説明

成形品用樹脂組成物

【課題】 耐衝撃性、曲げ弾性率等の機械物性を損なうことなく、バイオマス由来樹脂をバイオマス由来樹脂以外の熱可塑性樹脂に高配合率で良好に相溶させた成形品用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 ポリカーボネート(a)のブロックと、ポリカルボジイミド(b)のブロックとから構成されるブロックポリマー(X)を含有する樹脂用相溶化剤(Z)、バイオマス由来樹脂(D)、および(D)以外の熱可塑性樹脂(E)を含有してなり、(D)、(E)、および(Z)の合計重量に基づく(Z)の含有量が0.1〜30%である成形品用樹脂組成物(Y)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成形品用樹脂組成物に関する。さらに詳しくはバイオマス由来樹脂と熱可塑性樹脂を良好に相溶させた成形品用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境保護の観点から、生分解性に優れるバイオマス由来樹脂をプラスチック原料として極力併用しようとする動きがある。しかしながら、該バイオマス由来樹脂を併用して各種成形品として用いた場合、他のプラスチック原料との相溶性(以下において分散性ということがある。)や、各種成形品にとくに求められるプラスチックの耐衝撃性等の機械物性の点で問題があった。
そこで、熱可塑性樹脂とバイオマス由来樹脂のブレンドによるバイオマス由来樹脂の耐衝撃性等の機械物性の改良が盛んに検討されている。例えば、該ブレンドに際して、特定分子量のポリアルキルメタクリレートや、メタクリル系重合体ブロック−アクリル系重合体ブロックを相溶化剤として使用する方法等が提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−126516号公報
【特許文献2】特開2010−70628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来技術では、熱可塑性樹脂とバイオマス由来樹脂のブレンドによる樹脂組成物を成形した場合に、相溶性や耐衝撃性、曲げ弾性率等の機械物性が未だ満足できるものではなく、改良が求められている。
本発明の目的は、耐衝撃性、曲げ弾性率等の機械物性を損なうことなく、バイオマス由来樹脂をバイオマス由来樹脂以外の熱可塑性樹脂に高配合率で良好に相溶させた成形品用樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、下記4発明である。
(I)ポリカーボネート(a)のブロックと、ポリカルボジイミド(b)のブロックとから構成されるブロックポリマー(X)を含有する樹脂用相溶化剤(Z)、バイオマス由来樹脂(D)、および(D)以外の熱可塑性樹脂(E)を含有してなり、(D)、(E)、および(Z)の合計重量に基づく(Z)の含有量が0.1〜30%である成形品用樹脂組成物(Y)。
(II)樹脂用相溶化剤(Z)と、バイオマス由来樹脂(D)および/または(D)以外の熱可塑性樹脂(E)とを含有してなり、(D)および/または(E)、並びに(Z)の合計重量に基づく(Z)の含有量が30〜80%である上記(I)の成形品用樹脂組成物(Y)用マスターバッチ樹脂組成物(MY)。
(III)上記(I)の成形品用樹脂組成物(Y)を成形してなる成形品。
(IV)上記(III)の成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品。
【発明の効果】
【0006】
本発明の成形品用樹脂組成物は下記の効果を奏する。
(1)バイオマス由来樹脂を、バイオマス由来樹脂以外の熱可塑性樹脂に高配合率で良好に相溶させた樹脂組成物である。
(2)該樹脂組成物を成形してなる成形品は、耐衝撃性、曲げ弾性率等の機械物性に優れる(バイオマス由来樹脂が配合された熱可塑性樹脂の機械物性が損なわれず、実質的に同等の機械物性が得られる。)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[樹脂用相溶化剤(Z)]
本発明の成形品用樹脂組成物(Y)は、バイオマス由来樹脂(D)、および(D)以外の熱可塑性樹脂(E)と共に、樹脂用相溶化剤(Z)を必須成分として含有する。(Z)は2種以上を併用してもよい。
(Z)は、ポリカーボネート(a)のブロックと、ポリカルボジイミド(b)のブロックとから構成されるブロックポリマー(X)を含有する。(X)としては、ポリカルボジイミド(b)のブロックが側鎖にバイオマス由来ポリマー(c)を有したものであってもよく、分散性の観点から好ましい。
なお、(Z)中には、(X)以外に、(X)の製造時の副反応により発生する、少量の不純物を含有していてもよい。
【0008】
ブロックポリマー(X)を構成するポリカーボネート(a)としては、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネートのいずれでもよい。芳香族ポリカーボネートとしては、ビスフェノール〔炭素数(以下Cと略記)12〜20、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等〕系ポリカーボネート、例えば上記ビスフェノールとホスゲンまたは炭酸ジエステルとの縮合物が挙げられる。脂肪族ポリカーボネートとしては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリシクロヘキセンカーボネート等の脂肪族ポリカーボネートおよびその誘導体、それらの共重合体等が挙げられる。
上記ポリカーボネート(a)のうち、分散性の観点から好ましいのは芳香族ポリカーボネートであり、さらに好ましいのはビスフェノールA系ポリカーボネートである。
【0009】
(a)のメルトフローレート(以下MFRと略記)は、樹脂物性の観点から、好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。(a)のMFRは、JIS K7210(1994年)に準じて(ポリカーボネート樹脂の場合は280℃、荷重2.16kgf)測定される。
【0010】
(X)を構成するポリカルボジイミド(b)としては、カルボジイミド基を2個以上有するカルボジイミド化合物であればよく、具体的にはポリ(4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等の芳香族ポリカルボジイミド;ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)等の脂環式ポリカルボジイミド;ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;などが挙げられる。これらは、単独で用いることも2種以上併用することもできる。これらの中でも、良好な分散性を得られることから、芳香族ポリカルボジイミド、および脂環式ポリカルボジイミドが好ましい。
【0011】
ブロックポリマー(X)中のポリカルボジイミド(b)のブロックが、必要により側鎖として有していてもよいバイオマス由来ポリマー(c)としては、具体的にはポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリトリメチレンテレフタレート、エステル化デンプン、セルロースアセテート、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0012】
これらのうち、後述するバイオマス由来樹脂(D)の、(D)以外の熱可塑性樹脂(E)への分散性の観点から、好ましいのはポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリトリメチレンテレフタレート、さらに好ましいのはポリ乳酸である。
【0013】
ポリ乳酸には、乳酸単独重合体を含む、乳酸成分が50重量%以上のポリマーが含まれる。具体例としては、
(1)ポリ乳酸
(2)乳酸と他の脂肪族オキシカルボン酸とのコポリマー
(3)乳酸、脂肪族多価アルコールと脂肪族多塩基酸とのコポリマー
(4)(1)〜(3)のいずれかの組み合わせによる混合物
等が挙げられる。
本発明で用いられる乳酸としては、L−、D−およびDL−乳酸、それらの混合物、および乳酸の環状二量体であるラクチドが挙げられる。
【0014】
ポリ乳酸の製造方法の具体例としては、下記の方法が挙げられるが、その製造方法は特に限定されることはない。
[1]乳酸、または乳酸と脂肪族オキシカルボン酸(グリコール酸、2−ヒドロキシ酪酸等)の混合物を原料として、直接脱水重縮合させる方法(例えば米国特許5310865号明細書記載の製造方法)
[2]乳酸の環状二量体(ラクチド)を溶融重合させる開環重合法(例えば米国特許2758987号明細書記載の製造方法)
[3]乳酸と脂肪族オキシカルボン酸の環状二量体、例えばラクチドやグリコリドとε−カプロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合させる開環重合法(例えば米国特許4057537号明細書記載の製造方法)
[4]乳酸、脂肪族二価アルコール(エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等)と脂肪族二塩基酸(マロン酸、アジピン酸等)の混合物を、直接脱水重縮合させる方法(例えば米国特許5428126号明細書記載の製造方法)
[5]ポリ乳酸と脂肪族二価アルコールと脂肪族二塩基酸とのポリマーを、有機溶媒存在下に縮合させる方法(例えば欧州特許公報0712880A2号明細書記載の製造方法)
[6]乳酸を触媒の存在下、脱水重縮合反応させることによりポリエステル重合体を製造するに際し、少なくとも一部の工程で固相重合させる方法。
【0015】
