説明

成形性と強度とを兼ね備えたバネ用鋼線及びそれを用いたバネ

【課題】 コイリングの際の折損を抑えることができる上、コイリング後には耐久性及び耐へたり性に優れた高強度バネが得られる高強度バネ用鋼線を提供する。
【解決手段】 Cを0.50〜0.70質量%、Siを1.8〜2.2質量%、Mnを0.50〜0.90質量%、Crを0.50〜0.80質量%、及びVを0.10〜0.20質量%含み、残部が不可避不純物を除いてFeからなり、引張強度が2000〜2100MPa、降伏比が0.70〜0.80であり、好適には旧γ結晶粒の粒度番号が11番以上である高強度バネ用鋼線あって、窒化相当熱処理後の降伏比が0.90〜0.95である。この高強度バネ用鋼線を実際に成形加工及び窒化処理した後の降伏比も0.90〜0.95となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のパワートレインにおいて使用される弁バネやクラッチ用バネ等の高強度バネ、及びその素材となる高強度バネ用鋼線に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用エンジンの弁バネやクラッチ用バネ等の自動車のパワートレインに係るバネ部材においては、エンジンの高回転化や小型軽量化に対応するため、耐へたり性と耐久性に優れた材料の開発が常に進められている。一般に耐へたり性や耐久性を向上させるためには、バネ用鋼線として作製されるオイルテンパー線の成分組成を適切に制御した上で所定の条件で焼入れ焼戻しを行い、バネ素材を高強度化することが行われている。
【0003】
しかし、このようにしてバネ素材を高強度化した場合、引張強さに対する降伏点の荷重の比(以降、降伏比と称する)が高くなり、コイリング時に折損が生じやすくなることが問題となっていた。そこで、バネ素材の高強度化を図りつつ降伏比を適度な範囲内に抑えて、上記コイリング時の折損などの問題を回避する技術が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、Cを0.53〜0.68質量%、Siを1.2〜2.5質量%、Mnを0.2〜1.5質量%、Crを1.4〜2.5質量%、及びAlを0.05質量%以下含み、Ni、V、Mo、及びNbのうちの少なくとも1種をさらに所定量含み、残部が不可避不純物を除いてFeからなる焼戻しマルテンサイト組織を有するバネ用鋼線において、旧γ粒度を11番以上にすると共に降伏比を0.85以下にする技術が開示されている。そして、このバネ用鋼線は耐へたり性と疲労特性の両方に優れ、加工性にも優れていることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−315968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1には、アンモニア雰囲気の下で鋼線を長時間に亘って加熱処理して表面の硬化を行う窒化処理までを考慮に入れた材料特性については何ら開示されていない。従って、窒化処理後の降伏比については高強度バネとしての要件を満たしているか否か定かではない。また、疲労限を高める重要な因子である引張強度について特定されておらず、高強度バネとして望まれる引張強度を有しているか否かについても定かではない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、コイリング中に生じやすい折損の問題を抑えることができる上、コイリング後には耐久性及び耐へたり性に優れた高強度バネを得ることが可能な高強度バネ用鋼線を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明が提案する高強度バネ用鋼線は、Cを0.50〜0.70質量%、Siを1.8〜2.2質量%、Mnを0.50〜0.90質量%、Crを0.50〜0.80質量%、及びVを0.10〜0.20質量%含み、残部が不可避不純物を除いてFeからなり、引張強度が2000〜2100MPa、降伏比が0.70〜0.80の高強度バネ用鋼線あって、窒化相当熱処理後の降伏比が0.90〜0.95であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高強度バネのコイリング加工時に生じやすい折損の問題を抑えることができる上、コイリング後には耐久性及び耐へたり性に優れた高強度バネを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の高強度バネ用鋼線をコイリングした後の高強度バネは、弁バネやクラッチ用のバネ等に代表される自動車のパワートレインにおいて使用される。かかる高強度バネには高サイクル条件下での高い耐へたり性と耐久性が要求される。一方、この高強度バネを冷間でコイリング加工(成形加工)する際は、当然のことながら折損が生じないことが要求される。このような相反する要件に対応するため、本発明の高強度バネ用鋼線は、添加元素の組成、引張強度、及び降伏比が厳密に制御されている。更に、コイリング後に施される窒化処理に相当する窒化相当熱処理によって降伏比が0.90〜0.95となることを特徴としている。
【0011】
