説明

成型用ポリエステルフィルム

【課題】
成型性、寸法安定性と加工適性に優れ、成型後の外観が良好な成型用ポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】
MOR−c値が1.81〜8.0であり、配向角の直交方向への150℃でのF100値が5MPa以上60MPa以下である成型用ポリエステルフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型性、寸法安定性と加工適性に優れ、成型後の外観が良好な成型用ポリエステルフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車部材、電子機器、建材分野で、溶剤レス塗装、六価クロム代替などの環境低負荷化の要望が高まり、成型加飾フィルムを使用した成型部材のフィルム加飾方法の導入が進んでいる。フィルム加飾方法としては、インモールド転写法と呼ばれる成型同時転写法、真空(圧空)成型法、インサート成型法などが挙げられる。いずれの工法においても、フィルムの成型性は重要な要素であり、成型性の高い無延伸フィルムを用いた成型転写箔用フィルム(特許文献1)や真空成型用シート(特許文献2)などが提案されている。無延伸フィルムは成型性に優れる一方で、耐熱性、耐薬品性が低いため、加工適性においては二軸配向フィルムに劣る。成型用二軸延伸フィルムとしては、フィルムの伸度、縦方向と横方向の伸度の比などを規定した二軸延伸ポリエステルフィルム(特許文献3)や、積層ポリエステルフィルムの各層の組成や融点を一定範囲とする成型用積層ポリエステルフィルム(特許文献4)などが提案されている。
【0003】
従来は、二軸配向フィルムは比較的浅い形状の成型に用いられていたが、より深い形状でも成型可能な二軸配向フィルムのニーズが高まっており、加工適性を損なうことなく成型性を向上した二軸配向フィルムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−39860号公報
【特許文献2】特開2010−99901号公報
【特許文献3】特開2009−292949号公報
【特許文献4】特開2010−208341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を背景になされたものであり、成型性、寸法安定性と加工適性に優れ、成型後の外観が良好な成型用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は下記の特徴を有する。
(1)MOR−c値が1.81〜8.0であり、配向角に直交する方向への150℃でのF100値が5MPa以上60MPa以下である成型用ポリエステルフィルム。
(2)荷重19.6mNで、25℃から220℃まで昇温速度5℃/分で昇温した際の配向角方向への180℃でのフィルムの熱寸法変化率が0〜+3%である(1)に記載の成型用ポリエステルフィルム。
(3)B層/A層/B層の3層構成からなる(1)または(2)に記載の成型用ポリエステルフィルム。
(4)A層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち60〜95モル%がエチレングリコール、5〜40モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種類以上のグリコールであり、B層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち80モル%以上がエチレングリコール、0〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種類以上のグリコールである(3)に記載の成型用ポリエステルフィルム。
(5)A層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち80〜95モル%がエチレングリコール、5〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールであり、B層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち90モル%以上がエチレングリコール、0〜10モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールである(3)に記載の成型用ポリエステルフィルム。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、成型性、寸法安定性と加工適性に優れ、成型後の外観が良好な成型用ポリエステルフィルムを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
本発明者らは、成型用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルの組成、構成、製造方法として適切な条件を鋭意検討することで、本発明を見出した。
【0010】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、MOR−c値が1.81〜8.0である必要がある。より好ましくは、2.0〜7.0であり、さらに好ましくは2.5〜6.0である。MOR値とは、マイクロ波透過型分子配向計で計測された透過マイクロ波強度の最大値と最小値の比(最大値/最小値)であり、MOR−c値とは、そのMOR値を基準とする厚みに換算したものである。本発明におけるMOR−c値は、下記式(1)により、188μmに換算している。
MOR−c値=(MOR値−1)×tc/t +1 ……(1)
ここで、tは試料の厚み(μm)、tcは補正したい基準の厚さ(188μm)、MORは上述の測定により得られた極座標(配向パターン)の長軸と短軸の比、MOR−c値は補正後のMOR値を示す。
【0011】
MOR−c値が1.81〜8.0であると、分子配向に適度な偏りができる。分子の配向方向への引張強度は高くなるが、配向方向に垂直な方向へは低応力で伸長が可能となる。成型応力が低い方向へは成型しやすくなるため、成型体の形状によっては、より効果的に成型が可能なフィルムとなる。また、配向が高い方向には熱による寸法変化が抑制されるため、印刷加工時の収縮を抑制することができる。MOR−c値が1.81よりも小さい場合、いずれの方向に対しても成型応力が高くなったり、熱収縮率が大きくなる場合があり好ましくない。MOR−c値が8.0よりも大きい場合、特定の方向への配向が高すぎるため成型性が低下したり、シワが入ったりする場合があり好ましくない。
