説明

成形体及びその製造法

【課題】 プラスチック材料のみならず異種材料、特にポリプロピレンとの接着性に優れ、かつ、常温及び高温雰囲気での接着性に優れ、広範な有用性を有する不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを用いた成形体を提供する。
【解決手段】 プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィン、又はプロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィン組成物であって、ポリオレフィンに付加した不飽和カルボン酸含有量が0.1〜10重量%である不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体が接着されている成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを用いた成形体及びその製造法に関するものであり、さらに詳しくは、プロピレンを含有する不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを用いた成形体及びその製造法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンは機械強度、透明性、成形性、衛生性等に優れていることから広範な分野で使用されているが、積層体としての利用においてはポリオレフィンが無極性のポリマーであるため種々の極性物質との接着性が低いという材料固有の問題を有している。この問題点を改良するため、これまで種々の改良が試みられてきているが、その接着性は充分とはいえず、接着性を更に改良するために、例えば不飽和カルボン酸、又はその誘導体をグラフトした変性ポリオレフィン樹脂が提案されている。
【0003】
例として、ポリオレフィンを溶剤に溶解させて不飽和カルボン酸をグラフト化することにより不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを製造することが知られており、この溶剤としては脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が用いられ、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素や、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素が挙げられている(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、これらの炭化水素のうち沸点が150℃を超える溶剤では、生成物の着色傾向が強い問題を有しており、回収工程においても高コストになる恐れがある。一方、ヘキサンなどの沸点が80℃未満の炭化水素はポリオレフィンの溶解性が充分とはいえず、圧力反応装置等を用いて溶解温度を高くする必要があり、エネルギーコストは高いといえる。よって、着色の少ない不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィン、及びエネルギーコストの低い不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの製造法が望まれていた。
【0005】
また、上記のようにして製造された酸変性ポリオレフィン樹脂組成物は、接着性の改良効果はあるが、接着性ポリマーに対する要求の高度化に伴い、依然として接着性の改良が求められている。特に、その使用環境が高温雰囲気となる条件にて使用される場合には、常温での接着性に加えて、高温雰囲気での接着性も重要であり、その改良が求められている。さらに、被着体として異種材料間の接着は多岐に渡る用途展開が可能となることから、部材の開発において要求が高いが、これまで満足する接着性は得られていない。特に、ポリプロピレンを被着体としてもう一方の被着体としてプリプロピレンとは異なる材料、例えば銅やアルミなどの金属、ポリイミドやポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチック、ガラス、木、紙などとした場合の接着性は著しく劣り、十分満足するものではなかった。
【0006】
一方、溶剤を用いない不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの製造方法として、ポリオレフィンを溶融させた状態で不飽和カルボン酸をグラフト化する溶融法が一般に知られており、この溶融法では経済的理由により反応器を用いず押出機を使用した方法が一般に用いられ、例えば、ベント口を有する二軸押出機を使用した方法が挙げられている(特許文献2)。
【0007】
しかしながら、溶融法では押出機内の滞留時間が比較的短いため、グラフト反応時間を確保できず、反応器を用いたグラフト反応に比べると、一般的に不飽和カルボン酸の反応量を上げることが困難であるばかりでなく、グラフト反応が局所的となるため、生成物の品質は不均一となりやすいという本質的な欠点を有していた。このため、反応に際し、樹脂を溶融させる必要があるため反応温度は例えば250℃といった高温となり、結果として不飽和カルボン酸の揮発・蒸発が起こるため、過剰の不飽和カルボン酸を仕込む必要があるばかりか、前述の反応時間の問題から、この方法で得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンには充分な量の不飽和カルボン酸がグラフトされず、例えば金属材料や無機物質など異種材料との接着性が低いという問題を有していた。これらの背景から、常温及び高温雰囲気下での接着性が改善され、かつ被着体として異種材料間の接着、特に、ポリプロピレンを被着体としてもう一方の被着体を、例えば銅やアルミなどの金属、ポリイミドやポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチック、ガラス、木、紙などとした場合の接着性が優れている不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンが望まれており、さらに、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと金属材料または樹脂材料に接着されて一体化している成形体が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特開平9−3138号公報
【特許文献2】特開2002−187914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は常温及び高温雰囲気下での接着性に優れ、異種材料との接着性、並びに広範な有用性を有する不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを用いた成形体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至ったものである。即ち、本発明は、プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィン、又はプロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィン組成物であって、ポリオレフィンに付加した不飽和カルボン酸含有量が0.1〜10重量%である不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体が接着されている成形体、及びその製造法である。
【0011】
以下に本発明について詳細に説明する。
【0012】
本発明の成形体は、特定の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体が接着されているものであり、当該不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体が一体化しているものである。本発明の成形体は、1種の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと1種又は2種の被着体が接着されているもののみならず、複数の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと複数の被着体が接着されているものも含まれる。
