説明

成形品表面の官能基分析方法

【課題】 成形品表面における官能基の種類、その分布状態と密度について、精度良く分析できる、成形品表面の官能基分析方法を提供する。
【解決手段】 官能基を有する化合物で構成される成形品表面における前記官能基の定性および定量分析する方法であって、前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とを、固相で反応させ、成形品表面に分析用識別部を形成する工程と、原子間力顕微鏡により、前記分析用識別部を観察する工程と、前記観察工程において得られた画像を処理する工程と、を有する成形品表面の官能基分析方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形品表面の官能基分析方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
官能基を有する化合物などにより形成された成形品においては、成形品表面に前記官能基が存在する状態により、前記成形品を用いた、(1)工業製品の接着工程における被着体の密着力や、(2)医療分野における組織培養シャーレの組織培養性に影響するといわれている。このため、成形品表面に存在する官能基の分布および密度を直接評価できることは、密着力解析や組織培養性評価において重要な位置を占めている。成形品表面において、1〜5nmレベルと、微小な官能基の評価には、X線光電子分光法(XPS)や飛行時間型2次イオン質量分析法(Tof−SIMS)が用いられるが、官能基の種類や相対濃度しか得ることができない。このため、近年発達してきた原子間力顕微鏡法を用いた官能基評価の検討が行われている。例えば、特許文献1では、走査型プローブ顕微鏡の探針を用いた例を示すものであって、探針先端部に化学センサー機能または触媒機能を有する分子などが配置され、この探針先端部を分析される固体表面に近接させオングストロームの精度で一定範囲を走査して、探針先端部と固体表面との間に働く化学相互作用を測定することにより、分子の分析などを行うものであり、分析時に探針と分析される固体表面を緩衝液などで処理し、探針と固体表面の相互作用が一定になるように走査する必要があった。また、特許文献2では、分析される試料表面と相互作用する物質で化学的に変性された探査針を用い、これを走査して、試料表面と探査針との間の相互作用を、電気調整器の作用に変換し、試料の前進後退の移動をさせて凹凸を測定するものであった。しかし、このような原子間力顕微鏡法は、nmレベルの(1)微細形状、(2)粘弾性、(3)摩擦力、(4)表面電位等を評価できるが、被測定物質表面の官能基の種類、分布、密度を間接的に評価するものであり、緩衝液中でしか評価できない。その精度においても、探針先端部の変性分子と固体表面との化学作用を測定しているため、緩衝液の種類により見え方が変化することから、直接評価する方法が求められていた。
【0003】
【特許文献1】国際公開第02/25246号パンフレット
【特許文献2】特開平9−5338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、成形品表面における官能基の種類、その分布状態と密度について、精度良く分析できる、成形品表面の官能基分析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち本発明は、
(1) 官能基を有する化合物で構成される成形品表面における前記官能基の定性及び定量分析する方法であって、
前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とを、気相で反応させ、成形品表面に分析用識別部を形成する工程と、
原子間力顕微鏡により、前記分析用識別部を観察する工程と、
前記観察工程において得られた画像を処理する工程と、
を有する成形品表面の官能基分析方法、
(2) 前記官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はカルボニル基である第(1)項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
(3) 前記官能基に対し選択的に反応する成分は、嵩高い構造を有するものである第(1)項又は第(2)項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
(4) 前記官能基に対し選択的に反応する成分は、フッ素含有化合物である第(1)項乃至第(3)項のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
(5) 前記フッ素含有化合物は、フッ素化酸無水物、フッ素化アルコール、フッ素化ベンズアルデヒド及びフッ素化ヒドラジンから選ばれるものである第(4)項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
(6) 前記成形品表面に分析用識別部を形成する工程において、前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とは、該官能基に対し選択的に反応する成分のガス雰囲気中で反応させるものである第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の成形品表面の官能基分析方法、
(7) 前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分との反応は、該官能基に対し選択的に反応する成分が、10-3〜10-7mol/L濃度でガス化された雰囲気中で行われるものである第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載の成形品表面の官能基分析方法、
(8) 前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分との反応は、40℃〜80℃の温度範囲で行われるものである第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の成形品表面の官能基分析方法、