具体的に説明すると、本発明の高強度バネ用鋼線は、Cを0.50〜0.70質量%、Siを1.8〜2.2質量%、Mnを0.50〜0.90質量%、Crを0.50〜0.80質量%、及びVを0.10〜0.20質量%含み、残部が不可避不純物を除いてFeである。
【0012】
Cの含有率を0.50〜0.70質量%にする理由は、Cは鋼の強度を高めることができる元素であり、この範囲内でCを含有することによって、高強度バネにおいて良好な強度が得られるからである。尚、Cの含有率が多すぎると、結晶粒界に析出するセメンタイトの影響により、オイルテンパー線として所望される靱性が得られなくなるおそれがある。
【0013】
Siの含有率を1.8〜2.2質量%にする理由は、この範囲内でSiを含めることによって、前述したように、Siが鋼中に置換型元素として固溶して鋼の強度や耐熱性を高め、更に、焼き戻し時に析出する炭化物を均一に微細化し、パワートレイン用のバネに加工したときに耐へたり性を高める効果を良好に発揮させることができるからである。尚、Siの含有率が多すぎると、材料を硬化させるだけでなく脆化させ、オイルテンパー後のコイルリングにおいて折損等の問題が生じやすくなるおそれがある。
【0014】
Mnの含有率を0.50〜0.90質量%にする理由は、この範囲内でMnを含めることによって、Mnの特性である鋼の焼入れ性の向上、及び鋼中に不可避的に含まれるSの固定化によるその悪影響の阻止を、オイルテンパー線において良好に発揮させることができるからである。尚、Mnの含有率が0.90質量%を超えると、靱性が低下するおそれがある。
【0015】
Crの含有率を0.50〜0.80質量%にする理由は、CrはMnと同様に焼入れ性を高めると共に、微細なCr炭化物を析出させることによって高強度化するのに効果的な元素であり、この範囲内でCrを含めることによってこれらの特性が良好に発揮されるからである。尚、Crの含有率が多すぎると、炭化物の固溶を抑制し強度低下を招くおそれがある。
【0016】
Vの含有率を0.10〜0.20質量%にする理由は、Vは低温で加熱してもオーステナイト相に比較的容易に固溶する元素であり、鋼中で炭化物として存在してオーステナイト粒を微細化させると共に焼入性を向上させる元素であり、この範囲内でVを含めることによってこれらの特性が良好に発揮されるからである。尚、Vの含有率が多すぎると、形成される炭化物が粗大化し靱性が低下するおそれがある。
【0017】
上記した組成を有する鋼材に対して所定の条件で熱処理を施すことによって、引張強度2000〜2100MPa、降伏比0.70〜0.80を有するオイルテンパー線が得られる。これにより、コイリング加工中に生じやすい折損の問題を抑えることができる。
【0018】
すなわち、耐久性及び耐へたり性に優れたバネを得るためには、一般にバネを高強度にすること、すなわち、バネの引張強度を高くして硬度を高めることが行われる。しかしながら、この場合は、逆にコイリング性(冷間加工性)が低下し、コイリング加工中に折損等が生じやすくなる。これは、硬度を高くするということは降伏点を破断応力にできるだけ近づけることを意味するので、室温付近での塑性変形でばねを成形する冷間加工では、塑性変形の開始応力と破断応力とが接近した破壊寸前の応力負荷状態で成形が行われることになるからである。すなわち、このような状況下では、製造時にばらつきとして生じるわずかな負荷変動や打ちきず等により破断する確率が高くなる。
【0019】
これに対して、本発明のオイルテンパー線は、上記したように降伏比が0.70〜0.80と小さく抑えられているので、降伏点と破断応力との間に余裕ができ、よって成形性を高めることができる。つまり、塑性変形が開始してから破壊に至るまでの間に充分な余裕が確保されているので、製造時の負荷変動のばらつきにより破断する確立が極めて低くなり、コイリング加工性がよくなる。尚、降伏点が低すぎると却って成形性が低下するので、本発明のオイルテンパー線では引張強度を2000〜2100MPaにしてこれを抑えている。このような2000〜2100MPaの引張強度、及び0.70〜0.80の降伏比を有するオイルテンパー線は、例えば焼入れ焼戻しの際の冷却速度を速くすることにより得ることができる。
【0020】
具体的には、一般的な伸線加工によって得られた上記の成分組成を有する鋼線を、高周波加熱による急速加熱で850〜900℃に加熱後、水焼き入れを行う。更に、400〜430℃で10秒間保持した後、冷却速度300℃/秒で焼戻しを行う。これにより上記した所定の引張強度と降伏比とを備えたオイルテンパー線が得られる。
【0021】
上記の方法で得られたオイルテンパー線を冷間加工でコイリングし、後述する窒化処理を施すことによって優れた耐へたり性と耐久性とを有する高強度バネを得ることができる。例えば、耐へたり性については、1200MPaのせん断応力(τ)を120℃の温度条件下で24時間に亘って加えた後、下記式1に示す残留せん断歪(%)に基づいて評価した場合、0.25%以下を実現することができる。
【0022】
[式1]
残留せん断歪(%)=1/G×K×(8×D)/(π×d)×ΔP×100
【0023】
