説明

成形材料およびその建設・補修材としての使用方法

【発明の詳細な説明】
<産業上の利用分野> 本発明はポリイソシアネート−イソシアヌレート、ポリオール、防炎剤および難撚剤、ならびに任意にポリイソシアネート、充填材および促進剤を添加することによって構成され、特に建設ならびに補修材料としての使用に適し、迅速な加工性ならびに防火性に優れた新規な成形材料及びその使用方法に関する。
<従来の技術> 防炎添加剤を含むこよによって難燃性乃至不燃性を有するイソシアネートおよびイソシアヌレート成分を含むポリウレタン、エポキシ樹脂(EPO樹脂)、フェノール樹脂およびノボラックの硬質プラスチック材料および発泡体が知られており、耐火性を改善し低発煙密度および低毒性を得るために多くの種類の配合が提案されている。そして、防炎添加剤として特にAl2O3×H2O、有機および無機のフォスフェートまたはフォスフォネート、ほう酸塩、珪酸塩、塩素化パラフィン、ハロゲン化合物、重金属塩、単体の燐、ポリフォスフェートおよび三酸化アンチモンが提案されている。これに関する例はたとえば米国特許4,126,473および4,147,690、欧州特許69,675およびDE−OS 31 05 947に記載されている。また、従来技術に関してはBecker−Braun,Kunststof fhandbuch,vol.7,Polyurethanes第二版、1983;J.Troitzsch,Brandverhaiten von Kunststoffen,Grundlagen etc.,Carl Hanser−Verlag,1982;およびPolymerwerkstoffe,vol.2,Technologie 1,H.Batzer et al.,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,1984に述べられている。
上述したような防炎剤の個別添加または組み合わせによって部分的には極めて良好な結果が得られる。しかし、プラスチック使用の著しい増加に伴ない、今日では多くの規格や仕様によって旅客輸送の分野、特に航空機および自動車工業、ならびに船舶、列車および建築産業において防火に関する極めて厳しい要求がなされている。これは各国および国際的な規格、たとえばDIN75200、DIN4102、DV899/35(ドイツ)、FAR25,853、MVSS25,853(米国)、AFNORP92−507(フランス)等において文書化されている。これらの規格は将来さらに厳しくなり、不燃性以外の焦がした場合および火炎の場合の発煙気体の濃度および毒性が重要視されるようになることが予想され、1979年にエアバス共同体は自身の厳しい規格ATS1000.001を作成し関係支部に提供した。航空機の寿命は最低15年とした場合、この規格はすでに将来の開発および要求を考慮に入れている(TU21、1980、No.2、2月、pp79−82および「Die chemische Produktion」、1983、pp50−53参照)。
現代航空機産業において使用されている一成分系および二成分系成形材料はATS1000.001の要求条件を満たしていない。
航空機産業においてこれらの成形材料は、たとえば強化材および取り付け材(インサート)、内部被覆材(たとえば側壁、隔壁、および天井被覆)、床材、絶縁および被覆板、ならびに成形部品の製造に用いられており、特にいわゆるプリプレグ材料(サンドイッチハニカル構造)、すなわち多層樹脂マット(商品名Nomex)で被覆されたフェノール樹脂ハニカムで構成されているものの使用が好まれている。この樹脂マット(プリプレグ)はE−ガラス繊維にフェノール/フォルムアルデヒド、不飽和ポリエステル、EPOおよびポリアミドから成る樹脂から含浸したものであり、安全性を増し辺縁部の形状を保つためにサンドイッチ材料の辺縁部のハニカムにエッジ充填材を挿入することが多い。
予測可能な将来の要求を満足できる成形材料は収縮なしに硬化し、約0.2乃至0.8g/cm3の低い密度の構造材料が可能で、常温ならびに80または130℃までの継続的な熱の影響下において高い曲げおよび圧縮強度を保持できるものでなければならない。これ以外に、耐火および耐焦性、すなわち不燃性、不融性、少ない発煙気体発生、および実質的に無毒の熱分解ガス発生に関する条件を加えなければならない。特殊な用途(たとえば航空機の運搬部分)においてはさらに高い熱安定性が必要となり、材料がたとえば1000乃至1,200℃の温度に10分間耐えることが要求される。これらの成形材料を用いた通常の複合系においては、これらの複合系を形成する基礎材料、たとえば高分子、縮合あるいは重合材料(たとえば不飽和ポリエステル、EPO樹脂、フェノール樹脂、ポリイミドあるいはポリウレタン)との適切な接続または接着が可能でなければならない。また金属およびガラスおよび炭素繊維のごとき材料との適切な接続または接着が可能であることが必要でありあるいは少なくとも好ましい。
多くの特許明細書および出願に記載されている従来技術において知られている配合および構成は、上記の要求の一部あるいはその部分的範囲の組み合わせを満たしているに過ぎない。
すなわち欧州特許157 143には防火性シーリング材が記載されており、このものはメラミンおよび多くの充填材で構成されているが、特に密度が0.7〜1.0g/cm3であるという欠点を有するものである。
DE−OS 35 19 581はアミン硬化EPOおよびポリサルファイド樹脂で構成されプレオックス炭素繊維を強化材として用いたアブレーション(融除)被覆材を開示しており、このものは高温に耐えるが1.0g/cm3よりかなり大きい密度を有している。
