説明

成形品の連続製造方法及びこの方法におけるシリコーンゴム組成物の使用

本発明は、硬化シリコーン成形品、特に押出品の連続製造方法、及びこの方法における、可視光又はUV光によって硬化を開始する、光活性金属触媒を含むシリコーン組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品特に押出品の連続製造方法、及びこの方法における、可視光又はUV光によって硬化を開始するシリコーンゴム組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシリコーンゴムポリマーは、ケイ素原子に結合した一定量のビニル基を有するポリジメチルシロキサンを含む。
【0003】
公知の工業的押出方法では、ゴム組成物を高反応性過酸化物又はシリコーン水素化物架橋剤及び金属触媒によって熱硬化させ、連続押出成形品とする。しかし、このような押出成形品の製造方法の条件には多くの制限がある。
【0004】
熱硬化するシリコーン組成物は一定時間の加熱を必要とするので、適度な時間で十分に硬化させるために、十分な押出品温度にするために押出速度及び場合によっては押出物の厚さが制限される。従って、従来の熱硬化性ゴムの製造方法は、押出ライン全体を高温にするか、表面温度を高レベルに上げるための長い経路を備えなければならない。
【0005】
さもなければ、硬化が完全でないと、連続成形品は保存、さらに切断又は包装のためにロール等に連続して巻き取ることができない。
【0006】
従って、高速で十分に硬化させるため、オーブン、ソルトバス、スチームチャンバー又はチャンネル等の通常用いられる加熱手段の長さは、20mまでになる。
【0007】
熱硬化方法の他の問題は、近年のシリコーンゴム押出方法においてビス−2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、2−モノクロロ又は4−クロロベンゾイルパーオキシド等の高反応性過酸化物を硬化用触媒として用いることによって生じる。このような触媒は、硬化時にクロロ安息香酸等の副生成物を不可避的に生じ、これは、いわゆる加硫戻りにより硬化ゴムの機械的特性を弱める場合がある。この作用は成形品の密封、圧縮歪み及び動的抵抗に悪影響を与える。他の問題点は、微量の副生成物として生成するビフェニルであり、ビフェニル又は他の副生成物の悪臭である。このような副生成物を分離するために、例えば一般食品及び健康に関する政府の要求を順守するために、さらなる処理、遅延及び費用を伴う追加の2次的な硬化後の操作が必要となる。
【0008】
さらに、金属触媒と過酸化物を含む反応性組成物の有効期間又はポットライフは、室温での保存条件下で制限される。早期硬化によって開始するスコーチ等の悪影響なしで押出しができる保存期間は、この時間によって制限される。悪影響としては、押出後の粗い表面又はダイ膨張等が挙げられ、最終的に高レベルのスコーチが押出速度を低減する。
【0009】
適切な硬化速度の過酸化物を含む系は、25℃でのポットライフ時間が最大1ヶ月であり、一方金属触媒系では保存期間は1〜10時間しかない。従って後者の場合、しばしば2成分系として設計され、最終的な1成分反応性質量組成物は押出直前に製造する。室温以下での冷却保存によってスコーチ時間を延長する場合もある。
【0010】
さらに、熱硬化系について現在好まれる成形方法では、オーブンの壁温を500℃まで上げることができるが、通常は250℃〜450℃である。従って、物品の表面温度は100〜350℃付近であり、内部で停止した場合500℃まで上昇する。このような場合、この温度によりシリコーンゴムは破壊され、硬い灰様物質と他の揮発性酸化物になる。また、押し出したシリコーンゴム組成物を硬化するためには高温レベルを必要とするが、このため、特に熱処理チャンネルで停止した場合のシリコーンゴムの熱分解を考慮して、十分な換気が必要となる。
【0011】
また、シリコーン組成物の温度勾配が強く熱伝導率が低いと、押出品の加硫戻りと表面脆化を生じ、これは僅かな伸長でのひび割れといわゆる加硫戻りの原因となり、さらに脱重合を引き起こす。加硫戻りは、例えば、高温下で特に肉厚ポリマー物品に含まれる水や有機酸等の分解物が反応することで、ネットワークの弱体化又は脱重合化が起こることを意味する。
【0012】
肉厚品の表面温度は300℃超まで上げることができる一方、物品内部ははるかに低い温度であるため肉厚品内部は完全に硬化しない。
【0013】
押出物表面の劣化の可能性を考慮すると、高温にすることでは不完全硬化を補うことはできない。従って、押出物がオーブンに留まる時間を長くするために押出速度を遅くする必要があり、即ち効率は下がる。
【0014】
熱硬化方法の他の問題は、例えばシール、絶縁体又は被覆材等と他の材料の共押出物を作成するときに生じる。被覆ケーブルの製造がその一例であり、最終被覆材は下部基材、例えば絶縁ケーブルとスムーズに接触すべきである。被覆材の下に封入された空気が強く加熱されゴムが未硬化の場合、ケーブルと被覆材の間に気泡が生じる場合がある。この場合だけでなく通常の肉厚品の押出しの場合にも、特に高温下で押出速度が遅いことに起因して気泡又は微小気泡が問題となる場合がある。従って、高温で押出速度が遅すぎる場合、気泡及び熱収縮は一般的な課題である。
【0015】
シリコーンゴムからなる成形品の連続製造の従来技術において、公知の他の方法はガンマ放射(波長0.5nm未満)等のイオン化高エネルギー放射又は加速電子放射(ファンデグラーフ発電機)を利用する。このような方法では、押出条件下、即ち短い停滞時間で、十分な硬化速度が得られず、照射源のために高い投資が必要となる。
【0016】
例えば、特許文献1は、様々な官能基を有するポリジメチルシロキサンをアンモニア又はアミン存在下で高エネルギーイオン化放射で硬化させる方法を開示する。特許文献2は、特定のシリカを用いたとき無着色シリコーンゴムを周波数3000〜10000MHz(波長3〜10cm)のマイクロ波で熱硬化させる方法を教示する。特許文献3は、シグマ白金触媒及び最大粘度10Pa.sのポリマーを含み、コーティング、鋳込み、成形部品に有用な光硬化性シロキサン組成物を開示する。
【0017】
特許文献4は、pi−配位子として環式又は二環式ジエンを有する白金触媒を含むポリオルガノシロキサン組成物を開示し、これは鋳込み、様々な押出し及び成形方法に有用な熱硬化性シリコーンゴムのポットライフを延長することができる。
【0018】
特許文献5は、シグマ白金触媒及びフリーラジカル光開始剤を含むポリジメチルシロキサンを開示する。このポリジメチルシロキサンの鎖長は最大約3000ジオルガノ単位である。
【0019】
従来技術で公知の光硬化性シリコーン組成物は、低粘度組成物であるか又は硬化速度が遅すぎて効率的に工業的押出方法で用いることができない。
【0020】
最小の「生強度」が、硬化装置から押出ダイを出た未硬化押出成形ストランドを引き出すための前提条件である押出方法では、低粘度ポリマー、即ち短鎖長ポリマーを含むポリシロキサン組成物は用いることができない。成形品の形状もまた押出品が硬化するまで維持することができない。
【0021】
他の光硬化性シリコーン組成物は、アクリレート、エポキシド、チオール等の有機官能基をベースとし、これらからは熱処理後に安定した機械特性や室温での良好な機械特性を有する硬化シリコーンゴムは得られず、十分な硬化速度も得られず、またこれらは悪臭を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第4,490,314号明細書
【特許文献2】米国特許第5,346,932号明細書
【特許文献3】国際公開第06/010763号パンフレット
【特許文献4】米国特許出願公開第2006/135689号明細書
【特許文献5】米国特許第6,376,569号明細書
【発明の概要】
【0023】
上記の先行技術の問題を解決するために、以下の工程を含む連続硬化シリコーン成形品を製造する連続方法が提供される、
a)成形装置において、(i)〜(vi)を含む混合物を連続成形してシリコーン成形品を製造する成形工程、
(i)3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均が3000以上である、1以上の直鎖状ポリオルガノシロキサン
(ii)任意(optionally)成分である、成分(i)のポリオルガノシロキサンとは異なる、アルケニル基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iii)2以上のSiH基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iv)1以上の光活性遷移金属触媒
(v)任意成分である、1以上のフィラー
(vi)任意成分である、1以上の従来の添加剤
b)光活性遷移金属触媒を光活性化する1以上の照射工程、
c)任意(optionally)工程である、1以上の熱処理工程、
d)任意工程である、1以上の混合工程、
e)任意工程である、1以上の、連続硬化シリコーン成形品の切断及び/又は巻取及び/又は包装工程。
【0024】
本発明の連続方法は、バッチプロセスと対照的に、ダイを通したエンドレスな(連続的な)成形品(連続物品であるチューブ、プロファイル、ストランド、絶縁体等)の製造に関する。型を満たし、硬化後に型から物品を取り出すことにより非連続的に製造された物品とは対照的なものである。
【0025】
本発明の方法の成形工程a)で用いる成分(i)は、3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の直鎖状分子の数平均分子量が3000以上である、1以上の直鎖状ポリオルガノシロキサンである。
【0026】
好適な架橋密度を与えるため、好ましくは、成分(i)の直鎖状ポリオルガノシロキサンは5以上、より好ましくは10以上のアルケニル基を有する。
【0027】
好ましくは、成分(i)の直鎖状ポリオルガノシロキサンは最大100、より好ましくは最大50のアルケニル基を有する。さもなければ、ポリオルガノシロキサンの反応性が低下するおそれがある。
【0028】
ポリオルガノシロキサン(i)の好ましい粘度範囲は1.5kPas以上、より好ましくは5kPas以上、より好ましくは10kPas以上、より好ましくは15kPas以上(25℃、せん断速度1s−1)である。成形、特に押出成形する(以下、「混合物の成形」特に「混合物の押出成形」という)混合物が好適な粘度(生強度)となるために、このような粘度が好ましい。
【0029】
3以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(i)は、ペンダントアルケニル基及末端アルケニル基を有してもよい。本発明における「ペンダントアルケニル基」は、R(アルケニル)SiO(Dアルケニル)又は(アルケニル)SiO3/2(Tアルケニル)基のアルケニル基を意味する。本発明における「末端アルケニル基」は、Mアルケニル基のアルケニル基を意味する。平均的ポリオルガノシロキサン(i)は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上のペンダントアルケニル基を有する。最も好ましくは、2つの末端アルケニル基及び1以上のペンダントアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(i)を用いる。
【0030】
