説明

成形不良評価方法および成形不良評価装置

【課題】射出成形における成形可否を判断する際に、簡易な方法で流動解析の予測精度を向上させる。
【解決手段】成形実験による圧力を取得するデータ取得ステップと、流動解析により圧力を算出する第1の流動解析ステップと、パラメータごとに、流動解析による圧力と成形実験による圧力との差を補正値として算出する補正値算出ステップと、パラメータごとに、圧力の許容値を設定する許容値設定ステップと、成形可否判断対象のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、取得したパラメータ基づく流動解析により圧力を算出する第2の流動解析ステップと、取得したパラメータに基づき補正値を取得する補正値取得ステップと、取得したパラメータに基づき許容値を取得する許容値取得ステップと、算出した圧力と補正値とを差分し、当該差分値と許容値とを比較して成形可否を判断する成形可否判断ステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、射出成形における成形可否を判断する成形不良評価方法および成形不良評価装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から樹脂製品の成型方法には様々なものがあるが、中でも射出成形がよく知られている。射出成形では、まず、粒状の樹脂材料を収納容器であるホッパーに投入する。次いで、ホッパー内の樹脂材料を、ヒータで加熱されたシリンダ内に通すことによって溶かす。次いで、溶かした樹脂材料にスクリューで強い圧力をかけてノズルから金型に射出する。なお、金型は雄型・雌型からなり、樹脂材料をその間の製品の形をした窪み部分に流し込み圧力を加える。次いで、金型に流し込んだ樹脂材料が固まるまで冷却する。その後、金型を開き、固まった成形品を取り出す。
【0003】
ここで、射出成形における成形可否の判断については、現状では熟練者の経験と勘に頼っている。そして、射出速度、圧力、温度等の微調整を行いながら何度も成形を行い、また、良品を得るために通常2〜3回の金型修正が必要となる。この金型修正回数を減らすため、流動解析によって金型内に射出された樹脂の圧力、温度等の物理量を算出し、成形可否を判断する方法が取られている(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−73248号公報
【特許文献2】特開2009−23254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1,2に開示された従来の流動解析は、実際の流動現象を単純化したものであるため、現実との差異が生じて予測精度が低下してしまう。そのため、特に精密成形や複雑部品などを成形する場合には活用できないという課題がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、射出成形における成形可否を判断する際に、簡易な方法で流動解析の予測精度を向上させることができる成形不良評価方法および成形不良評価装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る成形不良評価方法は、所定のパラメータで成形実験を行った際に、当該パラメータに含まれる流動長に基づいて金型の成形品部分に取り付けられた圧力センサにより測定された圧力を取得するデータ取得ステップと、成形実験と同一パラメータを用いて金型内での樹脂の流動解析を行い、圧力センサ位置における圧力を算出する第1の流動解析ステップと、パラメータごとに、第1の流動解析ステップにおいて算出した圧力とデータ取得ステップにおいて取得した圧力との差を補正値として算出する補正値算出ステップと、パラメータごとに、圧力の許容値を設定する許容値設定ステップと、成形可否判断対象のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、パラメータ取得ステップにおいて取得したパラメータを用いて金型内での樹脂の流動解析を行い、当該パラメータに含まれる流動長に基づく位置における圧力を算出する第2の流動解析ステップと、パラメータ取得ステップにおいて取得したパラメータに基づいて、補正値算出ステップにおいて算出した各補正値の中から該当する補正値を取得する補正値取得ステップと、パラメータ取得ステップにおいて取得したパラメータに基づいて、許容値設定ステップにおいて設定した各許容値の中から該当する許容値を取得する許容値取得ステップと、第2の流動解析ステップにおいて算出した圧力と補正値取得ステップにおいて取得した補正値とを差分し、当該差分値と許容値取得ステップにおいて取得した許容値とを比較して成形可否を判断する成形可否判断ステップとを有するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、上記のように構成したので、射出成形における成形可否を判断する際に、簡易な方法で流動解析の予測精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る成形不良評価装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る成形不良