説明

成形装置および成形機構支持位置固定方法

【課題】ねじ部材を介して成形機構固定部を支持する固定部支持部材を備えて被成形材を成形する成形装置において、成形機構固定部を所望の支持位置で固定する作業を軽減させ、該作業にかかる時間を短縮させることを課題とする。
【解決手段】所定の位置決め方向(上下方向D11)に向けて進出して力を加えるピストン(進出部材)82を有するロック機構80が成形機構固定部材(成形機構固定部)55に取り付けられ、固定部支持部材65に、進出したピストン82を押し当てさせる押当部67cが設けられ、ロック機構80により進出させたピストン82を押当部67cに押し当てて力を加えることにより高さ調節ナット(ねじ部材)60の緩みを防止させるようにした。ロック機構80は、高さ調節ナット60の螺合位置L22を変更するときに成形機構固定部材55を支えながら押当部67cに加える力を弱めてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ部材を介して成形機構固定用の成形機構固定部を支持する固定部支持部材を備えて被成形材を成形する成形装置、および、成形機構固定部の支持位置を固定する成形機構支持位置固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂シート搬入機構により樹脂シートを搬入するときには加熱板と型とを離間させるとともに、搬入された樹脂シートに向けて加熱板と型とを近接させ、同樹脂シートを加熱軟化させつつ、この加熱軟化した樹脂シートを型の型面形状に合わせて変形させることにより成形品を形成する熱成形装置が記載されている。
【0003】
図23は、ロックナット5で上テーブル駆動機構1dの高さ(支持位置)を調節する従来の熱成形装置を正面から見て示す正面図である。同装置は、成形位置にある熱可塑性シートS1の下面S1b側に配置されて該シートS1を加熱して軟化させる加熱板1aと、前記成形位置にあるシートS1の上面S1a側に配置されて加熱板30に対向する成形面が形成された型1bと、下面で型40を保持する上テーブル1cと、上テーブル1cの上側の部位に取り付けられて上テーブル1cを上下方向へ往復駆動する上テーブル駆動機構1dと、を有する成形機構1と、支持される位置が上下方向へ変更可能とされて成形機構1の上側の部位を固定する成形機構固定部材2と、上下方向において成形機構固定部材2に位置決めされながら螺合する方向へ回転動作可能な複数の高さ調節ナット(ねじ部材)3と、各高さ調節ナット3と螺合する雄ねじ4aが上下方向に向けて形成されて上下方向における支持位置を変更可能に高さ調節ナット3を介して成形機構固定部材2を支持する複数のガイド支柱(固定部材支持部)4と、成形機構固定部材2の下側で各ガイド支柱4の雄ねじ4aと螺合して高さ調節ナット3との間で成形機構固定部材2を挟んで高さ調節ナット3の緩みを防止するロックナット5とを備えている。
【0004】
成形機構固定用の成形機構固定部材2の高さを変更するとき、人手でロックナット5を緩めて下方へ移動させ、高さ調節ナット3を回転させて成形機構固定部材2の高さを変更し、再び人手でロックナット5を締めて上方へ移動させる作業を行っている。
【特許文献1】特開2005−297399号公報
【特許文献2】特開2001−96554号公報
【特許文献3】特開平11−277563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
成形機構固定部材の高さを変更するとき、ロックナットを緩めたり締めたりする作業に時間がかかっており、特に、これらの作業を人手でするのは容易ではなく、成形機構固定部材を所望の支持位置で固定する作業に多くの時間がかかっていた。
【0006】
なお、特許文献2の段落0012と図1,2には、各支柱(4)、(4)・・の上端にピッチの異なる2種類の雄螺子(42)、(43)が刻設され、各雄螺子(42)、(43)にそれぞれナット(7)、(8)が締結されることにより支柱(4)、(4)・・に不動盤(1)が固定されたプレス成形装置(A)が記載されている。しかし、支柱(4)に受け板(41)が取付けられ、この受け板(41)の上に不動盤(1)が載置されているため、不動盤(1)の高さは受け板(41)の高さで決まってしまい、不動盤(1)の高さを変更することができない。従って、成形機構固定用の成形機構固定部の高さを変更可能な成形装置における成形機構固定部の固定作業を軽減させる課題の解決に適用することができない。
【0007】
また、特許文献3の段落0009〜0012と図1,2には、不動盤(12)の上部に設けられた油圧シリンダー(22)、(22)……によりナット(15)、(15)……の弛みが防止されることが記載されている。油圧シリンダー(22)は不動盤(12)の上面に設けられている取り付けブロック(21)に固定され、ナット(15)の側面には垂直に突出したピン(23)が設けられており、このピン(23)が自在継手(24)を介して油圧シリンダー(22)のロッド(25)に連結されている。しかし、特許文献2と同様、支柱(14)に受け板が取付けられ、この受け板の上に不動盤(12)が載置されているため、不動盤(12)の高さは受け板の高さで決まってしまい、不動盤(12)の高さを変更することができない。従って、成形機構固定部の高さを変更可能な成形装置における成形機構固定部の固定作業を軽減させる課題の解決に適用することができない。
【0008】
本発明は、ねじ部材を介して成形機構固定用の成形機構固定部を支持する固定部支持部材を備えて被成形材を成形する成形装置において、成形機構固定部を所望の支持位置で固定する作業を軽減させ、該作業にかかる時間を短縮させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、支持される位置が所定の位置決め方向へ変更可能とされた成形機構固定部と、該成形機構固定部に支持されるとともに被成形材に対して近接および離間しながら該被成形材を成形する成形機構と、前記位置決め方向において前記成形機構固定部に位置決めされながら螺合する方向へ回転動作可能なねじ部材と、該ねじ部材と螺合するねじ部が前記位置決め方向に向けて形成された固定部支持部材とを備え、前記位置決め方向において前記ねじ部に対する前記ねじ部材の螺合位置に応じた支持位置で該ねじ部材を介して前記成形機構固定部を前記固定部支持部材にて支持する成形装置であって、前記位置決め方向に向けて進出して力を加える進出部材を有するロック機構が前記成形機構固定部に取り付けられ、前記固定部支持部材に、進出した前記進出部材を押し当てさせる押当部が設けられ、前記ロック機構により進出させた前記進出部材を前記押当部に押し当てて力を加えることにより前記ねじ部材の緩みを防止させるようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、所定の位置決め方向においてねじ部に対するねじ部材の螺合位置に応じた支持位置で該ねじ部材を介して成形機構固定部を固定部支持部材にて支持する成形機構支持位置固定方法であって、前記位置決め方向に向けて進出して力を加える進出部材を有して前記成形機構固定部に取り付けられたロック機構により進出させた前記進出部材を前記固定部支持部材の所定の押当部に押し当てて力を加えることにより前記ねじ部材の緩みを防止させることを特徴とする。
【0010】
すなわち、ロック機構が所定の位置決め方向に向けて進出部材を進出させると、該進出部材は、固定部支持部材の押当部に押し当たり、該押当部に対して前記位置決め方向へ力を加える。前記ロック機構は、成形機構固定部に取り付けられているので、進出部材から押当部へ加える力の反作用により本ロック機構から成形機構固定部へ力を加える。前記位置決め方向において前記成形機構固定部に位置決めされたねじ部材は、該成形機構固定部に加えられた位置決め方向の力を加えられ、緩みが防止される。これにより、ロックナットを用いることなく、成形機構固定部の支持位置を決めるねじ部材の緩み止めを機能させることができる。従って、ロックナットを緩めたり締めたりする作業が不要となり、成形機構固定部を所望の支持位置で固定する作業にかかる時間を少なくさせることが可能になる。
【0011】
本発明を適用可能な被成形材は、成形可能な材質であればよく、樹脂シートや可塑性シート等のシート(フィルムを含む)、さらに厚みのある素材、等を用いることができる。上記成形には、差圧成形のような熱成形等を用いることができる。
上記成形機構固定部は、成形機構を支持する別部材でもよいし、成形機構と一体化された部位でもよい。上記押当部は、独立した部材でもよいし、上記固定部支持部材に一体化された部位でもよい。
上記位置決め方向は、上下方向でもよいし、水平方向でもよい。
【0012】
ここで、前記位置決め方向は、上下方向とされ、前記進出部材は、下方に向けて進出して前記押当部に押し当てられて力を加える部材とされ、前記ロック機構は、前記ねじ部材の螺合位置を変更するときに前記成形機構固定部を支えながら前記押当部に加える力を弱めるようにしてもよい。成形機構固定部を昇降させるときに該成形機構固定部がロック機構で支えられるので、ねじ部材を回転させる負荷を軽減させることが可能になる。
なお、上下方向とされた位置決め方向は、重力を基準とした厳密な上下方向のみならず、該厳密な上下方向から斜めにずれた方向でもよい。
【0013】
