説明

成形機用洗浄剤組成物

【課題】溶融成形機の樹脂流路内残存樹脂を速やかに洗浄排出でき、洗浄剤組成物自身の残存も次成形材料により容易に置換される洗浄性能と易置換性(非残留性)に優れた洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】第一の熱可塑性樹脂(A)100重量部及び、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の第二の熱可塑性樹脂(B)0.5〜30重量部を含む非相溶性樹脂混合物と、フッ素化重合体とを含有する組成物を成形機用洗浄剤組成物として用いる。フッ素化重合体の量は非相溶性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜20重量部とすること好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂用成形機内を洗浄するための洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、樹脂の着色、混合、成形等を目的に成形機(押出・射出)が用いられているが、所定の作業終了時に、当該樹脂そのものや成形材料中に含まれている染顔料等の添加剤が成形機内に残留する。この残留物は、次に行われる異色樹脂による成形時に成形品中に混入し、製品外観不良の原因となる。
【0003】
従来、上記残留物を成形機内から除去するため、人手により成形機の分解掃除をする方法、成形機を停止せずにそのまま次に使用する成形材料を成形機に充填し、これにより残留物を徐々に置換して行く方法、洗浄剤を用いる方法が実施されている。
【0004】
洗浄剤を用いる場合、洗浄剤で洗浄した後、次の成形に入る前に、通常、次の成形材料によって、残留する洗浄剤の置換作業を行う。従って、洗浄剤には、前の成形で使用した成形材料に対する高い洗浄力と、次の成形に使用する成形材料による易置換性とが要求される。
【0005】
本発明者等は既に、洗浄性能・易置換性ともに優れる洗浄剤として、スチレン系樹脂と特定のグラフト重合体よりなる洗浄剤を開示しており、更に該洗浄剤にガラス繊維又はガラス粒を含有させることを開示している(特許文献1)。しかしながら、洗浄剤がガラス繊維又はガラス粒を含有すると、成形機の種類によってはガラス繊維又はガラス粒が洗浄に際し成形機内部を傷つけたり、成形機のフィルター部分に詰まったりする場合があるという問題があった。
【0006】
熱可塑性樹脂とウォラストナイトを含有する混合物100重量部に対しフッ素化重合体、及び/又は酸又は酸無水物変性重合体0.5〜20重量部を含有する洗浄剤組成物(特許文献2)も提案されているが、最近の省資源への取り組みの中で成形機内の易置換性(非残留性)の更なる改良が要望されている。しかしながら、上記洗浄剤は、成形機内の成形材料を洗浄した後の洗浄剤自身の成形機内スクリューへの付着性及び易置換性の更なる改良が要望されている。特に、無機充填剤を含有する洗浄剤組成物は洗浄性能は高いが、成形機内に残留しやすいために、次成形材料が透明樹脂の場合には透明性が阻害されやすいという欠点がある。最近の樹脂リサイクル、使用材料削減などの環境問題への意識の高まりから、洗浄時の樹脂ロスを極限まで削減したいという市場の要望が強く、優れた洗浄性能を有すると共に、成形機内の残留が少ない易置換性の洗浄剤組成物が求められている。
【0007】
【特許文献1】特開平5−42547号公報
【特許文献2】特開2004−107433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような最近の省資源に対する市場要求を満たすべく、成形機洗浄用の優れた洗浄性能及び易置換性(非残留性)を有する洗浄剤組成物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂(A)100重量部に、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の熱可塑性樹脂(B)0.5〜30重量部及びフッ素化重合体を含有する成形機用洗浄剤組成物が、優れた洗浄性能とともに優れた易置換性を有することを見出して本発明に到達した。
【0010】
(1)第一の熱可塑性樹脂(A)100重量部及び、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の第二の熱可塑性樹脂(B)0.5〜30重量部を含む非相溶性樹脂混合物と、フッ素化重合体とを含有することを特徴とする成形機用洗浄剤組成物。
(2)前記非相溶性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜20重量部のフッ素化重合体を含有することを特徴とする(1)に記載の成形機用洗浄剤組成物。
(3)前記第一の熱可塑性樹脂(A)及び第二の熱可塑性樹脂(B)の一方がポリオレフィン系樹脂であって、他方がスチレン系樹脂であることを特徴とする(1)または(2)に記載の洗浄剤組成物。
(4)第一の熱可塑性樹脂(A)のメルトフローレイトが、0.5〜30g/10分(220℃・10kg)であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。
(5)前記フッ素化重合体がアクリル樹脂変性ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。
