説明

成型用積層体

【課題】本発明は、高輝度金属調外観と光透過性を両立し、尚且つ加飾工程時の環境負荷低減を可能とする成型用積層体の提供を目的とする。さらには、安価で簡易的に種種の色相を持った金属調外観の付与を可能とする成型用積層体の提供を目的とする。
【解決手段】熱可塑性基材(A)と、厚さ200〜800Åの光透過性金属層(B)と、粘着剤層(C)とを含む成型用積層体であって、380〜780nmの波長領域(可視光域)における該積層体の最大反射率が40%以上、最大透過率が2〜30%であることを特徴とする成型用積層体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属調光沢を有する成型体の製造に使用できる成型用積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンや携帯電話などの家電筐体、自動車内外装部材、立体看板などの様々な樹脂成型品に、意匠性を高める目的で種種の色調、木目調、カーボン調など様々な加飾を施されたものが用いられている。そして高級感のある外観を表現するため金属調外観の樹脂成型品が求められている。
【0003】
樹脂成型品に金属調外観を付与する加飾手法として、もっとも一般的には塗装が用いられる。しかし、塗装は様々な意匠性を簡易的に成型品に付与できる反面、有機溶剤を多量に使用するため環境負荷が大きく、また金属調の輝度が不十分であった。
【0004】
また、金属調外観を付与する別の方法としては、樹脂成型品へ直接金属メッキを施す方法がある。しかし、この方法では外観は高い輝度を有する一方、廃液として有機溶剤及び重金属類が排出されるため、塗装と同様に環境負荷が大きいという問題を有している。
【0005】
これら課題を解決するため、金属メッキを施す代わりに金属光沢を有する金属蒸着フィルムを用いて、樹脂成型品に高輝度の金属調外観を付与する手法が提案されている。この方法は、基材となるプラスチックフィルムの表面に金属蒸着層を設け、場合によってはさらにその表面に接着層を設けてなる金属蒸着フィルムを使用し、これを用いて樹脂部材のインサート成型を行うことにより、金属調外観を有する成型品が得られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−68081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、金属蒸着フィルムの金属蒸着層が200nm〜400nmと厚いため、成型率の小さい、すなわちフィルムの伸張率が小さい成型の場合には、優れた金属調外観を付与することが可能であるが、成型率の大きい深絞りと呼ばれる成型の場合にはフィルムの伸張率が大きくなり、金属蒸着層にクラックが発生するなど、均一な金属調外観を付与することが困難であった。
【0008】
また、立体成型看板や自動車装飾部材などの一部の樹脂成型品においては、樹脂成型品の背面に光源を設置し、樹脂成型品からの透過光により意匠性を付与する、いわゆるバックライト構成で使用される場合がある。この場合、金属メッキでは樹脂成型品に光透過性が得られないため透過光が得られず、バックライト構成での意匠性を付与することができない。そして、特許文献1の金属蒸着フィルムにおいても、金属蒸着層が厚いため光透過性が無く、また深絞り成型時には金属蒸着層にクラックが発生しやすいため、均一な金属調外観が得られなかった。
【0009】
本発明は、成型前の良好な可視光反射率による金属調光沢および光透過性が、伸張する割合の大きい、いわゆる深絞り成型された後にも良好な可視光反射率が維持でき、さらに、いわゆるバックライト構成のような成型体背面からの光源を用いたときに、光が成型体を透過することで、夜間の使用時にも金属調光沢、および良好な明るさをも得られる成型体を成型可能な、成型用積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、熱可塑性基材(A)と、厚さ200〜800Åの光透過性金属層(B)と、
粘着剤層(C)とを含む、380〜780nmの波長領域における最大反射率が40%以上、かつ380〜780nmの波長領域における最大透過率が2〜30%である成型用積層体を構成とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、成型用積層体を深絞り成型した場合でも、良好な可視光反射率より金属光沢と光透過性が維持できる。さらに、成型体をバックライト構成で使用する場合でも金属調光沢と良好な明るさが得られる。