また、前記ねじ部材を双方向に回転駆動するねじ部材駆動機構をさらに備え、前記ロック機構は、前記ねじ部材駆動機構が前記ねじ部材の回転駆動を停止しているときに前記進出部材を進出させて前記押当部に押し当てて力を加えることにより前記ねじ部材の緩みを防止させ、前記ねじ部材駆動機構が前記ねじ部材を回転駆動するときに前記成形機構固定部を支えながら前記押当部に加える力を弱めるようにしてもよい。成形機構固定部が支持位置にあるときにはねじ部材の緩み止めが機能し、成形機構固定部の支持位置を変更するときにはねじ部材の緩み止めが解除されるので、利便性が向上する。そして、成形機構固定部を昇降させるためにねじ部材を回転駆動するときに該成形機構固定部がロック機構で支えられるので、ねじ部材を回転駆動する負荷を軽減させることが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、ねじ部材を介して成形機構固定用の成形機構固定部を支持する固定部支持部材を備えて被成形材を成形する成形装置において、ロックナットを不要にさせ、成形機構固定部を所望の支持位置で固定する作業を軽減させ、該作業にかかる時間を短縮させることが可能になる。
請求項2に係る発明では、ねじ部材を回転させる負荷を軽減させることができ、成形機構を支持した成形機構固定部の昇降を容易にさせることが可能になる。
【0015】
請求項3に係る発明では、利便性を向上させることができるとともに、ねじ部材を回転駆動する負荷を軽減させることができ、成形機構を支持した成形機構固定部の昇降を容易にさせることが可能になる。
請求項4に係る発明では、成形機構を支持した成形機構固定部の重量が大きくても、容易にねじ部材を回転させ、容易に成形機構固定部を昇降させることが可能になる。
【0016】
請求項5に係る発明では、圧力供給機構からシリンダへ供給される圧力が設計通りでない場合にその旨が通知されるので、利便性を向上させることができる。
請求項6に係る発明では、容易に圧縮される空気の圧力でピストンが押当部に押し当てられて力が加えられるので、その力の反作用によりシリンダからねじ部材へ力が加わる際にシリンダ内の空気が圧縮されて成形機構固定部からねじ部材へ適度な力が加わり、適度な力でねじ部材の緩み止めを機能させることが可能になる。
【0017】
請求項7に係る発明では、複数の支柱に固定された当て板部材に進出部材が押し当てられるので、安定した力が進出部材から押当部に加えられ、より確実にねじ部材の緩み止めを機能させることが可能になる。
請求項8に係る発明では、複数の当て板部材が確実に複数の円柱状支柱に固定され、各当て板部材に複数のロック機構の進出部材が押し当てられるので、さらに安定した力が進出部材から押当部に加えられ、さらに確実にねじ部材の緩み止めを機能させることが可能になる。
請求項9に係る発明では、ねじ部材を介して成形機構固定用の成形機構固定部を支持する固定部支持部材を備えて被成形材を成形する成形装置において、ロックナットを不要にさせ、成形機構固定部を所望の支持位置で固定する作業を軽減させ、該作業にかかる時間を短縮させる成形機構支持位置固定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)成形装置の説明:
(2)成形装置の動作および作用:
(3)変形例:
【0019】
(1)成形装置の説明:
図1は熱成形装置(成形装置)100の外観を示す斜視図、図2は熱成形装置100を正面から見て示す正面図、図3は成形用の型40が所定の離間位置L13にあるときの熱成形装置100を右側面から見て示す右側面図、図4は型40が所定の近接位置L14にあるときの熱成形装置100を右側面から見て示す右側面図、図5は熱成形装置100の要部を上面から見て示す平面図、図6は図5のA1の方向からねじ部材駆動機構70の要部を見て示す背面図、図7は図5のA2の位置でねじ部材駆動機構70の要部を示す垂直断面図、図8は成形機構固定部材55の要部を示す斜視図、図9は高さ調節ナット60の外観を示す斜視図、図10は固定部材55の下から当て板部材67等を上面から見て示す平面図、図11は支柱66に当て板部材67を取り付ける様子を示す分解斜視図、図12は当て板部材67の下から熱成形装置100等の要部を上面から見て示す平面図、図13は型40の下から型40等の底面を見て示す底面図、図14は型40を組み立てる様子を底面側から見て示す分解斜視図、図15は型40の下から熱成形装置100の要部を上面から見て示す平面図、図16はロック機構80のエアの流れを示すエア回路図、図17は熱成形装置100に設けられたコンピュータシステム85の回路構成の概略を示すブロック図、図18はコンピュータシステム85が実行する処理を示すフローチャート、図19は成形機構20の動作を示すタイミングチャート、図20はロック機構80の動作を示すタイミングチャート、図21は本成形装置の作用を模式的に説明する図、図22は成形機構固定部材55の高さを変えた様子を正面から見て示す正面図である。
なお、図2において、左から右へ向かう方向が所定の搬送方向D1であり、左側がシートS1の上流側、右側がシートS1の下流側である。図13、図15では、搬送されるシートS1の位置を破線で示している。
【0020】
本発明の成形装置100の基本部分は、成形機構固定部材(成形機構固定部)55、成形機構20、高さ調節ナット(ねじ部材)60、固定部支持部材65、ロック機構80、からなる。
成形機構固定部材55は、成形機構20を支持する一方、高さ調節ナット60を介して固定部支持部材65に支持される。本固定部材55は、支持される位置が上下方向(所定の位置決め方向)D11へ変更可能とされている。
成形機構20は、固定部材55に支持されるとともにシート(被成形材)S1に対して近接および離間しながら該シートS1を成形する。本成形機構20は、成形位置L1にあるシートS1の下面(一面)S1b側となる所定の熱板側成形位置L3に配置される加熱板(熱板)30と、成形位置L1にあるシートS1の上面(他面)S1a側となる所定の型側成形位置L2に配置されて熱板30に対向する所定の成形面41aが形成された型40とを有している。そして、成形機構20は、熱板30と型40とを近接させて成形位置L1のシートS1を加熱しながら成形面41aの形状に合わせて熱成形する。
高さ調節ナット(ねじ部材)60は、位置決め方向D11において固定部材55に位置決めされながら螺合する方向D12へ回転動作可能とされている。図5、図9に示すように、螺合する方向D12は、支柱66の雄ねじ部66eを中心軸L21とするとき、該中心軸L21を中心として回転する方向であり、本実施形態では水平面内で回転する方向である。
【0021】
固定部支持部材65は、ナット60と螺合する雄ねじ部(ねじ部)66eが位置決め方向(上下方向D11)に向けて形成されている。本固定部支持部材65は、位置決め方向(上下方向D11)において雄ねじ部66eに対するナット60の螺合位置L22に応じた支持位置L23で該ナット60を介して成形機構固定部材55を支持する。また、固定部支持部材65は、ロック機構80が進出させたピストン82を押し当てさせる押当部67cが設けられている。
ロック機構80は、位置決め方向(上下方向D11)に向けて進出して力を加えるピストン(進出部材)82を有し、固定部材55に取り付けられている。
本成形装置100は、ロック機構80により進出させたピストン82を押当部67cに押し当てて力を加えることにより高さ調節ナット60の緩みを防止させるようにしている。
図21の左側に示すように、進出したピストン82から押当部67cへ力F1を加えると、この力F1の反作用により押当部67cからピストン82へ反対向きの力F2(=F1)が加わる。すると、この力F2と同じ向きの力F5が成形機構固定部材55からナット60へ加わり、緩みが防止される。これにより、ロックナットを用いることなく、高さ調節ナット60の緩み止めを機能させることができる。従って、ロックナットを緩めたり締めたりする作業が不要となり、成形機構固定部材55を所望の支持位置で固定する作業にかかる時間を少なくさせることが可能になる。
【0022】
本実施形態のロック機構80は、高さ調節ナット60の螺合位置L22を変更するときに成形機構固定部材55を支えながら押当部67cに加える力を弱める。ナットの螺合位置L22を変更するときには、固定部材55からナット60へ押しつける力がほとんど加わらないようにするため、図21の右側に示すように、成形機構固定部材55からナット60へ力が加わらない程度までピストン82から押当部67cへ加える力を弱める。同図では、ピストン82から押当部67cへ加える力をF1’(<F1)まで弱めた状態を示している。ここで、力F1’を0にするのではなく、成形機構20等を支持した成形機構固定部材55の重量による力F4を打ち消すように弱める。これにより、固定部材55の高さを変えるときに該固定部材55がロック機構80で支えられるので、高さ調節ナット60を回転させる負荷が軽減され、例えば昇降モータ73に高能力のモータを使用する必要が無くなるので、成形装置のコストを低減させることができる。
【0023】
本成形装置100は、さらに、高さ調節ナット60を双方向に回転駆動するねじ部材駆動機構70を備える。ここで、ロック機構80は、ねじ部材駆動機構70がナット60の回転駆動を停止しているときにピストン82を進出させて押当部67cに押し当てて力F1を加えることによりナット60の緩みを防止させ、ねじ部材駆動機構70がナット60を回転駆動するときに成形機構固定部材55を支えながら押当部67cに加える力を弱める。そして、ロック機構80により進出させた進出部材82を当て板部材67の押当部67cに押し当てて力を加えることにより成形機構固定部55の本体部56をねじ部材60に押しつけて該ねじ部材60の緩みを防止させるようにしている。
【0024】
本成形装置100は、さらに、シート搬送機構10、型引出機構98、熱板引出機構99、を備える。
シート搬送機構10は、所定の成形位置L1を通る所定の搬送方向D1へシートS1を搬送する。成形機構20は、シート搬送機構10によりシートS1が搬送されるときには熱板30と型40とを離間させ、シートS1が成形位置L1まで搬送されたときに熱板30と型40とを近接させてシートS1を加熱しながら成形面41aの形状に合わせて成形する。
型引出機構98は、型40を型側成形位置L2からシートS1の搬送方向D1とは異なる所定の引出方向D2へ引き出し可能にさせる。
