説明

成形はんだおよびその製造方法

【課題】 密着を防止し、防錆効果を有する水系表面処理剤溶液を塗布した成形はんだおよびその製造方法。
【解決手段】 成形はんだの表面に低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液Aを薄膜塗布され、または、前記溶液Aに更に助剤として微量の有機溶剤を乳化して混合せる水系表面処理剤溶液Bを薄膜塗布され、且つ前記低粘度シリコ−ンオイルの動粘度が、1〜5センチスト−クス(10-6mm2 /s)であり、また前記低粘度シリコ−ンオイル含有量が0.1〜50.0wt%、前記防錆剤含有量が0.01〜5.00wt%、助剤としての界面活性剤含有量が0.1〜10.0wt%を有する成形はんだ、およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだペレット、はんだボール、はんだ粉末等の成形はんだ、および成形はんだの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形はんだは、例えば、はんだ付け部の形状に合わせた円形、矩形、ワッシャ−状などはプレスで打ち抜かれて製品化される。製品は、通常ポリ袋やポリ容器に密封保管されるが、この場合製品の重ね合わせによる密着で、成形はんだ同士が付着してしまうという現象が生じる可能性がある。この密着防止のために離型剤を塗布してこれに対応することが行われている。(例えば、特許文献1参照)
しかしながら、この密着防止のための離型剤中に存在する有機溶剤が、乾燥時に蒸気として大気中に放出されるという問題が生じる。
【特許文献1】特開平9−29478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、円形、矩形、ワッシャ−状などの成形はんだを製造するのに、固体、液体の離型剤を有機溶剤に溶かして塗布するのが一般的な方法である。しかし、この塗布方法の問題点は、前記のごとく乾燥中に溶剤蒸気が大気中に放出され、大気汚染の原因になることである。
地球環境の保全が求められるなかで、有機溶剤に代わる水性溶剤を用いることが検討課題になっている。しかしながら、この水性溶剤は水であるために、成形はんだが乾燥工程で水蒸気に接触し、表面酸化(錆)を起こすことがある。
本発明は上記に鑑み、有機溶剤に代わり水を選択し、同時に錆の問題も解決された成形はんだおよびその製造方法を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の成形はんだは、
1)成形はんだの表面に低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液Aを薄膜塗布したものであり、
2)上述1)において、前記溶液Aに更に助剤として微量の有機溶剤を乳化して混合せる水系表面処理剤溶液Bを薄膜塗布したものであり、
3)上述1)または2)において、前記低粘度シリコ−ンオイル粘度を、1〜5センチスト−クス(10-6mm2 /s)としたものである。
【0005】
4)また、上述1)または3)において、前記水系表面処理剤溶液Aが、低粘度シリコ−ンオイル含有量0.1〜50.0wt%、残部が防錆剤および水よりなるものであり、
5)上述2)または3)において、前記水系表面処理剤溶液Bが、低粘度シリコ−ンオイル含有量、0.1〜50.0wt%,残部が防錆剤、助剤としての界面活性剤および水よりなるものであり、
6)上述2)または3)において、前記水系表面処理剤溶液Bが、防錆剤含有量0.01〜5.00wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、助剤としての界面活性剤および水よりなるものであり、
7)上述2)または3)において、前記水系表面処理剤溶液Bが、助剤としての界面活性剤含有量0.1〜10.0wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤および水よりなることを特徴する請求項2または3に記載の成形はんだ。
【0006】
8)さらにまた、上述1)〜7)において、前記成形はんだの形態を、粒径1〜80μmのはんだ合金粉末としたものである。
【0007】
また、本発明の成形はんだの製造方法は、
9)成形はんだの成形加工において、該成形はんだの表面にポリッシング工程により、少なくとも低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液Aを薄膜塗布するものであり、
10)成形はんだの成型加工において、該成形はんだの表面にポリッシング工程により低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤および助剤として微量の有機溶剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液Bを薄膜塗布するものであり、
11)上述9)または10)において、前記低粘度シリコ−ンオイルの動粘度を1〜5センチスト−クス(10-6mm2 /s)としたものであり、
12)上述9)〜11)において、前記ポリッシング工程が、前記水系表面処理剤溶液AまたはBを浸した織物布または不織布により、前記成形はんだ表面に対して、5回以上のしごき回数をもってポリッシングするものである。
【0008】
