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成形体
説明

成形体

【課題】製造が容易であり、軽量で機械特性などに優れたイソソルビドを原料として含むポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂とを含むポリカーボネート樹脂組成物を発泡成形してなる成形体を提供する。
【解決手段】下記式(1):
【化1】


で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも有するポリカーボネート樹脂1質量部〜99質量部と、熱可塑性樹脂99質量部〜1質量部とを含むポリカーボネート樹脂組成物を発泡成形してなる成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物を発泡させてなる成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造される。しかしながら、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネート樹脂の提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたポリカーボネート樹脂の開発が求められている。
【0003】
このようなことから、例えば、植物由来モノマーとして、イソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換反応により、ポリカーボネート樹脂を得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、イソソルビドを原料として含むポリカーボネート樹脂は、機械特性が優れておりかつ耐熱性を有するため、自動車部品など工業材料用途に使用することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、重合体を発泡させてなる成形体(発泡成形体)は、軽量で断熱性や衝撃吸収性に優れる構造体であり、その特性を生かして諸種の材料として用いられている。ここで、特許文献3に二酸化炭素溶解のポリカーボネート樹脂を使用した比較例が開示されている通り、従来のポリカーボネート樹脂では発泡性能が必ずしも良好ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】英国特許第1,079,686号明細書
【特許文献2】特開2009−74031号公報
【特許文献3】特開2002−192549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、製造が容易であり、軽量で機械特性などに優れたイソソルビドを原料として含むポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂を含むポリカーボネート樹脂組成物を発泡させてなる成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、イソソルビドを原料として含むポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂とを特定の割合で含むポリカーボネート樹脂組成物が優れた発泡性能を有し、軽量で強度の高い成形体となり得ることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて成し遂げられたものである。
【0008】
即ち、本発明の要旨は下記〔1〕〜〔6〕に存する。
【0009】
〔1〕下記式(1):
【0010】
【化1】

【0011】
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも有するポリカーボネート樹脂1質量部〜99質量部と熱可塑性樹脂99質量部〜1質量部とを含むポリカーボネート樹脂組成物を発泡成形してなることを特徴とする成形体。
〔2〕ポリカーボネート樹脂が、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とその他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有する共重合体である、〔1〕に記載の成形体。
〔3〕その他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が、下記式(2):
HO−R−OH (2)
(式(2)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、
下記式(3):
HO−CH−R−CH−OH (3)
(式(3)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、
下記式(4):
H−(O−R−OH (4)
(式(4)中、Rは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を表し、pは2〜15の整数である。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、および
下記式(5):
HO−R−OH (5)
(式(5)中、Rは炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を表す。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位である、〔2〕に記載の成形体。
〔4〕その他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が、シクロヘキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール類およびヘキサンジオール類に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位である、〔2〕又は〔3〕に記載の成形体。
〔5〕熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂である、〔1〕ないし〔4〕の何れかに記載の成形体。
〔6〕熱可塑性樹脂が前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有さないポリカーボネート樹脂である、〔1〕ないし〔4〕の何れかに記載の成形体。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有するポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂と含むポリカーボネート樹脂組成物を発泡させてなる、発泡倍率が高く耐衝撃性が良好、即ち特に軽量で強度に優れる成形体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
先ず、本発明で用いるポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂について説明し、次に、樹脂組成物、発泡成形方法、成形体の用途等について説明する。
【0014】
[1]ポリカーボネート樹脂
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、下記式(1):
【0015】
【化2】

【0016】
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位と、その他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とを有するものであり、これらジヒドロキシ化合物を原料として用いることにより製造できる。
【0017】
<式(1)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(以下これを、「式(1)の化合物」と略称することがある。)としては、例えば、立体異性体の関係にあるイソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。これらの化合物は、それぞれ、D−グルコース、D−マンノース、L−イドースから得られるものである。例えば、イソソルビドの場合、D−グルコースを水添した後、酸触媒を用いて脱水することにより得ることができる。