熱板引出機構99は、熱板30を熱板側成形位置L3からシートS1の搬送方向D1とは異なる所定の熱板引出方向D3へ引き出し可能にさせる。
【0025】
成形対象のシートS1は、成形可能なシートであればよく、例えば、熱可塑性樹脂シートのような樹脂シート、熱可塑性シートのように可塑性を示す可塑性シート、等を用いることができる。前記樹脂シートは、樹脂を含むシートであればよく、樹脂のみからなるシートでも、樹脂に充てん材等の添加材が添加された材質からなるシートでもよく、単層シートでも、異なる材質をラミネートした積層シートでもよい。前記樹脂は、熱可塑性樹脂のような合成樹脂等とすることができる。シートの素材としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、等を利用可能である。特に、ポリプロピレン樹脂は、比較的低価格でありながら、使用時における耐熱性があり、差圧成形の適性が良く、好適な合成樹脂である。また、シートS1は、シート状ないしフィルム状になっていればよく、ロール状に巻かれていても、所定の長さにカットされていてもよい。シートの厚みは、1〜2mm程度、0.25〜1mm程度、等、様々な厚みとすることが可能であり、0.25mm程度以下のフィルムでもよい。当該程度の厚みの熱可塑性シートを用いると、差圧成形を良好に行うことができる。
【0026】
シートS1の成形は、熱成形により行われる。該熱成形は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、といった差圧成形が好適である。
シートの搬送方向D1は、水平方向としてシートが安定して搬送されるようにしているが、水平方向から上方向へずれた方向でも、水平方向から下方向へずれた方向でも、鉛直上方向でも、鉛直下方向でもよい。
型や熱板の引出方向D2,D3は、搬送方向D1と平行でない水平方向かつ上記搬送方向D1と直交する方向として型や熱板の引出量を最小限にして熱成形装置の設置に必要な面積を少なくさせるようにしているが、直交する方向とは異なる方向とすることも可能である。
【0027】
本実施形態のシート搬送機構10は、シート供給機構12、クランプ搬送機構14を備えている。シート供給機構12は、ロール状に巻かれたシートS1を連続した状態で搬送方向D1へ送り出し可能とされている。クランプ搬送機構14は、成形後のシートS2の両側縁部をクランプ(把持)するクランプ部材14aを有し、成形のタイミングに合わせて成形位置L1にて成形されたシートS2の両側縁部をクランプ部材14aでクランプして間欠的に連続した状態のシートS1を引っ張って搬送方向D1へ搬送する。
【0028】
なお、本成形装置100に、成形後のシートS2を所定の長さでカット(切断)して取り出す成形品取出機構を設けてもよい。該成形品取出機構は、例えば、成形後のシートS2を所定の長さでカットする切断機構、カットされたシートを昇降テーブル上に載置して積み重ねる成形品積載機構、積み重ねられた成形品スタックを取出台上に取り出す取出機構、を備える機構としてもよい。
【0029】
以上の構成により、ロール状のシートS1は、順次必要量がシート供給機構12から巻き出され、所定の搬送方向D1へ搬送されて、成形位置L1に搬入される。なお、シートが搬送されるとき、熱板30と型40とは離間した状態にされている。ここで、成形位置にあるシートの下面S1b側に該下面と接触して熱板30が配置されているので、成形位置のシートS1は熱板30から熱を供給され、加熱されて軟化する。シートが成形位置まで搬送されたとき、熱板30と型40とが近接して成形位置の加熱軟化したシートS1を挟み、該シートS1を差圧成形により成形面41aに密接させる。これにより、シートS1が成形面41aの形状に合わせて成形される。
成形後、熱板30と型40とが離間すると、既に成形位置L1から搬送方向D1へ搬出された成形後のシートS2の両側縁部がクランプ位置L11のクランプ部材14aでクランプされ、クランプ搬送機構14が前記クランプ位置から所定の解放位置L12まで水平移動してシートS2をさらに搬送方向D1へ所定量搬送する。すると、既にクランプされていた成形後のシートS2が例えば成形品取出機構へ送られる。該成形品取出機構では、例えば、所定の長さでカットされて、必要に応じて順次下がっていく昇降テーブル上で積み重ねられ、成形品あるいは成形品スタックが取出機構により取出台上へ送り出される。
以上により、シートS1から成形品を形成することができる。
【0030】
本実施形態の成形機構20は、金属製基台21、真空圧空供給機構25、熱板30、下テーブル(熱板用テーブル)35、成形用の型40、上テーブル(型用テーブル)45、型用テーブル駆動機構50、等から構成されている。また、本実施形態の型引出機構98は、型引出レール部材98a、レール部材退避機構98b、キャスター付支持部材98c、を備えている。
上テーブル45は、例えば金属製とされ、熱板30に対向する下面45aで型40を保持する。レール部材98a,98aは、上テーブルの縁部45c,dから型40における熱板に対向する下面42aに回り込んで接触することにより型40を引出方向D2へ移動可能にさせる。
【0031】
本実施形態の型は、図14に示すように、複数の交換用雌型(交換用型)41と、型ベース部材42とを有している。各雌型41は、例えば金属製とされ、それぞれ熱板30に対向する成形面41aが形成されて、該成形面に通気孔(第二の通気孔)41bが形成されている。型ベース部材42は、例えば、金属製とされ、略板状に形成されて、熱板に対向する下面42aで複数の雌型41を着脱可能に保持する型保持部位42eが形成されている。該型保持部位には、雌型の通気孔41bの位置に合わせて通気孔42bが多数形成されている。ここで、該型保持部位に雌型を着脱可能に取り付けて固定するためには、例えば、前記型保持部位と前記雌型とにねじ孔を形成しておき、該ねじ孔にねじを螺合させて前記型保持部位に対して前記雌型を固定し、ねじを外して前記型保持部位から前記雌型を取り外す構成とすることができる。
上テーブル45は、レール部材98aに接触した型ベース部材42の両側縁部42c,dをクランプ部材47a,47aでクランプして引き寄せる型ベース部材クランプ機構47,47を有し、該機構により熱板に対向する下面42aで型ベース部材42を保持する。型ベース部材クランプ機構47,47には、図示しないクランプ部材昇降切替スイッチが接続されており、このスイッチを下降側に切り替えられるとクランプ部材47a,47aを下降させて型ベース部材42をレール部材98a上に載置させて型ベース部材の両側縁部42c,dのクランプを解除し、前記スイッチを上昇側に切り替えられるとレール部材98a上に載置された型ベース部材の両側縁部42c,dをクランプして型ベース部材42を上昇させて上テーブルの下面45aに接触させて保持する。
【0032】
以上の構成により、型ベース部材42の下面に複数の雌型41を取り付け、型40を引出位置L4から型側成形位置L2まで水平移動させると、クランプ機構47,47で型ベース部材42の両側縁部42c,dをクランプして引き上げることにより型40を上テーブル45の下面に保持させることができる。
【0033】
また、床に接触した基台21には、搬送されるシートS1および引き出される型40と接触しない位置に固定部支持部材65の複数の支柱66が上方に向かって立設されている。複数の支柱66は、熱板30を位置決めしながら成形機構固定部材55に向けて立設されてナット60を介して固定部材55を下から支持する。同複数の支柱66は、上テーブル45の近接および離間の往復動をガイドする。型用テーブル駆動機構50は、上テーブル45における熱板に対向する下面45aとは反対側の上部45bに取り付けられ、成形位置L1で型40を保持した上テーブル45を熱板30に対して近接および離間させる。
【0034】
図5、図10、図12、図13に示すように、複数の支柱66は、引き出される型40よりも前記搬送されるシートS1の上流側において該搬送されるシートS1を挟む位置に配置された第一の円柱状支柱66aおよび第二の円柱状支柱66bと、引き出される型40よりも前記搬送されるシートS1の下流側において該搬送されるシートS1を挟む位置に配置された第三の円柱状支柱66cおよび第四の円柱状支柱66dとから構成されている。ここで、第一の支柱66aと第三の支柱66cとが搬送されるシートS1からみて同じ側に配置され、第二の支柱66bと第四の支柱66dとが搬送されるシートS1からみて同じ側に配置されている。なお、複数の支柱66は、円柱状支柱66a〜dから少なくとも構成されればよい。
【0035】
型用テーブル駆動機構50は、成形機構固定部材55と上テーブル45とを近接および離間させるリンク機構52を備えている。なお、固定部材55は、例えば金属製とされ、H字形に形成されて、該H字形の4箇所の端部55a〜dで前記立設された支柱66a〜dの先端部に固定される。リンク機構52は、リンク部材52a、ボールねじ機構52b、電動モータ52c、を備え、固定部材55の前記H字形の中央部55eと上テーブル45との間に設けられて固定部材55と上テーブル45とを近接および離間させる。モータ52cは、固定部材55の前記H字形の中央部55eに取り付けられ、ボールねじ機構52bに接続されて該ボールねじ機構を駆動する。ボールねじ機構52bは、リンク部材52aに接続されて該リンク部材を連動させる。リンク部材52aは、上テーブルの上部45bに取り付けられて、ボールねじ機構52bの移動に応じて上テーブルを上下方向へ往復動させる。
【0036】