【0013】
本発明の成形体における不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは、プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィンを含むものである。プロピレンユニットを含有するポリオレフィンであることにより、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体の高温雰囲気下での接着性が向上するが、15重量%未満の場合は、100℃以上の高温雰囲気下での接着性が不十分であり、95重量%を超える場合は、常温での接着性が不十分となるおそれがある。
【0014】
ここに、プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィンとしては、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。
【0015】
また、本発明の成形体における不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは、プロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィン組成物を含むものであり、好ましくはプロピレンの含有量が30〜100重量%である。プロピレンを含有するポリオレフィン組成物であることにより、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体の高温雰囲気下での接着性が向上するが、15重量%未満の場合は、接着剤として100℃以上の高温雰囲気での接着強度、耐久性等の力学特性が低下し、剥離する等の問題が生ずる。
【0016】
ここに、ポリオレフィン組成物とは、2種類以上のポリオレフィンを含むものであって、例えば、2種類以上の原料であるポリオレフィンをグラフト反応したものや、2種類以上の原料であるポリオレフィンをそれぞれグラフト反応した上で、得られたものを混合したもの等が挙げられる。
【0017】
本発明の成形体の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンにおいては、ポリオレフィン組成物は、プロピレンを15重量%以上含有するものであるため、原料であるポリオレフィンはプロピレンを含有するポリオレフィンを少なくとも1種類用いることが必須である。
【0018】
プロピレンを含有するポリオレフィンとしては、例えば、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー、エチレン−プロピレン共重合体(EPM)等が挙げられる。プロピレンを含有するポリオレフィンを2種類以上用いても良い。
【0019】
また、プロピレンを含有するポリオレフィンと共に用いられるその他のポリオレフィンとしては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、超低密度ポリエチレン(V−LDPE)等が挙げられる。線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)としては、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体などのエチレン−α−オレフィン共重合体が挙げられる。その他、エチレン−4−メチルペンテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)およびその鹸化物、エチレン−ビニルアルコール樹脂(EVOH)等が挙げられ、さらに、これらのポリオレフィンの塩素化物も同様に用いることができる。
【0020】
プロピレンユニットを含有するポリオレフィン、プロピレンを含有するポリオレフィン、プロピレンを含有するポリオレフィンと共に用いられるその他のポリオレフィンを合成するための重合方法は通常知られている方法でよく、高圧ラジカル重合、中低圧重合、溶液重合、スラリー重合等が挙げられ、使用触媒は過酸化物系触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒が挙げられ、これらの触媒で重合されたポリオレフィンを使用することができる。
【0021】
プロピレンユニットを含有するポリオレフィン、プロピレンを含有するポリオレフィン、プロピレンを含有するポリオレフィンと共に用いられるその他のポリオレフィンの分子量の目安となるメルトマスフローレート(MFR)は特に制限されないが、溶剤の溶解性を加温時でも良好とし、また、最終的なグラフト反応物の材料強度を維持するため、好ましくは0.01〜50000(g/10分)であり、さらに好ましくは0.01〜100(g/10分)である。
【0022】
ポリオレフィンの塩素化方法は公知であり、例えば、四塩化炭素等のハロゲン系溶剤に溶解させた溶液を、紫外線照射下で塩素含有ガスと接触させてポリオレフィンを塩素化する方法(例えば、特開昭47−8643号公報)、ポリオレフィンの粉末を水に懸濁させたスラリー中に塩素ガスを吹き込んでオレフィンを塩素化する方法(例えば、特公昭36−4745号公報)、溶剤を使用せず、ポリオレフィンを、その融点以上に加熱し、溶融させた状態で塩素ガスと接触させることで、ラジカル発生剤、紫外線照射等を用いずにポリオレフィンを塩素化する方法(例えば、特開平3−199206号公報)が開示されている。本発明で用いる塩素化したポリオレフィンはこれらの何れの方法でも製造することができ、塩素化ポリオレフィンの製造方法には何等制限はない。
【0023】
本発明における不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは、ポリオレフィンに付加した不飽和カルボン酸含有量が0.1〜10重量%であり、好ましくは0.3〜8重量%である。0.1重量%未満であると成形体は充分な接着性がなく実用性に欠ける。また、10重量%を超える場合、ポリマーの溶融粘度が高く成形性が損なわれる他、接着層としての靭性にも劣るため実用性に欠ける。
【0024】
ここに、不飽和カルボン酸としては、例えば、不飽和モノカルボン酸類及びその誘導体、不飽和ジカルボン酸類及びその誘導体、不飽和ジカルボン酸の酸無水物類及びその誘導体等が挙げられる。不飽和モノカルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸等が挙げられ、不飽和モノカルボン酸類の誘導体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸類としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等が挙げられ、不飽和ジカルボン酸類の誘導体としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸の酸無水物類及びその誘導体としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。これらは単独又は2種類以上併用しても良い。特に接着性の観点から無水マレイン酸単独又は無水マレイン酸と(メタ)アクリル酸エステル類の組み合わせが好ましい。
【0025】
本発明の成形体における不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは、プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィン、又はプロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィンの少なくとも1種類及びプロピレンを含有するポリオレフィンと共に用いられるその他のポリオレフィンを、沸点が80〜150℃の有機溶剤に溶解し、反応圧力が1MPa以下でポリオレフィンに不飽和カルボン酸をグラフト反応することにより製造することができる。