【0018】
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
【0019】
<その他ジヒドロキシ化合物>
その他ジヒドロキシ化合物としては、一般に用いられる重合方法で、上記式(1)の化合物とともにポリカーボネート共重合体を形成し得るものであれば特に制限されないが、例えば、下記式(2)〜(5)で表されるジヒドロキシ化合物よりなる群から選ばれる何れかの化合物が好ましい。なお、以下において、各種の基の炭素数は、当該基が置換基を有する場合、その置換基の炭素数をも含めた合計の炭素数を意味する。
【0020】
HO−R−OH (2)
(式(2)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
【0021】
HO−CH−R−CH−OH (3)
(式(3)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
【0022】
H−(O−R−OH (4)
(式(4)中、Rは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を表し、pは2〜15の整数である。)
【0023】
HO−R−OH (5)
(式(5)中、Rは炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を表す。)
【0024】
以下、前記式(2)〜(5)で表されるジヒドロキシ化合物について、さらに具体的に説明する。
<式(2)で表されるジヒドロキシ化合物>
式(2)で表されるジヒドロキシ化合物(以下これを、「式(2)の化合物」と略称することがある。)は、Rに炭素数4〜20、好ましくは炭素数4〜18の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、Rが置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、該アルキル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
【0025】
このジヒドロキシ化合物は、環構造を有することにより、得られるポリカーボネート共重合体を成形したときの成形品の靭性を高めることができる。
【0026】
のシクロアルキレン基としては、環構造を有する炭化水素基であれば特に制限は無く、橋頭炭素原子を有するような橋かけ構造であっても構わない。ジヒドロキシ化合物の製造が容易で不純物量を少なくすることができるという観点から、前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物は、5員環構造又は6員環構造を含む化合物、即ち、Rが置換若しくは無置換のシクロペンチレン基又は置換若しくは無置換のシクロへキシレン基であるジヒドロキシ化合物が好ましい。このようなジヒドロキシ化合物であれば、5員環構造又は6員環構造を含むことにより、得られるポリカーボネート共重合体の耐熱性を高くすることができる。該6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。
【0027】
なかでも、前記式(2)の化合物は、Rが下記式(7)で表される種々の異性体であることが好ましい。ここで、式(7)中、R11は水素原子、又は、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基を表す。R11が置換基を有する炭素数1〜12のアルキル基である場合、当該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
【0028】
【化3】

【0029】
前記式(2)の化合物として、より具体的には、例えば、テトラメチルシクロブタンジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジオール類、ペンタシクロジオール類等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
これらは得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
<式(3)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(以下これを、「式(3)の化合物」と略称することがある。)は、Rに炭素数4〜20、好ましくは炭素数3〜18の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を有する脂環式ジヒドロキシ化合物である。ここで、Rが置換基を有する場合、当該置換基としては、炭素数1〜12の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、該アルキル基が置換基を有する場合、当該置換基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基等が挙げられる。
【0031】
このジヒドロキシ化合物は、環構造を有することにより、得られるポリカーボネート共重合体を成形したときの成形品の靭性を高めることができる。
【0032】
のシクロアルキレン基としては、環構造を有する炭化水素基であれば特に制限は無く、橋頭炭素原子を有するような橋かけ構造であっても構わない。ジヒドロキシ化合物の製造が容易で不純物量を少なくすることができるという観点から、前記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物は、5員環構造又は6員環構造を含む化合物、即ち、Rが置換若しくは無置換のシクロペンチレン基又は置換若しくは無置換のシクロへキシレン基であるジヒドロキシ化合物が好ましい。このようなジヒドロキシ化合物であれば、5員環構造又は6員環構造を含むことにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性、を高くすることができる。該6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。前記式(3)の化合物は、なかでも、Rが前記式(7)で示される種々の異性体であることが好ましい。
【0033】
前記式(3)の化合物として、より具体的には、1,3−シクロペンタンジメタノール等のシクロペンタンジメタノール類、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のシクロヘキサンジメタノール類、3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、4,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン等のトリシクロデカンジメタノール類が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0034】
これらは得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
即ち、これらのジヒドロキシ化合物は、製造上の理由から異性体の混合物として得られる場合があるが、その際にはそのまま異性体混合物として使用することもできる。例えば、3,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、3,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、及び4,9−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカンの混合物を使用することができる。
【0035】
前記式(3)の化合物の具体例のうち、特に、シクロヘキサンジメタノール類が好ましく、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0036】