DE−OS 27 14 006、DE−OS 27 13 98 4およびDE−OS 27 40 504にはポリイソシアネートと中空細球からなる成形材料が記載されている。これらは空気中の水分を吸収することにより、あるいは水を添加することによって硬化する。好ましくは加工前に燐酸および/または燐酸塩もしくはそれらの水溶液またはアルカリ珪酸塩溶液を添加する。これらの出願特許に記載されている成形材料は圧縮強度が比較的低く、ポリイソシアネートと中空細球とのプレミックスの形においてのみ貯蔵安定性がある。しかしながらこれらは水分硬化型−成分系材料ほど安定ではなく、後者の有する優れた加工性を持っていない。試験の結果、たとえば中空細球と2%のポリイソシアネートの混合物では安定な材料が得られないことが解っている。DE−OS 27 14 006の特許請求の範囲第2項の方法によって製造された材料(厚さ5〜10mmの板)は1080℃の温度で一分間耐えることができなかった。
したがって問題は既知成形材料の上記欠点を除き、特に防火性における特性を改善することにある。特に問題は上記の特性以外に常温のみならず80℃までの高温において硬化物が高い圧縮強度特性(常温に対する80℃の圧縮強度の減少が40%未満)を有し、焦がした場合および/または火災の場合の引火性、発煙ガス濃度および有毒熱分解ガスの発生に関する極めて高い要求を満足し、残炎がなく、不融性で、水、作動油およびケロシンに耐え、すべての標準プリプレグ材料、金属および繊維材料との優れた結合性を有し、収縮なしに硬化する成形材料を提供することである。
これらの問題を解決するためになされた欧州出願237 890においては、ポリイソシアネート−ポリイソシアヌレートおよび防炎ならびに防火材よりなり、場合によってポリイソシアネート、充填材および促進剤を添加した一成分型成形材料が提案され、これは以下のもので構成されている:A) 18乃至24重量%のNCOを含有する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートを40乃至80重量%、B) 粗MDIおよび/またはポリオールと粗MDIのプレポリマーおよび/またはイソフォロンジイソシアネートに必要に応じてTDIの二量化トリアジン、TDIとMDIの共重合トリアジンおよび/またはナフタレンジイソシアネートを添加したものを0乃至20重量%、C) 5乃至20重量%の以下の混合物:a) 成分Cが5乃至10重量%しか存在しない場合に第二燐酸アンモニウムの量が80乃至100重量%であることを前提として、50乃至100重量%の第二燐酸アンモニウム、b) 0乃至50重量%の第一燐酸アンモニウム、c) 0乃至20重量%のゼオライトおよび/または珪酸アルカリ結晶、d) 0乃至10重量%のシリカ微粉、e) 0乃至20重量%のCa3(PO4、f) 0乃至20重量%のアゾジカルボンアミド、g) 0乃至20重量%のか焼酸化カルシウム、D) 0乃至50重量%の充填材、およびE) 0乃至50重量%の促進剤。
冷間成型した後、本成型材料の硬化は常温または高温における加圧、ロール成型、プレス成型、押し出し、振とう、吹き込み等により空気中の水分または水蒸気の作用によって行なわれる。硬化は常温において約7日以内あるいは上記の促進剤を約1乃至3重量%添加した場合には一日以内で行なわれる。しかしながら硬化は促進剤なしに110乃至200℃(たとえば130℃)において約0.5乃至3時間で行なうことが望ましい。通常かなりの後硬化があり、最初に得られた圧縮強度がたとえば4週間後に約20乃至30%あるいは50%も増加することがある。本成型材料を硬化する場合、熟練者は成形品の形状および熱伝導性を考慮し、それにしたがって必要な硬化時間を選択することができる(たとえばDE−OS 27 14 006,p23参照)。そうでない場合、硬化は通常の圧力、たとえば大気圧において行なう(通常約0.5乃至50バールの圧力が用いられる)。
硬化時の大気の相対湿度が約40%より低い場合には水を1乃至10%の濃度で添加することが望ましく、水の量を規定する必要はない。水は水を含む物質、たとえば苛性ソーダおよび苛性カリ溶液、あるいはアルカリ反応性化合物、たとえば珪酸ソーダまたはカリの水溶液で置き替えることができる。燐酸アンモニウム溶液も非常に適している。通常0.5乃至5N溶液が用いられる。
<発明が解決しようとする課題> 前述した本欧州特許出願に係る成形材料は上記の要求を完全に満たすが、実際の使用においては常温で用いることができ、プレスあるいはオートクレブを用いずに迅速な加工ができる成形材料が望ましいことが解った。一方7日あるいは促進剤を添加した場合の一日の硬化時間(上記参照)は受け入れられないことが多く、また上記の約110乃至200℃の範囲の温度を加えることが不可能あるいは少なくとも望ましくないことが多い。このことは修理、特に被補修部分の総合的性質に対する補修材料の僅かな影響(たとえば容積重量)によって成形材料に対する上記のすべての最適特性の達成を要求しない現場における修正の場合に当てはまる。
したがって本発明は欧州出願237 890に開示された成形材料の優れた特性を実質的に保持し、常温あるいは僅かに高い温度、たとえば60乃至80℃において望ましくはプレスあるいはオートクレーブを必要とせずに極めて迅速な加工が可能な成形材料及びその使用方法を提供することを目的とする。
<課題を解決するための手段> 前記目的を達成する本発明の成形材料は、ポリイソシアネート−イソシアヌレート、ポリオールおよび防炎および防火剤、ならびに用途に応じてポリイソシアネート、充填材および促進剤よりなり、以下によって構成される:A) 2乃至22重量%のOH含有率を有する分岐ポリオールを5乃至40重量%、B) 20乃至40重量%の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、C) 粗MDIおよび/またはポリオールと粗MDIのプレポリマーおよび/またはイソフォロンジイソシアネート(IPDI)に、必要に応じてTDIの二量化トリアジンおよび/またはTDIとHDIの共重合トリアジンおよび/またはナフタレンジイソシアネートを添加したものを0乃至20重量%、D) 5乃至20重量%の以下の混合物:a) 50乃至100重量%の第二燐酸アンモニウム、b) 0乃至50重量%の第一燐酸アンモニウム、c) 0乃至30重量%のアゾジカルボンアミド、d) 0乃至20重量%のゼオライトおよび/または珪酸アルカリ粉末、e) 0乃至10重量%のシリカ微粉、f) 0乃至10重量%のオルト燐酸カルシウム、およびg) 0乃至20重量%のか焼酸化カルシウム、E) 0乃至50重量%の充填材、およびF) 0乃至5重量%の促進剤。