13)また、上述9)〜12)において、前記水系表面処理剤溶液Bが、低粘度シリコ−ンオイル含有量、0.1〜50.0wt%,残部が防錆剤、助剤としての界面活性剤および水からなるものであり、
14)上述9)〜12)において、前記水系表面処理剤溶液Bが、防錆剤含有量0.01〜5.00wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、助剤としての界面活性剤および水よりなるものであり、
15)上述9)〜12)において、前記水系表面処理剤溶液Bが、助剤としての界面活性剤含有量0.1〜10.0wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤および水よりなるものである。
【0009】
16)さらにまた、上述9)〜15)において、 前記成形はんだを粒径1〜80μmのはんだ合金粉末としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の成形はんだおよびその製造方法は、低粘度シリコ−ンオイル、、防錆剤を乳化してなる水系処理剤を表面に微量塗布することにより、すべり抵抗の軽減と成形はんだ同士の密着が防止され、自動供給作業がスム−ズに行なえるようになる。また、この処理剤は水系であるために、乾燥工程で発生する蒸気は水蒸気であり、大気汚染の問題は皆無となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の特徴は、(1)成形はんだの加工に際して、有機溶剤に代わり水を採用するものであり、表面処理剤は、離型剤、防錆剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液であること、(2)成形はんだの表面への水系表面処理剤溶液の塗布は、工程条件を特定されたポリッシング工程による塗布または浸漬塗布することをもって実施されること、
(3)水系表面処理剤溶液は、離型性能、処理性能、取り扱い易さにより、その成分が特定されていること、である。
【0012】
すなわち、半導体素子を電気的に接合するに好適な円形、矩形、ワッシャ−状成形はんだ、はんだボール、はんだ粉末の製造において、成形はんだの表面をポリッシング工程、または浸漬工程により、低粘度シリコ−ンオイル、、防錆剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液を微量塗布することにより、すべり抵抗の軽減と成形はんだ同士の密着が防止され、自動供給作業がスム−ズに行なえるようになる。
また、この処理剤溶液は水系であるために、乾燥工程で発生する蒸気は水蒸気であり、大気汚染の問題は皆無になる。さらに、防錆効果が挙げられる。
【0013】
本発明は、基本的には低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤からなる組成物に、水の存在下で、界面活性剤を用いて乳化してなる水系表面処理剤である。
シリコ−ンオイルは、R3SiO−〔R2SiO〕n−SiO3 示される直鎖シロキサン構造をもっている。その動粘度は、主に重合度nによって決まるが、その特性はケイ素に結合している置換基Rの種類によって異なる。したがって、ここで言うシリコ−ンオイルには、その誘導体も含まれる。このシリコ−ンオイル粘度は、0.65〜100万センチスト−クス(10-6mm2 /s)の範囲にあり得る。
しかし、本発明では、シリコ−ンオイルの動粘度が低粘度であることが重要であり、1〜5センチスト−クス(10-6mm2 /s)の低粘度シリコ−ンオイルを使用する。これにより、良好な離型性が確保される。しかし、動粘度が5センチスト−クスを越えるシリコ−ンオイルを使用した場合には、リフロ−時にシリコ−ンオイルが残存して、ハンダ付けに悪影響をおよぼす恐れがある。
【0014】
また、該シリコ−ンオイルに、防錆剤を加えて乳化してなる水系表面処理剤とするが、本発明の水系処理剤における防錆剤としては、シクロヘキシルアンモニウムカ−バメイト、ジイソプロピルアミンナイトライト、ジシクロヘキシルアミンナイトライト、1,2,3−ベンゾトリアゾ−ル、1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル].ベンゾトリアゾ−ル、およびベンゾトリアゾ−ル誘導体として、1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾ−ル,1−(1,2ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾ−ルなどいずれも使用できる。
好ましくは、シクロヘキシルアンモニウムカ−バメイト、ジイソピルアミンナイトライト、ジシクロヘキシルアミンナイトライトおよび1(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾ−ルなどが挙げられる。
その理由としては、水への溶解度が高くなることから、防錆効果が得られ易いことが挙げられる。
【0015】
本発明の水系表面処理剤に添加される助剤としての乳化剤は、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤の内から幅広く選択できる。好適な界面活性剤としては、エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤、高級アルコ−ルのアルキレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(いずれもノニオン界面活性剤)等々が挙げられる。
