優れた共重合ポリエステルを含むポリエステルフィルムを用いる。ここで成型性とは、金型成型や圧空成型、真空成型などの成型加工により成型体を形成しうることをいう。具体的には成型によって局部的に伸長された部分において、部分的に高い応力が発生した際にも基材フィルムの破断なく成型体を形成可能なフィルム応力特性を有するものである。
【0016】
共重合ポリエステルとしては、(a)芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステル、あるいは(b)テレフタル酸及びイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルが好適である。
【0017】
前記の共重合ポリエステルとして、芳香族ジカルボン酸成分と、エチレングリコールと、分岐状脂肪族グリコール又は脂環族グリコールを含むグリコール成分から構成される共重合ポリエステルを用いる場合、芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体が好適であり、全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸成分の量は70モル%以上、好ましくは85モル%以上、特に好ましくは95モル%以上、とりわけ好ましくは100モル%である。
【0018】
本発明において、共重合ポリエステルを含むポリエステルフィルムは、フィルムの構成成分として共重合ポリエステル成分を含むものであり、具体的な態様として以下のようなものが例示される。(1)基材フィルムがすべて共重合ポリエステルからなるもの、(2)基材フィルムの構成成分の一部として共重合ポリエステルを含むもの(例えば、共重合ポリエステルと、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどの他の(ホモ)ポリエステルとを混合した樹脂組成物からなるもの)、(3)基材フィルムが、共重合ポリエステルを含むポリエステル層と共重合ポリエステルを含まないポリエステル層との多層からなるもの。
【0019】
前記基材フィルムは、耐熱性や耐溶剤性等の点から、二軸延伸フィルムが特に好ましい。延伸方法としては、チューブラ延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法等が挙げられるが、平面性、寸法安定性、厚みムラ等から逐次二軸延伸法が好ましい。例えば基材フィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合の逐次二軸延伸法としては、長手方向に50℃以上110℃以下で、1.6倍以上4.0倍に長手方向にロール延伸し、引き続き、テンターで予熱後、ポリエステルのガラス転移温度−40℃以上+65℃以下で1.2倍以上5.0倍以下に幅方向に延伸することができる。さらに、二軸延伸後にポリエステルの融点の−40℃以上−10℃以下の温度で熱固定処理を行うことができる。
【0020】
本発明で用いる基材フィルムは、ハンドリング性(例えば、積層後の巻取り性)を付与するために、フィルムに粒子を含有させてフィルム表面に突起を形成させることが好ましい。フィルムに含有させる粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、等の無機粒子、アクリル、PMMA、ナイロン、ポリスチレン、ポリエステル、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物、等の耐熱性高分子粒子が挙げられる。透明性の点から、フィルム中の粒子の含有量は少ないことが好ましく、例えば1ppm以上1000ppm以下であることが好ましい。さらに、透明性の点から使用する樹脂と屈折率の近い粒子を選択することが好ましい。また、フィルムには必要に応じて各種機能を付与するために、耐光剤(紫外線防止剤)、色素、帯電防止剤などを含有させてもよい。
【0021】
成型用ハードコートフィルムを、例えばハードコート層を積層しない面に印刷加工を施す場合は、基材フィルムの全光線透過率が80%以上で、かつヘーズが5%以下であることが好ましい。基材フィルムの透明性に劣る場合には、印刷層をハードコート層側から見た際の視認性が低下する。
【0022】
本発明で用いる基材フィルムは、単層フィルムであっても、表層と中心層を積層した2層以上の複合フィルムであっても構わない。複合フィルムの場合、表層と中心層の機能を独立して設計することができる利点がある。例えば、厚みの薄い表層にのみ粒子を含有させて表面に凹凸を形成することでハンドリング性を維持しながら、厚みの厚い中心層には粒子を実質上含有させないことで、複合フィルム全体として透明性をさらに向上させることができる。前記の複合フィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、生産性を考慮すると、表層と中心層の原料を別々の押出機から押出し、1つのダイスに導き未延伸シートを得た後、少なくとも1軸方向に配向させる、いわゆる共押出法による積層が好ましい。
【0023】
本発明で用いる基材フィルムの厚みは、下限は35μm以上が好ましく、より好ましくは50μm以上である。一方、厚みの上限は260μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以下である。厚みが薄い場合には、ハンドリング性が不良となるばかりか、ハードコート層の残留溶媒を少なくなるように乾燥時に加熱した場合に、フィルムに熱シワが発生して平面性が不良となりやすい。一方、厚みが厚い場合にはコスト面で問題があるだけでなく、ロール状に巻き取って保存した場合に巻き癖による平面性不良が発生しやすくなる。
【0024】
(中間層)
本発明の成型用ハードコートフィルムは、中間層が水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)とを主たる構成成分とし、(A)/(B)の混合比(質量比)が10/90〜95/5である樹脂組成物からなる。
【0025】
本発明では、上記中間層を用いることで、基材のポリエステルフィルムと中間層との屈折率差、中間層とハードコート層の屈折率差をそれぞれ小さくなるように、中間層を構成する樹脂と添加剤の種類と含有量で中間層の屈折率を制御することができ、ハードコート層との密着性、及び高温高湿下での密着性(耐湿熱性)を維持しながら、蛍光灯下での虹彩状色彩を抑制できる。
【0026】
この樹脂組成物は基材フィルムの延伸工程中の熱で加熱することにより、チタンキレート化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、またはジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)が、ポリエステル樹脂との架橋反応により均一な膜を生成する。すなわち、前記の金属キレート化合物または金属アシレート化合物は加熱処理することにより分解するため、中間層中には水系塗布液に添加した状態では存在しない。
【0027】
そこで、熱処理後の中間層中の金属元素(TiまたはZr)の含有量から、水系塗布液中の金属キレート化合物または金属アシレート化合物の含有量は、以下のように算出する。
(1)まず、中間層中のキレートまたはアシレートの残渣から水系塗布液中に含有させたキレートまたはアシレートの種類を同定する。
(2)次いで、中間層中の金属元素(TiまたはZr)の含有量から、水系塗布液中の前記の金属キレート化合物または金属アシレート化合物の含有量を算出する。
【0028】
中間層の屈折率は、チタンキレート化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、またはジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)の組成比を大きくすることにより、ポリエステル樹脂(A)単独の場合よりも高くすることができる。
【0029】
本発明で使用するポリエステル樹脂(A)は、その分子鎖に水酸基やカルボキシル基等の活性部位を導入してもよいが、特に導入しなくとも高温でエステル結合部位が可逆反応を起こすため、任意の場所で架橋反応が起こり、結果として緻密な膜が得られる。
【0030】
また、アクリル樹脂で同様な架橋性を持たせるためには、架橋性官能基を導入する必要がある。しかしながら、アクリル樹脂自体の屈折率が低いために、チタンキレート化合物、チタンアシレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、またはジルコニウムアシレート化合物を併用しても、本発明の中間層と同様な屈折率に制御することは困難である。
【0031】
さらに、中間層の構成成分であるポリエステル樹脂(A)は基材ポリエステルフィルムとの密着性に関与するため、水性ポリエステル樹脂(A)と前記化合物(B)との組成比(A/B)が10/90未満の場合、基材フィルムとの密着性が低下し、かつ中間層としての延伸性が低下し、延伸時に均一にならない。そのため、光学用として必要な透明性が低下し、易接着層の上に形成させるハードコート層との密着性が問題となる。一方、水性ポリエステル樹脂(A)と前記化合物(B)との組成比(A/B)が95/5を越える場合、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物(B)による架橋が乏しくなるとともに、屈折率も低下する。そのため、高温高湿下での密着性(耐湿熱性)が低下し、かつ蛍光灯下での虹彩状色彩の抑制効果が不十分となる。
【0032】
本発明の水性ポリエステル樹脂(A)とは、水、または水溶性の有機溶剤(例えば、アルコール、アルキルセロソルブ、ケトン系、エーテル系を50質量%未満含む水溶液)、に対して溶解または分散することが可能なポリエステル樹脂を意味する。ポリエステル樹脂に水性を付与するためには、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、エーテル基等の親水性基をポリエステル樹脂の分子鎖に導入することが重要である。前記の親水性基のなかでも、塗膜物性及び密着性の点からスルホン酸基が好ましい。
【0033】
スルホン酸基をポリエステルに導入する場合、スルホン酸化合物は、ポリエステルの全酸成分中のうち、1〜10モル%とすることがより好ましい。スルホン酸基量が1モル%未満の場合、ポリエステル樹脂が水性を示さなくなり、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)との相溶性も低下するため、均一かつ透明な中間層が得られにくくなる。また、スルホン酸基量が10モル%を超える場合には、高温高湿下での密着性(耐湿熱性)に劣りやすくなる。
【0034】
さらに、前記の水性ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が40℃以上であることが好ましい。そのため、ポリエステル樹脂(A)の酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族系を主成分とすることが好ましい。また、グリコール成分としては、エチレングリコール、プロパングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の比較的炭素数の少ないグリコール、またはビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物等の芳香族系が好ましい。また、ポリエステル樹脂(A)の原料として、ビフェニル等の剛直な成分、または臭素、イオウ等の屈折率の高い原子を有するジカルボン酸成分またはジオール成分をフィルムの物性が低下しない範囲で使用してもよい。ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度が40℃未満であると、高温高湿下での密着性(耐湿熱性)が不十分となりやすくなる。さらに、ポリエステル樹脂(A)の屈折率も低下するために中間層の屈折率も低下する。その結果、蛍光灯下での虹彩状色彩の抑制が不十分となりやすくなる。
