成膜装置
【課題】芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとの熱重合反応により成膜されるポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる成膜装置を提供する。
【解決手段】成膜容器60内で基板を保持する基板保持部44と、基板保持部44に保持されている基板を加熱する基板加熱部62と、成膜容器60内に設けられるとともに、第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給するための供給孔75が形成された、供給管73aを含み、供給孔75を介して成膜容器60内に第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給する供給機構70と、基板保持部44と基板加熱部62と供給機構70とを制御する制御部90とを有する。制御部90は、供給機構70により第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給するとともに、基板加熱部62により、基板保持部44に保持されている基板を、熱重合反応が生ずる温度範囲に加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。
【解決手段】成膜容器60内で基板を保持する基板保持部44と、基板保持部44に保持されている基板を加熱する基板加熱部62と、成膜容器60内に設けられるとともに、第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給するための供給孔75が形成された、供給管73aを含み、供給孔75を介して成膜容器60内に第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給する供給機構70と、基板保持部44と基板加熱部62と供給機構70とを制御する制御部90とを有する。制御部90は、供給機構70により第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給するとともに、基板加熱部62により、基板保持部44に保持されている基板を、熱重合反応が生ずる温度範囲に加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に膜を成膜する成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスに用いられる材料は、近年無機材料から有機材料へと幅を広げつつあり、無機材料にはない有機材料の特質等から半導体デバイスの特性や製造プロセスをより最適なものとすることができる。
【0003】
このような有機材料の1つとして、ポリイミドが挙げられる。ポリイミドは密着性が高く、リーク電流も低い。従って、基板の表面にポリイミドを成膜して得られるポリイミド膜は、絶縁膜として用いることができ、半導体デバイスにおける絶縁膜として用いることも可能である。
【0004】
このようなポリイミド膜を成膜する方法としては、原料モノマーとして例えばピロメリット酸二無水物(Pyromellitic Dianhydride、以下「PMDA」と略す。)と、例えば4,4'−オキシジアニリン(4,4'-Oxydianiline、以下「ODA」と略す。)を含む4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを用いた蒸着重合による成膜方法が知られている。蒸着重合は、原料モノマーとして用いられるPMDA及びODAを基板の表面で熱重合反応させる方法である(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、PMDA及びODAのモノマーを気化器で蒸発させ、蒸発させたそれぞれの蒸気を蒸着重合室に供給し、基板上で蒸着重合させてポリイミド膜を成膜する成膜方法が開示されている。
【0005】
蒸着重合を用いて膜質に優れたポリイミド膜を安価かつ短時間で成膜するためには、気化したPMDA(以下「PMDAガス」という。)と、気化したODA(以下「ODAガス」という。)とを、継続的に一定量で基板に供給する必要がある。従って、ポリイミド膜を成膜する成膜装置においては、PMDAガスとODAガスとよりなる原料ガスを成膜容器内に供給する供給機構が設けられていることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4283910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなPMDAガスとODAガスを基板に供給してポリイミド膜を成膜する成膜装置には、以下のような問題がある。
【0008】
PMDAガスとODAガスとを供給することによって基板の表面にポリイミド膜を成膜するためには、PMDAのモノマーとODAのモノマーとが基板の表面で熱重合反応することが必要である。しかし、基板の温度が変動すると、ポリイミド膜の成膜速度が変動し、基板の面内におけるポリイミド膜の膜厚、膜質等の均一性に劣るという問題がある。
【0009】
また、上記した課題は、PMDAガスを含む芳香族酸二無水物よりなる原料ガス、及び、ODAガスを含む芳香族ジアミンよりなる原料ガスを基板に供給してポリイミド膜を成膜する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとの熱重合反応により成膜されるポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる成膜装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、芳香族酸二無水物よりなる第1の原料ガスと、芳香族ジアミンよりなる第2の原料ガスとを、成膜容器内に保持されている基板に供給し、供給した前記第1の原料ガスと前記第2の原料ガスとを前記基板の表面で熱重合反応させることによって、前記基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置において、前記成膜容器内で基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持されている基板を加熱する基板加熱部と、前記成膜容器内に設けられるとともに、前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するための供給孔が形成された、供給管を含み、前記供給孔を介して前記成膜容器内に前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給する供給機構と、前記基板保持部と前記基板加熱部と前記供給機構とを制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記供給機構により前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するとともに、前記基板加熱部により、前記基板保持部に保持されている基板を、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御するものである、成膜装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとの熱重合反応により成膜されるポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る成膜装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】ローディングエリアを概略的に示す斜視図である。
【図3】前のバッチのウェハWが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチのウェハWの状態を示す図である。
【図4】ボートの一例を概略的に示す斜視図である。
【図5】ボートに複板ユニットが搭載されている状態を示す断面図である。
【図6】移載機構の一例を概略的に示す側面図である。
【図7】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図である(その1)。
【図8】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図である(その2)。
【図9】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図である(その3)。
【図10】下側フォークが支持環を介して2枚のウェハWを搭載しているときに、上側フォークが上側のウェハWを掴んでいる部分を拡大して示す断面図である。
【図11】成膜容器、供給機構及び排気機構の構成の概略を示す断面図である。
【図12】インジェクタの一例を示す側面図である。
【図13】図12のA−A線に沿う断面図である。
【図14】図12に示すインジェクタの正面図である。
【図15】第1の実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図16】ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度及び成膜速度の面内ばらつきのウェハ温度依存性を模式的に示すグラフである。
【図17】供給管加熱機構の温度を変えた場合において、ボートに保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度(膜厚)を示すグラフである。
【図18】比較例において、ボートに保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度(膜厚)を、成膜速度の面内ばらつき、ウェハ温度とともに示すグラフである。
【図19】第1の実施の形態の第1の変形例に係るインジェクタを示す側面図である。
【図20】図19のA−A線に沿う断面図である。
【図21】図19に示すインジェクタの正面図である。
【図22】第1の実施の形態の第2の変形例に係るインジェクタを示す側面図である。
【図23】第2の実施の形態に係る成膜装置を概略的に示す縦断面図である。
【図24】成膜容器、供給機構及び排気機構の構成の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
最初に、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置について説明する。本実施の形態に係る成膜装置は、芳香族酸二無水物よりなる第1の原料を気化した第1の原料ガスと、芳香族ジアミンよりなる第2の原料を気化した第2の原料ガスとを、成膜容器内に設置されている基板に供給することによって、基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置である。
【0016】
なお、芳香族酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)であることが好ましく、芳香族ジアミンは、例えば4,4'−オキシジアニリン(ODA)を含む4,4'−ジアミノジフェニルエーテルであることが好ましい。また、ポリイミド膜を成膜する基板を、例えば半導体ウェハ(以下「ウェハW」という。)とすることができる。以下では、一例として、気化したPMDAガスと、気化したODAガスとを、成膜容器内に設置されているウェハWに供給することによって、ウェハWにポリイミド膜を成膜する成膜装置について説明する。
【0017】
最初に、図1から図6を参照し、本発明の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る成膜装置10を概略的に示す縦断面図である。図2は、ローディングエリア40を概略的に示す斜視図である。図3は、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチ(バッチ2)のウェハWの状態を示す図である。図4は、ボート44の一例を概略的に示す斜視図である。図5は、ボート44に複板ユニット56が搭載されている状態を示す断面図である。図6は、移載機構47の一例を概略的に示す側面図である。
【0019】
成膜装置10は、載置台(ロードポート)20、筐体30、及び制御部90を有する。
【0020】
載置台(ロードポート)20は、筐体30の前部に設けられている。筐体30は、ローディングエリア(作業領域)40及び成膜容器60を有する。ローディングエリア40は、筐体30内の下方に設けられており、成膜容器60は、筐体30内であってローディングエリア40の上方に設けられている。また、ローディングエリア40と成膜容器60との間には、ベースプレート31が設けられている。なお、後述する供給機構70は、成膜容器60に接続されるように設けられている。
【0021】
ベースプレート31は、成膜容器60の後述する反応管61を設置するための例えばSUS製のベースプレートであり、反応管61を下方から上方に挿入するための図示しない開口部が形成されている。
【0022】
載置台(ロードポート)20は、筐体30内へのウェハWの搬入搬出を行うためのものである。載置台(ロードポート)20には、収納容器21が載置されている。収納容器21は、前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた、複数枚例えば50枚程度のウェハを所定の間隔で収納可能な密閉型収納容器(フープ)である。
【0023】
また、本実施の形態では、載置台(ロードポート)20は、筐体30内への後述する支持環(サポートリング)55の搬入搬出を行うためのものであってもよい。載置台(ロードポート)20には、収納容器22が載置されていてもよい。収納容器22は、前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた、複数枚例えば25枚程度の後述する支持環55を所定の間隔で収納可能な密閉型収納容器(フープ)である。
【0024】
また、載置台20の下方には、後述する移載機構47により移載されたウェハWの外周に設けられた切欠部(例えばノッチ)を一方向に揃えるための整列装置(アライナ)23が設けられていてもよい。
【0025】
