説明

成膜装置および成膜方法

【課題】成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を行なう。
【解決手段】成膜装置100は、被処理基板60に対向するように配置される二流体スプレーノズル10と、二流体スプレーノズル10に原料溶液24を供給する溶液供給手段20と、二流体スプレーノズル10に噴霧エア34を供給するエア供給手段30と、エア供給手段30と二流体スプレーノズル10との間に配置される噴霧エア流量調整手段40とを備え、原料溶液24および噴霧エア34が二流体スプレーノズル10の内部で混合された状態で二流体スプレーノズル10から被処理基板60に向かって微粒子化されて吹き付けられることにより被処理基板60に対して成膜処理が行なわれ、エア供給手段30からの噴霧エア34は、噴霧エア流量調整手段40によって所定の流量に調整された状態で二流体スプレーノズル10に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置および成膜方法に関し、特に、スプレー熱分解法を使用して被処理基板上に機能性薄膜を形成する成膜装置および成膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吸収した太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池、および、バックライト光源からの光を透過させる液晶表示素子などには、透明電極が用いられる。透明電極は、透明性および導電性を有する透明導電膜から形成され、透明導電膜は機能性薄膜として動作することができる。透明導電膜の材料としては、酸化インジウム・スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO:Fluorine doped Tin Oxide)、または、アルミニウム若しくはガリウムがドーピングされた酸化亜鉛等が用いられる。
【0003】
ITO膜は、比抵抗が低く、エッチング加工を容易に行なうことができるため、液晶表示素子の透明電極として広く用いられている。ITO膜の形成に用いられるインジウムは、資源調達上の制約があるため一般的に高価である。FTO膜は、ITO膜に比べて比抵抗が高いものの、耐熱性に優れ、資源調達上の制約も小さいため、太陽電池の透明電極として広く用いられている。アルミニウムまたはガリウムをドーピングした酸化亜鉛は、安価ではあるが、ITO膜およびFTO膜に比べて比抵抗が高いため、使用される分野が限られている。
【0004】
透明導電膜等の成膜方法としては、スパッタ法、蒸着法、熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、および、スプレー熱分解法などが知られている。スパッタ法を用いる場合、成膜処理は減圧雰囲気下で実施される必要がある。スパッタ法を使用した成膜処理は、十分な減圧雰囲気を形成するための装置コストが高額になり、製造コストも高額になる。
【0005】
熱CVD法およびスプレー熱分解法を用いた成膜方法においては、成膜処理は、減圧雰囲気下で実施される必要がなく、常圧雰囲気下で行なうことができる。しかしながら、熱CVD法を用いて成膜処理を行う場合、原料ガスとして毒性の強い特殊高圧ガスが用いられる。熱CVD法を使用した成膜処理は、安全性を確保するための装置コストが高額になり、製造コストも高額になる。
【0006】
一方で、スプレー熱分解法の場合、常圧雰囲気下で成膜処理を行なうことができるとともに、特殊高圧ガスが用いられることもない。スプレー熱分解法においては、加熱された被処理基板上に原料溶液のミスト(微粒子化された原料溶液)が吹き付けられる。原料溶液中に含有される溶質の熱分解作用および化学反応作用によって、被処理基板上に薄膜が形成される。スプレー熱分解法によれば、安全な原料溶液が用いられるとともに、常圧雰囲気下での成膜処理を行なうことが可能であるため、成膜装置を簡素かつ安価に構成することができる。
【0007】
スプレー熱分解法を開示する文献としては、特開2001−259494号公報(特許文献1)、特開2008−119634号公報(特許文献2)、および、特開2007−144297号公報(特許文献3)などが知られている。
【0008】
特開2001−259494号公報(特許文献1)には、超音波振動子により霧化された原料溶液を被処理基板に吹き付けることによって、被処理基板上に薄膜を形成する薄膜形成方法に関する発明が開示されている。同文献は、この薄膜形成方法によれば、均一な膜厚および安定した特性を有する薄膜を被処理基板上に形成することができると述べている。
【0009】
特開2008−119634号公報(特許文献2)には、被処理基板の一面に向けて原料溶液からなるミストを噴霧する吐出手段を備え、この吐出手段が、ミストの面速を調整するミスト制御手段を有する成膜装置に関する発明が開示されている。同文献は、この成膜装置によれば、複雑な駆動制御を構成したり、設備を大きくしたりすることなく面積の大きな被処理基板に対して均一にミストを噴霧して、均一な膜厚を有する薄膜を被処理基板上に形成することができると述べている。
【0010】
