説明

成膜マスク装置、及び電子素子の製造方法

【課題】成膜マスク装置の各ガイドピン、ガイド孔に蒸着粒子が付着しないような手段を得る。
【解決手段】成膜マスク装置Aは、表裏両面に被成膜基板10を保持する複数の第2のガイドピン13b、及びマスク板20の位置決め用の第1のガイドピン13aを有する保持基板13と、各被成膜基板10を間に挟んで保持基板13の表裏両面に添設されるマスク板20と、遮蔽カバー11、15と、を備えた成膜マスク装置である。蔽カバー11、15は、各第1、及び第2のガイドピン13a、13bに対して蒸着粒子の付着を防止する第1、及び第2の凹部11a、11bを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜マスク装置、及び電子素子の製造方法に関し、特にメンテナンスを容易にすることができる成膜マスク装置と、この装置を用いて製造した電子素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗、コンデンサー、圧電振動素子、半導体素子等の数多くの電子部品、それらの複合電子部品や光学部品は、各種の薄膜を巧みに利用して構成されている。被成膜基板に薄膜を形成するには、真空装置の中で蒸着材料を溶解し、成膜マスク装置を用いて所望の薄膜パターンを形成する。被成膜基板の所定の位置に正確なマスクパターンを成膜するために、従来から成膜マスク装置に種々の改良が行われてきた。
【0003】
特許文献1には、ガイドピンによりマスクの位置を整合させる成膜マスク装置が開示されている。成膜マスク装置は、収納穴を有する平板状のスペーサ(中板)と、スペーサ(中板)の下面に密着配置され、収納穴に対応する部分に成膜形成用の下部マスクパターンが形成された下部マスクと、スペーサ(中板)の上面に密着配置され、収納穴に対応する部分に成膜形成用の上部マスクパターンが形成された上部マスクと、を備えている。更に、下部マスクの下面に配置された特定部材の板面に固定される固定ガイドピンと、特定部材の板面に対してスライドするように取り付けられるスライドガイドピンと、を備えている。上部マスク、スペーサ(中板)、下部マスク夫々に形成された貫通孔(ガイド孔)に、固定ガイドピンとスライドガイドピンとを貫通させることにより、スペーサ、上部マスク、及び下部マスクの相互の位置の整合が図られると共に、特定部材(磁石保持下板)に埋設した磁石の磁力により、成膜マスク装置は一体化される。固定ガイドピンは、各マスク、スペーサの位置決めの起点であり、スライドガイドピンは、各マスク、スペーサの熱膨張差による伸縮で生じる平面的な動きに対しスライドするように各スライドガイドピンと各ガイド孔の間に余裕を持たせ、熱膨張による応力が生じるのを防ぎ、各マスク構成体のずれを無くし、位置の整合を維持できるように機能すると、開示されている。
【0004】
特許文献2には、メンテナンスの容易な成膜装置と、そのクリーニング方法が開示されている。成膜装置は、液晶装置の一部となる被成膜基板の表面に無機材料からなる無機配向膜を形成する装置である。成膜装置は、被成膜基板を収容可能であり、その収容した被成膜基板上に無機配向膜を形成可能な成膜室を有する成膜システムと、成膜室内に配置された被成膜基板を保持可能な基板ホルダ、及び基板ホルダを移動させるための基板移動手段と、被成膜基板上に無機配向膜を形成するための材料を供給可能な蒸着源と、蒸着源と基板との間に配置されてスリットを形成するように配置された2つの遮蔽機構からなるマスクと、成膜システムと別の位置に配置されマスクをクリーニング可能なクリーニングガス供給部と、成膜室内に発生した揮発性物質などを排気する排気ポンプと、成膜装置全体の動作を制御する制御装置と、を備えている。
【0005】
マスク部材のスリット近傍に付着した被膜材料を、マスク部材を循環移動手段にて循環させ、適切な位置に移動させた後にクリーニングするため、確実にクリーニングすることができる。したがって、スリットの形状を長期間略同一に保つことができ、長期間メンテナンスを行うことなく成膜を行うことができると開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−63361公報
【特許文献2】特開2008−115418公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された手段では、蒸着を重ねるとガイド孔やガイドピンに電極用の蒸着粒子が堆積し、スペーサ(中板)、下部マスク、上部マスクの組み立てがスムーズに進まず、成膜マスク装置のクリーニングを行わなければならないという問題があった。特に、被成膜基板やマスクを自動装填する場合には、自動機がたびたび停止するという問題があった。