ローディングエリア(作業領域)40は、収納容器21と後述するボート44との間でウェハWの移載を行い、ボート44を成膜容器60内に搬入(ロード)し、ボート44を成膜容器60から搬出(アンロード)するためのものである。ローディングエリア40には、ドア機構41、シャッター機構42、蓋体43、ボート44、基台45a、45b、昇降機構46、及び移載機構47が設けられている。
【0026】
なお、蓋体43及びボート44は、本発明における基板保持部に相当する。
【0027】
ドア機構41は、収納容器21、22の蓋を取外して収納容器21、22内をローディングエリア40内に連通開放するためのものである。
【0028】
シャッター機構42は、ローディングエリア40の上方に設けられている。シャッター機構42は、蓋体43を開けているときに、後述する成膜容器60の開口63から高温の炉内の熱がローディングエリア40に放出されるのを抑制ないし防止するために開口63を覆う(又は塞ぐ)ように設けられている。
【0029】
蓋体43は、保温筒48及び回転機構49を有する。保温筒48は、蓋体43上に設けられている。保温筒48は、ボート44が蓋体43側との伝熱により冷却されることを防止し、ボート44を保温するためのものである。回転機構49は、蓋体43の下部に取り付けられている。回転機構49は、ボート44を回転するためのものである。回転機構49の回転軸は蓋体43を気密に貫通し、蓋体43上に配置された図示しない回転テーブルを回転するように設けられている。
【0030】
昇降機構46は、ボート44のローディングエリア40から成膜容器60に対する搬入、搬出に際し、蓋体43を昇降駆動する。そして、昇降機構46により上昇させられた蓋体43が成膜容器60内に搬入されているときに、蓋体43は、後述する開口63に当接して開口63を密閉するように設けられている。そして、蓋体43に載置されているボート44は、成膜容器60内でウェハWを水平面内で回転可能に保持することができる。
【0031】
なお、成膜装置10は、ボート44を複数有していてもよい。以下、本実施の形態では、図2を参照し、ボート44を2つ有する例について説明する。
【0032】
ローディングエリア40には、ボート44a、44bが設けられている。そして、ローディングエリア40には、基台45a、45b及びボート搬送機構45cが設けられている。基台45a、45bは、それぞれボート44a、44bが蓋体43から移載される載置台である。ボート搬送機構45cは、ボート44a、44bを、蓋体43から基台45a、45bに移載するためのものである。
【0033】
図3に示すように、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが搭載されたボート44aが成膜容器60に搬入され、成膜処理されている時に、ローディングエリア40において、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを収納容器21からボート44bへ移載することができる。これにより、前のバッチ(バッチ1)のウェハWの成膜工程が終了し、成膜容器60からボート44aを搬出した直後に、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを搭載したボート44bを成膜容器60に搬入することができる。その結果、成膜処理に要する時間(タクト時間)を短縮することができ、製造コストを低減することができる。
【0034】
ボート44a、44bは、例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウェハWを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。ボート44a、44bは、例えば図4に示すように、天板50と底板51の間に複数本例えば3本の支柱52を介設してなる。支柱52には、ウェハWを保持するための爪部53が設けられている。また、支柱52と共に補助柱54が適宜設けられていてもよい。
【0035】
また、ボート44a、44bは、上下に隣り合うウェハWの裏面同士が対向するか、又は、上下に隣り合うウェハWの表面同士が対向するとともに、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔よりも狭くなるように、複数のウェハWを上下方向に保持するものであってもよい。以下、本実施の形態では、上下に隣り合うウェハWが支持環(サポートリング)55を介して裏面同士が対向するようにボート44a、44bに搭載される例について説明する。
【0036】
図5に示すように、ボート44a、44bの爪部53には、2枚のウェハWを支持するように構成される複板ユニット56が保持されていてもよい。複板ユニット56は、支持環(サポートリング)55によりウェハWの周縁部を支持することによって、2枚のウェハWを、裏面同士が対向するように支持する。1つの複板ユニット56における裏面同士が対向するように支持される2枚のウェハWの間隔をPaとし、複板ユニット56が上下方向に保持される間隔、すなわち爪部53の間隔をPbとする。このとき、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、Pb−Paである。このような配置のとき、PaがPb−Paよりも小さくなるようにすることが好ましい。すなわち、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔Paが、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)よりも狭くなるように、上下方向に複数保持されることが好ましい。
【0037】
支持環55は、ウェハWと同一又はウェハWよりも少し大きい内径を有する円環部55aと、円環部55aの上端及び下端の部分を除き、円環部55aの内周に沿って中心側に、2枚のウェハWの間隔を埋めるように設けられたスペーサ部55bとを有している。スペーサ部55bは、成膜容器60内で成膜処理される際に、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの隙間を塞ぐためのものである。そして、スペーサ部55bは、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの隙間に原料ガスが入り込み、ウェハWの裏面に膜が成膜されることを防止するためのものである。支持環55は、例えば石英製である。
【0038】
なお、支持環55のスペーサ部55bは、本発明における塞ぎ部材に相当する。
【0039】
図5に示すように、爪部53には、裏面Wbを上面(すなわち表面Waを下面)にしたウェハWが支持されている。爪部53に支持されているウェハWの上方には、円環部55aの下面が爪部53に接触している状態で、支持環55が支持されている。そして、支持環55のスペーサ部55bには、裏面Wbを下面(すなわち表面Waを上面)にしたウェハWが支持されている。
【0040】
ここで、1つの複板ユニット56における裏面同士が対向するように支持される2枚のウェハWの間隔Paを例えば2mmとし、複板ユニット56が上下方向に保持される間隔(爪部53の間隔)Pbを例えば11mmとすることができる。すると、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)を9mmとすることができる。一方、ボート44のウェハ搭載枚数を変えずに全てのウェハWの間隔が等しくなるように支持するときは、上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、11mmの半分の5.5mmであり、9mmよりも小さい。従って、複板ユニット56を用いて裏面同士が対向するようにウェハWを支持することにより、一のウェハWの表面Waと他のウェハWの表面Waとの隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面Waに十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0041】
移載機構47は、収納容器21、22とボート44a、44bの間でウェハW又は支持環55の移載を行うためのものである。移載機構47は、基台57、昇降アーム58、及び、複数のフォーク(移載板)59を有する。基台57は、昇降及び旋回可能に設けられている。昇降アーム58は、ボールネジ等により上下方向に移動可能(昇降可能)に設けられ、基台57は、昇降アーム58に水平旋回可能に設けられている。
【0042】
また、一例として、移載機構47は、水平動可能な下側フォーク59a、及び、水平動可能であるとともに上下反転可能な上側フォーク59bを有していてもよい。このような移載機構47の一例を、図6の側面図に示す。
【0043】
下側フォーク59aは、移動体59cにより、複板ユニット56を搭載するボート44a、44bに向けて進退可能に設けられており、ボート44a、44bとの間で複板ユニット56を受け渡しするためのものでもある。一方、上側フォーク59bは、移動体59dにより、水平動可能に設けられているとともに、ウェハWを収納する収納容器21に向けて進退可能に設けられており、収納容器21との間でウェハWを受け渡しするためのものである。また、上側フォーク59bは、移動体59dにより、支持環55を収納する収納容器22に向けて進退可能に設けられており、収納容器22との間で支持環55を受け渡しするためのものである。
【0044】
なお、移載機構47は、複数枚の下側フォーク59a及び複数枚の上側フォーク59bを有していてもよい。
【0045】
図7から図9は、移載機構47が複板ユニット56を構成して搬送する手順を示す側面図である。まず、上側フォーク59bが収納容器21内に前進し、収納容器21に収納されているウェハWを受け取って収納容器21内から後退し、ウェハWを保持したまま上下反転し、下側フォーク59aに下側のウェハWとして受け渡す(図7)。次に、上側フォーク59bが上下反転した状態で収納容器22に前進し、収納容器22に収納されている支持環55を受け取って収納容器22内から後退し、下側フォーク59aが保持している下側のウェハWの上に支持環55を載置する(図8)。次に、上側フォーク59bが上下反転した状態で収納容器21内に前進し、収納容器21に収納されているウェハWを受け取って収納容器21内から後退し、下側フォーク59aが保持している支持環55の上に上側のウェハWとして載置する(図9)。
【0046】
図10は、下側フォーク59aが支持環55を介して2枚のウェハWを搭載しているときに、上側フォーク59bが上側のウェハWを掴んでいる部分を拡大して示す断面図である。なお、図10では、下側フォーク59aの図示を省略している。
【0047】
支持環55を構成する円環部55a及びスペーサ部55bであって、上側フォーク59bが2枚目のウェハWを載置する際に支持環55に接触するおそれがある部分には、図10に示すように、上側フォーク59bの爪部59eと干渉しないように切り欠き部55c、55dが設けられていてもよい。ただし、切り欠き部55c、55dが設けられている部分においても、スペーサ部55bが、2枚のウェハWの隙間を塞ぐように設けられていることが好ましい。これにより、裏面同士が対向するように搭載されている2枚のウェハWの間に原料ガスが入り込み、ウェハWの裏面に成膜されることを確実に防止できる。
【0048】
図11は、成膜容器60、供給機構70及び排気機構85の構成の概略を示す断面図である。
【0049】
成膜容器60は、例えば、複数枚の被処理基板例えば薄板円板状のウェハWを収容して所定の処理例えばCVD処理等を施すための縦型炉とすることができる。成膜容器60は、反応管61、及びヒータ(基板加熱部)62を有する。
【0050】
反応管61は、例えば石英製であり、縦長の形状を有しており、下端に開口63が形成されている。ヒータ(基板加熱部)62は、反応管61の周囲を覆うように設けられているとともに、加熱制御部62aを有しており、加熱制御部62aにより、反応管61内を所定の温度例えば300〜1200℃に加熱制御可能である。なお、後述するように、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分け、ゾーン毎に独立して温度制御するようにしてもよい。
【0051】
供給機構70は、原料ガス供給部71、及び、成膜容器60内に設けられたインジェクタ72を含む。インジェクタ72は、供給管73aを含む。原料ガス供給部71は、インジェクタ72の供給管73aに接続されている。
【0052】
本実施の形態では、供給機構70は、第1の原料ガス供給部71a及び第2の原料ガス供給部71bを有していてもよい。このとき、第1の原料ガス供給部71a及び第2の原料ガス供給部71bは、インジェクタ72(供給管73a)に接続されている。第1の原料ガス供給部71aは、例えばPMDA原料を気化するための第1の気化器74aを有し、PMDAガスを供給することができる。また、第2の原料ガス供給部71bは、例えばODA原料を気化するための第2の気化器74bを有し、ODAガスを供給することができる。
【0053】
図12は、インジェクタ72の一例を示す側面図である。また、図13は、図12のA−A線に沿う断面図である。図14は、図12に示すインジェクタ72の正面図である。なお、図14は、インジェクタ72をボート44側から視た正面図を示す。
【0054】
供給管73aには成膜容器60内に開口する供給孔75が形成されている。インジェクタ72は、原料ガス供給部71から供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、供給孔75を介して成膜容器60内に供給する。
【0055】
また、本実施の形態は、ボート44が複数のウェハWを上下方向に所定の間隔で保持する例について説明するものである。このとき、供給管73aは、上下方向に延在するように設けられていてもよい。そして、供給管73aには、複数の供給孔75が形成されていてもよい。
【0056】
なお、供給孔75の形状は、円形、楕円形、矩形等各種の形状であってもよい。
【0057】
