説明

成形部品セット

【課題】本発明の課題は、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことにある。
【解決手段】本発明に係る成形部品セットは、第1金型114、第2金型124および外周部品111,112,113,121,122,123を備える。第1金型は、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される。第2金型は、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される。また、この第2金型は、第1金型と対抗するように配置される。外周部品は、少なくとも2つ存在し、所定の温度において第1金型の第2金型に対抗する面と第2金型の第1金型に対抗する面との間に所定の隙間を生じさせるように第1金型および第2金型のそれぞれの外周に対抗して配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形部品セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従前から、鋳造用の金型としてタングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型が知られている。例えば、タングステン基合金から形成される金型については特許文献1(特開平7−232254号公報)や、特許文献2(特開2001−179420号公報)、特許文献3(特開2004−352584号公報)に詳しく、モリブデン基合金から形成される金型については特許文献4(特開平6−220566号公報)に詳しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、タングステン基合金やモリブデン基合金から成る金型は通常の鉄系の金型に比べて高価であり、成形加工の現場ではタングステン基合金やモリブデン基合金から成る金型の寿命をできるだけ延ばしたいとの要望がある。
【0004】
本発明の課題は、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明に係る成形部品セットは、第1金型、第2金型および外周部品を備える。第1金型は、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される。第2金型は、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される。また、この第2金型は、第1金型と対抗するように配置される。外周部品は、少なくとも2つ存在し、所定の温度において第1金型の第2金型に対抗する面と第2金型の第1金型に対抗する面との間に所定の隙間を生じさせるように第1金型および第2金型のそれぞれの外周に対抗して配置される。なお、ここにいう「所定の隙間」とは、成形品にバリやかえりが生じない程度の隙間である必要がある。また、ここにいう「所定の温度」および「所定の隙間」は、第1金型と第2金型とによって形成されるキャビティに供給される材料の種類や温度によって適宜設定される。
【0006】
このため、この成形部品セットを用いれば、第1金型と第2金型とを接触させることなく第1金型と第2金型とによりキャビティを形成することができる。したがって、この成形部品セットを用いれば、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができる。また、金型間の隙間を、成形品にバリやかえりが生じない程度の隙間とすることができれば、さらにタングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができる。
【0007】
第2発明に係る成形部品セットは、第1発明に係る成形部品セットであって、第1金型と第2金型とによって形成されるキャビティには、半溶融状態または半凝固状態の鉄系金属が供給される。そして、このとき、所定の隙間は、200℃〜300℃において0.05mm以下である。なお、所定の隙間の下限は当然ながら0より大きい値である。また、この隙間であれば、隙間にバリやかえりが生じない。
【0008】
本願発明者らが鋭意検討したところ、第1金型と第2金型とによって形成されるキャビティに半溶融状態または半凝固状態の鉄系金属が供給される場合、第1金型と第2金型との間に0.05mm以下の隙間を空けていても問題なくバリやかえりのない成形品を得ることができることが明らかとなった。したがって、この成形部品セットを用いれば、半溶融ダイキャスト成形法または半凝固ダイキャスト成形法により鉄系金属を成形する場合であっても、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができる。
【0009】
第3発明に係る成形部品セットは、第1発明又は第2発明に係る成形部品セットであって、外周部品は、ブロック体とプレート体とから構成される。そして、プレート体は、互いに対抗するように配置される。
【0010】
このため、この成形部品セットを用いれば、第1金型と第2金型とによってキャビティを形成したときの型締め力を主にプレート体で受けることができる。したがって、この成形部品セットを用いれば、ブロック体よりも安価なプレート体を定期的に交換することにより、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができる。よって、この成形部品セットを用いれば、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型を利用した成形品製造のコストパフォーマンスを向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