<式(4)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記式(4)で表されるジヒドロキシ化合物(以下これを、「式(4)の化合物」と略称することがある。)は、Rに炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜5の置換若しくは無置換のアルキレン基を有する化合物である。pは2〜50、好ましくは2〜30の整数である。
【0037】
前記式(4)の化合物としては、具体的にはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量150〜4000)などが挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。前記式(4)の化合物としては、分子量300〜2000のポリエチレングリコールが好ましく、中でも分子数600〜1500のポリエチレングリコールが好ましい。
これらは得られるポリカーボネート共重合体の要求性能に応じて、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
<式(5)で表されるジヒドロキシ化合物>
前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物(以下これを、「式(5)の化合物」と略称することがある。)は、Rに炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を有するジヒドロキシ化合物である。Rのアルキレン基が置換基を有する場合、当該置換基としては炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、Rのアセタール環を有する基が置換基を有する場合、当該置換基としては炭素数1〜3のアルキル基が挙げられる。
【0039】
前記式(5)の化合物のうち、Rが炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基であるジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール等のプロパンジオール類、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等のブタンジオール類、1,5−ヘプタンジオール等のヘプタンジオール類、1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類などが挙げられるが何らこれらに限定されるものではない。これらの中で、ヘキサンジオール類が好ましい。
【0040】
一方、Rが置換若しくは無置換のアセタール環を有する基であるジヒドロキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、中でも、下記式(8)、式(9)で表されるようなスピロ構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましく、特には下記式(8)で表されるような複数の環構造を有するジヒドロキシ化合物が好ましい。
【0041】
【化4】

【0042】
これらのジヒドロキシ化合物のなかでも、入手のし易さ、取扱いの容易さ、重合時の反応性の高さ、得られるポリカーボネー共重合体の色相の観点からは、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。また耐熱性の観点からは、アセタール環を有する基を有するジヒドロキシ化合物類が好ましく、特には上記式(8)に代表されるような複数の環構造を有するものが好ましい。
これらは得られるポリカーボネート共重合体の要求性能に応じて、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
<式(1)〜(5)で表される化合物以外のジヒドロキシ化合物>
本発明におけるポリカーボネート共重合体は、前記式(1)〜(5)の化合物に由来する構造単位の他に、それら以外のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。
【0044】
式(1)〜(5)の化合物以外のジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール類等が挙げられる。
ビスフェノール類としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0045】
これらは得られるポリカーボネート樹脂の要求性能に応じて、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0046】
本発明におけるポリカーボネート樹脂中のその他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位としては、シクロヘキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール類およびヘキサンジオール類に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位であることが好ましい。
【0047】
<ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の含有割合>
ポリカーボネート樹脂を構成する全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合は特に制限されないが、通常30モル%以上、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上であり、また通常99モル%以下、好ましくは95モル%以下、より好ましくは90モル%以下である。
【0048】
ポリカーボネート樹脂を構成する全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が上記範囲より小さいと、植物由来度が低下し、さらにガラス転移温度が低下し必要な耐熱性が得られない虞がある。また、ポリカーボネート共重合体を構成する全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位に対する式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が上記範囲より大きいと、耐衝撃性が低下し、さらにガス溶解度が小さく発泡成形した際に十分な軽量化効果が得られない虞がある。
【0049】
<ポリカーボネート樹脂の物理化学的性質>
ここで、本発明におけるポリカーボネート樹脂の物理化学的性質は特に制限されないが、以下の性質を有するものを発泡させて成形体とすることが好ましい。
【0050】
先ず、ポリカーボネート樹脂の重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの質量比1:1の混合溶液を用い、ポリカーボネート濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度として、好ましくは0.40dl/g以上、より好ましくは0.40dl/g以上であり、また通常2.00dl/g以下、好ましくは1.60dl/g以下のような重合度であることが好ましい。この還元粘度が極端に低いものでは発泡成形した時の機械的強度が弱くなり、また、還元粘度が大きすぎると、成形する際の流動性が低下し易くなる傾向がある。
【0051】
また、ガラス転移温度(Tg)は、通常165℃以下、好ましくは155℃以下、より好ましくは145℃未満、さらに好ましくは130℃以下であり、また、通常40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。
ガラス転移温度が高すぎると、発泡成形する際に高い温度が必要となる傾向があり、また、ポリマーへのガス溶解度が小さく発泡成形した時に高い発泡倍率が得られない虞がある。さらに、ガラス転移温度が低すぎると発泡成形体の耐熱性が悪くなる虞がある。
【0052】
また、ポリカーボネート樹脂は、示差走査熱量測定(DSC)を行ったとき、単一のガラス転移温度を与えるが、製造する際に、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物とその他ジヒドロキシ化合物の種類や配合比を調整することで、任意のガラス転移温度を持つ重合体として得ることができる。