インジェクタ72は、内側供給管73bを含むことが好ましい。内側供給管73bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも上流側の部分に収容されていてもよい。そして、内側供給管73bの下流側の端部付近には、供給管73aの内部空間に第1の原料ガス及び第2の原料ガスのいずれか一方の原料ガスを供給するための開口76が形成されていてもよい。このような構造を有する内側供給管73bを含むことによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを供給孔75から成膜容器60内に供給する前に、予め供給管73aの内部空間において第1の原料ガスと第2の原料ガスとを十分混合させることができる。
【0058】
なお、以下では、供給管73aに第1の原料ガスを供給し、内側供給管73bに第2の原料ガスを供給する場合を例示して、説明する。しかし、内側供給管73bに第1の原料ガスを供給し、供給管73aに第2の原料ガスを供給してもよい。
【0059】
また、開口76の形状は、円形、楕円形、矩形等各種の形状であってもよい。
【0060】
本実施の形態は、ボート44が複数のウェハWを上下方向に所定の間隔で保持する例について説明するものである。このとき、供給管73aとともに、内側供給管73bも、上下方向に延在するように設けられていてもよい。更に、下方側を上流側、上方側を下流側とするときは、内側供給管73bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも下方側の部分において、供給管73aの内部に収容されるように設けられていてもよい。そして、内側供給管73bの上端部付近には、供給管73aの内部空間と連通するための開口76が設けられていてもよい。
【0061】
供給機構70は、例えば供給管73aに第1の原料ガスを流すとともに、内側供給管73bに第2の原料ガスを流す。そして、内側供給管73bを流れる第2の原料ガスを、開口76を介して供給管73aに合流させ、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを混合させた状態で、供給孔75を介して成膜容器60内に供給する。
【0062】
図13に示すように、内側供給管73bの延在する方向(上下方向)に垂直な断面(水平断面)において、内側供給管73bの周方向に複数の開口76が形成されていてもよい。いずれの開口76も、供給管73aの延在する方向に垂直な断面視で(平面視で)、供給管73aに供給孔75が形成されている方向と異なる方向を向くように形成されていることが好ましい。すなわち、いずれの開口76も、ウェハWに向かう方向と異なる方向を向くように形成されていることが好ましい。このように開口76を配置することによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを均一に混合した状態で供給孔75から吐出することができる。
【0063】
図13に示す例では、内側供給管73bの周方向に等配に4つの開口76が形成されており、それぞれの開口76が形成されている方向は、供給孔75が形成されている方向に対して45°、135°、225°、315°の角度をなすことが好ましい。このように開口76を配置することによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを更に均一に混合した状態で供給孔75から吐出することができる。
【0064】
供給管73aの外径を例えば33mmとし、内径を例えば29mmとし、供給孔75の孔径を例えば2mmとし、形成された供給孔75の数を例えば10とする。そして、内側供給管73bの外径を例えば22mmとし、内径を例えば18mmとし、45°等配に形成された開口76の孔径を例えば10mmとすることができる。
【0065】
インジェクタ72は、供給管73aを加熱する供給管加熱機構77を含むものであってもよい。図12から図14に示すように、供給管加熱機構77は、ヒータ78、温度センサ79、及び加熱制御部80を有している。供給管加熱機構77は、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱するためのものである。
【0066】
ヒータ78は、例えば抵抗発熱体よりなる。加熱制御部80は、温度センサ79により温度を計測し、計測した温度、及び、後述する制御部90により予め設定した設定温度に基づいて、ヒータ78に供給する電力を決定し、決定した電力をヒータ78に供給する。これにより、供給管73aを設定温度に加熱することができる。
【0067】
一例として、図12から図14に示すように、ヒータ78は、供給管73aのボート44側と反対側に設けることができる。これにより、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止できる。また、温度センサ79も、供給管73aのボート44側と反対側に設けることができる。これにより、加熱されているウェハWからの影響を受けずに、供給管73aの温度を測定することができる。
【0068】
このように、供給管73aを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱することによって、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱することができる。一方、図16を用いて後述するように、所定の温度範囲内では、温度の上昇に伴って成膜速度が減少する。従って、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを抑制できる。
【0069】
更に、供給機構70は、上下方向に配置された、互いに独立に温度制御可能な複数の供給管加熱機構77a、77bを含むものであってもよい。複数の供給管加熱機構77a、77bは、それぞれ、ヒータ78a、78b、温度センサ79a、79b、及び加熱制御部80a、80bを備えることができる。一例として、図12から図14には、供給機構70が、上下方向に配置された、互いに独立に温度制御可能な2つの供給管加熱機構、すなわち上側の供給管加熱機構77a、及び、下側の供給管加熱機構77bを含む場合を示している。
【0070】
上側の供給管加熱機構77aは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分を加熱するように配置されている。また、下側の供給管加熱機構77bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも下側の部分を加熱するように配置されている。
【0071】
一例として、図12から図14に示すように、上側のヒータ78aは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分のボート44側と反対側に設けることができる。これにより、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77aにより加熱されることを抑制できる。また、上側の温度センサ79aも、供給管73aのボート44側と反対側に設けることができる。これにより、必要以上に供給管加熱機構77aに電力を投入することなく、供給管73aを加熱することができる。
【0072】
供給管73aの、下側のヒータ78bが設置される部分には、供給孔75が形成されていない。そのため、下側のヒータ78bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも下側の部分の周囲を囲むように設けてもよい。また、下側の温度センサ79bは、加熱される供給管73aに近い位置に設置されていればよい。
【0073】
このように設けられた、上側の供給管加熱機構77a及び下側の供給管加熱機構77bにより、供給管73aを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱する。これにより、供給管73aのいずれの部分を流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスも、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱される。従って、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを更に抑制できる。
【0074】
図11に示すように、排気機構85は排気装置86を含む。排気機構85は、成膜容器60内からガスを排気するためのものである。
【0075】
制御部90は、例えば、図示しない演算処理部、記憶部及び表示部を有する。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、ボート44(基板保持部)、ヒータ(基板加熱部)62の加熱制御部62a、供給機構70、供給管加熱機構77の加熱制御部80、及び、排気機構85を構成する各部に制御信号を送り、後述するような成膜処理を実行する。
【0076】
そして、制御部90は、供給機構70により第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給するとともに、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、成膜するポリイミド膜の成膜速度を制御する。
【0077】
次に、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理について説明する。図15は、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0078】
成膜処理開始後、ステップS11では、成膜容器60にウェハWを搬入する(搬入工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばローディングエリア40において、移載機構47により収納容器21からボート44aへウェハW(複板ユニット56)を搭載し、ウェハW(複板ユニット56)を搭載したボート44aをボート搬送機構45cにより蓋体43に載置することができる。そして、ボート44aを載置した蓋体43を昇降機構46により上昇させて成膜容器60内に挿入することにより、ウェハWを搬入することができる。
【0079】
次に、ステップS12では、成膜容器60の内部を減圧する(減圧工程)。排気装置86の排気能力又は排気装置86と成膜容器60との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、成膜容器60を排気する排気量を増大させる。そして、成膜容器60の内部を所定圧力例えば大気圧(760Torr)から例えば0.3Torrに減圧する。
【0080】
次に、ステップS13では、ポリイミド膜を成膜する(成膜工程)。
【0081】
第1の流量F1で第1の原料ガス供給部71aから第1の原料ガスを供給管73aに流し、第2の流量F2で第2の原料ガス供給部71bから第2の原料ガスを内側供給管73bに流すことによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスを所定の混合比で混合させた状態で成膜容器60内に供給する。そして、ウェハWの表面でPMDAとODAを熱重合反応させ、ポリイミド膜を成膜する。
【0082】
このときの、PMDAとODAとの熱重合反応は、次の式(1)に従う。
【0083】
【化1】
ウェハWの温度が、式(1)に示す熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)にあるときは、ウェハWの温度の上昇に伴って成膜速度は減少する。熱重合反応が生ずる温度範囲においてウェハWの温度の上昇に伴って成膜速度が減少する原因の一例として、ウェハの表面におけるPMDAガスの平均滞在時間がODAガスの平均滞在時間よりも小さいことが考えられる。
【0084】
平均滞在時間を、PMDAモノマー及びODAモノマーがウェハに吸着する時間の平均である平均吸着時間と仮定する。平均吸着時間τは、脱離活性化エネルギーをEdとし、ウェハ表面に垂直な方向の分子の振動数をτ0とするとき、
τ=τ0exp(Ed/RT) (2)
により求めることができる。ここで、PMDAモノマーの脱離活性化エネルギーEdを100kJ/mol、ODAモノマーの脱離活性化エネルギーEdを170kJ/molとすることができる。
【0085】
表1は、20℃、140℃、200℃の各ウェハ温度におけるPMDAガスの平均滞在時間(平均吸着時間)及びODAガスの平均滞在時間(平均吸着時間)を式(2)により求めた結果である。
【0086】
【表1】
表1に示すように、PMDAガスの平均滞在時間、及び、ODAガスの平均滞在時間は、20℃、140℃、200℃の各ウェハ温度において大きく異なる。そのため、式(1)の反応式に従う熱重合反応は、ウェハ温度に伴って大きく変動し、ポリイミド膜の成膜速度も変動する。従って、ポリイミド膜を連続して安定に成膜するためには、ウェハWの温度を制御することが重要である。
【0087】
本実施の形態では、ウェハWの温度を所定の温度範囲(例えば200℃程度)に制御することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御することができる。これにより、ポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、供給管加熱機構77の設定温度をウェハWの温度より高い240〜280℃の高い温度範囲に制御する。これにより、ポリイミド膜が供給管73aの内部に堆積することを抑制できる。その結果、供給管73aの上端まで原料ガスが行き渡り、複数の供給孔75から原料ガスを均一に成膜容器60内に供給することができるので、各ウェハの成膜速度を一定にすることができる。
【0089】
更に、本実施の形態では、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ボート44に搭載されている各ウェハの温度を均一にすることができる。以下、この作用効果について説明する。
【0090】
図16は、ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度及び成膜速度の面内ばらつきのウェハ温度依存性を模式的に示すグラフである。また、以下、図16の説明において、成膜速度とは、ウェハ面内における成膜速度の平均値を意味する。
