説明

成膜装置および気化器の設置方法

【課題】設置する場合に、建物内での設置の高さ制限が緩和された、またメンテナンスが簡単である成膜装置および気化器の設置方法を提供する。
【解決手段】成膜用液体材料供給系と、前記液体材料をキャリアガスと混合して気化させる気化器30aと、前記気化器30aから出る材料気化ガスを基板に流して膜を成膜させる成膜室40aと、前記気化器30aからのガスを、前記成膜室に供給する材料気化ガス供給配管50aとで構成される成膜装置であって、前記成膜室40aの側面と並行に、前記気化器40aが配置されことを特徴とする成膜装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置および気化器の設置方法に関し、特に、成膜室と気化器とが、並列配置となっており、気化器が設置される床面と、前記成膜室とが設置される床面とが共通である成膜装置および気化器の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOCVD装置を含むCVD装置等を用いて半導体ウエハーの表面を成膜する成膜装置において、成膜用液体材料を含むキャリアガスを気化器に供給し、この気化器内で原料を気化させる技術が知られている。
【0003】
また、このような気化器においては、気化器の外周や気化器内にキャリアガスを供給する配管の外周にヒータを配置し、そのヒータ熱によって原料を気化させている。
また、特許文献1には、キャリアガスに液体原料を導入し、ミクロンオーダー以下(1
ミクロン以下)に微細化した液体原料をキャリアガスに分散させ(以下、液体原料が分散したキャリアガスを原料ガスという。)、この原料ガスを気化器に導入し原料などを気化させた後、成膜室において成膜する技術が開示されている。その際、溶媒のみが気化してしまい、出口の目詰まりが発生することを防止すること等を目的として、出口を冷却するための手段を設けてある。また、液体原料をより小さな粒子としてキャリアガス中に分散させるためにキャリアガスの流速は50〜340m/secが好適な条件として用いられている。
しかし、上記技術により成膜を行うと、膜の表面に波紋が生じてしまうことがある。また、膜中あるいは表面にパーティクルの存在が認められる。さらに、膜の組成が目標とする組成からずれてしまうことがある。また、膜中あるいは表面にパーティクルの存在が認められる。さらに、膜の組成が、目標とする組成からずれてしまうことがある。また、カーボン含有量が多くなることがある。
【0004】
図3は、従来の成膜装置の図である。図3にて、成膜装置101は、気化器30bが、成膜室40bの上側に配置され、材料気化ガス供給配管50bにて連結された構造である。
図4は、従来の気化器の図である。従来の気化器は、分散部本体8と、接続部23、気化部22が順次、下方方向に向かって、接続されて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO02/058141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の成膜装置は、成膜室の上に気化器が配置されており、建物内での設置の高さが必要であって、建物の建設コストがかかり、また、保守を行う場合、気化器が高い位置にあるので、保守が煩雑で、作業時間を要するという問題点があった。
【0007】
本発明の課題は、設置する場合に、建物内での設置の高さ制限が、緩和された、またメンテナンス(保守)が簡単である成膜装置および気化器の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に係る成膜装置は、成膜用液体材料供給系と、前記液体材料をキャリアガスと混合して気化させる気化器と、前記気化器から出る材料気化ガスを基板に流して膜を成膜させる成膜室と、前記気化器からのガスを、前記成膜室に供給する材料気化ガス供給配管とで構成される成膜装置であって、前記気化器が、前記成膜室の側面と並行に配置されことを特徴とする成膜装置である。
【0009】
本発明の請求項2に係る成膜装置は、前記気化器が設置される床面と、前記成膜室とが設置される床面とが共通であることを特徴とする請求項1記載の成膜装置である。
【0010】
本発明の請求項3に係る成膜装置は、前記気化器の構造が、前記床面から垂直方向に、分散部本体と、接続部と、気化部とが順次接続されたことを特徴とする請求項1または2記載の成膜装置である。また、必要に応じて気化器に接続される気化輸送管である材料気化ガス供給配管内に内部ヒータを設置し、気化輸送管である材料気化ガス供給配管外壁からの熱エネルギー供給量を補い、原料の気化をより完全なものとすることも出来る構造とすることができる特徴を有するものである。
【0011】
本発明の請求項4に係る気化器の設置方法は、床面から垂直方向に、分散部本体と、接続部と、気化部とが順次上側に積層(接続)された気化器を、成膜室の側面と並行に配置し、
材料気化ガス供給配管にて、前記気化器から材料気化ガスを、前記成膜室に供給する
ことを特徴とする気化器の設置方法である。この様にすることにより気流の流れが噴流層的な様相を呈し、よりスムーズな気化が進行することが期待される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1、2,3による成膜装置によれば、建物内での設置の高さ制限が、緩和された、またメンテナンス(保守)が簡単である成膜装置を提供できる。
【0013】
本発明の請求項4による気化器の設置方法によれば、成膜装置を、建物内での設置の高さ制限が、緩和された、またメンテナンス(保守)が簡単にすることが可能となる。
【0014】
本発明によれば、建物内での設置の高さ制限が、緩和された、またメンテナンス(保守)が簡単である成膜装置および気化器の設置方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1による成膜装置の図。