【0053】
また、5%熱減量温度は、好ましくは340℃以上、より好ましくは345℃以上である。5%熱減量温度が高いほど、熱安定性が高くなり、より高温での使用に耐えるものとなる。また、製造温度も高くでき、より製造時の制御幅が広くできるので、製造し易くなる。低くなるほど、熱安定性が低くなり、高温での使用がしにくくなる。また、製造時の制御許容幅が狭くなり作りにくくなる。従って、5%熱減量温度の上限は特に限定されず、高ければ高いほど良く、共重合体の分解温度が上限となる。
【0054】
また、アイゾット衝撃強度は、好ましくは30J/m以上である。アイゾット衝撃強度が大きい程、成形体の強度が高くなり、こわれにくくなるので、上限は特に限定されない。
【0055】
また、本発明におけるポリカーボネート樹脂は、110℃での単位面積あたりのフェノール成分以外の発生ガス量(以下、単に「発生ガス量」と称す場合がある。)が5ng/cm以下であることが好ましく、また、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物以外のジヒドロキシ化合物由来の発生ガス量は0.5ng/cm以下であることがより好ましい。この発生ガス量が少ない程、発生ガスの影響を嫌う用途、例えば、半導体などの電子部品を保管する用途、建物の内装材用途、家電製品などの筐体などに適用することができる。
【0056】
なお、ポリカーボネート樹脂の5%熱減量温度、アイゾット衝撃強度、発生ガス量の測定方法は、具体的には後述の実施例の項で示す通りである。
【0057】
本発明におけるポリカーボネート樹脂は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法等のいずれの方法でもよい。さらに具体的には、例えば、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物と、前記したその他ジヒドロキシ化合物(式(2)〜(5)の化合物よりなる群から選ばれる何れかの化合物)と、必要に応じて用いられるそれら以外のジヒドロキシ化合物とを、重合触媒の存在下に、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
【0058】
この溶融重合法は、それ自体既知の方法であり、その詳細は、例えば、特開2008−24919号公報、特開2009−161746号公報、特開2009−161745号公報、国際公開第2011/06505号パンフレット、特開2011−111614号公報等に記載されている。本発明におけるポリカーボネート樹脂は、これら文献に記載の方法に準じて製造することができる。
【0059】
[2]熱可塑性樹脂
本発明においては、上記したポリカーボネート樹脂に熱可塑性樹脂を所定量配合する。
ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の配合量は、ポリカーボネート樹脂1質量部〜99質量部と、熱可塑性樹脂99質量部〜1質量部との範囲であり、好ましくは、ポリカーボネート樹脂10質量部〜99質量部と、熱可塑性樹脂90質量部〜1質量部、より好ましくは、ポリカーボネート樹脂30質量部〜99質量部と、熱可塑性樹脂70質量部〜1質量部、さらに好ましくは、ポリカーボネート樹脂50質量部〜99質量部と、熱可塑性樹脂50質量部〜1質量部である。熱可塑性樹脂の配合量が多すぎると、植物由来度が低下し、逆に配合量が少なすぎると、ポリカーボネート樹脂の改良が充分にできない。
【0060】
ここで、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキサンジメタノールテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂;ポリ乳酸やポリブチレンサクシネートやポリシクロヘキサンジメタノールシクロヘキサンジカルボキシレート等の脂肪族ポリエステル系樹脂等の飽和ポリエステル系樹脂;ビスフェノールAやビスフェノールZ等の各種ビスフェノール類からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂;3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等の脂環式ジオールからなる脂環式ポリカーボネート系樹脂;3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等の複素環ジオールからなる脂肪族ポリカーボネート系樹脂等のポリカーボネート系樹脂;6、66、46、12等の脂肪族ポリアミド系樹脂;6T、6Iや9T等の半芳香族ポリアミド系樹脂等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル/スチレン系樹脂(AS)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン系樹脂(ABS)、アクリロニトリル/エチレンプロピレン(ジエン)/スチレン樹脂(AES)、結晶性シンジオタクチックポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂;PMMAやMBS等のアクリル系樹脂;低密度、中密度や高密度ポリエチレン、エチレン/メタクリレート共重合体(EMA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体(E/GMA)等の共重合ポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂、4−メチル−ペンテン−1樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)やシクロオレフィンコポリマー(COC)等のオレフィン系樹脂;ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
これらの中で、好ましくは、芳香族ポリエステル系樹脂や飽和ポリエステル系樹脂などからなるポリエステル系樹脂と、芳香族ポリカーボネート系樹脂などからなる前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有さないポリカーボネート樹脂である。さらに、これらの中でも、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロへキサンジメタノールテレフタレート等の芳香族ポリエステル系樹脂がより好ましく、芳香族ポリカーボネート系樹脂などからなる前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有さないポリカーボネート樹脂としては、ビスフェノールAやビスフェノールZ等の各種ビスフェノール類からなる芳香族ポリカーボネート系樹脂がより好ましい。
【0062】
これらの熱可塑性樹脂は、1種又は2種以上を混合して用いても良く、使用目的に応じて必要とされる耐熱性、耐薬品性、成形性等の特性から適宜選択して用いることができる。さらに、無水マレイン酸等の不飽和化合物でグラフト変性や末端修飾して用いても良い。
【0063】
[3]樹脂組成物
本発明において、上述したポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブルーイング剤等の各種の添加剤、分岐剤、気泡調整剤等を配合した樹脂組成物とし、発泡成形方法に応じた発泡剤とともに、発泡成形に供される。
【0064】
具体的には、本発明において、上述したポリカーボネート樹脂には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。
【0065】
熱安定剤としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられる。具体的には、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
【0066】
なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましい。
これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0067】
熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合してポリカーボネート樹脂を得た後に、さらに亜リン酸化合物を配合すると、重合時のヘイズの上昇、着色、及び耐熱性の低下を回避して、さらに多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
【0068】
これらの熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.0005質量部以上、更に好ましくは0.001質量部以上であり、また、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.2質量部以下である。
【0069】
また本発明において、ポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で酸化防止剤を配合することができる。
【0070】
酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0071】
これら酸化防止剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.0001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.3質量部以下である。
【0072】
また本発明において、ポリカーボネート樹脂組成物には、押出し発泡成形時の冷却ロールからのロール離れ、あるいは射出発泡成形時の金型からの離型性をより向上させるために、離型剤を配合することができる。
【0073】
離型剤としては、例えば、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0074】
高級脂肪酸エステルとしては、例えば、炭素数1〜20の一価または多価アルコールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。
一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。
【0075】
なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましい。
【0076】
高級脂肪酸としては、例えば、炭素数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸などが挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0077】
離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。
【0078】
また本発明において、ポリカーボネート樹脂組成物は、紫外線による変色を防ぐ目的で、紫外線吸収剤や光安定剤を配合することができる。
【0079】
紫外線吸収剤や光安定剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤や光安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0080】
紫外線吸収剤や光安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは2質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下である。
【0081】
また本発明において、ポリカーボネート樹脂組成物には、重合体や紫外線吸収剤に基づく土木建築資材部品の黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。
【0082】
ブルーイング剤としては、現行のポリカーボネート樹脂に使用されるものであれば、特に制限されないが、アンスラキノン系染料が好ましい。
【0083】
具体的には、例えば、Solvent Violet13[CA.No.(カラーインデックスNo)60725]、Solvent Violet31(CA.No.68210)、Solvent Violet33(CA.No.60725)、Solvent Blue94(CA.No 61500)、Solvent Violet36(CA.No.68210)、Solvent Blue97(バイエル社製「マクロレックスバイオレットRR」)、Solvent Blue45(CA.No.61110)等が挙げられる。
これらのブルーイング剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0084】
ブルーイング剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、通常0.1×10−5質量部以上、好ましくは0.1×10−4質量部以上であり、また、通常2×10−1質量部以下、より好ましくは0.5×10−1質量部以下である。
【0085】
また本発明において、ポリカーボネート樹脂組成物には、発泡成形性を改良するために分岐剤を配合することができる。
【0086】
本発明で使用できる分岐剤としては、1分子中にカルボン酸無水物を2個有する化合物又は多官能エポキシ化合物が好ましく、これらから選ばれる少なくとも1種を使用することが必要である。
【0087】
1分子中にカルボン酸無水物を2個有する化合物としては、ピロメリット酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール(アンヒドロトリメリテート)及びグリセロール(アンヒドロトリメリテート)を使用することが好ましく、またピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が特に好ましい。
【0088】
多官能性エポキシ化合物としては、メタクリル酸2,3−エポキシプロピルジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルオルトフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、4官能窒化エポキシ(例えば三菱瓦斯化学社製TETRADD)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添BPAジグリシジルエーテル、2、2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、多エポキシ基含有の変性アクリル系共重合物(例えばBASF社製樹脂添加剤ADR−4370S)を使用することが好ましく、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルオルトフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、4官能窒化エポキシ、多エポキシ基含有の変性アクリル系共重合物が特に好ましい。
【0089】
分岐剤の配合量は、押出条件、所望する発泡倍率等によって適宜使用すればよいが、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。分岐剤の配合量が0.01質量部よりも少ないと、ポリカーボネート樹脂組成物の発泡成形性の改良効果が十分に発現されず、一方、5質量部よりも多いと、ポリカーボネート樹脂組成物中にゲル成分が生成して、安定した発泡成形を行うことが困難になる。
【0090】
また本発明において、ポリカーボネート樹脂組成物を円滑に発泡させるために、気泡調整剤を配合することができる。
【0091】
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ、アルミナ、マイカ、炭酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイト、カオリン等の板状、粉末状又は繊維状の無機化合物が挙げられる。これら無機化合物は、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、Si−H結合を有するシリコン系化合物、オルガノシロキサン化合物等で表面処理されていてもよい。上記の他、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの混合物等も気泡調整剤として好ましい。