【0012】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、配向角の直交方向への150℃でのF100値が5MPa以上60MPa以下である必要がある。配向角とは、面内で分子が最も分極している方位である。MOR値と同様に、マイクロ波透過型分子配向計により測定される極座標(配向パターン)の長軸の直交座標系における傾きが配向角である。より好ましくはF100値が10MPa以上50MPa以下、さらに好ましくは15MPa以上45MPa以下である。F100値を上記の範囲とすることで、F100値が5MPaより小さい場合、加飾成型のためにフィルムを加熱する際にフィルムがたるみ、印刷などがずれる場合があり好ましくない。F100値が60MPaより大きい場合、成型性が低下するため好ましくない。ここでF100値とは、試験長50mmの矩形型に切り出したサンプルを150℃に設定した恒温槽中で60秒間の予熱後、300mm/分のひずみ速度で引張試験を配向角の直交方向に行った際の100%伸長時の応力である。本発明においては、MOR値を測定する際に得られた配向角に沿った方向と、配向角に直交する方向において引張試験を行った。配向角方向への伸長は分子鎖方向への伸長となり、応力が高くなる。配向角に直交する方向への伸長は応力が低くなる。配向角方向のF100値は(配向角の直交方向へのF100値)以上100MPa以下が好ましく、より好ましくは80MPa以下、さらに好ましくは60MPa以下である。配向角方向のF100値が100MPaより大きいと、成型性が不十分になる場合があり好ましくない。
【0013】
MOR−c値および配向角の直交方向への150℃でのF100値を上記の範囲とするための好ましい手段としては、成型用ポリエステルフィルムを二軸配向フィルムとし、以下に記載するような条件で製膜することが挙げられる。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
【0014】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが好ましいが、延伸方式としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれでもよい。これらの方式の中では、フィルムの品質の点で、テンター方式によるものが好ましい。
【0015】
二軸延伸の延伸倍率としては、長手方向、幅方向のそれぞれの方向に、3.0〜4.2倍、好ましくは3.0〜4.0倍、さらに好ましくは3.2〜3.8倍である。この場合、長手方向、幅方向の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としてもよい。MOR−c値が1.81〜8.0となるようにするためには、長手方向、幅方向どちらかの延伸倍率を大きくすることが好ましい。
【0016】
また、延伸速度は1,000%/分〜200,000%/分であることが好ましい。より好ましくは、1,500%/分〜50,000%/分、さらに好ましくは2,000%/分〜30,000%/分である。延伸速度が1,000%/分よりも低いと生産性が悪化する場合があり好ましくない。また、延伸速度が200,000%/分よりも大きいと、配向のコントロールが困難になり好ましくない。
【0017】
長手方向に延伸をした後、幅方向に延伸を行う逐次二軸延伸方法の場合は、長手方向と幅方向のどちらかの延伸倍率を大きくすることで、MOR−c値を1.81〜8.0とすることができるので好ましい。その場合、幅方向の延伸倍率を大きくする方が好ましい。長手方向を大きくすると、配向のコントロールが困難になる場合がある。MOR−c値を上記の範囲とする延伸条件としては例えば、長手方向の延伸倍率を3.0〜4.2倍とし、幅方向の延伸倍率を3.0〜4.2倍、好ましくは長手方向の延伸倍率を3.0〜3.8倍、幅方向の延伸倍率を3.2〜4.0倍とし、延伸倍率の差を0.1以上0.8以下、より好ましくは、0.2以上0.5以下とすることが好ましい。二軸配向フィルムの長手方向と幅方向の屈折率の差Δnが0.005以上0.04以下であることが好ましい。より好ましくは0.01以上0.035以下である。Δnが上記の範囲であると、MOR−c値を好ましい範囲としやすいため好ましい。Δnが0.005より小さいと、MOR−c値が好ましい範囲より低くなりやすく、Δnが0.04よりも大きいとMOR−c値が好ましい範囲よりも大きくなりやすいため好ましくない。
【0018】
長手方向の延伸の予熱温度は80〜100℃、さらに好ましくは85〜95℃とすることが好ましい。長手方向の延伸温度は80℃以上110℃以下であれば好ましく、85℃以上100℃以下であればさらに好ましく、85℃以上95℃以下であれば最も好ましい。長手方向延伸後の一軸延伸フィルムは、Δnが、0.01以上0.05以下であることが好ましい。また、より好ましくは0.015以上0.04以下である。Δnが上記の範囲であると、一軸延伸フィルムの配向が適切な範囲となり、幅方向の延伸時に幅方向への配向が適切な範囲としやすくなる。Δnが0.05より大きいと、長手方向の配向が大きくなるため、幅方向への配向が不十分になったり、幅方向に延伸する際に破れやすくなったりする場合があり好ましくない。また、Δnが0.01より小さい場合、長手方向への配向が不十分となり幅方向への配向が過剰となる場合があり好ましくない。また、一軸延伸フィルムのMOR−c値は1.0〜1.8であることが好ましい。より好ましくは、1.05〜1.5である。MOR−c値が1.8よりも大きいと、幅方向への配向が不十分になる場合があり好ましくない。MOR−c値が1.05より小さい場合、長手方向への配向が不十分であり好ましくない。
【0019】
上記のような条件で得られる一軸延伸フィルムを下記のような条件で幅方向延伸することで、望ましい範囲のMOR−c値の二軸配向フィルムが得られる。幅方向延伸の予熱温度は70〜100℃、さらに好ましくは75〜90℃とすることが好ましい。幅方向延伸温度は80℃以上120℃以下であれば好ましく、80℃以上110℃以下であればさらに好ましく、80℃以上95℃以下であれば最も好ましい。