【0026】
本発明の成形体における不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは、プロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィンの少なくとも1種類を沸点が80〜150℃の有機溶剤に溶解し、反応圧力が1MPa以下でポリオレフィンに不飽和カルボン酸をグラフト反応してグラフトポリオレフィンを得て、一方、プロピレンを含有するポリオレフィンと共に用いられるその他のポリオレフィンを沸点が80〜150℃の有機溶剤に溶解し、反応圧力が1MPa以下でポリオレフィンに不飽和カルボン酸をグラフト反応してグラフトポリオレフィンを得た上で、これらのグラフトポリオレフィンを混合することによっても製造することができる。
【0027】
原料であるポリオレフィンの溶剤中への投入方法は、通常知られている方法なら何でも良く、投入前にブレンダーなどの装置を用いて複数のポリオレフィンを事前に混合してから投入することができる。また、それぞれのポリオレフィンを別々に溶剤中へ投入することもできる。
【0028】
不飽和カルボン酸のグラフト化反応は、ラジカル発生剤を触媒として、沸点が80〜150℃の有機溶剤中に原料であるポリオレフィンと不飽和カルボン酸とを反応させることにより行われ、好ましくは1,1,2−トリクロロエタン、より好ましくは1,1,2−トリクロロエタンに不純物として含まれるアルコール化合物及び/又はエポキシ化合物を除去した1,1,2−トリクロロエタン中で原料であるポリオレフィンと不飽和カルボン酸とを反応させることにより行われる。
【0029】
不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの製造法における反応温度は特に限定するものではないが、十分な量の不飽和カルボン酸をグラフトさせるためとエネルギーコスト低減のため、70〜150℃が好ましく、80〜130℃がさらに好ましい。
【0030】
反応圧力は、高圧反応においては特殊な反応装置が必要となる上、反応操作も煩雑となって製造コストの上昇につながるため、1MPa以下である。好ましくは0〜0.7MPaである。本反応においては反応温度、及び、反応させるポリオレフィンの種類によっては均一な溶液状態からけん濁状態でグラフト反応が進行するが、できる限り均一な溶液状態でグラフト反応を進めるため、ポリオレフィンの種類によって反応温度を適宜選択することが好ましい。
【0031】
ラジカル発生剤としては、アゾ系化合物又は有機過酸化物等が用いられる。アゾ系化合物としては、α,α―アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられ、有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化t−ブチル、過安息香酸t−ブチル等が挙げられる。
【0032】
アゾ系化合物又は有機過酸化物の添加量は特に制限されないが、不飽和カルボン酸のグラフト量を維持し、また、樹脂の溶融粘度の増加を防止することで成形性の低下を防止して製品品質を維持するため、ポリオレフィン100重量部に対して好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
【0033】
不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの製造法で用いられる不飽和カルボン酸、プロピレンユニットを含有するポリオレフィン、プロピレンを含有するポリオレフィン、プロピレンを含有するポリオレフィンと共に用いられるその他のポリオレフィンは、先に述べた通りである。
【0034】
グラフト反応の終了後、必要に応じて安定剤を添加する。安定剤にはグラフト反応時に発生するラジカルを消滅させ、グラフト反応を停止させるために添加し、通常ポリオレフィンに添加する酸化防止剤を用いるのが好ましく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、これらの複合系酸化防止剤が好適に用いられる。
【0035】
グラフト反応に使用する反応容器は通常回分式(バッチ式)反応に使用する容器を用いることができ、上記反応温度、反応圧力に耐えられるものであれば差し支えなく、材質は通常ステンレス製が用いられ、必要に応じて内面がガラスライニング、フッ素コーティング処理を施したものも使用できる。
【0036】
グラフト反応で生成した不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを溶剤と分離する方法には、水蒸気蒸留、ベント付き押出機等、通常用いられる方法により両者が分離される。
【0037】
本発明で反応溶剤として用いる溶剤は、沸点が80〜150℃の有機溶剤であり、例えば、シクロヘキサン、n−ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、また、ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン等のハロゲン系炭化水素が挙げられる。特に好ましくは、1,1,2−トリクロロエタンであり、1,1,2−トリクロロエタンは、1,1,2−トリクロロエタンよりアルコール化合物及び/又はエポキシ化合物を除去して反応を行うことが重要である。市販されている1,1,2−トリクロロエタンは、しばしば0.5〜2.0重量%のアルコール化合物及び/又はエポキシ化合物を不純物として含有している。ここでいうアルコール化合物とは水酸基を有する化合物であり、例えば、エチルアルコールやブチルアルコール等が挙げられる。また、ここでいうエポキシ化合物とはエポキシ基を有する化合物であり、例えば、1,2−エポキシプロパンや1,2−エポキシブタン等が挙げられる。
【0038】
アルコール化合物及び/又はエポキシ化合物を不純物として含有する1,1,2−トリクロロエタンを溶剤として用いて合成された不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは淡黄色に着色しており、その用途が限られるため、アルコール化合物及び/又はエポキシ化合物を除去した1,1,2−トリクロロエタンを用いて反応を行うことが好ましい。
【0039】
アルコール化合物及び/又はエポキシ化合物を除去した1,1,2−トリクロロエタンを溶剤として合成された不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは無色透明であり、熱安定性が良好で、プラスチック材料のみならず異種材料との接着性に優れた商業的に価値を有する不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンとなる。
【0040】
別々に製造したグラフトポリオレフィンを混合する方法としては、例えば、別々にグラフト反応して得られたグラフトポリオレフィンの各反応溶液を混合した後に、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと溶剤を分離する方法、別々にグラフト反応して得られたグラフトポリオレフィンの各反応溶液を溶剤と分離した後に、混練機等で混合する方法等が挙げられる。
【0041】
不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは、先に述べたような原料ポリオレフィンの種類に従い、例えば、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン、不飽和カルボン酸グラフトエチレン・プロピレン共重合体、不飽和カルボン酸グラフトプロピレン/ポリエチレン混合物、不飽和カルボン酸グラフトプロピレン/エチレン・酢酸ビニル共重合体混合物、不飽和カルボン酸グラフトポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール樹脂混合物等が挙げられる。