以下、本発明の構成を説明する。
本発明の成形材料は、2乃至22重量%のOHを含む分岐ポリオール、すなわち官能性または非官能性の置換基または側鎖を有するポリオールが成分Aとして用いられ、弾性付与性を有するポリオール、たとえは直鎖ポリエーテロールおよびポリエステロールは、得られる成形材料の圧縮強度が高温において著しく低下するため本発明の目的には適さない。本発明に適する分岐ポリオールは従来技術においてよく知られており、多数の種類が市販されている(たとえばDE−OS 34 18 877,7頁25行−9頁26行;DE−OS 27 40 504,11頁16行−16頁27行;ならびにポリウレタンに関する資料参照、本発明に適する分岐ポリオールはいわゆるプレポリマー技術に関連して記述されることが多く、市販品に関してはたとえBayer AGの製品「Desmophen」に関する資料参照)。本発明の成形材料は好ましくは完全もしくはほとんど完全に溶剤不含であるため、市販製品は溶剤不含あるいは容易に溶剤を除去できるもののみが使用可能である。
本発明において分岐ポリオールとしては(イ)約11.5重量%のOH含有率を有するプロポキシル化トリメチロールプロパンが特に有用であることが見出された。さらに(ロ)約22重量%のOHを含む多官能グリコールエーテルオリゴマー、(ハ)約2乃至9重量%のOHを含む二官能ポリエステロールオリゴマー、(ニ)これらの二官能ポリエステロールオリゴマーと上記のプロポキシル化トリメチロールプロパンまたは多官能グリコールエーテルオリゴマーの分岐ブロック共重合物ならびに(ホ)約5重量%のOHを含む脂肪酸変性分岐ポリエステロールオリゴマーが好ましい。なお、これらの好ましいポリオールはすべて市販されており、単独あるいはどのような形の混合物としても使用できる(上記Becker−Braun,Kunstostoffhandbuch参照)。しかしながらプロポキシル化トリメチロールプロパンの単独使用が特に好ましい。
成分Bは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートである。好ましい形である理想的に三量化された1,6−ヘキサメチレンイソシアヌレートの場合は下記の構造を持つポリイソシアネート−イソシアヌレートとなっている。


また、明らかにこの化合物から生じる架橋生成物も適している。この1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートは市販されており、通常0.5重量%未満の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート単量体を含んでいる。NCO含有率は18乃至24重量%、好ましくは20乃至22重量%である。通常、密度は約1.2g/cm3で粘度が約1,000乃至3,000mPasであり、適切な粘度を保つことが加工上重要である。好ましい理想的に三量化された1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの含有率は市販品によって異なり、たとえば約98%以上である。
成分Cとして用いる「粗MDI」はジフェニルメタンジイソシアネートとポリイソシアネートから成り、アニリンとフォルムアルデヒドの縮合物にフォスゲンを作用させることによって製造される。揮発成分および生成するジフェニルメタンジイソシアネートの一部は蒸溜によって除去される。すなわち粗MDIはジフェニルメタンジイソシアネートの製造あるいは蒸溜の残分から得られるポリイソシアネートである(たとえばDE−OS 27 14 006,pp9,18および特に28;Kunstostoffhandbuch,vol.7,Polyurethane,第二版,1983,p6参照)。本発明においてはこの粗MDIが高い官能性、例えばNCO含有率が28乃至33重量%を有することが好ましいが、低いNCO含有率、例えば20重量%であってもよい。この粗MDIの密度(20℃)は通常1.2±0.1g/cm3で、粘度は通常約130mPasである。
成分Cは粗MDIに代えて、粗MDIとポリオールを既知の方法で反応させて得られるプレポリマーで構成することもできる。プレポリマーの製造に適するポリオールは熟練者にとっては既知のものであるため例示は省略する(たとえばDE−OS 27 14 006,p10ff参照)。
また、成分Cとしては、粗MDIまたはポリオールと粗MDIとのプレポリマー、若しくは粗MDI及びポリオールと粗MDIとのプレポリマーの併用の代りに、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)を用いることが出来る。この製品も市販されている。
本発明の成分Cとしてはさらに好ましい実施例においては、粗MDIおよび/またはイソフォロンジイソシアネートに、TDIの二量化トリアジン、TDIとHDIの共重合トリアジンおよび/またはナフタレンジイソシアネート(NDI)を添加することができる。なお、これらの添加成分は固定として加えられる。また、TDIの二量化トリアジンは市販品、たとえば酢酸エチルまたはブチルに溶解したものが入手でき、次の理想化した構造を有する:

TDIとHDIの共重合トリアジンも酢酸エチルまたはブチルに溶解したものが市販されており、下記の理想化構造を有する:

本発明の成形材料において成分Cは1乃至10重量%、特に2乃至6重量%の量で存在することが好ましく、それによって硬化した成形材料の最適の圧縮強度が得られる。