特開2007−144297号公報(特許文献3)には、加熱保持された被処理基板の上方に二流体スプレーノズルを配置し、原料溶液を被処理基板に向けて間欠噴霧するという成膜方法に関する発明が開示されている。同文献は、この成膜方法によれば、均一な膜厚を有する薄膜を被処理基板上に形成することができると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−259494号公報
【特許文献2】特開2008−119634号公報
【特許文献3】特開2007−144297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特開2007−144297号公報(特許文献3)に開示される成膜方法のように、二流体スプレーノズルを用いて成膜処理を行なう場合、二流体スプレーノズルの内部においては、ミスト流路を形成する管壁(配管の内壁)が原料溶液として用いられる腐食性流体によって摩耗したり、溶質が析出することによってミスト流路(配管の内部)に目詰まりが生じたりする場合がある。この場合、磨耗または目詰まり等に起因してミスト流路の流路抵抗が経時的に変化し、これに伴い成膜レートに変動が生じることによって、均一な膜厚および安定した特性を有する薄膜を形成することが困難となる。
【0013】
本発明は、二流体スプレーノズルの内部に流路抵抗が変化するような事象が生じた場合であっても、成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を行なうことが可能な成膜装置および成膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のある局面に基づく成膜装置は、被処理基板に対向するように配置される二流体スプレーノズルと、上記二流体スプレーノズルに原料溶液を供給する溶液供給手段と、上記二流体スプレーノズルに噴霧エアを供給するエア供給手段と、上記エア供給手段と上記二流体スプレーノズルとの間に配置される噴霧エア流量調整手段と、を備え、上記溶液供給手段からの上記原料溶液および上記エア供給手段からの上記噴霧エアが上記二流体スプレーノズルの内部で混合された状態で上記二流体スプレーノズルから上記被処理基板に向かって微粒子化されて吹き付けられることにより上記被処理基板に対して成膜処理が行なわれ、上記エア供給手段からの上記噴霧エアは、上記噴霧エア流量調整手段によって所定の流量に調整された状態で上記二流体スプレーノズルに供給される。
【0015】
本発明の他の局面に基づく成膜装置は、被処理基板に対向するように配置される複数の二流体スプレーノズルと、複数の上記二流体スプレーノズルに原料溶液をそれぞれ供給する溶液供給手段と、複数の上記二流体スプレーノズルに噴霧エアをそれぞれ供給するエア供給手段と、上記エア供給手段と複数の上記二流体スプレーノズルとの間に配置される複数の噴霧エア流量調整手段と、を備え、上記溶液供給手段からの上記原料溶液および上記エア供給手段からの上記噴霧エアが複数の上記二流体スプレーノズルの内部で混合された状態で複数の上記二流体スプレーノズルから上記被処理基板に向かって微粒子化されてそれぞれ吹き付けられることにより上記被処理基板に対して成膜処理が行なわれ、上記エア供給手段からの上記噴霧エアは、複数の上記噴霧エア流量調整手段によって所定の流量に調整された状態で複数の上記二流体スプレーノズルの各々に供給される。
【0016】
好ましくは、本発明の他の局面に基づく上記の成膜装置は、上記被処理基板を複数の上記二流体スプレーノズルに対して所定の方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段をさらに備え、複数のうちのいくつかの上記二流体スプレーノズルは、上記所定の方向に沿って並べられ、上記エア供給手段と上記いくつかの上記二流体スプレーノズルとの間に配置された上記噴霧エア流量調整手段は、上記エア供給手段から上記いくつかの上記二流体スプレーノズルに供給される上記噴霧エアの総流量を所定の値に調整する。
【0017】
本発明に基づく成膜方法は、上記の成膜装置を用いて上記被処理基板に上記成膜処理を行なう。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、二流体スプレーノズルの内部に流路抵抗が変化するような事象が生じた場合であっても、成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を行なうことが可能な成膜装置および成膜方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1における成膜装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態1における成膜装置に用いられる噴霧エア流量調整装置を模式的に示す図である。
【図3】実施の形態1における成膜装置に用いられる噴霧エア流量調整装置の変形例を模式的に示す図である。
【図4】原料溶液の噴霧量と、噴霧エアの圧力および噴霧エアの流量との関係の一例を示す図である。
【図5】実施の形態1に関する実験例に使用した被処理基板を示す平面図である。
【図6】実施の形態1に関する実験例に基づく計測結果を示す第1図である。
【図7】実施の形態1に関する実験例に基づく計測結果を示す第2図である。
【図8】実施の形態1に関する実験例に基づく計測結果を示す第3図である。