【0042】
本発明の成形体における不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンには、必要に応じて、他樹脂、エラストマー又はゴム成分、各種添加剤等を配合することができる。
【0043】
他樹脂としては、例えば、グラフト反応が施されていない上記ポリオレフィン樹脂のみならず、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン樹脂などのスチレン系樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸−メチルなどのアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂(PPO)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテル−エーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリオキシメチレン樹脂(POM)、エポキシ樹脂、ポリウレタン、尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、セルロース、石油樹脂などが挙げられる。必要に応じて、反応性の官能基、又は末端基を有する他の樹脂と本発明の不飽和カルボン酸基とを化学反応させることが可能であり、これら官能基間の物理的相互作用を利用したブレンドが可能である。さらにシランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤を第三成分として添加し他樹脂との相溶性を向上させる、又は接着性を向上させることも可能である。
【0044】
エラストマー又はゴム成分としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。また、熱可塑性エラストマー(TPE)としてはSBS、SIS等のスチレン系TPE(SBC)、ポリオレフィン系TPE(TPO)、ウレタン系TPE(TPU)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリマミド系エラストマー(TPA)、シリコーン系TPE、フッ素系TPEが例示される。
【0045】
各種添加剤としては、例えば、次のものが挙げられる。酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、これらの複合系酸化防止剤等が挙げられ、その他安定剤としては有機ホスファイト系安定剤、チオエーテル系安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。また、充填剤としては、例えば、球状フィラー、板状フィラー、繊維状フィラー等が挙げられる。さらに滑剤としては高級脂肪酸金属塩として例えばステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸のマグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、さらにはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩等が挙げられる。その他の添加剤としては、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、天然油、合成油、ワックス、可塑剤、造核剤、重金属不活性化剤等が挙げられる。
【0046】
本発明の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと他樹脂、エラストマー又はゴム成分、各種添加剤の混合には、通常用いられる混練方法が使用でき、単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー型インターナルミキサー、バンバリーミキサー、ロール、ニーダー、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー等が挙げられる。
【0047】
不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは公知の方法によりフィルムに成形することが可能であり、フィルム成形法としては溶融押出法の他、溶液キャスト法を用いることができる。溶融成形方法を用いる場合、通常のポリオレフィン樹脂を加工する成形方法を用いることができ、インフレーションフィルム成形、キャスト成形、押出ラミネーション成形、カレンダー成形、シート成形、繊維成形、ブロー成形、射出成形、回転成形、被覆成形が挙げられる。
【0048】
本発明の成形体における被着体としては、例えば、紙、アルミ、ステンレス、銅などの金属、ガラス、ポリプロピレン、及びポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに代表される縮合系ポリマー、EVOHなどのラジカル重合により誘導されるポリマー等が例示される。
【0049】
本発明の成形体を製造する方法としては、金型内にあらかじめ被着体を設置しておき、特定の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを被着体と接着することが挙げられる。被着体と不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを交互に積層して接着することにより、複数の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと複数の被着体が接着されている成形体を得ることができる。接着の方法としては、被着体が樹脂の場合は、例えば、多層押出ラミネーション成形、多層ブロー成形、射出成形(インサート成形、アウトサート成形、以下同じ)、プレス成形等が可能であり、被着体が樹脂以外の金属等の場合は、例えば、射出成形やプレス成形である。これらのうち、生産速度が速く、複雑な形状に対応可能なため、好ましくは、射出成形である。射出成形の場合は、金型内にあらかじめ被着体を設置しておき、金型を閉めた後に、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを射出成形して被着体上に接着を行い、成形体を得ることが可能である。
【0050】
また、本発明における不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンは、熱融着性フィルムとして用いることが可能であり、この熱融着性フィルムを被着体との接着層に用いた成形体を得ることができる。よって、本発明の成形体を製造する他の方法としては、金型内にあらかじめ被着体を設置しておき、被着体の表面にフィルム状の特定の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを設置し、その上に他の被着体を接着することが挙げられる。被着体と不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムを交互に積層して接着することにより、複数の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと複数の被着体が接着されている成形体を得ることができる。接着の方法としては、上記した方法と同じである。射出成形の場合は、金型内にあらかじめ被着体を設置しておき、被着体の表面にフィルム状の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを設置した後に金型を閉め、その後他の被着体(樹脂材料)を射出成形して接着を行うことにより成形体を得ることができる。この射出成形を繰り返すことにより、複数の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと複数の被着体が接着されている成形体を得ることができる。
