説明

成形された表面を有する糸及び作製方法

外表面上に形状特徴の配列を有する釣り糸及びかかる糸を作製するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2007年6月8日に出願された米国特許仮出願第60/942,702号、及び2008年4月9日に出願された米国特許仮出願第61/043,595号の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、糸の性能を所望通りに向上させるために成形された表面を有する釣り糸などの糸、及びそのような糸を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、釣り糸は、毛針釣り用釣り糸を含めて、一般に滑らかな表面を持たせて作製されている。釣り糸は、単繊維、多繊維(例えば、編まれた若しくは撚られた)、又は複合体(例えば、芯と外被若しくは外層とを有する多層)構造であってよい。所望の特性、例えば所望の伸長、弾性、強度、スリップ性、滑らかさに対する構成材料を選択することによって、また、所望の特性を付与する材料、例えば浮揚性を改良する密度軽減化粒子を釣り糸に組み込むことによって、釣り糸の特性を改良する提案がなされてきた。
【0004】
いくつかの例示的な例に、米国特許第3,043,045号(マータク(Martuch))、同第3,523,034号(ホーバルト(Howald))、同第3,830,009号(コリングボーン(Collingborne))、同第3,868,785号(フット(Foote))、同第3,914,480号(ラング(Lang))、同第4,048,744号(チャンドラー(Chandler))、同第4,321,854号(フット(Foote)ら)、同第5,296,292号(バターズ(Butters))、同第5,303,498号(ユトリ(Yutori)ら)、同第5,354,616号(フィッシュ・ジュニア(Fish Jr.)ら)、及び同第5,625,976号(グッデール(Goodale))、並びに国際公開第92/03922号(バターズ(Butters))、同第98/14650号(クック(Cook))、及び同第2006/031409号(ハーダー(Harder)ら)が挙げられる。
【0005】
AIRFLO(商標)リッジタクティカルトラウトフライライン(Ridge Tactical Trout Fly Line)は、糸の全長に沿って長手方向に延びる小さな隆起部を有しており、そのため、横断面において、この糸は、その外周に一連の頂部と谷部とを持つ歯車のように見える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
キャスティング性能を含めた性能の諸特性を改善され、水中での回収の抗力を減じられ、また所望に応じて、浮揚特性を増大された又は沈下特性を増大された釣り糸に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、性能の諸特性を改善された釣り糸を提供する。本発明はまた、そのような釣り糸を作製する方法を提供する。
【0008】
簡潔に要約すると、本発明の釣り糸は、その外表面内に形状特徴の1つ以上の配列を有する。
【0009】
簡潔に要約すれば、本発明の方法は、(a)外表面を有する釣り糸を用意することと、(b)その糸の外表面の少なくとも一部分内に形状特徴の少なくとも1つの配列を形成することと、を含む。
【0010】
本発明の釣り糸は、糸/水の界面におけるメニスカス特性が改良されることによるより良好な水中での浮揚性、例えば竿構成要素に対する摩耗が低減されることによるより優れた耐久性、竿のガイドとの接触が減じられることによるより優れた発射性、特に低温条件下でのより低い形状記憶性、より優れた柔軟性を含めた、性能の諸特性の改善をもたらす。結果として、そのような糸で釣りをする人は、限定するものではないが、キャスティング性能の改善、水中での回収低抗力の低下低減などを含めた多数の利点を享受する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明について、図面を参照して更に説明することにする。
【図1】本発明の釣り糸の例示的な一実施形態の一部分の斜視図。
【図2】本発明の釣り糸の第2の例示的な実施形態の一部分の斜視図。
【図3】本発明の釣り糸を作製するための装置の一実施形態の斜視図。
【図4】図3に示される装置の一部分の拡大図。
【0012】