ほとんどの乳化剤は、アニオンまたはノニオン界面活性剤が主体になっていて、多くは複雑な配合製品である。乳化剤の選択で、広く知られていて理解し易いのは、HLBによる方法である。このHLBに近い値をもつ界面活性剤を選択して乳化を試みるのが一般的である。ちなみに、シリコ−ンオイルのHLB値は10.5(O/W型)である。
なお、本発明のなかで述べる乳化(エマルジョン)とは、水中油型エマルジョンのことであり、単に乳化と言えば水中油型エマルジョンのことを指している。
【0016】
次ぎに、本発明における水系表面処理剤溶液の塗布方法であるが、水系表面処理剤溶液を含浸させた湿潤材を用いて成形はんだ表面を軽くポリィシング(しごき)しながら塗布を行う。
後述のように、ポリィシング回数(以下、しごき回数という)により、すべり抵抗値に差が生じる。数多くの試験結果により、少なくとも5回以上のしごき回数が好ましいことの知見を得た。
【0017】
なお、本発明において、離型性の良否は、すべり抵抗値により判定しているが、具体的には次の方法によって行なった。
すなわち、組成成分Sn5Ag1.5Pb93.5の、厚さ0.1mm×幅27mm×長さ1.5mの清浄テ−プを作成し、それを吊した状態にして、水系表面処理剤溶液を含浸させた100mm角のネル布で5、10、50回のしごき回数を加え、その後リ−ルに巻き取り60min乾燥した後、ポリエチレン袋に所定時間密閉保管した。
【0018】
次に、ポリエチレン袋から該テ−プを取出して、幅27mm×長さ50mmのテストピ−スとして作成し、これにより次の方法により成形はんだの離型性(すべり抵抗)試験を行なった。
最初に、1枚のテストピ−スを接着剤で定盤上に固定してから、もう1枚のテストピ−スを十文字に重ね合わせにし、その上に50gの分銅(面積300mm2 )を両面テ−プで接着固定する。次に、横方向に速度500mm/minの条件で引張り応力を加えて、分銅底部が動きだした時点の滑り抵抗値をデジタルフオ−スゲ−ジで読取り、離型性判定の尺度とした。
【0019】
また、水系表面処理剤溶液を塗布された成形はんだの発錆状態を比較するため、強制劣化試験法を用いて比較試験を行った。 強制劣化試験法は下記のごとくである。
先ず、試験体としては、水系表面処理剤溶液を塗布された成形はんだテ−プ(組成Sn63Pb、形状25mm×35mm×厚さ0.1mm)の表面をサンドペ−パ−(#1000)で粗面にしてから、150cc軟膏容器に水系表面処理剤溶液20gを秤量し、この中に成形はんだテ−プを16hr浸漬した。浸漬後50℃真空乾燥器にて1hr乾燥して試験体を得た。
次に、85℃/85%RHの恒温恒湿器に120hr曝してから、試験体表面の錆発生の有無について肉眼観察により良否を判定した。
【実施例】
【0020】
[実施例1]
本発明の実施例1の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。
低粘度シリコンオイル 5.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度1.5cSt
防錆剤 3.0 重量部
1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾ−ルBT−GL(城北化学工業) 界面活性剤 0.5 重量部
エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤 ビューライトECA(三洋化成工業)
蒸留水 291.5 重量部
(合計重量部 300)
【0021】
上記の組成物を卓上ホモミキサ−を用いて、回転速度1万rpm,分散時間1分の条件で乳化し、混合分散液を得た。この乳化液を該成形はんだに塗布して上述の離型性測定方法に準じて試験を行ない、表1の結果を得た。
【0022】
【表1】

【0023】
本発明の効果を確認するため、防錆剤のみを添加し、ジメチルシリコ−ンオイルを添加しない比較例1、3およびジメチルシリコ−ンオイルを添加し、防錆剤を添加しない比較例2を作成し、上記試験方法により比較試験を行った。比較試験結果を表2に示す。
【0024】
【表2】

【0025】
表1及び表2より、実施例1の場合、滑り抵抗値は0.18(×10-2N)と小さく、比較例1、3(シリコ−ンオイルなし)の場合に比べて約1/3の滑り抵抗値であった。
一方、防錆性については、上述の強制劣化試験により目視判定した結果、比較例2(防錆剤なし)に比べ防錆に顕著な効果が認められた。
【0026】
[実施例2]
本発明の実施例2の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。ジメチルシリコ−ンオイル部数と防錆剤BT−GLの部数以外は実施例1と同じである。
低粘度シリコンオイル 1.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度1.0cSt
防錆剤 1.5 重量部
1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾ−ルBT−GL(城北化学工業)
界面活性剤 0.5 重量部
エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤 ビューライトECA(三洋化成工業)