【0051】
本発明により得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体が接着されている成形体の用途としては、例えば、自動車内外装用被覆部材、被覆鋼管、被覆鋼板、銅貼積層フィルム、被覆銅線などに代表される金属素材の表面または内面をコーティングされている被覆製品、食品容器用多層化材料、ガソリンタンク等が挙げられる。
【発明の効果】
【0052】
本発明により得られる成形体は、常温及び高温雰囲気下での接着性が向上し、金属材料を含む広範な材料を簡便かつ強固に熱接着可能である不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを用いるものであり、産業上、極めて広い範囲に応用できる。
【実施例】
【0053】
次に実施例にもとづき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。
【0054】
なお、これらの実施例で用いた値は以下の測定法に準拠して得られたものである。
【0055】
<原料ポリオレフィン>
本発明の実施例には以下の原料ポリオレフィンを使用した。
【0056】
(1)PP1
ランダムポリプロピレン:株式会社プライムポリマー製 F−724NP(MFR=6.9g/10分、密度=900kg/m
(2)PP2
ホモポリプロピレン:株式会社プライムポリマー製 F−704NP(MFR=7.0g/10分、密度=900kg/m
(3)PP3
ブロックポリプロピレン:株式会社プライムポリマー製 J704LB(MFR=8.5g/10分、密度=900kg/m
(4)EVA
エチレン・酢酸ビニル共重合体:東ソー株式会社製 ウルトラセン(登録商標)751(酢酸ビニル含有量=28重量%、MFR=5.7g/10分、密度=952kg/m
(5)L−LDPE
エチレン・ヘキセン−1共重合体:東ソー株式会社製 ニポロン−Z(登録商標)ZF230(MFR=2.0g/10分、密度=920kg/m
(6)EP1
エチレン・プロピレン共重合体:JSR株式会社製 EP02P[プロピレン含有量:30重量%、ムーニー粘度(ML(1+4)100℃):24]
(7)EP2
エチレン・プロピレン共重合体:JSR株式会社製 EP11[プロピレン含有量:50重量%、ムーニー粘度(ML(1+4)100℃):40]
(8)ベンゾイルパーオキサイド(BPO)
日本油脂株式会社製 ナイパーB
(9)ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(DBPIB)
日本油脂株式会社製 パーブチルP
(10)2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(BHT)
株式会社エーピーアイコーポレーション ヨシノックスBHT
(11)無水マレイン酸、1,1,2−トリクロロエタン、キシレン、メタノール、ジメチルホルムアミド、BHT、26%硫酸水溶液、チモールブルー指示薬、N/20のKOH溶液は関東化学株式会社製の1級試薬を用いた。
【0057】
<接着試験における被着体>
接着試験における被着体として以下の樹脂、金属を用いた。板状の被着体の大きさは、長さ50mm×幅12mm×厚さ1.0mmとした。
【0058】
(1)PP2
ホモポリプロピレン:株式会社プライムポリマー製 F−704NP
(2)PP2板
ホモポリプロピレン:株式会社プライムポリマー製 F−704NP
(3)銅板
株式会社ニラコ製 CU−113328
(4)アルミニウム板
東洋アルミニウム株式会社製 番手:A1N30H−H18
(5)ポリイミド板
宇部興産株式会社製 UPILEX(登録商標)755
<酸価>
ポリマーサンプル1gを秤量し、トルエン100mlに加熱溶解させた後、メタノール10ml、ジメチルホルムアミド10ml、水0.5mlを加える。引き続き、チモールブルー指示薬1mlを加え、N/20のKOH溶液(n−プロパノール/ベンゼン溶液)で滴定し、青紫色が1分以上持続する点を終点として算出した。
【0059】
<イエローインデックス(YI)の測定>
JIS K7105(1981年版)に準拠して、(株)神藤金属工業所製 復動式圧縮成形機WFA−50を用いて加熱温度150℃、圧力10MPa、10分間、冷却温度30℃、圧力10MPa、5分間の条件でプレスした厚さ100μmのフィルムのYIをスガ試験機(株)製 SMカラーコンピューターを用いて測定した。
【0060】
<不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体の作製>
インジェクション成形機として住友重機械工業株式会社製 電動射出成形機SE75Dを用いた。長さ6mm×幅12mmの範囲で接着するように設計された金型内に、被着体(板状)を配置した。金型を閉じ、得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを以下の条件でインサート成形を行い、成形体を作製した。
【0061】
金型温度:70℃
樹脂温度:200℃
樹脂射出圧力:80MPa
射出時間:10秒
冷却時間:25秒
<不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体の作製>
得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの融解温度によって150℃〜230℃の加熱温度、圧力10MPa、10分間、冷却温度30℃、圧力10MPa、5分間のプレス条件にて、厚さ100μmの不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのプレスフィルムを得た。プレスフィルムを長さ6mm×幅12mmに細断後、長さ6mm×幅12mmの範囲で接着するように設計された金型内に、被着体(板状)を配置し、次に、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのプレスフィルムを被着体表面の接着面に配置した。金型を閉じ、以下の条件で他の被着体(樹脂材料)のインサート成形を行い、成形体を作製した。
【0062】
金型温度:70℃
樹脂温度:200℃
樹脂射出圧力:80MPa
射出時間:10秒
冷却時間:25秒
<成形体の接着強度>
引張試験機として(株)オリエンテック製テンシロン万能試験機RTE−1210を用いて引張速度(せん断引張り速度)50mm/分の条件にて23℃、140℃でのせん断剥離試験により、その接着強度を評価した。
【0063】
実施例1〜5
関東化学株式会社製の1,1,2−トリクロロエタン5000重量部と26%硫酸水溶液2500重量部とを下口付き10リッターフラスコに入れ激しく撹拌し、静置後下層の有機層を抜き出した。次に抜き出した有機層と蒸留水5000重量部とを下口付き10リッターフラスコに入れ激しく撹拌し、静置後下層の有機層を抜き出す操作を3回繰り返すことによって不純物の1−ブタノール及び1,2−エポキシブタンを除いた。さらに抜き出した有機層にモレキュラーシーブス4Aを150g添加しスターラーで撹拌することによって脱水した。
【0064】
2リッターのガラス製反応容器に上記の操作により1−ブタノール及び1,2−エポキシブタンを除去した1,1,2−トリクロロエタン1700重量部、表1に示した組成のポリオレフィンを計100重量部、並びに無水マレイン酸10重量部を仕込んだ。反応器を110℃に昇温し、その後110℃で3時間保持することによってポリオレフィンを均一に溶解した。またこの間、反応器に5リッター/分の流速で窒素ガスを導入し、反応器に混入した空気を排除した。次に反応器を110℃から100℃に降温し、グラフト反応の触媒(ラジカル発生剤)として0.8重量部のBPOを1−ブタノール及び1,2−エポキシブタンを除去した1,1,2−トリクロロエタン50重量部に溶解した触媒溶液を連続的に反応器へと3時間をかけて添加しつつグラフト反応を行った。続いて同温度で2時間反応を継続した。反応器の圧力は反応を通して1MPa以下に保った。反応の終了後、常圧に戻し、安定剤として0.03重量部のBHTを添加した後、この溶液をメタノールにより再沈させて、生成物としての不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを溶剤から分離した。