【0020】
未延伸シートを二軸延伸した後に、フィルムの熱処理を行うことが好ましい。この熱処理は、オーブン中、あるいは、加熱されたロール上等、従来公知の任意の方法で行うことができる。熱処理は、フィルム温度120℃以上245℃以下の任意の温度とすることができるが、好ましくは221〜245℃である。さらに好ましくは225℃〜245℃である。また熱処理時間は任意の時間とすることができるが、好ましくは1〜60秒間行うのがよい。より好ましくは1〜30秒間である。なお、かかる熱処理はフィルムをその長手方向および/または幅方向に弛緩させつつ行ってもよい。さらに、再延伸を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後、熱処理を行ってもよい。
【0021】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、ポリエステルを主成分とするフィルムである。すなわち、本発明の成型用ポリエステルフィルムは、少なくとも50質量%がポリエステルからなる。
【0022】
本発明の成型用ポリエステルフィルムに使用されるポリエステルは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子の総称であって、通常、ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。
【0023】
ここで使用するジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸などの各成分を挙げることができる。また、ジカルボン酸エステル誘導体成分として、上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、たとえばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどの各成分を挙げることができる。これらのうち本発明の成型用ポリエステルフィルム全体におけるポリエステルでは、テレフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸の占める割合が、ジカルボン酸成分中、好ましくは95モル%以上、より好ましくは98モル%以上であることが耐熱性、生産性の点から好ましい。
【0024】
また、グリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)などの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物など各成分が挙げられる。中でも、成型性、取り扱い性の点で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの各成分が好ましく用いられる。特に、グリコール成分のうち、エチレングリコールが60モル%以上であることが耐熱性、生産性の点から好ましい。
【0025】
これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用してもよい。
【0026】
成型性、寸法安定性の観点から、成型用ポリエステルフィルムを構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうちテレフタル酸が95モル%以上、グリコール成分のうち、エチレングリコールが60〜95モル%、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる1種類以上のグリコール成分が5〜40モル%とすることが好ましい。より好ましくは、エチレングリコールが70〜95モル%、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれか1つ以上のグリコール成分が5〜30モル%、さらに好ましくは、エチレングリコールが80〜95モル%、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのいずれか1つ以上のグリコール成分が5〜20モル%である。
【0027】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、深い形状への成型性、高度な寸法安定性、表面光沢を両立させるために、B層/A層/B層の3層構成であることが好ましい。3層構成で表層と中心層とを異なる組成とすることで、成型性と寸法安定性という相反する要求を満足することができる。
【0028】
また、A層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち60〜95モル%がエチレングリコール、5〜40モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種類以上のグリコールであり、B層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち80モル%以上がエチレングリコール、0〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種類以上のグリコールであることが好ましい。
【0029】
A層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分は、テレフタル酸が98モル%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは99モル%以上である。A層を構成するポリエステルのグリコール成分は、エチレングリコールが80モル%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは85〜90モル%であり、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種類以上のグリコールは5〜20モル%がより好ましく、さらに好ましくは10〜15モル%である。
【0030】