(6)無機充填材、酸又は酸無水物変性重合体及びミネラルオイルからなる群より選択された少なくとも一種を含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。
(7)水を0.1〜10質量%含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0011】
熱可塑性樹脂(A)100重量部に、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の熱可塑性樹脂(B)0.5〜30重量部含有させた非相溶性樹脂混合物にフッ素化重合体を含有させた実施例に示す本発明の洗浄剤組成物は、成形材料の洗浄において洗浄剤組成物の必要量が少ないとともに、特に置換射出操作(B)における使用樹脂量が少なく洗浄剤組成物自身も除去されやすく、洗浄性能及び易置換性(非残留性)に優れる洗浄剤組成物であった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の洗浄剤組成物は、熱可塑性樹脂(A)100重量部、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の熱可塑性樹脂(B)0.5〜30重量部を含有する非相溶性樹脂混合物と、フッ素化重合体を含有する。
この組成物が優れた洗浄性能及び易置換性を示す理由は定かではないが、非相溶性樹脂混合物とフッ素化重合体の共存状態において、成形機のシリンダー内での各成分の分離状態から洗浄剤組成物が成形機内から排出されやすくなり、高い易置換性を示すものと考えられる。
【0013】
第一及び第二の熱可塑性樹脂(A),(B)としては、射出成形、押出成形等に用いられる樹脂を広く用いることができる。その具体例としては、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリエチレン等のエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のプロピレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート、ポリブテンが挙げられる。これらの中でもスチレン系樹脂及びポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0014】
スチレン系樹脂とは、ポリスチレン又は、スチレンと1種もしくは2種以上の他の単量体との共重合体であって、スチレンの含有量が50質量%以上のものをいう。スチレンと共重合させる他の単量体としては、例えばアクリロニトリル、ブタジエンが挙げられる。このスチレン系樹脂の具体例としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。これらの中でも洗浄性能及び成形機内への非残留性の観点でスチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましく、特にアクリロニトリル含量が5質量%以上50質量%以下のスチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。
【0015】
第一及び第二の熱可塑性樹脂(A),(B)の分子量は特に限定されないが20万〜30万が好ましい。またそのメルトフローレイトが0.5〜30g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g/10分である。メルトフローレイトが0.5g/10分未満では、標準的な成形条件、例えば成形温度200〜280℃で使用しにくく、また30g/10分を超えると十分な洗浄効果が得にくくなる。尚、本明細書におけるメルトフローレイトは、220℃、10kgの条件下における値をいう。
【0016】
ポリオレフィン系樹脂とは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などで、エチレン及びプロピレンとα−オレフィンとの共重合樹脂も含む。これらの中でも、ポリプロピレン及びプロピレン共重合体を含むポリプロピレン系樹脂が、洗浄性能及び成形機内への非残留性に優れることから好ましい。
【0017】
第二の熱可塑性樹脂(B)は、第一の熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の樹脂である。本明細書中、「第一の熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の樹脂」とは、第一の熱可塑性樹脂(A)と混合した時に相分離して2相を形成する樹脂を言う。
熱可塑性樹脂(A)/熱可塑性樹脂(B)の具体的組み合わせの例としては、スチレン系樹脂/ポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂/スチレン系樹脂が挙げられる。好ましい例として、ポリスチレン/ポリプロピレン、ポリスチレン/ポリエチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体/ポリプロピレン、ポリエチレン/スチレン-アクリロニトリル共重合体が挙げられる。
【0018】
熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との混合比率は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に、熱可塑性樹脂(B)0.5〜30重量部、好ましくは1〜10重量部含有である。熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、熱可塑性樹脂(B)が30〜100重量部の場合には、洗浄性能及び易置換性(非残留性)が低下する。その理由は明確ではないが、溶融粘度が向上し過ぎるためかもしれない。
【0019】
フッ素化重合体の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体が挙げられるが、特に好ましいのはアクリル樹脂で変性したポリテトラフルオロエチレン及びその共重合体である。アクリル樹脂変性することで、洗浄剤組成物の洗浄性能及び易置換性を大きく向上させるばかりでなく、洗浄剤組成物中の微粉末の発生を抑制する効果が発現するのである。その理由は明確ではないが、洗浄剤組成物中の他の成分との微妙な相溶性が関係しているのかもしれない。
【0020】
フッ素化重合体の含有量は、良好な洗浄性能を得る観点で、第一及び第二の熱可塑性樹脂(A),(B)からなる非相溶性樹脂混合物100重量部に対し、フッ素化重合体の含有量が0.5〜20重量部であるのが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0021】
更に、無機充填材、酸又は酸無水物変性重合体及びミネラルオイルからなる群より選択された少なくとも1種を含有することも出来る。無機充填材の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、マイカ、ケイソウ土、ガラス粉末、ガラス球、シラスバルーン、クエックサンド及びウォラストナイトが挙げられる。
本発明の洗浄剤組成物は、無機充填材を含有しても成形機内に残留し難いという効果を奏するが、押出成形機のTダイやブロー成形機のアキュームレーターのように樹脂が滞留する部分を有する成形機等、洗浄する対象の構造によっては無機充填材を使用しない方が良いこともある。
【0022】
酸又は酸無水物変性重合体としては、酸又は酸無水物で変性したポリオレフィン系樹脂またはスチレン系樹脂を挙げることができ、無水カルボン酸で変性したものが好ましい。好ましい酸または無水物としてはアクリル酸、メタクリル酸、及び無水マレイン酸を例示することができる。
酸又は酸無水物の含有量は、変性重合体中に1〜20質量%で、好ましくは5〜15質量%である。特に,通常の変性重合体より酸又は酸無水物含有量の多い変性重合体が良い。好ましい例として、三洋化成株式会社から市販されている無水カルボン酸基変性低分子量ポリプロピレン「ユーメックス1010」が挙げられる。
【0023】
ミネラルオイルとは石油を精製して得られる油であり、鉱物油、潤滑油、流動パラフィンなどとも呼ばれるナフテン、イソパラフィンなども含む飽和炭化水素系のオイルである。広い粘度範囲のオイルが使用可能であり、流動パラフィンではJIS50秒〜500秒・ISO粘度15〜100の範囲などのものを用いても良い。ミネラルオイルの含有量は、洗浄剤組成物を構成する樹脂混合物100重量部に対して、優れた洗浄性能を得る観点から10重量部以下が好ましく、易置換性(非残留性)の観点で0.1重量部以上が好ましい。
【0024】
本洗浄剤組成物は、超高分子量ポリマーを含有しても良い。超高分子量ポリマーの分子量は概ね100万以上である。超高分子量ポリマーの例として、エチレン系超高分子、スチレン−アクリロニトリル系超高分子、メチルメタクリレート系超高分子が挙げられる。超高分子量ポリマーの添加により、ガラス繊維や無機物を使用することなく高い洗浄力を得られる。また使用後の洗浄剤を焼却処分する場合に、ガラス繊維や無機物を含有する場合と違って残渣が残らないという利点もある。添加量としては、本洗浄剤組成物100重量部に対して2〜50重量部が好ましい。超高分子量ポリマーをあらかじめ洗浄剤組成物を構成する樹脂に練りこんでおくと、洗浄力向上の効果が大きいので好ましい。
【0025】
本洗浄剤組成物は、滑剤として、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、特にステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩を含有しても良い。アルカリ金属塩等の滑剤を含有すると、洗浄剤組成物が一層残留しにくく、また残留しても除去が容易になる。アルカリ金属塩の添加量は、洗浄剤組成物を構成する樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
上記アルカリ金属塩は、あらかじめ洗浄剤組成物を構成する樹脂に練り込んでおくと、その効果が大きいので好ましい。
【0026】
また、洗浄剤組成物が発泡剤を含有すると洗浄性能が向上するので好ましい。発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の無機発泡剤でも、アゾジカルボナミド、アゾビスイソブチロニトリル等の有機発泡剤でもよい。発泡剤の添加量は、本洗浄剤組成物100重量部に対して0.1〜4重量部が好ましく、特に前記アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩と併せて添加することが好ましい。
発泡剤は、あらかじめ洗浄剤を構成する樹脂に練り込んでおくと、その効果が大きいので好ましい。