これらの気泡調整剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
【0092】
気泡調整剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、また、好ましくは50質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
【0093】
本発明におけるポリカーボネート樹脂と熱可塑性樹脂や各種の添加剤との配合は、それ自体既知の通常用いられる方法で行うことができる。例えば、タンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、あるいは上記各成分を例えば塩化メチレンなどの共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などが挙げられる。
【0094】
[4]発泡成形方法、成形体の用途等
本発明において、上述した樹脂組成物は、発泡成形方法に応じた発泡剤とともに、発泡成形することにより、本発明の成形体を得ることができる。
【0095】
本発明において、発泡剤としては特に制限されず、揮発性の発泡剤、無機系の発泡剤、分解型発泡剤等のいずれの発泡剤も使用できる。
【0096】
揮発性の発泡剤としては、例えば、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の低級脂肪族炭化水素化合物;シクロブタン、シクロペンタン等の脂環式炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物;メタノール、エタノール等の低級脂肪族1価アルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン化合物;クロロメチル、クロロエチル、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン等の低沸点ハロゲン化炭化水素化合物等が挙げられる。
【0097】
無機系の発泡剤としては、例えば、ガス状、超臨界状態、亜臨界状態のいずれかの状態にある窒素や二酸化炭素、水等が挙げられる。
【0098】
分解型発泡剤としては、熱分解反応により窒素や二酸化炭素などのガスを発生し得るものであれば特に限定されないが、例えば、バリウムアゾカルボキシレート、アゾジカルボンアミド等のアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ化合物、ヒドラゾカルボンアミド等のヒドラジン化合物、重炭酸ナトリウム等の重炭酸塩等が挙げられる。
【0099】
これらの中で、超臨界状態又は亜臨界状態の窒素、二酸化炭素又はこれらの混合物が好ましい。
これらの発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0100】
発泡剤の量は、発泡剤の種類や発泡倍率により適宜定めることができるが、ポリカーボネート樹脂組成物100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
【0101】
本発明において、発泡成形方法は特に制限されず、例えば、押出発泡成形、射出発泡成形、成形体に発泡剤を含浸後発泡させる方法等を採用することができる。
【0102】
押出発泡成形としては、例えば、(a)樹脂組成物と発泡剤を押出機で中溶融混練し、押出機先端のサーキュラーダイスから溶融樹脂を押出し、円柱状冷却機(マンドレル)で円筒状発泡体を形成させ、押出方向に切り開いてシート状とする方法や、(b)樹脂組成物と発泡剤を押出機で中溶融混練し、押出機先端のTダイからシート状に押出し、冷却ロールで引き取りシートを得る方法等が挙げられる。
なお、発泡剤は、あらかじめポリカーボネート樹脂組成物と混合して使用しても、押出機途中で圧入してもよい。
【0103】
射出発泡成形としては、例えば、(c)射出成形機内で溶融状態の樹脂組成物に、発泡剤を混合又は溶解し、金型内に射出成形する際に樹脂を発泡させつつ金型内に充填する方法、(d)射出成形機内で溶融状態の樹脂組成物に、発泡剤を混合又は溶解し、金型内に射出充填する際にカウンタープレッシャーや射出時の樹脂の圧力等により圧力を加えて発泡を抑制し、その後、金型の可動側の後退やカウンタープレッシャーの解除又は冷却時の樹脂組成物の収縮等で圧力低下を行い発泡させる方法等が挙げられる。
【0104】
成形体に発泡剤を含浸した後に発泡を行う方法としては、例えば、樹脂組成物の成形体をオートクレーブ内に置いて超臨界流体を加え、該超臨界流体を成形体に含浸させ、その後、圧力を下げることにより発泡体を得ることができる。また、加熱により発泡する発泡剤では、成形体に発泡剤を含浸後、加熱することで発泡体を得ることができる。
【0105】
発泡成形の温度は、樹脂組成物の発泡成形が可能な温度であれば特に制限されないが、通常80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、また、通常300℃以下、より好ましくは260℃以下である。
【0106】
さらに詳しくは、発泡成形の温度の下限は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)より、5℃高い温度以上が好ましく、10℃高い温度以上がより好ましく、また上限は、該共重合体のTgより200℃高い温度以下が好ましく、150℃高い温度以下がより好ましい。
【0107】
発泡成形時の温度を上記の範囲とすることにより、樹脂の熱分解を抑えつつ、所望の発泡倍率の発泡体を成形することができる。温度が高すぎると樹脂が熱分解してしまう虞があり、温度が低すぎると樹脂粘度が高いため発泡させることが困難となる傾向がある。
【0108】
また、本発明の成形体において、発泡倍率、セル径等は特に制限はなく、例えば、発泡剤の添加量や成形方法を調整することにより適宜設定することができる。具体的には、発泡倍率は、通常1.1倍以上、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2.0倍以上であり、また、通常100倍以下、好ましくは50倍以下、より好ましくは30倍以下である。
なお、本発明における発泡倍率は、実施例の項において示す方法により求められる値である。また、発泡体(成形体)の形状も特に制限は無く、用途等に応じて適宜定めることができる。
【0109】
本発明の成形体において、非発泡層や発泡層同士の多層化や共押出し、表面に発泡していないポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂をラミネートすることもできる。また、射出成形品の場合、金型内の片側もしくは両側に、ポリカーボネート等の非発泡シートを挿入後、射出発泡成形を行い、発泡体と非発泡シートの一体成形品としてもよい。このとき、非発泡シートには、印刷、ハードコート、耐候性付与等を行ったものを使用してもよい。さらに、これら成形体表面には印刷、帯電防止処理、ハードコート等の処理を行うこともできる。
【0110】
本発明の成形体は、特に発泡倍率が高く耐衝撃性が良好、即ち特に軽量で強度に優れるので、電気・電子、自動車、建築等の各分野の部材、食品用容器、光反射材、断熱材、遮音材、緩衝材、低比重材、燃料電池セパレーター、低誘電体、低比重材、分離膜等に使用できる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は、前記上限または下限の値と下記実施例の値または実施例同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
【0112】
[特性評価方法]
以下の例において、樹脂やその発泡成形体の特性評価は次の方法により行った。なお、特性評価の手法は以下の方法に限定されるものではなく、当業者が適宜選択することができる。
【0113】
<ガラス転移温度(Tg)>