また、少量のトリメチロールプロパン、グリセリン(以下GRと略記)等の脂肪族多価(3〜4価)アルコール、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多塩基酸(3価〜6価またはそれ以上)、多糖類(4価〜8価またはそれ以上)等の多価アルコールを共存させて共重合させてもよく、またジイソシアネート化合物等の結合剤(高分子鎖延長剤)を用いて分子量を高めてもよく、ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキシド等の過酸化物で架橋させてもよい。
【0016】
ポリ乳酸の数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]や分子量分布は、特に制限されないが、バイオマス由来樹脂(D)との相溶性および工業上の観点から、Mnは好ましくは500〜150,000、さらに好ましくは1,000〜120,000、とくに好ましくは2,000〜100,000である。
分子量の調整は、モノマー濃度、その他原料濃度、反応温度等の条件を調整することで可能であり、高分子量ポリ乳酸の熱分解、加水分解、エステル交換等により低分子量化することでも調整可能である。
【0017】
前記GPCの測定条件は下記のとおりである。本発明において、以降における樹脂のMn、および重量平均分子量(以下Mwと略記)も同様の条件で測定するものとする。
<GPC測定条件>
[1]装置 :Waters150−CV[Waters(株)製]
[2]カラム :PLgel 10.MIXED−B[ポリマーラボラトリーズ(株)製]
[3]溶離液 :o−ジクロロベンゼン
[4]基準物質:ポリスチレン
[5]注入条件:サンプル濃度3mg/ml、カラム温度135℃
【0018】
ポリヒドロキシブチレートには、発酵合成法および化学合成法により得られるものが含まれる。発酵法により得られるポリヒドロキシブチレートは、ポリ[(R)−3−ヒドロキシブタン酸](ホモポリマー)であり、化学合成法で得られるものは、ポリ[(R)−3−ヒドロキシブタン酸]とポリ[(S)−3−ヒドロキシブタン酸]との混合物(ラセミ体)である。
ここにおいて、(R)は不斉中心炭素原子に結合している4個の基を順位法則の優先性の高い順(水酸基、CHCOOH基、メチル基、H)に右回りを表し、(S)は左回りを表す。
【0019】
ポリヒドロキシブチレートの製造方法の具体例としては、下記の方法が挙げられるが、その製造方法は特に限定されることはない。
[1]ポリヒドロキシブチレート生産能を有している微生物を炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じその他の有機成分を含有する通常の培地で培養することにより、菌体内にポリヒドロキシブチレートを蓄積させ、クロロホルム等の有機溶媒により抽出する方法(例えば特開平9−131186号公報記載の製造方法)。
[2]ポリヒドロキシブチレート合成遺伝子を含む組換えDNAを導入して形質転換させた微生物を培養し、その菌体内に生成したポリヒドロキシブチレートを採取する方法(例えば特開平10−176070号公報記載の製造方法)。
[3]ヒドロキシブタン酸を原料として、直接脱水重縮合させる方法(例えば米国特許5310865号明細書記載に示されている製造方法)
[4]β−ブチロラクトンを、触媒の存在下、溶融重合させる開環重合法(例えば特開平11−323115号公報記載の製造方法)
【0020】
ポリヒドロキシブチレートのMnや分子量分布は、特に制限されないが、バイオマス由来樹脂(D)との相溶性および工業上の観点から、Mnは好ましくは500〜2,000,000、さらに好ましくは1,000〜1,000,000、特に好ましくは2,000〜500,000である。
分子量の調整は、モノマー濃度、その他原料濃度、反応温度等の条件を調整することで可能であり、高分子量ポリヒドロキシブチレートの熱分解、加水分解、エステル交換等により低分子量化することでも調整可能である。
【0021】
ポリトリメチレンテレフタレートには、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸から得られるものが含まれる。ここで1,3−プロパンジオールは植物発酵により製造されるものである。1,3−プロパンジオールの製造方法としては特に限定されることはないが、例えば、トウモロコシ等の植物を発酵させてグルコースを製造し、1,3−プロパンジオールに変換する方法等が挙げられる(特公表2006−504412号公報記載の方法等)。
【0022】
1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の反応は、公知の方法(例えば、米国特許5428126号明細書記載の製造方法)により行われる。
【0023】
ポリトリメチレンテレフタレートのMnや分子量分布は、特に制限されないが、バイオマス由来樹脂(D)との相溶性および工業上の観点から、Mnは好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜80,000、特に好ましくは2,000〜50,000である。
分子量の調整は、モノマー濃度、その他原料濃度、反応温度等の条件を調整することで可能であり、高分子量ポリトリメチレンテレフタレートの熱分解、加水分解、エステル交換等により低分子量化することでも調整可能である。
【0024】
エステル化デンプンとしては、例えば特開2006−299271号公報に記載のもの、すなわちデンプンのC2〜22エステル、例えばデンプンの酢酸エステル、デンプンのプロピオン酸エステル、デンプンの酪酸エステル、デンプンのペンタン酸エステルおよびデンプンのヘキサン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のデンプンエステルが挙げられる。
【0025】
セルロースアセテートとしては、例えば特開2008−56768号公報に記載のもの、例えばセルローストリアセテート、その他のアセチル化度の異なるセルロースアセテートが挙げられる。
【0026】
エステル化デンプンおよびセルロースアセテートのMnや分子量分布は、特に制限されないが、バイオマス由来樹脂(D)との相溶性および工業上の観点から、Mnは好ましくは500〜100,000、さらに好ましくは1,000〜80,000、特に好ましくは2,000〜50,000である。
【0027】
ブロックポリマー(X)を構成するポリカーボネート(a)のブロックと、ポリカルボジイミド(b)のブロック〔(c)を側鎖に有する場合は(c)の重量も含む〕との重量比は、分散性の観点から、好ましくは5/95〜99.9/0.1、さらに好ましくは10/90〜99.5/0.5である。
(X)を構成するポリカルボジイミド(b)のブロックが、バイオマス由来ポリマー(c)を側鎖に有する場合、(X)における(a)のブロックと、(c)との重量比は、分散性の観点から、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは80/20〜20/80、特に好ましくは70/30〜30/70である。
また、(X)中の、(a)と(c)との合計重量に基づく(b)のブロック〔(c)の部分は除く〕の割合は、分散性の観点から、好ましくは0.1〜40%、さらに好ましくは0.3〜35%、特に好ましくは0.5〜30%である。
【0028】
樹脂用相溶化剤(Z)のMnは、分散性の点から、好ましくは1,000〜5,000,000、さらに好ましくは2,000〜3,000,000、特に好ましくは2,500〜2,000,000である。
【0029】
[樹脂用相溶化剤(Z)の製造方法]
ブロックポリマー(X)を含有する樹脂用相溶化剤(Z)の具体的な製造方法としては、イソシアネート基と反応性の官能基を末端に有するポリカーボネート(a1)と、イソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド(b1)とを反応させる方法や、ポリカーボネート(a)と、末端に水酸基を有するポリカルボジイミド(b2)とのエステル交換反応を行う方法などが挙げられる。
また、(b)がバイオマス由来ポリマー(c)を側鎖に有する場合の(c)のグラフト方法としては、上記(a)と(b)のブロック反応物にカルボキシル基および/またはアミノ基を有するバイオマス由来ポリマー(c1)をグラフト反応させる方法などが挙げられる。
【0030】
前記方法で使用する(a1)について、イソシアネート基と反応性の末端官能基としては水酸基、チオール基、アミノ基などが挙げられる。これら官能基の導入方法については特に限定しないが、たとえばジオールやアミノアルコールのケチミン化物を用いてポリカーボネートとのエステル交換反応を行い(アミノアルコールのケチミン化物を用いた場合はエステル交換反応後、加水分解することにより)、末端水酸基、もしくは末端アミノ基を有するポリカーボネートを合成する方法などがある。
ここで使用するジオールとしては、相溶化剤とした際の相溶性の観点から、低分子ジオールが好ましく、具体例としては、炭素数2〜8の脂肪族ジオール[直鎖ジオール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、分岐鎖を有するジオール(プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−もしくは2,3−ブタンジオールなど)など];環状基を有するジオール[炭素数6〜15の脂環基含有ジオール〔1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、水添ビスフェノールAなど〕、炭素数8〜20の芳香環含有ジオール(m−もしくはp−キシリレングリコールなど)、ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなど)のオキシアルキレンエーテル、多核フェノール(ジヒドロキシナフタレンなど)のオキシアルキレンエーテル、ビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど];これらのアルキレンオキサイド付加物(分子量500未満)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
