説明

成形品の製造方法

【課題】焼却灰、多量の泥、土砂又は土壌をリサイクルしつつ、水質浄化を図る。
【解決手段】焼却灰1、土砂2或いは泥や汚染土壌からなる原材料に、遠赤外線放射鉱物である磁鉄鉱3、石英斑石4と、カンラン石6、マグネシウム7と水9を、混合して成型することにより、セメントを使用せずに焼却灰1、土砂2などのリサイクルを図ることができる。また磁鉄鉱3、石英斑石4を設けることにより、成型したブロック状成形品を海岸や川岸に設置したとき磁鉄鉱3、石英斑石4より放射される遠赤外線の作用により水生植物の育成を促進でき、この結果水生植物、該水生植物に集められた水生動物などにより水の浄化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水生生物に適するなどの成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠赤外線放射成分から構成される骨材を加熱する工程と、加熱された骨材と熱可塑性樹脂の粒状物とを混合して混合溶融物を得る工程と、混合溶融物を成型する工程とからなる遠赤外線放射樹脂コンクリート成形品の製造方法が知られている。
【0003】
また、セメント、水、骨材からなるコンクリートにおいて、骨材の一部或いは全部を遠赤外線放射体である任意の鉱物とした雪を溶かすなどのためのコンクリートが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−338317号公報
【特許文献2】特開2003−184019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、産業廃棄物として、工場の焼却炉やボイラなどから多量の焼却灰が排出されている。また河川、海の浚渫などによる泥、土砂や各種ダム等の湖に堆積した泥、土砂も大量に排出されている。さらに、放射能汚染された土壌も大量に発生している。
【0006】
一方、環境問題として川、湖、海などの水の汚染が問題となっており、これを解決すべく水生生物を利用した水処理も知られている。
【0007】
そこで、本発明は、焼却灰、泥、土砂又は土壌を廃棄ではなくリサイクルしつつ、水質浄化を図ることができる一石二鳥の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明の成形品の製造方法は、焼却灰、泥、土砂、土壌の少なくとも一つからなる原材料に、遠赤外線放射鉱物と固化剤を混合固化することを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記原材料に前記遠赤外線放射鉱物を一次混合した後、前記一次混合物に前記固化剤を二次混合した後、前記二次混合物を成型、固化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、焼却灰、泥、土砂、土壌のリサイクルが可能であり、また遠赤外線放射鉱物により成形品を河川や海などに設置したとき、水生植物の育成を促進して、水生植物、さらには水生植物に集まる魚など水生動物により水の浄化を図ることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、一次混合、二次混合の後に、二次混合物を成型、固化することで、前記原材料、遠赤外線放射鉱物を均一に配合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施例を示す流れ図である。
【図2】同成型状態の一部を拡大した一部切欠き斜視図である。
【図3】同設置状態の断面図である。
【図4】本発明の第2実施例を示す一部切欠き斜視図である。
【図5】本発明の第3実施例を示す一部切欠き斜視図である。
【図6】本発明の第4実施例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0014】
図1〜3は実施例1を示しており、図1の流れ図に示すように、原材料として焼却炉やボイラから排出される残りかすである焼却灰1や、水力発電所、治水・砂防ダム、河川、湖、海等の底にたまったものを浚渫した土砂2や泥、或いは汚染土壌(図示せず)を利用する。尚、焼却灰1等の原材料は、薬剤処理や高温加熱処理などによって重金属等が環境へ溶出するのを抑制する不溶化処理がなされている。
【0015】
このような原材料に、第一の遠赤外線放射鉱物3として粉末状の磁鉄鉱(マグネタイト)、また第二の遠赤外線放射鉱物4として麦飯石等の石英斑石を混合する。この一次混合5にあっては、原材料は予めほぼ乾燥された非塊状であって、粒状或いは粉状に形成されている。第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4も、粒状或いは粉状に形成されており、そして、これらの原材料、第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4を、それぞれ計量して重量比(wt%)で、100:3〜20:3〜20、好ましくは100:5〜20:5〜20に配合されている。この一次混合5による一次混合物の含水率を15%未満、例えば含水率を5%以上で15%未満に調節する。この含水率の調節は後述する化石燃料燃焼装置12から排出される二酸化炭素を含む排気ガスを一次混合5側に直接的或いは熱交換器を用いるように間接的に供給して乾燥させる。
【0016】
次に、一次混合物に、第一の粉末固化剤6としてカンラン石、また第二の粉末固化剤7としてマグネシウム又はマンガンを混合して二次混合8を行う。この際に、一次混合物、第一の粉末固化剤6、第二の粉末固化剤7をそれぞれ計量して混合する。そして二次混合8の後半で一次混合物、第一の粉末固化剤6、第二の粉末固化剤7からなる二次混合物に水9を供給して含水率を略15%、すなわち含水率を12〜18%になるように調節して混練する。
【0017】
例えば、重量比で原材料、遠赤外線放射鉱物3,4、固化剤6,7の比を例えば示すと次のようになる。
【0018】
配合比1 原材料40〜50wt%、遠赤外線放射鉱物5〜10wt%、粉末固化剤4〜50wt%、
配合比2 原材料60wt%、遠赤外線放射鉱物5〜10wt%、粉末固化剤30〜40wt%、
配合比3 原材料50~60wt%、遠赤外線放射鉱物5〜10wt%、粉末固化剤30wt%
次に、含水率が調節された二次混合物8Aを図2に示すように型枠10に充填する。尚、図2において拡大した断面箇所は模式的に示している。そして、型枠10の二次混合物8Aの養生は、型枠10ごと二次混合物8Aを単独養生室11に収容した状態で、この養生室11に重油等燃焼用油或いは石炭などの化石燃料燃焼装置12の燃焼熱を導入して燃焼ガスの雰囲気に二次混合物8Aをさらすことで一次養生が行われる。このような化石燃料燃焼による燃焼ガスにさらした第一の養生においては、燃焼ガスが二次混合物8Aに吸収されて二次混合物8Aの固化を促進すると共に、二酸化炭素の大気への排出を低減できる。
【0019】
次に、初期の養生を施した二次混合物8Aを単独養生室11より取り出した後に、雨雪が当たらないように自然乾燥させて二次養生を行う。
【0020】
次に、固化した二次混合物8Aを型枠10より離脱して、例えば断面が矩形のブロック状成形品13を製造するものである。
【0021】
このように製造したブロック状成形品13を図3に示すように、海岸Aや川岸の太陽の光が届く水中箇所に積み重ねて設置すると、藻等の水生植物が付着して生育する。この際、ブロック状成形品13には第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4が含まれており、これらより遠赤外線が周囲に放射されることにより水生植物の育成が促進される。したがって、ブロック状成形品13に付着している水生植物にプランクトンが発生し、このプランクトンの周囲に魚類など水生動物が集まる。この結果遠赤外線自体、或いは水生植物、水生動物により水の浄化が行われる。
【0022】
以下の表1は、混合割合と養生期間に伴うブロック状成形品13の硬度の状態を示しており、含水率を15%として型枠10に充填された二次混合物8Aにおける養生期間の最初の15日間は単独養生室11に収容された一次養生状態であり、またそれ以降は雨雪の当たらない自然状態で二次養生したものである。
【0023】
【表1】