【図9】実施の形態2における成膜装置を模式的に示す平面図である。
【図10】実施の形態3における成膜装置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0021】
[実施の形態1]
図1を参照して、本実施の形態における成膜装置100および成膜装置100を用いた成膜方法について説明する。図1は、成膜装置100の全体構成を模式的に示す図である。図1に示すように、成膜装置100は、二流体スプレーノズル10、溶液タンク20(溶液供給手段)、噴霧エア供給装置30(エア供給手段)、および、噴霧エア流量調整装置40(噴霧エア流量調整手段)を備える。成膜装置100は、保持部材62(相対移動手段)上に載置された被処理基板60に成膜処理を行なうものである。
【0022】
保持部材62は、被処理基板60を加熱するため、図示しない加熱手段を備える。また、保持部材62は、図示しないベルト等の駆動手段に接続されており、後述する二流体スプレーノズル10と被処理基板60とを必要に応じて相対的に移動させることができる。本実施の形態においては、保持部材62は、二流体スプレーノズル10と被処理基板60とを相対的に移動させないという態様に基づいて以下説明する。
【0023】
(二流体スプレーノズル10)
二流体スプレーノズル10は、先端部12が被処理基板60に対向するように配置される。二流体スプレーノズル10には、配管チューブ22および配管チューブ32がそれぞれ接続される。配管チューブ22を通して、溶液タンク20から二流体スプレーノズル10に原料溶液24が供給される。配管チューブ32(ならびに後述する配管チューブ33および噴霧エア流量調整装置40)を通して、噴霧エア供給装置30から二流体スプレーノズル10に噴霧エア34が供給される。
【0024】
二流体スプレーノズル10は、溶液タンク20からの原料溶液24と噴霧エア供給装置30からの噴霧エア34とを混合し、原料溶液24をミスト化(微粒子化)して先端部12から被処理基板60に向かってミスト50として吹き付ける。原料溶液24は、噴霧エア34との混合によりミスト50としてミスト化されることによって、平均粒子径がたとえば0.1μm以上100μm以下の微粒子(微細な液滴)となって先端部12と被処理基板60との間の気体中に分散される。
【0025】
二流体スプレーノズル10は、原料溶液24のみが供給されてその原料溶液24をミスト化する一般的な一流体スプレーノズルに比べて、より微細なミスト50を生成することができる。二流体スプレーノズル10は、原料溶液24の気化熱によって生じる被処理基板60の温度低下を平均化(均一化)することができる。
【0026】
二流体スプレーノズル10としては、たとえば、株式会社いけうち社製のBIMV8002Sを用いることができる。二流体スプレーノズル10には、原料溶液24の流路を開閉するためのエア駆動型の開閉弁(図示せず)が内蔵される。この開閉弁は、駆動用エア供給手段(図示せず)から供給された駆動用エアによる、加圧、または大気解放によって駆動制御され、開閉動作をすることができる。
【0027】
開閉弁が駆動用エア供給手段からの駆動用エアにより駆動制御されることによって、二流体スプレーノズル10は、ミスト化された原料溶液24(ミスト50)の噴霧を開始したり、ミスト化された原料溶液24(ミスト50)の噴霧を停止したりすることができる。開閉弁の制御に用いられる駆動用エア供給手段は、噴霧エア供給装置30(エア供給手段)とは別個に設けられるものであり、噴霧エア供給装置30とは独立して駆動される。
【0028】
上述のとおり、先端部12から噴射されてミスト50となった原料溶液24は、二流体スプレーノズル10に対向するように配置された被処理基板60に吹き付けられる。原料溶液24(ミスト50)中の溶媒の乾燥作用および原料溶液24(ミスト50)中の溶質の化学反応作用によって、被処理基板60上に、所望の薄膜を成膜することが可能となる。
【0029】
(溶液タンク20)
溶液タンク20は、原料溶液24を貯留している。溶液タンク20は、密閉された圧力容器である。溶液タンク20内の圧力は、二流体スプレーノズル10との水頭差分を勘案した上で、二流体スプレーノズル10内の圧力がたとえば−100mAqとなるように調整されている。
【0030】
溶液タンク20に貯留される原料溶液24は、たとえば、0.9mol/LのSNCl・5HOと0.3molのNHFとを溶質として含み、30vol%のHClと2.5vol%のメタノールとを溶媒として含む。
【0031】
溶液タンク20に貯留された原料溶液24は、圧力差を利用して、配管チューブ22を通して二流体スプレーノズル10に供給される。配管チューブ22は、フッ素樹脂(PFA:Polyfluoro Alkoxy Resin)製のチューブから構成されるとよい。
【0032】
(噴霧エア供給装置30)
噴霧エア供給装置30は、噴霧エア34を生成するとともに、その噴霧エアを配管チューブ33内に送り込む。配管チューブ33は、噴霧エア供給装置30と噴霧エア流量調整装置40とを接続している。噴霧エア供給装置30からの噴霧エア34は、配管チューブ33、噴霧エア流量調整装置40、および配管チューブ32を通して二流体スプレーノズル10に供給される。
【0033】