低分子ジオールのうち好ましいものは、反応性の観点から炭素数2〜8の脂肪族ジオールであり、特に好ましいものはエチレングリコールまたは1,3−プロパンジオールである。
アミノアルコールのケチミン化物は第1級アミノアルコールとケトンの脱水縮合反応によって得られる。第1級アミノアルコールとしては炭素数2〜20のもの、具体例としてはモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、モノヘキサノールアミン等が挙げられる。ケトンとしては炭素数3〜9の脂肪族または脂環族ケトン化合物、具体例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、反応性と相溶性の観点からアミノアルコールとしてはモノエタノールアミン、ケトンとしてはメチルエチルケトンである。
ケチミン化反応については従来の公知の方法で行うことができる。反応温度は20〜150℃が好ましく、20℃以上が反応速度の観点から、また150℃以下が副反応を抑制する観点から好ましい。また脱水縮合反応で生成する水はそのまま系外へ除去してもよく、また過剰に投入したケトンと共に留去しながら反応させてもよい。
エステル交換反応については従来公知の方法でそのまま行うことができる。反応温度は80〜180℃が好ましく、80℃以上が反応速度の観点から、また180℃以下が副反応を抑制する観点から好ましい。また本エステル交換反応は溶剤を使用することもでき、好ましい溶剤の具体例としては、キシレン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略記)などが挙げられる。
アミノアルコールのケチミン化物を用いた場合はエステル交換反応後、加水分解反応を行うことで、末端アミノ基を有するポリカーボネートを合成することができる。加水分解反応は通常の反応条件で行うことができ、たとえばエステル反応後の系中に水を仕込み、反応温度20〜80℃で1〜2時間攪拌することで得られる。生成したケトンおよび水はそのまま系外へ留去してもよく、再沈澱することで除去してもよい。
【0031】
イソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド(b1)ついて、官能基の導入方法は特に限定しないが、少なくとも一種の多価イソシアネート化合物を用いて脱炭酸縮合によりポリカルボジイミドを製造した後、末端のイソシアネート基をそのまま残す方法などが挙げられる。
多価イソシアネート化合物の具体例としては、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート;キシレンジイソシアネート、ピリジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、分散性の観点から脂環式ポリイソシアネート、および芳香族ポリイソシアネートである。
【0032】
前記方法で使用する末端に水酸基を有するポリカルボジイミド(b2)について、水酸基導入方法については特に限定しないが、たとえばイソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド(b1)の末端イソシアネート基とジオールもしくはアミノアルコールをウレタン化反応させ、末端の水酸基化を行う方法などが挙げられる。
ここで用いられるジオール、アミノアルコールは前述の低分子ジオール、モノおよびジアルカノールアミンをそのまま使用することができ、ジオールとして好ましいものはエチレングリコールおよび1,3−プロパンジオール、アミノアルコールとして好ましいものはモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンおよびモノブタノールアミンである。
【0033】
ウレタン化反応は従来公知の方法でそのまま行うことができ、反応温度としては60〜90℃が好ましく、60℃以上が反応速度の観点から、また90℃以下が副反応を抑制する観点から好ましい。
またウレタン化反応を促進させる目的で、従来からポリウレタン製造に使用されているウレタン化触媒を使用してもよく、ウレタン化触媒としては、例えば金属化合物(有機ビスマス化合物、有機スズ化合物、有機チタン化合物等)、4級アンモニウム塩および3級アミンが挙げられる。
金属化合物のうち、有機ビスマス化合物には、有機ビスマスカルボキシレート、有機ビスマスアルコキシド、およびジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物が含まれる。
有機ビスマスカルボキシレートとしては、ビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)、ビスマストリ(デカノエート)等が挙げられる。
有機ビスマスアルコキシドとしては、トリブトキシビスマス、トリ−2−エチルへキシロキシビスマス等が挙げられる。
ジカルボニル基を有する化合物とビスマスとのキレート化合物において、ジカルボニル基を有する化合物には、C4〜15、例えばアセチルアセトン、アセチル酢酸、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートが含まれる。該キレート化合物の具体例としては、ビス(アセチルアセトン)ビスマス等が挙げられる。
有機スズ化合物には、2価のスズ化合物(スタナスオクトエート等)および4価のスズ化合物(トリメチルチンラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジラウレート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンマレエート等)が含まれる。
有機チタン化合物には、テトラアルキル(アルキル基はC4〜12)チタネート、アルキレンカルボン酸(C4〜12)チタンが含まれる。4級アンモニウム塩には、テトラアルキル(アルキル基はC1〜4)アンモニウムブロマイド、テトラアルキル(アルキル基はC1〜4)アンモニウムパークロレート等が含まれる。
アミン化合物には、C6〜20の3級アミン、例えばトリエチレンジアミン、テトラアルキル(アルキル基はC1〜3)アルキレン(C2〜6)ジアミン(テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキシレンジアミン等)、ジアザビシクロアルケン{1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7〔DBU[サンアプロ(株)製、登録商標]〕}が含まれる。
これらのうち、反応活性と副反応性の観点から、好ましいのは有機スズ化合物およびアミン化合物である。
本ウレタン化反応は溶剤を使用することもでき、好ましい溶剤の具体例としては、キシレン、トルエン、メチルエチルケトン、DMFなどが挙げられる。
【0034】
カルボキシル基および/またはアミノ基を有するバイオマス由来ポリマー(c1)について、官能基の導入方法については特に限定しないが、たとえばバイオマス由来樹脂(D)を加水分解し、カルボキシル基を有する(c1)を得る方法や、アミノアルコールによるエステル交換反応によりアミノ基を有する(c1)を得る方法などが挙げられる。
ここで使用するアミノアルコールは前述のアミノアルコールと同様のものを使用することができる。
加水分解反応およびエステル交換反応は従来公知の方法でそのまま行うことができ、反応温度は80〜150℃が好ましい。80℃以上が反応速度の観点から、また150℃以下が副反応を抑制する観点から好ましい。
また、本加水分解およびエステル交換反応は溶剤を使用することもでき、好ましい溶剤の具体例としては、DMFが挙げられる。
さらに上記方法以外にも、カルボキシル基を有する(c1)は、後述する混練時〔樹脂用相溶化剤(Z)と、バイオマス由来樹脂(D)、および(D)以外の熱可塑性樹脂(E)の混錬時〕もしくは後述する成形品用樹脂組成物(Y)の成形時に加水分解によって生成するため、(c1)の合成およびグラフト反応は、混錬時もしくは成形時に並行して行ってもよい。
【0035】
イソシアネート基と反応性の官能基を末端に有するポリカーボネート(a1)とイソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド(b1)とのブロック化反応は、前述のウレタン化反応の条件(反応温度、使用溶剤等)をそのまま行うことができる。また前述のウレタン化触媒を用いることで反応を促進させることも可能である。
ポリカーボネート(a)と末端に水酸基を有するポリカルボジイミド(b2)とのエステル交換反応は、前記の(a1)製造時のエステル交換反応と同様の方法が挙げられる。 また、得られた(a)と(b)のブロック反応物に、カルボキシル基および/またはアミノ基を有するバイオマス由来ポリマー(c1)をグラフト反応させる方法としては、これらを混合後、80〜150℃で攪拌する方法が挙げられる。80℃以上が反応速度の観点から、また150℃以下が副反応を抑制する観点から好ましい。また上記反応は溶剤を使用することもでき、好ましい溶剤の具体例としては、DMFである。
【0036】
[バイオマス由来樹脂(D)]
本発明の成形品用樹脂組成物(Y)に含有されるバイオマス由来樹脂(D)としては、前記のバイオマス由来ポリマー(c)と同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。(D)は2種以上を併用してもよい。
【0037】
[熱可塑性樹脂(E)]