示差走査熱量計(メトラー社製DSC822)を用いて、試料約10mgを10℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS K 7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。
【0114】
<カラーb値>
カラーメーター(日本電色社製300A)を用いて、チップカラーを測定した。
ガラスセルに、チップを所定量入れ、反射測定で測定し、b値を測定した。
この数値が小さいほど、黄色みが小さい。
【0115】
<還元粘度>
中央理化社製DT−504型自動粘度計(ウベローデ型粘度計)を用い、溶媒として、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの質量比1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃で測定した。濃度は1.00g/dlになるように、精密に調整した。
試料は120℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いた。
溶媒の通過時間t、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t(g・cm−1・sec−1
より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η)/η=ηrel−1
より比粘度ηspを求めた。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
この数値が高いほど分子量が大きい。
【0116】
<5%熱減量温度>
セイコー電子社製TG−DTA(SSC−5200、TG/DTA220)を用い、試料10mgをアルミニウム製容器に載せ、窒素雰囲気下(窒素流量200ml/分)で昇温速度10℃/分で30℃〜450℃まで測定し、5%質量が減少した際の温度を求めた。
この温度が高いほど、熱分解しにくい。
【0117】
<アイゾット衝撃強度>
カスタム・サイエンティフィック(Custom Scientific)社製ミニマックス射出成形機CS−183MMXを用いて、温度240〜300℃で、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片を射出成形し、深さ1.2mmのノッチをノッチングマシンで付け、試験片とした。
この試験片について、カスタム・サイエンティフィック社製ミニマックスアイゾット衝撃試験機CS−183TI型を用いて、23℃におけるノッチ付きのアイゾット衝撃強度を測定した。
この数値が大きいほど、耐衝撃強度が大きく、割れにくい。
【0118】
<引張試験>
上記射出成形機を用いて温度240℃〜300℃で、平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を射出成形し、カスタム・サイテンティフィック社製引張試験機CS−183TE型を用いて、引張速度1cm/分の条件で引張試験を行い、降伏時伸び、引張降伏強さ、引張降伏弾性率、及び破断時伸びを測定した。
それぞれの数値が大きいほど、強さ、伸びがある。
【0119】
<発生ガス量>
100℃で5時間真空乾燥をした樹脂サンプル8gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200〜250℃で、予熱1〜3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスを用いて圧力20MPaで3分間加圧冷却しシートを作製した。このシートから幅1cm長さ2cmの試料を切り出した。厚さは1mmであった。
この試料について、加熱脱着−ガスクロマトグラフ/質量分析法(TDS−GC/MS)にて発生ガスを測定した。測定装置として、GERSTEL社製TDS2を用い、加熱脱着温度を250℃、10分、トラップ温度を−130℃、で実施した。
【0120】
試料をガラスチャンバーに入れ、110℃で30分間、ヘリウム60mL/分で発生するガスを捕集管Tenax−TAで捕集した。
GC/MSとしてAgilent社製HP6890/5973N、カラムとしてHP−VOC:0.32×60m、1.8μmdfを用い、40℃、5分保持した後、8℃/分で280℃まで昇温後、280℃で25分保持して、測定した。キャリアガスは、ヘリウム1.3mL/分とした。
ガス発生量は製造時に留出するフェノール及びフェノールに由来するベンズアルデヒドを除いた単位面積当たりのトータル発生量としてトルエンによる換算値にて求めた。
【0121】
<発泡倍率>
「発泡成形体の厚み」に対する「キャビティの拡張以前の金型の厚み」の比〔(発泡成形体の厚み)/(キャビティの拡張以前の金型の厚み)〕を「発泡倍率」とした。
【0122】
[ポリカーボネート(共重合体)の製造例]
以下の製造例1において、反応に用いたイソソルビドはロケットフルーレ社製又は三光化学社製、1,4−シクロヘキサンジメタノールはイーストマン社製、ジフェニルカーボネートは三菱化学社製、炭酸セシウムは和光純薬工業社製である。
【0123】
また、以下の製造例1の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
ISB:イソソルビド
1,4−CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール
DPC:ジフェニルカーボネート
【0124】
<製造例1:ポリカーボネート共重合体(PC−1)の製造>
特開2009−161746号公報の実施例1に記載の方法に準じて次のとおり製造した。
ISB27.7質量部(0.516モル)に対して、1,4−CHDM13.0質量部(0.246モル)、DPC59.2質量部(0.752モル)、及び触媒として、炭酸セシウム2.21×10−4質量部(1.84×10−6モル)を反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、反応の第1段目の工程として、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌しながら、原料を溶解させた(約15分)。
次いで、圧力を常圧から13.3kPa(絶対圧、以下同様)にし、加熱槽温度を190℃まで1時間で上昇させながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
【0125】
反応容器全体を190℃で15分保持した後、第2段目の工程として、反応容器内の圧力を6.67kPaとし、加熱槽温度を230℃まで、15分で上昇させ、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。攪拌機の攪拌トルクが上昇してくるので、8分で250℃まで昇温し、さらに発生するフェノールを取り除くため、反応容器内の圧力を0.200kPa以下に到達させた。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を水中に押し出して、ポリカーボネート共重合体(PC−1)のペレットを得た。
【0126】
得られたポリカーボネート共重合体(PC−1)の還元粘度は1.007dl/g、ガラス転移温度は124℃、カラーb値は8.8であった。
また、このポリカーボネート共重合体(PC−1)を245℃で、金型温度90℃で成形して機械物性評価用の試験片(2種)を得た。これらの試験片を用いて、機械物性の評価を行った結果、引張降伏強さ84MPa、引張降伏弾性率748MPa、降伏時伸び16%、破断時伸び30%、アイゾット衝撃強度227J/mであった。
また、このポリカーボネート共重合体(PC−1)の窒素雰囲気下での5%熱減量温度は344℃であった。また、フェノール成分以外の発生ガス量は3.7ng/cmで、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を除いたジヒドロキシ化合物由来の発生ガスは検出されなかった。
【0127】
[実施例1]
<樹脂組成物の製造>
十分に乾燥させた製造例1のポリカーボネート共重合体(PC−1)1.5kgと三菱エンジニアリングプラスチックス社製ビスフェノールA系ポリカーボネート(BPA−PC)『ノバレックス』7022IR 1.5kgとBASF社製『Joncryl』UVA3070PET(BASF社製樹脂添加剤ADR−4370S:PET=3:7の比率で作成されたマスターバッチ)30.0gを十分に混合(ドライブレンド)した。