このようなポリオルガノシロキサン(i)、特に1以上、好ましくは3以上のペンダントアルケニル基と、任意に2以上の末端アルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(i)を本発明の連続成形、特に押出成形工程で用いると、照射により十分な架橋密度を通常得られる。即ち、変形後の永久変形が少なく、回復性が高い満足な機械特性を通常得られる。
【0031】
3以上のアルケニル基を有する直鎖ポリオルガノシロキサン(i)は、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位Pの数平均が3000以上であり、より好ましくは3500以上であり、より好ましくは4000以上であり、さらに好ましくは5000〜12000である。Pは以下の式で求められる。
=(M/繰り返しシロキシ単位の分子量)
Mnは数平均分子量であり、シロキシ単位10以下の低分子量ポリオルガノシロキサンはカウントされない。これらの低分子量ポリオルガノシロキサンは主に環状ポリオルガノシロキサンからなる。
【0032】
ポリオルガノシロキサン(i)、特に好適な粘度を有するポリオルガノシロキサン(i)は、本質的に直鎖状であり、即ちM及びD単位からなる。
しかしながら、これら直鎖状ポリオルガノシロキサン(i)の他、シロキシ単位の数平均が約1000未満である低分子分岐アルケニルポリオルガノシロキサンを、ある程度、特に成形する混合物全体の30重量%未満まで用いてもよい。このような分岐アルケニルポリオルガノシロキサンは、成分(ii)に含まれる。これら低分子分岐アルケニルポリオルガノシロキサンは、架橋密度を向上するために、成形する混合物の一部としてよい。
【0033】
直鎖状ポリオルガノシロキサン(i)のアルケニル基の平均含量は好ましくは、直鎖状ポリオルガノシロキサン(i)中のケイ素原子数に対して約0.02〜1.57モル%Siアルケニル基であり(約0.003〜約0.21ミリモル/g SiViに対応)、より好ましくは0.08〜0.7モル%(約0.01〜0.095ミリモル/g SiViに対応)である。アルケニル含量はH−NMRによって測定する(A.L.Smith(ed.):The Analytical Chemistry of Silicones, J. Wiley & Sons 1991 Vol.112 pp.356 et seq. in Chemical Analysis ed. by J.D. Winefordner)。
【0034】
好ましいポリジオルガノシロキサン(i)は一般式(I)で表わすことができる。
(3−x)SiO(RRSiO)(RSiO)SiR(3−x) (I)
xは好ましくは0,1,2又は3であり、好ましくは1である。
aは平均値であり、0〜100であり、好ましくは1〜50であり、より好ましくは1〜20である。
bは平均値であり、3000〜12000であり、好ましくは3500であり、より好ましくは4000であり、さらに好ましくは5000〜11000であり、より好ましくは6000〜10000である。
ただし、一般式(I)のポリジオルガノシロキサン(i)は3以上のアルケニル基を有する。
【0035】
Rは飽和有機基であり、好ましくは置換又は無置換の炭化水素ラジカルであり、より好ましくは、n−、iso−、tert−、又はC〜C12のアルキル、C〜C12のアルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜C30のシクロアルキル又はC〜C30のアリール、C〜C12のアルキル(C〜C10)アリールであり、これらラジカルRは1以上のF原子で置換されてもよく及び/又は1以上の−O−基を含んでもよい。
【0036】
は置換又は無置換のC〜C12のアルケニルラジカルであり、好ましくは、n−、iso−、tert−又は環状C〜C12のアルケニル、ビニル、アリル、ヘキシル、C〜C30のシクロアルケニル、シクロアルケニルアルキル、ノルボルネニルエチル、リモネニル、C〜C30のアルケニルアリール等の置換又は無置換のアルケニル含有炭化水素ラジカルから選択され、1以上の−O−原子が存在してもよく(エーテルラジカルに相当する)、ラジカルは1以上のF原子で置換されてもよい。
【0037】
好適な1価の炭化水素ラジカルRの好ましい例として、アルキル基、好ましくはCH、CHCH、(CHCH、C17、C1021基、シクロヘキシルエチル等の脂環基、フェニル、トリル、キシリル等のアリール基、ベンジル、2−フェニルエチル基等のアラルキル基が挙げられる。好適な1価のハロゲン化炭化水素ラジカルRは、特にC2n+1CHCH−(nは1〜10である)で表わされ、例えばCFCHCH−、CCHCH−、C13CHCH−である。好適なラジカルは3,3,3−トリフルオロプロピル基である。
【0038】
特に好ましいラジカルRとして、メチル、フェニル、3,3,3−トリフルオロプロピル等が挙げられる。
【0039】
好ましいラジカルRは、ビニル、アリル、5−ヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、リモネニル、ノルボルネニルエチル、エチリデンノルボルニル、スチリル等の基であり、特に好ましくはビニルである。
【0040】
本発明によれば、成形架橋した又は硬化したシリコーンゴム物品の引張強度、引き裂き伝播抵抗等の機械特性を向上させるために、アルケニル含量が異なる、好ましくはビニル含量が異なるポリオルガノシロキサン(i)の混合物を用いることができる。
【0041】
本発明によれば、伸長、引き裂き強度、永久変形等の十分な機械的特性を好適に調整するため、例えば、ビニルリッチなポリオルガノシロキサン(I’)とビニル不足のポリオルガノシロキサン(II’)(ビニルリッチなポリオルガノシロキサンよりもビニル基の含量が少ない)を重量比100:0.5〜1:10、好ましくは10:1〜1:1で含む混合物を、用いることができる。
【0042】
さらに、3以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン(i)に加えて、末端シロキシ基それぞれに1つのアルケニル基を有し、本質的に直鎖状の、アルケニルで末端キャップしたポリオルガノシロキサンを用いることもできる(成分(ii)の1つ)。このようなアルケニルポリジオルガノシロキサンは2つのアルケニル基を有し、例えば以下式(II')で表わされる。
SiO(RSiO)SiR (II')
uは平均値であり、3000〜12000であり、好ましくは5000〜11000であり、より好ましくは6000〜10000である。
RとRは上記式(1)と同じである。
【0043】
末端シロキシ基それぞれに1つのアルケニル基を有し、アルケニルで末端キャップした、これら直鎖状ポリオルガノシロキサンを添加すると、本発明の方法により得られた硬化連続成形シリコーン物品の伸長、引き裂き強度を最大化するのに有用な場合がある。
【0044】
架橋速度と架橋密度のバランスが良好な、成形、硬化のためのシリコーン混合物を得るため、成形する混合物中の全てのポリオルガノシロキサン(成分(i)のポリオルガノシロキサンに限らない)のアルケニル(特にビニル)含量は可能な限り高くすべきであり、特に0.03mol%Siアルケニル以上(0.004mmol/g SiVi以上に対応)にすべきである。
【0045】
同時に、しかしながら、25℃でCDClに溶解する成分(i)〜(vi)の未硬化混合物における、29Si−NMR分光法で測定した隣接アルケニル基の含量は、好ましくは0.025mol%未満である。
【0046】
本発明において「隣接アルケニル基」は、2つの隣り合うケイ素原子に結合するアルケニル基を表す。
【0047】
成分(i)〜(vi)の未硬化混合物における隣接アルケニル基の含量は(Maris J. Ziemelis and J.C. Saam, presented at the 132nd Meeting Rubber Division, American Chemical Society Cleveland, Ohio October 6−9th, 1987)に従い、29Si−NMR分光法で測定する。
【0048】
特に、成分(i)〜(vi)の未硬化混合物は、硬化光に晒すことなく、未硬化混合物30重量%及びCDCl70重量%の重量比で、CDClと混合する。その後任意で混合物を遠心分離する。この分散物に0.8重量%のCr(AcAc)を加え、29Si−NMR分光法測定する。
【0049】
成分(i)中の隣接Siアルケニル基の含量も同様に測定する。
【0050】
未硬化混合物の隣接Siアルケニル基濃度の測定方法を、ケイ素原子に結合した好ましいビニル基を例にして説明する。本発明の好ましい実施形態である、隣接ビニル基を有するケイ素原子は、29Si−NMR分光法において−35.47〜−34.89ppmのケミカルシフトを有する。従って、隣接Siビニル基のモル濃度は以下の方法で計算する:
(−35.47〜−34.89ppmにおけるSi原子の積分)/(全Si原子の積分)×100%。
【0051】
また、本発明の実施、特に、硬化性混合物の製造において、隣接Siアルケニル基、特にビニル基の含量を計算して、隣接Siアルケニル、特にビニル基の含量を以下のように調節することが可能である:
この方法は以下の式に従う。
(mol%Si隣接ビニル)=(mol%Siビニル×mol%Siビニル
Siビニルは以下のように決定する。
混合物中のアルケニル含有ポリオルガノシロキサンそれぞれについて、ビニル基Siビニルの含量はH−NMR分光法により決定し、隣接Siアルケニル基の含量は以下の式により決定する。
(mol%Si隣接ビニル)=(mol%Siビニル×mol%Siビニル
【0052】
次に、個々の隣接Siビニル含量(mol%)を、それぞれのアルケニル含有ポリオルガノシロキサンの相対的重量(%)(アルケニル含有ポリオルガノシロキサンの全重量に対して)と掛け、その合計を100で割る。例えば、硬化性混合物中に3つのアルケニル含有ポリオルガノシロキサン×1、×2、×3があり、隣接Siビニル含量(mol%Si隣接ビニル)はそれぞれ0.03,0.05,0.1mol%であり、重量%はそれぞれ20,30,50wt%である場合、Si隣接ビニルは以下のように求める。
(0.03×20+0.05×30+0.1×50)/100=
(0.6+0.15+5)/100=0.0575mol%
【0053】
第1の近似として、この方法で計算された隣接Siアルケニル基の含量は、上記で説明した29Si−NMR分光法により測定した隣接Siアルケニル基の含量の調節に用いることができる。
【0054】
成形する混合物中の全ポリオルガノシロキサンのアルケニル含量が0.03mol%未満であると、架橋密度が低すぎて十分な機械特性を得られない恐れがある(即ち、永久変形と伸長が大きすぎる恐れがある)。
【0055】
25℃でCDClに可溶な成分(i)〜(vi)の未硬化混合物の一部の隣接Si−アルケニル基の含量が0.025mol%超であると、経済的な押出ライン速度を確保するのに、硬化速度が低すぎる恐れがある。隣接アルケニル基の含量を多くすることも可能だが、高い触媒濃度が必要となり、これもまた経済的側面から好ましくない。しかしながら、高いポットライフが求められる特定の状況下では、隣接アルケニル基の全含量を0.025mol%超に調節してもよい。
【0056】
ポリオルガノシロキサン(i)の隣接アルケニル基の含量はより好ましくは、0.01mol%未満であり、より好ましくは0.005mol%未満であり、さらに好ましくは0.001mol%未満である。
【0057】