【0035】
中間層の他の主成分は、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)である。前記の水溶性とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液、に対して溶解することを意味する。
【0036】
水溶性のチタンキレート化合物としては、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンのアンモニウム塩、チタンベロキソクエン酸アンモニウム塩等が挙げられる。
【0037】
また、水溶性のチタンアシレート化合物としては、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)等が、また水溶性のジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。
【0038】
前記の中間層には、前記の主成分以外の樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコールなどのビニル樹脂、を本発明の効果に影響を与えない範囲で併用してもかまわない。また、架橋剤の併用も本発明の効果に影響を与えない範囲で特に限定されない。使用できる架橋剤としては、尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどとホルムアルデヒドとの付加物、これらの付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物などのアミノ樹脂、多官能性エポキシ化合物、多官能性イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、多官能性アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、などが挙げられる。
【0039】
本発明において、中間層形成のために使用する水系塗布液は、水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)と、水系溶剤から主としてなる水系塗布液である。上記水系塗布液をポリエステルフィルム表面に塗布する際には、フィルムへの濡れ性を向上させ、水系塗布液を均一にコートするために、公知のアニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を適量添加することが好ましい。
【0040】
また、水系塗布液中には、ハンドリング性、帯電防止性、抗菌性など、他の機能性をフィルムに付与するために、無機及び/または耐熱性高分子粒子、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、抗菌剤、光酸化触媒などの添加剤を含有させることができる。
【0041】
水系塗布液に用いる溶剤は、水以外にエタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類を、全水系塗布液に対し50質量%未満の範囲で混合しても良い。さらに、10質量%未満であれば、アルコール類以外の有機溶剤を溶解可能な範囲で混合してもよい。但し、水系塗布液中のアルコール類とその他の有機溶剤との合計量は、50質量%未満とすることが好ましい。
【0042】
(ハードコート層)
本発明の成型用ハードコートフィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に中間層を介してハードコート層が積層される。本発明においてハードコート層とは、基材フィルムからなる基材の表面硬度を補い、耐擦傷性を向上せしめるべく、基材よりも高硬度な被膜を有し、かつ、成型時の変形にも追随可能な優れた成型性を有する層を示す。より具体的には、本願発明の成型用ハードコートフィルムは表面硬度として少なくともH以上の鉛筆硬度を有し、かつ後述の評価法により少なくとも10%以上の伸度を有し、例えば家電などの銘板用または建材用の部材などとして好適に用いることができるものである。
【0043】
本発明で使用可能なハードコート層は、電離放射線硬化型樹脂を主成分とすることが必要である。熱硬化型樹脂のように硬化時に加熱処理することを要せず、熱による基材フィルムの熱収縮を少なくすることができ好適である。本発明で電離放射線硬化型化合物とは、電子線、放射線、紫外線のいずれかを照射することによって重合、および/または反応する化合物のことを指し、かかる化合物が重合、および/または反応することによりハードコート層を構成する。本発明で用いられる電離放射線硬化型化合物としては、メラミン系、アクリル系、シリコン系の電離放射線硬化型化合物が挙げられるが、なかでも高い表面硬度を得る点でアクリレート系電離放射線硬化型化合物が好ましい。
【0044】
なお、本発明で電離放射線硬化型化合物とは、単量体、前駆体だけでなく、それらが重合、および/または反応した電離放射線硬化型樹脂も当然に含まれる。例えば、前記アクリレート系電離放射線硬化型化合物としては、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ポリオールアクリレート等が挙げられるが特に限定するものではなく、任意のアクリレート系電離放射線硬化型化合物を使用してよい。
【0045】
本発明におけるハードコート層は、3以上の官能基を有する電離放射線硬化型化合物と、1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物とを少なくとも含む塗布液を基材フィルムに塗布後、電子線、放射線、紫外線のいずれかを照射することによって重合、および/または反応せしめることにより硬化させる。
【0046】
電離放射線硬化型化合物としてアクリレート系電離放射線硬化型化合物を用いる場合、本発明における1官能(単官能)のアクリレート系電離放射線硬化型化合物としては、分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物であれば特に制限されるものではない。例えば、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、およびそのカプロラクトン変成物などの誘導体、アクリル酸等及びそれらの混合物等が挙げられる。
【0047】
電離放射線硬化型化合物としてアクリレート系電離放射線硬化型化合物を用いる場合、本発明における2官能のアクリレート系電離放射線硬化型化合物としては、1分子中に2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が2個の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物などを用いることができる。具体的には、(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレートなど、(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど、(c)多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど、(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシド及びプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類:2,2'−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2'−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど、(e)多価イソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、更にアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類、(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類、などが挙げられる。
【0048】
電離放射線硬化型化合物としてアクリレート系電離放射線硬化型化合物を用いる場合、本発明における3官能以上のアクリレート系電離放射線硬化型化合物としては、(a)具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど、(b)多価イソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、更にアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類、(c)分子内に3個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル酸又はメタクリル酸を反応させて得られる分子内に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類、などが挙げられる。
【0049】
本発明において、前記塗布液中に含まれる電離放射線硬化型化合物中には、1または2官能の電離放射線硬化型化合物の他に3官能以上の電離放射線硬化型化合物が1種以上を含まれることが重要である。硬化後のハードコート層内に架橋密度の高い3官能以上の電離放射線硬化型化合物成分がハードセグメントとして、それらを結ぶ形で1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物が反応し、1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物成分がソフトセグメントとして存在するようになる。このように官能数の異なる2種類以上の電離放射線硬化型化合物を特定の濃度範囲で調整することで、ハードコート層にへテロな架橋構造を導入し、ハードセグメントによって表面硬度、耐擦傷性が付与し、かつ、ソフトセグメントの伸縮性により、成型性も付与するという二律背反した特性を両立するという顕著な効果をえることができたのである。
【0050】
本発明では、高い表面硬度と優れた成型性、具体的にはH以上の鉛筆硬度と10%以上の伸度を両立するために、前記塗布液中に含まれる電離放射線硬化型化合物中の1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量が5質量%以上95質量%以下であることが重要である。上記含有量が5質量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下するだけでなく、成型時にハードコート層にクラックが発生するので好ましくない。また、上記含有量が95質量%を超える場合は、十分な表面硬度、耐擦傷性を有する硬化被膜が得られ難くい。上記含有量の下限は、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、上記含有量の上限は90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下がよりさらに好ましい。。電離放射線硬化型化合物中の1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量が20質量%以上80質量%以下である場合は、より高度に表面高度と成型性の両立が図られ、具体的には2H以上の鉛筆硬度と20%以上の伸度を両立させることができ、例えば自動車などの銘板用や携帯機器などの筐体のように高い硬度と高い加工性とが同時に要求される成型用フィルムに好適である。
【0051】