成分Dは硬化後の本発明の成形材料の不燃性に関する極めて優れた特性について決定的な役割を有しており、第二燐酸アンモニウム(燐酸水素ジアンモニウム、(NH42HPO4)、アゾジカルボンアミド、ゼオライト、特にアルミノ珪酸ソーダまたはカリ、珪酸ソーダおよびカリのごとき珪酸アルカリ粉末、シリカ微粉、特に熱分解シリカ、オルト燐酸カルシウム(Ca3(PO4)および/またはか焼酸化カルシウムが例示できる。この混合物は少なくとも50%の第二燐酸アンモニウムと50%までその他成分で構成される。現在までの経験では第二燐酸アンモニウム、結晶珪酸アルカリ、熱分解シリカおよびオルト燐酸カルシウムの混合物が適することが示されている。
本発明は成形材料もしくはその成分IIの貯蔵安定性についてはその各成分の含水率が成形材料の重量に対して約0.2重量%を越えず、成分Dが0.5乃至150μmの寸法の粒子で構成されていることが必要である。70乃至90重量%が5乃至100μm、5重量%を越えない量が100μm以上、および5重量%より少なくない量が5μmより小さい粒子径を持つような粒子径分布が特に好ましい。この粒子径分布は成分D全体に適用されるが、その混合成分a)からg)までのそれぞれにも適用することが望ましい。成分Dに用いる材料の希望する粒子寸法のものが市販品で得られない場合には、常法により、たとえば粉砕によって粒子径を調整することができる。
成分C中のシリカまたはオルト燐酸カルシウムの微粉は主として安定化作用を有し、本発明の成形材料の製造において成分Cを自由に流動する形で用いることができる。この点より見たこれらの成分の適切な量は約1乃至3重量%であり、成分Cの混合成分の重量百分率は特許請求の範囲および説明の双方において後者のみを基準とし、すなわち成分Cの全量が100重量%に相当する。
成分Eに適する充填材は本発明の成形材料の目的とする用途から見て実際上そのすべてが成形材料用として既知の充填材である。このような充填材の例としてはタルク、石粉、白亜(チョーク)、不燃性プラスチック粒、CaO,Mg(OH)2,Al(OH)のごとき無機固体、金属のフレーク、チョプおよび粉末、ゼオライト、顔料等がある。
良好な結果を得るにはフライアッシュおよびガラスあるいはフェノール樹脂から作られた5乃至200μmの粒子径および0.15乃至0.7g/cm3の真密度を有する中空細球が特に好ましい。熟練者にとって既知の通常の市販品が適当であるため説明を要しない(中空ガラス細球についてはたとえばKunststoffe 75,1985,pp421−424参照)。本発明の成形材料の防火性の立場からは不燃性または消火性ガスを充填した中空細球の使用が特に好ましい。これらは通常窒素および二酸化炭素が用いられ、アルゴンの如き不活性ガスを充填した中空細球もあるが経済的見地から考慮されることは稀である。
炭素、ガラスおよび金属繊維も極めて良好な充填材である。硬化後の成形材料の密度が低く圧縮強度を必要とする場合には炭素繊維の使用が特に有利である。0.001乃至0.1mmの太さおよび0.005乃至50mmの長さ、特に0.1乃至5mmの長さを有する炭素繊維およびポリアクリロニトリルから作られたいわゆるプレオックス繊維(たとえばDE−OS 35 19 581,pp6および7参照)が特に適している。適する金属繊維は主として銅およびステンレス鋼の繊維であり、後者は4乃至12μmおよび1乃至12mmの長さを有するものが好ましい。
その他の適する充填材は1乃至70μmの粒子径を有するシリカあるいはB4C(テトラボロンカーバイド)である。
アルミニウムフレークも極めて適した充填材である。さらにいわゆる「くもの巣ウイスカー」が極めて良好な充填材であることが実証されている。この繊維材料SiO2,Si,SiCおよびCで構成され、サブミクロンおよびミクロン範囲で絡みあった繊維から成っている。このくもの巣ウイスカーは炭化珪素粒子を添加した炭化珪素繊維で構成することもできる(たとえばNorwegian Talc Deutsschland GmbHの繊維添加剤「XEVEX」および「XPW 2」に関する資料参照)。
さらに市販のメラミン樹脂粉末が良好な充填材であることが実証されている。たとえば「NORPRIL」の商品名で市販されている発泡クレー(Norwegian Talc Deutschland GmbHの1986年9月の資料参照)も適している。
成分Dすなわち充填材を含まない本発明の成形材料はプリプレグ用の不燃性ラミネート樹脂として適している。低い充填材含有率は本発明の成形材料を発泡体に加工する場合に有利である。この目的には5乃至20重量%の中空ガラス細球の使用が特に有利である。これに関してこれらの中空細球は製造される。発泡体の空隙率の調整用としても用いられる。本発明の成形材料中の中空ガラス細球の密度は0.4g/cm3より小さいことが望ましい。
前述の如く充填材の選択は本発明の成形材料の使用目的に依存する。熟練者は充填材の選択が成形材料の特性に影響する形および度合を熟知している(後述の実施例参照)。しかしながら本発明の成形材料を用いる場合に期待する効果がしばしば著しい形および平均以上の程度で発現することが解った。
成分Fとして有用な材料は本技術分野においてよく知られているものである。すなわちアミン、ジブチル錫ジラウレート、錫メルカプテート等のすべての既知材料が促進剤あるいは触媒として使用可能であるが(たとえばDE−OS 27 14 006,pp20および21ならびにDE−OS 23 10 559、7欄参照)、三級アミンの使用が好ましい。
本発の成形材料の製造には特別な問題はなく、成分A,BおよびDならびに使用する場合は成分C,EおよびFを混合することによって行なわれる。実質的に水分を遮断することが重要である。したがって本発明の成形材料は乾燥不活性ガスたとえば窒素雰囲気中で製造することが望ましい。中空細球を使用する場合は一般にこれらをあらかじめたとえば200℃において4時間乾燥することが必要である。前述の如く適切な貯蔵安定性を得るには本発明の成形材料を各成分の含水量がすべて約0.2重量%を越えないことが重要である。
