説明

成形体、めっき部品及びめっき部品の製造方法

【課題】 特定の個数平均径の凹部を有し、かつ、特定の凹部の壁間距離の平均値である表面を有することから優れためっき特性を有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体及びめっき皮膜面の鏡面性とめっき皮膜密着性に優れるめっき部品を提供する。
【解決手段】 ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなり、電子顕微鏡観察による測定により個数平均径0.1〜5μmの凹部を有し、かつ、凹部の壁間距離の平均値0.1〜5μmである、表面を有する成形体、及び、該成形体の少なくとも一部の表面に金属めっき皮膜を有しためっき部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容易にめっきを施すことが可能となる特定の表面を有するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物製成形体、それよりなるめっき部品およびめっき部品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製品は、軽量かつ錆びないなどの優れた特性を有し、色々な形状に加工出来、設計の自由度が大きいため、自動車分野や家電分野をはじめとしてあらゆる分野に使用されている。特に白動車分野では、軽量化が求められており、プラスチック材料は金属材料に代わって使用量を増やしている。しかし金属に比べると表面が傷つきやすい、耐熱性や耐侯性などに劣る等の課題を抱えている。
【0003】
プラスチックの欠点を補うため、プラスチック製品の表面を修飾する事により材料の特性あるいは機能を向上させる技術が開発されてきた。プラスチックの表面修飾として代表的な手法に塗装または金属化(めっき)がある。めっきには蒸着などの乾式めっき法と電気めっき処理法や無電解めっき処理法などの湿式めっき法がある。湿式めっき法は安価で連続生産性に適している特徴を有するが、ABS以外のプラスチックでは湿式めっき法に適した成形体とすることが困難であった。
【0004】
ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと略記することもある。)は、優れた機械的性質、熱的性質、電気的性質、耐薬品性を有し、電気・電子機器部材、自動車機器部材及びOA機器部材等に幅広く使用されているものの、前述したようにその優れた耐薬品性ゆえに成形体表面がエッチングされ難く、一般には湿式めっき処理に適していない。
【0005】
そこで、PPS樹脂組成物からなる成形品を用いためっき部品とするために、予めチタン酸カリウム等の充填材を配合したPPS樹脂組成物とし、フッ化水素酸等によりPPS樹脂組成物の表面を溶解させる化学処理を行った成形体に湿式めっき処理を施しめっき部品とする方法(例えば特許文献1参照。)、またゴム成分を配合したPPS樹脂組成物成形体とし、ゴム成分を溶解させる処理を行った成形体に湿式めっきを施しめっき部品とする方法(例えば特許文献2参照。)などが提案されている。
【0006】
一方、液体ホーニング処理等の前処理を施したPPS樹脂組成物成形体に湿式めっきを施しめっき部品とする方法も提案されている(例えば特許文献3参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−270659号公報
【特許文献2】特開昭61−091366号公報
【特許文献3】特開2003−105551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示された組成物で得られた成形体では、化学処理の制御が困難でありめっき皮膜面の鏡面性とめっき皮膜密着性とが両立しためっき部品とすることが不可能であった。特許文献2に開示された方法では、めっき性が充分であるとは言い難く、特許文献3に開示された方法では、巨額の設備投資を行う必要があった。
【0009】
そこで、本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなり、安価でめっき皮膜面の鏡面性とめっき皮膜密着性に優れた成形体及び該成形体からなるめっき部品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題に関し鋭意検討した結果、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなり、特定の個数平均径の凹部を有し、かつ、特定の凹部の壁間距離の平均値である表面を有する成形品が優れためっき特性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなり、電子顕微鏡観察による測定により個数平均径0.1〜5μmの凹部を有し、かつ、凹部の壁間距離の平均値0.1〜5μmである、表面を有することを特徴とする成形体およびそれよりなるめっき部品に関するものである。
【0012】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明の成形品は、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなるものでありポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の範疇に属するものであれば特に制限なく用いることが可能であり、その中でもポリフェニレンスルフィド(A)とポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)とからなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であることが好ましい。
【0014】