(9) 前記原子間力顕微鏡により前記分析用識別部を観察する工程において、前記分析用識別部は物理的相互作用により観察されるものである第(1)項乃至第(8)項のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
(10) 前記分析用識別部は、隆起部として観察されるものである第(1)項乃至第(9)項のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
(11) 前記画像を処理する工程は、前記画像に示された、前記分析用識別部である隆起領域と、隆起していない領域との、二値化処理をする工程を含むものである第(1)項乃至第(10)項のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
(12) 前記二値化処理された画像において、単位面積当たりの隆起領域により官能基密度を算出する工程を含む第(11)項に記載の成形品表面の官能基分析方法、
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、成形品表面における官能基の種類、その分布状態と密度について、精度良く分析することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、官能基を有する化合物で構成される成形品表面における前記官能基の定性及び定量分析する方法であって、前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とを、気相で反応させ、成形品表面に分析用識別部を形成する工程と、原子間力顕微鏡により、前記分析用識別部を観察する工程と、前記観察工程において得られた画像を処理する工程と、を有する成形品表面の官能基分析方法であり、成形品表面に存在する官能基を分析用識別部として識別できるようにして、これを直接画像で捕らえて分析できることから、測定時の煩雑な操作を必要とすることが無く、大気中で、前記官能基の種類及び分布状態、さらには分布密度を分析することができる。
【0008】
本発明の方法について、概念図を用いて、説明すると、例えば、図1においては、成形品表面の官能基が水酸基で、水酸基に対し選択的に反応する成分として、無水ペンタフルオロプロピオン酸を用いた例を示す。この例においては、無水ペンタフルオロプロピオン酸と、官能基である水酸基と反応させて、分析用識別部となるペンタプロピオンエステル基を形成し、前記分析用識別部が形成された成形品表面を原子間力顕微鏡により測定し、成形品表面の分析用識別部を隆起部として観測して、分析するものである。
【0009】
本発明の成形品表面の官能基分析方法に適用される成形品としては、公知の手段、例えば、射出成形法、移送成形法、圧縮成形法、押出成形法、キャスト成形法などを適用して成形品となしたものが挙げられ、その形態は、どのような形態であってもよいが、平坦面を有することがより好ましい。このとき、成形に用いる材料としては、限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ−p−ビニルフェノール、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、セルロース、ポリシラン、ポリシラザン、また、ベンゾシクロブテン樹脂やノルボルネン系樹脂などの環状オレフィン系樹脂などを含むものや、さらにはプラズマ処理など表面処理が成されたポリオレフィン又はその複合体などが挙げられる。
【0010】
本発明において定性および定量が可能な成形品表面の官能基としては、例えば、水酸基(OH)、カルボキシル基(COOH)、アミノ基(NH2)及びカルボニル基(C=O)などが挙げられる。また、これらは同時に2種以上を分析することも可能である。
【0011】
本発明において、前記官能基に対し選択的に反応する成分としては、これと前記官能基とが反応して形成される識別部は凸状の隆起部として観察されることから、前記官能基と反応してより大きな隆起部となるものであれば良く、例えば、前記官能基と反応し得る官能基を有するフッ素含有化合物などが挙げられる。
前記官能基と反応し得る官能基を有するフッ素含有化合物としては、フッ素化酸無水物、フッ素化アルコール、フッ素化ベンズアルデヒド及びフッ素化ヒドラジンなどが挙げられ、そのような分析用識別部を形成する前記官能基に対し選択的に反応する成分の具体例としては、無水トリフルオロ酢酸、無水ペンタフルオロプロピオン酸、無水フルオロコハク酸、無水フルオロマレイン酸及び無水トリフロオロメタンスルホン酸などのペルフルオロ酸無水物、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロ−n−プロパノール、ヘプタフルオロ−n−ブタノール及びノナフルオロ−n−ペンタノールなどのペルフルオロアルコール、テトラフルオロベンズアルデヒド、ペンタフルオロベンズアルデヒド及びビストリフルオロメチルベンズアルデヒドなどのペルフルオロベンズアルデヒド、トリフルオロエチルヒドラジン、テトラフルオロプロピルヒドラジン、テトラフルオロフェニルヒドラジン及びペンタフルオロフェニルヒドラジンなどのペルフルオロヒドラジンなどのフッ素含有化合物が挙げられる。これらフッ素含有化合物の中でも、フッ素含有量が多く、嵩高い構造を有するものが好ましく、その他の条件としては、分子密度、表面エネルギーが低いものが、良好な識別部を形成する上で、より好ましい。上記化合物は、前記成形品表面における官能基と反応性が高い官能基を有するものを選択するのが好ましく、例えば、前記成形品表面における官能基が水酸基の場合、前記フッ素化酸無水物が好ましく、カルボキシル基の場合、前記フッ素化アルコールが好ましく、カルボニル基の場合、前記フッ素化ヒドラジンが好ましく、アミノ基の場合、フッ素化ベンズアルデヒドが好ましい。これらにより、各種官能基に対し選択的に良好な識別部を形成できる。