【0091】
図16に示すように、ウェハ温度Tが温度Toptより高い温度領域では、ウェハ温度の上昇に伴って、成膜速度の面内ばらつきは減少するものの成膜速度が減少する。一方、ウェハ温度Tが温度Toptより低い温度領域では、ウェハ温度の低下に伴って、成膜速度の面内ばらつきが著しく増大する結果、成膜速度が温度Toptにおける値よりも増加することはない。その結果、成膜速度を向上させるとともに成膜速度の面内ばらつきを低減するためには、ウェハ温度には最適な温度Toptがある。すなわち、各温度のウェハ温度が所定の温度Toptに等しくなるように制御することが好ましい。
【0092】
これと同様に、供給管加熱機構77の温度を制御することによっても、成膜速度を向上させるとともにウェハ毎の成膜速度のばらつきを低減することができる。
【0093】
一例として、図17を参照し、供給管加熱機構77の温度を240℃、260℃、280℃としたときの、各ウェハの成膜速度を示す。
【0094】
図17は、供給管加熱機構77の温度を変えた場合において、ボート44に保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度を示すグラフである。なお、図17の縦軸には、成膜速度として、所定時間成膜工程を行ったときに成膜されるポリイミド膜の膜厚を示している。また、図17の横軸には、ボート44に保持されているウェハWの番号を、最上段側から最下段側に向かって1、2、3…と番号が増加するように番号付けして示している。
【0095】
また、図17において、ウェハ番号が3から55までの53枚を「53枚領域」とし、ウェハ番号が11から47までの37枚を「37枚領域」とする。「53枚領域」のウェハは、ボートにおける「37枚領域」の上下両側に搭載されているウェハを含む。そして、ウェハ温度を変えた場合における、「53枚領域」及び「37枚領域」における各ウェハのポリイミド膜の膜厚(成膜速度)のばらつきを、最大値と最小値の差として、表2に百分率で示す。
【0096】
【表2】
図17に示すように、供給管加熱機構77の温度が280℃、260℃、240℃と低下するのに伴って、「37枚領域」における成膜速度は増加する。しかし、図17及び表2に示すように、「37枚領域」における各ウェハの成膜速度のばらつきが最小になるのは、260℃になるときである。従って、成膜速度を向上させるとともにウェハ毎の成膜速度のばらつきを低減させるには、260℃が最適である。このように、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0097】
なお、供給管加熱機構77が、上側の供給管加熱機構77a、下側の供給管加熱機構77bを有するときは、上側の供給管加熱機構77a、下側の供給管加熱機構77bを独立に温度制御することによって、更に、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0098】
ただし、表2に示すように、供給管加熱機構77の温度が260℃であるときでも、ウェハ毎の成膜速度のばらつきは、「37枚領域」では±3.7%に減少しているものの、「53枚領域」ではなお±5.5%であり、ウェハ毎の成膜速度の若干のばらつきは残る。
【0099】
従って、本実施の形態では、更に、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分け、ゾーン毎に独立して温度制御するようにしてもよい。このとき、供給管加熱機構77により温度制御することに加え、複数のゾーン毎にヒータ(基板加熱部)62により温度制御することになる。これにより、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが更に低減するように制御できる。
【0100】
ただし、供給管加熱機構77を用いずに、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分割しただけでは、各ウェハにおける成膜速度を均一にはできない。以下、図18を参照し、供給管加熱機構77を用いずに、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分割した場合を比較例として説明する。図18は、比較例において、ボート44に保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度を、成膜速度の面内ばらつき、ウェハ温度とともに示すグラフである。また、図18では、インジェクタ72が設けられている成膜容器60の内部に収容されたボート44を、ボート44の最上段側が左側に、最下段側が右側になるように、グラフの上側に図示している。図18では、ヒータ(基板加熱部)62を最上段側から最下段側に向かって、I、II、III、IV、Vの5つのゾーンに分割した例を示している。
【0101】
なお、図18のグラフの縦軸にも、図17と同様に、成膜速度として、所定時間成膜工程を行ったときに成膜されるポリイミド膜の膜厚を示している。また、図18のグラフの横軸にも、図17と同様に、ボート44に保持されているウェハWの番号を、最上段側から最下段側に向かって1、2、3…と番号が増加するように番号付けして示している。
【0102】
図18に示すように、ウェハWの番号が50を超える領域では、ウェハWの番号の増加に伴って、成膜速度が一旦増加した後、再び減少する。これは、ボート44の最下段側に保持されているウェハWの温度が、保温筒48等の熱の影響を受けて変動するためと考えられる。
【0103】
一方、本実施の形態によれば、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。また、上側の供給管加熱機構77a、下側の供給管加熱機構77bを独立に温度制御することによって、更に、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0104】
また、本実施の形態では、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔よりも狭くなるように、複数のウェハWを上下方向に保持することができる。これにより、ボート44のウェハ搭載枚数を等しくした状態で、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔を増加することが可能となる。その結果、一のウェハWの表面と他のウェハWの表面との隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面に十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、支持環55は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの隙間を塞ぐように設けられたスペーサ部55bを有することができる。これにより、成膜容器60内で成膜処理される際に、裏面同士が対向する2枚のウェハWの間に原料ガスが入り込み、ウェハWの裏面に成膜されることを防止することができる。
【0106】
次に、ステップS14では、第1の原料ガス供給部71aからのPMDAガスの供給及び第2の原料ガス供給部71bからのODAガスの供給を停止し、成膜容器60の内部を大気圧に復圧する(復圧工程)。排気装置86の排気能力又は排気装置86と成膜容器60との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、成膜容器60を排気する排気量を減少させ、成膜容器60の内部を例えば0.3Torrから例えば大気圧(760Torr)に復圧する。
【0107】
次に、ステップS15では、成膜容器60からウェハWを搬出する(搬出工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばボート44aを載置した蓋体43を昇降機構46により下降させて成膜容器60内からローディングエリア40に搬出することができる。そして、移載機構47により、搬出した蓋体43に載置されているボート44aから収納容器21へウェハWを移載することによって、ウェハWを成膜容器60から搬出することができる。その後、成膜処理を終了する。
【0108】
なお、複数のバッチについて連続して成膜処理を行うときは、更に、ローディングエリア40において、移載機構47により収納容器21からウェハWをボート44へ移載し、再びステップS11に戻り、次のバッチの成膜処理を行う。
【0109】
前述したように、本実施の形態では、成膜装置10がボートを2つ有することができる。従って、後のバッチのステップS11を前のバッチのステップS15の直後に行うことができる。すなわち、前のバッチのステップS15の前に、後のバッチのウェハWを収納容器21からボート44bへ移載して準備することができる。そして、前のバッチのステップS15において成膜容器60からボート44aを搬出した直後に、後のバッチのウェハWを搭載したボート44bを成膜容器60に搬入することができる。これにより、成膜処理に要する時間(タクト時間)を短縮することができ、製造コストを低減することができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図19から図21を参照し、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る成膜装置について説明する。
【0110】
本変形例に係る成膜装置は、供給機構70が、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止するための遮蔽板81を含む点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。また、本変形例に係る成膜装置は、供給管加熱機構77が複数でなく一つのみである点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。それ以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様であり、説明を省略する。
【0111】
図19は、本変形例に係るインジェクタ72aを示す側面図である。また、図20は、図19のA−A線に沿う断面図である。図21は、図19に示すインジェクタ72aの正面図である。なお、図20は、インジェクタ72aをボート44側から視た正面図を示す。
【0112】
インジェクタ72aは、供給管73a及び内側供給管73bを含む。供給管73a及び内側供給管73bは、それぞれ、第1の実施の形態に係る成膜装置10における供給管73a及び内側供給管73bと同様であり、説明を省略する。
【0113】
本変形例では、インジェクタ72aは、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止するための遮蔽板81を含む。図19から図21に示すように、遮蔽板81は、供給管73aの中心の供給管加熱機構77側と反対側に設けられている。そして、遮蔽板81は、ボート44側から見てヒータ78が隠れるように設けられている。これにより、ボート44に保持されているウェハWがヒータ78により加熱されることを、更に確実に防止できる。
【0114】
また、本変形例では、供給管加熱機構77が一つのみ設けられている。このような構成を有していても、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)よりも高い温度(例えば240〜280℃)に加熱することができる。これにより、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを防止できる。
【0115】
また、本変形例でも、制御部90は、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。これにより、成膜するポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【0116】
また、本変形例でも、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。また、遮蔽板81により、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77に加熱されることを防止できるため、更に、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0117】
また、本変形例でも、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分け、ゾーン毎に独立して温度制御するようにしてもよい。このとき、供給管加熱機構77により温度制御することに加え、複数のゾーン毎にヒータ(基板加熱部)62により温度制御することになる。また、遮蔽板81によりボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止できる。これにより、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが更に低減するように制御できる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図22を参照し、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る成膜装置について説明する。
【0118】
本変形例に係る成膜装置は、供給管加熱機構77が複数でなく一つのみである点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。それ以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様であり、説明を省略する。
【0119】
図22は、本変形例に係るインジェクタ72bを示す側面図である。インジェクタ72bは、供給管73a及び内側供給管73bを含む。供給管73a及び内側供給管73bは、それぞれ、第1の実施の形態に係る成膜装置10における供給管73a及び内側供給管73bと同様であり、説明を省略する。
【0120】