評価装置による成形実験動作を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1における成形実験時の金型の状態を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1における流動解析による圧力と成形実験による圧力との差(補正値)を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る成形不良評価装置による成形可否判断動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1におけるデータベースであり、(a)補正値を示すデータベースであり、(b)許容値を示すデータベースである。
【図7】この発明の実施の形態1における流入通路の形状と樹脂の入り難さを示す係数との関係を示した図であり、(a)直線状の流入通路の場合であり、(b)略L字状の流入通路の場合である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る成形不良評価装置の構成を示すブロック図である。
成形不良評価装置は、射出成形における成形可否を判断するものである。成形不良評価装置は、図1に示すように、データ取得手段1、第1の流動解析手段2、補正値算出手段3、許容値設定手段4、パラメータ取得手段5、第2の流動解析手段6、補正値取得手段7、許容値取得手段8、成形可否判断手段9および表示手段10から構成されている。
【0011】
データ取得手段1は、所定のパラメータ(樹脂素材、樹脂温度、充填圧力、ゲート22からの流動長)で成形実験を行った際に、金型20の成形品部分23に取り付けられた圧力センサ26により測定された圧力(金型20の所定充填位置での圧力)を取得するものである。なお、この成形実験は、パラメータを変更しながら複数回実施する。
【0012】
第1の流動解析手段2は、成形実験と同一パラメータを用いて金型20内での樹脂の流動解析を行い、金型20の成形品部分23に取り付けられた圧力センサ26位置における圧力(金型20の所定充填位置での圧力)を算出するものである。なお、第1の流動解析手段2は、流動解析として公知の手法(CAE(Computer Aided Engineering)解析など)を用いる。
【0013】
補正値算出手段3は、パラメータごとに、第1の流動解析手段2により算出された圧力とデータ取得手段1により取得された圧力との差を補正値として算出するものである。そして、補正値算出手段3は、算出した各補正値をデータベース化(図6(a)参照)して保持する。
許容値設定手段4は、パラメータごとに、圧力の許容値を設定するものである。そして、許容値設定手段4は、設定した各許容値をデータベース化(図6(b)参照)して保持する。
【0014】
パラメータ取得手段5は、外部から入力された、成形可否判断対象のパラメータ(樹脂素材、樹脂温度、充填圧力、ゲート22からの流動長)を取得するものである。また、パラメータ取得手段5は、表示手段10により表示された樹脂素材の一覧表の中から所定の樹脂素材が選択された場合には、取得している成形可否判断対象のパラメータに含まれる樹脂素材を、選択された樹脂素材に置き換える。
【0015】
第2の流動解析手段6は、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータを用いて金型20内での樹脂の流動解析を行い、このパラメータに含まれる流動長に基づく位置における圧力(金型20の最終充填位置での圧力)を算出するものである。なお、第2の流動解析手段6は、流動解析として公知の手法(CAE解析など)を用いる。
【0016】
補正値取得手段7は、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータに基づいて、補正値算出手段3により算出・保持されているデータベースから該当する補正値を取得するものである。
許容値取得手段8は、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータに基づいて、許容値設定手段4により設定・保持されているデータベースから該当する許容値を取得するものである。
【0017】
成形可否判断手段9は、第2の流動解析手段6により算出された圧力と、補正値取得手段7により取得された補正値と、許容値取得手段8により取得された許容値とに基づいて、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータでの射出成形の成形可否を判断するものである。ここで、成形可否判断手段9は、圧力と補正値との差分を算出し、その差分値と許容値とを比較する。そして、差分値が許容値より小さい場合には成形不可能(ショートショット)と判断し、差分値が許容値以上の場合には成形可能と判断する。
【0018】
表示手段10は、成形可否判断手段9により成形不可能であると判断された場合に、補正値算出手段3および許容値設定手段4で用いた各パラメータ(樹脂素材、樹脂温度または充填圧力)のうち、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータ(樹脂素材、樹脂温度または充填圧力)とは異なるパラメータの一覧表をモニタ(不図示)上に表示するものである。