本発明において、ポリオルガノシロキサン(i)以外のアルケニル置換のポリオルガノシロキサンは成分(ii)であり、上記のようにそれぞれの末端シロキシ基に1つのアルケニル基、即ち2つのアルケニル基を有し、アルケニルで末端キャップした、本質的に直鎖状のポリジオルガノシロキサン等であり、本発明の連続方法に従って成形する混合物中で用いることができる。このようなポリオルガノシロキサン(i)以外のアルケニル置換ポリオルガノシロキサン(ii)として、例えばジオルガノシロキシ単位数が3000未満のポリオルガノシロキサンが挙げられる。
【0058】
隣接アルケニル基の含量が0.025mol%未満のポリオルガノシロキサン(i)は、以下を用いた平衡重合反応によって調製することができる:塩基又は酸性触媒、様々な環状シロキサン及び直鎖状ポリオルガノシロキサン、対称1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、他の比較的長鎖のシロキサンであって、トリアルキルシロキシ末端キャップ又はSiOH末端基を有するもの。例えば、ビニルジメチルクロロシラン及び/又はジメチルジクロロシラン等の様々なアルキルクロロシランの加水分解物であり、他の例としてこれらから得られるトリアルキル末端シロキサン又はこれらと他のシロキサンとの混合物が挙げられる。
【0059】
成分(iii)は、好ましくは式(III)で表される、直鎖、環状又は分岐のSiH−含有ポリオルガノシロキサンである。
[Ma2b2c2d2e2 (III)
式中、M=RSiO1/2
D=RRSiO2/2
T=RSiO3/2
Q=SiO4/2であり、
Rはn−、iso−、tert−、又はC〜C12アルキル、C〜C12アルコキシ(C〜C12)アルキル、C〜C30シクロアルキル又はC〜C30アリール、C〜C12アルキル(C〜C10)アリールであり、これらラジカルRはそれぞれ1以上のF原子で置換されてもよく、及び/又は1以上の−O−基を含んでもよい。
【0060】
はR、R又は水素である。ただし分子当り2以上のラジカルRは水素であり、これらは1分子中で同時に生じてもよい、しかし、分子当り2以上のラジカルRはケイ素原子に結合した水素である。Rは上記と同じであり、Rがメチル及びRがビニルが好ましい。
【0061】
は2価の脂肪族n−、iso−、tert−又は環状C〜C14アルキレンラジカル、又はC〜C14アリーレン又はアルキレンアリールラジカルであり、それぞれ2つのシロキシ単位M,D,Tを架橋する。
m=1〜1000
a2=1〜10
b2=0〜1000
c2=0〜50
d2=0〜1
e2=0〜300である。
【0062】
ポリハイドロジェンシロキサン(iii)は好ましくは直鎖、環状又は分岐のポリオルガノシロキサンであり、そのシロキシ単位は好ましくはM=RSiO1/2,M=RHSiO1/2,D=RSiO2/2,D=RHSiO2/2,T=RSiO3/2,T=HSiO3/2,Q=SiO4/2から選択される。これら単位は、好ましくはMeHSiO単位及びMeHSiO0.5単位、適当な他のオルガノシロキシ単位、好ましくはジメチルシロキシ単位から選択される。
【0063】
成分(iii)中のシロキシ単位は重合鎖において、ブロック又はランダムに互いに結合することができる。ポリシロキサン鎖の各シロキサン単位はR基のラジカルと同一でも異なっていてもよい。
【0064】
式(III)の数字は、数平均Mnとして測定される平均重合度Pnを表し、GPC(ポリスチレン標準)で測定され、これらはポリハイドロジェンシロキサンに基づき、上記の粘度限定の範囲で分子量の異なる他の置換基を用いたシロキシ基に基づいて適宜調節できる。
【0065】
ポリハイドロジェンシロキサン(iii)は特に、上記数字の重合度の、式(III)で表される全ての液体、流動性及び固体重合構造でもよい。好ましくは、モル質量が約60000g/mol未満であり、好ましくは20000g/mol未満であるポリハイドロジェンシロキサン(iii)である。
【0066】
好ましいポリハイドロジェンシロキサン(iii)は、式(IIIa)〜(IIIe)から選択される構造を有する。
HRSiO(RSiO)(RHSiO)SiRH (IIIa)
HMeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMeH (IIIb)
MeSiO(MeSiO)(MeHSiO)SiMe (IIIc)
MeSiO(MeHSiO)SiMe (IIId)
{[RSiO1/20−3[RSiO3/2][RO)n2m2 (IIIe)
{[SiO4/2}][R1/2n2[RSiO1/20.01−10[RSiO3/20−50[RRSiO2/20−1000m2 (IIIf)
z=0〜1000
p=0〜100
z+p=b4=1〜1000
n2=0.001〜4
m2=1〜1000
1/2はケイ素上のアルコキシラジカルであり、Rは上記と同じである。
【0067】
(IIIe)及び(IIIf)化合物の好ましい実施形態の例は、式[(MeHSiO0.5SiO4/2m2で表わされるモノマーからポリマー化合物である。kは0.01〜(2×m+2)の整数又は小数である。
【0068】
SiHの濃度はケイ素原子に関して好ましくは0.5〜100mol%であり、又はポリハイドロジェンメチルシロキサンに基づき0.1〜17mmol/gであり、上記の粘度限定の範囲で、他の置換基を有するシロキシ基に基づき適宜調節できる。
【0069】
本発明の好ましい実施形態として、ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(iii)は、分子当り平均2つのSi−H基を有する1以上のポリオルガノハイドロジェンシロキサン(iii−1)、及び分子当り2を超えるSi−H基を有する1以上のポリオルガノハイドロジェンシロキサン(iii−2)からなる。この実施形態において、成分(iii)は2以上の異なるポリオルガノハイドロジェンシロキサン(iii)からなり、これらは高強度のシリコーンエラストマー成形品を与えるために異なる架橋構造を形成する。2官能基のポリオルガノハイドロジェンシロキサン(iii−1)は、いわゆる鎖延長剤として働き、比較的高機能性(>2)のポリハイドロジェンシロキサン(iii−2)は架橋剤として働く。本発明で用いられる成形用シリコーン組成物は好ましくは1以上の2官能性鎖延長剤(iii−1)と1以上の架橋剤(iii−2)を含む。
【0070】
本発明のシリコーンゴム組成物の成分(iii−1)の好ましい構造の例として以下のような鎖延長剤(iii−1)が挙げられる。
HMeSiO−(MeSiO)SiMeH,
MeSiO−(MeSiO)(MeHSiO)SiMe[(MeSiO)(MeHSiO)
【0071】
架橋剤(iii−2)としては以下のような化合物等が挙げられる。
MeSiO−(MeHSiO)SiMe
HMeSiO(MeSiO)(MePhSiO)(MeHSiO)SiMeH、
(MeHSiO)
(HMeSiO)Si、
MeSi(OSiMeH)
pとzは上記と同じである。
【0072】
公知の鎖延長剤及び架橋剤からなるこの種の混合物は、例えばUS3697473に記載されるように用いることができる。さらに好ましい実施形態において、成分(iii−1)及び(iii−2)の量は、(iii−1)及び(iii−2)を基にして、(iii−1)が0〜70mol%であり、(iii−2)が30〜100mol%である。
【0073】
硬化速度をさらに高める必要がある場合、例えば、アルケニルに対するSiHの比率を高めること、又は触媒(iv)の量を多くすること、又はHMeSiO0.5単位を含むポリオルガノシロキサン(iii−2)の比率を高めることにより達成できる。
【0074】
ポリオルガノシロキサン(iii)は好ましくはシロキサン可溶であり、室温で液体であり、即ち好ましくはシロキシ単位が1000未満であり、即ち好ましくは粘度が25℃で40Pas未満であり、Dは1s−1である。
【0075】
主にMeHSiO単位からなる成分(iii−2)の架橋剤の鎖の長さは、好ましくは3〜200、特に好ましくは15〜60MeHSiO単位である。
【0076】
主にMeSiO単位及びHMeSiO1/2単位からなる成分(iii−1)の鎖延長剤の鎖の長さは、好ましくは2〜100、特に好ましくは2〜60MeSiO単位である。
【0077】
本発明において、SiHの含量はH−NMRによって測定する(A.L.Smith(ed.):The Analytical Chemistry of Silicones, J. Wiley & Sons 1991 Vol.112 pp.356 et seq. in Chemical Analysis ed. by J.D. Winefordner)。
【0078】
ポリハイドロジェンシロキサン(iii)は、例えばUS5536803で開示される酸平衡又は縮合方法等の公知の方法により調製することができる。ポリハイドロジェンシロキサン(iii)は、ヒドロシリル化反応触媒存在下、アルケニル基を少量含むシロキサンを用いたオルガノハイドロジェンシロキサンのヒドロシリル化反応によって得られた反応生成物であってもよい。この反応生成物のSiH過剰含量は好ましくは上記の限定範囲内である。これにより、R基等のアルケニル基により架橋されたオルガノハイドロジェンシロキサン(iii)が得られる。
【0079】
ポリオルガノハイドロジェンシロキサン(iii)はさらに、例えばUS4082726の5,6欄等に記載のヒドロキシ又はアルコキシシラン及びシロキサンを用いた、例えばオルガノハイドロジェンアルコキシシロキサン(iii)の縮合で生じる反応生成物であってもよい。
【0080】
本発明によれば、成分(i)及び任意の成分(ii)に対する成分(iii)の比を、Si−アルケニル単位に対するSi−Hのモル比が約0.5〜20:1、好ましくは1〜3:1となるように選択すると好適である。
【0081】
ポリハイドロジェンシロキサン(iii)の好ましい量は、成分(i)及び任意の成分(ii)100重量部に対して0.1〜200重量部である。
【0082】
加硫物特性、架橋密度、安定性、表面粘着性等の多くの特性は、Si−アルケニル単位に対するSiH単位の比に影響される。
【0083】
[光活性触媒成分(iv)]
成分(iv)の光活性触媒は、好ましくはPt,Pd,Rh,Co,Ni,Ir又はRuから選択される1以上の金属を含む。光活性触媒は、好ましくは白金を含む。
【0084】
成分(iv)は好ましくは有機金属化合物であり、即ち、炭素含有配位子又はその塩を含む。好ましい実施形態において、成分(iv)はシグマ−及びpi−結合を含む金属炭素結合を有する。好ましくは、光活性触媒は1以上の金属炭素シグマ結合を有する有機金属錯体であり、さらに好ましくは、好ましくは1以上のシグマ結合アルキル及び/又はアリール基、好ましくはアルキル基を有する白金錯体化合物である。シグマ結合配位子としては特に、シグマ結合アルキル基、好ましくは炭素数1〜6のシグマ結合アルキル、より好ましくはシグマ結合メチル基、フェニル基等のシグマ結合アリール基、トリアルキルシリル基等のシグマ結合シリル基が挙げられる。最も好ましい光活性触媒は、シグマ結合配位子、好ましくはシグマ結合アルキル配位子を有するη−(任意に置換されてもよい)−環状ペンタジエニル白金錯体化合物等である。
【0085】
光活性触媒はそのまま又は担体と共に用いることができる。触媒に用いることができる担体は、不適切に硬化を抑制せず又は光活性化に対して透明性を減少させない任意の固体物質である。キャリアは固体でも液体でもよい。固体のキャリアとしては例えば、シリカ、アルミナ、有機樹脂等が、液体のキャリアとしては、ポリオルガノシロキサン、ポリエーテル、溶媒等が挙げられる。