図12に示すように、上テーブル45は、支柱66a、支柱66b、支柱66c、支柱66dの径よりもそれぞれ大きい径とされて該支柱を上下方向へ貫通させる第一の貫通穴46a、第二の貫通穴46b、第三の貫通穴46c、第四の貫通穴46d、が形成されている。ここで、対角の位置にある貫通穴46a,dの径は、対角の位置にある貫通穴46b,cの径よりも大きくされている。これにより、遊びの少ない貫通穴46b,cで上テーブルが位置決めされる。熱板を用いて成形を行う場合、生じる熱により装置の部材が膨張する等して寸法のずれが生じることがあるが、以上の構成により支柱や上テーブルに過大な力が加わることが無いので、より円滑にシートを成形することが可能になる。
なお、貫通穴46b,cの径を貫通穴46a,dの径よりも大きくしてもよい。
【0037】
図2、図3等に示すように、熱板30は、型40に対向する上面30aが成形位置L1のシートS1の下面S1bに接触するように配置され、成形位置L1に搬入されたシートS1を加熱して軟化させる。熱板30は、下テーブル(熱板用テーブル)35上に載置された台座31上に載置されている。ここで、台座31には図示しないヒータ(加熱機構)が設けられており、ヒータに通電するとヒータから熱が発生し、台座31が加熱される結果、熱板30が加熱される。また、台座31には熱板30の温度を検出する温度センサも設けられており、図示しない加熱温度フィードバック制御機構により熱板30を設定温度となるように加熱する。熱板の加熱温度は、シートの材質や厚み等に応じて設定され、例えばシートが軟化する温度以上溶融する温度以下とすることができる。
【0038】
図15等に示すように、熱板30は、例えば金属製とされ、矩形板形状に形成されている。また、熱板30には、上下方向へ貫通した通気孔(第一の通気孔)30bが多数形成されている。各通気孔30bは、通気経路25aに接続され、真空圧空供給機構25から真空圧を作用させられたり(空気を吸引されたり)、真空圧の供給(減圧)から解放されたり、圧空を供給されたり、圧空の供給を解除されたりする。
なお、差圧成形を円滑に行うため、雌型41の成形面41aにも複数の通気孔41bが形成されている。
台座31は、例えば金属製とされ、矩形板形状に形成されている。図15に示すように、台座31は、下テーブル35に対してシートの搬送方向D1とは異なる所定の熱板引出方向D3へ引出可能に設けられており、熱板30を載置して熱板引出方向D3の往復双方向へスライド可能とされている。
【0039】
下テーブル35は、支柱66a、支柱66b、支柱66c、支柱66dの径よりもそれぞれ大きい径とされて該支柱を上下方向へ貫通させる第一の貫通穴36a、第二の貫通穴36b、第三の貫通穴36c、第四の貫通穴36d、が形成されている。ここで、対角の位置にある貫通穴36a,dの径は、対角の位置にある貫通穴36b,cの径よりも大きくされている。これにより、遊びの少ない貫通穴36b,cで下テーブルが位置決めされる。熱板を用いて成形を行う場合、生じる熱により装置の部材が膨張する等して寸法のずれが生じることがあるが、以上の構成により支柱や下テーブルに過大な力が加わることが無いので、より円滑にシートを成形することが可能になる。
なお、貫通穴36b,cの径を貫通穴36a,dの径よりも大きくしてもよい。
【0040】
成形機構20は、シートS1が成形位置L1まで搬送されて熱板30と型40とを所定の近接位置(L14)まで近接させるときには熱板の通気孔30bに真空圧を作用させてシートS1を熱板30に密接させる。そして、熱板30と型40とが近接位置(L14)まで近接したときに熱板の通気孔30bに作用させた真空圧を解除してシートS1を型の成形面41aに密接させることにより差圧成形する。本成形機構は、熱板と型との近接時に真空圧空供給機構25から通気孔30bに圧空を供給して真空圧を解除し、型の通気孔41bからシートS1の上側の空気を抜けさせて該シートを成形面41aに密接させる圧空成形を行う。
【0041】
図19のタイミングチャートに示すように、初期状態では、クランプ搬送機構のクランプ部材14aのシートクランプをオフにしてシートS2のクランプを解除させた状態にし、クランプ搬送機構14を上流側の所定のクランプ位置L11にさせ、型40を所定の離間位置L13にさせ、真空圧空供給機構25から通気孔30bへの真空圧または圧空の供給を解除している状態にしている。この状態で、まず、クランプ部材14aのシートクランプをオンにしてシートS2の両側縁部をクランプ搬送機構14にクランプさせる(タイミングt1)。次に、クランプ搬送機構14をクランプ位置L11から下流側の所定の解放位置L12まで移動させる(タイミングt2〜t3)。すると、成形後のシートS2が所定量搬送方向D1へ搬送され、成形前のシートS1も成形後のシートS2に引っ張られて所定量搬送方向D1へ搬送されて、成形されていないシートS1が成形位置L1に搬入される。さらに、クランプ部材14aのシートクランプをオフにしてシートS2のクランプを解除させた状態にする(タイミングt4)。なお、タイミングt2に戻るまでに、所定のタイミングでクランプ搬送機構14を解放位置L12から上流側のクランプ位置L11まで移動させるようにしている。
【0042】
その後、真空圧空供給機構25から通気孔30bへ真空圧を作用させ、成形位置L1のシートS1を熱板30に密接させる(タイミングt5)。すると、成形位置のシートS1は、熱板30にて加熱され、軟化する。次に、図4に示すように、型用テーブル駆動機構50にて上テーブル45を下降させ、型40を所定の近接位置L14にさせて、熱板30と型40とを近接させる(タイミングt6〜t7)。そして、真空圧空供給機構25から通気孔30bへ圧空を供給して、型の通気孔41bからエアを排出させながら加熱軟化状態のシートS1を型の成形面41aに密接させる(タイミングt8)。ここで、雌型41の温度は熱板30よりも低いため、成形面41aに密接したシートが冷却され、固化する。これにより、シートが圧空成形され、カット前の成形品が形成される。
なお、型の通気孔41bに真空圧を作用させる(空気を吸引する)減圧機構を該通気孔41bに接続し、タイミングt8〜t9で通気孔41bに真空圧を作用させてもよい。すると、シートに対して真空圧空成形を行うことができる。このとき、真空圧空供給機構25から通気孔30bへ圧空を供給しないと、シートに対して真空成形を行うことができる。
【0043】
タイミングt9で真空圧空供給機構25から通気孔30bへの圧空の供給を解除すると、型用テーブル駆動機構50にて上テーブル45を上昇させ、型40を所定の離間位置L13にさせて、熱板30と型40とを離間させる(タイミングt10〜t11)。
以上で1サイクルが終了し、以下、タイミングt1〜t11を繰り返すことにより、シートから熱板を用いた差圧成形を連続して行うことができる。
【0044】
成形機構固定部材55は、例えば金属製とされ、H字形に形成されて、該H字形の4箇所の端部55a〜dで前記立設された各円柱状支柱66a〜dの先端部にそれぞれ高さ調節ナット60を介して固定されている。本固定部材55は、H字形の本体部56と、該H字形の4箇所の端部で本体部56の上部に固定されたナット保持部材(ねじ部材保持部)57とを有している。
本体部56は、リンク機構52が取り付けられて固定され、成形機構20の上部を固定するとともに、下部にロック機構80が取り付けられて固定されている。
各ナット保持部材57は、図7と図8に示すように、上部57aの径が小さくされた筒状に形成され、上部の開口57bからナット60の内嵌部材61の上部を貫通させ、上部57aと本体部56との間で内嵌部材61の下部(基部61a)を上下に挟み、ボルト57cで本体部56に取り付けられて固定されることにより、上下方向を中心軸として内嵌部材の基部61aを回転可能に保持する。従って、ナット保持部材57は、本体部56の上側でナット60を上下方向において位置決めし、雄ねじ部66eを中心軸L21としてナット60を回転可能に保持する。
【0045】
各高さ調節ナット60は、例えば金属製とされ、図7と図9に示すように、雄ねじ部66eと螺合する雌ねじ61bが内周部60aに形成され、ウォームギヤ71と噛合する(噛み合う)ギヤ62aが外周部60bに形成されている。本高さ調節ナット60は、雌ねじ61bを有する内嵌部材61の上部の外周にギヤ62aを有する外嵌部材62が嵌め込まれてボルト63で固定されることにより形成される。内嵌部材の基部61aは、上部よりも径が大きくされ、上下方向において固定部材55の本体部56とナット保持部材57とで位置決めされて上下方向を中心軸として回転可能に保持される。従って、高さ調節ナット60は、雄ねじ部66eを中心軸L21とした外周部にギヤ62aが形成され、位置決め方向D11において固定部材55に位置決めされながら螺合する方向D12へ回転動作可能とされている。
【0046】
ねじ部材駆動機構70は、各高さ調節ナットのギヤ62aと噛合した各ウォームギヤ71、昇降モータ73からの動力をウォームギヤ71へ伝達する動力伝達機構72、該動力伝達機構を介して各ウォームギヤ71を回転駆動する電動サーボモータ(昇降モータ73)、を備えている。動力伝達機構72は、例えば、ウォームギヤ71の回転の中心軸となる2本のロッド部材72a、各ロッド部材72aに中心部を外嵌された各スプロケット72b、該各スプロケット72bに架け回されて連動するチェーン72c、昇降モータ73に回転駆動されるとともにスプロケット72b,72bの間でチェーン72cと噛み合って連動するスプロケット72d、を備えている。各部材71,72a〜dは、例えば金属製とされる。
以上の構成により、昇降モータ73に通電すると、該モータ73がスプロケット72dを回転駆動し、該スプロケットがチェーン72cを介してスプロケット72b,72bを回転させ、各スプロケット72bが各ロッド部材72aを介してそれぞれ2つのウォームギヤ71を回転させ、各ウォームギヤ71が各高さ調節ナット60を回転させる。すると、各ナット60の螺合位置L22はサーボモータ73の回転量に応じた位置とされ、成形機構固定部材55の高さはモータ73の回転量に応じた高さとされる。
【0047】