【0019】
次に、上記のように構成された成形不良評価装置の動作について説明する。まず、成形不良評価装置による成形実験動作について説明する。図2はこの発明の実施の形態1に係る成形不良評価装置による成形実験動作を示すフローチャートであり、図3は成形実験時の金型20の状態を示す図である。
図3に示すように、成形実験で用いる金型20には、流入通路21(スプルー21a、ランナー21b)のゲート22手前部分に圧力センサ24および温度センサ25が取り付けられている。この圧力センサ24および温度センサ25により所定の充填圧力および樹脂温度となっているかを判断する。また、金型20の成形品部分23には、所定のゲート22からの流動長に合わせて複数の圧力センサ26が取り付けられている。この圧力センサ26により各充填位置での圧力を測定する。
【0020】
成形不良評価装置による成形実験動作では、図2に示すように、まず、所定の樹脂素材を金型20に射出して成形実験を行う(ステップST21)。この際、流入通路21のゲート22手前部分に取り付けた圧力センサ24および温度センサ25による測定データを確認しながら、所定の充填圧力および樹脂温度となるように調整する。そして、この状態において成形品部分23に取り付けられた各圧力センサ26によって圧力(各充填位置での圧力)を測定する。
なお、この成形実験はパラメータを変更しながら複数回実施し、各圧力センサ26が測定した圧力を示すデータはデータ取得手段1により取得される(ステップST22、データ取得ステップ)。
【0021】
次いで、第1の流動解析手段2は、成形実験と同一パラメータを用いて金型20内での樹脂の流動解析を行い、金型20の成形品部分23に取り付けられた各圧力センサ26位置での圧力(各充填位置での圧力)を算出する(ステップST23、第1の流動解析ステップ)。
【0022】
ここで、流動解析により算出された圧力と成形実験により取得された圧力とには、図4に示すような誤差が生じる。そこで、補正値算出手段3は、パラメータごとに、流動解析による最大圧力と成形実験による最大圧力との差εを補正値として算出する(ステップST24、補正値算出ステップ)。そして、補正値算出手段3は、算出した各補正値をデータベース化(図6(a)参照)して保持する。
また、許容値設定手段4は、パラメータごとに、圧力の許容値を設定する(ステップST25、許容値設定ステップ)。そして、許容値設定手段4は、設定した各許容値をデータベース化(図6(b)参照)して保持する。
【0023】
次に、成形不良評価装置による成形可否判断動作について説明する。図5はこの発明の実施の形態1に係る成形不良評価装置による成形可否判断動作を示すフローチャートである。
成形不良評価装置による成形可否判断動作では、図5に示すように、まず、パラメータ取得手段5は、外部から入力された、成形可否判断対象のパラメータ(樹脂素材、樹脂温度、充填圧力、ゲート22からの流動長)を取得する(ステップST51、パラメータ取得ステップ)。
【0024】
次いで、第2の流動解析手段6は、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータを用いて金型20内での樹脂の流動解析を行い、このパラメータに含まれる流動長に基づく位置における圧力(金型20の最終充填位置の圧力)を算出する(ステップST52、第2の流動解析ステップ)。
【0025】
次いで、補正値取得手段7は、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータに基づいて、補正値算出手段3により算出・保持されているデータベースから該当する補正値を取得する(ステップST53、補正値取得ステップ)。
次いで、許容値取得手段8は、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータに基づいて、許容値設定手段4により設定・保持されているデータベースから該当する許容値を取得する(ステップST54、許容値取得ステップ)。
【0026】
次いで、成形可否判断手段9は、第2の流動解析手段6により算出された圧力と補正値取得手段7により取得された補正値とを差分する。これにより、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータで実際に成形を行った場合に金型20の最終充填位置で発生する圧力を間接的に知ることができる。そして、成形可否判断手段9は、この差分値が許容値取得手段8により取得された許容値より小さいかを判断する(ステップST55、成形可否判断ステップ)。
このステップST55において、成形可否判断手段9は、差分値が許容値以上であると判断した場合には、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータで成形可能であると判断する(ステップST56)。その後、シーケンスは終了する。
【0027】
一方、ステップST55において、成形可否判断手段9は、差分値が許容値より小さいと判断した場合には、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータでは成形不可能(ショートショット)であると判断する(ステップST57)。