そして、ポリフェニレンスルフィド(A)としては、一般にポリフェニレンスルフィドと称される範疇に属すものであればよく、その中でも特に成形加工性に優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物となり生産性よく成形品を得ることが可能となることから直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスターにて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で測定した溶融粘度が100〜30000ポイズであるポリフェニレンスルフィドであることが好ましい。該ポリフェニレンスルフィドの具体的例示としては、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、アミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)、カルボキシル基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)等が挙げられ、その中でも、特に耐熱性等に優れた成形体となることから、ポリ(p−フェニレンスルフィド)、アミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)であることが好ましい。
【0015】
また、ポリフェニレンスルフィドとしては、直鎖状のものであっても、重合時にトリハロゲン以上のポリハロゲン化合物を少量添加して若干の架橋又は分岐構造を導入したものであっても、窒素などの非酸化性の不活性ガス中で加熱処理を施したものであってもかまわないし、さらにこれらの構造の混合物であってもかまわない。またポリフェニレンスルフィドは、加熱硬化前又は後に脱イオン処理(酸洗浄や熱水洗浄など)、あるいはアセトン、メチルアルコールなどの有機溶媒による洗浄処理を行うことによってイオン、オリゴマーなどの不純物を低減させたものであってもよい。さらに、重合反応終了後に酸化性ガス中で加熱処理を行い硬化を行ったものであってもよい。
【0016】
また、ポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)としては、ポリフェニレンスルフィドに非相溶であれば如何なる樹脂でもよく、その中でも、例えばポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、無水マレイン酸(グラフト)変性ポリエチレン、無水マレイン酸(グラフト)変性ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体、エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。ポリエチレンの具体的例示としては、(商品名)ニポロン(東ソー(株)製)、(商品名)ペトロセン(東ソー(株)製)等が挙げられる。ポリプロピレンの具体的例示としては、(商品名)ノバテック(日本ポリプロ(株)製)などがある。無水マレイン酸(グラフト)変性ポリエチレンまたは無水マレイン酸(グラフト)変性ポリプロピレンの具体的例示としては、(商品名)Morton(ローム・アンド・ハース(株)製)(商品名)オレバックG(アルケマ(株)製)などがある。エチレン−酢酸ビニル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ウルトラセン(東ソー(株)製)などがある。エチレン−α、β−不飽和カルボン酸グリシジルエステル共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンドファースト(住友化学(株)製)などがある。エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体の具体的例示としては、(商品名)ボンダイン(アルケマ(株)製)などがある。
【0018】
ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、例えば変性ポリフェニレンオキシドなどが挙げられ、具体的例示としては、(商品名)ノリル(日本GEプラスチックス(株)製)などがある。
【0019】
ポリアミド系樹脂としては、例えばナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロンなどが挙げられ、具体的例示としては(商品名)UBEナイロン(宇部興産(株)製)、(商品名)東洋紡ナイロン(東洋紡績(株))などがある。
【0020】
ポリエステル系樹脂としては、例えばポリブチレンテレフタレートなどが挙げられ、具体的例示としては(商品名)バロックス(日本GEプラスチックス(株)製)などがある。
【0021】
ポリカーボネート系樹脂としては、例えばポリカーボネート、ポリカーボネート/ABSアロイなどが挙げられ、具体的例示としては、(商品名)タフロン(出光興産(株)製)などがある。
【0022】
また、ポリフェニレンスルフィド(A)とポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)からなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物とする際のその配合量は、特にめっき皮膜密着性などに優れる成形体が得られやすいことから、ポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂が3〜30重量%であることが好ましい。
【0023】
本発明の成形体を構成するポリフェニレンスルフィド樹脂組成物は、機械的強度などの改良効果を促す目的で、該ポリフェニレンスルフィド(A)100重量部に対し、さらに充填材5〜200重量部を配合してなるものであってもよい。
【0024】
該充填材としては繊維状充填材と非繊維状充填材が挙げられ、これらは単独で用いても良いし、両者を併用することも可能である。
【0025】
該繊維状充填材としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、グラファイト化繊維、ウイスカー、金属繊維、無機系繊維、有機系繊維、鉱物系繊維等が挙げられる。
【0026】
そして、ガラス繊維の具体的例示としては、平均繊維径が6〜14μmのチョップドストランド、ミルドファイバー、ロービング等のガラス繊維;ニッケル、銅等を金属コートしたガラス繊維;シラン繊維;アルミノ珪酸塩ガラス繊維;中空ガラス繊維;ノンホーローガラス繊維等が挙げられる。
【0027】
炭素繊維の具体的例示としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
【0028】
