説明

成膜装置及び成膜方法並びに磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置の製造方法

【課題】比較的簡単な構成でドロップレットをより確実に排除することができる成膜装置及び成膜方法並びに磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置の製造方法を提供する。
【解決手段】グラファイトからなる筒状のアノード電極24の内側に、グラファイトからなるカソード電極21が配置される。アノード電極24とカソード電極21との間に電源26から電力が供給し、アーク放電を発生させてカソード電極21の周囲に炭素イオンを含むプラズマを生成する。このプラズマは、アノード電極24に設けられた開口部を介して外部に出て、コイル25による磁場で進行方向が曲げられ、基板まで搬送される。そして、プラズマ中の炭素イオンが基板の面上に堆積してDLC膜が形成される。一方、アーク放電により発生したドロップレットは、磁場の影響を殆ど受けず、プラズマの搬送方向とは無関係の方向に飛散して、DLC膜に付着することが回避される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録装置に使用される磁気記録媒体の表面や磁気ヘッドの先端を保護する保護膜の形成に好適な成膜装置及び成膜方法並びに磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)は、コンピュータだけでなく、ハードディスクビデオレコーダ等の映像記録機器や携帯型音楽再生装置等にも使用されるようになった。
【0003】
磁気記録装置では、高速で回転する円盤状の磁気記録媒体(磁気ディスク)の記録層を磁気ヘッドで磁化することによりデータを記録する。記録層の上には、記録層を物理的及び化学的な損傷から保護するために保護膜が設けられている。通常、磁気記録媒体の保護膜としては、スパッタ法やCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成したダイヤモンドライクカーボン膜(Diamond-Like-Carbon;以下、「DLC膜」という)が用いられている。
【0004】
近年、磁気記録媒体の記録密度のより一層の向上が望まれている。そのためには、磁気記録媒体の記録層と磁気ヘッドとの間の距離(マグネティックスペーシング)を縮めることが必須であり、保護膜のより一層の薄膜化が要求されている。現状、磁気記録媒体の表面の保護膜として使用されるDLC膜は、前述したようにスパッタ法やCVD法により形成されている。しかし、スパッタ法やCVD法により形成されたDLC膜は、薄膜化した場合に硬度が不足すると考えられており、より硬度が高いDLC膜を形成できる成膜方法が要望されている。
【0005】
そこで、近年、アークをプラズマ源としたFCA(Filtered Cathodic Arc)法を用いて磁気記録媒体の表面にDLC膜を形成することが提案されている。FCA法によりDLC膜を形成する場合は、炭素からなるカソード電極(ターゲット)を用いてアーク放電により炭素イオンを含むプラズマを発生させ、この炭素イオンを磁気記録媒体の表面に付着させる。
【0006】
FCA法では、炭素イオンを堆積させてDLC膜を形成するため、硬度低下の原因となるC−H結合がなく、sp3結合に富んだ高硬度のDLC膜が得られる。また、FCA法では、CVD法に比べてDLC膜の被覆性が優れており、DLC膜の厚さを例えば3.5nm又はそれ以下にしても保護膜としての信頼性を損なうことはない。以下、FCA法により成膜する装置をFCA成膜装置という。
【0007】
ところで、FCA法によるDLC膜の形成プロセスを安定して行うためには、放電点における炭素の蒸発量を精密に制御する必要がある。しかし、放電点での炭素蒸発量の制御は事実上不可能であり、アーク放電によりカソード電極の表面温度が急激に上昇してカソード電極の表面が部分的に破壊され、粒径の大きな粒子(グラファイト粒子)が発生する。このような粒子はドロップレットと呼ばれている。ドロップレットが磁気記録媒体の表面に付着すると、磁気ヘッドとドロップレットとが衝突してヘッドクラッシュが発生したり、保護膜が破壊されて記録層が損傷を受けるというような障害が発生する。
【0008】
一般的なFCA装置には、例えば特許文献1に記載されているように磁気偏向型質量分析器が設けられており、この質量分析器により成膜材料のイオンを含むプラズマとドロップレットとを分離し、プラズマだけを基板上に搬送して膜を形成する。
【0009】