また、特許文献2に開示された手段では、成膜装置が大掛かりであると共に高価になり、製品の単価が増加するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、ガイドピンを覆うように成膜マスク装置を改良することにより、蒸着装置に収容する成膜マスク装置の台数を減少させず、且つ成膜の効率を下げない成膜マスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本発明に係る成膜マスク装置は、複数のピンを備えていて、被成膜基板を保持するための保持基板と、前記ピンに嵌る孔とマスクパターンとを備えているマスク板と、前記ピンを覆っている遮蔽カバーと、を備えていることを特徴とする成膜マスク装置である。
【0010】
この構成によれば、本発明の成膜マスク装置は、ガイドピン(第1、及び第2の)と、ガイド孔(第1、及び第2の)とを遮蔽する遮蔽カバーを備えているので、真空蒸着する際に蒸着粒子の堆積を防ぐことが可能であり、成膜マスク装置のクリーニング回数を大幅に低減できるという効果がある。
【0011】
[適用例2]また成膜マスク装置は、前記遮蔽カバーは前記マスク板と対向する面に前記ピンの先端部を収容する凹部を備えていることを特徴とする成膜マスク装置である。
【0012】
この構成によれば、保持基板とマスク板とからなるマスク積層体を挟むように配置された一対の遮蔽カバーには、マスク積層体と対向する面に複数の第1の凹部と第2の凹部とが形成されており、これが第1、及び第2のガイドピンと、第1、及び第2のガイド孔との上に被さり覆うので、真空蒸着する際に蒸着粒子の堆積を防ぐことができ、成膜マスク装置のクリーニング回数を大幅に低減できるという効果がある。
【0013】
[適用例3]また成膜マスク装置は、前記遮蔽カバーはマスクに対向する面側よりも他方の面側の方が、開口面積が大きい開口部を備えていることを特徴とする成膜マスク装置である。
【0014】
この構成によれば、遮蔽カバーの各開口部には傾斜部が形成されていて、マスクに対向する面側よりも他方の面側の方が、開口面積が大きく形成されているので、蒸着する際にマスク板のマスクパターンに飛来する蒸着粒子を妨害することがないので、マスクパターン数を多く形成することが可能であり、遮蔽カバーを取り付けたことによる蒸着効率の低下を防止できる。
【0015】
[適用例4]また成膜マスク装置は、前記保持基板を保持するための保持具を備えていて、前記遮蔽カバーが、前記遮蔽カバーの厚さ方向に開閉できるように前記保持具に蝶着していることを特徴とする成膜マスク装置である。
【0016】
この構成によれば、保持具の基部腕の回転軸に上下一対の遮蔽カバーが取り付けられているので、V字状に開いた一対の遮蔽カバーを保持基板方向へ押さえるだけで遮蔽カバーのマスク積層体への密着が可能であり、成膜マスク装置の作業効率が大幅に改善できる。
【0017】
[適用例5]また成膜マスク装置は、前記遮蔽カバーを閉じた状態にするためのロック手段を備えていることを特徴とする成膜マスク装置である。
【0018】
この構成によれば、保持基板に被成膜基板とマスク板とを搭載して構成されるマスク積層体を保持具のガイド腕に挿入し、且つ奥まで押しつけることによりマスク積層体を保持具にロックできるので、作業効率が大幅に向上するという効果がある。
【0019】
[適用例6]本発明に係る電子素子の製造方法は、適用例1乃至5の何れか一項に記載した成膜マスク装置を用いた電子素子の製造方法であって、前記保持基板に前記被成膜基板を搭載する工程と、前記被成膜基板を搭載する工程の後に、前記ピンを前記孔内に嵌合させつつ前記マスク板を搭載する工程と、前記マスク板を搭載する工程の後、前記ピンに対して金属粒子が付着することを防止するように遮蔽カバーを配置する工程とを含んでいることを特徴とする電子素子の製造方法である。
【0020】
この製造方法によれば、大型の被成膜基板(ウエハー)への成膜が可能であると共に、被成膜基板の装填とマスク板の装填とが自動化される。更に、保持具と遮蔽カバーとを有する保持装置の遮蔽カバーをV字状に開いた状態で、ガイド腕にマスク積層体を挿入し、
V字状に開いた遮蔽カバーを閉じて、保持具の一端寄りに押し付けることによりロック装置が働き、ことにより、成膜マスク装置を構成することができるので、成膜マスク装置にかける時間が大幅に短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る成膜マスク装置の構成を示す分解斜視図。
【図2】成膜マスク装置の要部の分解拡大斜視図。
【図3】(a)は遮蔽カバーの裏面の斜視図であり、(b)は遮蔽カバーの表面の斜視図あり、(c)は傾斜部を示す断面図。
【図4】保持具の構成を示す斜視図。
【図5】成膜マスク装置に被成膜基板を実装したときの要部の拡大断面図。
【図6】成膜マスク装置の構成を示す斜視図。
【図7】(a)は音叉型振動素子が複数形成された被成膜基板の平面図であり、(b)はこの被成膜基板に錘電極を形成した平面図であり、(c)は個片に分割した音叉型振動素子の平面図。
【図8】第2の実施形態に係る成膜マスク装置の構造を示す概略分解斜視図。
【図9】被成膜基板を実装した成膜マスク装置の要部の拡大断面図。