本発明の成形品用樹脂組成物(Y)に含有される、バイオマス由来樹脂(D)以外の熱可塑性樹脂(E)としては、具体的にはビニル樹脂〔ポリオレフィン樹脂(E1)[例えばポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂等]、ポリ(メタ)アクリル樹脂(E2)[例えばポリメタクリル酸メチル等]、ポリスチレン樹脂(E3)[ビニル基含有芳香族炭化水素単独またはビニル基含有芳香族炭化水素と、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを構成単位とする共重合体、例えばポリスチレン、高耐衝撃性ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AN樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)等]等〕;ポリエステル樹脂(E4)[例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート等];ポリアミド樹脂(E5)[例えばナイロン66、ナイロン69、ナイロン612、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6/66、ナイロン6/12等];ポリカーボネート樹脂(E6)[例えばポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイ等];ポリアセタール樹脂(E7)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0038】
これらのうちバイオマス由来樹脂(D)の(E)への分散のしやすさの観点から好ましいのは、ビニル樹脂[(E1)〜(E3)]、ポリエステル樹脂(E4)およびポリカーボネート樹脂(E6)であり、さらに好ましいのは(E4)および(E6)である。
【0039】
ビニル樹脂[(E1)〜(E3)]は、以下のビニルモノマーを種々の重合法(ラジカル重合法、チーグラー触媒重合法、メタロセン触媒重合法等)により(共)重合させることにより得られる。
【0040】
ビニルモノマーとしては、不飽和炭化水素(脂肪族炭化水素、芳香環含有炭化水素、脂環式炭化水素等)、(メタ)アクリロイル基含有モノマー、その他の不飽和モノ−もしくはジカルボン酸およびその誘導体、不飽和アルコールのカルボン酸エステル、不飽和アルコールのアルキルエーテル、ハロゲン含有ビニルモノマー並びにこれらの2種以上の組合せ(ランダムおよび/またはブロック)等が挙げられる。
【0041】
脂肪族炭化水素としては、C2〜30のオレフィン[エチレン、プロピレン、C4〜30のα−オレフィン(1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等)等]、C4〜30のジエン[アルカジエン(ブタジエン、イソプレン等)、シクロアルカジエン(シクロペンタジエン等)等]等が挙げられる。
【0042】
芳香環含有炭化水素としては、C8〜30の、スチレンおよびその誘導体、例えばo−、m−およびp−アルキル(C1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(C1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)およびハロゲン化スチレン(クロロスチレン等)が挙げられる。
【0043】
(メタ)アクリロイル基含有モノマーとしては、C3〜30のもの、例えば(メタ)アクリル酸およびその誘導体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸の誘導体としては、例えばアルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等]、ヒドロキシアルキル(C2〜20)(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、モノ−およびジ−アルキル(C1〜4)アミノアルキル(C2〜4)(メタ)アクリレート[メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、シアノ基含有モノマー[(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等]、不飽和カルボン酸アミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等]およびエポキシ基含有モノマー[(メタ)クリル酸グリシジル等]が挙げられる。
【0044】
その他の不飽和モノ−およびジカルボン酸としては、C2〜30(好ましくは3〜20、より好ましくは4〜15)の不飽和モノ−およびジカルボン酸、例えば、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸等が挙げられ、その誘導体としては、C5〜30、例えばモノ−およびジアルキル(C1〜20)エステル、酸無水物(無水マレイン酸等)および酸イミド(マレイン酸イミド等)等が挙げられる。
【0045】
不飽和アルコールのカルボン酸エステルとしては、不飽和アルコール[C2〜6、例えばビニルアルコール、(メタ)アリルアルコール]のカルボン酸(C2〜4、例えば酢酸、プロピオン酸)エステル(酢酸ビニル等)が挙げられる。
不飽和アルコールのアルキルエーテルとしては、上記不飽和アルコールのアルキル(C1〜20)エーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等)が挙げられる。
ハロゲン含有ビニルモノマーとしては、C2〜12、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン およびクロロプレンが挙げられる。
【0046】
ポリオレフィン樹脂(E1)としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体[共重合比(重量比)=0.1/99.9〜99.9/0.1]、プロピレンおよび/またはエチレンと他のα−オレフィン(C4〜12)の1種以上との共重合体(ランダムおよび/またはブロック付加)[共重合比(重量比)=99/1〜5/95]、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]、エチレン/エチルアクリレート共重合体(EEA)[共重合比(重量比)=95/5〜60/40]等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、ポリプロピレン、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレンおよび/またはエチレンとC4〜12のα−オレフィンの1種以上との共重合体[共重合比(重量比)=90/10〜10/90、ランダムおよび/またはブロック付加]である。
【0047】
(E1)のMFRは、樹脂物性の観点から、好ましくは0.5〜150、より好ましくは1〜100である。(E1)のMFRは、JIS K6758に準じて(ポリプロピレンの場合:230℃、荷重2.16kgf、ポリエチレンの場合:190℃、荷重2.16kgf)測定される。
【0048】
ポリ(メタ)アクリル樹脂(E2)としては、例えば前記(メタ)アクリロイル基含有モノマー〔アルキル(C1〜20)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル等〕の1種以上の(共)重合体[ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等]およびこれらのモノマーの1種以上と共重合可能な前記ビニルモノマーの1種以上との共重合体[アクリルモノマー/ビニルモノマー共重合比(重量比)は樹脂物性の観点から、好ましくは5/95〜95/5、より好ましくは50/50〜90/10]が含まれる。
【0049】
(E2)のMFRは、樹脂物性の観点から、好ましくは0.5〜150、より好ましくは1〜100である。(E2)のMFRは、JIS K7210(1994年)に準じて[ポリアクリル樹脂(E2)の場合は230℃、荷重1.2kgf]測定される。
(E2)の結晶化度は、樹脂物性の観点から、好ましくは0〜98%、より好ましくは0〜80%、特に好ましくは0〜70%である。
結晶化度は、X線回折、赤外線吸収スペクトル等の方法によって測定される〔「高分子の固体構造−高分子実験学講座2」(南篠初五郎)、42頁、共立出版1958年刊参照〕。
【0050】
ポリスチレン樹脂(E3)としては、ビニル基含有芳香族炭化水素単独またはビニル基含有芳香族炭化水素と、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルおよびブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種とを構成単位とする共重合体が挙げられる。
ビニル基含有芳香族炭化水素としては、C8〜30の、スチレンおよびその誘導体、例えばo−、m−およびp−アルキル(C1〜10)スチレン(ビニルトルエン等)、α−アルキル(C1〜10)スチレン(α−メチルスチレン等)およびハロゲン化スチレン(クロロスチレン等)が挙げられる。
(E3)の具体例としては、ポリスチレン、高耐衝撃性ポリスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン/アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)[共重合比(重量比)=70/30〜80/20]、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)[共重合比(重量比)=60/40〜90/10]、スチレン/ブタジエン共重合体[共重合比(重量比)=60/40〜95/5]、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS樹脂)[共重合比(重量比)=(20〜30)/(5〜40)/(40〜70)]、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレン共重合体(MBS樹脂)[共重合比(重量比)=(20〜30)/(5〜40)/(40〜70)]、メタクリル酸メチル/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(MABS樹脂)[共重合比(重量比)=(48〜70)/(0〜5)/(2〜20)/(25〜50)]等が挙げられる。