その他、本発明に関係すると思われる従来技術として、特許文献2及び非特許文献1がある。特許文献2には、棒状のカソード電極の周囲に筒状のアノード電極を配置した構造の薄膜形成装置(FAC成膜装置)が記載されている。この薄膜形成装置では、アーク放電により発生した液滴をアノード電極により捕捉するとともに、アーク放電により発生したプラズマをアノード電極の中心軸方向に移動させて基板上に薄膜を形成する。非特許文献1には、DLC膜中に局所的にグラファイトの粒子が存在すると、膜の光学ギャップが減少することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−8893号公報
【特許文献2】特許第2857743号公報
【非特許文献1】K. B. K. Teo et al. "Effect of graphitic inclusions on the optical gap of tetrahedral amorphous carbon films" JOURNAL OF APPLIED PHYSICS vol.89, No.7,3706-3710, APRIL 2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の一般的なFCA装置では、上述したように質量分析器を用いてプラズマとドロップレットとを分離している。しかし、DLC膜を形成する場合は、ドロップレットが装置内壁に反射するなどして基板表面に到達してしまうことが多く、ドロップレットのないDLC膜を安定して形成することは困難である。質量分析器を多段に配置してドロップレットをより完全に除去することも可能ではあるが、その場合は装置が複雑かつ大型化するとともに、成膜速度も低下するという問題が発生する。
【0011】
なお、特許文献2に開示された薄膜形成装置では、アノード電極が筒状に形成されているだけであるので、カソード電極から基板方向に飛び出したドロップレットを遮るものがなく、基板上に形成された膜にドロップレットが付着することが考えられる。また、特許文献2に開示された薄膜形成装置は、アーク放電により発生した液滴をアノード電極に付着させて捕捉するものであるので、DLC膜の形成には適していないと考えられる。すなわち、DLC膜の形成時に発生するドロップレットは液滴ではないので、アノード電極で反射してしまい、アノード電極でドロップレットを捕捉することは困難である。
【0012】
本発明の目的は、比較的簡単な構成でドロップレットをより確実に排除することができる成膜装置及び成膜方法並びに磁気記録媒体の製造方法及び磁気記録装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、基材が配置される基材配置部と、前記基材配置部から離隔して配置され、周面に開口部が設けられた筒状のアノード電極と、前記アノード電極の内側に配置されるカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加してアーク放電を発生させ、前記カソード電極の周囲にプラズマを生成する電源と、前記アノード電極の開口部を介して前記アノード電極の外側に出た前記プラズマの進行方向を磁場により曲げ、前記プラズマを前記基材配置部に向けて搬送する磁場発生部とを有する成膜装置が提供される。
【0014】
また、本発明の他の観点によれば、基材の面上にプラズマ中に含まれるイオンを堆積させて膜を形成する成膜方法において、周面に開口部が設けられた筒状のアノード電極の内側にカソード電極を配置し、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電力を供給してアーク放電を発生させ、前記カソード電極の周囲にプラズマを生成する工程と、前記アノード電極の開口部から出た前記プラズマの進行方向を磁場により曲げて前記基材側に搬送する工程とを有する成膜方法が提供される。
【0015】
本発明においては、周面に開口部が設けられたアノード電極と、該アノード電極の内側に配置されるカソード電極との間に電圧を印加してアーク放電を発生させ、カソード電極の周囲にプラズマを生成する。このプラズマ中には、カソード電極を構成する材料のイオンが含まれる。例えばカソード電極が炭素により構成されている場合は、プラズマ中に炭素イオンが含まれる。
【0016】
カソード電極の周囲に発生したプラズマは、アノード電極に設けられた開口部を通ってアノード電極の外側に出て、磁場発生部により発生された磁場により進行方向が曲げられ、基材まで搬送される。そして、プラズマ中のイオンが基材の面上に堆積して膜が形成される。例えばプラズマ中に炭素イオンが含まれている場合は、基材の面上にDLC膜が形成される。
【0017】