【図10】(a)は成膜マスク装置を用いて形成した圧電振動素子の平面図であり、(b)は容器に収容した圧電振動子の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る成膜マスク装置Aの構成を示す分解斜視図である。成膜マスク装置Aは、被成膜基板を保持、搭載する保持基板13と、被成膜基板に所定の成膜パターンを形成するためのマスク板20と、保持基板13を保持する保持具17と、保持具17に取り付けられた上下一対の遮蔽カバー11、15と、を備えている。
図1の円S1で示す部分を拡大表示したのが図2に示した斜視図である。保持基板13は、表裏面に夫々直交して突設された複数の第1のガイドピン13a、及び第2のガイドピン13bを有している。図1に示す実施形態例では、第1のガイドピン13aは、保持基板13の幅方向の中心線C1に沿って、保持基板13の長手方向両端部寄り部位と、中央部に夫々設けられている。第1のガイドピン13aは、保持基板13上におけるマスク板20の位置決め用であり、図1の実施形態では片面3本の第1のガイドピン13aで一枚のマスク板20の位置決めをしている。つまり、保持基板13には両面で6本の第1のガイドピン13a突設されている。各第1のガイドピン13aをマスク板側の第1のガイド孔20a内に嵌合することにより位置決めが行われる。
第2のガイドピン13bは、保持基板13の面上における被成膜基板10の位置決め用であり、複数の第2のガイドピン13bによって包囲形成された包囲空間に被成膜基板10を収容する。図2に示す実施形態例では8本の第2のガイドピン13bにより、一枚の被成膜基板10の位置決めをしている。つまり、8本の第2のガイドピン13bは被成膜基板10の外周輪郭に沿って配置されており、各第2のガイドピンにより包囲形成された略四角い包囲空間内に一枚の四角い被成膜基板10を自動機で装填し、収容する。図1の実施形態に係る成膜マスク装置Aでは、このような第2のガイドピンにより形成される包囲空間が片面に8箇所設けられており、片面上の各包囲空間内に8枚の被成膜基板10を収容し、両面では16枚の被成膜基板10を収容する。
【0023】
マスク板20は、複数のマスクパターン21と、複数の第1のガイド孔20a、第2のガイド孔20bとを有している。図1、図2に示す実施形態例では第1のガイド孔20aは、各第1のガイドピン13aに対応して、マスク板20の幅方向の中心線C2に沿ってマスク板20の長手方向両端部寄り部位と、中央部に夫々設けられている。従って、各第1のガイド孔20aには、各第1のガイドピン13aが嵌合する。また、第2のガイド孔20bは、第2のガイドピン13bに対応して設けられ、一枚の被成膜基板10に対し、8個の第2のガイド孔20bが設けられ、一枚のマスク板20では64個の第2のガイド孔20bが形成されている。
マスク板20は、保持基板13の表裏に夫々添設され、第1のガイド孔20aは第1のガイドピン13aに嵌合可能に構成されており、第2のガイド孔20bは第2のガイドピン13bに嵌合可能に構成されている。成膜マスク装置Aは、保持基板13の表裏面に各1枚のマスク板20を添設し、保持基板13に埋設した複数の磁石により磁性体から成るマスク板20を保持基板13に密着させ、被成膜基板10の脱落を防止している。
【0024】
第1、及び第2のガイドピン13a、13bの頭部は、被成膜基板10、又はマスク板20を自動装置により保持基板13に装填するのに便利なようにテーパー状(先細り状)に形成されている。保持基板13の表裏面に夫々設けた第2のガイドピン13bが包囲形成する包囲空間内に被成膜基板10をはめ込んで収容した状態で、被成膜基板10を保持基板13との間で挟むようにマスク板20を積層する。この際、第1のガイドピン13aをマスク板20の第1のガイド孔20aに夫々挿入、嵌合させることにより、各部材間の位置決め、保持が確実となる。なお、保持基板13、被成膜基板10、及びマスク20は、マスク積層体19を構成している。
保持具17は、マスク積層体19を保持する手段であり、平行な二本のガイド腕17a、17bと、各ガイド腕の基端部間を連設一体化する基部腕17cと、を有している。
このマスク積層体19は、保持具17の二本のガイド腕17a、17bの対向面に夫々形成された凸部(突条)に沿って挿入されることにより、保持具17によって保持される。
各遮蔽カバー11、15は同一の形状、構造、サイズであり、基部腕17cに対して保持具17の厚み方向に対し対称に取り付けられている。つまり、遮蔽カバー11、15のマスク積層体19と対面する側には、第1のガイドピン13a、第2のガイドピン13bに対応する第1の凹部11a、第2の凹部11bが形成され、遮蔽カバー11、15がマスク積層体19の表裏両面に対して夫々近接して閉じられ、密着されると、第1、及び第2のガイドピン13a、13b、及び第1、及び第2のガイド孔11a、11bを覆うように構成されている。
【0025】