噴霧エア流量調整装置40と噴霧エア供給装置30との間の配管チューブ33、および、二流体スプレーノズル10と噴霧エア流量調整装置40との間の配管チューブ32は、ウレタン製のチューブからそれぞれ構成されるとよい。
【0034】
(噴霧エア流量調整装置40)
噴霧エア流量調整装置40は、噴霧エア供給装置30と二流体スプレーノズル10との間に配置される。噴霧エア流量調整装置40は、二流体スプレーノズル10の先端部12から噴出されるミスト50の量が一定の値となるように、二流体スプレーノズル10に供給される噴霧エアの流量を所定の値に調整する。
【0035】
図2を参照して、噴霧エア流量調整装置40は、たとえば、レギュレーター等の圧力調整器42と、噴霧エアの流量を確認するための流量計44とから構成される。圧力調整器42としては、たとえば、CKD株式会社製の小形レギュレーターRB500シリーズを用いることができる。流量計44としては、たとえば、CKD株式会社製の小型流量センサーFSM2シリーズを用いることができる。噴霧エアの流量を調整する手段としては、圧力調整器42の代わりに、ニードルバルブなどの流量調整器などが用いられてもよい。
【0036】
図3を参照して、噴霧エア流量調整装置45のように、圧力調整器42と流量計44との間には、制御ユニット46が設けられてもよい。噴霧エア流量調整装置45は、噴霧エア流量調整装置40の変形例である。噴霧エアの流量を確認するための流量計44から、噴霧エアの流量値が制御ユニット46に出力される。
【0037】
制御ユニット46は、入力された噴霧エアの流量値と、あらかじめ設定された所望の噴霧エアの流量値とを比較する。制御ユニット46は、比較した値の間にずれが生じていた場合、噴霧エアの流量値が所望の値に近づくように圧力調整器42を制御する。圧力調整器42は、制御ユニット46からの制御信号を受けて、噴霧エアの流量が所定の値となるように噴霧エアの圧力を調整する。
【0038】
図4は、原料溶液の噴霧量と、噴霧エアの圧力(供給圧力)および噴霧エアの流量との関係の一例を示す図である。図4においては、原料溶液として水が用いられており、原料溶液の供給圧力が−100mmAqに設定されている場合の上記関係が示されている。
【0039】
原料溶液の噴霧量と、噴霧エアの圧力(供給圧力)および噴霧エアの流量との関係は、原料溶液の種類および原料溶液の供給圧力によって変動する。図4に示す場合においては、噴霧エアの圧力が約0.2MPa以上になると、噴霧エアの圧力が上昇するにつれて原料溶液の噴霧量が低下する傾向にあることが分かる。さらに、噴霧エアの圧力と噴霧エアの流量とは比例関係にあり、噴霧エアの圧力が上昇するにつれて噴霧エアの流量は増加する傾向にあることがわかる。
【0040】
図1を再び参照して、上述のとおり、被処理基板60は、保持部材62(相対移動手段)上に載置される。保持部材62は、図示しない加熱手段を備える。スプレー熱分解法においては、上述のとおり、あらかじめ加熱された被処理基板60上に原料溶液24からなるミスト50が吹き付けられる。溶質の熱分解および化学反応によって、被処理基板60上に薄膜が成膜される。
【0041】
本実施の形態の成膜装置100および成膜装置100を用いた成膜方法においては、噴霧エア供給装置30と二流体スプレーノズル10との間に噴霧エア流量調整装置40が配置される。噴霧エア流量調整装置40は、二流体スプレーノズル10の先端部12から噴出されるミスト50の量が一定の値となるように、二流体スプレーノズル10に供給される噴霧エアの流量を所定の値に調整する。これにより、二流体スプレーノズル10の内部に流路抵抗が変化するような事象(腐食性流体による管壁の磨耗または溶質の析出による管内の目詰まりなど)が生じた場合であっても、成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を行なうことが可能となる。
【0042】
(実験例)
図5〜図8を参照して、本実施の形態に関する実験例について説明する。この実験例においては、被処理基板60として、約4mmの厚さを有し、600mm×600mmに形成された切片基板(高透過ガラス)を準備した。この被処理基板60の表面には、下地膜としてSiOが成膜されている。被処理基板60を保持部材62上に載置した後、保持部材62に内蔵された加熱手段によって、被処理基板60の温度が550℃となるように被処理基板60を加熱した。
【0043】
十分に加熱された被処理基板60に対して、二流体スプレーノズル10を用いて原料溶液24からなるミスト50を吹き付けることによって成膜処理を行なった。この成膜処理によって、被処理基板60の表面にはSnOが成膜された。この実験例の成膜処理時においては、保持部材62(相対移動手段)による被処理基板60の移動を行わずに、被処理基板60を二流体スプレーノズル10に対向する保持部材62(ホットプレート)の上に固定し、原料溶液24からなるミスト50の吹き付けを行った。
【0044】
この実験例の成膜処理に用いられた噴霧エア流量調整装置40は、図2を参照して説明した場合と同様に、CKD株式会社製の小形レギュレーターRB500シリーズの圧力調整器42と、CKD株式会社製の小型流量センサーFSM2シリーズの流量計44とから構成される。この実験例の成膜処理に用いられた二流体スプレーノズル10は、株式会社いけうち社製のBIMV8002Sから構成される。
【0045】