一方、アーク放電に伴って発生したドロップレットは、電荷を有しないか又は質量に比べて極めて小さい電荷しか有しないため、アノード電極の開口部から外に出ても磁場により進行方向が曲げられない(又は、進行方向が少ししか曲げられない)ため、プラズマから分離されてプラズマの進行方向とは関係ない方向に飛散する。これにより、ドロップレットが基材まで届くことがなく、基材の面上に形成される膜にドロップレットが付着することが回避される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。また、図2(a),(b)はプラズマ発生源を示す断面図、図3は図2(a)のカソード電極及びアノード電極の部分を拡大して示す図である。なお、図2(b)は図2(a)のI−I線の位置における断面を示している。また、本実施形態では、基板(磁気記録媒体)の表面上にDLC膜を形成する場合について説明している。
【0020】
本実施形態の成膜装置は、図1に示すように、基板(磁気記録媒体)10が配置される成膜室11と、プラズマ発生源20が配置されるプラズマ室12と、それらの成膜室11とプラズマ室12とを連結する連結部13とにより構成される。本実施形態では、成膜室11及びプラズマ室12の少なくとも一方が真空装置に接続され、成膜室11及びプラズマ室12内を真空に維持するようになっている。
【0021】
プラズマ発生源20により生成された成膜材料(炭素イオン)を含むプラズマは、プラズマ室12から連結部13を通って成膜室11に搬送され、成膜室11内に載置された基板10の表面上に炭素イオンが堆積してDLC膜が形成される。
【0022】
図2(a),(b)に示すように、プラズマ発生源20は、カソード電極21、絶縁層22、トリガー電極23、アノード電極24及びコイル25により構成されている。カソード電極21はグラファイト(炭素)により棒状に形成されており、その中心軸を成膜室11に向けて配置される。本実施形態では、カソード電極21のうち成膜室11側の部分を先端部、その反対側の部分を後端部と呼ぶ。カソード電極21の直径は、例えば15mmである。
【0023】
絶縁層22は、カソード電極21の後端側の部分を被覆するように形成されている。また、トリガー電極23は絶縁層22を介してカソード電極21の後端側の周囲を被覆するように形成されている。このトリガー電極23も、グラファイト(炭素)により形成されている。
【0024】
アノード電極24はその内径がトリガー電極23の外径よりも大きい筒状に形成されており、図2(b)に示すようにカソード電極21に対し同心円状に配置される。このアノード電極24も、グラファイト(炭素)により形成されている。アノード電極24の周面(筒状の部分)はメッシュになっており、図3に示すようにプラズマが通る開口部24aが設けられている。また、アノード電極24の先端側(成膜室側)の端部は遮蔽壁24bで閉塞されており、この遮蔽壁24bによりアーク放電にともなって発生したドロップレッドが成膜室11に直接飛び出さないようにしている。アノード電極24の直径(外径)は、例えば40mmである。
【0025】
図2(a)に示すように、カソード電極21とアノード電極24との間には第1の電源26から直流電圧が印加されるようになっている。また、トリガー電極24とアノード電極24との間には、第2の電源27から高電圧パルス(トリガー電圧)が印加されるようになっている。
【0026】
アノード電極24の周囲には、図2(b)に示すように、複数のコイル25がアノード電極24を中心として放射状に並んで配置されている。これらのコイル25には図示しない電源から直流電力が供給され、アノード電極24の開口部24aを介してアノード電極24の外側に出たプラズマをローレンツ力により成膜室11に向かう方向に搬送する。なお、本実施形態においては、アーク放電電流及びコイル25に供給される電流は個別に調整可能であるものとする。
【0027】
以下、本実施形態の成膜装置の動作について説明する。
【0028】
まず、真空装置を稼働して成膜室11及びプラズマ室12を減圧し、成膜室11及びプラズマ室12内の圧力を例えば5×10-3Paとする。次に、カソード電極21とアノード電極24との間に第1の電源26から例えば150Vの直流電圧を印加した状態で、トリガー電極23とカソード電極24との間に第2の電源27から例えば波高値が5kVの高電圧パルスを短時間印加する。
【0029】
これにより、カソード電極21とアノード電極24との間に真空アーク放電が開始される。この真空アーク放電により、カソード電極21を構成する炭素が蒸発して、図3に模式的に示すように、カソード電極21の周囲に炭素イオンを含むプラズマ31が発生する。このプラズマ31は、カソード電極21から遠ざかる方向に移動し、アノード電極24の開口部24aを介してアノード電極24の外部に出る。アノード電極24の外部に出たプラズマ31は、コイル25から発生する磁場により成膜室11に向けて搬送される。図3中の矢印はプラズマ31の移動方向を示している。