図2は、保持基板13の表面に被成膜基板10と、マスク板20とを搭載する際の位置関係を示す斜視図である。図2では一方の面(表面)のみを示しているが、他方の面(裏面)にも保持基板13の厚み方向の中心線に対して対称に、被成膜基板10とマスク板20とが搭載される構造となっている。保持基板13は金属製、例えばステンレス製の矩形平板であり、長手方向の両側面に溝13cが形成されている。この溝13cは、保持具17の両ガイド腕17a、17bに形成された凸部に沿って挿入されるように形成されている。
保持基板13の両主面には幅方向の中央線C1に沿って第1のガイドピン13aが複数個(図1の実施形態例では片面に3個)突設されている。第1のガイドピン13aの頭部には夫々先細りのテーパー部が付けられている。また、保持基板13の両主面には被成膜基板10の位置決め用の複数の第2のガイドピン13bが突設されている。図1に示す成膜マスク装置Aの例では、矩形状の被成膜基板10の四つの角部のうちの各一つの角部に対応させて、2個ずつの第2のガイドピン13bを配設している。つまり8個の第2のガイドピン13bによって包囲形成された包囲空間に矩形状の被成膜基板10を一枚ずつ収容する構成になっている。保持基板13の片面には幅方向中心線C1の両側には夫々ガイドピン13bによる4つの包囲空間が設けられている。つまり、保持基板13の片面に8つの包囲空間、両面では合計16個の包囲空間が形成され、16枚の被成膜基板10が搭載できる。
【0026】
被成膜基板10には、何も付着していない基板を用いる方が一般的であるが、本例では被成膜基板10をフォトリソグラフィ技法とエッチング手法を用いて任意の形状、構造に加工したものを用いる。即ち、ここでは、大サイズの水晶ウエハー(Z板)に多数の音叉型水晶基板(外形)を所定のピッチで形成し、真空蒸着装置の中でこれらの音叉型水晶基板に対して、下地電極膜にクロム(Cr)、その上に金(Au)の電極膜を積層して、励振電極、リード電極を構成したウエハー(図7(a)に一例を示す)を被成膜基板10として用いる例を説明する。つまり、ここで説明する成膜マスク装置は、音叉型水晶素子に周波数調整用の錘電極を形成する手段として用いられる。図2に示す被成膜基板10は矩形平板状の基板を示しているが、音叉型水晶素子を形成する場合には図7(a)に示すような被成膜基板10を用いる。
【0027】
マスク板20は、矩形の金属製薄板(例えばはステンレス製)であり、幅方向の中心線C2に沿って、保持基板13上に突設する第1のガイドピン13aに対応する位置に第1のガイド孔20aが形成されている。また、保持基板13上に突設する第2のガイドピン13bに対応する位置に第2のガイド孔20bが形成されている。マスク板20の第1、及び第2のガイド孔20a、20bは、保持基板13上に突設する第1、及び第2のガイドピン13a、13bに嵌合(挿入)可能に構成され、保持基板13に表裏面に複数埋設した小型磁石の磁力により保持基板13側に密着され、被成膜基板10の脱落を防いでいる。
1つの被成膜基板10の各角部を包囲するように形成された8つの第2のガイド孔20bの包囲する面内には複数のマスクパターン21が形成されており、このマスクパターン21を通して、被成膜基板10の所定の位置に金(Au)の錘電極が成膜される。
【0028】
図3は遮蔽カバー11、15の構成を示す斜視図であり、遮蔽カバー11、15は同じ構造を有している。図3(a)は成膜マスク装置Aの裏面側に取り付けられる遮蔽カバー11であり、マスク積層体19と対向する面を示している。図3(b)は成膜マスク装置Aの表面側に取り付けられる遮蔽カバー15であり、マスク積層体19と対向しない外側面を示している。遮蔽カバー11、15は、成膜マスク装置Aの厚み方向の中心面に対し、対称に取り付けられている。
遮蔽カバー11、15は夫々所定の配列で配置された複数の開口部11d、15dを有し、図3に示す実施形態例では遮蔽カバー11、15の幅方向の中心線C1、C2に沿って両側に夫々4個の開口部11d、15dが形成されている。つまり、遮蔽カバー11、15には夫々8個の開口部11d、15dが形成されている。また、各開口部11d、15dの内側周縁には中央より外に向かって厚みが漸増する傾斜部11e、15eが形成されている。図3(c)は、同図(b)の破線円S3で示す部分の拡大断面図である。開口部15dの各辺には開口部15dの内側から外側に向かって、図3(c)に示す傾斜部15eが形成されている。
傾斜部11e、15eは、真空装置の中で成膜マスク装置Aに成膜用材料を蒸着するときに、蒸着粒子の飛行する方向を遮らないように形成されたものであり、成膜を均一に形成するように設けられている。
【0029】