【0028】
次いで、表示手段10は、補正値算出手段3および許容値設定手段4で用いた各パラメータ(樹脂素材、樹脂温度または充填圧力)のうち、パラメータ取得手段5により取得されたパラメータ(樹脂素材、樹脂温度または充填圧力)とは異なるパラメータの一覧表をモニタ上に表示する(ステップST58、表示ステップ)。なお、モニタに一覧表示するパラメータ(樹脂素材、樹脂温度または充填圧力)は、予め設定しておくようにしてもよいし、ステップST55において成形不可能と判断された際に選択させるようにしてもよい。
次いで、パラメータ取得手段5は、取得している成形可否判断対象のパラメータを、表示手段10により表示されたパラメータの一覧表の中から選択されたパラメータに置き換える(ステップST59)。その後、シーケンスはステップST52に戻り、置き換えたパラメータに対して再度、成形可否判断を実施する。
【0029】
次に、成形不良評価装置による成形可否判断動作について具体例を参照しながら説明する。図6(a)は補正値を示すデータベースであり、図6(b)は許容値を示すデータベースである。
図6に示したデータベースは、樹脂素材が樹脂Aであり、樹脂温度がT[℃]である場合に、所定の充填圧力P〜P[MPa]・ゲート22からの流動長L〜L[mm]ごとの補正値ε11〜ε33[MPa]と許容値C11〜C33[MPa]を示したものである。
【0030】
ここで、パラメータに含まれる充填圧力をP[Mpa]とし、ゲート22からの流動長をL[mm]とした場合に、流動解析による最終充填位置(ゲート22からL[mm]の位置)における圧力がPCAE[MPa]であったとする。
この場合において、上記パラメータ(充填圧力P[MPa]、流動長L[mm])に基づいて図6(a)に示すデータベースを参照すると、補正値はε22[MPa]であることが分かる。同様に、上記パラメータに基づいて図6(b)に示すデータベースを参照すると、許容値はC22[MPa]であることが分かる。
【0031】
そして、流動解析により算出された圧力と補正値との差分値は、PCAE−ε22[MPa]となる。この差分値は、上記パラメータで実際に成形を行った際に金型20の最終充填位置で発生する圧力である。そして、この差分値(PCAE−ε22[MPa])が許容値(C22[MPa])以上の場合、上記パラメータで成形可能であると判断できる。一方、差分値が許容値より小さい場合には、上記パラメータでは成形不可能(ショートショット)であると判断できる。
【0032】
以上のように、この実施の形態1によれば、流動解析により算出された圧力に成形実験に基づいて得られた補正値を加味するように構成したので、射出成形における成形可否を判断する際に、簡易な方法で流動解析の予測精度を向上させることができる。よって、精密成形や複雑部品などを成形する場合であっても成形可否判断を行うことができる。
【0033】
なお、実施の形態1では、金型20の成形品部分23の圧力が許容値より小さい場合に成形不可能(ショートショット)であると判断するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、離型時の力が所定の許容値以上の場合には食いつきが発生しているため成形不可能であると判断するようにしてもよい。
また、成形実験で製造した成形品にヒケが発生していた場合に、そのときの成形品部分23の圧力をもとに設定した許容値にヒケ情報を付加するようにしてもよい。この場合、成形品部分23の圧力が、ヒケ情報が付加された許容値より小さい場合にヒケ発生と判断する。
【0034】
また、実施の形態1では、流入通路21の形状による樹脂の入り難さについては考慮していないが、パラメータにこれを含めるようにしてもよい。例えば図7(a)に示すように、流入通路21の形状が直線状の場合には樹脂の入り難さを示す係数をα=1.0としている。また、図7(b)に示すように、流入通路21の形状が略L字状の場合には、直線状に対して樹脂が入り難くなるため、α=1.5としている。そして、成形可否判断手段9は、成形可否判断を行う際に、許容値に上記係数を乗算した上で判断する。これにより、より高精度に成形可否判断を行うことができる。
また、実施の形態1では、パラメータとして、樹脂素材、樹脂温度、充填圧力、ゲート22からの流動長を用いて説明を行ったが、さらに、ゲート22のサイズを含めるようにしてもよい。この場合には、ゲート22のサイズごとに、補正値および許容値をデータベース化する。これにより、より高精度に成形可否判断を行うことができる。
【0035】
また、実施の形態1では、図4に示すように、流動解析による圧力が成形実験による圧力より高くなる場合を想定しているため、成形可否判断手段9にて、第2の流動解析手段6により算出された圧力から補正値取得手段7により取得された補正値を差し引いて実際の圧力を算出するようにした。しかしながら、これに限るものではなく、例えば、流動解析による圧力が成形実験による圧力より低くなる場合には、成形可否判断手段9にて、第2の流動解析手段6により算出された圧力と補正値取得手段7により取得された補正値とを加算することで実際の圧力を算出する。
【0036】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 データ取得手段