無機系繊維の具体的例示としては、ロックウール、ジルコニア、アルミナシリカ、チタン酸バリウム、炭化珪素、アルミナ、シリカ、高炉スラグ等の各種無機繊維が挙げられる。
【0029】
鉱物系繊維の具体的例示としては、ワラステナイト、マグネシウムオキシサルフェート等が挙げられる。
【0030】
有機系繊維の具体的例示としては、全芳香族ポリアミド繊維、フェノール樹脂繊維、全芳香族ポリエステル繊維等が挙げられる。
【0031】
ウイスカーの具体的例示としては、窒化珪素ウイスカー、塩基性硫酸マグネシウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、炭化珪素ウイスカー、ボロンウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等が挙げられる。
【0032】
また、該非繊維状充填材とは、板状、粉粒状の無機物であり、例えば炭酸カルシウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、マイカ、シリカ、タルク、クレイ、硫酸カルシウム、カオリン、ワラステナイト、ゼオライト、ガラスパウダー、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化スズ、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、黒鉛、カーボンブラック、ガラスパウダー、ガラスバルーン、ガラスフレーク、ハイドロタルサイト等が挙げられる。これらの充填材は2種以上を併用することも可能であり、必要によりエポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物又はポリマーで、予め表面処理したものを用いてもよい。
【0033】
場合によっては用いることのできる充填材は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤で処理したものあることが好ましく、特にアミノアルコキシルシラン又はエポキシアルコキシルシランで表面処理されたものであることが好ましい。また、繊維状充填材は、場合によって前記表面処理を行った後、ハンドリング性を良くするために繊維の束をエポキシ樹脂及び/又はウレタン樹脂で収束処理を施したものであってもよい。
【0034】
本発明の成形体は、該ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を、例えば射出成形、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、真空成形、発泡成形などの各種成形加工方法に供することにより成形体とすることが可能であり、その中でも、射出成形は生産性に優れるなどの特徴を有する事からよく使用される。
【0035】
本発明の成形体は、電子顕微鏡観察による表面測定により個数平均径0.1〜5μmの凹部を有し、かつ、凹部の壁間距離の平均値が0.1〜5μmである、表面を有する成形体である。ここで、凹部の個数平均径は0.1〜5μmであり、より好ましくは0.3〜3μmである。表面の凹部の個数平均径0.1μm未満の成形品である場合、成形体に金属めっき皮膜を施した際のアンカー効果が弱く、めっき部品はめっき皮膜密着性に劣るものとなる。一方、表面の凹部の個数平均径5μmより大きな成形品である場合、めっき部品はめっき皮膜面の鏡面性に劣るものとなる。また、凹部の壁間距離の平均値は0.1〜5μmであり、より好ましくは0.3〜3μmである。表面の凹部の壁間距離0.1未満の成形品を得ることは実質的に不可能である。一方、表面の凹部の壁間距離の平均値5μmより大きな成形品である場合、金属めっき皮膜面上において、アンカー効果のない皮膜の割合が多くなりめっき部品はめっき皮膜密着性に劣るものとなる。
【0036】
本発明の成形体を製造する際の製造方法としては、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなり、電子顕微鏡観察による測定により個数平均径0.1〜5μmの凹部を有し、かつ、凹部の壁間距離の平均値が0.1〜5μmである、表面を有する成形体を製造することが可能であれば如何なる方法をも用いることが可能であり、例えば射出成形法等によりポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を成形品とした後に、ポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)の良溶媒で洗浄し、成形品表面のポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)を取り除き成形体とする方法を挙げることができる。
【0037】
なお、この際のポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)の良溶媒については、ポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂を溶解する良溶剤であれば如何なるものを用いても良い。例えばオレフィン系樹脂の良溶媒はキシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤や四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶剤などが挙げられる。ポリフェニレンエーテル系樹脂の良溶媒はキシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤や塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶剤などが挙げられる。ポリアミド系樹脂の良溶媒はフェノールやクレゾールなどの溶剤が挙げられる。ポリエステル系樹脂の良溶媒はオルトクロロフェノールなどの溶剤が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂の良溶媒はキシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤や四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶剤などが挙げられる。
【0038】