【0012】
次に、本発明の成形品表面の官能基分析方法における各工程について、詳細に説明する。
(1)成形品表面に分析用識別部を形成する工程
本発明において、成形品表面に分析用識別部を形成する工程は、前記成形品表面に存在する官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とを気相で反応させることにより行われる。このようにして形成される分析用識別部は、凸状の隆起部として観察される。
【0013】
上記の気相において、前記成形品表面に存在する官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とを反応させる方法としては、例えば、前記成形品を、好ましくは密閉容器中で、ガス化された前記官能基に対し選択的に反応する成分の雰囲気中で反応させる方法、前記官能基に対し選択的に反応する成分のガス雰囲気中及び希釈溶液中で反応させる方法などが挙げられるが、前記官能基に対し選択的に反応する成分のガス雰囲気中で反応させることが、成形品表面を膨潤させることなく、均一に反応させることができるので、より好ましい。
【0014】
上記分析用識別部を形成する方法の具体例としては、成形品及び前記官能基に対し選択的に反応する成分を密閉容器中に載置し、加温することにより、前記官能基に対し選択的に反応する成分をガス化して前記官能基と反応させる方法、及び、成形品を密閉容器中に載置し、前記官能基に対し選択的に反応する成分をガス化して、密閉容器中に送入し、前記官能基と、前記官能基に対し選択的に反応する成分とを、前記官能基に対し選択的に反応する成分のガス雰囲気中で反応させる方法などが挙げられるが、成形品及び前記官能基に対し選択的に反応する成分を密閉容器中に載置し、加温することにより、前記官能基に対し選択的に反応する成分をガス化して前記官能基と反応させる方法が好ましい。
前記官能基に対し選択的に反応する成分のガス雰囲気における濃度としては、10-3〜10-7mol/Lであることが好ましい。また、前記官能基と該官能基に対し選択的に反応する成分との反応は、40℃〜80℃の温度範囲で行われることが好ましい。また、容器内の圧力としては、1.1〜1.8atmであることが好ましい。
【0015】
(2)原子間力顕微鏡により、前記分析用識別部を観察する工程
本発明において、上記で成形品表面に形成された分析用識別部は、原子間力顕微鏡により観察すると、前記分析用識別部が、隆起して観察され、前記分析用識別部が存在しない部位は隆起しないものとして観察され、これを画像として保存する。この画像により、分析の目的とする官能基の種類と、分散状態が目視で確認することができる。
【0016】
本発明で用いることができる原子間力顕微鏡としては、クローズドタイプのものが好ましいが、必ずしもこの機種に限定されるものではない。原子間力顕微鏡に用いられる探針としては、カーボンナノチューブ、白金、イリジイウム、コバルト、アルミニウム、ダイヤモンド、珪素、窒化珪素及び炭化珪素などで構成されるものが挙げられる。また、原子間力顕微鏡におけるカンチレバーとしては、50nm以下程度の先端径を有するものが好ましく、測定の感度に合わせて選択される。また、カンチレバーのバネ定数としては0.5〜80N/m程度で調整される。
前記原子間力顕微鏡により前記分析用識別部を観察するが、前記分析用識別部は物理的相互作用により観察される。
【0017】
(3)前記観察工程において得られた画像を処理する工程
続いて、上記で得た画像を用い処理を行うが、まず、分析用識別部、即ち選択的に表示された官能基が存在する、隆起領域と、これが存在しない隆起していない領域とに、二値化処理を行う。
さらに画像を細分割し、最小単位の画素面積を得る。識別成分が反応した隆起部分の総面積を最小単位の画素面積にて割ることにより隆起部分の個数が得られ、さらに分析用識別部が反応した隆起部分の個数を計測した総面積にて割ることにより単位面積当たりの実測官能基密度:dfm(個/nm2)を求めることができる。
【0018】
前記二値化処理においては、成形品表面(隆起していない領域)と、成形品表面に形成された隆起領域との境界部において、画像処理により分割して、分析用識別部が設けられた隆起領域と、前期識別部が設けられていない隆起していない領域を識別できることにより、分散状態を観察できると共に、それぞれの面積を割り出して数値化することができる。
【0019】
上記で得た実測官能基密度は見掛けの数値であるため、標準試料を用いて反応率を求め、見掛けの官能基密度を補正することが好ましい。これにより、上記分析用識別部を形成における未反応部を補正することができる。
具体的な補正方法の例としては、まず、官能基密度補正用の標準試料として、官能基が水酸基の場合、ポリビニルアルコールの成形品を用い、これと、前記官能基に対し選択的に反応する成分とを、上記分析用識別部を形成する方法と同様の方法により反応させた後、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy)(パスエネルギー;17.90eV、ステップ;0.1eV)により得た炭素元素の1sスペクトルを、データ処理ソフト、例えば、Multipak(アルバック・ファイ(株)製)を用いて、標準試料表面の炭素元素1sスペクトルの成分を分け(波形分離し)、各成分の面積比を用いて反応率:Xを求め、比例計算(官能基密度=100・dfm/X)するにより、補正することができる。
【0020】
また、原子間力顕微鏡測定時の分解能については、例えば、上記測定により得られた画像の500nm×500nmの面積を512×512の点数程度とすることができる。
【0021】
本発明は、例えば、(1)工業製品の積層、成形、接着工程における被着体の官能基による密着力の測定、(2)医療分野における組織培養シャーレの組織培養性を評価する方法など、種々の分析に適用できるが、必ずしもこの分野に限定されるものではない。
【実施例】
【0022】