遮蔽カバー11、15には、マスク積層体19と対向する面に第1の凹部11a(15a)と第2の凹部11b(15b)が形成されている。図3(b)では遮蔽カバー15の表面(外側面)が示されており、裏面(内側面)に形成された第1の凹部15aと第2の凹部15bは図示されていない。第1の凹部11a(15a)は、遮蔽カバー11(15)の幅方向の中心線C1(C2)に沿って形成されている。図3(a)の実施形態例では中心線C1に沿って、遮蔽カバー11の両端寄りと中央部に第1の凹部11aが形成され、この位置は保持基板13の第1のガイドピン13aに対応する位置である。また、保持基板13の第2のガイドピン13bに対応して、遮蔽カバー11(15)に第2の凹部11b(15b)が複数個形成されている。遮蔽カバー11、15が保持具17に装着され、閉じられた際に、第1、及び第2の凹部11a(15a)、11b(15b)が、各ガイド孔20a、20bから突出した先端部を覆うように構成されている。遮蔽カバー11、15には、長手方向の一方の端部に複数の貫通孔11c、15cが形成されており、これらの貫通孔11c、15cは、保持具17に取り付けるときに用いられる。なお、保持具17に遮蔽カバー11、15を取り付けたものを、保持装置18と称する。
【0030】
図4は保持具17の構成を示す斜視図である。保持具17は、保持基板13の対向する2つの長辺を夫々保持する2つのガイド腕17a、17bと、2つのガイド腕17a、17bの基端部間を連結する基部腕17cと、各ガイド腕17a、17bの基部腕17cと反対側の先端部(自由端部)に設けた各ロック装置17dと、を有している。各ロック装置17dは各ガイド腕17a、17bに沿って基端部方向にスライドし、各ガイド腕17a、17bに積層体19を挿入し、遮蔽カバー11、15を手動で閉じた後、一端部まで押しこむと、押し込まれた状態でロックするように構成されている。また、基部腕17cは、上下方向に配置された2つの上部基部片17e1、下部基部片17e2と、2つの基部片17e1、17e2を開閉自在に連結する中心軸17fと、を有し、中心軸17fに対して2つの基部片17e1、17e2が上下対称、且つ回動自在に取り付けられ、中心軸17fを中心に開閉するように構成されている。
【0031】
また、一対の上部基部片17e1、下部基部片17e2には、夫々連通する貫通孔17hが形成され、上部基部片17e1の内側に遮蔽カバー15の一端部を挿入し、上部基部片17e1の貫通孔17hと遮蔽カバー15の貫通孔15cを連通させた状態で、ねじ等で固定する。同様に下部基部片17e2の内側に遮蔽カバー11の一端部を挿入して、下部基部片17e2の貫通孔17hと遮蔽カバー11の貫通孔11cを連通させた状態でねじ等で固定する。つまり、貫通孔15cが形成された側の遮蔽カバー15の一端部の上に上部基部片17e1を載置し、貫通孔17hと貫通孔15cとをねじ等で固定する。同様に貫通孔11cが形成された側の遮蔽カバー11の一端部の下に下部基部片17e2を位置合わせし、貫通孔17hと貫通孔11cとをねじ等で固定する。上部基部片17e1と、下部基部片17e2とは、中心軸17fにより回動可能な状態で支持されているので、遮蔽カバー11、15は保持具17の厚み方向に開閉可能である。
【0032】
図5は、被成膜基板10が装填された成膜マスク装置Aの短辺方向であって基部腕17cと反対側の端部における要部拡大断面図(図2のQ−Q断面図に相当する)である。保持基板13の表裏両面に突設された第2のガイドピン13bによって包囲形成された空間に被成膜基板10が収容され、被成膜基板10に重ねて、第1のガイドピン13aを案内としてマスク板20の第1のガイド孔20aが嵌合され、積層されてマスク積層体19が構成される。表裏のマスク板20は、保持基板13に埋設された磁石の磁力により保持基板13に保持される。マスク積層体19は、保持具17によって保持された遮蔽カバー11、15間に挟まれて保持される。即ち、保持装置18の遮蔽カバー11、15を閉じることにより、マスク積層体19の表裏両面に遮蔽カバー11、15が密着し、第1、及び第2の凹部11a、11bによって、マスク積層体19の表裏両面から外部に向かって突出する第1、及び第2のガイドピン13a、13bの頭部が覆われる。このため、被成膜基板10に電極膜を蒸着する際に、蒸着粒子が第1、及び第2のガイドピン13a、13b、第1、及び第2のガイド孔20a、20bに付着することを防ぐことができる。
【0033】
図6は、成膜マスク装置Aを使用するときの手順を示す斜視図である。始めに、保持基板13の表裏に突設する第2のガイドピン13bによって包囲形成された包囲空間に被成膜基板10を収容し、被成膜基板10に重ねて第1のガイドピン13aを案内としてマスク板20の第1のガイド孔20aを嵌合してマスク積層体19を構成する。次に、このマスク積層体19を矢印Y1で示すように、遮蔽カバー11、15がV字状に開いた保持装置18の2つのガイド腕17a、17bの凸部に、マスク積層体19の溝13cを挿入する。次に、矢印Y2で示すように、V字状に開いた遮蔽カバー11、15を手動で閉じ、これを奥まで押し込んでロック装置17dを働かせることにより、マスク積層体を各ガイド腕に固定して、成膜マスク装置を構成する。また、円S2で示すロック装置17dの拡大図を右上部の楕円S2’に示す。
【0034】