第1発明に係る成形部品セットを用いれば、第1金型と第2金型とを接触させることなく第1金型と第2金型とによりキャビティを形成することができる。したがって、この成形部品セットを用いれば、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができる。
【0012】
第2発明に係る成形部品セットを用いれば、半溶融ダイキャスト成形法または半凝固ダイキャスト成形法により鉄系金属を成形する場合であっても、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができる。
【0013】
第3発明に係る成形部品セットを用いれば、ブロック体よりも安価なプレート体を定期的に交換することにより、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができる。よって、この成形部品セットを用いれば、タングステン基合金やモリブデン基合金から形成される金型を利用した成形品製造のコストパフォーマンスを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形装置の部分断面図である。
【図2】成形後のスクロール部材の予備成形体の外観斜視図である。
【図3】成形後のスクロール部材の予備成形体の側面図である。
【図4】成形後のスクロール部材の予備成形体の背面図である。
【図5】可動型の外観斜視図である。
【図6】可動型の正面図である。
【図7】固定型の外観斜視図である。
【図8】固定型の正面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法の初期工程における成形装置の状態図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法の型締め工程における成形装置の状態図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法のビレット挿入工程における成形装置の状態図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法のビレット充填工程における成形装置の状態図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法におけるビレット充填完了時の成形装置の状態図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法の型開き工程における成形装置の状態図である。
【図15】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法の押出し工程における成形装置の状態図である。
【図16】本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形方法の予備成形体取出し工程における成形装置の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ダイキャスト成形型2およびそれを備えたダイキャスト成形装置1を、図面を参照しながら説明する。
【0016】
<ダイキャスト成形装置の構成>
本実施の形態に係るダイキャスト成形装置(以下「成形装置」という)1では、鉄系部品の予備成形体、例えば、スクロール圧縮機の可動スクロールの予備成形体、すなわち、図2〜4に示されるように、鏡板相当部分52、鏡板相当部分52の一方の板面から板面の略垂直方向に向かって延びる渦巻き状のラップ相当部分51、および鏡板相当部分52のラップ相当部分側の反対側の板面から略垂直方向に向かって延びる円柱状のボス相当部分53を有するスクロール部材の予備成形体50が成形される。
【0017】
成形装置1は、図1に示されるように、主に、ダイキャスト成形型(以下「成形型」という)2、ラップ押出ピン3、ビレット挿入機構6および押出ピン駆動機構7から構成されている。
【0018】
この成形装置1では、ビレット挿入機構6によって半溶融状態の鉄系ビレットあるいは半凝固状態の鉄系材料(以下「半溶融・半凝固金属材料」という)Cが成形型2内部に圧力をかけられて挿入されることにより、スクロール部材の予備成形体50がダイキャスト成形される。
【0019】
なお、スクロール部材の予備成形体50が成形された後、可動型11は、後方(図1の白抜き矢印Db参照)にスライド移動されて固定型12から引き離される(図14参照)。その後、スライド中子5がスライド移動された後、ラップ押出ピン3および補助押出ピン9が押出ピン駆動機構7によって可動型11内部に押し込まれることにより、可動型11内部からスクロール部材の予備成形体50が取り出される(図15参照)。
【0020】
以下、成形型2およびラップ押出ピン3を別項目としてさらに詳細に説明する。
【0021】
<成形型の構成>
成形型2は、図1に示されるように、主に、水平方向に沿って往復移動可能な可動型11と、図示しない台に固定された固定型12と、スライド中子5と、ラップ押出ピン3と、補助押出ピン9とから構成される。以下、それぞれについて詳述する。