【0030】
一方、アーク放電により発生したドロップレットも、アノード電極24の開口部24aを介してアノード電極24の外側に出る。しかし、ドロップレットは電荷をもたないか、又は質量に比べて小さい電荷しかもたないため、コイル25の磁場では殆ど進行方向が変化せず、成膜室11とは無関係な方向に飛散する。そして、最終的にプラズマ室12の内壁面(ドロップレット補足部材)により捕捉される。
【0031】
コイル25により生成される磁場の強度を適切に調整することで、成膜に必要なプラズマ粒子(炭素イオン)の軌道を大きく曲げて成膜室11に搬送し、かつドロップレットをプラズマ室12の壁面で捕捉することが可能になる。
【0032】
また、アーク放電にともなってカソード電極21から成膜室11方向に放出されたドロップレットは、アノード電極24の遮蔽壁24bにより遮蔽され、成膜室11に向かうことが阻止される。
【0033】
このようにして、ドロップレットを含まないプラズマが成膜室11に搬送され、成膜室11内に載置された基板10の表面上にドロップレットを殆ど含まない高硬度のDLC膜が形成される。
【0034】
本実施形態によれば、ドロップレットのない高硬度のDLC膜を基板(磁気記録媒体)の表面に安定的に形成することができる。これにより、磁気記録媒体及びその磁気記録媒体を使用した磁気記録装置の信頼性を大幅に向上させることができる。また、本実施形態に係る成膜装置は、比較的簡単な構造であり、装置の複雑化、大型化及び高コスト化が回避される。
【0035】
なお、本実施形態においてはプラズマ発生源20で発生したプラズマを成膜室11に直接搬送しているが、プラズマ発生源20と成膜室11との間に磁場や障壁物等により実現されるフィルターを配置し、ドロップレットをより確実に除去するようにしてもよい。
【0036】
また、本実施形態ではトリガー電極23及びアノード電極24がグラファイト(炭素)により形成されているものとしているが、トリガー電極23又はアノード電極24としてグラファイト以外の材料からなるものを使用してもよい。但し、DLC膜の純度を高くするという観点から、上述したようにトリガー電極23及びアノード電極24がいずれもグラファイト(炭素)により形成されていることが好ましい。
【0037】
更に、本実施形態ではコイル25から発生する磁場によりプラズマを成膜室11に搬送しているが、コイル25に変えて永久磁石を使用してもよい。
【0038】
以下、図1,図2に示す構造の本実施形態の装置を使用して実際にDLC膜を形成し、ドロップレットの有無とDLC膜の硬度とを調べた結果について説明する。
【0039】
Teoらの文献(非特許文献1)によれば、DLC膜中にグラファイトの粒子が局所的に存在すると、DLC膜の光学ギャップが減少する。これは、光学ギャップの大きさを測定することで、DLC膜にドロップレットが付着しているか否かを判定できることを意味している。
【0040】
そこで、実施例として、本実施形態に係る成膜装置を使用してMgF2基板上にDLC膜を30nmの厚さに形成し、そのDLC膜の可視吸収スペクトルをスペクトロメーター(日立製作所製U3200スペクトロフォトメーター)で透過法により測定し、吸光計数(α(E))と光エネルギー(E)とをTaucプロット((α(E)E)1/2vs.E)して、プロットの傾きと切片とから光学ギャップを算出した。その結果、本実施形態に係る成膜装置により形成したDLC膜の光学ギャップは3.65eVであった。なお、成膜条件は下記表1の通りである。
【0041】
【表1】

また、本実施形態に係る成膜装置を使用して、Si基板上にDLC膜を30nmの厚さに形成し、そのDLC膜の硬度をHysitron社製のTriboscopeにより測定した。その結果、DLC膜の硬度は47GPaであった。
【0042】
一方、比較例として、一般的なFCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法により、MgF2基板及びSi基板の上にDLC膜を形成し、光学ギャップ及び硬度を測定した。但し、成膜室の圧力は5×10-3Pa、放電電圧は120V、放電電流は60Aとした。その結果、比較例のDLC膜の光学ギャップは2.8eVであり、硬度は49GPaであった。
【0043】
Teoらの文献(非特許文献1)から、光学ギャップが2.8eVの場合はドロップレットが比較的多く、光学ギャップが3.6eVの場合はドロップレットが極めて少ないことがわかる。これらの実施例及び比較例の光学ギャップ及び硬度の測定結果から、本実施形態に係る成膜装置により形成したDLC膜は、十分に高い硬度を有し、かつドロップレット(グラファイト粒子)が含まれていないことが確認された。