さらに本願発明者は上記態様に加え、電離放射線硬化化合物としてアミノ基を有する電離放射線硬化化合物を用いることで、より高度に表面硬度と成型性を両立しえることを見出した。すなわち、前記塗布液に含まれる少なくとも1種の電離放射線硬化化合物がアミノ基を有することが好ましい。電離放射線硬化化合物としてアミノ基を有する化合物を用いることによる上記作用については以下のように考えられる。ハードコート層に部分的な硬度分布の差異がある場合、ハードコート層を伸張する際、局所的に割れ(クラック)が生じ易くなる。このような部分的な硬度分布の差異の要因として、酸素による電離放射線硬化樹脂の重合阻害(酸素阻害)がある。ここで、電離放射線硬化化合物としてアミノ基を有する化合物を用いた場合、アミノ基がラジカル酸素をトラップし、ハードコート層の表層部の硬化反応に及ぼす酸素阻害の影響が小さくなるため、層全体で均一な硬化反応が進行する。これにより成型時にハードコート層にかかる応力が層全体に分散され、成型時のクラックの発生が抑制される。そのため、より高度に表面高度と成型性の両立が図ることができると考えられる。また、上記効果に加え、電離放射線硬化樹脂としてアミノ基を含んでいることにより塗膜の速硬性の効果により、ハードコート層表面の硬化がアミノ基無含有時と比べ、より硬化が促進され表面硬度が向上することができる。
【0052】
前記塗布液中に含まれる電離放射線硬化型化合物中のアミノ基を含む電離放射線硬化型化合物の含有量は2.5質量%以上95質量%以下であること好ましい。前記塗布液中に含まれる電離放射線硬化型化合物中のアミノ基を含む電離放射線硬化型化合物の含有量の下限は5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。また上記含有量の上限は92.5質量%以下であることがより好ましく、90質量%以下であることがさらに好ましく、50質量%以下であることがよりさらに好ましい。前記塗布液中に含まれる電離放射線硬化型化合物中のアミノ基を含む電離放射線硬化型化合物の含有量が2.5質量%未満の場合、ハードコート層全体で均一に硬化され難くため、成型時のクラックに対する耐性が得られにくくなる。また、アミノ基を含む電離放射線硬化型化合物が高濃度になると、アミノ基に起因してハードコート層の黄変が強くなるため、上記含有量が95質量%を超えると、高透明性が損なわれる場合がある。例えば、ハードコート層を積層しない面に印刷加工を施す場合、フィルムのカラーb値として2以下であることが好ましく、この場合、上記アミノ基を含む電離放射線硬化型化合物は92.5質量%以下であることが好ましい。
【0053】
本発明において前記塗布液には、1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物、および3以上の官能基を有する電離放射線硬化型化合物が含まれるが、上記実施態様においては、このうちの一部の電離放射線硬化型化合物がアミノ基を含むものであればよい。また、1官能の電離放射線硬化型化合物、もしくは2官能の電離放射線硬化型化合物、もしくは3以上の官能基を有する電離放射線硬化型化合物のいずれかがアミノ基を含む電離放射線硬化型化合物であることも好ましい実施態様である。
【0054】
アミノ基を有する電離放射線硬化型化合物としてアクリレート系電離放射線硬化型化合物を用いる場合、例えば、アミノ基を有するアクリレート系電離放射線硬化型化合物としては、アクリルアミド、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミドなどがあげられる。
【0055】
また本願発明者は上記態様に加え、ハードコート層に粒子を含有することで、より成型性が向上し、さらに高度に表面硬度と成型性を両立しえることを見出した。ハードコート層に粒子を含有することで、より成型性が向上する作用については以下のように考えている。ハードコート層の硬度が上がると成型時の際に、硬度の高いハードコート層に一時に強い応力が生じることでハードコート層に一気に割れ(クラック)が生じる。ここで、ハードコート層内に粒子が存在することで、成型時にハードコート層にかかる内部応力を電離放射線硬化型化合物と粒子の界面で緩和し、クラックの発生が抑制されるほか、ハードコート層に外観を損ねない程度の目視では確認できない微小なクラックが先行して発生する効果があり、ハードコート層の致命的な割れの発生が遅れ、結果的に成型性が向上する効果が発現すると考えられる。
【0056】
ハードコート層に含有させる粒子としては、例えば、アモルファスシリカ、結晶性シリカ、シリカ−アルミナ複合酸化物、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム(カルサイト型、バテライト型)、ゼオライト、アルミナ、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子、架橋アクリル粒子、架橋PMMA粒子、架橋ポリスチレン粒子、ナイロン粒子、ポリエステル粒子、ベンゾグアナミン・ホルマリン縮合物粒子、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子メラミン・ホルムアルデヒド縮合物粒子等の耐熱性高分子粒子、シリカ・アクリル複合化合物のような有機・無機ハイブリッド微粒子が挙げられるが、本発明では、粒子の種類は特に限定されない。
【0057】
粒子の形状として、例えば、球状、塊状、板状、繊維状、あるいはフレーク状が挙げられるが、特に限定されるものではないが、中でも、分散性や他の部材に接触した際に粒子の脱落する点から球状の粒子が好ましい。
【0058】
本発明では、粒子の平均粒子径が10nm以上300nm以下であることが好ましく、さらに下限は40nm以上、上限は200nm以下であることが好ましく、特に下限は50nm以上、上限は100nm以下であることが好ましい。粒子の平均粒子径が10nmより小さい場合、平均粒子径が小さすぎるため、前述した粒子添加による表面硬度、耐擦傷性、成型性の向上効果のいずれも、もしくはいずれかが少ない場合がある。また、300nmを超える場合、ハードコート層が脆弱となり、成型性が低下する場合がある。なお、前記の平均粒子径はコールターカウンター(ベックマン・コールター製、マルチサイザーII型)を用いて、粒子を膨潤させない溶媒に分散させて測定した平均粒子径である。
【0059】
本発明では、ハードコート層に含有させる粒子の含有量はハードコート層中の固形成分として5質量%以上70質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは、前記含有量の下限は15質量%以上、上限は50質量%以下である。粒子の含有量が5質量%より少ない場合、前述した粒子添加による表面硬度、耐擦傷性、成型性の向上効果いずれも、もしくはいずれかが少なくなる場合がある。一方、粒子の含有量が70質量%を超える場合、成型時に前述した微小なクラックが多量に発生し、ヘーズが上昇(白化)し成型体の透明性を損ねてしまう。
【0060】
さらに本願発明者は上記態様に加え、ハードコート層に電離放射線硬化型シリコーン樹脂を含有することで、滑り性が付与され、表面の耐擦傷性が向上し、さらに高度に表面硬度と成型性を両立しえることを見出した。また係る態様により、硬化反応によって電離放射線硬化型シリコーン樹脂自体が架橋すると共に、場合により、ハードコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂とも架橋するので、金型成型でのシリコーン樹脂による金型の汚染防止や、本発明の成型用ハードコートフィルムを成型してなる成型体を長期間にわたって使用する際、経時による表面の耐擦傷性の機能が損なわれることがないという新たな効果を得ることができる。
【0061】
電離放射線硬化型シリコーン樹脂とは、例えば分子内に、アルケニル基とメルカプト基を有するラジカル付加型、アルケニル基と水素原子を有するヒドロシリル化反応型、エポキシ基を有するカチオン重合型、(メタ)アクリル基を有するラジカル重合型のシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でエポキシ基を有するカチオン重合型や(メタ)アクリル基を有するラジカル重合型が好ましい。
【0062】
分子内にエポキシ基や(メタ)アクリル基を有するシリコーン樹脂としては、例えば、エポキシプロポキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、(エポキシシクロヘキシルエチル)メチルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、メタクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、アクリロキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。また、分子内にビニル基を有するシリコーン樹脂として、例えば、末端ビニルポリジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサンホモポリマー等を挙げることができる。
【0063】
本発明では、ハードコート層に含有させる電離放射線硬化型シリコーン樹脂の添加量は、ハードコート層を構成するための前記電離放射線硬化型化合物100質量部に対し、好ましくは0.15〜15質量部、より好ましくは0.3〜13質量部、さらに好ましくは0.5〜5質量部を配合することが望ましい。電離放射線硬化型シリコーン樹脂の配合量が下限未満であると、成型体にした際の耐擦傷性の向上効果が乏しくなり、また、上限を超えると、ハードコート層形成時に、硬化が充分に行なわれない場合がある。なお、ハードコート層に含有させる電離放射線硬化型シリコーン樹脂は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
本願発明では、上記のように成型用フィルムの用途に応じて、電離放射線硬化化合物にアミノ基を有する化合物を用いること、およびハードコート層への粒子の添加することを適宜選択もしくは組み合わせることが望ましい。特に、好ましい実施態様としては、これらを組み合わせることである。これにより、ハードコート層の表面硬度と成型性を極めて高度に両立することができ、具体的には表面硬度が2H以上で、かつ20%以上の伸度、より好ましくは表面硬度が2H以上で、かつ30%以上の伸度を有する成型用ハードコートフィルムを得ることができ、例えば自動車などのカバー部材や深底の筐体、容器など用途に好適に用いることができる。
【0065】
本発明では、前記塗布液を重合、および/または反応させる方法として、電子線、放射線、紫外線を照射する方法が挙げられるが、紫外線照射する場合には前記塗布液に光重合開始剤を加えることが望ましい。
【0066】
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジクロロベンゾフェノン、4,4'−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等のパーオキサイド化合物が挙げられる。これらの光重合開始t−ブチルパーオキサイド等のパーオキサイド化合物が挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合わせてもよい。光重合開始剤の添加量は、前記塗布液中に含まれる電離放射線硬化型化合物100質量部当たり0.01質量部以上15質量部以下が適当であり、使用量が少ない場合は反応が遅く生産性が不良になるだけでなく、残存する未反応物により十分な表面硬度、耐擦傷性が得られない。逆に添加量が多い場合には、光重合開始剤によりハードコート層が黄変する問題が発生する。
【0067】
本発明では、前記塗布液には、製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−t−ブチルハイドロキノンなど、公知の熱重合防止剤を加えることが好ましい。熱重合防止剤の添加量は、前記塗布液中に含まれる電離放射線硬化型化合物100質量部当たり0.005質量部以上0.05質量部以下が好ましい。
【0068】
本発明では、前記塗布液には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の目的を損なわない範囲において、有機溶剤を配合することができる。
【0069】