【0024】
そして、硬度評価Eは完全に硬くなった100%の状態からほぼ硬い70%の状態までをあらわし、硬度評価は硬さが不十分な状態で前記100%に対して5〜20%の状態のものをあらわしている。そして、表1において硬度評価Eまでの中間を3段階にわけて、それぞれ硬度評価B 20〜30%、硬度評価C 30〜50%、硬度評価D 50〜70%に設定されている。
【0025】
表1により、原材料に対して重量比で第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4の合計が7.15wt%(資料1)から20wt%(資料3,6)の範囲内にあっては、6ヶ月の養生期間を経ると使用可能になることが判明した。
【0026】
以上のように、前記実施例においては、焼却灰1、土砂2からなる原材料に、第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4と第一の粉末固化剤6、第二の粉末固化剤7を混合して成型することにより、セメントを使用せずに焼却灰1、土砂2のリサイクルを図ることができ、また第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4を設けることにより、成型したブロック状成形品13を海岸や川岸に設置したとき第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4より放射される遠赤外線の作用により水生植物の育成を促進でき、さらには水生植物に集められた水生動物なども活性化され、これら水生植物や水棲動物により水の浄化を図ることができる。
【0027】
また、原材料に第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4を一次混合した後、一次混合物に第一の粉末固化剤6、第二の粉末固化剤7及び水9を二次混合すると共に、含水率を調節した後、二次混合物8Aを成型、固化することにより、焼却灰1、土砂2、第一の遠赤外線放射鉱物3、第二の遠赤外線放射鉱物4を均一に混合することができる。
【0028】
さらに、二次混合物8Aを成型、固化するときに、型枠10に充填した二次混合物8Aを、単独養生室11に収容するなどして化石燃料の燃焼ガスを単独養生室11に導いて、二次混合物8Aを燃焼ガスの雰囲気ガス中で養生することで、固化剤6,7と燃焼ガス中の二酸化炭素とが化学反応して固化を早めることができる。
【実施例2】
【0029】
以下に、他の実施例について説明する。
【0030】
図4は実施例2を示しており、ブロック状成形品21の断面を正六角形に形成すると共に、その中心に鉄筋22を設けたものである。
【実施例3】
【0031】
図5は実施例3を示しており、ブロック状成形品23の断面を円形に形成すると共に、その中心に鉄筋24を設けたものである。
【実施例4】
【0032】
図6は実施例4を示しており、成型を石や砂利程度の小塊状に形成したものであり、このような小塊状成形品25を川底などに砂利状に設置することで、川底などに水生植物や水生動物が育成しやすく、水質浄化も図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように本発明に係る水生生物に適するなどの成形品の製造方法は、各種の用途に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1 焼却灰
2 土砂
3 第一の遠赤外線放射鉱物
4 第二の遠赤外線放射鉱物
5 一次混合
6 第一の粉末固化剤
7 第二の粉末固化剤
8 二次混合
8A 二次混合物
9 水
10 型枠
13 ブロック状成形品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却灰、泥、土砂、土壌の少なくとも一つからなる原材料に、遠赤外線放射鉱物と固化剤を混合固化することを特徴とする水生生物に適する成形品の製造方法。
【請求項2】
前記原材料に前記遠赤外線放射鉱物を一次混合した後、前記一次混合物に前記固化剤を二次混合した後、前記二次混合物を成型、固化することを特徴とする請求項1記載の水生生物に適する成形品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−240898(P2012−240898A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115169(P2011−115169)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(392004646)
【出願人】(504101175)有限会社渡良エンジニアリング (9)
【Fターム(参考)】