B層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分は、テレフタル酸が98モル%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは99モル%以上である。B層を構成するポリエステルのグリコール成分は、エチレングリコールが90〜99モル%であることがより好ましく、さらに好ましくは95〜99モル%であり、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種類以上のグリコールは0〜10モル%がより好ましく、さらに好ましくは1〜5モル%である。
【0031】
A層とB層の層間密着性を考慮すると、A層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち99モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち、85〜90モル%がエチレングリコール、10〜15モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールであり、B層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち99モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち、95〜99モル%がエチレングリコール、1〜5モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2―ジメチル−1,3−プロパンジオールであることが最も好ましい。
【0032】
A層のグリコール成分のうち、エチレングリコールのモル比率を80モル%以上とすることで、寸法安定性が向上し、加工時の伸びによるしわを抑制でき、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを5モル%以上とすることで成型性が向上できるため好ましい。B層のグリコール成分のうち、エチレングリコールを90モル%以上とすることで、良好な耐薬品性や耐熱性が得られ、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールを10モル%以下とすることで表面を平滑にでき、高光沢が得られるため好ましい。
【0033】
A層とB層の積層厚み比としては、(B層の厚み)/(A層の厚み)/(B層の厚み)が1/10/1〜1/4/1の範囲であることが好ましい。より好ましくは、1/9/1〜1/7/1の範囲である。この範囲を外れると、深い形状への成型性と寸法安定性の両立が困難となる場合があり、また、積層むらが生じる場合もあるため好ましくない。上記の積層厚み比は、A層を構成するポリエステルAと、B層を構成するポリエステルBを押出すときの吐出量を調整することにより達成することができる。吐出量は押出機のスクリューの回転数、ギヤポンプを使用する場合はギヤポンプの回転数、押出温度、ポリエステル原料の粘度などにより適宜調整できる。
【0034】
フィルムの積層厚み比は、フィルムの断面を走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、光学顕微鏡などで500倍以上10000倍以下の倍率で観察することによって、積層各層の厚みを測定し、積層厚み比を求めることができる。
【0035】
また、本発明の成型用ポリエステルフィルムに使用されるポリエステル中には平均粒子径0.01〜10μmの、重合反応時に添加する触媒の残渣などによって析出するいわゆる内部粒子や、無機粒子および/または有機粒子などの外部粒子の中から任意に選定される粒子を含有させることができる。ここで10μmを超える平均粒子径を有する粒子を使用すると、フィルムに欠陥が生じる可能性がある。使用できる粒子としては、例えば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレー、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、エステル、ジビニルベンゼン等を重合したものを構成成分とする有機粒子等を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナ等の無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、エステル、ジビニルベンゼン等を重合したものを構成成分とする有機粒子等が好ましく使用される。これらの内部粒子、無機粒子、有機粒子は二種以上を併用してもよい。また、これらのフィルム中における含有量は、成型用ポリエステルフィルム全体を100質量%として、合計で0.01〜5質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.03〜3質量%である。0.01質量%未満の場合、フィルム巻き取りが難しくなる可能性があり、5質量%を越えると粗大突起による光沢度の低下、透明性および製膜性の悪化などを引き起こす可能性が生じる。
【0036】
また、B層/A層/B層の3層構成にする場合、平均粒子径0.01〜10μmの粒子をB層のみに添加することは、巻き取り性と経済性の両立の面から好ましい。B層にのみ粒子を添加する場合、粒子濃度はB層全体を100質量%とすると、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.03〜3質量%である。
【0037】
また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、成型用ポリエステルフィルムに使用されるポリエステルには、たとえばトリメリット酸、トリメシン酸、トリメチロールプロパン等の多官能化合物を共重合することもできる。
【0038】
本発明の成型用ポリエステルフィルムに使用されるポリエステルを製造する際の触媒としては特に限定されないが、アルカリ土類金属化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物などが使用できる。中でもチタン化合物、チタン/ケイ素複合酸化物、ゲルマニウム化合物が触媒活性の点から好ましい。
【0039】