以下、実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
本実施例では、接着剤用アミン硬化のビスフェノールA型エポキシ樹脂により、径10mmφの硬化成形物を準備し、硬化成形物表面の特定官能基(水酸基)について分析した。
次いで、密閉容器に、分析用識別成分として、無水ペンタフルオロプロピオン酸(濃度:8.0×10-4mol/L)、表面が平滑な上記エポキシ樹脂硬化成形物および官能基密度補正用標準試料としてポリビニルアルコールより構成されるキャストフィルムを入れ、65℃の温度にて反応を行った。このとき、上記分析用識別成分はガス化して、所定の濃度となり、そのガス雰囲気下、反応時間は6時間とした。この反応により、エポキシ樹脂硬化成形物表面の水酸基が、−OCOCF2CF3基(有機系フッ素)へとフッ素化処理された。
次いで、原子間力顕微鏡(アサイラム・リサーチ社製 MFP−3D)を用い、タッピングモードにて、上記エポキシ樹脂硬化成形物表面における分析用識別部を観察し画像を得た。分析用識別部形成前後の原子間力顕微鏡観察結果を図2に示す。かさ高いトレーサー成分が反応した部分は、隆起が観察された。
続いて、上記で測定した原子間力顕微鏡観察画像は、分析用識別が形成された隆起部分と隆起していない領域に2値化する(図3)。さらに画像を細分割し、最小単位の画素面積として、2.78nm2を得た。分析用識別が形成された隆起部分の総面積(3,615nm2)を最小単位の画素面積にて割ることにより、隆起部分の個数(1,300個)を得た。さらに、トレーサー部が反応した隆起部分の個数(1,300個)を計測した総面積(89,609nm2)にて割ることにより、実測官能基密度(1.4×10-2個/nm2)が得られた。
得られた実測官能基密度は見掛けの密度であるため、標準試料を用いて同一反応条件下の反応率(81.2%)を求め、これにより、補正することにより、真の官能基密度(1.8×10-2個/nm2)が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明を説明するための概念図である。
【図2】本発明の実施例における分析用識別部形成前後の原子間力顕微鏡観察結果の画像である。
【図3】本発明の実施例における原子間力顕微鏡観察結果の画像の二値化処理画像と、その細分化画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能基を有する化合物で構成される成形品表面における前記官能基の定性及び定量分析する方法であって、
前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とを、気相で反応させ、成形品表面に分析用識別部を形成する工程と、
原子間力顕微鏡により、前記分析用識別部を観察する工程と、
前記観察工程において得られた画像を処理する工程と、
を有する成形品表面の官能基分析方法。
【請求項2】
前記官能基は、水酸基、カルボキシル基、アミノ基又はカルボニル基である請求項1に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項3】
前記官能基に対し選択的に反応する成分は、嵩高い構造を有するものである請求項1又は2に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項4】
前記官能基に対し選択的に反応する成分は、フッ素含有化合物である請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項5】
前記フッ素含有化合物は、フッ素化酸無水物、フッ素化アルコール、フッ素化ベンズアルデヒド及びフッ素化ヒドラジンから選ばれるものである請求項4に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項6】
前記成形品表面に分析用識別部を形成する工程において、前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分とは、該官能基に対し選択的に反応する成分のガス雰囲気中で反応させるものである請求項1乃至5のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項7】
前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分との反応は、該官能基に対し選択的に反応する成分が、10-3〜10-7mol/L濃度でガス化された雰囲気中で行われるものである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項8】
前記官能基と、該官能基に対し選択的に反応する成分との反応は、40℃〜80℃の雰囲気温度の範囲で行われるものである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項9】
前記原子間力顕微鏡により前記分析用識別部を観察する工程において、前記分析用識別部は物理的相互作用により観察されるものである請求項1乃至8のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項10】
前記分析用識別部は、隆起部として観察されるものである請求項1乃至9のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項11】
前記画像を処理する工程は、前記画像に示された、前記分析用識別部である隆起領域と、隆起していない領域との、二値化処理をする工程を含むものである請求項1乃至10のいずれか一項に記載の成形品表面の官能基分析方法。
【請求項12】
前記二値化処理された画像において、単位面積当たりの隆起領域により官能基密度を算出する工程を含む請求項11に記載の成形品表面の官能基分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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