【0022】
(1)可動型
可動型11は、図1、図5および図6に示されるように、主に、可動側主型111、可動側入れ子112、可動側受け圧プレート113、可動側中子114および可動側チルベント115から構成される。
【0023】
可動側主型111は、図1、図5および図6に示されるように、可動側中子114、可動側入れ子112、可動側受け圧プレート113および可動側チルベント115を収容するための枠体である。可動側主型111は、図1、図5および図6に示されるように、可動側プラテン21に固定されており、可動プラテン21と共に固定型12に近づく方向(図1の白抜き矢印Df)および固定型12から離れる方向(図1の白抜き矢印Db参照)へ往復移動することができる。
【0024】
可動側入れ子112は、図5および図6に示されるように、可動側主型111の内側、可動側中子114の外側に配置される部材であって、可動側中子114が規定の位置に収まるように可動側中子114を支持している。
【0025】
可動側受け圧プレート113は、図5および図6に示されるように、可動側入れ子112の上下に配置される板状部材であって、可動型11が固定型12に合わさり型締めされるときに型締め力を受ける。なお、この可動側受け圧プレート113は、200〜300℃の温度で固定側受け圧プレート123(後述)と接触したときに可動側中子114と固定側中子124(後述)との間に0.05mm以下の隙間が生じるように設計されている。
【0026】
可動側中子114は、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される金型である。なお、タングステン基合金としては、例えば、(株)アライドマテリアル社の焼結超重合金ヘビイメタルHM−1、HM−2、HM−5、HM−7、HM−7S、HM−7ST、HM−8、HM−8ST、HM−185等が挙げられる。そして、この可動側中子114には、図1、図5および図6に示されるように、スクロール部材の予備成形体50のラップ相当部分51を形成するための渦巻き溝13aと、鏡板相当部分52を形成するための凹部13bとが形成されている。また、この可動側中子114には、渦巻き溝13aと連通し可動側チルベント115まで延びる複数のベント溝も形成されている。
【0027】
可動側チルベント115は、ベント溝から流れてくる半溶融状態又は半凝固状態の金属を冷却する。また、この可動側チルベント115は、半溶融・半凝固金属材料Cが挿入されるときに押し出されるキャビティ13内の空気を外部へ排出する役目も担っている。
【0028】
(2)固定型
固定型12は、図1、図7および図8に示されるように、主に、固定側主型121、固定側入れ子122、固定側受け圧プレート123、固定側中子124および固定側チルベント125から構成される。
【0029】
固定側主型121は、図1、図7および図8に示されるように、固定側中子124、固定側入れ子122、固定側受け圧プレート123および固定側チルベント125を収容するための枠体である。固定側主型121は、図1、図7および図8に示されるように、固定プラテン22に固定されており、常に静止している。
【0030】
固定側入れ子122は、図7および図8に示されるように、固定側主型121の内側、固定側中子124の外側に配置される部材であって、固定側中子124が規定の位置に収まるように可動側中子114を支持している。
【0031】
固定側受け圧プレート123は、図7および図8に示されるように、固定側入れ子122の上下に配置される板状部材であって、固定型12が可動型11に合わさり連結されるときに連結圧を受ける。なお、この固定側受け圧プレート123は、200〜300℃の温度で可動側受け圧プレート113と接触したときに固定側中子124と可動側中子114との間に0.05mm以下の隙間が生じるように設計されている。
【0032】
固定側中子124は、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される金型である。なお、タングステン基合金としては、例えば、(株)アライドマテリアル社の焼結超重合金ヘビイメタルHM−1、HM−2、HM−5、HM−7、HM−7S、HM−7ST、HM−8、HM−8ST、HM−185等が挙げられる。そして、この固定側中子124には、図1、図7および図8に示されるように、円柱状のボス相当部分53を形成するための円柱溝13cと、ランナー54を形成するためのランナー溝13dと、スライド中子5が挿入される挿入凹部13eが形成されている。
【0033】
固定側チルベント125は、可動側中子114に形成されるベント溝から流れてくる半溶融状態又は半凝固状態の金属を冷却する。また、この固定側チルベント125は、半溶融・半凝固金属材料Cが挿入されるときに押し出されるキャビティ13内の空気を外部へ排出する役目も担っている。
【0034】
(3)スライド中子
スライド中子5は、図5および図6に示されるように、可動型11に互いに対抗するようにして設けられる2つの中子であって、可動型11と固定型12とを型締めしたときに形成されるスクロール部材の予備成形体50の形状をした鋳造空間、すなわちキャビティ13に半溶融・半凝固金属材料Cを挿入するための流路であるランナー溝13dを形成するために、キャビティ13内部にスライド挿入される。
【0035】
(4)ラップ押出ピン