ここで、上記式1のGは横弾性係数(kgf/mm)、Kはコイルバネの形状によって定まる定数であるワールの修正係数、Dはコイル中心径(mm)、dは素線径(mm)、ΔPはP1−P2である。P1は所定のせん断応力を加える前のコイルバネを所定の高さまで圧縮するのに要する荷重、P2は該せん断応力を加えた後のコイルバネを同一の高さまで圧縮するのに要する荷重である。
【0024】
本発明においては、高強度バネの耐へたり性と耐久性をさらに向上させるため、上記した合金組成や引張強度の要件に加えて、オイルテンパー線の旧オーステナイト結晶粒(旧γ結晶粒)の粒度番号を管理するのが好ましい。具体的には、オイルテンパー線の断面の旧γ結晶粒の粒度番号(JIS G0551)を11番以上とすることが好ましく、これにより耐へたり性と耐久性に関してより好適な結果を得ることができる。その理由は、11番以上の粒度番号では結晶粒径がより微細化するので引張強度が向上し、これが直接的に疲労限の向上に寄与するからである。逆にいえば、旧γ結晶粒の粒度が大きくなると、コイリング後の降伏比に向上がみられず、疲労限が低下する原因となるおそれがある。
【0025】
本発明のオイルテンパー線の合金組成は、上記したように、Cが0.50〜0.70質量%、Siが1.8〜2.2質量%、Mnが0.50〜0.90質量%、Crが0.50〜0.80質量%、及びVが0.10〜0.20質量%、残部が不可避不純物を除いてFeとなっているが、これらに加えて、Co、Ni及びMoの内の少なくともいずれかが、Coの場合は0.02〜1.0質量%、Niの場合は0.02〜1.0質量%、Moの場合は0.05〜0.5質量%含まれていてもよい。これにより、熱処理性がさらに向上し、バネ特性もより優れたものにすることができる。
【0026】
ところでオイルテンパー線は、一般にコイリング後に窒化処理を施して表面を硬化することが行われている。窒化処理は、窒素雰囲気の下で長時間に亘ってバネを加熱する熱処理であり、通常は350〜450℃の窒素ガス雰囲気で1時間〜4時間に亘って熱処理を行う。
【0027】
この窒化処理に関して、本発明者は上記したような降伏比が低く且つ所定の引張強度を有する所定の組成のオイルテンパー線を真空条件の下、350〜450℃の温度で1時間〜4時間に亘って熱処理することにより降伏比が0.90〜0.95に増加することを見出した。また、この熱処理後は引張強度が1850〜1950MPaとなり、バネとしての耐疲労性にも優れることも見いだした。そして、上記熱処理によるこれら降伏比及び引張強度の変化は、実際の窒化処理によって得られる降伏比と引張強度の変化と同様であることが分かった。
【0028】
従って、伸線メーカーがコイリング業者にオイルテンパー線を納入し、コイリング業者側で窒化処理を施すような場合は、伸線メーカー側において、オイルテンパー線の製品ロットの一部に対して、窒素を使用しない真空雰囲気の下で、コイリング業者が採用する窒化処理条件の温度及び時間で試験的に熱処理を行うことによって、最終製品となる高強度バネの特性をある程度予測することが可能となる。
【0029】
一方、コイリング業者側は伸線メーカーが実施した窒化相当熱処理のデータに基づいて、ある程度結果を予想しながら最適な窒化処理条件を決定することができるので、製品開発のリードタイムをより短縮化することが可能となる。本発明では、このような、窒素を使用しない真空雰囲気下で行う以外は窒化処理と同等の条件で熱処理を行うことを窒化相当熱処理と称している。
【0030】
窒化処理後は、バネの表面にショットピーニング処理を施してもよい。これにより、表面の硬度をより一層高めることができる上、表面近傍に残留圧縮応力を付与することができるので、耐疲労性がより一層向上する。このショットピーニング処理では、700〜900MPa程度の圧縮残留応力を鋼表面に付与するのが好ましい。
【実施例】
【0031】
Cを0.64質量%、Siを2.0質量%、Mnを0.80質量%、Crを0.70質量%、及びVを0.10質量%含み、残部がFeからなる鋼線を溶解、圧延、熱処理及び伸線工程を経て作製し、更に、高周波加熱で850〜900℃に急速加熱し、この温度に10秒保持後、水焼き入れ処理を行った。更に、高周波加熱で400〜430℃に加熱後、室温まで急冷して焼戻して、試料1〜8のオイルテンパー線を得た。これら試料1〜8のオイルテンパー線の旧γ結晶粒の粒度番号をJIS G0551に基づいて測定した。更に、これら試料1〜8のオイルテンパー線の引張強度をJIS Z2241に基づいて測定した。降伏比は0.2%耐力と引張強度の比で表した。その結果を下記の表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
次に、これら試料1〜8のオイルテンパー線のそれぞれ半分に対して、真空雰囲気の下、下記表2に示す温度で3時間に亘って窒化相当熱処理を行った。そして、これら窒化相当熱処理が施されたオイルテンパー線に対して引張強度、降伏比、及び疲労限を測定した。尚、疲労限は中村式回転曲げ疲労試験を実施した(1×10回)。その結果を下記の表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