理想化されたこれらの図は一定の縮尺ではなく、また、単に説明のためのものであって非限定的なものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来の釣り糸と同様に、本発明の釣り糸は、長く細い形状を有している。それらは、所望のいかなる長さで作製されてもよい。糸は、保管、リールへの転送、キャスティングなどのためにロールの形に繰り返し巻き取り及び巻き出しされるように、十分に柔軟であるべきである。
【0014】
多数の実施形態において、糸は、本明細書で説明される特徴の1つ以上の配列で修飾された、概ね円形の横断面を有する。糸の太さ又は断面直径は、全長にわたって、すなわち糸の長手方向の軸線に沿って実質的に均一であってもよく、あるいは所望に応じて変動してもよい。例えば、キャスティングを向上させるため、糸は、所望の部分で重量を増すようにテーパを付けられて、機械的利益をキャスティングにもたらすように、更にまた、「竿に荷重を与え」、すなわちより大きなポテンシャルエネルギーを内部に生じさせて、キャスティング中に発揮されるエネルギーを増加させるようにすることができる。このテーパはまた、「ロールオーバー」、すなわち、毛針又は疑似餌を糸に付けた状態で糸を真っ直ぐに送り出す能力を高めるように構成されることができる。
【0015】
典型的には、本発明の釣り糸の平均的な断面直径は、約0.064cm(0.025インチ)と約0.29cm(0.116インチ)との間、好ましくは約0.089cm(0.035インチ)と0.20cm(0.080インチ)との間であるが、他の平均直径の糸が所望に応じて作製されてもよい。
【0016】
本発明の釣り糸は、当該技術分野において知られているように、他の改良を伴って作製されてもよい。例えば、竿のガイドを横切るスリップ性又は滑りを改良するためのスリップ剤の糸の外方部分内への組み込み、着色剤の組み込み、糸の浮力を改良するための充填剤(例えば、ガラス、プラスチックなどの粒子又はマイクロバルーン)の組み込み、紫外線吸収剤の組み込みなどである。糸の復元力及び剛性を改良するための様々な既知の技法が、所望に応じて使用されてよい。
【0017】
本発明の釣り糸は、所望に応じて、単繊維、多繊維、又は複合体であってよい。
【0018】
本発明の釣り糸は、その外層(短繊維の実施形態及び特定の複合体の実施形態においては唯一の層となり得る)が、その外表面に形状特徴の少なくとも1つの配列を有するという点で、従来の釣り糸とは異なっている。本発明の釣り糸の例示的な実施形態が、図1に示されている。この実施形態において、釣り糸10は、その外表面内に形状特徴の配列12を有している。
【0019】
本発明の釣り糸の外層は、高分子材料を含んでいる。好ましくは、外層は熱可塑性高分子材料を含んでいるが、糸は、所望により熱硬化性材料を外層に使用して作製されてもよい。本発明の糸の外層に使用され得る材料の例示的な例は、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、及びポリエチレンを含む。単繊維の糸の場合、外層は本質的に釣り糸を構成し、複合体の単繊維の糸の場合、外層は、実質的に高分子材料の連続マトリックスであり、浮力を高めるために他の材料、例えば中空のガラス微小球の領域を更に含む。多繊維の糸の場合、外層は1本以上の芯繊維(所望により編まれてもよい)を囲み、複合体の多繊維の糸の場合、外層又は芯繊維は、所望により他の材料の領域を含むか又は囲んでもよい。
【0020】
形状特徴の配列は、実質的に釣り糸の長手方向の軸線に沿って配置される。形状特徴は、所望に応じて、糸の外表面からの突出部、糸の外表面への凹部、又はそれらの組み合わせであってよい。
【0021】
釣り糸は、の2つ以上の形状特徴の配列を備えてもよい。いくつかの実施形態において、糸は、同一の長手方向区分内に更に2つの配列を備えてもよい。いくつかの実施形態において、糸は、形状特徴の異なる配列を有する少なくとも2つの長手方向区分を備えてもよい。
【0022】
糸の太さ又は断面直径は、全長にわたって、すなわち糸の長手方向の軸線に沿って実質的に均一であってもよく、あるいは所望に応じて、1つの長手方向区分内で又は複数の長手方向区分同士の間で変動してもよい。
【0023】
図2を参照すると、本発明の別の例示的な実施形態が釣り糸20であり、長手方向区分21が、外表面内に形状特徴の配列22を有し、長手方向区分23が、外表面内に形状特徴の配列24を有しており、配列22と配列24は異なっている。加えて、長手方向区分25及び28は、形状特徴をその中に形成されていない、概して滑らかな外表面を有し、長手方向区分26は、形状特徴の配列27を有しており、配列27は配列22及び24と異なっている。他の実施形態が本発明に従って作成され得ることは理解されよう。
【0024】