【0012】
本発明は、成型前の良好な可視光反射率による金属調光沢および光透過性が、伸張する割合の大きい、いわゆる深絞り成型された後にも良好な可視光反射率の維持による金属調光沢が得られる。そのため、いわゆるバックライト構成のような成型体背面からの光源を用いたときに、光が成型体を透過することで、夜間の使用時にも金属調光沢、および良好な明るさをも得られる成型体を成型可能な、成型用積層体が提供できた。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の成型用積層体は、熱可塑性基材(A)と、厚さ200〜800Åの光透過性金属層(B)と、粘着剤層(C)とを含むことが好ましい。
【0014】
熱可塑性基材(A)は、例えば、後述するように熱可塑性樹脂シート(D)と貼り合わせ成型するときに、容易に破断せず伸び良好、つまり伸張率が良好な素材であることが好ましい。具体的には、例えばポリウレタンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、フッ素フィルム等が挙げられる。熱可塑性基材(A)の厚みは伸張率の観点から20μm以上200μm以下が好ましく、25μm以上100μm以下がより好ましい。
【0015】
熱可塑性基材(A)は、光透過性金属層(B)との密着性を向上させる目的で易接着層を備えることができる。易接着層はコロナ処理やプラズマ処理等の乾式処理、または樹脂を使用し湿式処理が好ましいが、密着性の観点から湿式処理がより好ましい。前記樹脂としては例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられる。これら易接着層は1層で形成してもよく、または2層以上を積層して形成しても良い。易接着層の形成方法については特に限定されるものではなく、例えばグラビアコート法、リバースコート法等の従来公知の方法を用いることができる。また易接着層の厚みとしては、密着性、伸張性の観点から0.1μm〜5μmが好ましく、0.3μm〜3μmがさらに好ましい。
【0016】
光透過性金属層(B)は厚みとしては200Å以上800Å以下が好ましく、300Å以上600Å以下がより好ましい。光透過性金属層(B)の厚みが200Å以上になることで光反射率と金属調光沢を両立しやすくなる。一方、厚みが800Å以下になると深絞り成型時のような伸張率が高い成型の場合であっても金属層が破断しにくくなる。
【0017】
また、光透過性金属層(B)は、柱状結晶を含むことが好ましい。金属層が柱状結晶を含むと、柱状結晶間の空隙が光を透過するため、光反射率と光透過率を両立しやすくなる。また金属層が柱状結晶を含む積層体を伸張したときに、柱状結晶の間隔が広がるため、金属層が破断しにくい、または目視で確認できる程度の破断が発生しにくい傾向にある。
【0018】
光透過性金属層(B)は、公知の方法で形成できる。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、高周波誘導加熱法、イオンプレーティング法などが挙げられるが、金属層を均一な厚さに形成するためには真空蒸着法、またはスパッタリング法が好ましい。
【0019】
また、光透過性金属層(B)を形成できる金属としては、従来から金属蒸着フィルムを構成する金属蒸着層に用いられているものを使用することができ、例えばスズ、インジウム、アルミニウム、亜鉛、銀、銅、ニッケル、チタンなど、またはこれらの金属を含む合金が好ましい。これらの中でも、伸張しやすさ、および金属調光沢の観点からインジウム、スズ、またはこれらを含む、インジウムスズ(ITO)等の合金が好ましい。
【0020】
粘着剤層(C)は、粘着剤を塗工することにより形成することが好ましい。具体的には、例えば、一般的な天然ゴム、合成イソプレンゴム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−イソプレン−スチレンゴム等を主成分とするゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤およびシリコン系粘着剤等を用いることができる。