有機溶剤としては、基材フィルムとして融点が低いものを用いる場合は塗布後の乾燥温度を150℃以下に調整することが必要な場合もあることから、有機溶媒の沸点は50℃以上150℃以下が好ましい。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエンなどの芳香族系溶剤、ジオキサンなどの環状エーテル系溶剤などを挙げることができる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0070】
本発明では、前記塗布液には、塗布液の表面張力を下げ、ハードコート層の塗工外観、特に、微小な泡によるヌケ、異物等の付着よる凹み、乾燥工程でのハジキを改善することを目的として、界面活性剤を含有させることができる。
【0071】
界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系の公知のものを好適に使用できるが、前記塗布液の変質やハードコート層の基材フィルムへの密着性不良等の問題から極性基を有していないノニオン系が好ましく、更には、界面活性能に優れるシリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。
【0072】
シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルシリコン、アミノシラン、アクリルシラン、ビニルベンジルシラン、ビニルベンジシルアミノシラン、グリシドシラン、メルカプトシラン、ジメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリアルコキシシロキサン、ハイドロジエン変性シロキサン、ビニル変性シロキサン、ビトロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、ハロゲン化変性シロキサン、エポキシ変性シロキサン、メタクリロキシ変性シロキサン、メルカプト変性シロキサン、フッ素変性シロキサン、アルキル基変性シロキサン、フェニル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。
【0073】
フッ素系界面活性剤としては、4フッ化エチレン、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカリウム塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルアルキル化合物、パーフルオロアルキルアルキルベタイン、パーフルオロアルキルハロゲン化物などが挙げられる。
【0074】
塗布外観の向上や滑り性の点から、ハードコート層を構成する塗布液に対して界面活性剤の含有量を0.01質量%以上とすることが好ましい。一方、界面活性剤がハードコート層表面にブリードアウトし、ハードコート層に触れたものを汚染してしまうため、界面活性剤の含有量を2.00質量%以下とすることが好ましい。
【0075】
また、用いる界面活性剤は、HLBが2以上12以下であることが好ましい。HLBが2以上の界面活性剤を使用することにより、界面活性能によるレベリング性を向上させることができる。界面活性剤のHLBは、3以上がさらに好ましく、特に好ましくは4以上である。一方、HLBが12以下の界面活性剤を使用することにより、滑り性の悪化を抑制することができる。
【0076】
なお、HLBとは、アメリカのAtlas Powder社のW.C.GriffinがHydorophil Lyophile Balanceと名付け、界面活性剤の分子中に含まれる親水基と親油基のバランスを特性値として指標化した値である。このHLB値が低いほど親油性が、一方高いほど親水性が高くなる、ことを意味する。
【0077】
本発明のハードコート層には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。例えば、撥水性を付与する為のフッ素やシリコン系の化合物、塗工性や外観向上の為の消泡剤、更には、帯電防止剤や着色用の染料や顔料が挙げられる。
【0078】
本発明において、ハードコート層は、有機溶剤中に、電離放射線硬化型化合物、粒子、光重合開始剤、界面活性剤を含む塗布液を、基材フィルム上に塗布乾燥後、硬化させて形成させることが好ましい。
【0079】
ハードコート層を積層する方法としては、公知の方法が挙げられるが、前記塗布液を基材フィルム上に塗布乾燥後、硬化させる方法が好適である。塗布法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式、バーコート方式、リップコート方式などの公知の塗布方法が挙げられる。これらのなかで、ロール・トゥ・ロール方式で塗工可能で、均一に塗布することのできるグラビアコート方式、特にリバースグラビア方式が好ましい。
【0080】
前記塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物、粒子、光重合開始剤等を有機溶剤中に溶解あるいは分散する方法としては、加温下で、これらを攪拌、分散する方法が好適である。塗布液を加温することにより、電離放射線硬化型化合物、粒子および光重合開始剤の溶解性を向上させることができる。そのため、未溶解物等による塗工外観の悪化を抑えることができる。
【0081】
分散機は、公知のものを用いることができる。具体的には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ホモミキサー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【0082】
前記塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物、粒子、光重合開始剤等の固形分の濃度は、5質量%以上70質量%が好ましい。塗布液の固形分の濃度を5質量%以上に調整することにより、塗布後の乾燥時間が長くなることによる生産性の低下を抑えることができる。一方、塗布液の固形分の濃度を70質量%以下に調整することにより、塗布液の粘度の上昇によるレベリング性の悪化、及びそれにともなう塗布外観の悪化を防ぐことができる。また、塗布外観の点から、塗布液の粘度を0.5cps以上300cps以下の範囲になるように、塗布液の固形分濃度、あるいは有機溶剤の種類、界面活性剤の種類は配合量を調整することが好ましい。
【0083】
塗布、硬化後のハードコート層の厚みは、成型時の伸長の程度によるが、成型後のハードコート層の厚みが0.5μm以上50μm以下になるようにすることが好ましい。具体的には、成型前のハードコート層の厚みの下限は0.6μm以上が好ましく、1.0μm以上がさらに好ましい。また、成型前のハードコート層の厚みの上限は100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましく、20μm以下がよりさらに好ましい。ハードコート層の厚みが0.6μmより薄い場合はハードコート性が得られ難く、逆に100μmを超える場合は、ハードコート層の硬化不良や硬化収縮によるカールが悪い傾向を示す。
【0084】
塗布液に有機溶剤を配合した場合等、予備乾燥が必要な場合、基材フィルム上に塗布し、乾燥する方法としては、公知の熱風乾燥、赤外線ヒーター等が挙げられるが、乾燥速度が早い熱風乾燥が好ましい。
【0085】
塗布後の乾燥温度は40℃以上120℃以下の条件下で行うことが好ましく、特には下限が45℃以上、上限が80℃以下が好ましい。40℃未満では、塗布液に含まれる有機溶剤が十分に除去できない他、ブラッシング等の問題が発生する場合がある。逆に120℃を超える温度では、泡由来の微小なコートヌケ、微小なハジキ、クラック等の塗膜の微小な欠点が発生しやすくなり、外観が不良になる場合がある。さらには、熱によりフィルムが強く収縮し、熱シワによりフィルムの平面性が悪化するため、成型時に均一な伸長が得られない、または、局部的な伸長が起こり、フィルムが破断する等の成型性が不良となる。
【0086】
乾燥中にかかるフィルムの張力は50N/m以上300N/m以下が好ましく、特には下限が100N/m以上、上限が250N/m以下が好ましい。フィルムの張力は50N/m未満では、走行するフィルムが蛇行し、塗布液を塗工することは不可能である。逆に、300N/mを超える場合、フィルムにシワが発生し、平面性の悪化や、巻き取ったフィルムの外観が悪くなる。さらには、基材フィルムが低温で成型性に優れたものである場合は乾燥中にフィルムの進行方向に延伸され幅方向は収縮し、最悪の場合、破断する等の生産性に問題が生じる。
【0087】
本発明において、ハードコート層を設けていない面に本発明の効果を阻害しない範囲でハードコート層、帯電防止層、易接着層、粘着層、易滑層、電磁波吸収層、染料や顔料等の色素を含有した樹脂層などの他の機能を付与しても構わない。
【0088】
本発明では、塗布液に紫外線を照射する事によりハードコート層を形成させる。照射する積算光量として、好ましくは50mJ/cm2以上1000mJ/cm2以下、より好ましくは下限が300mJ/cm2以上、上限が700mJ/cm2以下である。なお、照射する際、窒素ガス雰囲気下で行なうことが酸素阻害が低減され、耐擦傷性が向上することから望ましい。積算光量が50mJ/cm2未満である場合、電離放射線硬化型化合物の重合反応が促進されず、ハードコート層の表面硬度が著しく低下する。積算光量が1000mJ/cm2を超える場合は、熱の影響により基材フィルムが変形する場合がある。なお、本発明における積算光量は、トプコン製「UVR−T35」により測定することができる。
【0089】
また、電子線により塗布液を硬化させる場合には、照射線量は5kGy以上100kGy以下が好ましく、特には上限が30kGy以上、下限が70kGy以下がより好ましい。5kGy未満である場合、電離放射線硬化型化合物の重合反応が促進されず、ハードコート層の表面硬度が著しく低下する。100kGyを超える場合は、電子線照射管の寿命低下が著しく、生産コスト面で好ましくない。
【0090】
(成型用ハードコートフィルム)
本発明の成型用ハードコートフィルムは、表面硬度に優れるフィルムである。具体的には、共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとした成型用ハードコートフィルムの場合、鉛筆硬度の測定値がH以上であることが好ましく、さらに2H以上であることが特に好ましい。ここで鉛筆硬度の評価はJIS−K5600に準拠して行った。
【0091】
表面硬度を調整する方法としては、ハードコート層を形成する塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物中の1または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量やアミノ基を有する電離放射線硬化型化合物の含有量、ハードコート層中の粒子の存在量、ハードコート層の厚みにより変更することができる。
【0092】
本発明の成型用ハードコートフィルムとは、耐擦傷性に優れるフィルムである。具体的には、基材フィルムによって異なるが、共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとした成型用ハードコートフィルムの場合、JIS−K5600に準拠し、荷重500gfで#0000のスチールウールで表面を20往復し、傷の発生の有無及び傷の程度を目視により観察し、深いキズが10本以下の少量であることが好ましく、さらに深いキズが全く無いことが特に好ましい。
【0093】
耐擦傷性を調整する方法としては、ハードコート層を形成する塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物中の1または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量やアミノ基を有する電離放射線硬化型化合物の含有量、ハードコート層中の粒子の存在量により変更することができる。
【0094】