【0027】
また、本洗浄剤組成物は、水分を含有するのが好ましい。この水分は、成形機内で蒸気となり、残留物の引き剥しに有効に作用する。
水分を含有する場合、例えば本洗浄剤組成物を構成する樹脂に水分を吸着させておくこと、また、本洗浄剤組成物を構成する樹脂を多孔質として内部に水を封じ込めることで、洗浄剤の投入時に水が外部に離脱しないようにしておくことが好ましい。含有させる水分量は、残留物の引き剥しに十分な効果を奏するようにする観点で0.1質量%以上が好ましく、洗浄剤から水が離脱して成形機内に残留するのを防止する観点で10質量%以下が好ましい。
【0028】
洗浄剤組成物の形状は限定されない。例えば洗浄剤組成物からなるペレットを製造するには、第一の熱可塑性樹脂(A)、第二の熱可塑性樹脂(B)、及びフッ素化重合体、必要に応じて他の成分を押出機等で溶融混練してペレット状にするのが好ましい。
【0029】
ペレットの直径または長さ(長径と短径の平均値)が成形機フィードゾーンのスクリュー溝深さに対して40〜100%、好ましくは60〜100%であると、フィードゾーンにおける優れた洗浄性能及び易置換性を得ることができる。特に大型成形機、具体的にはスクリュー直径が70mm以上、フィードゾーンのスクリュー溝深さが10mm以上の大型成形機に好適に使用でき、好ましい。
【0030】
ペレットの直径または長さが成形機フィードゾーンのスクリュー溝深さに対して40%未満では、充分な洗浄力及び易置換性を得ることができにくい傾向にあり、ペレットの直径が100%を超えるまたは長さが100%を超える場合には、スクリューへの噛み込み不足が発生する傾向があり、シリンダー内部を傷つけるおそれがある。
【0031】
上記大きさのペレットの含有量は、洗浄力及び易置換性の観点で50質量%〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは70質量%〜100質量%である。洗浄剤組成物中に微粉末が実質的に含まれないことが好ましい。
【0032】
本洗浄剤組成物からなる洗浄剤は成形機に投入して、成形機をほぼ通常通り作動させることで洗浄効果を奏するもので、射出成形機、押出成形機に対して特に有効であるが、これらと同様に樹脂を加熱溶融させて混練するシリンダー部を有する装置であれば広く適用することができる。
本洗浄剤組成物からなる洗浄剤をベント付成形機に使用する場合は、洗浄剤の一部をベント口からも添加すると好ましい結果が得られる。
【0033】
本洗浄剤組成物からなる洗浄剤を用いる場合の成形機の運転条件は、シリンダーの内圧が上昇するような条件に設定すると、効果がより顕著になるので好ましい。即ち、シリンダー温度を吐出可能な範囲で下げる、背圧を掛ける、高速で射出させる、等の操作を行うことが好ましい。
次に、本発明を実施例によって説明する。
【実施例】
【0034】
実施例及び比較例における使用成形機、成形温度及び測定条件を以下に示す。
(1)成形機
インラインスクリュー型の射出成形機(型締力125トン・容量10オンス)を用いた。
(2)成形温度
シリンダー温度;240℃
(3)メルトフローレイト(MFR)
JIS−K7210により、220℃・10kg荷重で測定した。
【0035】
[実施例1〜5、比較例1〜3]
<洗浄剤組成物の製造>
スチレン−アクリロニトリル系樹脂(AS)<スタイラック、MFR2g/10分>、ポリプロピレン系樹脂(PP)<サンアロマー、MFR7g/10分>、アクリル樹脂変性ポリエトラフルオロエチレン<三菱レイヨン(株)製「メタブレンA−3000」>、ミネラルオイル(MO)<出光興産(株)ダイアナプロセスオイルPW−90>、酸無水物基変性低分子量ポリプロピレン<三洋化成工業(株)製「ユーメックス1010」>の各成分を表1に示す割合で混合し、次いで押出機を用いて溶融混練してストランドを冷却水で冷却した後、ペレタイザーで切断してペレット状の洗浄剤組成物を得た。
【0036】
<洗浄剤組成物の性能評価>
ABS赤着色品を射出成形機内に充填後、射出操作により排出して成形機内を空にした。
次に、表1に示す洗浄剤組成物を射出成形機に投入して射出操作(洗浄射出操作)を行い、ABS赤色品の影響がなくなるまでに要した洗浄剤組成物の重量(表1の使用量(a))を測定した。
最後に、洗浄剤組成物の置換を行う為に、汎用ポリスチレン(GPPS)透明成形材で射出操作(置換射出操作)を行って、残留物の影響(透明性を損なう異物等)がないことが確認されるまでに使用したGPPS透明成形材の量(表1の使用量(b))を測定した。
その結果を表1に示す。
【0037】
[実施例6、比較例4]
<洗浄剤組成物の製造>
ポリプロピレン系樹脂(PP)<サンアロマー、MFR15g/10分>、スチレン−アクリロニトリル系樹脂(AS)<スタイラック、MFR2g/10分>、アクリル樹脂変性ポリエトラフルオロエチレン<三菱レイヨン(株)製「メタブレンA−3000」>、ミネラルオイル(MO)<出光興産(株)ダイアナプロセスオイルPW−90>の各成分を表1に示す割合で混合し、次いで押出機を用いて溶融混練してストランドを冷却水で冷却した後、ペレタイザーで切断してペレット状の洗浄剤組成物を得た。
【0038】
<洗浄剤組成物の性能評価>
PP赤着色品を射出成形機内に充填後、射出操作により排出して成形機内を空にした。
次に、表1に示す洗浄剤組成物を射出成形機に投入して射出操作(洗浄射出操作)を行い、PP赤色品の影響がなくなるまでに要した洗浄剤組成物の重量(表1の使用量(a))を測定した。