2 第1の流動解析手段
3 補正値算出手段
4 許容値設定手段
5 パラメータ取得手段
6 第2の流動解析手段
7 補正値取得手段
8 許容値取得手段
9 成形可否判断手段
10 表示手段
20 金型
21 流入通路
21a スプルー
21b ランナー
22 ゲート
23 成形品部分
24 圧力センサ
25 温度センサ
26 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形における成形可否を判断する成形不良評価方法において、
所定のパラメータで成形実験を行った際に、当該パラメータに含まれる流動長に基づいて金型の成形品部分に取り付けられた圧力センサにより測定された圧力を取得するデータ取得ステップと、
前記成形実験と同一パラメータを用いて前記金型内での樹脂の流動解析を行い、前記圧力センサ位置における圧力を算出する第1の流動解析ステップと、
パラメータごとに、前記第1の流動解析ステップにおいて算出した圧力と前記データ取得ステップにおいて取得した圧力との差を補正値として算出する補正値算出ステップと、
パラメータごとに、圧力の許容値を設定する許容値設定ステップと、
成形可否判断対象のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、
前記パラメータ取得ステップにおいて取得したパラメータを用いて前記金型内での樹脂の流動解析を行い、当該パラメータに含まれる流動長に基づく位置における圧力を算出する第2の流動解析ステップと、
前記パラメータ取得ステップにおいて取得したパラメータに基づいて、前記補正値算出ステップにおいて算出した各補正値の中から該当する補正値を取得する補正値取得ステップと、
前記パラメータ取得ステップにおいて取得したパラメータに基づいて、前記許容値設定ステップにおいて設定した各許容値の中から該当する許容値を取得する許容値取得ステップと、
前記第2の流動解析ステップにおいて算出した圧力と前記補正値取得ステップにおいて取得した補正値とを差分し、当該差分値と前記許容値取得ステップにおいて取得した許容値とを比較して成形可否を判断する成形可否判断ステップと
を有することを特徴とする成形不良評価方法。
【請求項2】
前記成形可否判断ステップにおいて成形不可能であると判断した場合に、前記補正値算出ステップおよび前記許容値設定ステップで用いた各パラメータのうち、前記パラメータ取得ステップにおいて取得したパラメータとは異なるパラメータの一覧表を表示する表示ステップをさらに有し、
前記パラメータ取得ステップは、取得している成形可否判断対象のパラメータを、前記表示ステップにおいて表示した一覧表の中から選択されたパラメータに置き換える
ことを特徴とする請求項1記載の成形不良評価方法。
【請求項3】
前記成形可否判断ステップにおいて、前記許容値取得ステップにおいて取得した許容値に、前記パラメータに含まれる前記金型の流入通路の形状に基づく係数を乗算する
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の成形不良評価方法。
【請求項4】
射出成形における成形可否を判断する成形不良評価装置において、
所定のパラメータで成形実験を行った際に、当該パラメータに含まれる流動長に基づいて金型の成形品部分に取り付けられた圧力センサにより測定された圧力を取得するデータ取得手段と、
前記成形実験と同一パラメータを用いて前記金型内での樹脂の流動解析を行い、前記圧力センサ位置における圧力を算出する第1の流動解析手段と、
パラメータごとに、前記第1の流動解析手段により算出された圧力と前記データ取得手段により取得された圧力との差を補正値として算出する補正値算出手段と、
パラメータごとに、圧力の許容値を設定する許容値設定手段と、
成形可否判断対象のパラメータを取得するパラメータ取得手段と、
前記パラメータ取得手段により取得されたパラメータを用いて前記金型内での樹脂の流動解析を行い、当該パラメータに含まれる流動長に基づく位置における圧力を算出する第2の流動解析手段と、
前記パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づいて、前記補正値算出手段により算出された各補正値の中から該当する補正値を取得する補正値取得手段と、
前記パラメータ取得手段により取得されたパラメータに基づいて、前記許容値設定手段により設定された各許容値の中から該当する許容値を取得する許容値取得手段と、
前記第2の流動解析手段により算出された圧力と前記補正値取得手段により取得された補正値とを差分し、当該差分値と前記許容値取得手段により取得された許容値とを比較して成形可否を判断する成形可否判断手段と
を備えたことを特徴とする成形不良評価装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−67150(P2013−67150A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209307(P2011−209307)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000006666)アズビル株式会社 (1,808)
【Fターム(参考)】