次に、試料1〜8のオイルテンパー線のそれぞれ残る半分に対して、冷間加工によりコイリングして線径3.2mm、コイル中心径18.0mm、総巻数6巻、自由長40mm、及びバネ定数30N/mmのバネを作製した。得られたバネに対して380℃のアンモニアガス雰囲気中で3時間の窒化処理を行い、表面に窒化層を形成した。これに径0.3mm、Hv700のスチールボールでショットピーニングを行い投射時間を制御して表面に残留圧縮応力を付与した。
【0036】
これら窒化処理及びショットピーニング処理が施されたバネに対して、それぞれ最表面部の残留圧縮応力を測定した。尚、最表面部の残留圧縮応力はX線によるsiny法(並傾法)により測定した。更に、前述した式1の残留せん断歪(%)に基づいて耐へたり性を評価した。これら残留圧縮応力の測定結果及び耐へたり性の評価結果を下記の表3に示す。
【0037】
【表3】

【0038】
上記表3の結果より、本発明の実施例である試料1〜6のオイルテンパー線をコイリング加工及び窒化処理して得たバネは、へたり量が低く、優れた耐へたり性を有していることが分かった。一方、本発明の比較例である試料7〜8のオイルテンパー線をコイリング加工及び窒化処理して得たバネは、各元素の含有率が試料1〜6と同等であるにもかかわらず、試料1〜6に比べてへたり量が大きくなった。
【0039】
また、表2及び表3の結果が示すように、コイリング加工及び窒化処理後のへたり量が試料1〜6に比べて大きかったこれら試料7〜8は、窒化相当熱処理後の降伏比において本発明の要件を満たしていないことが分かる。つまり、窒化相当熱処理を行うことにより、実際にコイリング加工及び窒化処理した後のバネ特性を予測できることが分かった。
【0040】
以上、本発明のバネ用鋼線及びそれを用いたバネについて実施例を挙げて説明したが、本発明は係る実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で種々の実施態様が可能である。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲及びその均等物に及ぶものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cを0.50〜0.70質量%、Siを1.8〜2.2質量%、Mnを0.50〜0.90質量%、Crを0.50〜0.80質量%、及びVを0.10〜0.20質量%含み、残部が不可避不純物を除いてFeからなり、引張強度が2000〜2100MPa、降伏比が0.70〜0.80の高強度バネ用鋼線あって、窒化相当熱処理後の降伏比が0.90〜0.95であることを特徴とする高強度バネ用鋼線。
【請求項2】
旧γ結晶粒の粒度番号(JIS G0551)が11番以上であることを特徴とする、請求項1に記載の高強度バネ用鋼線。
【請求項3】
前記窒化相当熱処理後の引張強度が1850〜1950MPaであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の高強度バネ用鋼線。
【請求項4】
前記窒化相当熱処理が真空雰囲気の下、350〜450℃で1時間〜4時間に亘って行われることを特徴とする、請求項1ないし3のうちのいずれかに記載の高強度バネ用鋼線。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかに記載の高強度バネ用鋼線を冷間加工した後、窒化処理を施して得られることを特徴とする高強度バネ。
【請求項6】
ショットピーニング処理により鋼表面に700〜900MPaの圧縮残留応力が付与されていることを特徴とする、請求項5に記載の高強度バネ。
【請求項7】
120℃及び1200MPaの条件下での耐へたり性が0.25%以下であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の高強度バネ。
【請求項8】
Cを0.50〜0.70質量%、Siを1.8〜2.2質量%、Mnを0.50〜0.90質量%、Crを0.50〜0.80質量%、及びVを0.10〜0.20質量%含み、残部が不可避不純物を除いてFeからなり、引張強度が2000〜2100MPa、降伏比が0.70〜0.80であるオイルテンパー線を成形加工した後、350〜450℃で1時間〜4時間の窒化処理と、ショットピーニング処理とを行うことを特徴とする高強度バネの製造方法。
【請求項9】
前記オイルテンパー線の旧γ結晶粒の粒度番号(JIS G0551)が11番以上であることを特徴とする、請求項8に記載の高強度バネの製造方法。
【請求項10】
前記窒化処理後の降伏比が0.90〜0.95であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の高強度バネの製造方法。

【公開番号】特開2012−117091(P2012−117091A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265705(P2010−265705)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(302061613)住友電工スチールワイヤー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】