例えば触媒としてチタン/ケイ素触媒を添加する場合には、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分を反応させ、次にチタン/ケイ素複合酸化物、リン化合物を添加し、引き続き高温、減圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重縮合反応させポリエステルを得る方法などが好ましく採用される。
【0040】
また、本発明の成型用ポリエステルフィルムには熱安定剤としてリン化合物を添加することができ、例えば、リン酸、亜リン酸などが好ましく用いられる。
【0041】
本発明の成型用ポリエステルフィルムには、核剤、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐候剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、染料などの添加剤を本発明の目的を損なわない範囲において添加することができる。これらの添加剤の添加方法は特に限定されず、たとえばポリエステルの溶融重合時、固相重合時、あるいは押出成型時などに添加することができる。
【0042】
次に、本発明の成型用ポリエステルフィルムの具体的な製造方法について記載する。
【0043】
B層/A層/B層の3層構成にする場合、ポリエステルA層とポリエステルB層それぞれ、使用する樹脂を所定の割合で計量し、混合する前もしくは混合した後に窒素雰囲気もしくは真空雰囲気で乾燥を行う。乾燥は乾燥後の樹脂中の水分率が50ppm以下とすることが好ましい。そして、混合したポリエステル樹脂を公知の単軸もしくは二軸押出機に供給し溶融押出する。ついで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
【0044】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、MOR−c値が1.81〜8.0である必要がある。逐次二軸延伸方法の場合、フィルム端部がボーイングにより歪み、MOR−c値が中央部に比較して高くなる。ボーイングによる歪みを抑制するために、本発明の主旨を損なわない範囲で、ある長さ以上の冷却工程を横延伸と熱処理工程の間に設ける(特開平3−193328号)、横延伸と熱処理の間で緩和を行なう(特公昭35−11774号)、横延伸と熱処理工程の間にニップロール群を設ける(特開昭50−73978号公報)などを行ってもよい。また、同時二軸延伸が可能なテンターにより延伸することでもボーイングを抑制できる(特開平9−295345号)。
【0045】
さらに、印刷層や接着剤、蒸着層、ハードコート層、耐候層といった各種加工層との接着力を向上させるため、少なくとも片面にコロナ処理を行ったり、易接着層をコーティングしたりすることもできる。コーティング層をフィルム製造工程内のインラインで設ける方法としては、少なくとも一軸延伸を行ったフィルム上にコーティング層組成物を水に分散させたものをメタリングバーやグラビアロールなどを用いて均一に塗布し、延伸を施しながら塗剤を乾燥させる方法が好ましく、その際、易接着層厚みとしては0.01μm以上1μm以下とすることが好ましい。また、易接着層を設ける場合、易接着層中に各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料、染料、有機または無機粒子、帯電防止剤、核剤などを添加してもよい。易接着層に好ましく用いられる樹脂としては、接着性、取扱い性の点からアクリル樹脂、ポリエステル樹脂およびウレタン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。易接着層の上に積層される層との相性により、適切なものが選択される。
【0046】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、荷重19.6mNで、25℃から220℃まで昇温速度5℃/分で昇温した際の配向角方向への180℃でのフィルムの熱寸法変化率が0〜+3%であるのが好ましい。より好ましくは0〜+2%である。熱寸法変化率を上記の範囲とすることで、加工成型の加熱時の歪や変形を抑制することができる。熱寸法変化率が0%よりも小さいと、成型機で保持し、加熱する際にフィルムが収縮し、成型応力が高くなるために成型性が悪化する場合があり好ましくない。熱寸法変化率が+3%よりも大きいと、成型機で保持し、加熱する際にタルミが生じ、シワや印刷ずれの原因となる場合があり好ましくない。熱寸法変化率は、熱機械分析(TMA)装置を使用して測定する。幅4mm、長さ15mmの試料に対して、荷重19.6mNの条件下で、25℃から5℃/分で昇温し、25℃での寸法に対する180℃の試料の寸法から熱寸法変化率を求める。
【0047】
熱寸法変化率を上記範囲内とする好ましい手段としては、オフアニール処理を行うことが挙げられる。オフアニール処理温度を140℃以上180℃以下とし、巻き取り速度を巻き出し速度より0.5〜5%低下させることで、熱寸法変化率を範囲内とすることができる。さらに、オフアニール処理後に段階的な冷却ゾーンを設けることで、熱寸法変化率を抑制できるため好ましい。オフアニール処理の条件は、配向角によって調整するのが好ましい。例えば、配向角が0〜±45°の場合は処理温度を150〜180℃とし、巻き取り速度を巻き出し速度より0.5〜3%低下させ、配向角が±45〜±90°の場合は処理温度を140〜170℃とし、巻き取り速度を巻き出し速度より1〜5%低下させるのが好ましい。また、配向角に沿って巻き取り張力がかかるよう、巻き出しと巻き取りの位置を平行にずらして巻き取っても良い。
【0048】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、成型後の外観の観点から厚みムラが10%以下であることが好ましい。厚みムラが10%より大きいと、成型転写後の成型体の外観が低下してしまう場合がある。経済性、成型後の外観の観点から、厚みムラは8%以下であればさらに好ましく、5%以下であれば最も好ましい。本発明の成型用ポリエステルフィルムの厚みムラを10%以下とする方法は特に限定されないが、例えば、キャスト位置を前方キャストにする方法、口金のリップ間隙を狭くする方法、キャストドラムやロールの真円度(JIS B 0621−1984)を一定値以下にする方法、延伸温度ムラを低減するためにラジエーションヒーターを使用する方法などが挙げられる。