【0051】
(E3)のMFRは、樹脂物性の観点から、好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。(E3)のMFRは、JIS K6871(1994年)に準じて(ポリスチレン樹脂の場合は230℃、荷重1.2kgf)測定される。
【0052】
ポリエステル樹脂(E4)としては、芳香環含有ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等)および脂肪族ポリエステル(ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトン等)が挙げられる。
【0053】
(E4)の固有粘度[η]は、樹脂物性の観点から、好ましくは0.1〜4、より好ましくは0.2〜3.5、特に好ましくは0.3〜3である。ここにおいて[η]はポリマーの0.5重量%オルトクロロフェノール溶液について、25℃でウベローデ1A粘度計を用いて測定される値(単位はdl/g)である。
【0054】
ポリアミド樹脂(E5)としてはアミノ酸ラクタム、あるいはジアミンとジカルボン酸とから構成される溶融重合および溶融成形可能なポリマー全般であり、具体的には(1)炭素原子数4〜12の有機ジカルボン酸と炭素原子数2〜13の有機ジアミンとの重縮合物、たとえばヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアジパミド[ナイロン66]、ヘキサメチレンジアミンとアゼライン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンアゼラミド[ナイロン69]、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンセバカミド[ナイロン610]、ヘキサメチレンジアミンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリヘキサメチレンドデカノアミド[ナイロン612]、ビス−p−アミノシクロヘキシルメタンとドデカンジオン酸との重縮合物であるポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカン、(2)ω−アミノ酸の重縮合物、たとえばω−アミノウンデカン酸の重縮合物であるポリウンデカンアミド[ナイロン11]、(3)ラクタムの開環重合物、たとえばε−アミノカプロラクタムの開環重合物であるポリカプラミド[ナイロン6]、ε−アミノラウロラクタムの開環重合物ポリラウリックラクタム[ナイロン12]などが挙げられる。またこれらから成るコポリマーも使用することができ、たとえばポリカプラミド/ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6/66)、ポリカプラミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ナイロン6/12)等が挙げられる。
【0055】
(E5)のMFRは、樹脂物性の観点から、好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。(E5)のMFRは、JIS K7210(1994年)に準じて(ポリアミド樹脂の場合は230℃、荷重0.325kgf)測定される。
【0056】
ポリカーボネート樹脂(E6)としては、前記ポリカーボネート(a)が挙げられる。(E6)のMFRは、樹脂物性の観点から、好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。(E6)のMFRは、JIS K7210(1994年)に準じて(ポリカーボネート樹脂の場合は280℃、荷重2.16kgf)測定される。
【0057】
ポリアセタール樹脂(E7)は、オキシメチレン基を主たる構造単位とする高分子化合物であり、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンなどの単量体の1種又は2種以上からなる重合体;該単量体とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、オキサシクロブタン、1,3−ジオキソランなどの環状エーテルとからなる共重合体;該単量体とβ−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトンなどの環状エステルとの共重合体などを挙げることができる。
【0058】
(E7)のMFRは、樹脂物性の観点から、好ましくは0.5〜150、さらに好ましくは1〜100である。(E7)のMFRは、JIS K7210(1994年)に準じて(ポリアセタール樹脂の場合は190℃、荷重2.16kgf)測定される。
【0059】
[成形品用樹脂組成物(Y)]
本発明の成形品用樹脂組成物(Y)は、バイオマス由来樹脂(D)、熱可塑性樹脂(E)および樹脂用相溶化剤(Z)を含有してなり、後述する方法で成形される。
(Y)における(D)と(E)の重量比は、成形品の機械物性および環境対応の観点から、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは15/85〜75/25、とくに好ましくは20/80〜60/40、最も好ましくは25/75〜50/50である。
【0060】
樹脂用相溶化剤(Z)を、バイオマス由来樹脂(D)および/または熱可塑性樹脂(E)に含有させて、(Z)、(D)、(E)を含有する成形品用樹脂組成物(Y)とし、後述の耐衝撃性に優れる成形品の成形に供する。
成形品用樹脂組成物(Y)の製造方法には、次の[1]、[2]の方法が含まれる。
[1](Z)、(D)、(E)、および必要により後述の添加剤(F)を、得ようとする成形品中の割合と同じ割合で一括混合して(Y)とする方法。
[2](Z)の全量、(D)の一部および/または(E)の一部、並びに必要により(F)の一部もしくは全量を混合して、高濃度の樹脂用相溶化剤(Z)を含有するマスターバッチ樹脂組成物(MY)を一旦作成し、その後残りの(D)、(E)、並びに必要により(F)の残りを加えて混合し(Y)とする方法。
これらの方法のうち、(Z)の混練効率の観点から、好ましいのは[2]の方法である。
【0061】
上記マスターバッチ樹脂組成物(MY)における樹脂用相溶化剤(Z)の含有量は、バイオマス由来樹脂(D)と熱可塑性樹脂(E)との相溶性および工業上の観点から、(D)および/または(E)、並びに(Z)の合計重量に基づいて、30〜80%であり、好ましくは40〜60%である。
成形品用樹脂組成物(Y)における樹脂用相溶化剤(Z)の含有量は、バイオマス由来樹脂(D)と熱可塑性樹脂(E)の相溶性および工業上の観点から(D)、(E)および(Z)の合計重量に基づいて0.1〜30%であり、好ましくは0.5〜20%、さらに好ましくは1〜15%である。
【0062】
上記樹脂用相溶化剤(Z)を含有する樹脂組成物[マスターバッチ樹脂組成物(MY)および成形品用樹脂組成物(Y)]の具体的な混合、混練方法としては、例えば
<1> 樹脂用相溶化剤(Z)、バイオマス由来樹脂(D)および/または熱可塑性樹脂(E)、並びに必要により添加剤(F)を、例えば粉体混合機〔ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー[商品名、Farrel(株)製]等〕で、例えば0〜80℃で混合した後、溶融混練装置{バッチ混練機(反応槽等)、連続混練機〔FCM[商品名、Farrel(株)製]、LCM[商品名、(株)神戸製鋼所製]、CIM[商品名、(株)日本製鋼所製]等〕、単軸押出機、二軸押出機等}を使用して、120〜280℃で2〜30分間混練する方法;
<2> (Z)、(D)および/または(E)、並びに必要により(F)を上記粉体混合をすることなく、上記と同様の溶融混練装置を使用して、同様の条件で直接混練する方法;
<3> (Z)、(D)および/または(E)、並びに必要により(F)を、撹拌機付きの混合槽で、必要により溶媒(トルエン、キシレン等)の存在下、60〜140℃で混合し、溶媒を使用した場合、減圧下で溶媒を除く方法、
等が挙げられる。
これらの方法のうち、混練効率、生産性の観点から<1>の方法が好ましい。
【0063】
[添加剤(F)]
本発明の樹脂組成物[マスターバッチ樹脂組成物(MY)および成形品用樹脂組成物(Y)]は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により種々の添加剤(F)を含有させることができる。
(F)としては、着色剤(F1)、難燃剤(F2)、充填剤(F3)、帯電防止剤(F4)、酸化防止剤(F5)および紫外線吸収剤(F6)からなる群から選ばれる1種または2種以上が挙げられる。
【0064】
着色剤(F1)としては、顔料、染料等が挙げられ、顔料としては、例えば白色顔料(酸化チタン、亜鉛華、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等)、黒色顔料(カーボンブラック、鉄黒、アニリンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等)、黄色顔料(黄鉛、カドミイエロー、酸化鉄イエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、オイルイエロー2G等)、橙色顔料(赤口黄鉛、クロムバーミリオン、カドミオレンジ、ピラゾロンオレンジ等)、赤色顔料(ベンガラ、カドミレッド、パーマネントレッド、レーキレッドC、カーミン6B、ピグメントスカーレット3B、パーマネントレッドF5R、キナクリドンレッド、チオインジゴマルーン等)、紫色顔料(コバルトバイオレット、ミネラルバイオレット等)、青色染顔料(群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー等)、緑色顔料(フタロシアニングリーン、クロムグリーン等)、金属粉末顔料(アルミ粉、ブロンズ粉、パールエッセンス等);染料としては、例えばアゾ、アンスラキノン、インジゴイド、硫化、トリフェニルメタン、ピラゾロン、スチルベン、ジフェニルメタン、キサンテン、アリザリン、アクリジン、キノンイミン、チアゾール、メチン、ニトロ、ニトロソおよびアニリン染料が挙げられる。