各配列における形状特徴の大きさ、形状、配向、及び間隔は、釣り糸に付与する所望の影響又は効果に応じて選択される。例えば、形状特徴は、糸の浮力を増加させるために、糸が水中にあるときに気泡が糸の表面に捕えられる傾向を増すように選択されてもよく、形状特徴は、糸が釣り竿のガイドを通過するとき、騒音を低減させるか、又は抗力を増大若しくは減少させるように選択されてもよく、形状特徴は、糸が空中又は水中を通過する方式を変化させるように選択されてもよいなどである。糸は、所望に応じて、糸の種々の部分に対して、所望の特性を向上させるか又は付与するように作製されてもよい。
【0025】
特徴の特定の形状及び寸法が、所望に応じて、求められる所望の性能の特質に従って選択されることができる。典型的には、各特徴の長さ(すなわち、糸の長手方向の軸線に平行な軸線における)と特徴の幅の垂直寸法(すなわち、長手方向の軸線に垂直な糸の湾曲に沿った寸法)との比は、5:1〜1:5である。
【0026】
小さなディンプル(くぼみ)は糸の風圧抵抗を減少させ、それによってキャスティングの距離がより長くなることが観測されてきた。クロスハッチパターン(斜交平行模様)は、糸の表面張力を増加させ、それによって、水を放すのに必要なエネルギーを減少させ、その結果、糸は水の表面上でより高水位に浮かぶことが観測されてきた。糸が水中で引かれる容易性を改良するために、他の幾何学的形状を有する形状特徴、例えば、魚鱗状の形状特徴が、また、釣り竿のガイド上での摩耗を低減するために、そして気泡の取り込みを誘発して浮力を増加させるために、菱形の形状特徴(例えば、糸の外表面内のX字形状のくぼみなど)が、所望により使用されてもよい。いくつかの実施形態において、形状特徴は、糸の浮力を増加させるか減少させるように、又は竿の構成要素上若しくは空中若しくは水中での抗力を増加又は減少させるように、又は、騒音を減少させるように選択される。
【0027】
形状特徴の大きさは、糸に付与される所望の影響又は特性、及び糸の寸法、特に直径に応じて異なってもよい。実施形態に応じて、形状特徴は、その幅が最も広くなる寸法全体で約0.013cm(0.005インチ)から約0.051cm(0.02インチ)の範囲に及んでよい。理解されるように、他の寸法の形状特徴が、本発明に従って使用されてもよい。
【0028】
糸の異なった部分に異なった特性を付与するために、異なった形状特徴が、所望に応じて糸の異なった長手方向区分に沿って設けられてもよい。例えば、糸は、(1)疑似餌又は毛針に最も近い糸の部分にわずかに負の浮力を付与するように選択された形状特徴、(2)糸の次の部分により大きな浮力を付与するように選択された形状特徴、及び、(3)糸の次の区分に対する抵抗を低減する(それによってキャスト性を向上させる)ように選択された形状特徴を持たせて作製されてもよい。
【0029】
本発明は釣り糸に関連して説明されてきたが、本発明の糸は他の用途に使用され得ることが理解されよう。例示的な例には、凧糸、空気中及び/又は水中を移動する乗物の彼方の物体を引くための引き綱、例えば漁に使用される魚網、有線通信線、例えば水中及び陸地に位置する塔及び他の構造物を支持するために使用される支線が含まれる。
【0030】
簡潔に要約すると、本発明の釣り糸は、所望の構造、すなわち単繊維(所望に応じて複合体又は非複合体)又は多繊維(所望に応じて複合体又は非複合体)で糸を形成し、その外層内に形状特徴の配列を形成することによって作製される。この糸は、各条件での使用の間、柔軟であり、好ましくは実質的に寸法的に安定である(巻き取り、結節などを可能にするためにいくぶんか伸張する傾向が許容されるか、あるいは、むしろ望まれる)。本発明に従って形状特徴の配列の形成を可能にするために、外層は、熱エンボス加工などによって変形可能でなければならない。
【0031】
好ましい実施形態において、形状特徴の配列は、糸をエンボス加工することによって形成されることができる。連続的なエンボス加工操作が特に好ましい。
【0032】
そのようなエンボス加工を実施するための装置の例示的な例が図3に示されており、装置30は、8台のエンボスローラー31、32、33、34、35、36、37、及び38を特徴としている。ローラーは、2つのエンボス加工領域を画成するように(ローラー31、32、33、及び34が一方のエンボス加工領域を画成し、ローラー35、36、37、及び38が、この図では隠れたもう一方のエンボス加工領域を画成する)、この実施形態では、4台のローラーによる2つの並設された組みでそれぞれ構成されている。各エンボス加工領域のローラーの数の選択は、設計の問題である。典型的には、糸の両側に圧力を加えるように各々が配置された偶数台のローラーが、各エンボス加工領域において好ましい。釣り糸の場合、1つのエンボス加工領域に4台〜8台のエンボスローラーが効果的である。より太い糸が製造される実施形態においては、糸の寸法の一貫性に応じて、各エンボス加工領域内により多数のローラーが使用されてもよく、エンボスローラーを対向する対にして構成する必要はない。