本変形例では、供給管加熱機構77が一つのみ設けられている。このような構成を有していても、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)よりも高い温度(例えば240〜280℃)に加熱することができる。これにより、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを防止できる。
【0121】
また、本変形例でも、制御部90は、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。これにより、成膜するポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図23及び図24を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
【0122】
本実施の形態に係る成膜装置10aは、ボートが1つである点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。また、本実施の形態に係る成膜装置10aは、ボート44が、上下に隣り合うウェハWの裏面同士が対向せず、かつ、上下に隣り合うウェハWの表面同士も対向しないように、複数のウェハWを上下方向に保持する点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。それ以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様であり、説明を省略する。
【0123】
図23は、本実施の形態に係る成膜装置10aを概略的に示す縦断面図である。図24は、成膜容器60、供給機構70及び排気機構85の構成の概略を示す断面図である。
【0124】
成膜装置10aは、載置台(ロードポート)20、筐体30、及び制御部90を有する。また、筐体30は、ローディングエリア(作業領域)40及び成膜容器60を有する。載置台(ロードポート)20、筐体30、ローディングエリア(作業領域)40、成膜容器60の位置関係については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様である。
【0125】
載置台(ロードポート)20は、支持環を収納する収納容器が載置されていない点を除き、第1の実施の形態に係る成膜装置10の載置台20と同様にすることができる。
【0126】
ローディングエリア(作業領域)40には、ドア機構41、シャッター機構42、蓋体43、ボート44、昇降機構46、及び移載機構47が設けられている。蓋体43、ボート44、及び移載機構47以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様にすることができる。
【0127】
蓋体43及びボート44については、ボート44が一つのみであり、蓋体43に常にボート44が載置されている点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10の載置台20と相違する。すなわち、第1の実施の形態に係る成膜装置10で設けられていた基台45a、45b及びボート搬送機構45cについては、設けられていなくてもよい。
【0128】
ボート44は、例えば図4に示したボート44と同様であり、天板50と底板51の間に複数本例えば3本の支柱52を介設してなる。そして、支柱52には、ウェハWを保持するための爪部53が設けられている。ただし、本実施の形態では、複数のウェハWのいずれのウェハWも表面を下面とした状態で、又は、いずれのウェハWも表面を上面とした状態で搭載される。従って、第1の実施の形態と相違し、搭載されるウェハWの枚数と同じ数の爪部53が設けられている。よって、第1の実施の形態と同じ枚数のウェハWを搭載するためには、ボート44には、第1の実施の形態における爪部53の数の倍の数の爪部53が、第1の実施の形態における爪部53の間隔の半分の間隔で設けられている。
【0129】
移載機構47は、基台57、昇降アーム58、及び、複数のフォーク(移載板)59を有する。本実施の形態では、上下反転可能な上側フォークを有していなくてもよく、複数のフォーク59は移動体59cにより水平動のみ可能に設けられていてもよい。
【0130】
成膜容器60、供給機構70、排気機構85及び制御部90は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0131】
本実施の形態でも、制御部90は、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。これにより、成膜するポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【0132】
また、本実施の形態でも、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)よりも高い温度(例えば240〜280℃)に加熱することができる。これにより、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを防止できる。
【0133】
なお、本実施の形態でも、供給機構70が、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止するための遮蔽板81を含むようにしてもよい。また、本実施の形態でも、供給管加熱機構77が複数でなく一つのみであるようにしてもよい。
【0134】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 成膜装置
43 蓋体(基板保持部)
44、44a、44b ボート(基板保持部)
56 複板ユニット
60 成膜容器
62 ヒータ(基板加熱部)
70 供給機構
71 原料ガス供給部
72 インジェクタ
73a 供給管
73b 内側供給管
75 供給孔
76 開口
77、77a、77b 供給管加熱機構
90 制御部
W ウェハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に膜を成膜する成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスに用いられる材料は、近年無機材料から有機材料へと幅を広げつつあり、無機材料にはない有機材料の特質等から半導体デバイスの特性や製造プロセスをより最適なものとすることができる。
【0003】
このような有機材料の1つとして、ポリイミドが挙げられる。ポリイミドは密着性が高く、リーク電流も低い。従って、基板の表面にポリイミドを成膜して得られるポリイミド膜は、絶縁膜として用いることができ、半導体デバイスにおける絶縁膜として用いることも可能である。
【0004】
このようなポリイミド膜を成膜する方法としては、原料モノマーとして例えばピロメリット酸二無水物(Pyromellitic Dianhydride、以下「PMDA」と略す。)と、例えば4,4'−オキシジアニリン(4,4'-Oxydianiline、以下「ODA」と略す。)を含む4,4'−ジアミノジフェニルエーテルを用いた蒸着重合による成膜方法が知られている。蒸着重合は、原料モノマーとして用いられるPMDA及びODAを基板の表面で熱重合反応させる方法である(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、PMDA及びODAのモノマーを気化器で蒸発させ、蒸発させたそれぞれの蒸気を蒸着重合室に供給し、基板上で蒸着重合させてポリイミド膜を成膜する成膜方法が開示されている。
【0005】
蒸着重合を用いて膜質に優れたポリイミド膜を安価かつ短時間で成膜するためには、気化したPMDA(以下「PMDAガス」という。)と、気化したODA(以下「ODAガス」という。)とを、継続的に一定量で基板に供給する必要がある。従って、ポリイミド膜を成膜する成膜装置においては、PMDAガスとODAガスとよりなる原料ガスを成膜容器内に供給する供給機構が設けられていることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許4283910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなPMDAガスとODAガスを基板に供給してポリイミド膜を成膜する成膜装置には、以下のような問題がある。
【0008】
PMDAガスとODAガスとを供給することによって基板の表面にポリイミド膜を成膜するためには、PMDAのモノマーとODAのモノマーとが基板の表面で熱重合反応することが必要である。しかし、基板の温度が変動すると、ポリイミド膜の成膜速度が変動し、基板の面内におけるポリイミド膜の膜厚、膜質等の均一性に劣るという問題がある。
【0009】
また、上記した課題は、PMDAガスを含む芳香族酸二無水物よりなる原料ガス、及び、ODAガスを含む芳香族ジアミンよりなる原料ガスを基板に供給してポリイミド膜を成膜する場合にも共通する課題である。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとの熱重合反応により成膜されるポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる成膜装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、芳香族酸二無水物よりなる第1の原料ガスと、芳香族ジアミンよりなる第2の原料ガスとを、成膜容器内に保持されている基板に供給し、供給した前記第1の原料ガスと前記第2の原料ガスとを前記基板の表面で熱重合反応させることによって、前記基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置において、前記成膜容器内で基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持されている基板を加熱する基板加熱部と、前記成膜容器内に設けられるとともに、前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するための供給孔が形成された、供給管を含み、前記供給孔を介して前記成膜容器内に前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給する供給機構と、前記基板保持部と前記基板加熱部と前記供給機構とを制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記供給機構により前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するとともに、前記基板加熱部により、前記基板保持部に保持されている基板を、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御するものである、成膜装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、芳香族酸二無水物と芳香族ジアミンとの熱重合反応により成膜されるポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る成膜装置を概略的に示す縦断面図である。
【図2】ローディングエリアを概略的に示す斜視図である。
【図3】前のバッチのウェハWが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチのウェハWの状態を示す図である。
【図4】ボートの一例を概略的に示す斜視図である。
【図5】ボートに複板ユニットが搭載されている状態を示す断面図である。
【図6】移載機構の一例を概略的に示す側面図である。
【図7】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図である(その1)。
【図8】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図である(その2)。
【図9】移載機構が複板ユニットを構成して搬送する手順を示す側面図である(その3)。
【図10】下側フォークが支持環を介して2枚のウェハWを搭載しているときに、上側フォークが上側のウェハWを掴んでいる部分を拡大して示す断面図である。
【図11】成膜容器、供給機構及び排気機構の構成の概略を示す断面図である。
【図12】インジェクタの一例を示す側面図である。
【図13】図12のA−A線に沿う断面図である。
【図14】図12に示すインジェクタの正面図である。
【図15】第1の実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【図16】ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度及び成膜速度の面内ばらつきのウェハ温度依存性を模式的に示すグラフである。
【図17】供給管加熱機構の温度を変えた場合において、ボートに保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度(膜厚)を示すグラフである。
【図18】比較例において、ボートに保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度(膜厚)を、成膜速度の面内ばらつき、ウェハ温度とともに示すグラフである。
【図19】第1の実施の形態の第1の変形例に係るインジェクタを示す側面図である。
【図20】図19のA−A線に沿う断面図である。
【図21】図19に示すインジェクタの正面図である。
【図22】第1の実施の形態の第2の変形例に係るインジェクタを示す側面図である。
【図23】第2の実施の形態に係る成膜装置を概略的に示す縦断面図である。
【図24】成膜容器、供給機構及び排気機構の構成の概略を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について図面と共に説明する。
(第1の実施の形態)
最初に、本発明の第1の実施の形態に係る成膜装置について説明する。本実施の形態に係る成膜装置は、芳香族酸二無水物よりなる第1の原料を気化した第1の原料ガスと、芳香族ジアミンよりなる第2の原料を気化した第2の原料ガスとを、成膜容器内に設置されている基板に供給することによって、基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置である。