【0086】
光活性触媒は、十分なポットライフ、即ち上記成分を混合した後、ゲル化前までに処理時間がある触媒である。
【0087】
光活性触媒の例として、US4530879,EP122008,EP146307(US4510094と、この中で引用される先行技術文献に対応する)又はUS2003−0199603等に開示されるη−ジオレフィン−σ−アリール−白金錯体、及びその反応性を例えばUS4640939に開示されるアゾジカルボン酸エステル又はジケトナートを用いて調節できる白金化合物等が挙げられる。
【0088】
光活性化可能な白金化合物はさらに、例えばベンゾイルアセトン又はアセチレンジカルボン酸エステル等のジケトンから選択されるリガンドを有するもの、及び光分解可能な有機樹脂に組み込まれた白金触媒から選択される。他の白金触媒として、例えばUS3715334又はUS3419593、EP1672031A1、Lewis,Colborn,Grade,Bryant,Sumpter,andScottinOrganometallics,1995,14,2202−2213を挙げることができ、全てここに援用する。
【0089】
光活性触媒は、Pt−オレフィン錯体を用いて、適当な光活性化可能配位子を添加して、成形用シリコーン組成物中でその場で生成してもよい。
【0090】
Pt−オレフィン錯体は、例えば1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン(MVI)の存在下、ヘキサクロロ白金酸又は他の白金塩化物の還元により調製することができる。
【0091】
しかしながら、用いることのできる光活性触媒は上記の例に限定されない。
【0092】
高い反応性と硬化速度の点から、特に好ましい触媒として以下に例示される(η−環状ペンタジエニル)−トリアルキル−白金錯体等が挙げられる(Cpはシクロペンタジエニルである)。
(Cp)トリメチル白金
(Cp)エチルジメチル白金
(Cp)トリエチル白金
(Cp)トリアリル白金
(Cp)トリペンチル白金
(Cp)トリヘキシル白金
(メチル−Cp)トリメチル白金
(トリメチルシリル−Cp)トリメチル白金
(フェニルジメチルシリル−Cp)トリメチル白金
(Cp)アセチルジメチル白金
(Cp)ジエチルメチル白金
(Cp)トリイソプロピル白金
(Cp)トリ(2−ブチル)白金
(Cp)トリアリル白金
(Cp)トリノニル白金
(Cp)トリドデシル白金
(Cp)トリシクロペンチル白金
(Cp)トリシクロヘキシル白金
(クロロ−Cp)トリメチル白金
(フルオロ−Cp)トリメチル白金
(Cp)ジメチルベンジル白金
(トリエチルシリル−Cp)トリメチル白金
(ジメチルフェニルシリル−Cp)トリメチル白金
(メチルジフェニルシリル−Cp)トリメチル白金
(トリフェニルシリル−Cp)トリヘキシル白金
[1,3−ビス(トリメチルシリル)−Cp]トリメチル白金
(ジメチルオクタデシルシリル−Cp)トリメチル白金
1,3−ビス[(Cp)トリメチル白金]テトラメチルジシロキサン
1,3−ビス[(Cp)トリメチル白金]ジメチルジフェニルジシロキサン
1,3−ビス[(Cp)ジメチルフェニル白金]テトラメチルジシロキサン
1,3,5−トリス[(Cp)トリメチル白金]ペンタメチルトリシロキサン
1,3,5,7−テトラ[(Cp)トリメチル白金]ヘプタメチルテトラシロキサン
(メトキシ−Cp)トリメチル白金
(エトキシメチル−Cp)エチルジメチル白金
(メトキシカルボニル−Cp)トリメチル白金
(1,3−ジメチル−Cp)トリメチル白金
(メチル−Cp)トリイソプロピル白金
(1,3−ジアセチル−Cp)ジエチルメチル白金
(1,2,3,4,5−ペンタクロロ−Cp)トリメチル白金
(フェニル−Cp)トリメチル白金
(Cp)アセチルジメチル白金
(Cp)プロピオニルジメチル白金
(Cp)アクリロイルジメチル白金
(Cp)ジ(メタクリロイル)エチル白金
(Cp)ドデカノイルジメチル白金
トリメチル白金シクロペンタジエニル末端ポリシロキサン
【0093】
本発明の方法において用いられる最も好ましい光活性触媒は、アルキル又はトリアルキルシリルで置換されてもよいシクロペンタジエニル−トリス−アルキル−白金化合物であり、特にアルキルシクロペンタジエニル−トリメチル−白金、特にメチルシクロペンタジエニル−トリメチル−白金である。
【0094】
さらに、光活性触媒としては、以下に例示される(η−ジオレフィン)−(ジグマ−アリール)−白金錯体(US4530879)等が挙げられる(「COD」はシクロオクタジエン、「COT」はシクロオクタテトラエン、「NBD」はノルボルナジエンを示す)。
(1,5−COD)ジフェニル白金
(1,3,5,7−COT)ジフェニル白金
(2,5−NBD)ジフェニル白金
(3a,4,7,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノインデン)ジフェニル白金
(1,5−COD)−ビス(4−メチルフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(2−メチルフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(2−メトキシフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(3−メトキシフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−フェノキシフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−メチルチオフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(3−クロロフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−フルオロフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−ブロモフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(3−トリフルオロメチルフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(2,4−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−アセチルフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(トリメチルシリロキシフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(トリメチルシリルフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(ペンタフルオロフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(4−ベンジルフェニル)白金
(1,5−COD)−ビス(1−ナフチル)白金
(1,5−COD)−ナフチルフェニル白金
(1,5−COD)−ビス(2H−クロメン−2−イル)白金
(1,5−COD)−ビス(キサンテン−1−フェニル)白金
(1,3,5−シクロヘプタトリエン)ジフェニル白金
(1−クロロ−1,5−COD)ジフェニル白金
(1,5−ジクロロ−1,5−COD)ジフェニル白金
(1−フルオロ−1,3,5,7−COT)ジフェニル白金
(1,2,4,7−テトラメチル−1,3,5,7−COT)−ビス(4−メチルフェニル)白金
(7−クロロ−2,5−NBD)ジフェニル白金
(1,3−シクロヘキサジエン)ジフェニル白金
(1,4−シクロヘキサジエン)ジフェニル白金
(2,4−ヘキサジエン)ジフェニル白金
(2,5−ヘプタジエン)ジフェニル白金
(1,3−ドデカジエン)ジフェニル白金
ビス[η−2−(2−プロペニル)フェニル]白金
ビス[η−2−(エテニルフェニル)]白金
ビス[η−2−(シクロヘキセン−1−イルメチル)フェニル]白金
【0095】
さらに、光活性触媒としては、以下のような(η−ジオレフィン)(ジグマ−アルキル)−白金錯体等が挙げられる。
(1,5−COD)白金(メチル)
(1,5−COD)白金(ベンジル)
(1,5−COD)白金(ヘキシル)
【0096】
成分(iv)の量は好ましくは、金属として計算し、成分(i)〜(iii)の重量に対して0.1〜1000ppmであり、好ましくは0.5〜500ppmであり、より好ましくは1〜100ppmであり、特に好ましくは2〜50ppmであり、最も好ましくは2〜20ppmである。
【0097】
硬化速度は、選択した触媒化合物とその量、また任意に追加する抑制成分(成分(vi)に相当)の性質とその量によって、特に決まる。
【0098】
[成分(v)フィラー]
本発明の方法に用いられる成形・硬化用シリコーン混合物は、さらに1以上のフィラー(v)を含むことができ、フィラーは適当な場合表面修飾されていてもよい。
【0099】
このようなフィラーが光活性触媒(iv)の光活性化を抑制する(特に不透明又は低光透過率によって)場合、最終成形品に含めることを意図しているなら、本発明の方法では、一般に、フィラーを後述する光活性化又は照射工程の後に混合する必要がある。
【0100】
フィラーの例として、全ての微粒子フィラーが挙げられ、即ち100μm未満の粒子を含むもの、好ましくはこのような粒子からなるものである。これらは、ケイ酸塩、炭酸塩、窒化物、酸化物、カーボンブラック又はシリカ等の無機フィラーであってもよい。フィラーは好ましくは、透明性が改善された不透明エラストマーの製造が可能な強化シリカとして知られるものであり、即ち架橋後の加硫物特性を改善し強度を高めるものである。例としては、BET表面積が50〜400m/gのヒュームド・シリカ又は沈降シリカであり、これらは好ましくは疎水化処理されている。成分(v)を用いる場合、この量は成分(i)と任意の(ii)100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、さらに好ましくは10〜50重量部である。
【0101】
フィラーのBET表面積が50m/g超であると、加硫特性が改善されたシリコーンエラストマーの製造が可能になる。90m/g超のときのみ加硫物強度と透明度が増加するので(例えばヒュームドシリカを用いる)、90m/g超のフィラーが好ましい。さらに好ましいシリカは、例えば、BET表面積が200m/g超のAerosil(登録商標)200,300,HDK(登録商標)N20又はT30,Cab−O−Sil(登録商標)MS7又はHS5である。BET表面積が増大すると、これら材料が存在するシリコーン混合物の透明性も上昇する。例えば、沈降シリカ又は湿式シリカとして知られる材料の商標としては、Vulkasil(登録商標)VN3、又はDegussaのFK160又はNippon Silica K.K.のNipsil(登録商標)LP等がある。十分な透明性によって組成物の触媒(v)を光活性する表面積50m/g超のシリカフィラーを用いることが好ましい。
【0102】