本発明の成形材料の成分を混合する順序は通常重要ではない。一成分型成形材料を製造する場合には(安定性については下記参照)分岐ポリオールを最後に添加することが望ましい。さらに中空ガラス細球を充填材として使用する場合には、これを最初に混合し次に成分Bおよび/または成分Cを任意の順序で添加し、その後他の成分を添加するのが特に望ましいことが解っている。前述の如く成分CおよびDがいくつかの成分から成っている場合にはそれらをあらかじめ混合しておくことが望ましい。
本発明の成形材料を構成する成分の混合は通常の手段たとえば強制ニーダー、二重Z型強制ニーダー、プラネタリミキサー、適切なエクストルーダー、ドラムミキサー、ナウタミキサー等を用いて行なうことが出来る。混練は均一な材料が得られるまで行なわれ、ガラス板上で顕微鏡検査を行なうことによって確認する。一般に混練時間は3分間が適当である。200リットルバッチの場合、最高混練時間は通常15分を越えないが、本発明で使用する材料の場合には一般にはるかに短い混練時間が適当である。
このようにして製造された均一な成形材料は成分Fを含まない場合8乃至12時間の加工時間(可使時間)を有する。実用上これは短か過ぎることが多く、本発明の成形材料は製造後強く冷却して凍結させることが望ましい。これは急速冷凍によって行なわれる。約−19または730℃の温度が適当であり、これによって本発明の成形材料の安定性は約一ケ月になる。常温で溶解させた後の可使時間は約一時間である。
本発明の成形材料の貯蔵寿命および可使時間は、成分Aを含む成分Iならびに成分Bおよび使用する場合に成分Cを含む成分IIで構成される二成分型成形材料を作ることによって著しく延長することができる。
特に成分Iおよび成分IIは次の組成を有する:成分I1) 40乃至80重量%の成分A、2) 10乃至20重量%の成分D、3) 0乃至50重量%の成分E、および4) 0乃至5重量%の成分F成分II1) 40乃至80重量%の成分B、2) 0乃至20重量%の成分C、3) 5乃至20重量%の成分D、4) 0乃至50重量%の成分Eおよび5) 0乃至5重量%の成分F 重量百分率は成分IおよびIIのそれぞれの全量に対するものである。
このようにして製造された均一な成分IおよびIIは常法における通常の装置(たとえばプレス)を用いてたとえばカートリッジあるいは容器(たとえばホブボック)に充填される。アルミニウム複合フィルムあるいはポリエチレンまたはポリプロピレンフィルムの容器に充填することもできるが、透水性の少ないことからポリエチレンよりポリプロピレンの方が望ましい。
実用上あるいは美観上の理由によって着色する場合以外、本発明の成形材料あるいはその成分IおよびIIは無色乃至白色、低粘度のパテ状乃至液状の材料である。本発明の成形材料が二成分型成形材料である場合、成分IおよびIIは加工前に通常の装置を用いてできる限り均一に混合する。成分IおよびIIの混合物は低粘度のパテ状材料、すなわち流れずに動かないものであることが望ましい。しかしながらこの混合物は冷時に作業可能でありその粘度は常に最も小さいハニカム、たとえば2.8mmのキー巾を有するハニカム内に圧入可能である。成分IおよびIIの混合比は通常3:1乃至1:10の範囲内である。
本発明の成形材料、特に二成分型成形材料の欧州出願237 890に係る一成分型成形材料に対する利点は、室温あるいは80℃までの温度における迅速な硬化である。すなわち60乃至80℃の温度において硬化は通常15分以下で達成される。欧州出願237 890に係る一成分型成形材料のこの温度における硬化時間は6時間以上である。
本発明の成形材料はプレスあるいはオートクレーブを使用せずに行なわれる迅速な硬化により、製造材料、特に陸上、空中および水上の乗り物の構築のための成形部品および板状部材の製造および被覆に適する防火構造材料のみならず、特に補修材料特に上記の成形部品および板状部材の補修が可能な防火性補修材料として有用である。すなわちこれによって破損した構造部材あるいは部品をFAR25,853およびATS1000.001の如き国際試験規格の条件に適合するように補修することが初めて可能となる。
マスチックスおよびハニカムもしくはプリプレグ補てつ材による補修方法が知られている。しかしながらフェノールまたはエポキシ樹脂プリプレグの場合にはその構造部品を飛行機から取り外し、航空機工場において高圧および120乃至170℃の温度のプレスで費用のかかる修理を行なわなければならない。他の方法においてはホットメルトで被覆した硬質あるいは前硬化プリプレグパットを用い、このパッドを70乃至80℃に加熱することによって修理を行なう。しかしながらこの方法では本発明の成形材料を用いて得られるような大きい安定性は得られない。さらにこの方法は曲げあるいはその他の方法で成型された構造部品に対して限られた程度においてのみ適用可能である。また室温もしくは60℃の温度における作業も不可能である。さらに加熱温度を越えると接着の問題が起こる。
これに対して本発明の成形材料単独(プリプレグなしに)あるいはポリふっ化ビニルフィルム(Tedlarフィルム)等で被覆して加熱しあるいは加熱せずに(室温乃至60℃)安定で外観上の問題のない補修を行なうことができる。
さらに本発明の成形材料を用いてOMC法(開放型材料)により構造部品を製造することができる。この方法においては開放型にラッカーを塗布してこれを硬化させる。この型内で成形材料を硬化させ(室温乃至80℃)仕上げ処理を必要とせずに目的とする用途に直ちに使用できる構造部品が得られる。この方法により試験規格FAR25,853およびATS1000.001に適合する厚さ200μmまでのラッカー被覆の不燃性が達成できる。
本発明の成形材料の他の大きい利点は溶剤を含まないことである。環境を保護するための規制が厳しくなり、溶剤を含む成形材料の使用に費用がかかるため、この特長によって加工が著しく容易になる。
本発明の成形材料を硬化させる場合、熟練者は成形物の形状および熱伝導性を考慮して必要な硬化時間を選択する。硬化は常圧たとえば大気圧において行なう(通常約0.5乃至50バールの圧力が用いられる)。