本発明の成形体は、個数平均径0.1〜5μmの凹部を有し、かつ、凹部の壁間距離の平均値が0.1〜5μmである、表面を有することから表面に金属めっき皮膜を施しためっき部品とすることに適したものとなる。そして、めっき部品とした際の金属めっき皮膜としては、めっき皮膜の範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、その中でも得られるめっき皮膜が各種適用可能になる事から、銅、ニッケル、クロム、スズ、金、亜鉛、銀からなる群より選択される少なくとも1種以上のめっき皮膜であることが好ましく、特に銅めっき皮膜、ニッケルめっき皮膜、クロムめっき皮膜であることが好ましい。また、めっき部品とした際の金属めっき皮膜の厚さに関しては特に制限はなく、その中でも厚さが0.1μm以上の金属めっき皮膜であることが好ましい。
【0039】
本発明の成形体をめっき部品とする際のめっき方法としては、めっきが可能であれば如何なる方法を用いることも可能であり、その中でも簡便にめっきを施すことが可能となることから湿式めっきであることが好ましく、該湿式めっき方法としては、例えば電気めっき処理法、無電解めっき処理法などが挙げられ、特に無電解めっき処理法であることが好ましい。
【0040】
得られためっき部品は、優れためっき皮膜面の鏡面性とめっき皮膜密着性を有する。
【0041】
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物からなる成形体、該成形体を用いためっき部品は鏡面性とめっき皮膜密着性をあわせもつことから各種の用途に使用できる。例えば、回路基板、コネクター、携帯電話やパソコンなど電磁波が発生する製品の電磁波シールド部品、自動車用ホイールキャップやドアの取手などの装飾めっき部品用に幅広く使用できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなり、特定の個数平均径の凹部を有し、かつ、特定の凹部の壁間距離の平均値である表面を有する成形品は優れためっき特性を有し、該成形体を用いためっき部品は、優れためっき皮膜面の鏡面性とめっき皮膜密着性をあわせもつことからその技術的価値は高い。
【実施例】
【0043】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0044】
実施例及び比較例において用いた、ポリフェニレンスルフィド(A)、ポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)、充填材(C)を以下に示す。
【0045】
<ポリフェニレンスルフィド(A)>
アミノ基含有ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、単にPPS(a1−2)と記す。):溶融粘度1600ポイズ、フェニレンスルフィド単位あたりのアミノ基含有量0.6モル%。
【0046】
直鎖状ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、単にPPS(a2−1)と記す。):溶融粘度500ポイズ。
【0047】
ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、単にPPS(a3−1)と記す。):溶融粘度90ポイズ。
【0048】
<ポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)>
エチレン−α、β−不飽和カルボン酸アルキルエステル−無水マレイン酸共重合体(以下、単に樹脂(b1)と記す。):アルケマ(株)製、(商品名)ボンダインAX8390。
【0049】
無水マレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(以下、単に樹脂(b2)と記す。):ローム・アンド・ハース(株)製、(商品名)Morton 1200L。
【0050】
直鎖状低密度ポリエチレン(以下、単に樹脂(b3)と記す。):東ソー(株)製、(商品名)ニポロンL FR152。
【0051】
変性ポリフェニレンオキシド(以下、単に樹脂(b4)と記す。):日本GEプラスチックス(株)製、(商品名)646−111。
【0052】
<充填材(C)>
ガラス繊維(c−1); エヌエスジー・ヴェトロテックス(株)製、(商品名)RES03−TP91;繊維径9μm、繊維長3mm。
【0053】
合成例1(PPS(a1−2)の合成)
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、NaS・2.9HO6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7150g、3,5−ジクロロアニリン47g(p−ジクロロベンゼンに対して約0.6モル%)、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が250ポイズのアミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a1−1)と記す。)を得た。このPPS(a1−1)を、さらに酸素雰囲気下250℃で3時間硬化を行いアミノ基置換ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a1−2)と記す。)を得た。
【0054】
得られたPPS(a1−2)の溶融粘度は、1600ポイズであり、フェニレンスルフィド単位あたりのアミノ基含有量は0.6モル%であった。
【0055】
合成例2(PPS(a2−1)の合成)