図5は、この実験例の成膜処理に用いた被処理基板60を示す平面図である。図5を参照して、この実験例の成膜処理に用いた二流体スプレーノズル10のミスト噴霧量の分布としては、その分布の外縁が図5中の点線RRで示されるような楕円形状に形成され、全体的なミスト噴霧量としてはこの楕円形の中心に噴霧量のピークを有する略山形状の分布を形成する。
【0046】
被処理基板60に対してSnOの成膜処理を行なった後、図5中の矢印AR1,AR2,AR3によって示される各領域における成膜膜厚(SnOの膜厚)を、BrightView社製のInsight M5を計測装置として使用して光学干渉法に基づいて計測した。
【0047】
図5中の矢印AR1のY方向における座標位置は、基準位置として、Y=0(ゼロ)である。図5中の矢印AR2に示されるY方向の座標位置は、基準位置0に対して+40mmだけY方向にずれているものであり、Y=40(mm)である。図5中の矢印AR3に示されるY方向の座標位置は、基準位置0に対して−40mmだけY方向にずれているものであり、Y=−40(mm)である。
【0048】
図5中の矢印AR1,AR2,AR3によって示される各領域における成膜膜厚(SnOの膜厚)の計測結果は、図6〜図8に示される。図6〜図8においては、二流体スプレーノズル10の直下に位置する被処理基板60の表面位置が、基準位置(X=0)として示されている。
【0049】
成膜膜厚(SnOの膜厚)の計測に使用した計測ポイントとしては、X方向に沿って20mmの間隔で規定した。成膜膜厚(SnOの膜厚)を、X方向(楕円の長軸方向)に沿って延在する矢印AR1,AR2,AR3に示される各領域において、−300mm〜+300mmの範囲で上記の計測装置を用いて計測し、20mm間隔で規定される上記の各計測ポイントにおける計測結果をプロットした。
【0050】
図6は、未使用(新品)の状態にあった二流体スプレーノズル10を使用して被処理基板60に成膜処理を行なった際の計測結果を示している。
【0051】
図6に示す計測結果を得るための成膜処理が行なわれる際、噴霧エア流量調整装置40が設けられている部分においては、噴霧エア34の圧力が0.3MPaであり、噴霧エア34の流量が19.9SLMであることが確認された。
【0052】
図7は、既に何回かの原料溶液24の噴霧実績を有する二流体スプレーノズル10を使用して、被処理基板60に成膜処理を行なった際の計測結果を示している。
【0053】
この図7に示す場合に用いられる二流体スプレーノズル10としては、腐食性流体による管壁の磨耗または溶質の析出による管内の目詰まりなどが生じており、二流体スプレーノズル10の内部の流路抵抗は、二流体スプレーノズル10の新品時のものに対して変化している(流路抵抗としては増大している)ものである。
【0054】
図7に示す計測結果を得るための成膜処理が行なわれる際、噴霧エア流量調整装置40が設けられている部分においては、噴霧エア34の圧力が0.3MPaに設定されているものの、噴霧エア34の流量が17.6SLMに減少していることが確認された。その他の成膜条件および計測条件は、図6に示す場合と図7に示す場合とで互いに同様である。
【0055】
図8は、図7に示す計測結果を得る際に使用したものと略同一の二流体スプレーノズル10(既に何回かの原料溶液24の噴霧実績を有するもの)を使用して、被処理基板60に成膜処理を行なった際の計測結果を示している。
【0056】
図8に示す計測結果を得るための成膜処理を行なう際には、噴霧エア流量調整装置40が設けられている部分において、噴霧エア34の圧力が0.36MPaであり、噴霧エア34の流量が20SLMとなるように噴霧エア流量調整装置40を駆動した。この場合の噴霧エア34の流量は、未使用(新品)の状態にあった二流体スプレーノズル10を使用して被処理基板60に成膜処理を行なった際の値(図6に示す場合)と略同一であり、噴霧エア34の圧力は、大きくなっている。その他の成膜条件および計測条件は、図6に示す場合と図8に示す場合とで互いに同様である。
【0057】
(図6〜図8の比較)
図6および図7を比較すると、図7に示される計測結果としては、図6に示される計測結果に比べて被処理基板60の中心(X=0)付近の膜厚が厚くなっていることがわかる。
【0058】
図7に示される計測結果は、二流体スプレーノズル10の内部に設けられたミスト流路内に目詰まり等が発生し、二流体スプレーノズル10の内部の流路抵抗が増大している状態で行なわれた成膜処理に基づくものである。
【0059】
したがって、図7に示される計測結果を得る成膜処理の際には、二流体スプレーノズル10の先端部12おける噴霧エア34の圧力が減小していることにより噴霧エア34の流量も減少し、結果としてミスト噴霧量が増加したことがわかる。このことは、図4に示す特性図からも読み取れるものである。
【0060】
図6〜図8を比較すると、図8に示される計測結果は、図7に示される計測結果に比べて被処理基板60の中心(X=0)付近の膜厚が薄くなっており、図7に示される計測結果に比べて図6に示される計測結果に近い値となっていることがわかる。
【0061】