本発明の成型用ハードコートフィルムは、成型性に優れるフィルムである。具体的には、基材フィルムによって異なるが、共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとした成型用ハードコートフィルムの場合、室温、フィルム実温が160℃時ともに伸度が10%以上であることが好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることが特に好ましい。ここで伸度とは、長さ10mm、幅150mmの短冊状に成型用ハードコートフィルムを切り出し、フィルム実温が160℃時のそれぞれで引っ張った時に、ハードコート層にクラック、または白化が発生した時の延伸率を伸度(%)とした。
【0095】
成型性(伸度)を調整する方法としては、ハードコート層を形成する塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物中の1または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量やアミノ基を有する電離放射線硬化型化合物の含有量、ハードコート層中の粒子の存在量により変更することができる。
【0096】
本発明の成型用ハードコートフィルムは、ハードコート層を積層しない面に印刷加工を施す場合は、透明性があることが好ましい。具体的には、基材フィルムによって異なるが、共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとした成型用ハードコートフィルムの場合、ヘーズが5%以下であることが好ましい。ヘーズを調整する方法としては、ハードコート層中の粒子の存在量により変更することができる。
【0097】
本発明の成型用ハードコートフィルムは、ハードコート層を積層しない面に印刷加工を施す場合は、着色がないことが好ましい。具体的には、基材フィルムによって異なるが、共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムを基材フィルムとした成型用ハードコートフィルムの場合、色調b*の値が2.0以下であることが好ましい。色調b*を調整する方法として、ハードコート層を形成する塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物中のアミノ基を有する電離放射線硬化型化合物の含有量や光開始重合剤の添加量により変更することができる。ここで色調b*は色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、C光源、2度の視野角で色調b*値を測定し、5回の測定値を平均して求めた値である。
【0098】
(成型用ハードコートフィルムロール)
本発明の成型用ハードコートフィルムロールは、長尺の成型用ハードコートフィルムを円筒状コアにロール状に連続的に巻き取る工程を経て得られる。成型用ハードコートフィルムロールを用いることにより、加工時の生産性が向上し、さらに成型体の品質の安定性に寄与しうる。長尺の成型用ハードコートフィルムを円筒状コアにロール状に連続的に巻き取られた成型用ハードコートフィルムロールの長さは用途により特に限定されないが、50m以上5000m以下であることが好ましく、100m以上3000m以下がより好ましい。巻長が短い場合には、例えば後工程での印刷層加工時の成型用ハードコートフィルムの切り替え頻度が高くなり作業性が悪化する。逆に、巻長が長い場合には、外部の環境温度により成型用ハードコートフィルムが膨張及び収縮し、巻き締まりが発生して、巻芯部の外観が不良となる。
【0099】
成型用ハードコートフィルムロールの幅は用途により異なり、特に限定されないが、加工性の点からは100mm以上2000mm以下が好ましく、500mm以上1500mm以下がさらに好ましい。
【0100】
成型用ハードコートフィルムを巻きつける円筒状コアは、プラスチック製コアが好ましい。一般的に使用される紙製のコアを用いた場合には、紙粉等が発生してハードコート層に付着して不良となりやすい。プラスチック製コアとしては、公知のものが好適に使用できるが、ポリプロピレン製コアやFRP製コアが強度の点で好ましい。円筒状コアのサイズは、直径が3インチ以上6インチ以下が好ましい。直径の小さいコアを用いた場合には、巻芯部で巻き癖が付き、後工程での取り扱い性が不良となる。一方、直径が大きい場合には、ロール径が大きくなり、ハンドリング性が不良となる。
【0101】
コアに成型用ハードコートフィルムを巻きつけるためには、コアに両面テープを介して成型用ハードコートフィルムを固定してから巻き始めることが好ましい。両面テープを用いない場合には、巻き途中や運搬時に巻ズレが発生しやすくなる。両面テープとしては公知のものが使用できるが、プラスチックフィルムの両面に粘着層を有するものが、紙粉の発生や強度の点で好ましい。両面テープの厚みは、5μm以上50μm以下が好ましい。薄い場合には強度が低下して作業性が悪くなるとともに、フィルムの固定力が低下する。逆に、厚い場合には、テープによる段差で、巻芯部の成型用ハードコートフィルムの平面性が不良となる。
【0102】
本発明において、成型用ハードコートフィルムの巾方向の両端に凹凸(エンボス)を付与することが好ましい。凹凸を付与することで、巻芯部の両面テープによる跡が付きにくくなるとともに、ハードコート層とその反対面の基材フィルム表層、または基材フィルム上に積層した前述したような機能性を付与した層との接触する箇所が低下して、ロール形態での保存安定性が良好となる。凹凸の高さの下限は、10μmが好ましく、さらに好ましくは15μmである。一方、凹凸の高さの上限は、40μmが好ましく、さらに好ましくは35μmである。凹凸の高さが低すぎると、凹凸によるロール形態での保存安定性の改善効果が小さくなる。一方、凹凸の高さが高すぎると、運送時に巻ズレ等が発生しやすくなる。凹凸を付与する方法としては、公知の方法を使用できる。具体的には、表面に突起のある金属ロールを押し付けて凹凸を付与する方法が挙げられる。なお、凹凸加工は基材フィルム上にハードコート層を形成する前に、予め基材フィルムに付与しておくことが好ましい。
【0103】
(成型体)
本発明の成型用ハードコートフィルムは、真空成型、圧空成型、金型成型、プレス成型、ラミネート成型、インモールド成型、絞り成型、折り曲げ成型、延伸成型などの成型方法を用いて成型する成型用材料として好適である。本発明の成型用ハードコートフィルムを用いて成型した場合、成型時の変形にハードコート層が追随しクラックが発生せず、かつ、表面硬度、耐擦傷性を維持することができる。
【0104】
上記の成型用ハードコートフィルムを成型してなる成型体のハードコート層の厚みは、0.5μm以上50μm以下が好ましく、特に好ましくは0.5μm以上10μm以下がよい。成型体のハードコート層の厚みが0.5μmより薄い場合はハードコート性が得られないことや、耐熱性の点で成型体に熱が加わった際、基材フィルムの収縮に追随できずハードコート層表面が波打つように荒れ、外観を損ねてしまう。逆に50μmを超える場合は、それ以上のハードコート層の厚みでの表面硬度に優位差が無く、品質の点でメリットは小さくなる。
【0105】
このように成型された成型体は、ハードコート層を有することにより表面硬度を補っているため、外部に触れる位置に装着され、耐擦傷性が要求される家電用銘板、自動車用銘板、ダミー缶、建材、化粧板、化粧鋼鈑、転写シートなどの成型部材として好適に使用することができる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお、各実施例で得られたフィルム特性は以下の方法により測定、評価した。
【0107】
(1)伸度
得られた成型用ハードコートフィルムから長さ10mm、幅150mmの短冊状の試料片に切り出した。フィルム試料片の実温が160℃の環境下で、外観を目視観察しながら、フィルム両端を把持して試験速度250mm/分で引張り、ハードコート層にクラック、または白化が発生した時のフィルムの長さを測定した。
試験前のフィルム試料片長をa、試験後のフィルム試料片長をbとしたとき、下記式により伸度を算出した。
伸度(%)=(b−a)×100/a
ここで伸度が10%以上のものを成型性に優れているとし、30%以上のものを特に成型性に優れていると判断した。
【0108】
(2)鉛筆硬度
得られた成型用ハードコートフィルムのハードコート層の鉛筆硬度をJIS−K5600に準拠して測定した。圧こん(痕)は目視で判定した。
ここで鉛筆硬度がH以上のものを優れた表面硬度があるものとし、2H以上であるものを特に優れた表面硬度があるものと判断した。
【0109】
(3)耐擦傷性
得られた成型用ハードコートフィルムのハードコート層の耐擦傷性をJIS−K5600に準拠して測定した。ハードコート層表面を荷重500gfで#0000のスチールウールで20往復し、傷の発生の有無及び傷の程度を目視により観察した。観察結果をもとに以下の判定基準に従ってランクを判定した。この耐擦傷性のランクがC以上で耐擦傷性があるとし、B以上のものを耐擦傷性が良好と判断した。
A:傷の発生が無い、もしくは細い傷が少量程度観察される。
B:細い傷が観察されるが、深い傷は観察されない。
C:細い傷が観察され、深い傷も少量程度観察される。
D:深い傷が多量に観察される。
【0110】
(4)色調b*
得られた成型用ハードコートフィルムの色調b*値を色差計(日本電色工業製、ZE−2000)を用いて、C光源、2度の視野角で色調b*値を測定し、5回の測定値を平均して求めた。
【0111】
(5)成型後の鉛筆硬度、ハードコート層の厚み
前記(1)の伸度評価において、クラックが発生する直前で引っ張ることをやめることにより、延伸成型後の成型体を得た。成型後の鉛筆硬度を前記(2)の評価方法により評価した。また、成型後のフィルム試料片(成型体)の中央部における分光反射率を分光光度計(島津製作所製、UV−3150型)よりを求め、波長400nm以上600nm以下での波形からピークバレー法を用いてハードコート層の厚みを算出した。その際に必要とするハードコート層の屈折率は、各実施例、比較例のハードコート塗布液からハードコート層の単膜を作成し、アッベ屈折計(アタゴ製、NAR−1T SOLID)を用いて求めた。
【0112】
(6)ガラス転移温度
JIS K7121に準拠し、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を使用して、25〜300℃の温度範囲にわたって20℃/minで昇温させ、DSC曲線から得られた補外ガラス転移開始温度をガラス転移温度とした。
【0113】
(7)干渉縞改善性(虹彩状色彩)
得られた成型用ハードコートフィルムを10cm(フィルム幅方向)×15cm(フィルム長手方向)の面積に切り出し、試料フィルムを作成した。得られた試料フィルムのハードコート層面とは反対面に、黒色光沢テープ(日東電工株式会社製、ビニルテープ No21;黒)を貼り合わせた。この試料フィルムのハードコート面を上面にして、3波長形昼白色(ナショナル パルック、F.L 15EX-N 15W)を光源として観察した。目視で観察した結果を、下記の基準でランク分けをした。
○:虹彩状色彩が見られない
△:僅かに虹彩状色彩が見られる
×:はっきりとした虹彩状色彩が観察される
【0114】
(ポリエステル樹脂の重合)
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート186質量部、ジメチルイソフタレート186質量部、ジメチル 5−ナトリウムスルホイソフタレート23.7部、ネオペンチルグリコール137質量部、エチレングリコール191質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5質量部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、29Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂は淡黄色透明であった。
【0115】