前述の如く、本発明の成形材料は多くの方法すなわち極めて多くの目的の構造材料特に防火性構造材料として用いられる(本発明の成形材料の多くの可能な用途はたとえばDE−OS 27 14 006の25頁から26頁にわたる項に記載されている)。すなわち本発明の成形材料は発泡体(150乃至300kg/m3の見掛け密度を有する硬質発泡体)の製造に用いられる。特に重要な用途はガラス繊維もしくは炭素繊維のプリプレグの表層と150乃至1000kg/m3の見掛け密度を有する成形材料もしくは発泡体の芯材とで構成される複合系あるいはサンドイッチ構造の製造である。本発明の成形材料は特に航空機の製造として用いられるハニカム材料の加工に用いるのが特に好ましい。本発明の成形材料をこれらのハニカム材料に圧入してその中で硬化させることによって成形物に対して大きい硬さ、圧縮強度および優れた防火特性を付与することができる。
多くの用途において本発明の成形材料をガラスもしくは炭素繊維と組み合わせることが望ましい。この目的にはサテン、リンネル、アトラス、ロービング、一方向性材料およびステープル繊維織物が特に適している。フリースおよび管状編み物も用いられる。他の適する繊維材料はアラミドガラス繊維またはポリー(p−フェニレンテレフタル酸アミド)−炭素繊維で構成されたものである(アラミドおよびPPDTについてはたとえばNeue polymere Werkstoffe,1969−1974,Carl Hanser Verlag,1975,9.1および9.2章参照)。目的とする用途に応じてこれらの織物、フリースあるいは編み物を本発明の成形材料で充填して硬化させるか、あるいは成形材料に外側からかぶせて後者を硬化させることができる。後者の硬化は型を上記の織物、フリースあるいは編み物の一つで内張りし、本発明の成形材料を注入して硬化させることによって行なう。これによって硬化した成形材料と織物、フリースまたは編み物との間で極めて安定した結合が得られる。使用する織物およびフリースの重量は50乃至600g/m2、主に100乃至200g/m2が好ましい。
本発明の成形材料から製造された製品は優れた不燃性を有し、たとえば強化材なしの厚さ10mmの板は融解、残炎あるいは燃焼を起こさない程度において5分間の火焔暴露(1080℃)の形の耐火試験に耐える。
本発明の成形材料は充填材料およびパテならびに被覆材として適している。しかしながら主な用途な繊維および材料の複合構造である。概説すると、最も重要な用途は以下のものである:防火が要求される航空機産業、船舶、鉄道その他の乗り物(たとえばレーシングカーおよびタンカー);車両産業においてはエンジン周り、キャブレターの火などを防ぐためのエンジンカウリングのライニング、建築産業においては壁開口部の防火シール、マンホールの蓋、空気調整用シャフト、カバープレート、防火壁、防火扉の充填、あるいはデータ保護キャビネットおよび金庫の扉、ライニングあるいはカバーとして30乃至50mmの厚さの材料。
本発明の成形材料を硬化させて得られる製品はのこぎりにより切断、研削、穴あけ、くぎ打ち、ねじ止め、接着その他の機械加工が可能である(DE−OS 27 14 006,26頁の最終パラグラフ:本発明の成形材料にも適用可能な加工例が記載されている)。
本発明の成形材料は本技術分野において用いられる通常の助剤と併用することも可能であり、これらの助剤は成形材料に添加するかあるいはたとえば加工および硬化の際に添加することができる。これらの助剤は熟練者にとって既知のものであるため例示は省略する(たとえばDE−OS 27 14 006,20−21頁参照)。
この点に関して、本発明の成形材料を水を分離する重縮合物たとえばフェノール樹脂とともに硬化させることが特に有利である。ラミネート(プリプレグ成分)の過剰の単量体(たとえばスチレン)によって硬化作用を得ることもできる。たとえばスチレンとの相互作用によってラミネートとの非常に強力な結合が得られる。本発明の成形材料の上記の特性により既知の成形材料(たとえばDE−OS 27 14 006)およびエポキシ樹脂に基づく市販の周縁および芯材充填材料ならびにフェノール樹脂を用いた配合(上記参照)に比べると著しい相違が見られる。すなわちこれらの従来の材料はいずれもATS1000.001の条件を満足せず、フェノール樹脂材料の如き重縮合物に対するプリプレグの必要な結合が得られず、また常温では硬化することができない。
最後に本発明の成形材料は硬化後極めて良好な取り付け接着強度およびすべての市販のプラスチックとの相溶性を有し、ポリオレフィン、テフロン(PTFE)その他とも使用可能な接着が得られる。金属とも良好な接着強度が得られ、本発明に係る充填材料は金属外面を有するサンドイッチ部品および構造的耐火層としての金属材料の芯材あるいは被覆材としても用いられる。適する金属材料はたとえば鋼鉄、アルミニウム等である。
<実 施 例> 以下に本発明に好適な実施例を示す。なお、下記の好適な実施例は例示の目的のみのために示されたものであって、本発明の限定を意味するものではない。すべての場合において、特記なき場合は、すべての部および百分率は重量による。
実施例1 成分A,B,C,DおよびEの一成分型成形材料を調製した。21.5%のNCO含有率を有する市販の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート(以下単にイソシアヌレートという)50g、31%のNCOを含む粗MDIを5g、第二燐酸アンモニウムを12g、ゼオライトを1g、熱分解シリカを1g、および0.35g/cm3の密度を有する中空ガラス細球28gを混合した。得られた混合物に11.5%のOHを含むプロポキシル化トリメチロールプロパン50gを均一に混合した。得られた混合物の加工時間は約8時間であった。これを密閉型中で80℃において30分間硬化させた。硬化物は見掛け密度が650kg/m3および常温における圧縮強度が約22N/mm2であった。