【0128】
次いで、二軸押出混練機(口径15mm、L/D=30)(テクノベル社製「KZW15−30MG」)にて、減圧雰囲気下で300rpm、処理量2kg/hrの条件で溶融混練し、冷却水槽を通過させたストランドをストランドカッターにより切断し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
【0129】
上記の二軸押出混練機のシリンダー温度は、前段シリンダー温度;C1=100℃、C2=230℃、C3=250℃、後段シリンダー温度;C4=250℃、ダイス温度;D1=240℃とした。
【0130】
<樹脂組成物の発泡成形>
次いで、得られた樹脂組成物ペレットを熱風乾燥機にて窒素ガスを流通させながら90℃にて5時間以上乾燥させた後、JSW社製MuCell射出成形機「J85AD−Mucell」のホッパーに投入し、計量の工程においてシリンダー内部(樹脂溶融部)に、物理発泡剤(窒素又は二酸化炭素)を表1に示すとおり加圧して導入(注入)し、溶融した樹脂組成物と物理発泡剤とを混合した。計量のストローク量は、全ての実施例・比較例において、厚み1.5mm×幅100mm×長さ180mmの板状形状の金型に射出された場合にフルショットとなる値に設定された。次いで、厚み1.5mm×幅100mm×長さ180mmの板状形状の金型へ射出し、充填完了とほぼ同時(充填完了の前後0.1秒以内)に金型の可動プレートを所定のストローク量(型開量)だけ後退(コアバック)し、キャビティの拡張を行うことにより発泡成形し、そのまま60秒間冷却し、発泡成形体を得た。この場合、発泡倍率の算出に用いる「キャビティの拡張以前の金型の厚み」は1.5mmである。射出開始から充填完了までに要する時間を1.0秒、金型の可動プレートの後退に要する時間を0.1秒に設定した。また、金型温度は60度に調温した。
結果を表1に示す。なお、表中の金型厚みは「キャビティの拡張以前の金型の厚み」を指す。
【0131】
[実施例2]
<樹脂組成物の製造>
実施例1の<樹脂組成物の製造>において、混練する樹脂組成を、製造例1のポリカーボネート共重合体(PC−1)2.1kgと三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート(PBT)『ノバデュラン』5010R5L 0.9kgとBASF社製『Joncryl』UVA3070PET(BASF社製樹脂添加剤ADR−4370S:PET=3:7の比率で作成されたマスターバッチ)9.0gとした事以外は、実施例1の<樹脂組成物の製造>と同様に樹脂組成物を製造した。
【0132】
<樹脂組成物の発泡>
得られた樹脂組成物ペレットを実施例1の<樹脂組成物の発泡成形>と同様に発泡成形した。
結果を表1に示す。
【0133】
[比較例1]
<ポリカーボネート7022IR(ビスフェノールA系PC)の発泡成形>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製のビスフェノールA系ポリカーボネート『ノバレックス』7022IRを実施例1の<樹脂組成物の発泡成形>と同様に発泡成形した。
【0134】
得られた成形体は特に溶融樹脂流入下流側の端部において、ガス抜けに起因すると推定される樹脂の欠損や表面の荒れが成形品のほぼ全体に見られ実用に耐えうるものではなかった。
結果を表1に示す。
【0135】
[比較例2]
<ポリブチレンテレフタレート5010R5Lの発泡成形>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製ポリブチレンテレフタレート(PBT)『ノバデュラン』5010R5Lを実施例1の<樹脂組成物の発泡成形>と同様に発泡成形した。
【0136】
得られた成形体の内部には肉眼で確認できる程に粗大な気泡(直径5〜10mm程度)が複数内包されており、成形体の表面には該粗大気泡が原因と考えられる凹凸が複数見られた。特に、粗大気泡が存在する部位では、成形品表面に“膨れ”が見られた。この凹凸により本来ならば厚みが均一な板状形状であるはずの発泡成形体の厚みは、測定部位によって厚みが異なり、厚みが小さい部分では2.8mm、厚みが大きい部分では4.6mmであり、外観が悪かった。
【0137】
結果を表1に示す。なお、表1中の『△』は、発泡成形は可能であったものの、成形体表面に凹凸が見られた事を示す。上述の通り厚みが測定部位により大きく異なったため発泡倍率を算出せず、『-』とした。
【0138】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の成形体は、利用分野に特に制限はなく、広範な分野の工業材料として利用できる。本発明の成形体は、軽量で耐衝撃性に優れることから、構造部材、包装用材料、容器、緩衝材、電気・電子材料、自動車部材などに特に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
【化1】


で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を少なくとも有するポリカーボネート樹脂1質量部〜99質量部と熱可塑性樹脂99質量部〜1質量部とを含むポリカーボネート樹脂組成物を発泡成形してなることを特徴とする成形体。
【請求項2】
ポリカーボネート樹脂が、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とその他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有する共重合体である、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
その他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が、下記式(2):
HO−R−OH (2)
(式(2)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、
下記式(3):
HO−CH−R−CH−OH (3)
(式(3)中、Rは炭素数4〜20の置換若しくは無置換のシクロアルキレン基を表す。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、
下記式(4):
H−(O−R−OH (4)
(式(4)中、Rは炭素数2〜10の置換若しくは無置換のアルキレン基を表し、pは2〜15の整数である。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位、および
下記式(5):
HO−R−OH (5)
(式(5)中、Rは炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基、又は置換若しくは無置換のアセタール環を有する基を表す。)
で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位である、請求項2に記載の成形体。
【請求項4】
その他ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位が、シクロヘキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール類およびヘキサンジオール類に由来する構造単位よりなる群から選ばれる何れかの構造単位である、請求項2又は3に記載の成形体。
【請求項5】
熱可塑性樹脂がポリエステル系樹脂である、請求項1ないし4の何れか1項に記載の成形体。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有さないポリカーボネート樹脂である、請求項1ないし4の何れか1項に記載の成形体。

【公開番号】特開2013−95877(P2013−95877A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241570(P2011−241570)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】