最後に、洗浄剤組成物の置換を行う為に、PP透明成形材で射出操作(置換射出操作)を行って、残留物の影響(透明性を損なう異物等)がないことが確認されるまでに使用したPP透明成形材の量(表1の使用量(b))を測定した。
その結果を表1に示す。
【0039】
[実施例7、比較例5]
<洗浄剤組成物の製造>
メタクリル酸系樹脂(PMMA)<デルペット、MFR2g/10分>、ポリプロピレン系樹脂(PP)<サンアロマー、MFR7g/10分>、アクリル樹脂変性ポリエトラフルオロエチレン<三菱レイヨン(株)製「メタブレンA−3000」>、ミネラルオイル(MO)<出光興産(株)ダイアナプロセスオイルPW−90>の各成分を表1に示す割合で混合し、次いで押出機を用いて溶融混練してストランドを冷却水で冷却した後、ペレタイザーで切断してペレット状の洗浄剤組成物を得た。
【0040】
<洗浄剤組成物の性能評価>
PMMA赤着色品を射出成形機内に充填後、射出操作により排出して成形機内を空にした。
次に、表1に示す洗浄剤組成物を射出成形機に投入して射出操作(洗浄射出操作)を行い、PMMA赤色品の影響がなくなるまでに要した洗浄剤組成物の重量(表1の使用量(a))を測定した。
最後に、洗浄剤組成物の置換を行う為に、PMMA透明成形材で射出操作(置換射出操作)を行って、残留物の影響(透明性を損なう異物等)がないことが確認されるまでに使用したPMMA透明成形材の量(表1の使用量(b))を測定した。
その結果を表1に示す。
【0041】
[実施例8、比較例6]
<洗浄剤組成物の製造>
ポリカーボネート系樹脂(PC)<レキサン>、ポリプロピレン系樹脂(PP)<サンアロマー、MFR7g/10分>、アクリル樹脂変性ポリエトラフルオロエチレン<三菱レイヨン(株)製「メタブレンA−3000」>、ミネラルオイル(MO)<出光興産(株)ダイアナプロセスオイルPW−90>、ウォラストナイト<関西マテック(株)製「ウォラストナイトKSP−G01」>の各成分を表1に示す割合で混合し、次いで押出機を用いて溶融混練してストランドを冷却水で冷却した後、ペレタイザーで切断してペレット状の洗浄剤組成物を得た。
【0042】
<洗浄剤組成物の性能評価>
PC黒着色品を射出成形機内に充填後、射出操作により排出して成形機内を空にした。
次に、表1に示す洗浄剤組成物を射出成形機に投入して射出操作(洗浄射出操作)を行い、PC黒色品の影響がなくなるまでに要した洗浄剤組成物の重量(表1の使用量(a))を測定した。
最後に、洗浄剤組成物の置換を行う為に、PC透明成形材で射出操作(置換射出操作)を行って、残留物の影響(透明性を損なう異物等)がないことが確認されるまでに使用したPC透明成形材の量(表1の使用量(b))を測定した。
その結果を表1に示す。
【0043】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の洗浄剤組成物は、押出成形機及び射出成形機における所定の作業終了時に、当該樹脂そのものや染顔料等の成形材料中に含まれており成形機内に残留する添加剤を効率よく洗浄し排出することができるため、熱可塑性樹脂用成形機内を洗浄するための洗浄剤組成物として好適に使用することできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の熱可塑性樹脂(A)100重量部及び、該熱可塑性樹脂(A)と非相溶性の第二の熱可塑性樹脂(B)0.5〜30重量部を含む非相溶性樹脂混合物と、フッ素化重合体とを含有することを特徴とする成形機用洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記非相溶性樹脂混合物100重量部に対して0.5〜20重量部のフッ素化重合体を含有することを特徴とする請求項1に記載の成形機用洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記第一の熱可塑性樹脂(A)及び第二の熱可塑性樹脂(B)の一方がポリオレフィン系樹脂であって、他方がスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
第一の熱可塑性樹脂(A)のメルトフローレイトが、0.5〜30g/10分(220℃・10kg)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記フッ素化重合体がアクリル樹脂変性ポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。
【請求項6】
無機充填材、酸又は酸無水物変性重合体及びミネラルオイルからなる群より選択された少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。
【請求項7】
水を0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形機用洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−107160(P2009−107160A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279838(P2007−279838)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】