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、47%硫化水素ナトリウム水溶液5607g、48%水酸化ナトリウム水溶液3807g及びN−メチル−2−ピロリドン10773gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に200℃まで昇温して、4533gの水を留去した。この系を170℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7060gとN−メチル−2−ピロリドン5943gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を225℃に昇温し、225℃にて1時間重合し、さらに250℃まで昇温し、250℃にて2時間重合した。更に、250℃で水1503gを圧入し、再度255℃まで昇温し、225℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を150℃のN−メチル−2−ピロリドンで洗浄し、続いて温水で繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が500ポイズの直鎖状ポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a2−1)と記す。)を得た。
【0056】
合成例3(PPS(a3−1)の合成)
攪拌機を装備する50リットルオートクレーブに、NaS・2.9HO6214g及びN−メチル−2−ピロリドン17000gを仕込み、窒素気流下攪拌しながら徐々に205℃まで昇温して、1355gの水を留去した。この系を140℃まで冷却した後、p−ジクロロベンゼン7500g、N−メチル−2−ピロリドン5000gを添加し、窒素気流下に系を封入した。この系を2時間かけて225℃に昇温し、225℃にて2時間重合させた後、30分かけて250℃に昇温し、さらに250℃にて3時間重合を行った。重合終了後、室温まで冷却し、遠心分離器により固形分を単離した。該固形分を温水でポリマーを繰り返し洗浄し100℃で一昼夜乾燥することにより、溶融粘度が90ポイズのポリ(p−フェニレンスルフィド)(以下、PPS(a3−1)と記す。)を得た。
【0057】
合成例1〜3により得られたポリフェニレンスルフィド及び実施例・比較例により得られた成形体の評価・測定方法を以下に示す。
【0058】
〜アミノ基含有量の測定〜
赤外線吸収スペクトル測定装置により、1900cm−1の吸収(ベンゼン環のC−H面外変角振動)と3387cm−1の吸収(アミノ基のN−H伸縮振動)を測定し、該吸収比によりアミノ基含有量を得た。なお、その際の検量線はベンゼンとアニリンの混合物より作製した。
【0059】
〜PPSの溶融粘度測定〜
直径1mm、長さ2mmのダイスを装着した高化式フローテスター((株)島津製作所製、商品名CFT−500)にて、測定温度315℃、荷重10kgの条件下で溶融粘度の測定を行った。
【0060】
〜凹部の個数平均径の測定〜
走査型電子顕微鏡((株)キーエンス製、商品名VE−9800)を使用し、成形体表面の凹部を100個以上観測するように撮影し、観察像を得る。
【0061】
該観察像を使用し、凹部100個についてその円相当径を測定する。全ての円相当径を加算して個数で除し個数平均径を測定した。
【0062】
〜凹部の壁間距離の平均値の測定〜
凹部の個数平均径の測定で使用した観察像を使用し、凹部100個について、最近接の凹部までの壁間距離を測定する。全ての壁間距離を加算して個数で除したものを凹部の壁間距離の平均値を測定した。
【0063】
〜めっき皮膜密着性の評価〜
めっき部品のめっき皮膜面に、一辺2mmの正方形が100個できるように鋭利な刃物でPPS樹脂組成物成形体にまで達する切れ込みを設け、粘着力のあるテープ(日東電工(株)製、商品名セロハンテープNo.29)を貼り付け、テープを急速に引きはがすことによりめっき皮膜の密着性を調べた。
良好;めっき皮膜がはがれなかった。
不良;めっき皮膜がはがれた。
【0064】
〜めっき皮膜面の鏡面性の評価〜
めっき部品のめっき皮膜面を蛍光灯に反射させ、反射像のゆがみや凹凸の有無を目視観察し、めっき皮膜面の鏡面性を判定した。
良好;反射像のゆがみ及び凹凸が認められない。
不良;反射像のゆがみがあるもの、または凹凸が認められる。
【0065】
実施例1
合成例1で得られたPPS(a1−2)8.57kg、樹脂(b−1)1.43kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、シリンダー温度300℃に設定した二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35B)にて、充填材(c−1)をサイドフィーダーから添加量がPPS(a1−2)、樹脂(b−1)の合計100重量部に対し43重量部となるように供給しながら溶融混練を行いペレット化した。その後、175℃で5時間乾燥しポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
【0066】
得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃に調整した射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)を用い射出成形し、70mm×70mm×2mmの試験片を得た。
【0067】
該試験片を100℃に加熱したキシレン(和光純薬工業(株)製)500mlに30分浸漬した後、24時間常温で乾燥し、凹部の個数平均径が1μm、凹部の壁間距離の平均値が1μmの表面を有する成形体を得た。
【0068】
該成形体に以下の工程で銅めっきを施し、めっき部品とした。
1)純水750mlに(商品名)コンディライザーSP(奥野製薬工業(株)製)150mlを加えた溶液に該成形体を40℃、5分間浸漬し前処理を行うコンディショニング工程。
2)純水790mlに、塩酸(和光純薬工業(株)製)150mlと(商品名)キャタリストC(奥野製薬工業(株)製)60mlとを加えた溶液に、1)工程処理を行った成形体を室温で5分間浸漬し触媒付与を行うキャタリスト工程。
3)純水900mlに、硫酸(和光純薬工業(株)製)150mlを加えた溶液に、2)工程処理を行った成形体を40℃で5分間浸漬し活性化を行う工程。
4)純水798mlに、(商品名)OPC−750無電解めっき銅M(奥野製薬工業(株)製)202mlを加えた溶液に、3)工程処理を行った成形体を室温で15分間浸漬し、無電解銅めっきを行う無電解めっき工程。
【0069】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性が共に良好なものであった。
【0070】
実施例2