ラップ押出ピン3は、図1に示されるように、可動型11に形成された貫通孔15を通って、キャビティ13の渦巻き溝13aの先端に出没できるように押出ピン駆動機構7に取り付けられている。そして、このラップ押出ピン3は、スクロール部材の予備成形体50の成形後にスクロール部材の予備成形体50のラップ相当部分51の先端51aを押して、スクロール部材の予備成形体50を可動型11から押し出すことができる。
【0036】
(5)補助押出ピン
補助押出ピン9は、図1に示されるように、可動型11に形成された貫通孔16を通って、ランナー溝13dのビレット挿入機構側の側面に出没できるように押出ピン駆動機構7に取り付けられている。そして、この補助押出ピン9は、スクロール部材の予備成形体50の成形後にランナー54のビレット挿入機構側の側面を押して、スクロール部材の予備成形体50を可動型11から押し出すことができる。
【0037】
<ダイキャスト成形法の概要>
本実施の形態において成形されるスクロール部材の予備成形体50は可動スクロールの予備成形体であり、この予備成形体には、図2〜4に示されるように、円柱状のボス相当部分53が存在する。そして、本実施の形態では、半溶融・半凝固金属材料Cがキャビティ13に挿入されるとき、半溶融・半凝固金属材料Cは、ランナー溝13dを通った後、ボス相当部分53に対応するキャビティ部分からラップ相当部分51に対応するキャビティ部分へ向って流れるように、キャビティ13に充填される。
【0038】
なお、成形後のランナー54の一端は、ボス相当部分53と繋がっている。そして、このランナー54は、成形型2から取り出された後に切除される。
【0039】
また、本実施の形態に係る成形装置1では、ビレット挿入機構6から出た直後の半溶融・半凝固金属材料Cの表面スケールを除去するため、ビレット挿入機構6はボス相当部分53の真後ろに配置されずにランナー溝13dの分だけ離間して配置されている。このため、半溶融・半凝固金属材料Cの表面スケールは、主にランナー54のビレット挿入機構側部分にたまるので、スクロール部材の予備成形体50へのスケールの混入が少なくなる。
【0040】
<ダイキャスト成形法の手順>
本発明の実施の形態に係るダイキャスト成形法では、初期工程、型締め工程、ビレット挿入工程、ビレット充填工程、型開き工程、スライド中子開放工程、押出し工程、予備成形体取出し工程を経てスクロール部材の予備成形体50が成形される。以下、各工程における成形装置1の状態を図9〜16を参照しながら説明する。
【0041】
先ず、初期工程では、主型111,121、入れ子112,122および中子114,124をすべて合わせた成形型2全体が約200℃まで予備加熱される。
【0042】
次に、型締め工程では、図10に示されるように、可動型11が固定型12に向かって移動され、可動型11と固定型12とが型締めされてキャビティ13が形成される。なお、このとき、受け圧プレート113,123により中子114,124の対向面に0.05mm以下の隙間が生じている。
【0043】
次いで、ビレット挿入工程では、図11に示されるように、ビレット挿入機構6に半溶融・半凝固金属材料Cが投入される。
【0044】
続いて、ビレット充填工程では、図12に示されるように、ビレット挿入機構6のプランジャー6aに油圧または空気圧が加えられてプランジャー6aが押し込まれ、半溶融・半凝固金属材料Cが圧力を加えられた状態で成形型2内部に充填される。なお、このとき、半溶融・半凝固金属材料Cは、ランナー溝13dを通ってキャビティ13に充填される。そして、図13に示されるように、半溶融・半凝固金属Mがキャビティ13の全体に行き渡った後、半溶融・半凝固金属Mが成形型2内で冷却されて固化すると、キャビティ13内部にスクロール部材の予備成形体50が成形される。なお、このスクロール部材の予備成形体50には、図2〜4に示されるように、ランナー溝13d内部に形成されたランナー54も含まれている。
【0045】
続いて、型開き工程では、図14に示されるように、可動型11が後方にスライド移動され、可動型11が固定型12から離されて、成形型2が開かれる。なお、このとき、スライド中子5は、スクロール部材の予備成形体50とランナー54との間に挟まった状態で可動型11側へ移動する。また、この型開き工程では、スクロール部材の予備成形体50が固定型12から離れやすいように、ビレット挿入機構6のプランジャー6aが少し押し出される。
【0046】
続いて、スライド中子開放工程では、スライド中子5が初期位置に戻される。つまり、この工程では、2つのスライド中子5が離間し、スクロール部材の予備成形体50が取り出し可能な状態となる。
【0047】
続いて、押出し工程では、図15に示されるように、押出ピン駆動機構7が駆動されてラップ押出ピン3および補助押出ピン9が可動型11の渦巻き溝13a内部およびランナー溝13dのビレット挿入機構側の部分に突出させられ、スクロール部材の予備成形体50が押し出される。なお、スクロール部材の予備成形体50の押出し完了後に、プランジャー6aは、初期位置に戻される。
【0048】
最後に、予備成形体取出し工程では、図16に示されるように、スクロール部材の予備成形体50が成形型2内部から取り出される。なお、このとき、ラップ押出ピン3および補助押出ピン9は、初期状態(図9参照)まで戻される。
【0049】
なお、スクロール部材の予備成形体50は、ランナー54とボス相当部分53との境界部分で切断される。また、スクロール部材の予備成形体50は、その後、機械加工が施されてスクロール部材(完成品)となる。