【0016】
なお、芳香族酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)であることが好ましく、芳香族ジアミンは、例えば4,4'−オキシジアニリン(ODA)を含む4,4'−ジアミノジフェニルエーテルであることが好ましい。また、ポリイミド膜を成膜する基板を、例えば半導体ウェハ(以下「ウェハW」という。)とすることができる。以下では、一例として、気化したPMDAガスと、気化したODAガスとを、成膜容器内に設置されているウェハWに供給することによって、ウェハWにポリイミド膜を成膜する成膜装置について説明する。
【0017】
最初に、図1から図6を参照し、本発明の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係る成膜装置10を概略的に示す縦断面図である。図2は、ローディングエリア40を概略的に示す斜視図である。図3は、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが成膜容器中で成膜処理されているときの、後のバッチ(バッチ2)のウェハWの状態を示す図である。図4は、ボート44の一例を概略的に示す斜視図である。図5は、ボート44に複板ユニット56が搭載されている状態を示す断面図である。図6は、移載機構47の一例を概略的に示す側面図である。
【0019】
成膜装置10は、載置台(ロードポート)20、筐体30、及び制御部90を有する。
【0020】
載置台(ロードポート)20は、筐体30の前部に設けられている。筐体30は、ローディングエリア(作業領域)40及び成膜容器60を有する。ローディングエリア40は、筐体30内の下方に設けられており、成膜容器60は、筐体30内であってローディングエリア40の上方に設けられている。また、ローディングエリア40と成膜容器60との間には、ベースプレート31が設けられている。なお、後述する供給機構70は、成膜容器60に接続されるように設けられている。
【0021】
ベースプレート31は、成膜容器60の後述する反応管61を設置するための例えばSUS製のベースプレートであり、反応管61を下方から上方に挿入するための図示しない開口部が形成されている。
【0022】
載置台(ロードポート)20は、筐体30内へのウェハWの搬入搬出を行うためのものである。載置台(ロードポート)20には、収納容器21が載置されている。収納容器21は、前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた、複数枚例えば50枚程度のウェハを所定の間隔で収納可能な密閉型収納容器(フープ)である。
【0023】
また、本実施の形態では、載置台(ロードポート)20は、筐体30内への後述する支持環(サポートリング)55の搬入搬出を行うためのものであってもよい。載置台(ロードポート)20には、収納容器22が載置されていてもよい。収納容器22は、前面に図示しない蓋を着脱可能に備えた、複数枚例えば25枚程度の後述する支持環55を所定の間隔で収納可能な密閉型収納容器(フープ)である。
【0024】
また、載置台20の下方には、後述する移載機構47により移載されたウェハWの外周に設けられた切欠部(例えばノッチ)を一方向に揃えるための整列装置(アライナ)23が設けられていてもよい。
【0025】
ローディングエリア(作業領域)40は、収納容器21と後述するボート44との間でウェハWの移載を行い、ボート44を成膜容器60内に搬入(ロード)し、ボート44を成膜容器60から搬出(アンロード)するためのものである。ローディングエリア40には、ドア機構41、シャッター機構42、蓋体43、ボート44、基台45a、45b、昇降機構46、及び移載機構47が設けられている。
【0026】
なお、蓋体43及びボート44は、本発明における基板保持部に相当する。
【0027】
ドア機構41は、収納容器21、22の蓋を取外して収納容器21、22内をローディングエリア40内に連通開放するためのものである。
【0028】
シャッター機構42は、ローディングエリア40の上方に設けられている。シャッター機構42は、蓋体43を開けているときに、後述する成膜容器60の開口63から高温の炉内の熱がローディングエリア40に放出されるのを抑制ないし防止するために開口63を覆う(又は塞ぐ)ように設けられている。
【0029】
蓋体43は、保温筒48及び回転機構49を有する。保温筒48は、蓋体43上に設けられている。保温筒48は、ボート44が蓋体43側との伝熱により冷却されることを防止し、ボート44を保温するためのものである。回転機構49は、蓋体43の下部に取り付けられている。回転機構49は、ボート44を回転するためのものである。回転機構49の回転軸は蓋体43を気密に貫通し、蓋体43上に配置された図示しない回転テーブルを回転するように設けられている。
【0030】
昇降機構46は、ボート44のローディングエリア40から成膜容器60に対する搬入、搬出に際し、蓋体43を昇降駆動する。そして、昇降機構46により上昇させられた蓋体43が成膜容器60内に搬入されているときに、蓋体43は、後述する開口63に当接して開口63を密閉するように設けられている。そして、蓋体43に載置されているボート44は、成膜容器60内でウェハWを水平面内で回転可能に保持することができる。
【0031】
なお、成膜装置10は、ボート44を複数有していてもよい。以下、本実施の形態では、図2を参照し、ボート44を2つ有する例について説明する。
【0032】
ローディングエリア40には、ボート44a、44bが設けられている。そして、ローディングエリア40には、基台45a、45b及びボート搬送機構45cが設けられている。基台45a、45bは、それぞれボート44a、44bが蓋体43から移載される載置台である。ボート搬送機構45cは、ボート44a、44bを、蓋体43から基台45a、45bに移載するためのものである。
【0033】
図3に示すように、前のバッチ(バッチ1)のウェハWが搭載されたボート44aが成膜容器60に搬入され、成膜処理されている時に、ローディングエリア40において、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを収納容器21からボート44bへ移載することができる。これにより、前のバッチ(バッチ1)のウェハWの成膜工程が終了し、成膜容器60からボート44aを搬出した直後に、後のバッチ(バッチ2)のウェハWを搭載したボート44bを成膜容器60に搬入することができる。その結果、成膜処理に要する時間(タクト時間)を短縮することができ、製造コストを低減することができる。
【0034】
ボート44a、44bは、例えば石英製であり、大口径例えば直径300mmのウェハWを水平状態で上下方向に所定の間隔(ピッチ幅)で搭載するようになっている。ボート44a、44bは、例えば図4に示すように、天板50と底板51の間に複数本例えば3本の支柱52を介設してなる。支柱52には、ウェハWを保持するための爪部53が設けられている。また、支柱52と共に補助柱54が適宜設けられていてもよい。
【0035】
また、ボート44a、44bは、上下に隣り合うウェハWの裏面同士が対向するか、又は、上下に隣り合うウェハWの表面同士が対向するとともに、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔よりも狭くなるように、複数のウェハWを上下方向に保持するものであってもよい。以下、本実施の形態では、上下に隣り合うウェハWが支持環(サポートリング)55を介して裏面同士が対向するようにボート44a、44bに搭載される例について説明する。
【0036】
図5に示すように、ボート44a、44bの爪部53には、2枚のウェハWを支持するように構成される複板ユニット56が保持されていてもよい。複板ユニット56は、支持環(サポートリング)55によりウェハWの周縁部を支持することによって、2枚のウェハWを、裏面同士が対向するように支持する。1つの複板ユニット56における裏面同士が対向するように支持される2枚のウェハWの間隔をPaとし、複板ユニット56が上下方向に保持される間隔、すなわち爪部53の間隔をPbとする。このとき、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、Pb−Paである。このような配置のとき、PaがPb−Paよりも小さくなるようにすることが好ましい。すなわち、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔Paが、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)よりも狭くなるように、上下方向に複数保持されることが好ましい。
【0037】
支持環55は、ウェハWと同一又はウェハWよりも少し大きい内径を有する円環部55aと、円環部55aの上端及び下端の部分を除き、円環部55aの内周に沿って中心側に、2枚のウェハWの間隔を埋めるように設けられたスペーサ部55bとを有している。スペーサ部55bは、成膜容器60内で成膜処理される際に、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの隙間を塞ぐためのものである。そして、スペーサ部55bは、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの隙間に原料ガスが入り込み、ウェハWの裏面に膜が成膜されることを防止するためのものである。支持環55は、例えば石英製である。
【0038】
なお、支持環55のスペーサ部55bは、本発明における塞ぎ部材に相当する。
【0039】
図5に示すように、爪部53には、裏面Wbを上面(すなわち表面Waを下面)にしたウェハWが支持されている。爪部53に支持されているウェハWの上方には、円環部55aの下面が爪部53に接触している状態で、支持環55が支持されている。そして、支持環55のスペーサ部55bには、裏面Wbを下面(すなわち表面Waを上面)にしたウェハWが支持されている。
【0040】
ここで、1つの複板ユニット56における裏面同士が対向するように支持される2枚のウェハWの間隔Paを例えば2mmとし、複板ユニット56が上下方向に保持される間隔(爪部53の間隔)Pbを例えば11mmとすることができる。すると、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔(Pb−Pa)を9mmとすることができる。一方、ボート44のウェハ搭載枚数を変えずに全てのウェハWの間隔が等しくなるように支持するときは、上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔は、11mmの半分の5.5mmであり、9mmよりも小さい。従って、複板ユニット56を用いて裏面同士が対向するようにウェハWを支持することにより、一のウェハWの表面Waと他のウェハWの表面Waとの隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面Waに十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0041】
移載機構47は、収納容器21、22とボート44a、44bの間でウェハW又は支持環55の移載を行うためのものである。移載機構47は、基台57、昇降アーム58、及び、複数のフォーク(移載板)59を有する。基台57は、昇降及び旋回可能に設けられている。昇降アーム58は、ボールネジ等により上下方向に移動可能(昇降可能)に設けられ、基台57は、昇降アーム58に水平旋回可能に設けられている。
【0042】
また、一例として、移載機構47は、水平動可能な下側フォーク59a、及び、水平動可能であるとともに上下反転可能な上側フォーク59bを有していてもよい。このような移載機構47の一例を、図6の側面図に示す。
【0043】
下側フォーク59aは、移動体59cにより、複板ユニット56を搭載するボート44a、44bに向けて進退可能に設けられており、ボート44a、44bとの間で複板ユニット56を受け渡しするためのものでもある。一方、上側フォーク59bは、移動体59dにより、水平動可能に設けられているとともに、ウェハWを収納する収納容器21に向けて進退可能に設けられており、収納容器21との間でウェハWを受け渡しするためのものである。また、上側フォーク59bは、移動体59dにより、支持環55を収納する収納容器22に向けて進退可能に設けられており、収納容器22との間で支持環55を受け渡しするためのものである。
【0044】
なお、移載機構47は、複数枚の下側フォーク59a及び複数枚の上側フォーク59bを有していてもよい。
【0045】
図7から図9は、移載機構47が複板ユニット56を構成して搬送する手順を示す側面図である。まず、上側フォーク59bが収納容器21内に前進し、収納容器21に収納されているウェハWを受け取って収納容器21内から後退し、ウェハWを保持したまま上下反転し、下側フォーク59aに下側のウェハWとして受け渡す(図7)。次に、上側フォーク59bが上下反転した状態で収納容器22に前進し、収納容器22に収納されている支持環55を受け取って収納容器22内から後退し、下側フォーク59aが保持している下側のウェハWの上に支持環55を載置する(図8)。次に、上側フォーク59bが上下反転した状態で収納容器21内に前進し、収納容器21に収納されているウェハWを受け取って収納容器21内から後退し、下側フォーク59aが保持している支持環55の上に上側のウェハWとして載置する(図9)。
【0046】
図10は、下側フォーク59aが支持環55を介して2枚のウェハWを搭載しているときに、上側フォーク59bが上側のウェハWを掴んでいる部分を拡大して示す断面図である。なお、図10では、下側フォーク59aの図示を省略している。
【0047】