固定部支持部材65は、互いに並行して設けられた複数の支柱66と、これらの複数の支柱に固定されて該支柱の間に架け渡されるとともに押当部67cが形成された当て板部材67とを有している。各円柱状支柱66a〜dは、例えば金属製とされ、図11に示すように、それぞれ先端部に雄ねじ部66eが形成され、該雄ねじ部の下方で径が細くされた細径部66fが形成されている。当て板部材67は、例えば金属製で平板形状とされ、第一および第二の当て板部材67a,bから構成されている。第一の当て板部材67aは、一端に第一の支柱66aの細径部66fを嵌め込み可能な第一の凹部67a1が形成され他端に第三の支柱66cの細径部66fを嵌め込み可能な第二の凹部67a2が形成された本体部材68a1を有している。そして、凹部67a1,67a2にそれぞれ支柱66a,cの細径部66fを嵌め込んで支柱66a,cに架け渡され、閉塞部材68a2,68a3をボルト止めすることにより支柱66a,cに固定される。第二の当て板部材67bは、一端に第二の支柱66bの細径部66fを嵌め込み可能な第三の凹部67b1が形成され他端に第四の支柱66dの細径部66fを嵌め込み可能な第四の凹部67b2が形成された本体部68b1を有している。そして、凹部67b1,67b2にそれぞれ支柱66b,dの細径部66fを嵌め込んで支柱66b,dに架け渡され、閉塞部材68b2,68b3をボルト止めすることにより支柱66b,dに固定される。
【0048】
ロック機構80は、図10に示すように、第一の当て板部材67aの上方で成形機構固定部材55の下面から下方に向けて立設された第一および第二のロック機構80a,bと、第二の当て板部材67bの上方で成形機構固定部材55の下面から下方に向けて立設された第三および第四のロック機構80c,dとから構成されている。ここで、複数のロック機構80は、ロック機構80a〜dから少なくとも構成されればよく、ロック機構80a〜dのみから構成されても、さらに、別の位置で成形機構固定部から立設されたロック機構を含めて構成されてもよい。
第一のロック機構80aは、第一の支柱66aと第三の支柱66cとの間で第一の当て板部材67aに向けてH字形の固定部材55における第一の支柱66aの近傍に立設されている。第二のロック機構80bは、支柱66aと支柱66cとの間で当て板部材67aに向けて固定部材55における支柱66cの近傍に立設されている。第三のロック機構は、第二の支柱66bと第四の支柱66dとの間で第二の当て板部材67bに向けて固定部材55における第二の支柱66bの近傍に立設されている。第四のロック機構は、支柱66bと支柱66dとの間で当て板部材67bに向けて固定部材55における支柱66dの近傍に立設されている。
【0049】
図16と図17に示すように、本ロック機構80は、各ロック機構80a〜dに対応して設けられた各エアシリンダ(シリンダ)81a〜d、該各エアシリンダに対して進退可能な各ピストン(進出部材)82a〜d、エアシリンダ81a〜dに空気圧(圧力)を供給する圧空供給機構(圧力供給機構)83、空気圧が設計通りに切り替わるかどうかを検知するための圧力スイッチ(圧力検知機構)84、空気圧が設計通りでない場合にその旨を外部へ出力する圧力状態出力手段85、を備えている。
エアシリンダ81は、供給される空気圧に応じてピストン82を上下方向へ進退させる。ピストン82は、固定部材55が最も高い位置に固定されても進出したときに押当部67cに突き当たるようにストロークが設計され、固定部材55が最も低い位置に固定されても退避したときに押当部67cから離間するようにストロークが設計されている。
なお、シリンダとして油圧に応じてピストンを進退させる油圧シリンダを使用することも可能であるが、容易に圧縮可能なエアを圧力伝達媒体としたエアシリンダを用いることにより、ピストンから押当部に加わる力の反作用によりシリンダから高さ調節ナットへ力が加わる際にシリンダ内のエアが圧縮されて成形機構固定部材からナットへ適度な力が加わり、適度な力で高さ調節ナットの緩みを防ぐことが可能になる。
図16に示すように、圧空供給機構83は、圧空供給源83a、エア流路83b、圧力切替機構83c〜f、を備えている。定圧弁83cと増圧弁83dとは、エア流路83bを介して圧空供給源83aに接続されている。電磁弁83eは、エア流路83bを介して増圧弁83dに接続されている。シリンダバルブ83fは、エア流路83bを介して定圧弁83cと増圧弁83dとに接続されるとともに、切替圧力入力部83f1にエア流路83bを介して電磁弁83eが接続されている。エアシリンダ81a〜dは、エア流路83bを介して同じシリンダバルブ83fに接続されている。圧力スイッチ84は、シリンダバルブ83fからエアシリンダ81a〜dへ接続されたエア流路83bに接続されている。
【0050】
増圧弁83dは、圧空供給源83aからの圧空を所定の設定圧Pu(単位:MPa)まで増圧してエアシリンダ81に略設定圧Puの高圧エアを供給するために設けられている。この設定圧Puは、高さ調節ナットの緩みを防止させるときに、進出した進出部材から押当部へ加えられる設計上の圧力である。一方、定圧弁83cは、圧空供給源83aからの圧空を所定の設定圧Pl(単位:MPa。Pl<Pu)にしてエアシリンダ81に略設定圧Plの低圧エアを供給するために設けられている。この設定圧Plは、高さ調節ナットの螺合位置を変更するときに、進出した進出部材から押当部へ加えられる設計上の圧力である。
電磁弁83eは、ソレノイドに通電されていないときには増圧弁83dからの高圧エアをシリンダバルブ83fに供給し、ソレノイドに通電されると内蔵するばねの付勢力に逆らって弁を切り替えることにより増圧弁83dからのエア流路を遮断し、シリンダバルブ83fへのエア流路を大気圧に開放する。シリンダバルブ83fは、電磁弁83eから高圧エアが供給されると内蔵するばねの付勢力に逆らって弁を切り替えることにより増圧弁83dからの設定圧Puの高圧エアをエアシリンダ81に供給し、電磁弁83eからのエア流路が大気圧に開放されると定圧弁83cからの設定圧Plの低圧エアをエアシリンダに供給する。
圧力スイッチ84は、所定の設定圧Pt(単位:MPa。Pl<Pt<Pl)から高い空気圧になると内蔵するばねの付勢力に逆らってスイッチをオンにし、同設定圧Ptから低い空気圧になるとスイッチをオフにする。この設定圧Ptは設定圧Puと設定圧Plとの間の所定の圧力であり、圧力スイッチ84は、この設定圧Ptと、圧空供給機構83からエアシリンダ81へ供給される圧力と、の大小を検知する。
【0051】
低圧エアの設定圧Plは、成形機構20等を支持した成形機構固定部材55の重量による下向きの力(図21のF4)をちょうど打ち消す程度に設定すると、固定部材55と高さ調節ナット60とが押し合う力がほとんど無くなって軽い負荷でナット60を回転させることができるので、好適である。図21の右側を参照して説明すると、エアシリンダ81に供給する圧力Plは、ピストン82から当て板部材67へ加える力F1’とエアシリンダ81の口径によって決まり、当て板部材67からピストン82へ加わる反力F2’はF1’となる。固定部材55がナット60を押し上げようとする力F3’は、成形機構20等を支持した固定部材55の重量の偏り等で変わってくるが、F2’に応じた力となる。固定部材55からナット60へ加えられる力F5’は、成形機構20等を支持した固定部材55の重量による力をF4として、力F3’から力F4を差し引いた力となるため、力F4と力F3’とがほぼ同じになるように設定圧Plを設定すると、力F4がちょうど打ち消されることになる。
【0052】
高圧エアの設定圧Puは、高さ調節ナット60の緩みを十分に防止させ、かつ、必要以上に強すぎない力F5が固定部材55からナット60へ加わるように設定すると、好適である。図22の左側を参照して説明すると、エアシリンダ81に供給する圧力Puは、ピストン82から当て板部材67へ加える力F1とエアシリンダ81の口径によって決まり、当て板部材67からピストン82へ加わる反力F2はF1となる。固定部材55がナット60を押し上げようとする力F3は、F2に応じた力となる。固定部材55からナット60へ加えられる力F5は、成形機構20等を支持した固定部材55の重量による力をF4として、力F3から力F4を差し引いた力となるため、F3−F4がナット60の緩みを十分に防止させる必要最低限の力となるように設定圧Puを設定すると、必要以上に強すぎない力を固定部材55からナット60へ加えながらナット60の緩み止めを十分に機能させることができる。
すなわち、高圧Puと低圧Plとの差圧による力F5が固定部材55からナット60を押す推力としていることになる。
なお、設定圧Pu,Pl,Ptは、大気圧で定義されてもよいし、大気圧との差圧であるゲージ圧で定義されてもよい。ここで、低圧Plは、固定部材55を支える観点からは大気圧より大きくされ、ゲージ圧が0より大きくされる。高圧Puは、成形機構20等を固定した固定部材55の重量やシリンダ81の口径等によって変わってくるが、例えばゲージ圧で0.2〜1.5MPa程度とすることができる。低圧Plは、上述した条件を満たせばよいが、例えば高圧Puよりも0.1〜1.0MPa程度小さい圧力とすることができる。
【0053】
エアシリンダ81へ供給する空気圧の切り替えは、例えば図17に示すコンピュータシステム85で行うことができる。本システム85は、パーソナルコンピュータ等で構成されるコンピュータ86と、シーケンサ回路等で構成される制御盤88とを備えている。制御盤88は、成形を行う自動モードと型を交換する型替モードを少なくとも有する複数のモード(設定)の中からいずれかのモードに切り替えるためのセレクトスイッチ88a、成形機構20に接続されて該成形機構の動作を制御する成形機構制御回路20a、昇降モータ73に接続されて該昇降モータの動作を制御する昇降モータ制御回路73a、電磁弁83eに接続されて該電磁弁の動作を制御する電磁弁制御回路83e1、圧力スイッチ84に接続されて該圧力スイッチの状態を読み込むスイッチ状態読込回路84a、等の回路を備えている。