【0021】
本発明の成型用積層体は、380〜780nmの波長領域、すなわち可視光域における最大反射率が40%以上、かつ最大透過率が2〜30%であることが好ましい。可視光域における最大反射率が40%以上あることで優れた金属調光沢が得やすい傾向にある。さらに、最大透過率が2〜30%であることで積層体としての光透過性を維持しつつ金属調光沢が得やすい傾向にある。そこため上記バックライト構成の樹脂成型品としても好適に使用することができる。
【0022】
本発明の成型用積層体は、さらに積層体の縦方向、または横方向の少なくともいずれかの方向を、150℃で、元の長さの1.5倍の長さになるまで伸張したときの波長380nm〜780nmにおける反射率が、伸張前の反射率を100とした場合に50以上であることが好ましい。積層体フィルムとして縦方向または横方向の少なくともいずれかへの伸張性が1.5倍以上あることで深絞り成型に対応しやすくなる。この際の反射率が伸張前の最大反射率を100とした場合に50以上であると成型伸張後にも優れた金属調光沢が維持しやすい傾向にある。
【0023】
本発明の成型用積層体は、熱可塑性基材(A)、易接着層および粘着剤層(C)のうち少なくとも何れか1層が着色剤を含むことが好ましい。成型用積層体が着色剤を含む、すなわち着色されていることで、単なる銀色のようなモノトーンのみではなく、金色、ブロンズ、青色金属、赤色金属等の色調が得られる。ここで金色やブロンズの色調を得る場合は、熱可塑性基材(A)または易接着層を着色することが好ましい。また、粘着剤層(C)を着色すると、成型体にバックライト光源を使用した場合に、光源が未点灯のときは金属調光沢が得られ、光源を点灯したときは、当該着色が加味された金属調光沢が得られる。すなわち従来の金属塗料等では実現できなかった昼間では太陽光により銀色光沢で、夜間は着色剤の色調を反映した色調の金属光沢が得られるといった、昼夜で異なる色調の金属調光学を得ることができる。そのため、例えば屋外看板に使用すると独特の意匠性が得やすい。
【0024】
着色の方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、熱可塑性基材(A)の着色については、熱可塑性樹脂に任意の着色剤、例えば顔料もしくは染料を混合することにより着色された熱可塑性基材(A)を得ることができる。易接着層又は粘着剤層(C)の着色についても場合も同様に、易接着層又は粘着剤層を構成する樹脂に着色剤を混合し、各層を形成することにより、着色された易接着層及び粘着剤層(C)を得ることができる。
【0025】
特に、金色の外観を得るためには熱可塑性基材(A)、易接着層および粘着剤層(C)の少なくとも何れか1層が黄色の着色剤を含むことが好ましい。熱可塑性基材(A)及び易接着層の少なくとも何れかが黄色に着色されている場合には反射光の外観が金色金属調となる。また粘着剤層(C)が黄色に着色されている場合には光透過時の外観が金色金属調となる。これにより、従来の金属メッキではコストや作業性で問題となっていた金色の外観を容易に得ることができる。
【0026】
本発明の成型体は、成型用積層体と熱可塑性樹脂シート(D)とを含む積層体を成型することで得ることが好ましい。
熱可塑性樹脂シート(D)は、各種成型方法で一般的に用いられる樹脂シートを用いることができ、例えば、アクリル、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABSともいう)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂シートが挙げられる。ここでシートは、板状やフィルム状の形態を含むものである。
熱可塑性樹脂シート(D)の厚みは10μm〜10mmが好ましい。そして、シート(D)が板状の場合は2mm〜6mmがより好ましく、シート(D)がフィルム状の場合は20μm〜100μmがより好ましい。
【0027】
成型用積層体と熱可塑性樹脂シート(D)の積層方法は特に限定されるものではなく、例えばドライラミネート法、ウェットラミネート法等が挙げられる。ドライラミネート法とは、ラミネート機等を用いて熱可塑性樹脂シート(D)に成型用積層体を直接貼り合わせる方法である。ウェットラミネート法とは、熱可塑性樹脂シートの貼り合わせ面及び成型用積層体の粘着剤層面に水または石鹸水を噴霧し貼り合わせた後に、貼り合わせ界面に残存する水分をスキージなどで押し出すことで、貼り合わせ面の空気残りを低減する貼り合わせ方法である。