図8に示される計測結果は、二流体スプレーノズル10の内部に設けられたミスト流路内に目詰まり等が発生し、二流体スプレーノズル10の内部の流路抵抗が増大しているものの、二流体スプレーノズル10の先端部12から噴出されるミスト50の量が一定の値となるように噴霧エア流量調整装置40によって二流体スプレーノズル10に供給される噴霧エアの流量が所定の値に調整された状態で行なわれた成膜処理に基づくものである。
【0062】
したがって、図8に示される計測結果を得る成膜処理の際には、二流体スプレーノズル10の先端部12おける噴霧エア34の圧力の減小が抑制されていることにより噴霧エア34の流量の減少も抑制され、結果として、ミスト噴霧量としても、図6に示す場合と同様な値に維持された状態で成膜処理が行なわれていたことがわかる。
【0063】
したがって、噴霧エア流量調整装置40が二流体スプレーノズル10の先端部12から噴出されるミスト50の量が一定の値となるように二流体スプレーノズル10に供給される噴霧エアの流量を所定の値に調整することにより、二流体スプレーノズル10の内部に流路抵抗が変化するような事象(腐食性流体による管壁の磨耗または溶質の析出による管内の目詰まりなど)が生じた場合であっても、成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を行なうことが可能となることがわかる。
【0064】
実施の形態1および実施の形態1に基づく実験例においては、保持部材62(相対移動手段)が二流体スプレーノズル10と被処理基板60とを相対的に移動させないという態様に基づいて説明した。これに対して、保持部材62(相対移動手段)が二流体スプレーノズル10と被処理基板60とを相対的に移動させる場合(いわゆるインライン型の成膜装置)であっても、上記同様の作用および効果を得ることが可能である。
【0065】
実施の形態1および実施の形態1に基づく実験例においては、1つの被処理基板60に対する成膜処理のために、1つの二流体スプレーノズル10が用いられ、この1つの二流体スプレーノズル10に対して1つの噴霧エア流量調整装置40が用いられるという態様に基づいて説明した。これに対して、1つの被処理基板60に対する成膜処理のために、複数の二流体スプレーノズル10が用いられてもよい。
【0066】
この場合、複数の二流体スプレーノズル10の各々に対して一対一の対応関係となるように複数の噴霧エア流量調整装置40が複数の二流体スプレーノズル10にそれぞれ設けられるとよい。複数の二流体スプレーノズル10に対して被処理基板60が相対的に移動される場合であっても、複数の二流体スプレーノズル10に対して被処理基板60が相対的に移動されない場合であっても、上記同様の作用および効果を得ることが可能である。
【0067】
複数の二流体スプレーノズル10の各々に対して一対一の対応関係となるように複数の噴霧エア流量調整装置40が複数の二流体スプレーノズル10にそれぞれ設けられることによって、個々の二流体スプレーノズル10の内部流路の流路抵抗が経時的に変化した場合でも、適宜それぞれの噴霧エア34の流量を制御することができるため、成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を効果的に行なうことが可能となる。
【0068】
[実施の形態2]
図9を参照して、本実施の形態における成膜装置200および成膜装置200を用いた成膜方法について説明する。図9は、成膜装置200を模式的に示す平面図である。
【0069】
成膜装置200においては、複数の(ここでは、例示として8つの)二流体スプレーノズル10A〜10Hが用いられる。二流体スプレーノズル10A〜10Hと対向するように、相対移動手段64が設けられる。相対移動手段64は、被処理基板60を加熱するため、図示しない加熱手段を備える。また、相対移動手段64は、その表面に載置された被処理基板60を、二流体スプレーノズル10A〜10Hに対して相対移動方向AR60に沿って移動させる。
【0070】
相対移動手段64としては、ホットプレートをモータースライダー上に設置したものから構成されてもよく、ベルト式マッフル炉の天井の一部をくり抜いて二流体スプレーノズル10A〜10Hのユニットを挿入したものから構成されてもよい。相対移動手段64としては、周囲の環境および成膜頻度などに応じて、最適な装置構成が適宜選択されるとよい。
【0071】
二流体スプレーノズル10A〜10Hの各々には、上述の実施の形態1と同様に、原料溶液24の流路を開閉するためのエア駆動型の開閉弁(図示せず)が内蔵される。この開閉弁は、駆動用エア供給手段(図示せず)から供給された駆動用エアによる、加圧、または大気解放によって駆動制御され、開閉動作をすることができる。
【0072】
開閉弁が駆動用エア供給手段からの駆動用エアにより駆動制御されることによって、二流体スプレーノズル10A〜10Hは、被処理基板60が二流体スプレーノズル10A〜10Hの各々の直下を通過するタイミングに合わせて、ミスト50(図1参照)の噴霧を開始したり、ミスト化されたミスト50(図1参照)の噴霧を停止したりすることができる。
【0073】
二流体スプレーノズル10A〜10Hは、上述の実施の形態1と同様に、溶液タンク20および噴霧エア供給装置30にそれぞれ接続される。二流体スプレーノズル10A〜10Hの各々と噴霧エア供給装置30との間には、噴霧エア流量調整装置40A〜40Hがそれぞれ設けられる。
【0074】