コンピュータ86の内部では、バス86aに、CPU87a、ROM(不揮発性半導体メモリ)87b、RAM(揮発性の半導体メモリ)87c、I/O回路(入出力回路)87d、タイマ回路87k、等が接続されるとともに、ハードディスクドライブを介してハードディスク(磁気記録媒体)87e、I/F(インターフェイス)を介してディスプレイ87f、I/Fを介して音声出力器87g、I/Fを介してマウス(ポインティングデバイス)87h、I/Fを介してキーボード87i、I/Fを介してプリンタ87j、等も接続されている。CPU87aは、ROM87bやハードディスク87eに記録された制御プログラムに基づいてメモリ87c,eをワークエリアとして利用しながら各部を制御する。
【0054】
I/O回路87dには、制御盤88のセレクトスイッチ88aや成形機構制御回路20aや昇降モータ制御回路73aや電磁弁制御回路83e1やスイッチ状態読込回路84a等が接続されている。I/O回路と制御盤との接続は、USBやRS−232C等のシリアルインターフェイスによる接続、パラレルインターフェイスによる接続、無線による接続、等、様々な接続が考えられる。成形機構制御回路20aは、コンピュータ86の指示に従ってシーケンサにより成形機構20の動作を制御する。昇降モータ制御回路73aは、コンピュータ86の指示に応じた回転量でモータ73の動作を制御する。電磁弁制御回路83e1は、コンピュータ86の指示に従って電磁弁83aに通電したり該電磁弁への通電を停止したりする。スイッチ状態読込回路84aは、圧力スイッチ84のオンオフの状態をI/O回路87dへ伝達する。
コンピュータシステム85は、図18に示す処理を行い、ねじ部材駆動機構70が高さ調節ナット60の回転駆動を停止しているときにピストン82を進出させて押当部67cに押し当てて力を加えることによりナット60の緩みを防止させ、ねじ部材駆動機構70がナット60を回転駆動するときに成形機構固定部材55を支えながら押当部67cに加える力を弱める制御を行う。なお、初期状態では、昇降モータ73が停止状態にされ、エアシリンダ81に高圧エアが供給され、成形機構20の動作が停止状態となるようにしている。ここで、S112〜S114,S118〜S120,S126〜S128の処理を行うコンピュータシステム85が圧力状態出力手段を構成し、S112,S118,S126でシリンダへ供給される圧力が設計通りであるか否かを判断し、S114,S120,S128で該圧力が設計通りでない場合にその旨を外部に出力する。
【0055】
(2)成形装置の動作および作用:
コンピュータシステム85の電源をオンにする等して図18に示す処理を開始すると、まず、セレクトスイッチ88aの状態に応じて処理を分岐させる(ステップS102。以下、「ステップ」の記載を省略)。セレクトスイッチが「自動モード」に切り替えられている場合、図19のタイミングチャートで示される動作を行う制御を行う成形処理を行い(S104)、シートS1に対して上述した差圧成形を行う。そして、操作入力デバイス87h,iにて成形終了を意味する所定の操作が行われたか否かを判断する等により、成形を終了するか否かを判断する(S106)。操作入力デバイスにて成形終了の所定の操作が行われていない場合、S104〜S106の処理を繰り返すことにより、上述した差圧成形を連続して行う。操作入力デバイスにて成形終了の所定の操作が行われた場合、上述した差圧成形を終了して、S102に戻る。
【0056】
セレクトスイッチが「型替モード」に切り替えられている場合、ディスプレイ87fに型の高さ(熱板30の上面と型40の下面との間の上下方向の距離)を設定するための画面を表示し、型の高さの設定入力を操作入力デバイス87h,iから受け付ける(S110)。型の高さの設定入力が行われると、型の高さを表す情報をRAMに記憶するとともに、圧力スイッチ84のオンオフの状態を読み込み、該状態に応じて処理を分岐させる(S112)。成形機構固定部材55の高さを変更しない常時は、エアシリンダ81に高圧Puが供給される設定であるため、設計上圧力スイッチ84がオンになるはずである。従って、圧力スイッチ84がオフ(低圧)である場合には、エアシリンダに供給される空気圧が設計通りでないことになり、設計通りの高圧エアが供給されていない旨の警報を外部に出力し(S114)、S110に戻る。なお、警報を外部に出力する態様には、ディスプレイ87fに圧力が設計通りでない旨を表示すること、音声出力器87gから所定の警報音を発生させること、プリンタ87jから圧力が設計通りでない旨を印刷媒体に印刷させること、等が考えられる。以下も、同様である。
【0057】
S112で圧力スイッチ84がオン(高圧)であった場合、電磁弁83eに通電することにより、シリンダバルブ83fを高圧側から低圧側に切り替え、定圧弁83cからの低圧エアをシリンダ81へ供給する(S116、図20のタイミングt21)。すると、図21の右側に示すように、力F1から弱められた力F1’がピストン82から押当部67cへ加わり、この力F1’の反作用により押当部67cからピストン82へ反対向きの力F2’(=F1’)が加わる。すると、ピストン82から固定部材55へ力F2’に相当する力が加わり、力F2’に応じた力F3’が固定部材55からナット60へ上向きに加えられる。固定部材55からナット60へ上向きに加わる力F5’は、成形機構20等を支持した固定部材55の重量による下向きの力をF4として、F3’からF4を差し引いた力になるので、下向きの力F4が上向きの力F3’で打ち消されることになる。これにより、固定部材55を昇降させるときに該固定部材55がロック機構80で支えられるので、高さ調節ナット60を回転させる負荷を軽減させることができ、成形機構20等を支持した成形機構固定部材55の昇降を容易にさせることが可能になる。
【0058】
エアシリンダに低圧エアを供給した後、圧力スイッチ84のオンオフの状態を読み込み、該状態に応じて処理を分岐させる(S118)。ここで、エアシリンダ81に低圧Plが供給される設定であるため、設計上圧力スイッチ84がオフになるはずである。従って、圧力スイッチ84がオン(高圧)である場合には、エアシリンダに供給される空気圧が設計通りでないことになり、設計通りの低圧エアが供給されていない旨の警報を外部に出力し(S120)、S110に戻る。
【0059】
S118で圧力スイッチ84がオフ(低圧)であった場合、昇降モータ73に必要量通電することにより高さ調節ナット60を回転駆動し、記憶されている型の高さを表す情報に応じた支持位置L23まで固定部材55の高さを変更するようにナット60の螺合位置L22を移動させる(S122、図20のタイミングt22〜t23)。すなわち、サーボモータ73の回転駆動によりスプロケット72dが回転し、該スプロケットがチェーン72cを回転させ、該チェーンがスプロケット72b,72bを回転させ、該スプロケット72b,72bがロッド部材72a,72aを介して4つのウォームギヤ71を回転させ、該ウォームギヤがナット60を回転させる。ここで、成形機構20等を支持した固定部材55は、各ナット60の上下方向を位置決めしながら雄ねじ部66eを中心軸L21として回転動作可能に保持しているので、ナット60の螺合位置L22に応じた支持位置L23まで移動する。なお、サーボモータ73の回転量を制御することにより、固定部材55の移動量を制御することができる。
S122の処理を行っている段階で、型40を引き出して交換用型41を交換すると、好適である。むろん、型40全体を交換してもよいし、熱板30を引き出して清掃してもよい。型替えにより熱板の上面と型の下面との間隔が狭まり固定部材55を上昇させる必要がある場合には、交換前の型を取り付けた状態で交換後の型に応じた高さまで固定部材55を上昇させる操作を行い、型を交換すればよい。型替えにより熱板の上面と型の下面との間隔が拡がり固定部材55を下降させる必要がある場合には、先に型を交換し、交換後の型を取り付けた状態で交換後の型に応じた高さまで固定部材55を下降させる操作を行えばよい。むろん、S122にて、一旦固定部材55を最も高い位置に上昇させる処理を行い、上昇後に型替えを行い、その後、型の高さを表す情報に応じた支持位置L23まで固定部材55を下降させる処理を行うと、型と熱板との干渉を確実に防止して型を交換することが可能になる。
【0060】
固定部材55の移動を完了した後、電磁弁83eへの通電を停止することにより、シリンダバルブ83fを低圧側から高圧側に切り替え、増圧弁83dからの高圧エアをシリンダ81へ供給する(S124、図20のタイミングt24)。すると、図21の左側に示すように、力F1がピストン82から押当部67cへ加わり、この力F1の反作用により押当部67cからピストン82へ反対向きの力F2(=F1)が加わる。すると、ピストン82から固定部材55へ力F2に相当する力が加わり、力F2に応じた力F3が固定部材55からナット60へ上向きに加えられる。固定部材55からナット60へ上向きに加わる力F5は、成形機構20等を支持した固定部材55の重量による下向きの力をF4として、F3からF4を差し引いた力になるので、F3−F4の力が固定部材55の本体部56からナット60へ上向きに押しつけるように加えられる。これにより、ロックナットを用いることなく、高さ調節ナット60の緩みが防止される。
【0061】
エアシリンダに高圧エアを供給した後、圧力スイッチ84のオンオフの状態を読み込み、該状態に応じて処理を分岐させる(S126)。ここで、エアシリンダ81に高圧Puが供給される設定であるため、設計上圧力スイッチ84がオンになるはずである。従って、圧力スイッチ84がオフ(低圧)である場合には、エアシリンダに供給される空気圧が設計通りでないことになり、設計通りの高圧エアが供給されていない旨の警報を外部に出力し(S128)、S110に戻る。一方、圧力スイッチ84がオン(高圧)である場合には、型替えを終了した旨を外部に出力して(S130)、S102に戻る。ここでも、型替え終了の旨を表示したり、型替え終了の旨を音声出力したり、型替え終了の旨を印刷したりすればよい。