図1〜図6に示すように、本発明に係る実施形態の成膜マスク装置は、第1、及び第2のガイドピン13a、13bと第1、及び第2のガイド孔20a、20bとを遮蔽カバーにより覆うようにしているので、真空蒸着する際に蒸着粒子の堆積を防ぐことが可能であり、成膜マスク装置Aのクリーニング回数を大幅に低減できるという効果がある。
また、図1〜図6に示す実施形態の成膜マスク装置Aは、保持基板13を挿入する保持具17に上下一対の遮蔽カバー11、15が開閉自在に取り付けられているので、第1、及び第2のガイドピン13a、13bと第1、及び第2のガイド孔20a、20bを遮蔽カバー11、15が覆うので、真空蒸着する際に蒸着粒子の堆積を防ぐことが可能であり、成膜マスク装置Aのクリーニング回数を大幅に低減できるという効果がある。
また、図1、図3(a)に示すように、マスク積層体19を挟むように配置された一対の遮蔽カバー11、15には、マスク積層体19と対向する面に複数の第1の凹部11aと第2の凹部11bとが形成されており、これが第1、及び第2のガイドピン13a、13bと、第1、及び第2のガイド孔20a、20bと、の上に被さり覆うので、真空蒸着する際に蒸着粒子の堆積を防ぐことが可能であり、成膜マスク装置Aのクリーニング回数を大幅に低減できるという効果がある。
【0035】
図3(b)、(c)に示すように、遮蔽カバー15の各開口部15dには傾斜部15eが形成されているので、蒸着する際に、成膜マスク装置Aの主面に対し斜め方向から飛来する蒸着粒子に対しても、付着を妨害することがないので、マスクパターン21の数を多く形成することが可能であり、遮蔽カバー11、15を取り付けたことによる蒸着の効率を下げることがないという効果がある。
図6に示すように、保持基板13に被成膜基板10とマスク板20とを搭載して構成されるマスク積層体19を、保持具17のガイド腕17a、17bに挿入し、且つ奥まで押しつけることにより、マスク積層体19を保持具17にロックできるので、作業効率が大幅に向上するという効果がある。
図4、図6に示すように、保持具17の基部腕17cの回転軸17fに上下一対の遮蔽カバー11、15が取り付けられているので、V字状に開いた一対の遮蔽カバー11、15を保持基板13に向かって閉じて押さえるだけで、遮蔽カバー11、15のマスク積層体19への密着が可能であり、成膜マスク装置Aの作業効率が大幅に改善できるという効果がある。
【0036】
図7は錘付き音叉型圧電振動素子10aを説明する平面図である。図7(a)は、フォトリソグラフィ技法とエッチング手法を用いて、水晶Z板をエッチング液(フッ化水素酸(フッ酸)とフッ化アンモニウムとの混合液)に浸漬してエッチング加工し、外形が音叉状に加工された基板が支持片で多数連結された水晶ウエハーを構成する。このウエハーを真空蒸着装置の中で蒸着することにより、下地電極膜にクロム(Cr)を成膜し、その上に重ねて金(Au)の電極膜を積層して、励振電極、リード電極、パッド電極を形成して成膜ウエハーを構成する。この成膜ウエハーを本発明の説明では被成膜基板10として用い、図6で説明したように成膜マスク装置に被成膜基板10を収容して、被成膜基板10に図7(b)に示すように、錘電極10gを成膜する。
【0037】
周知のように、音叉型圧電基板は、図7(c)に示すように、互いに並行(平行)して直線状に延びる細幅帯状の2本の振動腕10b、10cと、各振動腕10b、10cの一方の端部(基端部)間を連接する基部10dと、が一体形成されている。励振電極は、2本の振動腕10b、10cに屈曲振動が励振され、且つ音叉型圧電基板の中心軸に対し対称なモードが励振されるように形成されている。音叉型圧電振動素子の周波数を大気中で粗調整し、容器に収容して内部を真空にすると、調整した周波数が変化する。そこで、周波数変化の大きな部位である音叉型圧電振動素子の基部10dと反対側の先端部に、金(Au)の錘電極10gを予め成膜し、音叉型圧電振動素子の周波数を所定の周波数より、下げておく。容器に収容した音叉型圧電振動子に対し、容器の窓を通して錘電極10gにレーザー光線を照射して、錘電極10gの一部を蒸散させ、所定の周波数に調整する周波数調整法が一般的に用いられている。
【0038】
図8は、本発明に係る第2の実施形態の成膜マスク装置Bの構成を示す分解斜視図である。成膜マスク装置Bは、被成膜基板(図面の下部に表示)10を収容する複数の収容穴35bを有した中板35と、中板35の裏面に添設されマスクパターン33bを有するマスク下板33と、中板35の表面に添設されマスクパターン37bを有するマスク上板37と、積層されたマスク上板37、中板35、マスク上板33を、上下両面から挟むマスク保持上板39及びマスク保持下板31と、を備えている。