【0050】
<成形型の特徴>
本実施の形態に係る成形装置1では、受け圧プレート113,123が、200〜300℃の温度で互いが接触したときに固定側中子124と可動側中子114との間に0.05mm以下の隙間が生じるように設計されている。このため、この成形装置1では、可動側中子114と固定側中子124とを接触させることなく固定側中子124と可動側中子114によりキャビティ13を形成することができる。また、この隙間であれば、予備成形体にバリやかえりが生じない。したがって、この成形装置1が利用されれば、中子114,124の寿命を長くすることができる。また、この成形装置1では、成形型連結時の連結圧が受け圧プレート113,123により受けられている。このため、入れ子112,122を交換する必要はなく受け圧プレート113,123を定期的に交換すればよい。このため、予備成形体50製造のコストパフォーマンスを向上させることができる。
【0051】
<変形例>
(A)
先の実施の形態に係る成形装置1ではスライド中子5が利用されたが、スライド中子を一体化した形状を呈する置き中子が利用されてもかまわない。
【0052】
(B)
先の実施の形態に係る成形装置1では片方の型が固定されたが、両方の型が可動となるようにされてもかまわない。
【0053】
(C)
先の実施の形態に係る成形装置1ではスクロール部材の予備成形体50が成形されたが、他の部品の予備成形体が成形されてもかまわない。
【0054】
(D)
先の実施の形態に係る成形装置1では受け圧プレート113,123により成形型2の連結圧を受けたが、受け圧プレート113,123を省き、入れ子112,122で連結圧を受けるようにしてもかまわない。なお、かかる場合、入れ子112,122は、200〜300℃の温度で互いが接触したときに固定側中子124と可動側中子114との間に0.05mm以下の隙間が生じるように設計される必要がある。
【0055】
(E)
先の実施の形態に係る成形装置1では入れ子112,122が配置されていたが、入れ子112,122を省き、主型111,121と中子114,124とにより型11,12を構成してもかまわない。なお、かかる場合、主型111,121は、200〜300℃の温度で互いが接触したときに固定側中子124と可動側中子114との間に0.05mm以下の隙間が生じるように設計される必要がある。
【0056】
(F)
先の実施の形態に係る成形装置1では成形素材として鉄系の半溶融・半凝固金属Mが利用されていたが、鉄系の半溶融・半凝固金属M以外の金属が利用されてもかまわない。なお、かかる場合、固定側中子124と可動側中子114との間の隙間は、その金属の種類や温度によって適宜設定されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明に係る成形部品セットは、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される金型の寿命を延ばすことができるという特徴を有しており、タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される金型を利用した成形品製造に有用である。
【符号の説明】
【0058】
13 キャビティ
111 可動側主型(外周部品)
112 可動側入れ子(外周部品,ブロック体)
113 可動側受け圧プレート(外周部品,プレート体)
114 可動側中子(第1金型)
121 固定側主型(外周部品)
122 固定側入れ子(外周部品,ブロック体)
123 固定側受け圧プレート(外周部品,プレート体)
124 固定側中子(第2金型)
M 半溶融・半凝固金属(半溶融状態または半凝固状態の鉄系金属)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開平7−232254号公報
【特許文献2】特開2001−179420号公報
【特許文献3】特開2004−352584号公報
【特許文献4】特開平6−220566号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成される第1金型(114)と、
タングステン基合金またはモリブデン基合金から形成され、第1金型と対抗するように配置される第2金型(124)と、
所定の温度において前記第1金型の第2金型に対抗する面と前記第2金型の第1金型に対抗する面との間に所定の隙間を生じさせるように前記第1金型および前記第2金型のそれぞれの外周に対抗して配置される少なくとも2つの外周部品(111,112,113,121,122,123)と
を備える成形部品セット。
【請求項2】
前記第1金型と前記第2金型とによって形成されるキャビティ(13)には、半溶融状態または半凝固状態の鉄系金属(M)が供給され、
前記所定の隙間は、200℃〜300℃において0.05mm以下である
請求項1に記載の成形部品セット。
【請求項3】
前記外周部品は、ブロック体(112,122)とプレート体(113,123)とから構成され、
前記プレート体は、互いに対抗するように配置される
請求項1又は2に記載の成形部品セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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