支持環55を構成する円環部55a及びスペーサ部55bであって、上側フォーク59bが2枚目のウェハWを載置する際に支持環55に接触するおそれがある部分には、図10に示すように、上側フォーク59bの爪部59eと干渉しないように切り欠き部55c、55dが設けられていてもよい。ただし、切り欠き部55c、55dが設けられている部分においても、スペーサ部55bが、2枚のウェハWの隙間を塞ぐように設けられていることが好ましい。これにより、裏面同士が対向するように搭載されている2枚のウェハWの間に原料ガスが入り込み、ウェハWの裏面に成膜されることを確実に防止できる。
【0048】
図11は、成膜容器60、供給機構70及び排気機構85の構成の概略を示す断面図である。
【0049】
成膜容器60は、例えば、複数枚の被処理基板例えば薄板円板状のウェハWを収容して所定の処理例えばCVD処理等を施すための縦型炉とすることができる。成膜容器60は、反応管61、及びヒータ(基板加熱部)62を有する。
【0050】
反応管61は、例えば石英製であり、縦長の形状を有しており、下端に開口63が形成されている。ヒータ(基板加熱部)62は、反応管61の周囲を覆うように設けられているとともに、加熱制御部62aを有しており、加熱制御部62aにより、反応管61内を所定の温度例えば300〜1200℃に加熱制御可能である。なお、後述するように、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分け、ゾーン毎に独立して温度制御するようにしてもよい。
【0051】
供給機構70は、原料ガス供給部71、及び、成膜容器60内に設けられたインジェクタ72を含む。インジェクタ72は、供給管73aを含む。原料ガス供給部71は、インジェクタ72の供給管73aに接続されている。
【0052】
本実施の形態では、供給機構70は、第1の原料ガス供給部71a及び第2の原料ガス供給部71bを有していてもよい。このとき、第1の原料ガス供給部71a及び第2の原料ガス供給部71bは、インジェクタ72(供給管73a)に接続されている。第1の原料ガス供給部71aは、例えばPMDA原料を気化するための第1の気化器74aを有し、PMDAガスを供給することができる。また、第2の原料ガス供給部71bは、例えばODA原料を気化するための第2の気化器74bを有し、ODAガスを供給することができる。
【0053】
図12は、インジェクタ72の一例を示す側面図である。また、図13は、図12のA−A線に沿う断面図である。図14は、図12に示すインジェクタ72の正面図である。なお、図14は、インジェクタ72をボート44側から視た正面図を示す。
【0054】
供給管73aには成膜容器60内に開口する供給孔75が形成されている。インジェクタ72は、原料ガス供給部71から供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、供給孔75を介して成膜容器60内に供給する。
【0055】
また、本実施の形態は、ボート44が複数のウェハWを上下方向に所定の間隔で保持する例について説明するものである。このとき、供給管73aは、上下方向に延在するように設けられていてもよい。そして、供給管73aには、複数の供給孔75が形成されていてもよい。
【0056】
なお、供給孔75の形状は、円形、楕円形、矩形等各種の形状であってもよい。
【0057】
インジェクタ72は、内側供給管73bを含むことが好ましい。内側供給管73bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも上流側の部分に収容されていてもよい。そして、内側供給管73bの下流側の端部付近には、供給管73aの内部空間に第1の原料ガス及び第2の原料ガスのいずれか一方の原料ガスを供給するための開口76が形成されていてもよい。このような構造を有する内側供給管73bを含むことによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを供給孔75から成膜容器60内に供給する前に、予め供給管73aの内部空間において第1の原料ガスと第2の原料ガスとを十分混合させることができる。
【0058】
なお、以下では、供給管73aに第1の原料ガスを供給し、内側供給管73bに第2の原料ガスを供給する場合を例示して、説明する。しかし、内側供給管73bに第1の原料ガスを供給し、供給管73aに第2の原料ガスを供給してもよい。
【0059】
また、開口76の形状は、円形、楕円形、矩形等各種の形状であってもよい。
【0060】
本実施の形態は、ボート44が複数のウェハWを上下方向に所定の間隔で保持する例について説明するものである。このとき、供給管73aとともに、内側供給管73bも、上下方向に延在するように設けられていてもよい。更に、下方側を上流側、上方側を下流側とするときは、内側供給管73bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも下方側の部分において、供給管73aの内部に収容されるように設けられていてもよい。そして、内側供給管73bの上端部付近には、供給管73aの内部空間と連通するための開口76が設けられていてもよい。
【0061】
供給機構70は、例えば供給管73aに第1の原料ガスを流すとともに、内側供給管73bに第2の原料ガスを流す。そして、内側供給管73bを流れる第2の原料ガスを、開口76を介して供給管73aに合流させ、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを混合させた状態で、供給孔75を介して成膜容器60内に供給する。
【0062】
図13に示すように、内側供給管73bの延在する方向(上下方向)に垂直な断面(水平断面)において、内側供給管73bの周方向に複数の開口76が形成されていてもよい。いずれの開口76も、供給管73aの延在する方向に垂直な断面視で(平面視で)、供給管73aに供給孔75が形成されている方向と異なる方向を向くように形成されていることが好ましい。すなわち、いずれの開口76も、ウェハWに向かう方向と異なる方向を向くように形成されていることが好ましい。このように開口76を配置することによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを均一に混合した状態で供給孔75から吐出することができる。
【0063】
図13に示す例では、内側供給管73bの周方向に等配に4つの開口76が形成されており、それぞれの開口76が形成されている方向は、供給孔75が形成されている方向に対して45°、135°、225°、315°の角度をなすことが好ましい。このように開口76を配置することによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスとを更に均一に混合した状態で供給孔75から吐出することができる。
【0064】
供給管73aの外径を例えば33mmとし、内径を例えば29mmとし、供給孔75の孔径を例えば2mmとし、形成された供給孔75の数を例えば10とする。そして、内側供給管73bの外径を例えば22mmとし、内径を例えば18mmとし、45°等配に形成された開口76の孔径を例えば10mmとすることができる。
【0065】
インジェクタ72は、供給管73aを加熱する供給管加熱機構77を含むものであってもよい。図12から図14に示すように、供給管加熱機構77は、ヒータ78、温度センサ79、及び加熱制御部80を有している。供給管加熱機構77は、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱するためのものである。
【0066】
ヒータ78は、例えば抵抗発熱体よりなる。加熱制御部80は、温度センサ79により温度を計測し、計測した温度、及び、後述する制御部90により予め設定した設定温度に基づいて、ヒータ78に供給する電力を決定し、決定した電力をヒータ78に供給する。これにより、供給管73aを設定温度に加熱することができる。
【0067】
一例として、図12から図14に示すように、ヒータ78は、供給管73aのボート44側と反対側に設けることができる。これにより、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止できる。また、温度センサ79も、供給管73aのボート44側と反対側に設けることができる。これにより、加熱されているウェハWからの影響を受けずに、供給管73aの温度を測定することができる。
【0068】
このように、供給管73aを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱することによって、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱することができる。一方、図16を用いて後述するように、所定の温度範囲内では、温度の上昇に伴って成膜速度が減少する。従って、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを抑制できる。
【0069】
更に、供給機構70は、上下方向に配置された、互いに独立に温度制御可能な複数の供給管加熱機構77a、77bを含むものであってもよい。複数の供給管加熱機構77a、77bは、それぞれ、ヒータ78a、78b、温度センサ79a、79b、及び加熱制御部80a、80bを備えることができる。一例として、図12から図14には、供給機構70が、上下方向に配置された、互いに独立に温度制御可能な2つの供給管加熱機構、すなわち上側の供給管加熱機構77a、及び、下側の供給管加熱機構77bを含む場合を示している。
【0070】
上側の供給管加熱機構77aは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分を加熱するように配置されている。また、下側の供給管加熱機構77bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも下側の部分を加熱するように配置されている。
【0071】
一例として、図12から図14に示すように、上側のヒータ78aは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分のボート44側と反対側に設けることができる。これにより、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77aにより加熱されることを抑制できる。また、上側の温度センサ79aも、供給管73aのボート44側と反対側に設けることができる。これにより、必要以上に供給管加熱機構77aに電力を投入することなく、供給管73aを加熱することができる。
【0072】
供給管73aの、下側のヒータ78bが設置される部分には、供給孔75が形成されていない。そのため、下側のヒータ78bは、供給管73aの供給孔75が形成されている部分よりも下側の部分の周囲を囲むように設けてもよい。また、下側の温度センサ79bは、加熱される供給管73aに近い位置に設置されていればよい。
【0073】
このように設けられた、上側の供給管加熱機構77a及び下側の供給管加熱機構77bにより、供給管73aを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱する。これにより、供給管73aのいずれの部分を流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスも、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱される。従って、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを更に抑制できる。
【0074】
図11に示すように、排気機構85は排気装置86を含む。排気機構85は、成膜容器60内からガスを排気するためのものである。
【0075】
制御部90は、例えば、図示しない演算処理部、記憶部及び表示部を有する。演算処理部は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有するコンピュータである。記憶部は、演算処理部に、各種の処理を実行させるためのプログラムを記録した、例えばハードディスクにより構成されるコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。表示部は、例えばコンピュータの画面よりなる。演算処理部は、記憶部に記録されたプログラムを読み取り、そのプログラムに従って、ボート44(基板保持部)、ヒータ(基板加熱部)62の加熱制御部62a、供給機構70、供給管加熱機構77の加熱制御部80、及び、排気機構85を構成する各部に制御信号を送り、後述するような成膜処理を実行する。
【0076】
そして、制御部90は、供給機構70により第1の原料ガス及び第2の原料ガスを供給するとともに、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、成膜するポリイミド膜の成膜速度を制御する。
【0077】
次に、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理について説明する。図15は、本実施の形態に係る成膜装置を用いた成膜処理を含む各工程の手順を説明するためのフローチャートである。
【0078】
成膜処理開始後、ステップS11では、成膜容器60にウェハWを搬入する(搬入工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばローディングエリア40において、移載機構47により収納容器21からボート44aへウェハW(複板ユニット56)を搭載し、ウェハW(複板ユニット56)を搭載したボート44aをボート搬送機構45cにより蓋体43に載置することができる。そして、ボート44aを載置した蓋体43を昇降機構46により上昇させて成膜容器60内に挿入することにより、ウェハWを搬入することができる。
【0079】
次に、ステップS12では、成膜容器60の内部を減圧する(減圧工程)。排気装置86の排気能力又は排気装置86と成膜容器60との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、成膜容器60を排気する排気量を増大させる。そして、成膜容器60の内部を所定圧力例えば大気圧(760Torr)から例えば0.3Torrに減圧する。
【0080】
次に、ステップS13では、ポリイミド膜を成膜する(成膜工程)。
【0081】