蒸留水 297.0 重量部
(合計重量部 300)
【0027】
[実施例3]
本発明の実施例3の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。実施例3は、ジメチルシリコ−ンオイル部数と防錆剤BT−GLの部数以外は実施例1と同じである。
低粘度シリコンオイル 3.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度2.0cSt
防錆剤 0.3 重量部
1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾ−ルBT−GL(城北化学工業)
界面活性剤 0.5 重量部
エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤 ビューライトECA(三洋化成工業)
蒸留水 296.2 重量部
(合計重量部 300)
【0028】
実施例2、3の試験結果は、表1に示すように、滑り抵抗値は0.18〜0.20(×10-2N)は実施例1と同様に良好な結果を得た。また、防錆性は実施例1、2に比較して実施例3ではやや劣るものの防錆効果は十分に得られた。
【0029】
[実施例4]
本発明の実施例4の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。実施例4は、防錆剤の種類が異なる以外は実施例1と同じである。
低粘度シリコンオイル 5.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度1.5cSt
防錆剤 2.5 重量部
25%BT−120/IPA溶液(城北化学工業)
界面活性剤 0.5 重量部
エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤 ビューライトECA(三洋化成工業)
蒸留水 292.0 重量部
(合計重量部 300)
【0030】
[実施例5]
本発明の実施例5の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。実施例5は、防錆剤の種類が異なる以外は実施例1と同じである。
低粘度シリコンオイル 5.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度1.5cSt
防錆剤 1.5 重量部
ベルゾンクリスタル#130(大和化成)
界面活性剤 0.5 重量部
エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤 ビューライトECA(三洋化成工業)
蒸留水 293.0 重量部
(合計重量部 300)
【0031】
[実施例6]
本発明の実施例6の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。実施例6は、防錆剤の種類が異なる以外は実施例1と同じである。
低粘度シリコンオイル 5.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度1.5cSt
防錆剤 1.5 重量部
ベルゾンクリスタル#260(大和化成)
界面活性剤 0.5 重量部
エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤 ビューライトECA(三洋化成工業)
蒸留水 293.0 重量部
(合計重量部 300)
【0032】
実施例4、5、6の試験結果については、表1に記載のごとく、防錆剤の種類が異なってはいるが、滑り抵抗値は0.16〜0.180(×10-2N)の範囲であり、実施例1と同様に良好な結果を得た。また、防錆性は実施例4がやや劣るものの、いずれも防錆効果は顕著であった。
【0033】
[実施例7]
本発明の実施例7の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。実施例7は、防錆剤の量および界面活性剤の種類および添加量が異なる以外は実施例1と同じである。
低粘度シリコンオイル 5.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度1.5cSt
防錆剤 1.5 重量部
1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾ−ルBT−GL(城北化学工業)
界面活性剤 5.0 重量部
ナロンアクティーN−40(三洋化成工業)
蒸留水 288.5 重量部
(合計重量部 300)
【0034】
[実施例8]
本発明の実施例8の処理剤溶液の組成は下記のとおりである。実施例8は、界面活性剤の種類(2種類)およびその添加量を変えた以外は実施例1と同じである。
低粘度シリコンオイル 5.0 重量部
ジメチルシリコ−ンオイル(東レ・ダウコーニング・シリコーン)
動粘度1.5cSt
防錆剤 3.0 重量部
1−(2,3ジヒドロキシプロピル)ベンゾトリアゾ−ルBT−GL(城北化学工業)
界面活性剤(1) 1.0 重量部
ナロンアクティーN−40(三洋化成工業)
界面活性剤(2) 1.0 重量部
エ−テルカルボン酸型アニオン界面活性剤 ビューライトECA(三洋化成工業)
蒸留水 290.0 重量部
(合計重量部 300)
【0035】