同様の方法で、別の組成の共重合ポリエステル樹脂(A−2、A−3、A−4)を得た。これらの共重合ポリエステル樹脂に対し、NMRで測定した組成および重量平均分子量の結果を表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
実施例1
(1)ポリエステルの水分散液の調整
撹拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A−1)20質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル15質量部を入れ、100℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水65質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分20質量%の乳白色のポリエステルの水分散液(B−1)を作成した。同様にポリエステル樹脂(A−1)の代わりにポリエステル樹脂(A−2)〜(A−4)を使用して、水分散液を作成し、それぞれ水分散液(B−2)〜(B−4)とした。
【0118】
(2)水系塗布液の調整
得られたポリエステル水分散液(B−1)40質量部、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンの44質量%溶液(松本製薬(株)製、TC310)18質量部、水150質量部およびイソプロピルアルコール100質量部をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、水系塗布液を調製した(以下、水系塗布液(C−1)と略記する)。
【0119】
(2)フィルム原料の製造
芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸単位100モル%、ジオール成分としてエチレングリコール単位40モル%及びネオペンチルグリコール単位60モル%を構成成分とする、固有粘度が0.69dl/gの共重合ポリエステルのチップ(A)と、固有粘度が0.69dl/gで、かつ平均粒子径(SEM法、以下同じ)が2.7μmのシリカを0.04質量%含有するポリエチレンテレフタレートのチップ(B)をそれぞれ乾燥させた。さらに、チップ(A)とチップ(B)を25:75の質量比となるように混合した。
【0120】
(3)ポリエステルフィルムの製造
次いで、これらのチップ混合物を押出し機によりTダイのスリットから270℃で溶融押出し、表面温度40℃のチルロール上で急冷固化させ、同時に静電印加法を用いてチルロールに密着させながら無定形の未延伸シートを得た。
【0121】
得られた未延伸シートを加熱ロールと冷却ロールの間で縦方向に90℃で3.3倍に延伸した。
【0122】
続いて、得られた一軸延伸フィルムに水系塗布液(C−1)を乾燥後重量が0.5g/m2になるようにロールコート法でフィルムの片面に塗布し、130℃で3秒間乾燥し水分を除去した。
【0123】
引続いてテンターで、100℃の設定で加熱して3.8倍に横延伸し、幅固定しながら230℃で5秒間の熱処理を施し、更に205℃で幅方向に5%緩和させることにより、厚みが100μmのポリエステルフィルムを得た。
【0124】
(4)成型用ハードコートフィルムの製造
得られたフィルムの中間層側に下記のハードコート塗布液Aをワイヤーバーを用いて乾燥後の塗工厚が2μmになるように塗布し、温度80℃の熱風で60秒乾燥し、出力120W/cmの高圧水銀灯下20cmの位置を10m/minのスピードで通過させて成型用ハードコートフィルムを得た。ハードコート層の屈折率は1.48であった。
(ハードコート塗布液A)
下記の材料を下記に示す質量比で混合し、30分以上攪拌して溶解させた。次いで、公称ろ過精度が1μmのフィルターを用いて未溶解物を除去して、ハードコート塗布液Aを作成した。
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0125】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0126】
(実施例2)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Bに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液B)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 17.18質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 2.86質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 2.86質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0127】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0128】
(実施例3)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Cに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液C)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 8.02質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 7.44質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 7.44質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0129】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0130】
(実施例4)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Dに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液D)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 21.75質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 0.58質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 0.57質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0131】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0132】
(実施例5)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Eに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液E)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 1.15質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 0.58質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 21.17質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0133】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0134】
(実施例6)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Fに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液F)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 21.75質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 1.15質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0135】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0136】
(実施例7)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Gに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液G)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 1.15質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 21.75質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0137】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0138】
(実施例8)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Hに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液H)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 1.15質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 21.75質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0139】
得られた成型用ハードコートフィルムはアミン化合物の添加量が多いため着色が目立ちやや好ましくないが、成型性、表面硬度、耐擦傷性はともに良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0140】
(実施例9)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Iに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液I)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジエチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDE、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0141】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0142】
(実施例10)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Jに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液J)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・N−ビニルホルムアミド 5.72質量%
(荒川化学製、ビームセット770、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0143】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0144】
(実施例11)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Kに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液K)