中板35は、矩形の金属製平板(例えばステンレス製薄板)35aにエッチング加工を施したものであり、被成膜基板10を収容する複数の収容穴35bと、ガイドピン32が嵌合可能な複数のガイド孔35cと、を有している。マスク下板33は、矩形の金属製平板33aにエッチング加工で形成された、複数のマスクパターン33bと複数のガイド孔33cと、を有している。マスク下板33は、中板35の裏面に添設され、各マスクパターン33bの配置位置は、各収容穴35bに対応するように形成されている。マスク上板37は、矩形の金属製平板37aにエッチング加工で形成された、複数のマスクパターン37bと複数のガイド孔37cと、を有している。マスク上板37は、中板35の表面に添設され、各マスクパターン37bの配置位置は、各収容穴35bに対応するように形成されている。
【0039】
マスク保持下板31は、矩形平板状の金属板31aの中央部に金属板31aの中心線C1に対し対称な2つの開口部31bを有すると共に、金属板31aの4つの角隅部には夫々金属板31aの主面と直交するガイドピン32が突設されている。マスク保持上板39は、矩形平板状の金属板39aの中央部に、金属板39aの中心線C2に対し対称な2つの開口部39bを有すると共に、金属板39aの4つの角隅部には夫々各ガイドピン32に対応する凹部39cが形成されている。
図9は、第2の実施形態の成膜マスク装置Bの要部拡大断面図である。マスク保持下板31の表面に重ね各ガイドピン32に案内されて、マスク下板33のガイド孔33cを嵌合させて積層し、続いてマスク下板33の表面に、ガイドピン32に案内されて中板35のガイド孔35cを嵌合させて、マスク下板33に中板35を積層する。次いで、中板35の各収容穴35bに被成膜基板10を装填し、中板35の表面にガイドピン32に案内されてマスク上板37のガイド孔37cを嵌合させて中板35にマスク上板37を積層する。マスク上板37の表面に重ね、ガイドピン32に案内されてマスク保持上板39の凹部39cを嵌合して、成膜マスク装置Bを構成する。
【0040】
マスク保持下板31に突設されるガイドピン32の頭部にはテーパー部が付けられており、ガイドピン32にガイド孔33c、35c、37cが嵌合するように構成されている。また、マスク保持上板39の裏面にはガイドピン32に対応して凹部39cが形成されている。凹部39cの形状はガイドピン32の先端形状に整合させて台形に形成されている。これは蒸着粒子が付着しないように、隙間をできる限り無くすようにするためである。
【0041】
図8に示すように、マスク保持下板31に突設されたガイドピン32に対応して、マスク保持上板39のマスク保持下板31に対向する面に凹部39cが形成されており、この凹部39cがガイドピン32の頭部を覆うので、真空蒸着する際に蒸着粒子の堆積を防ぐことが可能であり、成膜マスク装置Bのクリーニング回数を大幅に低減できるという効果がある。
【0042】
図1に示す成膜マスク装置を用いた電子素子の製造方法について説明する。
始めに、保持基板13の表面に突設された第2のガイドピン13bによって包囲形成された包囲空間内に被成膜基板10を自動装填機を用いて装填する。次に、保持基板13に搭載された被成膜基板10に重ねて、第1のガイドピン13aを案内としてマスク板20の第1のガイド孔20aを嵌合させてマスク板20を自動装填する。保持基板13に埋設した磁石の磁力により、マスク板20は保持基板13に保持される。
次に、被成膜基板10とマスク板20を搭載した保持基板13を反転し、保持基板13の表面となった第2のガイドピン13bによって包囲形成された包囲空間内に被成膜基板10を自動装填機を用いて装填する。次に、保持基板13に搭載された被成膜基板10に重ねて、第1のガイドピン13aを案内としてマスク板20の第1のガイド孔20aを嵌合させてマスク板20を自動装填する。このマスク板20も保持基板13に埋設した磁石の磁力により、保持基板13に保持される。保持基板13の表裏両面に被成膜基板10とマスク板20と搭載して構成したマスク積層体19を、保持具17のガイド腕17a、17bの各凸部に保持基板13の溝13cを合わせて挿入する。次に、マスク積層体19が挿入された保持装置18の蔽カバー11、15をマスク積層体19の方へ閉じて、成膜マスク装置Aを構成する。次に、成膜マスク装置Aを蒸着装置に入れ、真空中で成膜マスク装置Aの両面に電極膜を蒸着する。蒸着装置から成膜マスク装置Aを取りだし、被成膜基板10を個片に分割して電子素子、例えば音叉型圧電振動素子を得る。この電子素子(音叉型圧電振動素子)を容器に収容して、電子部品を完成する。
上記では電子素子の製造方法を説明したが、光学素子もこの範疇に入るものとする。
【0043】
以上の製造方法によれば、大型の被成膜基板(ウエハー)10への成膜が可能であると共に、保持基板13に対し被成膜基板10の装填と、マスク板20の装填とが自動化されて、自動でマスク積層体19が構成される。更に、遮蔽カバー11、15がV字状に開いた保持装置18のガイド腕17a、17bにマスク積層体19を挿入し、基部腕17cの方へ押し付けることによりロック装置17dが働き、V字状に開いた遮蔽カバー11、15を閉じて、成膜マスク装置Aを構成することができるので、成膜マスク装置Aにかける時間が大幅に短縮できるという効果がある。