実施例2 実施例1と同じ成分を用いて二成分型成形材料を調製した。成分Iは500gのプロポキシル化トリメチロールプロパン、30gの中空ガラス細球、19gの第二燐酸アンモニウムおよび1gのゼオライトから調製した。成分IIは500gのイソシアヌレート、50gの粗MDI、101gの第二燐酸アンモニウム、9gのゼオライト、10gの熱分解シリカおよび250gの中空ガラス細球から調製した。成分IおよびIIは上記成分をそれぞれ均一に混合することによって調製した。この方法によって二つの安定な成分が得られ、成分IIは室温において10日間および−18℃において90日間の安定性を有するものであった。このようにして得られた二つの成分を混合した混合物の加工時間は約8時間であった。実施例1と同様に硬化を行ない、硬化物は実施例1とほぼ同様な見掛け密度および圧縮強度を有するものであった。
実施例3 実施例2の成分Iにおけるプロポキシル化トリメチロールプロパンを22%のOHを含む多官能グリコールエーテルオリゴマー500gで置き替えたこと以外は同様にして実施例2を反復した。成分IおよびIIを混合した後の加工時間は常温において6時間であった。密閉型中で80℃において30分間硬化させた後、約630kg/m3の見掛け密度および約19.5N/mm2の圧縮強度を有する硬化物が得られた。この混合物の常温における硬化には約12時間を要した。
実施例4 2.0%のOHを含む二官能ポリエステロールオリゴマー500gをポリオールとして用いて実施例2及び3の手順を反復した。成分IおよびIIの混合物の加工時間は約12時間であった。80℃において60分で硬化したが室温における硬化時間は36時間であった。硬化物は約655kg/m3の見掛け密度および約14.2N/mm2の常温圧縮強度を有するものであった。
実施例5 5%のOHを含みエーテルおよびエステル基を有する分岐ポリアルコール500gをポリオールとして用いて実施例3および4の手順を反復した。上記ポリアルコールは成分Aに上述した具体例(ニ)によるブロック共重合体である(特許請求の範囲第5項参照)。成分IおよびIIの混合物の加工時間は約8時間であった。80℃において60分以内または常温において24時間以内で硬化した。硬化物は600g/m3の見掛け密度および約14.8N/mm2の常温圧縮強度を有するものであった。
実施例6 約5%のOH含有率を有する不飽和低分子脂肪酸変性ポリエステロールオリゴマー500gをポリオールとして用いて実施例2乃至5の手順を反復した。成分IおよびIIの混合物の加工時間は約12時間であった。80℃において60分以内または常温において24時間以内に硬化した。硬化物は580kg/m3の見掛け密度および常温において約17N/mm2の圧縮強度を有するものであった。
実施例7 下記より二成分型材料を調製した。
成分I:60g プロポキシル化トリメチロールプロパン(OH含有率=11.5%)
10g 第二燐酸アンモニウム50%、第一燐酸アンモニウム5%、アゾジカルボンアミド20%、珪酸カリ5%、オルト燐酸アンモニウム10%およびCaO10%の混合物10g 切断長さ400μmの炭素繊維10g 密度0.35g/cm3の中空ガラス細球2g シリカ微粉0.5g ジブチル錫ラウレート成分II:150g イソシアヌレート20g 粗MDI80%、IPDI20%およびDTIの二量化トリアジン10%の混合物50g 第二燐酸アンモニウム80%,ゼオライト15%およびシリカ微粉5%の混合物100g 密度0.40g/cm3の中空ガラス細球10g 切断長さ100μmの炭素繊維 粗MDI、IPDIおよびTDIの二量化トリアジンの混合物は、IPDIおよびTDIの二量化トリアジンの一部を粗MDIに溶解し一部を微細に分散させることによって作成する。
成分IおよびIIを均一に混合し、密閉型中で40℃において2時間以内で硬化させた。硬化物の見掛け密度は750kg/m3であった。常温における圧縮強度は7日後に38N/mm2、30日後に52N/mm2であった。80℃の圧縮強度は7日後で12N/mm2、30日後で19N/mm2であった。
実施例8 下記より二成分型材料を調製した。
成分I:10g 5%のOH含有率を有する脂肪酸変性ポリエステロールオリゴマー3g 第一燐酸アンモニウム1g アゾジカルボンアミド4g 250kg/m3の見掛け密度を有する発泡クレー(NORPRIL 250)
1g 密度0.35g/m3の中空ガラス細球成分II:60g イソシアヌレート5g 粗MDI80%、NDI10%およびTDIとHDIの共重合トリアジン10%の混合物1g シリカ微粉14g 第二燐酸アンモニウム0.1g トリエチルアミン0.1g ジブチル錫ジラウレート10g くもの巣ウイスカー(XEVEX)
10g 密度0.38g/m3の中空ガラス細球 粗MDI、NDIおよびTDIとHDIの共重合トリアジンの混合物は実施例7と同様にNDIおよびTDIとHDIの共重合トリアジンを粗MDI中に溶解および分散させることによって作成した。
これらの成分をそれぞれバケットピストンポンプ付のタンデム装置を介して約80乃至120バールで送り、成分Iと成分IIの混合比3:1で静置ミキサー中で均一に混合した。密閉型中で60℃において1時間硬化させた。硬化物の見掛け密度は680kg/m3、14日後の常温における圧縮強度は32.0N/mm2あった。
実施例9 下記より二成分型材料を調製した。
成分I:80g 22%のOH含有率を有する多官能グリコールエーテルオリゴマー20g 第二燐酸アンモニウム成分II:32g イソシアヌレート8g 第二燐酸アンモニウム 成分IおよびIIを2:5の比で混合し、密閉型中で80℃において120分間硬化させた。硬化物の見掛け密度は1300kg/m3、圧縮強度は常温で40N/mm2、80℃において6.5N/mm2であった。
実施例10 異なる量の促進剤を添加したことを除いて実施例2と同様に二成分型材料を調製した。
a) 実施例2+0.2gのDBTDLb) 実施例2+0.2gのDBTDL+0.1gのTEAc) 実施例2+0.8gのDBTDLDBTDL=ジブチル錫ジラウレートTEA=トリエチルアミン 成分IおよびIIの混合物ならびに硬化物の性質を下表に示す。