成膜装置200に用いられる二流体スプレーノズル10A〜10Hも、使用回数が増えるにつれて、内部の流路抵抗が変化する(流路抵抗としては増大する)。噴霧エア流量調整装置40A〜40Hは、二流体スプレーノズル10A〜10Hの各々の先端部から噴出されるミスト50(図1参照)の量が一定の値となるように、二流体スプレーノズル10A〜10Hに供給される噴霧エアの流量を所定の値にそれぞれ調整する。
【0075】
上述の実施の形態1の場合と同様に、噴霧エア流量調整装置40A〜40Hによる噴霧エア34の調整によって、二流体スプレーノズル10A〜10Hの内部に流路抵抗が変化するような事象(腐食性流体による管壁の磨耗または溶質の析出による管内の目詰まりなど)が生じた場合であっても、成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を行なうことが可能となる。
【0076】
噴霧エア流量調整装置40A〜40Hとしては、上述の噴霧エア流量調整装置40(図2参照)と同様に構成されてもよく、上述の噴霧エア流量調整装置45(図3参照)と同様に構成されてもよい。いずれの場合であっても、上記同様の作用および効果を得ることが可能である。
【0077】
[実施の形態3]
図10を参照して、本実施の形態における成膜装置300および成膜装置300を用いた成膜方法について説明する。図10は、成膜装置300を模式的に示す平面図である。
【0078】
成膜装置300においても、複数の(ここでは、例示として8つの)二流体スプレーノズル10A〜10Hが用いられる。二流体スプレーノズル10A〜10Hと対向するように、相対移動手段64が設けられる。相対移動手段64は、被処理基板60を加熱するため、図示しない加熱手段を備える。また、相対移動手段64は、その表面に載置された被処理基板60を、二流体スプレーノズル10A〜10Hに対して相対移動方向AR60に沿って移動させる。
【0079】
相対移動手段64としては、ホットプレートをモータースライダー上に設置したものから構成されてもよく、ベルト式マッフル炉の天井の一部をくり抜いて二流体スプレーノズル10A〜10Hのユニットを挿入したものから構成されてもよい。相対移動手段64としては、周囲の環境および成膜頻度などに応じて、最適な装置構成が適宜選択されるとよい。
【0080】
二流体スプレーノズル10A〜10Hの各々には、上述の実施の形態1と同様に、原料溶液24の流路を開閉するためのエア駆動型の開閉弁(図示せず)が内蔵される。この開閉弁は、駆動用エア供給手段(図示せず)から供給された駆動用エアによる、加圧、または大気解放によって駆動制御され、開閉動作をすることができる。
【0081】
開閉弁が駆動用エア供給手段からの駆動用エアにより駆動制御されることによって、二流体スプレーノズル10A〜10Hは、被処理基板60が二流体スプレーノズル10A〜10Hの各々の直下を通過するタイミングに合わせて、ミスト50(図1参照)の噴霧を開始したり、ミスト化されたミスト50(図1参照)の噴霧を停止したりすることができる。
【0082】
二流体スプレーノズル10A〜10Hは、上述の実施の形態1と同様に、溶液タンク20および噴霧エア供給装置30にそれぞれ接続される。本実施の形態においては、二流体スプレーノズル10A,10Eと噴霧エア供給装置30との間に噴霧エア流量調整装置40Aが設けられ、二流体スプレーノズル10B,10Fと噴霧エア供給装置30との間に噴霧エア流量調整装置40Bが設けられ、二流体スプレーノズル10C,10Gと噴霧エア供給装置30との間に噴霧エア流量調整装置40Cが設けられ、二流体スプレーノズル10D,10Hと噴霧エア供給装置30との間に噴霧エア流量調整装置40Dが設けられる。
【0083】
一組のユニットとして構成される二流体スプレーノズル10A,10E、一組のユニットとして構成される二流体スプレーノズル10B,10F、一組のユニットとして構成される二流体スプレーノズル10C,10G、および、一組のユニットとして構成される二流体スプレーノズル10D,10Hは、それぞれ、被処理基板60の相対移動方向AR60に沿って並ぶように配置されている。
【0084】
噴霧エア流量調整装置40Aは、二流体スプレーノズル10A,10Eの各々の先端部から噴出されるミスト50(図1参照)の量が一定の値となるように、二流体スプレーノズル10A,10Eに供給される噴霧エアの総流量(合計値)を所定の値にそれぞれ調整する。同様に、噴霧エア流量調整装置40Bは、二流体スプレーノズル10B,10Fの各々の先端部から噴出されるミスト50(図1参照)の量が一定の値となるように、二流体スプレーノズル10B,10Fに供給される噴霧エアの総流量(合計値)を所定の値にそれぞれ調整する。
【0085】
噴霧エア流量調整装置40Cは、二流体スプレーノズル10C,10Gの各々の先端部から噴出されるミスト50(図1参照)の量が一定の値となるように、二流体スプレーノズル10C,10Gに供給される噴霧エアの総流量(合計値)を所定の値にそれぞれ調整する。同様に、噴霧エア流量調整装置40Dは、二流体スプレーノズル10D,10Hの各々の先端部から噴出されるミスト50(図1参照)の量が一定の値となるように、二流体スプレーノズル10D,10Hに供給される噴霧エアの総流量(合計値)を所定の値にそれぞれ調整する。
【0086】