【図2】図1の実施例1の成膜装置に使用される気化器の断面図。
【図3】従来の成膜装置の図である。
【図4】図4の従来の成膜装置に使用される気化器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の成膜装置は、成膜用液体材料供給系と、前記液体材料をキャリアガスと混合して気化させる気化器と、前記気化器から出る材料気化ガスを基板に流して膜を成膜させる成膜室と、前記気化器からのガスを、前記成膜室に供給する材料気化ガス供給配管とで構成される成膜装置であって、前記気化器が、前記成膜室の側面と並行に配置されことを特徴とする成膜装置である。
【0017】
また、本発明の成膜装置は、前記気化器が設置される床面と、前記成膜室とが設置される床面とが共通であることを特徴とする請求項1記載の成膜装置である。
【0018】
また、本発明の成膜装置は、前記気化器の構造が、前記床面から垂直方向に、分散部本体と、接続部と、気化部とが順次接続されたことを特徴とする請求項1または2記載の成膜装置である。
【0019】
また、本発明の気化器の設置方法は、気化器を成膜室の側面と並行に配置し、
かつ、気化器の構造を、垂直方向に、分散部本体と、接続部と、気化部とが順次上側に接続された構造とし、前記気化器から材料気化ガスを、材料気化ガス供給配管にて、前記成膜室に供給することを特徴とする気化器の設置方法である。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の成膜装置および気化器の設置方法の実施例について説明する。
【0021】
(実施例1)
図1は、本発明の成膜装置100の図である。成膜装置100は、成膜用液体材料供給系(図示せず)と、前記液体材料をキャリアガスと混合して気化させる気化器30aと、前記気化器30aから出る材料気化ガスを基板に流して膜を成膜させる成膜室40aと、前記気化器からのガスを、前記成膜室40aに供給する材料気化ガス供給配管50aとで構成されている。
【0022】
ここで、気化器30aが、成膜室40aの側面と並行に配置されことを特徴とする成膜装置である。この構造によって、成膜装置100の高さは、1,5メートルから1,6メートルの範囲に収まり、成膜装置100の保守、メンテナンスの作業が、容易にできる。
従来の図3の成膜装置101では、気化器30が、成膜室40bの上部にあるため、装置全体の高さが、2メートル以上であり、メンテナンスの作業が、困難であった。
【0023】
図2は、図1の実施例1の成膜装置に使用される気化器30aの断面図である前記気化器30aの構造は、床面70から垂直方向に、分散部8aと、接続部23aと、気化部22aとが順次接続された構造である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の成膜装置および気化器の設置方法によれば、設置する場合に、建物内での設置の高さ制限が、緩和された、またメンテナンス(保守)が簡単である成膜装置および気化器の設置方法を提供することができ、半導体製造装置の生産の高効率化を実現できる。
【符号の説明】
【0025】
1 分散部本体
2 ガス通路
3 キャリアガス
4 ガス導入口
5a 第1の薄膜形成原料溶液
5b 第2の薄膜形成原料溶液
5c 第3の薄膜形成原料溶液
5d 第4の薄膜形成原料溶液
5e 第5の薄膜形成原料溶液
5f 第6の薄膜形成原料溶液
6 原料供給孔
7 ガス出口
8、8a 分散部本体
9a,9b, ビス
10、10a,10b センターロッド
11 Oリング
16 止め具
17 切り欠き部
18 冷却水
20 気化菅
21、21a 加熱手段
22,22a 気化部
23,23a 接続部
8,8a 分散部本体
2424a 継手
40a,30b 気化器
40a,40b 成膜室
41a,41b サブストレート
42a,42b 基板
50a,50b 材料気化ガス供給配管
60a,60b 排気管
70 床
5g 第7の薄膜形成原料溶液
5h 第8の薄膜形成原料溶液
100,101 成膜装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜用液体材料供給系と、
前記液体材料をキャリアガスと混合して気化させる気化器と、
前記気化器から出る材料気化ガスを基板に流して膜を成膜させる成膜室と、
前記気化器からのガスを、前記成膜室に供給する材料気化ガス供給配管とで構成される成膜装置であって、
前記気化器が、前記成膜室の側面と並行に配置されことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記気化器が設置される床面と、前記成膜室とが設置される床面とが共通であることを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
【請求項3】
前記気化器の構造が、前記床面から垂直方向に、分散部本体と、接続部と、気化部とが順次接続されたことを特徴とする請求項1または2記載の成膜装置。
【請求項4】
気化器を成膜室の側面と並行に配置し、
かつ、気化器の構造を、垂直方向に、分散部本体と、接続部と、気化部とが順次上側に接続された構造とし、前記気化器から材料気化ガスを、材料気化ガス供給配管にて、前記成膜室に供給することを特徴とする気化器の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110306(P2013−110306A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255083(P2011−255083)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(591277382)株式会社渡辺商行 (34)
【出願人】(596005001)
【Fターム(参考)】