合成例1で得られたPPS(a1−2)9.29kg、樹脂(b−2)0.71kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、シリンダー温度300℃に設定した二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35B)にて、充填材(c−1)をサイドフィーダーから添加量がPPS(a1−2)、樹脂(b−2)の合計100重量部に対し43重量部となるように供給しながら溶融混練を行いペレット化した。その後、175℃で5時間乾燥しポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
【0071】
得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃に調整した射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)を用い射出成形し、70mm×70mm×2mmの試験片を得た。
【0072】
該試験片を130℃に加熱したキシレン(和光純薬工業(株)製)500mlに30分浸漬した後、24時間常温で乾燥し、凹部の個数平均径0.3μm、凹部の壁間距離の平均値2μmの表面を有する成形体を得た。
【0073】
得られた成形体は、実施例1と同様の手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0074】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性が共に良好なものであった。
【0075】
実施例3
合成例1で得られたPPS(a1−2)8.85kg、樹脂(b−3)1.15kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、シリンダー温度300℃に設定した二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35B)にて、充填材(c−1)をサイドフィーダーから添加量がPPS(a1−2)、樹脂(b−3)の合計100重量部に対し43重量部となるように供給しながら溶融混練を行いペレット化した。その後、175℃で5時間乾燥しポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
【0076】
得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃に調整した射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)を用い射出成形し、70mm×70mm×2mmの試験片を得た。
【0077】
該試験片を130℃に加熱したキシレン(和光純薬工業(株)製)500mlに30分浸漬した後、24時間常温で乾燥し、凹部の個数平均径1μm、凹部の壁間距離の平均値0.2μmの表面を有する成形体を得た。
【0078】
得られた成形体は、実施例1と同様の手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0079】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性が共に良好なものであった。
【0080】
実施例4
合成例2で得られたPPS(a2−1)8kg、樹脂(b−1)2kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、シリンダー温度300℃に設定した二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35B)にて、溶融混練を行いペレット化した。その後、175℃で5時間乾燥しポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
【0081】
得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃に調整した射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)を用い射出成形し、70mm×70mm×2mmの試験片を得た。
【0082】
該試験片を100℃に加熱したキシレン(和光純薬工業(株)製)500mlに30分浸漬した後、24時間常温で乾燥し、凹部の個数平均径2μm、凹部の壁間距離の平均値1μmの表面を有する成形体を得た。
【0083】
得られた成形体は、実施例1と同様な手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0084】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性が共に良好なものであった。
【0085】
実施例5
合成例1で得られたPPS(a1−2)7.5kg、樹脂(b−4)2.5kgをあらかじめタンブラーにて均一に混合した。その後、シリンダー温度300℃に設定した二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35B)にて、充填材(c−1)をサイドフィーダーから添加量がPPS(a1−2)、樹脂(b−3)の合計100重量部に対し25重量部となるように供給しながら溶融混練を行いペレット化した。その後、175℃で5時間乾燥しポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
【0086】
得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃に調整した射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)を用い射出成形し、70mm×70mm×2mmの試験片を得た。
【0087】
該試験片を常温の塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)500mlに10分浸漬した後、24時間常温で乾燥し、凹部の個数平均径2μm、凹部の壁間距離の平均値0.3μmの表面を有する成形体を得た。
【0088】
得られた成形体は、実施例1と同様の手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0089】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性が共に良好なものであった。