【0028】
成型方法は特に限定されるものではなく、一般に公知の成型方法を用いることができる。具体的には、例えば、真空成型法、真空・圧空成型法等で成型することができる。真空成型法及び真空・圧空成型法とは、まず成型用積層体の粘着剤層(C)側の面を熱可塑性樹脂シートの全面または一部に貼付し積層体を得て、この積層体を成型機の所定の位置に設置し、熱可塑性基材(D)の軟化温度まで加熱軟化させ、成型型を下から送り込み、真空に引いて型に密着させ(真空成型法)、または真空に引くと共に反対側から圧縮空気で押して型に密着させ(真空・圧空成型法)、成型体を冷却後に型から外して成型体を得る成型法である。
【0029】
上記成型体を構成する熱可塑性基材(A)の軟化温度(E)と、熱可塑性樹脂シート(D)の軟化温度(F)は、軟化温度(E)を100とした場合に軟化温度(F)が70〜80の比率であることが好ましい。軟化温度(E)と軟化温度(F)の範囲を上記範囲内に調整することで、成型用積層体と熱可塑性樹脂シート(D)からなる積層体を軟化温度(F)まで加熱することにより熱可塑性基材(A)も十分に軟化し、熱可塑性基材(A)や光透過性金属層(B)に破断やクラックが発生しにくくなる傾向にある。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]
厚さ75μm、軟化温度100℃の透明アクリル樹脂基材の片面に、真空蒸着法により厚さ500Åのインジウム蒸着層を形成し、該蒸着層上に25μmのアクリル系粘着剤層を設け、成型用積層体を得た。
【0032】
[実施例2]
厚さ75μm、軟化温度100℃の透明アクリル樹脂基材の片面に、厚さ0.5μmのウレタン樹脂からなる易接着層をグラビアコート法により形成し、該易接着層上に真空蒸着法により厚さ500Åのインジウム蒸着層を形成し、さらに該蒸着層上に25μmのアクリル系粘着剤層を設け、成型用積層体を得た。
【0033】
[実施例3]
厚さ75μm、軟化温度100℃の透明アクリル樹脂基材の代わりに、厚さ75μm、軟化温度100℃の黄色着色アクリル樹脂基材を用いた以外は実施例1と同様に、成型用積層体を得た。
【0034】
[比較例1]
厚さ500Åのインジウム蒸着層の代わりに、厚さ2000Åのインジウム蒸着層を形成した以外は実施例1と同様に、成型用積層体を得た。
【0035】
[比較例2]
厚さ500Åのインジウム蒸着層の代わりに、厚さ50Åのインジウム蒸着層を形成した以外は実施例1と同様に、成型用積層体を得た。
【0036】
実施例1〜3、比較例1〜2で得られた成型用積層体を用いて下記の試験を行った。試験結果を表1に示す。
【0037】
(1)反射率及び透過率
分光光度計「V−570」(日本分光株式会社製)を用いて、380nm〜780nmの波長領域における成型用積層体の光反射率及び光透過率を測定し、該波長領域での最大反射率、最大透過率を読み取り、下記5段階で評価した。評価点3以上が実用レベルである。入光面は熱可塑性基材(A)側とし、測定波長は380nm〜780nm、測定波長幅は2.0nmとした。
【0038】
[反射率]
5:90%以上
4:60%以上90%未満
3:40%以上60%未満
2:20%以上40%未満
1:20%未満
【0039】
[透過率]
5:6%以上15%未満
4:4%以上6%未満または15%以上20%未満
3:2%以上4%未満または20%以上30%未満
2:1%以上2%未満または30%以上50%未満
1:1%未満または50%以上
【0040】
(2)伸張後の外観
成型用積層体を幅40mm、長さ100mmに切り出し、チャック間が60mmとなるように恒温恒湿機付き引張試験機(テスター産業株式会社製)に取り付け、引張速度30cm/分、150℃温度雰囲気下で、伸張後の伸度が1.5倍となるよう(チャック間が90mmとなるよう)伸張した。伸張後の外観を目視にて5段階評価した。評価点3以上が実用レベルである。
【0041】
[目視評価基準]
5:良好な金属調外観を維持できている
4:僅かに金属光沢が低下
3:金属光沢が若干低下しているが、金属層のクラック等の不具合なし
2:金属光沢が著しく低下、または金属層にクラックが発生