【0065】
【表1】

得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表1に示す。
【0066】
さらに、表1に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表1に示す。また、表1に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表1に示す。
【0067】
実施例6〜8
原料ポリオレフィンのPP1をPP2に変え、原料ポリオレフィン比率を表2に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0068】
【表2】

得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表2に示す。
【0069】
さらに、表2に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表2に示す。また、表2に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表2に示す。
【0070】
実施例9〜10
原料ポリオレフィンのPP1をPP3に変え、原料ポリオレフィン比率を表2に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0071】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表2に合わせて示す。
【0072】
さらに、表2に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表2に合わせて示す。また、表2に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表2に合わせて示す。
【0073】
実施例11〜13
原料ポリオレフィンのEVAをL−LDPEに変え、原料ポリオレフィン比率を表3に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0074】
【表3】

得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表3に示す。
【0075】
さらに、表3に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表3に示す。また、表3に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表3に示す。
【0076】
実施例14
ラジカル発生剤の添加量を0.8重量部に変えた以外は実施例3と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0077】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表3に合わせて示す。
【0078】
さらに、表3に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表3に合わせて示す。また、表3に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表3に合わせて示す。
【0079】
実施例15
無水マレイン酸の添加量を5重量部に変えた以外は実施例3と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0080】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表3に合わせて示す。
【0081】
さらに、表3に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表3に合わせて示す。また、表3に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表3に合わせて示す。
【0082】
実施例16〜18
原料ポリオレフィンをEP1に変え、無水マレイン酸の添加量を表4に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0083】
【表4】

得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表4に示す。
【0084】
さらに、表4に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表4に示す。また、表4に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表4に示す。
【0085】
実施例19〜20
原料ポリオレフィンをEP2に変え、無水マレイン酸の添加量を表4に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0086】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表4に合わせて示す。
【0087】
さらに、表4に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表4に合わせて示す。また、表4に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表4に合わせて示す。
【0088】
実施例21
反応溶剤を精製した1,1,2−トリクロロエタンから、未精製の1,1,2−トリクロロエタンに変更した以外は実施例3と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0089】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表5に示す。
【0090】
【表5】

さらに、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に示す。また、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に示す。
【0091】
実施例22
原料ポリオレフィンのPP1をEP1に変え、原料ポリオレフィン比率を表5に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0092】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表5に合わせて示す。
【0093】
さらに、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に合わせて示す。また、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に合わせて示す。
【0094】
実施例23〜24
原料ポリオレフィンのPP1をEP2に変え、原料ポリオレフィン比率を表5に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0095】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表5に合わせて示す。
【0096】
さらに、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に合わせて示す。また、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に合わせて示す。
【0097】
実施例25
原料ポリオレフィンのEVAをEP1に変え、原料ポリオレフィン比率を表5に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0098】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表5に合わせて示す。