【0090】
比較例1
PPS(a1−2)9.29kg、樹脂(b−2)0.71kgの代わりにPPS(a1−2)9.71kg、樹脂(b−2)0.29kgとした以外は、実施例2と同様の方法によりポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、試験片、成形体を得た。得られた成形体は、凹部の個数平均径0.3μm、凹部の壁間距離の平均値8μmの表面を有するものであった。
【0091】
得られた成形体は、実施例1と同様の手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0092】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性が不良なものであった。
【0093】
比較例2
PPS(a1−2)8.85kg、樹脂(b−3)1.15kgの代わりにPPS(a1−2)9.71kg、樹脂(b−3)0.29kgとした以外は、実施例3と同様の方法によりポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、試験片、成形体を得た。得られた成形体は、凹部の個数平均径1μm、凹部の壁間距離の平均値8μmの表面を有するものであった。
【0094】
得られた成形体は、実施例1と同様の手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0095】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性が不良なものであった。
【0096】
比較例3
合成例2で得られたPPS(a2−1)8kg、樹脂(b−1)2kg、さらに4,4’−ジフェニルポリイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製、商品名ミリオネートMR−100)0.2kgをタンブラーにて均一に混合した。その後、シリンダー温度300℃に設定した二軸押出機(東芝機械(株)、商品名TEM−35B)にて溶融混練を行いペレット化した。その後、175℃で5時間乾燥しポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
【0097】
得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物をシリンダー温度310℃、金型温度135℃に調整した射出成形機(住友重機械工業(株)製、商品名SE−75S)を用い射出成形し、70mm×70mm×2mmの試験片を得た。
【0098】
該試験片を100℃に加熱したキシレン(和光純薬工業(株)製)500mlに30分浸漬した後、24時間常温で乾燥し、凹部の個数平均径0.05μm、凹部の壁間距離の平均値0.3μmの表面を有する成形体を得た。
【0099】
得られた成形体は、実施例1と同様の手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0100】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜密着性が不良なものであった。
【0101】
比較例4
PPS(a1−2)の代わりにPPS(a3−1)を用いた以外は、実施例5と同様の方法によりポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、試験片、成形体を得た。得られた成形体は、凹部の個数平均径10μm、凹部の壁間距離の平均値3μmの表面を有するものであった。
【0102】
得られた成形体は、実施例1と同様の手順で銅めっきを施し、めっき部品を得た。
【0103】
得られためっき部品のめっき皮膜密着性とめっき皮膜面の鏡面性の評価を行った。得られためっき部品は、めっき皮膜面の鏡面性は不良なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物よりなり、電子顕微鏡観察による測定により個数平均径0.1〜5μmの凹部を有し、かつ、凹部の壁間距離の平均値0.1〜5μmである、表面を有することを特徴とする成形体。
【請求項2】
ポリフェニレンスルフィド(A)とポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)とからなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上のポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の成形体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の成形体の少なくとも一部の表面に金属めっき皮膜を有することを特徴とするめっき部品。
【請求項5】
銅、ニッケル、クロム、スズ、金、亜鉛、銀からなる群より選択される少なくとも1種以上のめっき皮膜であることを特徴とする請求項4に記載のめっき部品。
【請求項6】
ポリフェニレンスルフィド(A)とポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)とからなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物によりめっき部品を製造するに際し、少なくとも下記(1)工程及び下記(2)工程を経ることを特徴とするめっき部品の製造方法。
(1)工程:ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物製成形品をポリフェニレンスルフィドに非相溶な樹脂(B)の良溶媒で洗浄し、電子顕微鏡観察による測定で個数平均径0.1〜5μmの凹部を有し、かつ、凹部の壁間距離の平均値0.1〜5μmの表面を形成した成形体とする工程。
(2)工程:(1)工程により得られた成形体に湿式めっきを施す工程。

【公開番号】特開2009−24070(P2009−24070A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−187892(P2007−187892)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】