【0044】
図10(a)は、図8の成膜マスク装置Bを用いて被成膜基板(圧電基板)10に励振電極42a、42bと、該振電極42a、42bから圧電基板10の端部に向けて延在するリード電極44a、44bとを形成した圧電振動素子40の平面図である。図10(b)は容器、例えばセラミックパッケージのパッド電極に導電性接着剤を塗布し、この導電性接着剤の上に圧電振動素子40を載置し、軽く押さえてから乾燥器の中で導電性接着剤を硬化させて圧電振動素子40を固定する。容器の上部周縁に焼成したシールリングに蓋体を溶接して圧電振動子を完成する。
また、図1の成膜マスク装置Aを用いて図7(c)に示すような音叉型圧電振動素子10aを構成する。音叉型圧電振動素子10aの場合は、円筒状のステムに導電性接着剤を用いて接着固定し、円筒状のキャップを被せて真空中でかしめ封止して、音叉型圧電振動子を構成してもよいし、セラミックパッケージに収容し、ガラス製の蓋体を用いてセラミックパッケージを真空封止し、レーザー光で周波数の微調ができるように構成してもよい。
【0045】
上記の製造法を用いて電子素子を構成すると、成膜マスク装置Aに掛ける時間が短縮できると共に、大型の被成膜基板10にも対応できる。更に成膜マスク装置Aのクリーニングの回数を低減できるので、電子素子(例えば音叉型圧電振動素子)10aの製造コストを低減できるという効果がある。
上記の電子素子(例えば音叉型圧電振動素子)10aを円筒状の容器に収容して構成することにより、製造コストを低減できるという効果がある。
【符号の説明】
【0046】
10…被成膜基板、10’ …成膜基板、10a…音叉型圧電振動素子、11、15…遮蔽カバー、11a…第1の凹部、11b…第2の凹部、11c、15c…貫通孔、11d、15d…開口部、11e、15e…傾斜部、13…保持基板、13a…第1のガイドピン、13b…第2のガイドピン、17…保持具、17a、17b…ガイド腕、17c…基部腕、17d…ロック装置、17e1…上部基部片、17e2…下部基部片、17f…回転軸、18…保持装置、19…マスク積層体、20…マスク板、20a…第1のガイド孔、20b…第2のガイド孔、21…マスクパターン、31…マスク保持下板、31b、39b…開口部、32…ガイドピン、33…マスク下板、33a、35a、37a…金属平板、33b、37b…マスクパターン、33c、35c、37c…ガイド孔、35…中板、35b…収容穴、37…マスク上板、39…マスク保持上板、39c…凹部、40…圧電振動素子、42a、42b…励振電極、44a、44b…リード電極、45…容器、A、B…成膜マスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のピンを備えていて、被成膜基板を保持するための保持基板と、
前記ピンに嵌る孔とマスクパターンとを備えているマスク板と、
前記ピンを覆っている遮蔽カバーと、
を備えていることを特徴とする成膜マスク装置。
【請求項2】
前記遮蔽カバーは前記マスク板と対向する面に前記ピンの先端部を収容する凹部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の成膜マスク装置。
【請求項3】
前記遮蔽カバーはマスクに対向する面側よりも他方の面側の方が、開口面積が大きい開口部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜マスク装置。
【請求項4】
前記保持基板を保持するための保持具を備えていて、
前記遮蔽カバーが、前記遮蔽カバーの厚さ方向に開閉できるように前記保持具に蝶着していることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の成膜マスク装置。
【請求項5】
前記遮蔽カバーを閉じた状態にするためのロック手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の成膜マスク装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載した成膜マスク装置を用いた電子素子の製造方法であって、
前記保持基板に前記被成膜基板を搭載する工程と、
前記被成膜基板を搭載する工程の後に、前記ピンを前記孔内に嵌合させつつ前記マスク板を搭載する工程と、
前記マスク板を搭載する工程の後、前記ピンに対して金属粒子が付着することを防止するように遮蔽カバーを配置する工程と、
を含んでいることを特徴とする電子素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−104091(P2013−104091A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248282(P2011−248282)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】