1:基材からクラック、破断が発生
【0042】
(3)伸張後の光反射率
上記(2)伸張後の外観試験で伸張した積層体の反射率を、試験(1)と同様の方法で測定し、伸張前の反射率を100とした場合の反射率を以下の計算式により算出し、5段階評価した。評価点3以上が実用レベルである。
【0043】
[伸張後反射率算出式]
[伸張後の光反射率]=[伸張後の光反射率(%)]/[伸張前の光反射率(%)]×100
【0044】
[評価基準]
5:80以上
4:60以上80未満
3:50以上60未満
2:30以上50未満
1:30未満
【0045】
【表1】

【0046】
[実施例4〜6、比較例3〜4]
実施例1〜3、比較例1〜2で得られた積層体と、厚み3mmの透明アクリル樹脂シート(三菱レイヨン株式会社製 アクリライトE)を積層し、真空成型機「FORMECH300X 」(成光産業株式会社製) を用いて、盤面温度150℃でピラミッド型( 正四角柱の上部を底面に平行に切断した形状で、切断した上面が一辺7cmの正方形、底面が一辺15cmの正方形、高さが8cm)に真空成型し、成型体を得た。
【0047】
実施例4〜6、比較例3〜4で得られた成型体の外観を目視にて5段階評価した。評価点3以上が実用レベルである。試験結果を表2に示す。
[目視評価基準]
5:良好な金属調外観を維持している
4:僅かに金属光沢が低下
3:金属光沢が低下しているが、金属層のクラック等の不具合はなし
2:金属層にクラックが発生
1:基材からクラック、破断が発生
【0048】
【表2】

【0049】
表1および表2に示すように、実施例1〜3の成型用積層体は光反射性と光透過性を両立し、成型伸張後も優れた金属調外観を維持していることがわかる。一方、比較例1〜2の積層体は光反射率、光透過率が不十分であり、成型伸張後の外観も劣る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性基材(A)と、
厚さ200〜800Åの光透過性金属層(B)と、
粘着剤層(C)とを含む、380〜780nmの波長領域における最大反射率が40%以上、かつ最大透過率が2〜30%である成型用積層体。
【請求項2】
積層体のたて方向、またはよこ方向の少なくともいずれかの方向を、150℃で1.5倍の長さになるまで伸張したときの波長380〜780nmにおける最大反射率が、伸張前の反射率を100とした場合に50以上であることを特徴とする請求項1記載の成型用積層体。
【請求項3】
光透過性金属層(B)が、柱状結晶を含むことを特徴とする請求項1または2記載の成型用積層体。
【請求項4】
光透過性金属層(B)が、蒸着またはスパッタリングにより形成されてなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の成型用積層体。
【請求項5】
光透過性金属層(B)が、少なくともインジウムまたはスズを含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の成型用積層体。
【請求項6】
熱可塑性基材(A)が、易接着層を備えたことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の成型用積層体
【請求項7】
熱可塑性基材(A)、易接着層および粘着剤層(C)のうち、少なくともいずれか1層が着色剤を含むことを特徴とする請求項6記載の成型用積層体。
【請求項8】
着色剤が、黄色の、顔料または染料であることを特徴とする請求項7記載の成型用積層体。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載の成形用積層体と熱可塑性樹脂シート(D)とを含む積層体を成型してなる成型体。
【請求項10】
熱可塑性基材(A)の軟化温度(E)と、熱可塑性樹脂シート(D)の軟化温度(F)が、軟化温度(E)を100とした場合に、軟化温度(F)が70〜80の比率であることを特徴とする請求項9記載の成型体。

【公開番号】特開2013−59880(P2013−59880A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198409(P2011−198409)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】