【0099】
さらに、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に合わせて示す。また、表5に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表5に合わせて示す。
【0100】
実施例26
原料ポリオレフィンのEVAをEP2に変え、原料ポリオレフィン比率を表6に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0101】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表6に示す。
【0102】
【表6】

さらに、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に示す。また、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に示す。
【0103】
実施例27
溶剤の1,1,2−トリクロロエタンをトルエンに変え、原料ポリオレフィン比率を表6に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0104】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表6に合わせて示す。
【0105】
さらに、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に合わせて示す。また、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に合わせて示す。
【0106】
実施例28
溶剤の1,1,2−トリクロロエタンをキシレンに変え、原料ポリオレフィン比率を表6に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0107】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表6に合わせて示す。
【0108】
さらに、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に合わせて示す。また、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に合わせて示す。
【0109】
実施例29
不飽和カルボン酸の無水マレイン酸をマレイン酸モノメチルに変え、原料ポリオレフィン比率を表6に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0110】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表6に合わせて示す。
【0111】
さらに、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に合わせて示す。また、表6に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表6に合わせて示す。
【0112】
実施例30
2リッターのガラス製反応容器に実施例1と同一の操作により得られた1−ブタノール及び1,2−エポキシブタンを除去した1,1,2−トリクロロエタン1700重量部、原料ポリオレフィンとしてPP1を100重量部、並びに無水マレイン酸10重量部を仕込んだ。反応器を110℃に昇温し、その後110℃で3時間保持することによってポリオレフィンを均一に溶解した。またこの間、反応器に5リッター/分の流速で窒素ガスを導入し、反応器に混入した空気を排除した。次に反応器を110℃から100℃に降温し、グラフト反応の触媒(ラジカル発生剤)として0.8重量部のBPOを1−ブタノール及び1,2−エポキシブタンを除去した1,1,2−トリクロロエタン50重量部に溶解した触媒溶液を連続的に反応器へと3時間をかけて添加しつつグラフト反応を行った。続いて同温度で2時間反応を継続した。反応器の圧力は反応を通して1MPa以下に保った。反応の終了後、常圧に戻し、安定剤として0.03重量部のBHTを添加することによって無水マレイン酸グラフトPP溶液を得た。
【0113】
また、原料ポリオレフィンをEVAに変えた以外は上記と同一の方法にて無水マレイン酸グラフトEVA溶液を得た。
【0114】
得られた無水マレイン酸グラフトPP溶液930重量部及び得られた無水マレイン酸グラフトEVA溶液930重量部を2リッターのガラス製反応容器に移し、溶液温度100℃となるように制御して1時間攪拌した後、この溶液をメタノールにより再沈させることにより目的の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを得た。
【0115】
得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの不飽和カルボン酸含有量、YI値を表7に示す。
【0116】
【表7】

さらに、表7に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表7に示す。また、表7に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表7に示す。
【0117】
実施例31
原料ポリオレフィンのEVAをL−LDPEに変えた以外は実施例30と同一の方法により反応、溶液混合、及び再沈することにより目的の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを得た。
【0118】
得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの不飽和カルボン酸含有量、YI値を表7に合わせて示す。
【0119】
さらに、表7に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表7に合わせて示す。また、表7に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表7に合わせて示す。
【0120】
実施例32
実施例30と同一の反応方法により無水マレイン酸グラフトPP溶液及び無水マレイン酸グラフトEVA溶液を得た。これらの反応溶液を別々にメタノールにより再沈させて、生成物としての無水マレイン酸グラフトPP及び無水マレイン酸グラフトEVAを得た。
【0121】
得られた無水マレイン酸グラフトPP及び無水マレイン酸グラフトEVAを8インチ混練ロール(関西ロール社製)を用いて混合することにより目的の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを得た。
【0122】
得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの不飽和カルボン酸含有量、YI値を表7に合わせて示す。
【0123】
さらに、表7に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表7に合わせて示す。また、表7に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表7に合わせて示す。
【0124】
比較例1
原料ポリオレフィンの比率を表8に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0125】
【表8】

得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表8に示す。
【0126】
さらに、表8に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表8に示す。また、表8に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表8に示す。高温雰囲気での接着強度が劣った結果であった。