【0049】
例えば、前方キャストを行う場合、フィルムとキャストドラムの接点において、フィルムとキャストドラムの接線に挟まれた角度が30°以下になるのが好ましい。より好ましくは、15°以下である。フィルムと接線の角度が30°より大きいと、フィルムとキャストドラムの密着が悪くなり、厚みムラの原因となる場合がある。
【0050】
また、真円度を一定値以下にする場合、真円度はロール半径の1%以下であることが好ましい。より好ましくは0.5%以下である。工程の前方にあるロールほど高い精度が求められる。特に、キャストドラムの場合は、0.1%以下が好ましい。キャストドラムやロールの真円度は断面における最大半径と最小半径の差で表される。真円度がロール半径の1%より大きいと、ロールのムラがフィルムに転写したり、該当ロールにおけるフィルムの送り速度にムラができたりする場合があり、それが厚みムラの原因となる。
【0051】
延伸時にラジエーションヒーターを使用する場合、長手方向の延伸において使用されるのが好ましい。好ましい出力は3〜30kW、より好ましくは、5〜20kWである。出力が不十分だと熱量が不足し、出力が過剰だと厚みムラの原因になる場合がある。
【0052】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、高温での成型応力が低いため深い形状の成型が可能であり、加工温度領域での寸法変化率が小さいため、コーティングや印刷などの加工に適している。また、建材、自動車部品や電機製品などの成型部材の加飾に好適に用いることができる。
【実施例】
【0053】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明する。なお諸特性は以下の方法により測定、評価した。
【0054】
1.MOR−c値、配向角
KSシステムズ(株)製(現王子計測機器(株))のMOA−2001(周波数4GHz)を用い、MOR値を測定し、下記式(1)によりMOR−c値を求めた。
【0055】
MOR−c値=(MOR値−1)×tc/t +1 ……(1)
ここで、tは試料の厚み(μm)、tcは補正したい基準の厚さ(188μm)、MORは上述の測定により得られた極座標(配向パターン)の長軸と短軸の比、MOR−c値は補正後のMORちを示す。また、極座標の長軸の直交座標系における傾きを配向角とする。
【0056】
2.配向角の直交方向への150℃でのF100値、配向角方向へのF100値
MOR値の測定によって得られた配向角とその配向角と直交する方向にそれぞれ幅10mmにサンプルを切り出した。引張試験機(オリエンテック社製テンシロンUCT−100)を用いて、切り出したサンプルをチャック間長さ50mm(初期試料長)となるようにセットし、温度150℃、湿度65%RHの条件に設定した恒温層中で60秒間の予熱後、引張速度300mm/分で引張試験を行い、100%伸張時の応力をそれぞれF100値とした。それぞれ測定数(以下、Nとする)は、N=5で行った。
【0057】
3.熱寸法変化率(180℃)
フィルムを配向角方向に長さ50mm×幅4mmの矩形に切り出しサンプルとした。熱機械分析装置(セイコ−インスツルメンツ製、TMA EXSTAR6000)を使用して、下記の条件下で保持した際のフィルム長の寸法変化率をN=2で求めた。
試長:15mm
荷重:19.6mN
温度:25℃〜220℃(5℃/分)
熱寸法変化率(%)=[{180℃でのフィルム長(mm)−25℃でのフィルム長(mm)}/25℃でのフィルム長(mm)]×100。
【0058】
4.厚みムラ
フィルムを10cm×10cmに切り出し、長手方向に5点、幅方向に5点、のべ10点の厚みを測定し、その平均値、最大値、最小値から厚みムラを求めた。
【0059】
5.耐薬品テスト
フィルムを水平台上に置き、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンをそれぞれ1滴ずつ滴下し、10秒後に拭き取った。
【0060】
○:まったく痕が残らない
△:拭き取った際の痕(キズ)が残る
×:滴下した痕が残る
3種の薬品で評価し、最も悪かった結果について、△以上を合格とした。
【0061】
6.印刷加工テスト
フィルムを300mm×210mmに切り出し、枚葉印刷機にて格子パターンを印刷した。
【0062】
○:問題なく印刷できた
△:格子パターンがやや歪んでいた
×:シワが入ったり、格子パターンがずれたりした。
【0063】
7.成型テスト
印刷したサンプルを両面真空成型機NGF−0406(布施真空(株)製)を用いて成型テストを行った。成型条件は、150℃〜190℃の間で各フィルムに最適な条件とし、金型は(A)〜(D)のいずれかのものを用いた。
【0064】
(A)60mm×150mm×30mmのカマボコ型(半円柱型)
(B)(A)の金型の下から10mmを粘土に埋め、高さ20mmとした金型
(C)(A)の金型の下から20mmを粘土に埋め、高さ10mmとした金型
(D)60mm×150mm×10mmの箱型。
【0065】
(1)成型性
○:成型できた
△:エッジがやや甘いが、成型できている
×:十分に成型できなかった
△以上を合格とした。
【0066】
(2)寸法安定性
○:格子パターンに異常はなかった
△:格子パターンがやや歪んでいた
×:格子パターンが大きく歪む、または断裂していた
△以上を合格とした。
【0067】
(ポリエステルチップα)
テレフタル酸ジメチル100質量部、およびエチレングリコール70質量部の混合物に、0.09質量部の酢酸マグネシウムと0.03質量部の三酸化アンチモンとを添加して、徐々に昇温し、最終的には220℃でメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。ついで、該エステル交換反応生成物に、0.020質量部のリン酸85質量%水溶液を添加した後、重縮合反応釜に移行した。重合釜内で加熱昇温しながら反応系を徐々に減圧して1hPaの減圧下、290℃で重縮合反応を行い、固有粘度0.65,副生したジエチレングリコール成分が、樹脂中のグリコール成分に対して、2モル%共重合されたポリエチレンテレフタレート樹脂を得た。