実施例7および8の試験結果は、表1に示すように界面活性剤の種類および添加量が各異なってはいるものの、滑り抵抗値に関しては0.16〜0.18(×10-2N)と良好であった。しかしながら、その防錆性は、上述の実施例1〜6に比較し、やや劣るものであった。しかし、この防錆性は、実質的に使用できる範囲のものであることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、単に、円形、矩形、ワッシャ−状の防錆効果に止どまらず、例えば、ボ−ルはんだ、はんだ粉末などを含むはんだ全製品に応用できるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形はんだの表面に低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液Aを薄膜塗布された成形はんだ。
【請求項2】
前記溶液Aに更に助剤として微量の有機溶剤を乳化して混合せる水系表面処理剤溶液Bを薄膜塗布されたことを特徴とする請求項1に記載の成形はんだ。
【請求項3】
前記低粘度シリコ−ンオイルの動粘度が、1〜5センチスト−クス(10-6mm2 /s)であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形はんだ。
【請求項4】
前記水系表面処理剤溶液Aが、低粘度シリコ−ンオイル含有量0.1〜50.0wt%,残部が防錆剤および水よりなることを特徴とする請求項1または3に記載の成形はんだ。
【請求項5】
前記水系表面処理剤溶液Bが、低粘度シリコ−ンオイル含有量、0.1〜50.0wt%,残部が防錆剤、助剤としての界面活性剤および水からなることを特徴とする請求項2または3に記載の成形はんだ。
【請求項6】
前記水系表面処理剤溶液Bが、防錆剤含有量0.01〜5.00wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、助剤としての界面活性剤および水よりなることを特徴とする請求項2または3に記載の成形はんだ。
【請求項7】
前記水系表面処理剤溶液Bが、助剤としての界面活性剤含有量0.1〜10.0wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤および水よりなることを特徴する請求項2または3に記載の成形はんだ。
【請求項8】
前記成形はんだの形態が、粒径1〜80μmのはんだ合金粉末であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の成形はんだ。
【請求項9】
成形はんだの成形加工において、該成形はんだの表面にポリッシング工程により、少なくとも低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液Aを薄膜塗布することを特徴とする成形はんだの製造方法。
【請求項10】
成形はんだの成型加工において、該成形はんだの表面にポリッシング工程により低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤および助剤として微量の有機溶剤を乳化してなる水系表面処理剤溶液Bを薄膜塗布することを特徴とする成形はんだの製造方法。
【請求項11】
前記の低粘度シリコ−ンオイルの動粘度が、1〜5センチスト−クス(10-6mm2 /s)であることを特徴とする請求項9または10に記載の成形はんだの製造方法。
【請求項12】
前記ポリッシング工程が、前記水系表面処理剤溶液AまたはBを浸した織物布または不織布により、前記成形はんだ表面に対して、5回以上のしごき回数をもってポリッシングされることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の成形はんだの製造方法。
【請求項13】
前記水系表面処理剤溶液Bが、低粘度シリコ−ンオイル含有量、0.1〜50.0wt%,残部が防錆剤、助剤としての界面活性剤および水からなることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の成形はんだの製造方法。
【請求項14】
前記水系表面処理剤溶液Bが、防錆剤含有量0.01〜5.00wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、助剤としての界面活性剤および水よりなることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の成形はんだの製造方法。
【請求項15】
前記水系表面処理剤溶液Bが、助剤としての界面活性剤含有量0.1〜10.0wt%,残部が低粘度シリコ−ンオイル、防錆剤および水よりなることを特徴する請求項9乃至12のいずれか1項に記載の成形はんだの製造方法。
【請求項16】
前記成形はんだが、粒径1〜80μmのはんだ合金粉末であることを特徴とする請求項9乃至15のいずれか1項に記載の成形はんだの製造方法。

【公開番号】特開2006−26695(P2006−26695A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−209660(P2004−209660)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000111199)ニホンハンダ株式会社 (23)
【出願人】(594060093)日本データマテリアル株式会社 (1)
【Fターム(参考)】