なお、セレクトスイッチ88aが「自動モード」に切り替えられると、エアシリンダに高圧エアが供給されてナット60の緩みが防止された状態で上述した成形処理が行われる(図20のタイミングt25〜t26)。
【0062】
以上説明したように、本発明によると、ロック機構80が進出部材82から成形機構固定部の押当部67cへ力を加えることにより成形機構固定部55からねじ部材60へ力が加わるので、ロックナットを用いることなく、ねじ部材60の緩みが防止される。従って、ロックナットを不要にさせ、成形機構固定部を所望の支持位置で固定する作業を軽減させ、該作業にかかる時間を短縮させることが可能になる。
また、ねじ部材の螺合位置L22を変更するときにロック機構80が進出部材82から押当部67cに加わる力を弱めながら成形機構固定部55を支えるので、ねじ部材60を回転させる負荷を軽減させることができ、成形機構を支持した成形機構固定部の昇降を容易にさせることが可能になる。
さらに、圧力供給機構からシリンダへ供給される圧力が設計通りでない場合にその旨が通知されるので、本成形装置は便利である。
さらに、複数の支柱に架け渡された当て板部材67に進出部材82が押し当てられて力が加えられるので、確実にねじ部材の緩み止めを機能させることが可能になる。
【0063】
(3)変形例:
なお、S112〜S114の処理、S118〜S120の処理、S126〜S128の処理、のいずれかを省略しても、本発明の圧力状態出力手段が構成される。また、圧力スイッチの代わりにシリンダへ供給される空気圧をアナログ量またはデジタル量で検出し、該空気圧が所定の圧力Ptから高いか低いかを判断して設計通りでない場合にその旨を出力するようにしてもよい。なお、圧力検知機構や圧力状態出力手段を設けなくても、本発明の基本的な効果が得られる。また、図18に示す処理を行わない成形装置でも、本発明の基本的な効果が得られる。
【0064】
上記成形機構では、シートの上面側に熱板を配置し、シートの下面側に型を配置してもよい。また、シートを鉛直方向に搬送する場合には、熱板と型とを同じ高さに配置してもよい。
上記シートの一面側に配置される熱板は、該シートの一面に接触しても、接触せず該シートの一面に対面配置されてもよい。なお、シートを加熱する際には、接触加熱する以外にも、輻射加熱や、接触加熱と輻射加熱の併用によりシートを加熱してもよい。上記シートの他面側に配置される型は、該シートの他面に接触しても、接触せず該シートの他面に対面配置されてもよい。
上記熱板と上記型とを近接および離間させる際には、型のみ移動させる以外にも、熱板のみ移動させても、熱板と型の両方を移動させてもよい。また、熱板と型との近接および離間の際、シートの位置を変えないのみならず、シートを型の方向へ移動させたり、シートを熱板の方向へ移動させたりしてもよい。
型用テーブルを熱板に対して近接および離間させる機構は、上記リンク機構以外にも、各種クランク機構、エアシリンダや油圧シリンダのようなシリンダを用いた機構、等でもよい。なお、型用テーブルを駆動する方向は、型用テーブルと熱板との位置関係に応じて決定すればよく、上下動以外にも、水平方向等とすることもできる。
上記成形機構は、差圧成形以外の熱成形で被成形材を成形する機構、熱成形以外の成形で被成形材を成形する機構、でもよい。上記被成形材は、極薄の樹脂フィルム、極薄の可塑性フィルム、厚みのある樹脂素材、厚みのある可塑性素材、等でもよい。
【0065】
上記位置決め方向は、重力を基準とした厳密な上下方向でもよいし、厳密な上下方向から斜めにずれた上下方向(例えば、厳密な上下方向に対して、0より大きく15°以内でずれた方向、0より大きく30°以内でずれた方向)でも、さらに水平に近づいた方向(例えば、厳密な上下方向に対して30〜60°ずれた方向)でもよい。なお、成形機構固定部を支えてねじ部材を回転させる負荷を軽減させる効果は得られないものの、上記位置決め方向を水平方向にすることもできる。
上記ロック機構は、単数とされても、本発明の基本的な効果が得られる。また、ロック機構は、油圧シリンダを用いた機構、エアシリンダや油圧シリンダ以外のシリンダを用いた機構、電磁石による力を用いた機構、等でもよい。さらに、ロック機構は、成形機構固定部と分離不可能な一体化された部位とすることもできる。
上記押当部67cは、進出部材の進出方向に対して垂直な平坦面として構成を簡素化してコストを低減させるようにしているが、進出部材の進出方向に対して凹んだ凹部として進出部材の先端部を該凹部に受け入れて位置決めするように構成することも可能である。また、上記押当部は、上記固定部支持部材と分離不可能な一体化された部位とすることもできる。
上記成形機構固定部は、上記成形機構と分離不可能な一体化された部位とすることもできる。
成形装置の基本部分20,55,60,65,80のみでも、成形機構固定部を所望の支持位置で固定する作業を軽減させ、該作業にかかる時間を短縮させる効果が得られる。
【0066】
なお、本発明は、上述した実施例や変形例に限られず、上述した実施例および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施例および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、有用な成形装置および成形機構支持位置固定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】熱成形装置の外観を示す斜視図。
【図2】熱成形装置を正面から見て示す正面図。
【図3】型が所定の離間位置にあるときの熱成形装置を示す右側面図。
【図4】型が所定の近接位置にあるときの熱成形装置を示す右側面図。
【図5】熱成形装置の要部を上面から見て示す平面図。
【図6】図5のA1の方向からねじ部材駆動機構の要部を見て示す背面図。
【図7】図5のA2の位置でねじ部材駆動機構の要部を示す垂直断面図。
【図8】成形機構固定部材の要部を示す斜視図。
【図9】高さ調節ナットの外観を示す斜視図。
【図10】固定部材の下から当て板部材等を上面から見て示す平面図。
【図11】支柱に当て板部材を取り付ける様子を示す分解斜視図。
【図12】固定部材の下から熱成形装置の要部を上面から見て示す平面図。
【図13】型の下から型等の底面を見て示す底面図。
【図14】型を組み立てる様子を底面側から見て示す分解斜視図。
【図15】型の下から熱成形装置の要部を上面から見て示す平面図。
【図16】ロック機構のエアの流れを示すエア回路図。
【図17】コンピュータシステムの回路構成の概略を示すブロック図。
【図18】コンピュータシステムが実行する処理を示すフローチャート。
【図19】成形機構の動作を示すタイミングチャート。
【図20】ロック機構の動作を示すタイミングチャート。
【図21】本成形装置の作用を模式的に説明する図。
【図22】成形機構固定部材の高さを変えた様子を示す正面図。
【図23】従来例に係る熱成形装置を正面から見て示す正面図。
【符号の説明】
【0068】
10…シート搬送機構、
20…成形機構、21…基台、
25…真空圧空供給機構、25a…通気経路、
30…加熱板(熱板)、30a…型に対向する面、30b…第一の通気孔、
35…下テーブル(熱板用テーブル)、36a〜d…貫通穴、
40…型、41…交換用雌型(交換用型)、41a…成形面、41b…第二の通気孔、
45…上テーブル(型用テーブル)、45a…下面(熱板に対向する面)、
50…型用テーブル駆動機構、52…リンク機構、
52a…リンク部材、52b…ボールねじ機構、52c…電動モータ、
55…成形機構固定部材(成形機構固定部)、
55a〜d…H字形の4箇所の端部、55e…H字形の中央部、56…本体部、
57…ナット保持部材(ねじ部材保持部)、57a…上部、57b…開口、
60…高さ調節ナット(ねじ部材)、60a…内周部、60b…外周部、
61…内嵌部材、61a…基部、61b…雌ねじ、62…外嵌部材、62a…ギヤ
65…固定部支持部材、66…支柱、66a…第一の円柱状支柱、
66b…第二の円柱状支柱、66c…第三の円柱状支柱、66d…第四の円柱状支柱、
66e…雄ねじ部(ねじ部)、66f…細径部、
67…当て板部材、
67a…第一の当て板部材、67a1…第一の凹部、67a2…第二の凹部、
67b…第二の当て板部材、67b1…第三の凹部、67b2…第四の凹部、
67c…押当部、
70…ねじ部材駆動機構、71…ウォームギヤ、72…動力伝達機構、
72a…ロッド部材、72b,72d…スプロケット、72c…チェーン、
73…昇降モータ、
80…ロック機構、80a…第一のロック機構、80b…第二のロック機構、
80c…第三のロック機構、80d…第四のロック機構、
81,81a〜d…エアシリンダ(シリンダ)、
82,82a〜d…ピストン(進出部材)、
83…圧空供給機構(圧力供給機構)、
84…圧力スイッチ(圧力検知機構)、
85…コンピュータシステム(圧力状態出力手段の一部)、
86…コンピュータ、88…制御盤、
100…熱成形装置(成形装置)、
D11…位置決め方向、D12…螺合する方向、
L21…中心軸、L22…螺合位置、L23…支持位置、
S1…シート(被成形材)、S1a…上面(他面)、S1b…下面(一面)、