【0068】
(ポリエステルチップβ)
1,4−シクロヘキサンジメタノール成分が、ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分に対して、33モル%共重合された共重合ポリエステルを使用した。
【0069】
(ポリエステルチップγ)
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール成分が、ポリエチレンテレフタレートのグリコール成分に対して、33モル%共重合された共重合ポリエステルを使用した。
【0070】
(ポリエステルチップδ)
ポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製“トレコン”、1100S)チップを使用した。
【0071】
(粒子マスターM)
上記ポリエステルチップαを製造する際、エステル交換反応後に平均粒子径2.2μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを添加してから重縮合反応を行い、ポリマー中の粒子濃度2質量%の粒子マスターを作製した。
【0072】
(実施例1)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を90℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.7倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(B)で成型した。
問題なく成型できた。
【0073】
(比較例1)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を75℃、延伸温度を80℃で長手方向に3.4倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.4倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した二軸配向ポリエステルフィルムを金型(B)で成型した。
側面の成型が不十分であり、フィルムの方向を変えても改善せず不可となった。
【0074】
(実施例2)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップγと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ=80:20の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を80℃、延伸温度を85℃で長手方向に3.0倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.7倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(C)で成型した。
問題なく成型できた。
【0075】
(比較例2)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップγと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ=80:20の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップγ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を75℃、延伸温度を80℃で長手方向に2.5倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に4.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した二軸配向ポリエステルフィルムを金型(C)で成型した。
印刷時シワが入り、成型後の歪みが大きく不可となった。
【0076】
(実施例3)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップδと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を80℃、延伸温度を85℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(B)で成型した。
問題なく成型できた。耐薬品テストも問題なかった。
【0077】
(比較例3)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップδと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ=70:30の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップδ:粒子マスターM=94:5:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルム未延伸フィルムを金型(B)で成型した。
成型は問題なかったが、耐薬品テストではトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンで滴下した痕が残った。
【0078】
(実施例4)
単層構成のフィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、ポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=79:20:1の質量比でブレンドして単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、フィルターを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を80℃、延伸温度を90℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(D)で成型した。
問題なく成型できた。
【0079】
(比較例4)
単層構成のフィルムとした。