【0033】
ここに示される実施形態において、各並設された組み又はエンボス加工領域内のローラーは、所望に応じて糸と係合するように、機械的な絞りとした協調した方式で配置されている。歯車及び結線装置の構成を通じて、ローラーの各々は、等価な方式で、かつ実質的に等しい圧力を加えるように、糸の外表面に対して配置されている。
【0034】
釣り糸39は、釣り糸の外層を変形させかつその外表面内に所望の形状特徴を形成するのに適切な保圧条件を達成するように、好適な温度、圧力、及び速度の条件下でエンボス加工領域を通過される。
【0035】
異なったエンボス加工領域は、所望に応じて、糸が通過するとき糸の異なった長手方向区分とエンボス加工によって係合してもよい。
【0036】
条件の選択は、エンボス加工される糸の寸法及び組成に部分的に依存し、当業者によって容易に選択され得る。例えば、ポリ塩化ビニル(「PVC」)の外層を有する糸の場合、エンボスローラーは、典型的には、約149℃(300°F)〜約160℃(320°F)の温度に加熱される。
【0037】
図4は、図3に示される装置のエンボスローラーの構成の拡大図を示しており、同様の参照符号は同じ要素又は構成要素を示している。
【0038】
エンボスローラーは、所望の形状特徴を画成するようにエンボスローラー内に形成された所望のパターンを有している。所望により、形状特徴の形成は、より少数の若しくは多数のエンボスローラーを使用し、かつ/又は、それらのエンボスローラーを単一の若しくは3つ以上のエンボス加工領域内に配置して実施されることができる。
【0039】
ここに示される実施形態において、エンボスローラーは、ローラーの位置を互いに正確に調節することができるように、アクチュエータ、シャフトなどと共に構成されている。一実施形態において、エンボスローラーは、糸が装置を通じて引き出されるとき、所望の圧力下で、所望に応じて、自由に回転し、エンボス加工によって糸と係合する。
【0040】
望まれる形状特徴の配列に応じて、ローラーのエンボス加工面は、別々に機械加工されることができる。異なったローラーを糸の異なった部分で係合させることにより、すなわち、通常、異なったエンボス加工領域を使用することによって、形状特徴の異なった配列が、所望に応じて、釣り糸の異なった長手方向区分に形成されることができる。
【0041】
特徴の配列が、他の技法を用いる本発明に従って糸に形成されることができ、その技法の選択は、生産される糸、加工速度などに部分的に依存することは理解されよう。いくつかの例示的な例は、レーザーエッチングすること、フォト/化学エッチングすること、サンドブラスト及びエッチングすること、化学反応させること、発泡させること、ガス焼きすること(熱反応性であり、可塑性の微小気泡が拡大して隆起を形成するように加熱される)、外面を例えば研磨ディスクで研磨すること、連続成形すること、及び、パターンを有する別の表面をオーバーコーティングすることを含む。
【0042】
いくつかの実施形態において、本発明の糸は、少なくとも約125°、好ましくは少なくとも約135°、最も好ましくは少なくとも約150°以上の、脱イオン水との前進接触角を有する。本発明者らが認識しているいずれも、約115°を超える前進接触角を有していない既知の釣り糸とは対照的である。
【0043】
本発明に従って糸の外表面内に特徴を形成することで、糸の水との前進接触角が増加することが認められた。いくつかの例示的な例を以下に示し、本明細書で説明された特徴の形成によって糸に付与された利益を示す。
【0044】
【表1】

【0045】
上記は、特徴のみにより付与された、糸の特性への効果を示している。加えて、いくつかの実施形態において、本発明に従う特徴を持つ糸は、撥水性の材料、例えば、糸の表面上への薄いコーティング(表面特徴の所望の幾何学的形状を不適当に付与することがない)、糸の外層内に組み込まれた添加剤などで処理されることができる。
【0046】
多数の好適な疎水処理が、本発明に従って水の前進接触角度に所望の増加を生じさせるように選択されることができる。典型的には、動的な撥水性をレインコート及びブーツに付与するために使用される材料が、本発明における使用に好適である。好適な材料は、シリコーン、一部の炭化水素、及びフルオロケミカル物質からなる群から選択されることができる。フルオロケミカル組成物が使用される場合、それらのフルオロケミカル組成物は、好ましくは生物濃縮されないものであり、また環境に配慮した性質のものである。また、そのような材料は、泥の良好な剥離性を毛針釣り用釣り糸に付与し、それによって手入れを容易にする。