・メチルエチルケトン 67.93質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.58質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.79質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.79質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 7.72質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.16質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0145】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0146】
(実施例12)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Lに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液L)
・メチルエチルケトン 4.24質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 6.22質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 3.12質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 3.12質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 82.73質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 0.55質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.02質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0147】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0148】
(実施例13)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Mに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液M)
・メチルエチルケトン 71.46質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.72質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.86質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.86質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 3.90質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 1.17質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0149】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0150】
(実施例14)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Nに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液N)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 5.28質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 2.64質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 2.64質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 88.88質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・光重合開始剤 0.55質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.02質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0151】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0152】
(実施例15)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Oに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液O)
・メチルエチルケトン 58.76質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 17.17質量%
(扶桑化学工業製、PL2L−MEK、固形分比率:20%、平均粒径:20nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0153】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0154】
(実施例16)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Pに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液P)
・メチルエチルケトン 58.76質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 17.17質量%
(扶桑化学工業製、PL30L−MEK、固形分比率:20%、平均粒径:297nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0155】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0156】
(実施例17)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Qに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液Q)
・メチルエチルケトン 58.76質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 17.17質量%
(日本触媒製、シーホスターKE−E50、固形分比率:20%、平均粒径:511nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0157】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0158】
(実施例18)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Rに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液R)
・メチルエチルケトン 72.50質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物微粒子 3.43質量%
(日本触媒製、エポスターS、平均粒径:196nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0159】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0160】
(実施例19)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Sに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液S)
・メチルエチルケトン 75.08質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.85質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.93質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.92質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・光重合開始剤 1.19質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0161】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0162】
(実施例20)
実施例1において、塗布硬化後のハードコート層の厚みが1.1μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
【0163】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0164】
(実施例21)
実施例1において、塗布硬化後のハードコート層の厚みが50μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
【0165】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0166】
(実施例22)
実施例1において、塗布硬化後のハードコート層の厚みが0.5μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
【0167】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。しかし、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度は、若干不良であった。これは成型によりハードコート層の厚みが表面硬度を維持できる範囲以外まで薄くことなったことが原因である。得られた結果を表2に示す。
【0168】
(実施例23)
実施例1において、塗布硬化後のハードコート層の厚みが60μmになるように塗布すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
【0169】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表2に示す。
【0170】
(実施例24)
ポリエステル水分散液(B−2)48質量部、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンの44質量%溶液(松本製薬(株)製、TC310)15質量部、水150質量部およびイソプロピルアルコール100質量部をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、水系塗布液を調製した(以下、水系塗布液(C−2)と略記する)。この水系塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で、片面に中間層を有する二軸延伸フィルムおよびハードコートフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
【0171】
(実施例25)