ポリエステルチップαと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、ポリエステルチップα:粒子マスターM=99:1の質量比でブレンドして単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、フィルターを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を100℃、延伸温度を110℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度90℃、延伸温度100℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した二軸配向ポリエステルフィルムを金型(D)で成型した。
十分に成型ができなかった。
【0080】
(実施例5)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=60:40の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を85℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
この二軸配向ポリエステルフィルムを、150℃の熱風オーブン中で長手方向の巻き取り速度を巻きだし速度より1.5%低下させながらオフアニール処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(A)で成型した。
問題なく成型でき、成型後の格子パターンも歪みはなかった。
【0081】
(実施例6)
B層/A層/B層の3層積層フィルムとした。
ポリエステルチップα、ポリエステルチップβと粒子マスターMを真空乾燥機にてそれぞれ180℃4時間乾燥し、水分を十分に除去した後、A層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ=60:40の質量比になるように、B層はポリエステルチップα:ポリエステルチップβ:粒子マスターM=89:10:1の質量比でブレンドしてそれぞれ別の単軸押出機に供給し、275℃で溶融し、別々の経路でフィルター、ギヤポンプを通し、異物の除去、押出量の均整化を行った後、Tダイの上部に設置したフィードブロック内にてB層/A層/B層の厚み比が1/8/1になるように積層した後、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸フィルムを得た。
次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、予熱温度を85℃、延伸温度を95℃で長手方向に3.3倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。
その後、コロナ放電処理を施し、水分散アクリル樹脂を主成分とする易接着層をメタリングバーにより塗布した。
次いでテンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて幅方向に4%のリラックスを掛けながら温度230℃で5秒間の熱処理を行い、成型用ポリエステルフィルムを得た。
枚葉印刷機で印刷した成型用ポリエステルフィルムを金型(A)で成型した。
エッジがやや甘いものの成型でき、成型後の格子パターンはやや歪んでいたが問題なかった。
【0082】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明の成型用ポリエステルフィルムは、適度な配向の偏りと低応力により、成型性と寸法安定性を両立し、加工適性に優れているため、コーティング、ラミネート、印刷、蒸着などによる加飾を施すことができる。例えば、建材、モバイル機器、電機製品、自動車部品、遊技機部品などの成型部材の加飾に好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MOR−c値が1.81〜8.0であり、配向角の直交方向への150℃でのF100値が5MPa以上60MPa以下である成型用ポリエステルフィルム。
【請求項2】
荷重19.6mNで、25℃から220℃まで昇温速度5℃/分で昇温した際の配向角方向への180℃でのフィルムの熱寸法変化率が0〜+3%である請求項1に記載の成型用ポリエステルフィルム。
【請求項3】
B層/A層/B層の3層構成からなる請求項1または2に記載の成型用ポリエステルフィルム。
【請求項4】
A層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち60〜95モル%がエチレングリコール、5〜40モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1以上のグリコールであり、B層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち80モル%以上がエチレングリコール、0〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選ばれる1以上のグリコールである請求項3に記載の成型用ポリエステルフィルム。
【請求項5】
A層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち80〜95モル%がエチレングリコール、5〜20モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールであり、B層を構成するポリエステルのジカルボン酸成分のうち95モル%以上がテレフタル酸、グリコール成分のうち90モル%以上がエチレングリコール、0〜10モル%が1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび/または2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールである請求項3に記載の成型用ポリエステルフィルム。

【公開番号】特開2013−87206(P2013−87206A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229446(P2011−229446)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】