【0065】
難燃剤(F2)としては、有機難燃剤〔含リン化合物[リン酸エステル(トリクレジルホスフェート等)等]、含臭素化合物(テトラブロモビスフェノールA、デカブロモビフェニルエーテル等)、含塩素化合物(塩素化パラフィン、無水ヘット酸等)等〕;無機難燃剤〔三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、赤リン、水酸化マグネシウム、ポリリン酸アンモニウム等〕等が挙げられる。
【0066】
充填剤(F3)としては、金属粉(アルミニウム粉、銅粉等)、金属酸化物(アルミナ、ケイ灰石、シリカ、タルク、マイカ、クレー、焼成カオリン等)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム等)、金属塩(炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等)、繊維[無機繊維(炭素繊維、繊維素、α−繊維素、ガラス繊維、アスベスト等)、有機繊維(コットン、ジュート、ナイロン、アクリルおよびレーヨン繊維等)等]、マイクロバルーン(ガラス、シラス、フェノール樹脂等)、炭素類(カーボンブラック、石墨、石炭粉等)、金属硫化物(二硫化モリブデン等)、有機粉(木粉等)等が挙げられる。
【0067】
帯電防止剤(F4)としては、下記および米国特許第3,929,678および4,331,447号明細書に記載の、非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性の界面活性剤が挙げられる。
(1)非イオン性界面活性剤
アルキレンオキシド(以下AOと略記)付加型ノニオニックス、例えば疎水性基(C8〜24またはそれ以上)を有する活性水素原子含有化合物[飽和および不飽和の、高級アルコール(C8〜18)、高級脂肪族アミン(C8〜24)および高級脂肪酸(C8〜24)等:例えばアルキルもしくはアルケニル(ドデシル、ステアリル、オレイル等)アルコールおよびアミン、およびアルカンもしくはアルケン酸(ラウリン、ステアリンおよびオレイン酸等)]の(ポリ)オキシアルキレン誘導体〔AO[C2〜4、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド(以下それぞれEO、POと略記)、ブチレンオキシドおよびこれらの2種以上の併用、とくに好ましいのはEO](1〜500モルまたはそれ以上)付加物(分子量174以上かつMw50,000以下)、およびポリアルキレングリコール[例えばポリエチレングリコール、分子量150以上かつMw10,000以下]の高級脂肪酸モノ−およびジ−エステル];多価アルコール[前記のもの、例えばGR、PEおよびソルビタン]の高級脂肪酸(上記)エステルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(同上、分子量320以上かつMw60,000以下:例えばツイーン型ノニオニックス);高級脂肪酸(上記)の(アルカノール)アミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(同上、分子量330以上かつMw60,000以下);多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテルの(ポリ)オキシアルキレン誘導体(同上、分子量180以上かつMw50,000以下);およびポリオキシプロピレンポリオール[多価アルコール(上記)およびポリアミン(C2〜10、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン)のポリオキシプロピレン誘導体[例えばポリプロピレングリコールおよびエチレンジアミンPO付加物;Mw500〜10,000)]のポリオキシエチレン誘導体(Mw1,000〜80,000)[プルロニック型およびテトロニック型ノニオニックス];多価アルコール(C3〜60)型ノニオニックス、例えば多価アルコール(上記)の脂肪酸(上記)エステル、多価アルコール(上記)アルキル(C3〜60)エーテル、および脂肪酸(上記)アルカノールアミド;並びに、アミンオキシド型ノニオニックス、例えば(ヒドロキシ)アルキル(C10〜18:ドデシル、ステアリル、オレイル、2−ヒドロキシドデシル等)ジ(ヒドロキシ)アルキル(C1〜3:メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル等)アミンオキシド。
【0068】
(2)カチオン性界面活性剤
第4級アンモニウム塩型カチオニックス、例えばテトラアルキルアンモニウム塩(C11〜100)、例えばアルキル(C8〜18:ラウリル、ステアリル等)トリメチルアンモニウム塩およびジアルキル(C8〜18:デシル、オクチル等)ジメチルアンモニウム塩;トリアルキルベンジルアンモニウム塩(C17〜80)、例えばラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキル(C8〜60)ピリジニウム塩、例えばセチルピリジニウム塩;(ポリ)オキシアルキレン(C2〜4、重合度1〜100またはそれ以上)トリアルキルアンモニウム塩(C12〜100)、例えばポリオキシエチレンラウリルジメチルアンモニウム塩;およびアシル(C8〜18)アミノアルキル(C2〜4)もしくはアシル(C8〜18)オキシアルキル(C2〜4)トリ[(ヒドロキシ)アルキル(C1〜4)]アンモニウム塩、例えばステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウム塩(サパミン型4級アンモニウム塩)[これらの塩には、例えばハライド(クロライド、ブロマイド等)、アルキルサルフェート(メトサルフェート等)および有機酸(下記)の塩が含まれる];並びにアミン塩型カチオニックス:1〜3級アミン[例えば高級脂肪族アミン(C12〜60:ラウリル、ステアリルおよびセチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミン等)、脂肪族アミン(メチルアミン、ジエチルアミン等)のポリオキシアルキレン誘導体(上記;EO付加物等)、およびアシルアミノアルキルもしくはアシルオキシアルキル(上記)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)アミン(ステアロイロキシエチルジヒドロキシエチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等)]の、無機酸(塩酸、硫酸、硝酸およびリン酸等)塩および有機酸(C2〜22:酢酸、プロピオン、ラウリン、オレイン、コハク、アジピンおよびアゼライン酸、安息香酸等)塩。
【0069】
(3)アニオン性界面活性剤
カルボン酸(塩)、例えば高級脂肪酸(上記)、エーテルカルボン酸[高級アルコール(上記)またはそのAO付加物、例えばEO(1〜10モル)付加物のカルボキシメチル化物]、およびそれらの塩;硫酸エステル塩、例えば上記の高級アルコールまたはそのAO付加物の硫酸エステル塩(アルキルおよびアルキルエーテルサルフェート、硫酸化油(天然の不飽和油脂または不飽和のロウをそのまま硫酸化して中和した塩)、硫酸化脂肪酸エステル(不飽和脂肪酸の低級アルコールエステルを硫酸化して中和した塩)および硫酸化オレフィン(C12〜18のオレフィンを硫酸化して中和した塩);スルホン酸塩、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸ジアルキルエステル型、α−オレフィン(C12〜18)スルホン酸塩およびN−アシル−N−メチルタウリン(イゲポンT型等);並びにリン酸エステル塩、例えば上記の高級アルコールもしくはそのAO付加物またはアルキル(C4〜60)フェノールのAO付加物(同上)のリン酸エステル塩(アルキル、アルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテルホスフェート)。
【0070】
(4)両性界面活性剤:
カルボン酸(塩)型アンフォテリックス、例えばアミノ酸型アンフォテリックス、例えばアルキル(C8〜18)アミノプロピオン酸(塩)、およびベタイン型アンフォテリックス、例えばアルキル(同上)ジ(ヒドロキシ)アルキル(上記)ベタイン(アルキルジメチルベタイン、アルキルジヒドロキシエチルベタイン等);硫酸エステル(塩)型アンフォテリックス、例えばアルキル(同上)アミンの硫酸エステル(塩)、およびヒドロキシアルキル(C2〜4:ヒドロキシエチル等)イミダゾリン硫酸エステル(塩);スルホン酸(塩)型アンフォテリックス、例えばアルキル(同上:ペンタデシル等)スルフォタウリン、およびイミダゾリンスルホン酸(塩);並びにリン酸エステル(塩)型アンフォテリックス、例えばGR高級脂肪酸(上記)エステルのリン酸エステル(塩)。
【0071】
上記のアニオン性および両性界面活性剤における塩には、金属塩、例えばアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)およびIIB族金属(亜鉛等)の塩;アンモニウム塩;並びにアミン塩および4級アンモニウム塩が含まれる。