<発明の効果> 本発明の成形材料はプレスあるいはオートクレーブを使用せずに行なわれる迅速な硬化により、構造材料、特に陸上、空中および水上の乗り物の構築のための成型部品および板状部材の製造および被覆に適する防火構造材料のみならず、特に補修材料特に上記の成形部品および板状部材の補修が可能な防火性補修材料として有用である。すなわちこれによって破損した構造部材あるいは部品をFAR25,853およびATS1000.001の如き国際試験規格の条件に適合するように補修することが初めて可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ポリイソシアネート−イソシアヌレート、ポリオールおよび防炎剤ならびに防火剤より成り、任意にポリイソシアネート、充填材および促進剤を添加して成り、下記の成分で構成されることを特徴とする成形材料:A) 2乃至22重量%のOH含有率を有する分岐ポリオールを5乃至40重量%、B) 20乃至40重量%の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート、C) 粗MDIおよび/またはポリオールと粗MDIのプレポリマーおよび/またはイソフォロンジイソシアネート(IPDI)に、必要に応じてTDIの二量化トリアジンおよび/またはTDIとHDIの共重合トリアジンおよび/またはナフタレンジイソシアネートを添加したものを0乃至20重量%、D) 5乃至20重量%の以下の混合物:a) 50乃至100重量%の第二燐酸アンモニウム、b) 0乃至50重量%の第一燐酸アンモニウム、c) 0乃至30重量%のアゾジカルボンアミド、d) 0乃至20重量%のゼオライトおよび/または珪酸アルカリ粉末、e) 0乃至10重量%のシリカ微粉、f) 0乃至10重量%のオルト燐酸カルシウム、およびg) 0乃至20重量%のか焼酸化カルシウム、E) 0乃至50重量%の充填材、およびF) 0乃至5重量%の促進剤。
【請求項2】成分Iが成分Aを含み成分IIが成分Bおよび使用する場合は成分Cを含む二成分型成形材料の形であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の成形材料。
【請求項3】成分IおよびIIが下記の組成を有することを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の成形材料、成分I1) 40乃至80重量%の成分A、2) 10乃至20重量%の成分D、3) 0乃至50重量%の成分E、および4) 0乃至5重量%の成分F成分II1) 40乃至80重量%の成分B、2) 0乃至20重量%の成分C、3) 5乃至20重量%の成分D、4) 0乃至50重量%の成分Eおよび5) 0乃至5重量%の成分F重量百分率は成分IおよびIIのそれぞれの全量に対するものである。
【請求項4】成分IおよびIIの重量混合比が3:1乃至1:10の範囲であることを特徴とする特許請求の範囲第2項記載の成形材料。
【請求項5】ポリオール成分Aが下記の成分で構成されることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の成形材料:イ) 11.5重量%のOH含有率を有するプロポキシル化トリメチロールプロパン、ロ) 22重量%のOH含有率を有する多官能グリコールエーテルオリゴマー、ハ) 2乃至9重量%のOH含有率を有する二官能ポリエステロールオリゴマー、ニ) 5重量%のOH含有率を有するイ)またはロ)とハ)との分岐ブロック共重合体ホ) 5重量%のOH含有率を有する脂肪酸変性ポリエステロールオリゴマー、もしくはヘ) イ)、ロ)、ハ)、ニ)およびホ)の二以上から成る混合物。
【請求項6】成分Dが0.5乃至150μmの範囲の大きさの粒子から成ることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の成形材料。
【請求項7】成分Dが70乃至90重量%が5乃至100μmの大きさを有し、5重量%未満が100μmを越える大きさを有し、5重量%以上が5μm未満の大きさを有するような粒子径分布を有することを特徴とする特許請求の範囲第6項記載の成形材料。
【請求項8】成分Eがフライアッシュ、シリカ、B4C、中空ガラス細球、中空フェノール樹脂細球、炭素繊維、プレオックス繊維、ガラス繊維、金属繊維、アルミニウムフレーク、くもの巣ウイスカー、メラミン樹脂粉および発砲クレーよりなる群より選ばれた一種以上の充填材で構成されることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の成形材料。
【請求項9】炭素繊維あるいはプレオックス繊維が0.001乃至0.1mmの太さおよび0.005乃至15mmの長さを有することを特徴とする特許請求の範囲第8項記載の成形材料。
【請求項10】炭素繊維あるいはプレオックス繊維が0.001乃至0.1の太さおよび0.1乃至5mmの長さを有することを特徴とする特許請求の範囲第8項記載の成形材料。
【請求項11】特許請求の範囲第1項乃至第10項のいずれかに記載の成形材料を建築および補修材料として用いることを特徴とする使用方法。
【請求項12】成形材料を陸上、空中および水上の乗り物の構築用の成形部品および板状部材ならびに上記成形部品および板状部材の補修に使用することを特徴とする特許請求の範囲第11項記載の使用方法。

【特許番号】第2642943号
【登録日】平成9年(1997)5月2日
【発行日】平成9年(1997)8月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭63−14769
【出願日】昭和63年(1988)1月27日
【公開番号】特開昭63−270726
【公開日】昭和63年(1988)11月8日
【出願人】(999999999)マンキーウイックス ゲブリューダー アンド カンパニー
【参考文献】
【文献】特開 昭61−98721(JP,A)
【文献】特開 昭61−101514(JP,A)
【文献】特開 昭58−167611(JP,A)
【文献】特開 昭55−56116(JP,A)