非強化フィラーとして知られる不透明フィラー材料の例は、粉末石英、珪藻土、粉末クリストバライト(crystoballite)、マイカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、チョーク又はカーボンブラックであり、カーボンブラックを用いるときはBET表面積が0.2〜50m/g以上のものを用いる。これらフィラーは多くな商標で入手可能であり、例えばSicron(登録商標)、Min−U−Sil(登録商標)、Dicalite(登録商標)、Crystallite(登録商標)である。下流での続く処理(例えばふるい又はノズルの通過)において問題を生じないために、または得られる製品の機械特性が悪影響を受けないために、BET表面積が50m/g未満の不活性フィラー又は増量剤として知られる材料は、シリコーンゴムでの使用にできれば100μm超の粒子を含むべきでない(<0.005重量%)。不透明化フィラーには、特に不透明な、特に無機の、顔料又はカーボンブラックがある。
【0103】
着色が必要な場合又は熱、電気伝導性等の物理的機能が必要な場合のみ、不透明化フィラーの使用が好ましい。
【0104】
不透明フィラーを用いると、活性化、成形工程の通常の順番を変更する必要がある。フィラー不使用又は透明フィラーを用いる場合、通常、最終の成形工程の後に照射による光活性化を行う。光活性触媒の光活性を阻害する不透明フィラーを用いる場合、光活性化工程は不透明フィラーを添加し混合物を成形する前に行う。
【0105】
当業者が認識するように、フィラーは顔料であってもよい。明確にするために、全ての無機顔料は本発明の成分(v)のフィラーに含まれ、他の顔料と染料の全て、特に有機染料と安定剤は補助剤(vi)に含まれる。
【0106】
フィラー(v)は好適な表面処理剤(成分(vi)に含まれる)により好適な通常の表面処理をしてもよい。例えば、好適な疎水剤による疎水処理、シリコーンポリマーとフィラーの相互作用(増粘等)に影響する分散剤による分散処理等をしてもよい。フィラーの表面処理は、好ましくはシラン又はシロキサンによる疎水化である。これは例えば、ヘキサメチルジシラザン及び/又は1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン等のシラザンを添加し、さらに水を加えてその場で疎水化をすることができ、その場での疎水化が好ましい。例えばビニルトリメトキシシラン等のビニルアルコキシシラン、又はメタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン等の不飽和有機官能基を有する他のシラン、又は鎖長2〜50の、架橋反応の反応点となる不飽和有機ラジカルを有するポリオルガノシロキサンジオール等の他の公知のフィラー処理剤を用いることもできる。上記のように、本発明では、疎水剤として用いられるアルケニル置換ポリオルガノシロキサンは成分(ii)に含まる。
【0107】
様々なシランで予め疎水化した市販のシリカの例としては、AerosilR972、R974、R976又はR812、又は例えばHDK2000又はH30、疎水化沈降シリカ又は湿式シリカとして知られる材料の商標の例としては、DegussaのSipernatD10又はD15が挙げられる。
【0108】
これら予め疎水化したシリカより、シラザンでその場で疎水化したシランの方が好ましい。シリコーンゴム混合物の加硫物特性及びレオロジー特性、即ち技術的処理特性は、フィラーの種類、量、疎水化性能を選択して調整できる。
【0109】
好ましい実施形態において、本発明の方法によって成形するシリコーン組成物は、BET表面積が50m/g超、好ましくは80m/g超の1以上の強化フィラ−(v)を含む。
【0110】
本発明によると、1以上、特に表面積の異なる2のフィラーの混合物を用いることができる。表面積又は処理工程の異なる、複数の特に2つのフィラーを適切に選択すると、良好な押出特性が得られ、即ち未硬化ポリマー組成物が高レベルの生強度において高い流動性を維持し、連続成形品の自己レべリングを防げる。これは、好ましくは90m/gBET超の表面積のフィラーと、ポリオルガノシロキサンジオール、ポリオルガノシロキサン、クロロ又はアルコキシシランによる表面処理を用いて最も良く達成でき、高度の増粘特性、高い粘度レベル及びせん断減少(shear thinning)を確実にする。他は十分なポリマー粘度である。さらに、少量即ち1wt%未満のPTFE粉末、PTFEエマルジョン又はホウ素誘導体等の補助添加物を用いると、効果的な押出性能を向上できる。
【0111】
[成分(vi):従来添加剤]
補助又は従来添加剤には、例えば、(v)で定義していない有機染料又は顔料、熱安定性即ち熱風に対する耐性、高温下の少量の酸又は水の作用による脱重合等の戻りを改善するためにシリコーンゴムに導入する安定剤等がある。
【0112】
補助又は従来添加剤にはさらに、25℃での粘度が好ましくは0.001〜10Pasである、例えば反応性アルケニル又はSiH基を含まないポリジメチルシロキサンオイル等の疎水オイル、リリースオイル又は可塑化剤がある。追加の離型剤又は流動改良剤を用いることもでき、例えば、脂肪酸誘導体又は脂肪アルコール誘導体、フルオロアルキル界面活性剤である。好適に用いられる化合物は表面を速やかに分離し拡散するものである。熱風暴露後の安定性は、例えば、Fe−,Mn−,Ti−,Ce−又はLa−化合物、及びこれらの有機塩、好ましくはこれらの有機錯体等の公知の熱風安定剤を用いて改良できる。
【0113】
他の従来添加剤(vi)には、成形品に滑らかな表面を与えるレオロジー特性を改良できるものがある。このような添加剤は当業者に公知であり、例えばPTFE粉末、ホウ素酸化物誘導体、脂肪酸誘導体、エステル及びその塩等の流動添加剤、又はフルオロアルキル界面活性剤等である。補助添加剤(vi)の例には、架橋反応を調節するいわゆるインヒビタがある。しかしながら、このようなインヒビタの存在は一般に好ましくない。しかし、これが成形用シリコーン組成物のポットライフの延長を意図している場合、例えば不透明フィラーが光活性化後に混合される場合、このようなインヒビタの使用は硬化速度を下げるのに好ましいことがある。好ましいインヒビタとしては、例えばビニルシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン又はテトラビニル−テトラメチル−テトラシクロシロキサンである(インヒビタがアルケニルポリオルガノシロキサンの種類に含まれる場合は、これらは成分(i)又は(ii)に形式的に含まれる)。他の公知のインヒビタ、例えばエチニルシクロヘキサノール、3−メチルブチノール又はジメチルマレートを用いることもできる。
【0114】
成形、特に押出成形用混合物は成分(i)、(iii)、(iv)及び任意に(ii)、(v)、(vi)を含み、好ましくは粘度が10ムーニー単位以上である。成形又は押出成形混合物の粘度が特定の粘度未満であると、押出圧力が低すぎて押出速度が遅すぎる場合があり、また、硬化前に成形機から出た押出物のいわゆる「生強度」が低くなりすぎる恐れがあり、これにより特に押出ラインを通して下流に押出物を引くことが不可能になる場合がある。好ましくは成形混合物の粘度は室温(25℃)で10ムーニー単位以上であり、より好ましくは15ムーニー単位以上である。ムーニーは、25℃でDIN53523に従って、いわゆるMI=(0秒+最大15秒の開始時の値及びMI=MI後4分の値として測定される。
【0115】
[成形方法]
本発明の方法に用いる成形装置は好ましくは、好ましくは、成形する混合物が通り、連続成形シリコーン物品が形成される1以上の成形ダイを有する。好ましくは、連続成形工程は押出成形工程であり、成形装置は押出成形装置である。押出成形装置は好ましくは1軸スクリュー押出成形装置、2軸スクリュー押出成形装置、又はギア押出成形装置であり、1軸スクリュー押出成形装置とギア押出成形装置が最も好ましい。エンドレスの成形品を製造するためのダイを有する、押出成形装置以外の成形装置(成形ローラー等)を用いることもできるが、あまり好ましくない。
【0116】
本発明の方法の主要な効果の1つは、組成物が照射により硬化するということである。従って、過酸化物等の熱硬化方法又は金属触媒から開始する方法と異なり、通常、押出機内で混合物が硬化するのを防ぐために押出機を冷却する必要がない。従って、本発明による連続の光誘発成形方法は、エネルギー節約、押出成形装置のコストを含む操作コストの面で極めて好適である。
【0117】
本発明の方法において照射工程b)は、好ましくは波長190nm〜600nmの光で行う。通常、非レーザー光源は複数波長のスペクトルを発し、本発明によれば、発光は好ましくは最大が190〜600nmにあり、より好ましくは200〜460nmにある。
【0118】
本発明の方法において硬化を加速するために、照射による硬化工程の開始後に熱処理工程(c)を行ってもよい。このような任意の熱処理工程(c)は、オーブンを通過することで行うことができ、オーブンの温度は例えば50℃〜250℃であり、押出物表面温度は20〜200℃、より好ましくは35〜150℃、さらに好ましくは40〜90℃である。一般的に、しかしながら、本発明の方法により得られた押出物の熱ストレスは、熱硬化した押出物よりもはるかに少なく、改良された表面、即ち低い脆化、逆戻り及び熱収縮の表面をもたらす。
【0119】
従って本発明は、本発明の方法により得られる光硬化シリコーン押出成形物にも関する。
【0120】
このような光硬化シリコーン押出成形物は例えば、シート、チューブ、ケーブル、ワイヤの絶縁体、ケーブルジャケット、温度感受性の他の基材の絶縁体又は被覆体、プラスチック又は天然ポリマーからなるキャリア基材を包むプロフィール、又はケーブル又はチューブの被覆体等の形状であってもよい。
【0121】
本発明の方法は、共押出成形物の製造に特に好適であり、特に熱可塑性樹脂、ゴム、革、天然ポリマー(セルロース、コラーゲン等)、木材、低融点金属等の温度感受性基材との共押出物の製造に好適であり、これらには、本発明の方法により得られる、1以上の他の押出材料を組み合わせて得られる光硬化シリコーン押出物が含まれる。このような共押出成形物は、ストランド、チューブ、全ての形と寸法の封止のためのプロフィール、絶縁体、シール、被覆材等の形状でよい。
【0122】
本発明はさらに、3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均分子量が3000以上であり、29Si−NMR分光法又は連続成形品の製造について上述した計算で求めた隣接アルケニル基含量が0.025mol%未満(好ましくは0.005mol%未満)である、1以上のポリオルガノシロキサンの用途に関する。
【0123】
本発明はまた、以下を含む新規の組成物に関する。
(i)3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均が3000以上であり、隣接アルケニル基の含量が平均0.025mol%未満、好ましくは0.005mol%未満である1以上のポリオルガノシロキサン
(mol%は、全ビニル置換Si原子のシグナルの積分値に関する、−34.89〜−35.47ppmの29Si−NMRのシグナルの積分値に基づくものである(Pvinyl totは、上記のSiビニル原子の全濃度である))
(ii)任意成分である、成分(i)のポリオルガノシロキサン以外の、アルケニル基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iii)2以上のSiH基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iv)光活性化可能な1以上の遷移金属触媒