上述の実施の形態1,2の場合と同様に、噴霧エア流量調整装置40A〜40Dによる噴霧エア34の調整によって、二流体スプレーノズル10A〜10Hの内部に流路抵抗が変化するような事象(腐食性流体による管壁の磨耗または溶質の析出による管内の目詰まりなど)が生じた場合であっても、成膜レートに変動を生じさせることなく、均一性の高い成膜処理を行なうことが可能となる。特に、本実施の形態における噴霧エア流量調整装置40A〜40Dによれば、被処理基板60の相対移動方向AR60に沿って並ぶ複数の(ここでは、例示として2つの)二流体スプレーノズルに対して供給される噴霧エアの総流量(合計値)を所定の値(一定の値)にそれぞれ調整することが可能となる。
【0087】
被処理基板60の相対移動方向AR60に沿って並ぶ複数の(ここでは、例示として2つの)二流体スプレーノズルに対して供給される噴霧エアの総流量(合計値)を所定の値(一定の値)にそれぞれ調整することが可能であれば、相対移動方向AR60に垂直な方向に並ぶそれぞれの列の積算の成膜レートは均一に保たれ、最終的には均一な成膜レートを被処理基板60の面内で保つことができるようになる。噴霧エア34の流量を複数のノズルの総量として管理することが可能になるため、上述の実施の形態2の成膜装置200に比べて、供給する噴霧エア34の圧力を低く抑えることが可能にもなる。
【0088】
噴霧エア流量調整装置40A〜40Dとしては、上述の噴霧エア流量調整装置40(図2参照)と同様に構成されてもよく、上述の噴霧エア流量調整装置45(図3参照)と同様に構成されてもよい。いずれの場合であっても、上記同様の作用および効果を得ることが可能である。
【0089】
以上、本発明に基づいた各実施の形態および実験例について説明したが、今回開示された各実施の形態および実験例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G,10H 二流体スプレーノズル、12 先端部、20 溶液タンク(溶液供給手段)、22,32,33 配管チューブ、24 原料溶液、30 噴霧エア供給装置(エア供給手段)、34 噴霧エア、40,40A,40B,40C,40D,40E,40F,40G,40H,45 噴霧エア流量調整装置、42 圧力調整器、44 流量計、46 制御ユニット、50 ミスト、60 被処理基板、62 保持部材、64 相対移動手段、100,200,300 成膜装置、AR1,AR2,AR3 矢印、AR60 相対移動方向。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板に対向するように配置される二流体スプレーノズルと、
前記二流体スプレーノズルに原料溶液を供給する溶液供給手段と、
前記二流体スプレーノズルに噴霧エアを供給するエア供給手段と、
前記エア供給手段と前記二流体スプレーノズルとの間に配置される噴霧エア流量調整手段と、を備え、
前記溶液供給手段からの前記原料溶液および前記エア供給手段からの前記噴霧エアが前記二流体スプレーノズルの内部で混合された状態で前記二流体スプレーノズルから前記被処理基板に向かって微粒子化されて吹き付けられることにより前記被処理基板に対して成膜処理が行なわれ、
前記エア供給手段からの前記噴霧エアは、前記噴霧エア流量調整手段によって所定の流量に調整された状態で前記二流体スプレーノズルに供給される、
成膜装置。
【請求項2】
被処理基板に対向するように配置される複数の二流体スプレーノズルと、
複数の前記二流体スプレーノズルに原料溶液をそれぞれ供給する溶液供給手段と、
複数の前記二流体スプレーノズルに噴霧エアをそれぞれ供給するエア供給手段と、
前記エア供給手段と複数の前記二流体スプレーノズルとの間に配置される複数の噴霧エア流量調整手段と、を備え、
前記溶液供給手段からの前記原料溶液および前記エア供給手段からの前記噴霧エアが複数の前記二流体スプレーノズルの内部で混合された状態で複数の前記二流体スプレーノズルから前記被処理基板に向かって微粒子化されてそれぞれ吹き付けられることにより前記被処理基板に対して成膜処理が行なわれ、
前記エア供給手段からの前記噴霧エアは、複数の前記噴霧エア流量調整手段によって所定の流量に調整された状態で複数の前記二流体スプレーノズルの各々に供給される、
成膜装置。
【請求項3】
前記被処理基板を複数の前記二流体スプレーノズルに対して所定の方向に沿って相対的に移動させる相対移動手段をさらに備え、
複数のうちのいくつかの前記二流体スプレーノズルは、前記所定の方向に沿って並べられ、
前記エア供給手段と前記いくつかの前記二流体スプレーノズルとの間に配置された前記噴霧エア流量調整手段は、前記エア供給手段から前記いくつかの前記二流体スプレーノズルに供給される前記噴霧エアの総流量を所定の値に調整する、
請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の成膜装置を用いて前記被処理基板に前記成膜処理を行なう、
成膜方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−112828(P2013−112828A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257553(P2011−257553)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】