S2…成形後のシート、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持される位置が所定の位置決め方向へ変更可能とされた成形機構固定部と、該成形機構固定部に支持されるとともに被成形材に対して近接および離間しながら該被成形材を成形する成形機構と、前記位置決め方向において前記成形機構固定部に位置決めされながら螺合する方向へ回転動作可能なねじ部材と、該ねじ部材と螺合するねじ部が前記位置決め方向に向けて形成された固定部支持部材とを備え、前記位置決め方向において前記ねじ部に対する前記ねじ部材の螺合位置に応じた支持位置で該ねじ部材を介して前記成形機構固定部を前記固定部支持部材にて支持する成形装置であって、
前記位置決め方向に向けて進出して力を加える進出部材を有するロック機構が前記成形機構固定部に取り付けられ、
前記固定部支持部材に、進出した前記進出部材を押し当てさせる押当部が設けられ、
前記ロック機構により進出させた前記進出部材を前記押当部に押し当てて力を加えることにより前記ねじ部材の緩みを防止させるようにしたことを特徴とする成形装置。
【請求項2】
前記位置決め方向は、上下方向とされ、
前記進出部材は、下方に向けて進出して前記押当部に押し当てられて力を加える部材とされ、
前記ロック機構は、前記ねじ部材の螺合位置を変更するときに前記成形機構固定部を支えながら前記押当部に加える力を弱めることを特徴とする請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記ねじ部材を双方向に回転駆動するねじ部材駆動機構をさらに備え、
前記ロック機構は、前記ねじ部材駆動機構が前記ねじ部材の回転駆動を停止しているときに前記進出部材を進出させて前記押当部に押し当てて力を加えることにより前記ねじ部材の緩みを防止させ、前記ねじ部材駆動機構が前記ねじ部材を回転駆動するときに前記成形機構固定部を支えながら前記押当部に加える力を弱めることを特徴とする請求項2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記ねじ部が上下方向に向けて形成されており、
前記成形機構固定部は、前記ロック機構が取り付けられるとともに前記成形機構の上部を固定する本体部と、この本体部の上部に固定されて該本体部の上側で前記ねじ部材を上下方向において位置決めするとともに前記ねじ部を中心軸として前記ねじ部材を回転可能に保持するねじ部材保持部とを有し、
前記ねじ部材は、前記ねじ部を中心軸とした外周部にギヤが形成され、
前記ねじ部材駆動機構は、前記ねじ部材のギヤと噛合したウォームギヤと、該ウォームギヤを回転駆動するモータとを有し、
前記ロック機構により進出させた前記進出部材を前記押当部に押し当てて力を加えることにより前記本体部を前記ねじ部材に押しつけて該ねじ部材の緩みを防止させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の成形装置。
【請求項5】
前記進出部材は、ピストンとされ、
前記ロック機構は、
供給される圧力に応じて前記ピストンを上下方向へ進退させるシリンダと、
該シリンダに圧力を供給する圧力供給機構と、
前記ねじ部材の緩みを防止させるときに前記進出した進出部材から前記押当部へ加えられる設計上の圧力と前記ねじ部材の螺合位置を変更するときに前記進出した進出部材から前記押当部へ加えられる設計上の圧力との間の所定の圧力と、前記圧力供給機構から前記シリンダへ供給される圧力と、の大小を検知する圧力検知機構と、
検知された圧力の大小に応じて前記圧力供給機構から前記シリンダへ供給される圧力が設計通りであるか否かを判断し、該圧力が設計通りでない場合にその旨を外部へ出力する圧力状態出力手段とを有することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の成形装置。
【請求項6】
前記被成形材は、成形可能なシートとされており、
前記成形機構は、前記シートに対向する成形面が形成された型を有し、下方に配置された前記シートに対して上下方向へ近接および離間しながら前記型の成形面の形状に合わせて前記シートを成形する機構とされ、
前記シリンダは、供給される空気圧に応じて前記ピストンを上下方向へ進退させるエアシリンダとされていることを特徴とする請求項5に記載の成形装置。
【請求項7】
前記固定部支持部材は、互いに並行して設けられた複数の支柱と、これらの複数の支柱に固定されて該支柱の間に架け渡されるとともに前記押当部が形成された当て板部材とを有し、
前記ロック機構により進出させた前記進出部材を前記当て板部材に押し当てて力を加えることにより前記成形機構固定部を前記ねじ部材に押しつけて該ねじ部材の緩みを防止させるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の成形装置。
【請求項8】
前記被成形材は、熱可塑性のシートとされており、
所定の成形位置を通る所定の搬送方向へ前記シートを搬送するシート搬送機構をさらに備え、
前記成形機構は、前記成形位置にあるシートの一面側に配置される熱板と、前記成形位置にあるシートの他面側に配置されて前記シートに対向する成形面が形成された型と、前記熱板に対向する面で前記型を保持する型用テーブルと、前記型用テーブルにおける前記熱板に対向する面とは反対側の部位に取り付けられて前記成形位置で前記型を保持した型用テーブルを前記熱板に対して近接および離間させる型用テーブル駆動機構と、を有し、前記シート搬送機構により前記シートが搬送されるときには前記型用テーブル駆動機構により前記型用テーブルを駆動して前記熱板と前記型とを離間させ、前記シートが前記成形位置まで搬送されたときに前記型用テーブル駆動機構により前記型用テーブルを駆動して前記熱板と前記型とを近接させて前記シートを加熱しながら前記成形面の形状に合わせて熱成形する機構とされ、
前記複数の支柱は、それぞれ前記型よりも前記搬送されるシートの上流側において該搬送されるシートを挟む位置に立設されて先端部に前記ねじ部が形成され該ねじ部の下方で径が細くされた細径部が形成された第一および第二の円柱状支柱と、それぞれ前記型よりも前記搬送されるシートの下流側において該搬送されるシートを挟む位置に立設されて先端部に前記ねじ部が形成され該ねじ部の下方で径が細くされた細径部が形成された第三および第四の円柱状支柱とから少なくとも構成され、
前記第一の円柱状支柱と前記第三の円柱状支柱とが前記搬送されるシートからみて同じ側に配置されるとともに前記第二の円柱状支柱と前記第四の円柱状支柱とが前記搬送されるシートからみて同じ側に配置され、
前記成形機構固定部は、H字形に形成されて該H字形の4箇所の端部で前記立設された第一、第二、第三および第四の円柱状支柱の先端部にそれぞれ前記ねじ部材を介して固定され、
前記型用テーブル駆動機構は、前記成形機構固定部の前記H字形の中央部と前記型用テーブルとの間に設けられて該成形機構固定部と該型用テーブルとを近接および離間させるリンク機構を有し、
前記当て板部材は、一端に前記第一の円柱状支柱の細径部を嵌め込み可能な第一の凹部が形成され他端に前記第三の円柱状支柱の細径部を嵌め込み可能な第二の凹部が形成されて前記第一および第二の凹部にそれぞれ前記第一および第三の円柱状支柱の細径部を嵌め込んで前記第一の円柱状支柱と前記第三の円柱状支柱とに架け渡されて固定されるとともに前記押当部が形成された第一の当て板部材と、一端に前記第二の円柱状支柱の細径部を嵌め込み可能な第三の凹部が形成され他端に前記第四の円柱状支柱の細径部を嵌め込み可能な第四の凹部が形成されて前記第三および第四の凹部にそれぞれ前記第二および第四の円柱状支柱の細径部を嵌め込んで前記第二の円柱状支柱と前記第四の円柱状支柱とに架け渡されて固定されるとともに前記押当部が形成された第二の当て板部材と、から構成され、
前記ロック機構は、前記第一の円柱状支柱と前記第三の円柱状支柱との間で前記第一の当て板部材に向けて前記H字形の成形機構固定部における前記第一の円柱状支柱の近傍に立設された第一のロック機構と、前記第一の円柱状支柱と前記第三の円柱状支柱との間で前記第一の当て板部材に向けて前記H字形の成形機構固定部における前記第三の円柱状支柱の近傍に立設された第二のロック機構と、前記第二の円柱状支柱と前記第四の円柱状支柱との間で前記第二の当て板部材に向けて前記H字形の成形機構固定部における前記第二の円柱状支柱の近傍に立設された第三のロック機構と、前記第二の円柱状支柱と前記第四の円柱状支柱との間で前記第二の当て板部材に向けて前記H字形の成形機構固定部における前記第四の円柱状支柱の近傍に立設された第四のロック機構と、から少なくとも構成されていることを特徴とする請求項7に記載の成形装置。
【請求項9】
支持される位置が所定の位置決め方向へ変更可能とされた成形機構固定部と、該成形機構固定部に支持されるとともに被成形材に対して近接および離間しながら該被成形材を成形する成形機構と、前記位置決め方向において前記成形機構固定部に位置決めされながら螺合する方向へ回転動作可能なねじ部材と、該ねじ部材と螺合するねじ部が前記位置決め方向に向けて形成された固定部支持部材とを用い、前記位置決め方向において前記ねじ部に対する前記ねじ部材の螺合位置に応じた支持位置で該ねじ部材を介して前記成形機構固定部を前記固定部支持部材にて支持する成形機構支持位置固定方法であって、
前記位置決め方向に向けて進出して力を加える進出部材を有して前記成形機構固定部に取り付けられたロック機構により進出させた前記進出部材を前記固定部支持部材の所定の押当部に押し当てて力を加えることにより前記ねじ部材の緩みを防止させることを特徴とする成形機構支持位置固定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−230009(P2007−230009A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52304(P2006−52304)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(304050369)株式会社浅野研究所 (44)
【Fターム(参考)】