(v)任意成分である、1以上のフィラー
(vi)任意成分である、1以上の従来添加剤
この組成物は、特に連続成形品の製造に用いることができる。
【0124】
好ましくは、このような組成物は成分(i)〜(vi)を以下の量で含み、連続成形品の製造に用いることができる。
(i)100重量部
(ii)0〜100重量部、好ましくは0〜30重量部
(iii)0.1〜30重量部、好ましくは1〜10重量部
(iv)1〜100ppm、好ましくは2〜20ppm(成分(i)〜(iii)の全量に対する光活性遷移金属触媒中の遷移金属量に関する)
(v)0〜100重量部、好ましくは15〜60重量部
(vi)0〜15重量部、好ましくは0.01〜10重量部
【0125】
本発明による光硬化シリコーン押出成形物は好ましくは、ガラス繊維分離(isolation)、温度感受性基材のエラストマーシール等として飲食料品産業、医療用途、電気電子産業において用いられる。
【0126】
本発明はまた、以下を備える押出ラインに関し、これは特に本発明による光硬化シリコーン押出成形物の製造に用いることができる。
a)1以上の押出手段
b)1以上の照射手段
c)任意手段である、1以上の加熱手段
d)任意手段である、1以上の搬送手段
e)1以上の包装手段
【0127】
上記の押出ラインは、さらに押出混合物を作成する混合手段を備えてもよい。この混合手段には、例えばニーダー、2ロールミキサー、混合押出機、特に2軸押出機、LIST混合機、ZSK押出機、HENSCHEL混合機、BANBURY混合機、BUSSコニーダー(振動1軸混合機)等がある。
【0128】
好ましくは、2工程混合方法が用いられ、第1工程で、光活性遷移金属触媒を用いずに成分から押出混合物を調製し、第2工程で、光活性遷移金属触媒を添加して光活性押出混合物を作製する、なお、第2工程では光活性遷移金属触媒と共に他の成分を添加してもよい。光活性遷移金属触媒を添加する間及び光活性押出混合物を調製した後は、後の押出を困難又は不可能にさえする早期架橋を防ぐように注意する必要がある。光活性押出混合物の早期架橋は、例えば閉鎖装置の使用、特定の触媒の使用、黄色光(600〜650nm)又は赤色光(650nm〜1000nm)等の選択された波長の光によって防ぐことができる。光活性遷移金属触媒を活性化しない選択波長の光を用いる場合、2ロールミキサー等の開放装置を用いることができる。
【0129】
押出ラインの具体的な種類は、使用する顔料又はフィラーによって決まる。これら顔料又はフィラーが不透明(光耐性)である場合、これら不透明フィラー又は顔料が添加された後は光活性化は起こらない。このような場合、第1に混合物を光活性化し、その後不透明フィラー又は顔料と混合する必要がある。この場合、活性化工程と押出ダイを通過するときの最終成形工程の間の、押出混合物の平均滞留時間は、スコーチ時間(MImin+5、即ちムーニー粘度が最小値より5単位を超えて増加する時間)より短いと好ましい。そうでない場合、最終成形工程が困難又は不可能になる。
【0130】
ここで、本発明において工程a)〜e)は、必ずしもこれら工程を行う順序を規定するものではないことを強調する。上記のように本発明において、不透明フィラー又は顔料を用いる場合、必要に応じて照射工程を最終成形、好ましくは押出工程の前に行うこともできる。
【0131】
しかしながら、本発明の方法の好ましい実施形態では、照射工程を最終成形、好ましくは押出工程の後に行う場合、半透明混合物を作成する。即ちこのような方法は通常、押出用混合物を混合する第1工程を有し、この工程は好ましくは光活性触媒を混合する別の工程を含むことができる。第2工程では得られた混合物を押出成形機に送る。
成形用混合物の成分の混合工程を成形装置内、好ましくは押出機内で直接行うことも本発明の範囲である。このような押出機は複数の成分を導入する手段を有する。光活性触媒以外の混合物の全成分を、ニーダー等の通常の混合ユニットで混合し、押出用成形物に追加成分を導入する手段を有する成形装置、好ましくは押出機内で光活性触媒を加えることも本発明の範囲である。
【0132】
混合物を成形後、成形装置から取り出し、好適な搬送手段を用いて照射ステージへ送り、照射ステージでは光活性触媒を活性化する照射を行い、成形シリコーン組成物の硬化を開始する。混合物は光活性した触媒の作用によって硬化するので、通常、硬化を完了するために照射工程後に加熱工程は必要ないが、硬化時間を短くするために必要であれば行ってもよい。本発明の方法によって作製したシリコーン組成物は、通常その製造において高温を必要とせず、これが本発明の特に優れた点である。なぜなら加熱又は冷却手段が不要なので省エネルギーであり、さらに成形したシリコーン組成物の熱収縮もほぼ完全に防ぐことができるからである。
【0133】
一方、組成物は感熱性ではなく、即ち照射によって触媒の光活性化が始まるまでは硬化しないので、本発明によれば、通常成形装置、特に押出機を冷却する必要がない。本発明の方法が成形装置の冷却を必要としないことは、特に工業規模において大きな効果を示す。しかしながら、本発明の方法によって不透明フィラー又は顔料をシリコーン成形品の作成に用いる場合、触媒を活性化する照射工程を実施した後に追加の混合工程とそれに続く成形工程が必要となり、混合物のスコーチ時間を長くするために照射工程後に、活性化した混合物を冷却する必要がある場合がある。
【0134】
本発明で用いる成形装置として、例えば押出機、成形ロール等が挙げられる。
本発明において成形装置として用いることができる押出機としては、特に、成形用ダイと適切に一体化した1軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、ギア押出機等が挙げられ、特にWO03/024691による押出機が挙げられる。このような押出機は混合と押出しを1つのスクリューで統一できるためである。押出機は、成形被覆体又は絶縁体のためにクロスヘッドを有してもよい。本発明で使用可能な押出機は、0.01〜5000kg/時間のシリコーン組成物の処理能力を有していてもよい。好ましい大きさは1〜500kg/時間出力用に設計されたものである。従って、照射用チャンネルが約1秒以上の暴露時間を与えることができる場合、押出速度は最大で600m/分以上である。肉厚のチューブ又はプロフィールは好ましくは1〜20m/分で押出される。例えばワイヤー絶縁体等にはそれらに適した速い押出速度にできる。
【0135】
本発明で使用可能な1軸スクリュー押出機及びギア(ポンプ)押出機は、典型的にL/D比(直径に対する長さ)が例えば10:1〜25:1である。スクリュー径は例えば10〜150mmであり、好ましくは30〜90mmである。スクリュー長さは例えば5〜1000mmである。スクリュー回転(回転数/分)は、例えば10〜150RPMである。スクリューの圧縮比は1:1.1〜1:3とすべきであり、これは一定のコア径と変動する飛行距離(flight distance)、又は変動するコア径と一定の飛行距離によって得られる。問題のない連続供給と高出力のために、擦切れを防ぐために飛行は非常に深く、硬くし又は硬質金属によりコートすべきである。本発明の方法において、上述のように、押出工程中に発生したせん断熱によるスコーチを防ぐために、組成物を冷却するする必要がない。2軸押出機は、1軸スクリュー押出機と同じ大きさの、それぞれ同方向又は反対方向に回転するスクリューを有してもよい。しかしながら、本発明の方法においてこれらは上述したように混合工程の混合ユニット以外としては好ましくはない。
【0136】
本発明の方法で用いられる成形装置、特に押出機は垂直ユニットとして操作することもでき、この場合成形された組成物は自重で下方に落下するか、上部のモーター駆動ドラムによって上方に引き上げられる。本発明の方法に用いるのは水平成形装置、特に押出機が好ましい。このような操作は通常コンベヤーベルトを用いることが必要である。
【0137】
本発明によれば、シリコーン組成物に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルアセテート等の熱可塑性基材(本発明の方法は熱硬化が不要なので、これらは本発明の方法によって特に有利に処理できる)、ポリ乳酸、ポリカーボネート等の天然生分解性ポリマー、エンドレス発泡プロフィール等の発泡押出物等のプラスティック発泡品等の他の材料を合わせて共押出物とすることも可能である。
本方法は押出成形物が成形工程の直後に置かれるプラスティックボックスの封止体の製造方法を提供する。
【0138】
本発明の方法及び本発明の押出ラインにおける照射手段として、好ましくは波長180〜600nm、より好ましくは波長190〜500nmの光を発する通常の照射ユニットを用いる。光活性硬化性組成物が、アントラセン、キサントノン、アントラキノン誘導体から選択される適当な感光剤又は光開始剤を含む場合、波長180〜700nmの光を発する照射源を用いることもできる。ベンゾフェノン等の市販の感光剤を添加すると長波長での活性化が可能になり、又は光の収率が良くなる。照射源として好ましくはUV照射源が光活性に用いられ、フラッシュランプとして作用可能なキセノンランプ、非ドープ又は鉄若しくはガリウムドープのマーキュリーランプ、ブラックライトランプ、エキシマレーザー及びLEDから選択される。光照射強度(照射量×体積単位当たりの暴露時間)は、選択した方法、組成物、組成物温度を考慮して選択し、十分な処理時間を与えるように選択する。本発明の照射工程では市販の照射源を用いることができる。このような照射源は例えば消費電力が0.5〜20kWであり、照射ユニットの長さが5cm〜1mである。照射時間を長くするために、1より多い照射ユニットを直列に並べて配置することもできる。さらに反射体を放射状に取り付けると、光収率を高めることができる。押出成形物と光源の距離は好ましくは1cm〜100cmである。平均暴露時間(照射ユニットを通過するのに必要な時間)は、例えば1秒以上であり、好ましくは2〜50秒である。
【0139】
照射ユニットの後に設ける、任意に使用可能な追加の加熱手段としては、通常のもの、即ち熱気室、ストリップヒーター、ヒートラジエーターユニット、加熱マントル等が挙げられる。
【0140】
1以上の搬送手段、1以上の包装手段、及び/又はエンドレス押出物を切断する切断手段を用いることもできる。
【0141】
エンドレス押出物は、例えばコンベヤーベルトによって搬送し、最終的に切断及び/又は巻取及び/又は包装し、最終光硬化シリコーン成形品とする。
【0142】
本発明はさらに硬化シリコーン押出物を製造する連続押出方法を提供し、本方法は以下を含む:
・以下の成分を混合し、
(i)3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均が3000以上である、1以上の直鎖状ポリオルガノシロキサン
(ii)任意成分である、成分(i)のポリオルガノシロキサンとは異なる、アルケニル基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iii)2以上のSiH基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iv)1以上の光活性遷移金属触媒
(v)任意成分である、1以上のフィラー
(vi)任意成分である、1以上の従来の添加剤
・得られた混合物を押出機に送り、
・前記混合物をダイを通して押出し、連続押出成形物を得、
・得られた押出物を照射ステージへ搬送し、
・前記押出物に波長190〜600nmの光を照射し、連続硬化シリコーン押出成形物を得、