塩を構成するアミンには、C1〜20のアミン、例えばヒドロキシルアミン、3級アミノ基含有ジオールおよび1級モノアミン、2級モノアミン、並びにそれらのアルキル化(C1〜4)および/またはヒドロキシアルキル化(C2〜4)物(AO付加物):例えばモノ−、ジ−およびトリ−(ヒドロキシ)アルキル(アミン)(モノ−、ジ−およびトリ−エタノールアミンおよびエチルアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、N−ヒドロキシエチルモルホリン等)が含まれる。4級アンモニウム塩には、これらのアミンの4級化物[米国特許第4,271,217号明細書に記載の4級化剤またはジアルキルカーボネート(前記)による4級化物]が含まれる。
【0072】
酸化防止剤(F5)としては、ヒンダードフェノール系〔p−t−アミルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、2,6−ビス(1−メチルヘプタデシル)−p−クレゾール、ブチル化クレゾール、スチレン化クレゾール、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2−シクロヘキシルフェノール)、2(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシナメート、ブチル化ヒドロキシアニソール、プロピルガレート、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、ノルジヒドログアヤレチック酸(NDGA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、2−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHA)、6−t−ブチル−2,4,−メチルフェノール(24M6B)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール(26B)、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(6−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェノール、1,6−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートおよびテトラキス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン等〕;
【0073】
含イオウ系〔N,N’−ジフェニルチオウレア、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ジステアリルチオジプロピオネート、6−(4−オキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)2,4−ビス(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)等〕;
【0074】
含リン系〔2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ホスファイトエステル樹脂、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルホスホネート等〕等が挙げられる。
【0075】
紫外線吸収剤(F6)としては、サリチレート系[フェニルサリチレート、4−t−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等];ベンゾフェノン系[2,4−ジヒドロキシゼンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン(トリヒドレート)、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロー2−ヒドロキシベンゾフェノン等];ベンゾトリアゾール系[2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等]等が挙げられる。
【0076】
上記マスターバッチ樹脂組成物(MY)中の(F)全体の含有量は、(MY)の重量に基づいて、通常30%以下、(F)の機能発現および工業上の観点から好ましくは0.1〜10%である。
(MY)の重量に基づく各添加剤の使用量は、(F1)は通常10%以下、好ましくは1〜5%;(F2)は通常15%以下、好ましくは3〜10%;(F3)は通常15%以下、好ましくは3〜10%;(F4)は通常10%以下、好ましくは1〜5%;(F5)は通常2%以下、好ましくは0〜0.5%、特に好ましくは0%;(F6)は通常3%以下、好ましくは0.01〜1%である。
【0077】
上記成形品用樹脂組成物(Y)中の(F)全体の含有量は、(Y)の重量に基づいて、通常20%以下、(F)の機能発現および工業上の観点から、好ましくは0.05〜5%である。(Y)の重量に基づく各添加剤の使用量は、(F1)は通常5%以下、好ましくは1.5〜5%;(F2)は通常8%以下、好ましくは1.5〜5%;(F3)は通常8%以下、好ましくは1.5〜5%;(F4)は通常8%以下、好ましくは1.5〜5%;(F5)は通常1%以下、好ましくは0〜0.03%、特に好ましくは0%;(F6)は通常2%以下、好ましくは0.005〜0.5%である。
【0078】
上記(F1)〜(F6)の間で添加剤が同一で重複する場合は、それぞれの添加剤が該当する添加効果を奏する量を他の添加剤としての効果に関わりなく使用するのではなく、他の添加剤としての効果も同時に得られることをも考慮し、使用目的に応じて使用量を調整するものとする。
【0079】
[成形品]
本発明の成形品は、上記成形品用樹脂組成物(Y)を成形して得られる。該成形方法としては、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形、スラッシュ成形、回転成形、押出成形、ブロー成形、フィルム成形(キャスト法、テンター法、インフレーション法等)等が挙げられ、目的に応じて単層成形、多層成形あるいは発泡成形等の手段も取り入れた任意の方法で成形できる。
【0080】
[成形物品]
本発明の成形品用樹脂組成物(Y)からなる成形品は、優れた機械強度を有すると共に、良好な塗装性および印刷性を有し、成形品に塗装および/または印刷を施すことにより成形物品が得られる。
該成形品を塗装する方法としては、例えばエアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電スプレー塗装、浸漬塗装、ローラー塗装、刷毛塗り等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
塗料としては、例えば、ポリエステルメラミン樹脂塗料、エポキシメラミン樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料等のプラスチックの塗装に一般に用いられる塗料が挙げられる。
塗装膜厚(乾燥後膜厚)は、目的に応じて適宜選択することができるが通常10〜50μmである。
【0081】
また、該成形品または成形品に塗装を施した上に印刷する方法としては、一般的にプラスチックの印刷に用いられている印刷法であればいずれも用いることができ、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、ドライオフセット印刷およびオフセット印刷等が挙げられる。
印刷インキとしてはプラスチックの印刷に通常用いられるもの、例えばグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、パッドインキ、ドライオフセットインキおよびオフセットインキが使用できる。
【実施例】
【0082】
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部を表す。
【0083】
[ポリカーボネート(a)の製造]
製造例1
冷却管、撹拌棒、温度計を備えた反応容器中に、ポリカーボネート「ユーピロンS2000」(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製:ビスフェノールA系ポリカーボネート)(a−1)150部、DMF150部を仕込み、150℃で溶解させた後、エチレングリコール4.5部を仕込み、150℃で1時間反応させた。その後アセトン750部中に再沈殿させ、100℃、1kPaで1時間減圧乾燥することで溶媒を留去して、MFR20の、末端に水酸基を有するポリカーボネート(a1−1)を153部得た。
【0084】
製造例2
撹拌棒、温度計、還流・留去可能な装置を備えた反応容器中に、エタノールアミン20部、メチルエチルケトン80部を仕込み、80℃で1時間還流し、その後80℃でメチルエチルケトンを留去することにより、エタノールアミンのケチミン化物38部を得た。
冷却管、撹拌棒、温度計を備えた別の反応容器中に、ポリカーボネート「ユーピロンS2000」(a−1)150部、DMF150部を仕込み、150℃で溶解させた後、エタノールアミンのケチミン化物8.4部を仕込み、150℃で1時間反応させた。室温(25℃)まで冷却して水を3部仕込み、1時間攪拌後、アセトン750部中に再沈殿させ、100℃、1kPaで1時間減圧乾燥することで溶媒を留去して、MFR21の、末端にアミノ基を有するポリカーボネート(a1−2)を150部得た。
【0085】
[ポリカルボジイミド(b)の製造]
製造例3
冷却管、撹拌棒、温度計を備えた反応容器中に、イソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド「カルボジライトV−05」(日清紡ケミカル(株)製)(b1−1)150部、DMF150部を仕込み、90℃で溶解させた後、エチレングリコール18部を仕込み90℃で4時間反応させ、末端に水酸基を有するポリカルボジイミド(b2−1)のDMF溶液を312部得た。
【0086】
[バイオマス由来ポリマー(c)の製造]
製造例4