【0127】
比較例2
無水マレイン酸の添加量を0.5重量部に変え、ラジカル発生剤の添加量を0.8重量部に変えた以外は実施例3と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0128】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表8に合わせて示す。
【0129】
さらに、表8に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表8に合わせて示す。また、表8に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表8に合わせて示す。常温及び高温雰囲気での接着強度が劣った結果であった。
【0130】
比較例3
無水マレイン酸の添加量を0.5重量部に変えた以外は実施例11と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0131】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表8に合わせて示す。
【0132】
さらに、表8に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表8に合わせて示す。また、表8に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表8に合わせて示す。常温及び高温雰囲気での接着強度が劣った結果であった。
【0133】
比較例4
反応溶剤を1,1,2−トリクロロエタンから、1,1−ジクロロエチレンに変更して反応溶剤の沸点である31℃で原料ポリオレフィンの溶解を5時間行ったが、原料ポリオレフィンが溶解しなかったため、反応を中止した。
【0134】
比較例5
原料ポリオレフィンのPP1をEP1に変え、原料ポリオレフィン比率を表9に記載した内容に変えた以外は実施例1と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0135】
【表9】

得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表9に示す。
【0136】
さらに、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表9に示す。また、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表9に示す。高温雰囲気での接着強度が劣った結果であった。
【0137】
比較例6
マレイン酸モノメチルの添加量を0.5重量部に変えた以外は実施例29と同一の方法で反応を行い、続いて生成物を分離した。
【0138】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表9に合わせて示す。
【0139】
さらに、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体の接着強度を表9に合わせて示す。また、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表9に合わせて示す。常温及び高温雰囲気での接着強度が劣った結果であった。
【0140】
比較例7
無水マレイン酸グラフトPP溶液及び無水マレイン酸グラフトEVA溶液を合成する反応において、無水マレイン酸の添加量をそれぞれ0.5重量部に変えた以外は実施例30と同一の方法で反応、溶液混合、及び再沈することにより目的の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを得た。
【0141】
得られた生成物の不飽和カルボン酸含有量、YI値を表9に合わせて示す。
【0142】
さらに、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表9に合わせて示す。また、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表9に合わせて示す。常温及び高温雰囲気での接着強度が劣った結果であった。
【0143】
比較例8
無水マレイン酸グラフトPP溶液及び無水マレイン酸グラフトEVA溶液を合成する反応において、無水マレイン酸の添加量をそれぞれ0.5重量部に変えた以外は実施例32と同一の方法で反応し、これらの反応溶液を別々にメタノールにより再沈させて、生成物としての無水マレイン酸グラフトPP及び無水マレイン酸グラフトEVAを得た。
【0144】
得られた無水マレイン酸グラフトPP及び無水マレイン酸グラフトEVAを8インチ混練ロール(関西ロール社製)を用いて混合することにより目的の不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを得た。
【0145】
得られた不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンの不飽和カルボン酸含有量、YI値を表9に合わせて示す。
【0146】
さらに、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表9に合わせて示す。また、表9に示した被着体について、不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンのフィルムと被着体の成形体を作製した。成形体のせん断剥離試験による接着強度を表9に合わせて示す。常温及び高温雰囲気での接着強度が劣った結果であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィン、又はプロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィン組成物であって、ポリオレフィンに付加した不飽和カルボン酸含有量が0.1〜10重量%である不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンと被着体が接着されていることを特徴とする成形体。
【請求項2】
金型内にあらかじめ被着体を設置しておき、プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィン、又はプロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィン組成物であって、ポリオレフィンに付加した不飽和カルボン酸含有量が0.1〜10重量%である不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを接着することを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造法。
【請求項3】
接着する際に、射出成形を用いることを特徴とする請求項2に記載の成形体の製造法。
【請求項4】
金型内にあらかじめ被着体を設置しておき、被着体の表面にフィルム状の、プロピレンユニットを15〜95重量%含有するポリオレフィン、又はプロピレンを15〜100重量%含有するポリオレフィン組成物であって、ポリオレフィンに付加した不飽和カルボン酸含有量が0.1〜10重量%である不飽和カルボン酸グラフトポリオレフィンを設置し、その上に他の被着体を接着することを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造法。
【請求項5】
接着する際に、射出成形を用いることを特徴とする請求項4に記載の成形体の製造法。

【公開番号】特開2010−111799(P2010−111799A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286455(P2008−286455)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】