・前記連続硬化シリコーン押出成形物を回収し、及び
・任意に、前記連続硬化シリコーン押出成形物を切断する。
【実施例】
【0143】
実施例1
末端ビニルジメチルシロキシ単位0.03mol%、ペンダントビニルメチルシロキシ単位0.2mol%を有し、25℃の粘度が20×10Pa.s(P8000)であるポリジメチルシロキサン75重量部及び末端ビニルジメチルシロキシ単位0.03mol%、ペンダントビニルメチルシロキシ単位0.08mol%を有し、25℃の粘度が20×10Pa.s(P8000)であるポリジメチルシロキサン25重量部(成分(i))、6重量%オクタメチルシクロテトラシロキサンで処理し、BET表面積がca.200m/gであるヒュームドシリカ36重量部(成分(v))、OH含量が6.5重量%であるα,ω−ポリジメチルシロキサンジオール1重量部、テトラメチルジビニルジシラザン0.15重量部、メトキシ含量が7重量%であるα,ω−ジメトキシポリジメチルシロキサン1重量部(これら3成分は成分(vi))を、2ブレードニーダーで110℃で90分間混合し、揮発性物質を20mbarの減圧下、180〜190℃で2時間蒸発させる。
【0144】
続いてこの混合物を15分間冷却して65℃とした後、この組成物に、SiH含量が8.9mmol/g、粘度45mPa.sのトリメチルシロキシで末端キャップしたポリハイドロジェンメチル−ジメチルシロキサン(成分(iii))0.85重量部を加える。混合物に、暗所又はフィルターにかけたライト(黄色光)下で、η−メチルシクロペンタジエニル−トリメチル−白金(成分(iv))を、成分(i)〜(iii)に対して金属として4ppm白金金属加え、10分間混合する。
従って、組成物は成分(i)〜(iii)中に0.20mol%のMvi基とDvi基を有し、隣接ビニル基含量の計算値は0.00043mol%である。
【0145】
次に、触媒を含む混合物を光活性化し、RheomexとRheocord EU3Fa.Haake(スクリュー径19mm、L/D=14)を組み合わせた1軸スクリュー押出機で、24RPM(回転/分)で押出し、以下の条件下で硬化した。
押出成形物は、バルブ長10cm、出力2.4kWの鉄ドープUVランプを、押出速度1.5m/分で通過した。
【0146】
成形品は、外径5mm、内径3mmのチューブとした。押出品である連続ストランドは照射チャンネルの後方約1mで回収した。透明エラストマー押出チューブはほぼ完全に硬化し、問題なく巻取、保存できた。押出しストランドのDIN53501による硬度は、同じ組成物を25℃で日光にさらした後12時間UV光に60秒間さらして得た6mmのテストシートの硬度とほぼ同一であった。3×2mmシートのチューブの硬度を測定した結果、46°ショアA硬度であった。
【0147】
押出速度は6.1m/分まで上げることができ、この速度では押出ストランドはまだ押出成形物の変形を防ぎ、巻取りができるほどの架橋である。続く室温での保存中、数分後にストランドは完全に硬化する。従って、本発明の方法において、架橋工程を開始することのみに照射が基本的に必要とされ、これは押出速度を速くすることを可能とする。このことはシリコーンエラストマーの工業的生産において大きな利点である。押出速度は、照射強度及び/又は照射ユニット長さを増すことによってさらに速くすることができる。
【0148】
特定の厚さの押出物について、連続押出に適した照射時間を調べるために、実施例1のシリコーン組成物を厚さ2〜6.4mmのシートに成形し、照射時間を変えて同一のUVランプで照射を行った。硬化シートの物理特性を表1に示す。
【0149】
【表1】

【0150】
必要な照射時間は押出ししようとする物品の厚さに強く依存しないことが表1から分かる。
【0151】
実施例2
末端ビニルジメチルシロキシ単位0.03mol%、ビニルメチルシロキシ単位0.42mol%、即ち全ビニル基に対して0.45mol%(0.0609mmol/g)を有し、25℃の粘度が11×10Pa.s(P=6500)であるポリジメチルシロキサン100重量部を成分(i)として用い、BET表面積がca.200m/gであるヒュームドシリカ45重量部(成分(v))、OH基含量が7.5重量%であるα,ω−ジヒドロキシジメチルシロキサン6.5重量部(成分(vi))、ヘキサメチルジシラザン0.5重量部(成分(vi))を加えて組成物とする。
【0152】
全成分(i)、(v)、(vi)をニーダーで120℃で90分間混合し、その後揮発性物質を160℃で120分間蒸発させ、外部から濃縮した。
【0153】
65℃に冷却後、この組成物と、SiH基含量が7.4mmol/g、粘度40mPa.sのトリメチルシロキシ末端のポリハイドロジェンメチル−ジメチルシロキサン1重量部を15分間混合した。
【0154】
上記の組成物と、成分(i)〜(iii)に対して金属としての計算値4ppm白金のη−(メチルシクロペンタジエニル)−トリメチル−白金を暗所又は黄色光下で10分間混合する。
【0155】
組成物中のビニル基の全量は0.45mol%であり、成分(i)〜(iii)の隣接Si−ビニル基全量の計算値は0.0020mol%である。
【0156】
外径5mm、内径3mmのチューブを、24RPM、押出速度1.7m/分で押出すことができた。ムーニー粘度を測定した結果、MI/MI=34/32単位であった。光活性化又は触媒(iv)を省略した場合、未硬化チューブはダイでの成形工程後に1分超その形態を維持した。
【0157】
組成物は実施例1と同じ条件下で押出すことができた。押出品としての連続成形ストランドは、照射チャンネルの後方約1mで回収できた。透明エラストマー押出チューブはほぼ完全に硬化し、問題なく巻取、保存できた。
【0158】
この組成物の厚さ2mmのテスト成形シートを、長さ10cm、出力2kWの鉄ドープUVランプに、シートとの距離4cmで5秒及び10秒暴露した。3×2mmシートの硬度を測定した結果、20°及び22°ショアA硬度であり、各2mmシートでは33°/35°であり、これは組成物は押出操作に適した照射時間後に硬化可能であることを示す。
【0159】
実施例3
末端ビニルジメチルシロキシ単位0.03mol%、ビニルメチルシロキシ単位0.08mol%を有し、25℃の粘度が20×10Pa.sであるポリジメチルシロキサン100重量部を成分(i)として用い、6重量%オクタメチルシクロテトラシロキサンで処理し、BET表面積がca.200m/gであるヒュームドシリカ29重量部(成分(v))、OH基含量が6.5重量%であるα,ω−ジヒドロキシジメチルシロキサン1重量部(成分(vi))を加えて組成物とする。
【0160】
全成分(i)、(v)、(vi)をニーダーで50〜65℃で90分間混合し、SiH基含量が8.9mmol/g、粘度45mPa.sのトリメチルシロキシで末端キャップしたポリハイドロジェンメチル−ジメチルシロキサン(成分(iii))1.3重量部を加えてさらに15分間混合する。続いて、上記の組成物と、成分(i)〜(iii)に対して金属としての計算値4ppm白金のη−(メチルシクロペンタジエニル)−トリメチル−白金(成分(iv))を暗所又は黄色光下で10分間混合する。可溶成分(i)〜(iii)中のビニル基の全量は0.11mol%であり、成分(i)〜(iii)の隣接Si−ビニル基全量の計算値は0.00012mol%であった。
【0161】
ダイを通して組成物を押出速度2.4m/分で押出し、外径5mm、内径3mmのチューブを成形し、続いて、下流の長さ10cm、出力2kWの水銀ドープUVランプを通過させた。外径5mm、内径3mmの大きさのチューブは、光活性化又は触媒(iv)を省略した場合、ダイでの成形工程後に1分超その形態を維持した。
UVチャンネルを通過後、押出したチューブはほぼ完全に硬化し、問題なく保存できた。
【0162】
実施例4
末端ビニルジメチルシロキシ単位0.03mol%、ビニルメチルシロキシ単位0.18mol%を有し、25℃の粘度が16×10Pa.s(P=7500)であるポリジメチルシロキサン100重量部を成分(i)として用い、BET表面積がca.200m/gであるヒュームドシリカ45重量部(成分(v))、OH基含量が7.5重量%であるα,ω−ジヒドロキシジメチルシロキサン6.5重量部(成分(vi))、ヘキサメチルジシラザン0.5重量部(成分(vi))を加えて組成物とした。
【0163】
全成分(i)、(v)、(vi)をニーダーで120℃で90分間混合し、その後揮発性物質を160℃で120分間蒸発させ、外部から濃縮した。
【0164】
65℃に冷却後、この組成物と、SiH基含量が7.4mmol/g、粘度40mPa.sのトリメチルシロキシ末端のポリハイドロジェンメチル−ジメチルシロキサン(成分(iii))1重量部を15分間混合した。
【0165】
上記の組成物と、成分(i)〜(iii)に対して金属としての計算値4ppm白金のη−(メチルシクロペンタジエニル)−トリメチル−白金を暗所又は黄色光下で10分間混合する。
【0166】
成分(i)〜(iii)中のビニル基の全量は0.21mol%であり、CDClに溶解する成分(i)〜(iii)の隣接Si−ビニル基全量の計算値は0.00044mol%である。
【0167】
組成物は実施例1と同じ条件下で押出すことができた。連続成形チューブは照射チャンネルの後約1mで回収した。透明エラストマー押出チューブはほぼ完全に硬化し、問題なく巻取、保存できた。
【0168】
この組成物の厚さ2mmのテスト成形シートを、長さ10cm、出力2kWの鉄ドープUVランプに、シートとの距離4cmで5、10及び120秒間暴露した。3×2mmシートの硬度を測定した結果、36°,38°及び47°ショアA硬度であり、各2mmシートでは44°,45°及び51°ショアA硬度であり、これは組成物は押出操作に適した照射時間後に硬化可能であることを示す。ムーニー粘度を測定した結果、MI/MI=39/33単位であった。
【0169】
この材料を実施例1と同じスクリュー径を有する実験室の押出機にセットした場合、実施例1と同じ大きさのチューブを連続成形することができた。押出速度は1.7m/分であった。実施例1と同じランプに暴露した押出チューブには、粘着性の感触がほとんどない。ダイ通過後に成形チューブの光活性化又は触媒(iv)の添加を省略した場合、ダイ後に成形した形状は1分超その形態を維持した。
【0170】
実施例5
末端ビニルジメチルシロキシ単位0.03mol%、ビニルメチルシロキシ単位0.18mol%を有し、25℃の粘度が16×10Pa.s(P=7500)であるポリジメチルシロキサン85重量部、末端ビニルジメチルシロキシ単位0.035mol%、ビニルメチルシロキシ単位5.4mol%を有し、25℃の粘度が10×10Pa.s(P=6000)であるポリジメチルシロキサン15重量部を成分(i)として用い、BET表面積がca.200m/gであるヒュームドシリカ45重量部(成分(v))、OH基含量が7.5重量%であるα,ω−ジヒドロキシジメチルシロキサン6.5重量部(成分(vi))、ヘキサメチルジシラザン0.5重量部を加えて組成物とする。
【0171】
全成分をニーダーで120℃で90分間混合し、揮発性物質を160℃で120分間蒸発させ、外部で凝縮させた。
【0172】
65℃に冷却後、この組成物と、SiH基含量が7.4mmol/g、粘度40mPa.sのトリメチルシロキシ末端のポリハイドロジェンメチル−ジメチルシロキサン(成分(iii))2.7重量部を15分間混合した。
【0173】