【0044】
なお、上述した実施形態では本発明を磁気記録媒体の表面のDLC膜(保護膜)の形成に適用した場合について説明したが、これにより本発明が磁気記録媒体の保護膜の形成に限定されるものでないことは勿論である。例えば、本発明を磁気ヘッドの保護膜(DLC膜)の形成に適用してもよく、DLC膜以外の膜の形成に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る成膜装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2(a),(b)は、実施形態に係る成膜装置のプラズマ発生源を示す断面図である。
【図3】図3は、図2(a)のカソード電極及びアノード電極の部分を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0046】
10…基板(磁気記録媒体)、
11…成膜室、
12…プラズマ室、
20…プラズマ発生源、
21…カソード電極、
22…絶縁層、
23…トリガー電極、
24…アノード電極、
25…コイル、
26…第1の電源、
27…第2の電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材が配置される基材配置部と、
前記基材配置部から離隔して配置され、周面に開口部が設けられた筒状のアノード電極と、
前記アノード電極の内側に配置されるカソード電極と、
前記アノード電極と前記カソード電極との間に電圧を印加してアーク放電を発生させ、前記カソード電極の周囲にプラズマを生成する電源と、
前記アノード電極の開口部を介して前記アノード電極の外側に出た前記プラズマの進行方向を磁場により曲げ、前記プラズマを前記基材配置部に向けて搬送する磁場発生部と
を有することを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記アノード電極はその中心軸を前記基材配置部に向けて配置され、前記アノード電極の前記基材配置部側の端部が閉塞されていることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記磁場発生部が、前記アノード電極を中心として放射状に配置された複数のコイルにより構成されることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記カソード電極が炭素により形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項5】
基材の面上にプラズマ中に含まれるイオンを堆積させて膜を形成する成膜方法において、
周面に開口部が設けられた筒状のアノード電極の内側にカソード電極を配置し、前記アノード電極と前記カソード電極との間に電力を供給してアーク放電を発生させ、前記カソード電極の周囲にプラズマを生成する工程と、
前記アノード電極の開口部から出た前記プラズマの進行方向を磁場により曲げて前記基材側に搬送する工程とを有することを特徴とする成膜方法。
【請求項6】
前記カソード電極としてグラファイトを使用し、前記基材の面上にダイヤモンドライクカーボン膜を形成することを特徴とする請求項5に記載の成膜方法。
【請求項7】
周囲に開口部が設けられた筒状のアノード電極と該アノード電極の内側に配置されたカソード電極との間に電力を供給してアーク放電を発生させ、前記カソード電極の周囲にプラズマを生成し、
前記アノード電極の開口部から出た前記プラズマの進行方向を磁場により曲げて、該プラズマに含まれるイオンを磁気記録媒体上に堆積する工程を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
【請求項8】
周囲に開口部が設けられた筒状のアノード電極と該アノード電極の内側に配置されたカソード電極との間に電力を供給してアーク放電を発生させ、前記カソード電極の周囲にプラズマを生成し、
前記アノード電極の開口部から出た前記プラズマの進行方向を磁場により曲げて、該プラズマに含まれるイオンを磁気記録媒体上に堆積する工程を有することを特徴とする磁気記録装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−155694(P2009−155694A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336099(P2007−336099)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】