ポリエステル水分散液(B−3)12質量部、ジイソプロポキシビス(トリエタノールアミナト)チタンの80質量%溶液(松本製薬(株)製、TC400)17質量部、水150質量部およびイソプロピルアルコール100質量部をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、水系塗布液を調製した(以下、水系塗布液(C−3)と略記する)。この水系塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で、片面に中間層を有する二軸延伸フィルムおよびハードコートフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
【0172】
(実施例26)
ポリエステル水分散液(B−4)24質量部、ジイソプロポキシビス(アセチルアセナト)チタンの11質量部、水150質量部およびイソプロピルアルコール100質量部をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、水系塗布液を調製した(以下、水系塗布液(C−4)と略記する)。この塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で、片面に中間層を有する二軸延伸フィルムおよびハードコートフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
【0173】
(実施例27)
ポリエステル水分散液(B−4)32質量部、ジルコニウムアセテート10質量部、水150質量部およびイソプロピルアルコール100質量部をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、水系塗布液を調製した(以下、水系塗布液(C−5)と略記する)。この塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で、片面に中間層を有する二軸延伸フィルムおよびハードコートフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
【0174】
(比較例1)
実施例1において、ハードコート層を形成する塗布液を下記のハードコート塗布液Tに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液T)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 22.90質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャリティー製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0175】
得られた成型用ハードコートフィルムは表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好であったが成型性が不良で、成型用ハードコートフィルムとして不良であった。得られた結果を表2に示す。
【0176】
(比較例2)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Uに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液U)
・メチルエチルケトン 64.48質量%
・トリプロピレングリコールジアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 11.45質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒径:50nm)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャリティー製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0177】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、着色の程度ともに良好であったが、表面硬度、耐擦傷性が不良で、成型用ハードコートフィルムとして不良であった。得られた結果を表2に示す。
【0178】
(比較例3)
ポリエステル水分散液(B−1)58質量部、水150質量部およびイソプロピルアルコール100質量部をそれぞれ混合し、さらにアニオン系界面活性剤(花王株式会社製、ネオペレックス No6Fパウダー)をそれぞれ塗布液に対し1質量%、コロイダルシリカ微粒子(触媒化成工業製、カタロイドSI80P;平均粒径80nm)水分散液を樹脂固形分に対しシリカとして2質量%添加し、水系塗布液を調製した(以下、水系塗布液(C−6)と略記する)。この塗布液を用いて、実施例1と同様の方法で、片面に中間層を有する二軸延伸フィルムおよびハードコートフィルムを得た。評価結果を表2に示す。
【0179】
(実施例28)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Vに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液V)
・メチルエチルケトン 63.62質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・電離放射線硬化型シリコーン化合物ポリエーテルアクリレート 0.86質量%
(ドイツケミーサービス社製、TEGO Rad2200N)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0180】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表3に示す。
【0181】
(実施例29)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Wに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液W)
・メチルエチルケトン 64.42質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・電離放射線硬化型シリコーン化合物ポリエーテルアクリレート 0.06質量%
(ドイツケミーサービス社製、TEGO Rad2200N)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0182】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表3に示す。
【0183】
(実施例30)
実施例1において、ハードコート層を形成するハードコート塗布液を下記のハードコート塗布液Xに変更すること以外は実施例1と同様にして、成型用ハードコートフィルムを得た。
(ハードコート塗布液X)
・メチルエチルケトン 61.62質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 11.45質量%
(新中村化学製、NKエステル A−TMM−3LM−N、官能基数3)
・トリプロピレングリコールジアクリレート 5.73質量%
(新中村化学製、NKエステル APG−200、官能基数2)
・ジメチルアミノエチルメタクリレート 5.72質量%
(共栄社化学製、ライトエステルDM、官能基数1)
・シリカ微粒子 11.45質量%
(日産化学工業製、MEK−ST−L、固形分比率:30%、平均粒子径:50nm)
・電離放射線硬化型シリコーン化合物ポリエーテルアクリレート 2.86質量%
(ドイツケミーサービス社製、TEGO Rad2200N)
・光重合開始剤 1.14質量%
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製イルガキュア184)
・シリコーン系界面活性剤 0.03質量%
(東レ・ダウコーニング製、DC57)
【0184】
得られた成型用ハードコートフィルムは成型性、表面硬度、耐擦傷性、着色の程度ともに良好で、成型用ハードコートフィルムとして良好であった。また、得られた成型用ハードコートフィルムより成型した成型体の表面硬度も良好であった。得られた結果を表3に示す。
【0185】
【表2】

【0186】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明の成型用ハードコートフィルムはハードコート層を有することにより基材フィルムの表面硬度を補っているため、本発明の成型用ハードコートフィルムを成型してなる成型体は、耐擦傷性が要求される家電、自動車の銘板用または建材用部材、携帯電話、オーディオ、ポータブルプレーヤー/レコーダー、ICレコーダー、カーナビ、PDAなどの携帯機器やノートPCなどの筐体として好適である。また、成型加工の製造面でも、成型前に基材フィルムにハードコート層を加工、積層させることで、生産性、品質の安定性を向上に寄与することができ、産業界への寄与は大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材フィルム、中間層、ハードコート層の順で積層された成型用ハードコートフィルムであって、
基材フィルムが共重合ポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムであり、
中間層が水性ポリエステル樹脂(A)と、水溶性のチタンキレート化合物、水溶性のチタンアシレート化合物、水溶性のジルコニウムキレート化合物、または水溶性のジルコニウムアシレート化合物の少なくとも1種(B)とを主たる構成成分とし、(A)/(B)の混合比(質量比)が10/90〜95/5である樹脂組成物を含む水系塗布液を塗布、乾燥してなり、
ハードコート層は、基材フィルムの中間層面に塗布液を塗布硬化させてなり、
前記塗布液が、3以上の官能基を有する電離放射線硬化型化合物と、1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物とを少なくとも含み、
前記塗布液に含まれる電離放射線硬化型化合物中の1および/または2官能の電離放射線硬化型化合物の含有量が5質量%以上95質量%以下である、成型用ハードコートフィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層中に平均粒子径10nm以上300nm以下の粒子を含み、
前記粒子のハードコート層中の含有量が5質量%以上70質量%以下である請求項1に記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項3】
前記塗布液に含まれる電離放射線硬化化合物の少なくとも1種がアミノ基を有する電離放射線硬化化合物である請求項1または2に記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項4】
前記ハードコート層中に電離放射線硬化型シリコーン樹脂を含み、
前記電離放射線硬化型シリコーン樹脂のハードコート層中の含有量が前記電離放射線硬化型化合物100質量部に対して0.15質量部以上15質量部以下である請求項1〜3のいずれかに記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項5】
前記の水性ポリエステル樹脂(A)が、スルホン酸金属塩基を含有する芳香族ジカルボン酸成分をポリエステルの全ジカルボン酸成分に対し1〜10モル%含有する共重合ポリエステル樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項6】
前記の水性ポリエステル樹脂(A)は、ガラス転移温度が40℃以上である請求項1〜5のいずれかに記載の成型用ハードコートフィルム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の成型用ハードコートフィルムを成型してなる成型体。

【公開番号】特開2011−126157(P2011−126157A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−287454(P2009−287454)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】