冷却管、撹拌棒、温度計を備えた反応容器中に、ポリ乳酸「レイシアH−100」(三井化学(株)製)(D−1)150部、DMF150部を仕込み、150℃で溶解させた後、水2部を仕込み、150℃で4時間反応させた。その後メタノール150部中に再沈殿させ、100℃、1kPaで1時間減圧乾燥することで溶媒を留去して、Mn40,000の、末端にカルボキシル基を有するポリ乳酸(c1−1)を148部得た。
【0087】
製造例5
水2部を製造例2で得られたエタノールアミンのケチミン化物12.8部へ変更することと、エステル交換反応後、室温(25℃)まで冷却して水を3部仕込み、1時間攪拌すること以外は製造例4と同様の操作を行い、Mn42,000の、末端にアミノ基を有するポリ乳酸(c1−2)を152部得た。
【0088】
[樹脂用相溶化剤(Z)の製造]
製造例6
冷却管、撹拌棒、温度計を備えた反応容器中に、末端に水酸基を有するポリカーボネート(a1−1)85部、DMF85部を仕込み、90℃で溶解させた後、イソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド(b1−1)2部を仕込み90℃で4時間反応させた。その後メタノール450部で再沈殿し、100℃、1kPaで1時間減圧乾燥することで溶媒を留去して、Mn=20,000の樹脂用相溶化剤(Z−1)を85部得た。
【0089】
製造例7
製造例6と同様の反応容器中に、末端に水酸基を有するポリカーボネート(a1−1)85部、DMF85部を仕込み、90℃で溶解させた後、イソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド(b1−1)2部を仕込み90℃で4時間反応させた。その後末端にカルボキシル基を有するポリ乳酸(c1−1)55部とDMF55部を仕込み、150℃で1時間反応させ、メタノール700部で再沈殿し、100℃、1kPaで1時間減圧乾燥することで溶媒を留去して、Mn=80,000の樹脂用相溶化剤(Z−2)を138部得た。
【0090】
製造例8
(a1−1)85部を末端にアミノ基を有するポリカーボネート(a1−2)50部に、イソシアネート基を末端に有するポリカルボジイミド(b1−1)2部を7部に、(c1−1)55部を末端にアミノ基を有するポリ乳酸(c1−2)85部に、DMF85部と55部を50部と85部に変更した以外は製造例7と同様の操作を行い、Mn=100,000の樹脂用相溶化剤(Z−3)を137部得た。
【0091】
製造例9
製造例6と同様の反応容器中に、ポリカーボネート「ユーピロンS2000」(a−3)57部、DMF29部を仕込み、150℃で溶解させた後、製造例3で得られた末端に水酸基を有するポリカルボジイミド(b2−1)のDMF溶液57部を仕込み150℃で2時間反応させた。その後末端にカルボキシル基を有するポリ乳酸(c1−1)57部とDMF57部を仕込み、150℃で1時間反応させ、製造例6と同様の精製を行うことで、Mn=85,000の樹脂用相溶化剤(Z−4)を138部得た。
【0092】
[マスターバッチ樹脂組成物(MY)の製造]
製造例10
樹脂用相溶化剤(Z−1)50部およびポリカーボネート「ユーピロンS2000」(E−1)50部をヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、260℃、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して、マスターバッチ樹脂組成物(MY−1)を得た。
【0093】
製造例11
樹脂用相溶化剤(Z−1)50部を30部、ポリカーボネート(E−1)50部をポリ乳酸(D−1)70部に変更する以外は製造例10と同様の操作を行い、マスターバッチ樹脂組成物(MY−2)を得た。
【0094】
製造例12
樹脂用相溶化剤(Z−1)50部を樹脂用相溶化剤(Z−2)50部、ポリカーボネート(E−1)50部をポリヒドロキシブチレート(D−2)(商品名「ビオグリーン」三菱ガス化学(株)製)50部に変更する以外は製造例10と同様の操作を行い、マスターバッチ樹脂組成物(MY−3)を得た。
【0095】
上記製造例を以下の表1〜表3にまとめて示す。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
実施例1〜14、比較例1〜8
上記製造例で得られた樹脂用相溶化剤(Z−1)〜(Z−4)、およびマスターバッチ樹脂組成物(MY−1)〜(MY−3)、並びに、下記の市販の比較の樹脂用相溶化剤(比Z−1)、市販のバイオマス由来樹脂(D)、および市販の熱可塑性樹脂(E)を、表4および5に示した配合組成(部)で、それぞれヘンシェルミキサーで3分間ブレンドした後、ベント付き2軸押出機にて、(E−2)を用いたときは270℃、(E−3)を用いたときは240℃の各温度で、100rpm、滞留時間5分の条件で溶融混練して樹脂組成物を得た(比較例3〜5、8を除く)。
各樹脂組成物、並びに対比用の樹脂(D)および(E)について、射出成形機[商品名「PS40E5ASE」、日精樹脂工業(株)製]を用い、(E−2)を用いたとき、および比較例3と4はシリンダー温度270℃、金型温度60℃で、(E−3)を用いたときはシリンダー温度240℃、金型温度70℃で成形して、所定の試験片を作成後、後述の試験方法に従って評価した。結果を表4および5に示す。
【0100】
(比Z−1)スチレン/無水マレイン酸共重合体
:商品名「DYLARK 332」、NOVA Chemicals
JAPAN Ltd.製。SP値11.1、Mw150,000、
1分子当たりに126個の酸無水物基を有する。
(D−1)ポリ乳酸(以下PLAと略記)
:商品名「レイシアH−100」、三井化学(株)製。
(D−2)ポリヒドロキシブチレート(以下PHBと略記)
:商品名「ビオグリーン」三菱ガス化学(株)製
(E−2)ポリカーボネート(以下PCと略記)
:商品名「サンアロマーPM−771M」、サンアロマー(株)製。
(E−3)ポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略記)
:商品名「ジュラネックス2002」、ポリプラスチックス(株)製。
【0101】
<試験方法>
[1]衝撃強度(単位:J/m)
アイゾット衝撃値(ノッチ付き)をASTM D256に準拠して測定した。
[2]数平均分散粒径(単位:μm)(相溶性)
上記衝撃強度評価用試験片の破断面を電子顕微鏡で観察し、マトリックス樹脂(PCまたはPBT)中のPLAまたはPHBの数平均分散粒径を測定して相溶性を評価した。数平均分散粒径が小さいほど、相溶性が良好であることを示す。
[3]曲げ弾性率(単位:GPa)
ASTM D790に準拠して測定した。
【0102】
【表4】

【0103】
【表5】

【0104】
表4、5の結果から、本発明の成形品用樹脂組成物は、バイオマス由来樹脂がバイオマス由来樹脂以外の熱可塑性樹脂に高配合率でも良好に相溶しており、該樹脂組成物を成形してなる成形品は、ベース樹脂(熱可塑性樹脂)の耐衝撃性、曲げ弾性率を損なうことなく、機械物性に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明の成形品用樹脂組成物は、バイオマス由来樹脂がバイオマス由来樹脂以外の熱可塑性樹脂に高配合率でも良好に相溶しており、しかも該相溶した樹脂組成物を成形してなる成形品は、優れた機械物性(衝撃強度、曲げ弾性率等)を有することから、自動車分野、電気・電子分野、容器・包装材・筐体分野、搬送材分野、日用雑貨分野等において、幅広く好適に用いることができ極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート(a)のブロックと、ポリカルボジイミド(b)のブロックとから構成されるブロックポリマー(X)を含有する樹脂用相溶化剤(Z)、バイオマス由来樹脂(D)、および(D)以外の熱可塑性樹脂(E)を含有してなり、(D)、(E)、および(Z)の合計重量に基づく(Z)の含有量が0.1〜30%である成形品用樹脂組成物(Y)。
【請求項2】
ブロックポリマー(X)中の(a)のブロックと(b)のブロックの重量比が5/95〜99.9/0.1である請求項1記載の成形品用樹脂組成物(Y)。
【請求項3】
ブロックポリマー(X)中の(b)のブロックが、側鎖にバイオマス由来ポリマー(c)を有する請求項1または2記載の成形品用樹脂組成物(Y)。
【請求項4】
ブロックポリマー(X)を構成するバイオマス由来ポリマー(c)および/またはバイオマス由来樹脂(D)が、ポリ乳酸である請求項3記載の成形品用樹脂組成物(Y)。
【請求項5】
ブロックポリマー(X)中の(a)のブロックと(c)との重量比が90/10〜10/90である請求項3または4記載の成形品用樹脂組成物(Y)。
【請求項6】
ブロックポリマー(X)中の、(a)のブロックと(c)との合計重量に基づく(b)のブロック〔(c)の部分は除く〕の量が0.1〜40%である請求項3〜5のいずれか記載の成形品用樹脂組成物(Y)。
【請求項7】
樹脂用相溶化剤(Z)と、バイオマス由来樹脂(D)および/または(D)以外の熱可塑性樹脂(E)とを含有してなり、(D)および/または(E)、並びに(Z)の合計重量に基づく(Z)の含有量が30〜80%である請求項1〜6のいずれか記載の成形品用樹脂組成物(Y)用マスターバッチ樹脂組成物(MY)。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか記載の成形品用樹脂組成物(Y)を成形してなる成形品。
【請求項9】
請求項8記載の成形品に塗装および/または印刷を施してなる成形物品。

【公開番号】特開2013−10844(P2013−10844A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143748(P2011−143748)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】