【0047】
1つの例示的な材料が、HFPOアルコール(例えば、15当量のHFPO−C(O)NHCH2CH2OH)と、イソシアネート(例えば、100当量のDESOMODUR(商標)N−100)で硬化させ、次いでHFPOメタクリレートとラジカル重合させたペンタエリトリトールトリアクリレートとから作られたウレタンアクリレートのエマルジョンである。(HFPO)x−メタクリレートの合成のために、2002年5月24日に出願された「フッ素化重合体を含んだフルオロケミカル組成物及びそれを用いた繊維状基材の処理(Fluorochemical Composition Comprising a Fluorinated Polymer and Treatment of a Fibrous Substrate Therewith)」という名称の米国特許出願公開第2004/0077775号に記載されている手順と類似した手順によって、HFPO−C(O)N(H)CH2CHOC(O)CMe=CH2(「HFPO−Mar」)(平均分子量1344)を調製した。この参照文献は、そのすべてが参照によって本願に組み込まれる。
【0048】
結果として生じるウレタンアクリレートは、熱硬化後に水に対する大きな前進接触角及び後退接触角を有することが知られる水中エマルジョンである。塗布(例えばディップコーティング)及び乾燥の後、コーティングされた糸は150℃で4分間にわたって熱硬化されて、低いエネルギーの表面特性を生じることができる。
【0049】
別の好適なエマルションが、米国特許第6,753,380号(シュウ(Qiu))において開示されているC14ポリエステルであり、この米国特許第6,753,380号は、そのすべてが参照によって本願に組み込まれる。
【0050】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することのない本発明の様々な修正形態及び変更形態は、当業者には自明であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状特徴の少なくとも1つの配列をその中に有する外表面を備える釣り糸。
【請求項2】
前記外表面が、高分子の外層によって画成される、請求項1に記載の釣り糸。
【請求項3】
前記外層が、実質的に連続的である、請求項2に記載の釣り糸。
【請求項4】
前記外層が、1つ以上の芯要素を囲む、請求項2に記載の釣り糸。
【請求項5】
単繊維の糸及び多繊維の糸からなる群から選択される、請求項1に記載の釣り糸。
【請求項6】
複合体の糸である、請求項5に記載の釣り糸。
【請求項7】
前記配列が、実質的に前記釣り糸の長手方向の軸線に沿って配置された少なくとも一組の形状特徴である、請求項1に記載の釣り糸。
【請求項8】
前記配列が、長手方向の区分ごとに二組以上の形状特徴である、請求項1に記載の釣り糸。
【請求項9】
少なくとも2つの長手方向の区分が、形状特徴の異なった配列を有する、請求項1に記載の釣り糸。
【請求項10】
毛針釣り用釣り糸を作製するための方法であって、(a)外表面を有する釣り糸を用意することと、(b)前記外表面内に形状特徴の少なくとも1つの配列を形成することと、を含む方法。
【請求項11】
前記外表面がエンボス加工可能であり、前記配列がエンボス加工によって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも約125°の、脱イオン水との前進接触角を有する外表面を備える釣り糸。
【請求項13】
前記外表面が、少なくとも約135°の、脱イオン水との前進接触角を有する、請求項12に記載の釣り糸。
【請求項14】
前記外表面が、少なくとも約150°の、脱イオン水との前進接触角を有する、請求項12に記載の釣り糸。
【請求項15】
前記外表面が、形状特徴の少なくとも1つの配列をその中に有する、請求項12に記載の釣り糸。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−529844(P2010−529844A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511372(P2010−511372)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/066158
【国際公開番号】WO2008/154403
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】