上記の組成物と、成分(i)〜(iii)に対して金属としての計算値4ppm白金のη−(メチルシクロペンタジエニル)−トリメチル−白金を暗所又は黄色光下で10分間混合する。
【0174】
成分(i)〜(iii)中のビニル基の全量は0.99mol%であり、成分(i)〜(iii)の隣接Si−ビニル基全量の計算値(成分(i)〜(iii)の混合物中の各ポリマーにおける濃度の合計)は0.045mol%であった。
【0175】
この組成物の厚さ2mmのテスト成形シートを、長さ10cm、出力2kWの鉄ドープUVランプに60秒暴露した。テストシートはある程度硬化するが、標準的方法では硬度を測定できなかった。
【0176】
2回目で照射時間を150秒に延長し、60秒の場合と比較してチューブはより弾性になるが、十分硬化していなかった。
【0177】
実施例5は、一定時間の照射で達成される架橋度は、隣接アルケニル基の含量に依存することを示す。従って押出ラインにおける架橋に必要な照射時間を減少するために隣接アルケニル基の含量が少ないことが好ましい。
【0178】
実施例6
触媒(iv)の濃度を変更し、成分(i)〜(iii)に対して8ppm白金とした他は実施例1と同様に行った。L/D10.5:1、スクリュー径6.35cm(2.5インチ)、圧縮比/行程2.6:1、ベルトスピード4m/分(13ft/分)のシングルスクリュー押出機を用い、出力2.82kW(1インチ当たり0.47kW)の15.2cm(6インチ)鉄ハライドランプを通過させて組成物を押出し、外径10mm、内径3mm(0.375/0.125インチ)の大きさのチューブとした。押出物はある程度硬化するが依然として粘着性である。
【0179】
実施例7
触媒(iv)の濃度を変更し、16ppm白金とした他は実施例6と同様に行った。ベルトスピード7m/分(23ft/分)、15.2cm(6インチ)、1インチ当たりの出力0.47kWの鉄ハライドランプを通過させて組成物を押出し、外径16mm、内径3mm(0.625/0.125インチ)の大きさのチューブとした。押出物はほぼ完全に硬化し、46°ショアA硬度であり、粘着性はない。
【0180】
実施例8(比較例)
末端ビニルジメチルシロキシ単位及びビニルメチルシロキシ単位を有するポリジメチルシロキサン(i)を、25℃の粘度が1kPa.s、シロキシ単位の数平均が2500であるポリジメチルシロキサンに変えて、実施例4の組成物を混合した。
【0181】
実施例1と同じ大きさのチューブを成形するために、この材料を実施例1の実験室の押出機にセットしたとき、24RPM、押出速度2.1m/分が達成できた。
【0182】
しかし、光硬化していないチューブの形状は維持することができず、押出機の成形ダイの後1cm(成形ダイ通過後2秒以内に対応)で崩壊し、フラットなストランドになった。ムーニー粘度を測定したところ、MIは19単位であった。
【0183】
未硬化チューブの表面は、実施例4又は2の未硬化チューブよりも粘着性である。この比較例は、硬化工程中、成形した形状を維持するために、連続成形工程のポリマー(i)の粘度(即ち鎖長)が最小でなければならないことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む硬化シリコーン成形品の製造方法:
a)成形装置において、(i)〜(vi)を含む混合物を連続成形してシリコーン成形品を製造する成形工程、
(i)3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均が3000以上である、1以上の直鎖状ポリオルガノシロキサン
(ii)任意成分である、成分(i)のポリオルガノシロキサンとは異なる、アルケニル基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iii)2以上のSiH基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iv)1以上の光活性遷移金属触媒
(v)任意成分である、1以上のフィラー
(vi)任意成分である、1以上の従来の添加剤
b)光活性遷移金属触媒を光活性化する1以上の照射工程、
c)任意工程である、1以上の熱処理工程、
d)任意工程である、1以上の混合工程、
e)任意工程である、1以上の、連続硬化シリコーン成形品の切断及び/又は巻取及び/又は包装工程。
【請求項2】
ポリオルガノシロキサン(i)が1以上のペンダントアルケニル基を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
25℃でCDClに溶解する成分(i)〜(vi)の未硬化混合物の一部における、隣接Si−アルケニル基の含量が0.025mol%未満である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ポリオルガノシロキサン(i)の粘度が1.5kPas以上(25℃、せん断速度1s−1)である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
成形用混合物が成分(i)、(iii)、(iv)及び任意に(ii)、(v)、(vi)を含み、粘度が10ムーニー単位以上である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
光活性遷移金属触媒が、シグマ結合配位子を有する遷移金属錯体化合物から選択される請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
光活性遷移金属触媒が、シクロペンタジエニル、シクロオクタジエン、シクロオクタテトラエン、ノルボルナジエンから選択される1以上の配位子を有する遷移金属錯体化合物から選択される請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
フィラーが強化フィラーから選択される請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
成形装置が1以上の成形ダイを有する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
連続成形工程が押出工程であり、成形装置が押出機である請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
押出機が1軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機又はギア押出機から選択される請求項10に記載の方法。
【請求項12】
照射工程b)を波長190nm〜600nmの光で行う請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
熱処理工程(c)をオーブン温度50℃〜250℃で行う請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
熱処理工程(c)を成形品の表面温度20℃〜200℃で行う請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法によって得られる光硬化シリコーン押出成形物。
【請求項16】
シート、チューブ、ケーブル、ケーブルジャケット、ワイヤの絶縁体、プロフィール又は被覆体の形状を有する請求項15に記載の光硬化シリコーン押出成形物。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれかに記載の方法によって得られる光硬化シリコーン押出物と、1以上の他の押出材料を含む共押出成形物。
【請求項18】
シート、チューブ、ケーブル、ケーブルジャケット、プロフィール又は被覆体の形状を有する請求項17に記載の光硬化共押出成形物。
【請求項19】
3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均が3000以上であり、隣接アルケニル基含量が0.025mol%未満である1以上のポリオルガノシロキサンの、連続シリコーン成形品の製造のための使用。
【請求項20】
以下を含む組成物:
(i)3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均が3000以上である1以上のポリオルガノシロキサン
(ii)任意成分である、成分(i)のポリオルガノシロキサンとは異なる、アルケニル基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iii)2以上のSiH基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iv)1以上の光活性遷移金属触媒
(v)任意成分である、1以上のフィラー
(vi)任意成分である、1以上の従来添加剤。
【請求項21】
成分(i)〜(vi)を以下の量で含む請求項20記載の組成物:
(i)100重量部
(ii)0〜100重量部
(iii)0.1〜30重量部
(iv)1〜100ppm(成分(i)〜(iii)の全量に対する光活性遷移金属触媒中の遷移金属量に関する)
(v)0〜100重量部
(vi)0〜15重量部。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の組成物を光硬化して得られる硬化組成物。
【請求項23】
硬化連続成形品の製造のための請求項20又は21に記載の組成物の使用。
【請求項24】
ガラス繊維絶縁体として、飲食料品産業、医療用途、電気電子産業における請求項15に記載の光硬化シリコーン押出成形物の用途。
【請求項25】
以下を含む押出ライン:
a)1以上の押出手段
b)1以上の照射手段
c)任意手段である、1以上の加熱手段
d)任意手段である、1以上の搬送手段
e)1以上の包装手段。
【請求項26】
以下を含む硬化シリコーン押出物を製造する連続押出方法:
・以下の成分を混合し、
(i)3以上のアルケニル基を有し、GPCで測定したポリスチレン標準のジオルガノシロキシ単位の数平均が3000以上である、1以上の直鎖状ポリオルガノシロキサン
(ii)任意成分である、成分(i)のポリオルガノシロキサンとは異なる、アルケニル基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iii)2以上のSiH基を有する1以上のポリオルガノシロキサン
(iv)1以上の光活性遷移金属触媒
(v)任意成分である、1以上のフィラー
(vi)任意成分である、1以上の従来の添加剤
・得られた混合物を押出機に送り、
・前記混合物をダイを通して押出し、連続押出成形物を得、
・得られた押出物を照射ステージへ搬送し、
・前記押出物に波長190〜600nmの光を照射し、連続硬化シリコーン押出成形物を得、
・前記連続硬化シリコーン押出成形物を回収し、及び
・任意に、前記連続硬化シリコーン押出成形物を切断する。

【公表番号】特表2010−537018(P2010−537018A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522277(P2010−522277)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058717
【国際公開番号】WO2009/027133
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(509263478)モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ゲーエムベーハー (5)
【Fターム(参考)】