第1の流量F1で第1の原料ガス供給部71aから第1の原料ガスを供給管73aに流し、第2の流量F2で第2の原料ガス供給部71bから第2の原料ガスを内側供給管73bに流すことによって、第1の原料ガスと第2の原料ガスを所定の混合比で混合させた状態で成膜容器60内に供給する。そして、ウェハWの表面でPMDAとODAを熱重合反応させ、ポリイミド膜を成膜する。
【0082】
このときの、PMDAとODAとの熱重合反応は、次の式(1)に従う。
【0083】
【化1】
ウェハWの温度が、式(1)に示す熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)にあるときは、ウェハWの温度の上昇に伴って成膜速度は減少する。熱重合反応が生ずる温度範囲においてウェハWの温度の上昇に伴って成膜速度が減少する原因の一例として、ウェハの表面におけるPMDAガスの平均滞在時間がODAガスの平均滞在時間よりも小さいことが考えられる。
【0084】
平均滞在時間を、PMDAモノマー及びODAモノマーがウェハに吸着する時間の平均である平均吸着時間と仮定する。平均吸着時間τは、脱離活性化エネルギーをEdとし、ウェハ表面に垂直な方向の分子の振動数をτ0とするとき、
τ=τ0exp(Ed/RT) (2)
により求めることができる。ここで、PMDAモノマーの脱離活性化エネルギーEdを100kJ/mol、ODAモノマーの脱離活性化エネルギーEdを170kJ/molとすることができる。
【0085】
表1は、20℃、140℃、200℃の各ウェハ温度におけるPMDAガスの平均滞在時間(平均吸着時間)及びODAガスの平均滞在時間(平均吸着時間)を式(2)により求めた結果である。
【0086】
【表1】
表1に示すように、PMDAガスの平均滞在時間、及び、ODAガスの平均滞在時間は、20℃、140℃、200℃の各ウェハ温度において大きく異なる。そのため、式(1)の反応式に従う熱重合反応は、ウェハ温度に伴って大きく変動し、ポリイミド膜の成膜速度も変動する。従って、ポリイミド膜を連続して安定に成膜するためには、ウェハWの温度を制御することが重要である。
【0087】
本実施の形態では、ウェハWの温度を所定の温度範囲(例えば200℃程度)に制御することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御することができる。これにより、ポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【0088】
また、本実施の形態では、供給管加熱機構77の設定温度をウェハWの温度より高い240〜280℃の高い温度範囲に制御する。これにより、ポリイミド膜が供給管73aの内部に堆積することを抑制できる。その結果、供給管73aの上端まで原料ガスが行き渡り、複数の供給孔75から原料ガスを均一に成膜容器60内に供給することができるので、各ウェハの成膜速度を一定にすることができる。
【0089】
更に、本実施の形態では、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ボート44に搭載されている各ウェハの温度を均一にすることができる。以下、この作用効果について説明する。
【0090】
図16は、ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度及び成膜速度の面内ばらつきのウェハ温度依存性を模式的に示すグラフである。また、以下、図16の説明において、成膜速度とは、ウェハ面内における成膜速度の平均値を意味する。
【0091】
図16に示すように、ウェハ温度Tが温度Toptより高い温度領域では、ウェハ温度の上昇に伴って、成膜速度の面内ばらつきは減少するものの成膜速度が減少する。一方、ウェハ温度Tが温度Toptより低い温度領域では、ウェハ温度の低下に伴って、成膜速度の面内ばらつきが著しく増大する結果、成膜速度が温度Toptにおける値よりも増加することはない。その結果、成膜速度を向上させるとともに成膜速度の面内ばらつきを低減するためには、ウェハ温度には最適な温度Toptがある。すなわち、各温度のウェハ温度が所定の温度Toptに等しくなるように制御することが好ましい。
【0092】
これと同様に、供給管加熱機構77の温度を制御することによっても、成膜速度を向上させるとともにウェハ毎の成膜速度のばらつきを低減することができる。
【0093】
一例として、図17を参照し、供給管加熱機構77の温度を240℃、260℃、280℃としたときの、各ウェハの成膜速度を示す。
【0094】
図17は、供給管加熱機構77の温度を変えた場合において、ボート44に保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度を示すグラフである。なお、図17の縦軸には、成膜速度として、所定時間成膜工程を行ったときに成膜されるポリイミド膜の膜厚を示している。また、図17の横軸には、ボート44に保持されているウェハWの番号を、最上段側から最下段側に向かって1、2、3…と番号が増加するように番号付けして示している。
【0095】
また、図17において、ウェハ番号が3から55までの53枚を「53枚領域」とし、ウェハ番号が11から47までの37枚を「37枚領域」とする。「53枚領域」のウェハは、ボートにおける「37枚領域」の上下両側に搭載されているウェハを含む。そして、ウェハ温度を変えた場合における、「53枚領域」及び「37枚領域」における各ウェハのポリイミド膜の膜厚(成膜速度)のばらつきを、最大値と最小値の差として、表2に百分率で示す。
【0096】
【表2】
図17に示すように、供給管加熱機構77の温度が280℃、260℃、240℃と低下するのに伴って、「37枚領域」における成膜速度は増加する。しかし、図17及び表2に示すように、「37枚領域」における各ウェハの成膜速度のばらつきが最小になるのは、260℃になるときである。従って、成膜速度を向上させるとともにウェハ毎の成膜速度のばらつきを低減させるには、260℃が最適である。このように、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0097】
なお、供給管加熱機構77が、上側の供給管加熱機構77a、下側の供給管加熱機構77bを有するときは、上側の供給管加熱機構77a、下側の供給管加熱機構77bを独立に温度制御することによって、更に、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0098】
ただし、表2に示すように、供給管加熱機構77の温度が260℃であるときでも、ウェハ毎の成膜速度のばらつきは、「37枚領域」では±3.7%に減少しているものの、「53枚領域」ではなお±5.5%であり、ウェハ毎の成膜速度の若干のばらつきは残る。
【0099】
従って、本実施の形態では、更に、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分け、ゾーン毎に独立して温度制御するようにしてもよい。このとき、供給管加熱機構77により温度制御することに加え、複数のゾーン毎にヒータ(基板加熱部)62により温度制御することになる。これにより、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが更に低減するように制御できる。
【0100】
ただし、供給管加熱機構77を用いずに、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分割しただけでは、各ウェハにおける成膜速度を均一にはできない。以下、図18を参照し、供給管加熱機構77を用いずに、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分割した場合を比較例として説明する。図18は、比較例において、ボート44に保持されている各ウェハWに成膜されるポリイミド膜の成膜速度を、成膜速度の面内ばらつき、ウェハ温度とともに示すグラフである。また、図18では、インジェクタ72が設けられている成膜容器60の内部に収容されたボート44を、ボート44の最上段側が左側に、最下段側が右側になるように、グラフの上側に図示している。図18では、ヒータ(基板加熱部)62を最上段側から最下段側に向かって、I、II、III、IV、Vの5つのゾーンに分割した例を示している。
【0101】
なお、図18のグラフの縦軸にも、図17と同様に、成膜速度として、所定時間成膜工程を行ったときに成膜されるポリイミド膜の膜厚を示している。また、図18のグラフの横軸にも、図17と同様に、ボート44に保持されているウェハWの番号を、最上段側から最下段側に向かって1、2、3…と番号が増加するように番号付けして示している。
【0102】
図18に示すように、ウェハWの番号が50を超える領域では、ウェハWの番号の増加に伴って、成膜速度が一旦増加した後、再び減少する。これは、ボート44の最下段側に保持されているウェハWの温度が、保温筒48等の熱の影響を受けて変動するためと考えられる。
【0103】
一方、本実施の形態によれば、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。また、上側の供給管加熱機構77a、下側の供給管加熱機構77bを独立に温度制御することによって、更に、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0104】
また、本実施の形態では、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔よりも狭くなるように、複数のウェハWを上下方向に保持することができる。これにより、ボート44のウェハ搭載枚数を等しくした状態で、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの間隔を増加することが可能となる。その結果、一のウェハWの表面と他のウェハWの表面との隙間を大きくすることができ、ウェハWの表面に十分な量の原料ガスを供給することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、支持環55は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚のウェハWの隙間を塞ぐように設けられたスペーサ部55bを有することができる。これにより、成膜容器60内で成膜処理される際に、裏面同士が対向する2枚のウェハWの間に原料ガスが入り込み、ウェハWの裏面に成膜されることを防止することができる。
【0106】
次に、ステップS14では、第1の原料ガス供給部71aからのPMDAガスの供給及び第2の原料ガス供給部71bからのODAガスの供給を停止し、成膜容器60の内部を大気圧に復圧する(復圧工程)。排気装置86の排気能力又は排気装置86と成膜容器60との間に設けられている図示しない流量調整バルブを調整することにより、成膜容器60を排気する排気量を減少させ、成膜容器60の内部を例えば0.3Torrから例えば大気圧(760Torr)に復圧する。
【0107】
次に、ステップS15では、成膜容器60からウェハWを搬出する(搬出工程)。図1から図4に示した成膜装置10の例では、例えばボート44aを載置した蓋体43を昇降機構46により下降させて成膜容器60内からローディングエリア40に搬出することができる。そして、移載機構47により、搬出した蓋体43に載置されているボート44aから収納容器21へウェハWを移載することによって、ウェハWを成膜容器60から搬出することができる。その後、成膜処理を終了する。
【0108】
なお、複数のバッチについて連続して成膜処理を行うときは、更に、ローディングエリア40において、移載機構47により収納容器21からウェハWをボート44へ移載し、再びステップS11に戻り、次のバッチの成膜処理を行う。
【0109】
前述したように、本実施の形態では、成膜装置10がボートを2つ有することができる。従って、後のバッチのステップS11を前のバッチのステップS15の直後に行うことができる。すなわち、前のバッチのステップS15の前に、後のバッチのウェハWを収納容器21からボート44bへ移載して準備することができる。そして、前のバッチのステップS15において成膜容器60からボート44aを搬出した直後に、後のバッチのウェハWを搭載したボート44bを成膜容器60に搬入することができる。これにより、成膜処理に要する時間(タクト時間)を短縮することができ、製造コストを低減することができる。
(第1の実施の形態の第1の変形例)
次に、図19から図21を参照し、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例に係る成膜装置について説明する。
【0110】
本変形例に係る成膜装置は、供給機構70が、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止するための遮蔽板81を含む点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。また、本変形例に係る成膜装置は、供給管加熱機構77が複数でなく一つのみである点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。それ以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様であり、説明を省略する。
【0111】
図19は、本変形例に係るインジェクタ72aを示す側面図である。また、図20は、図19のA−A線に沿う断面図である。図21は、図19に示すインジェクタ72aの正面図である。なお、図20は、インジェクタ72aをボート44側から視た正面図を示す。
【0112】
インジェクタ72aは、供給管73a及び内側供給管73bを含む。供給管73a及び内側供給管73bは、それぞれ、第1の実施の形態に係る成膜装置10における供給管73a及び内側供給管73bと同様であり、説明を省略する。
【0113】
本変形例では、インジェクタ72aは、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止するための遮蔽板81を含む。図19から図21に示すように、遮蔽板81は、供給管73aの中心の供給管加熱機構77側と反対側に設けられている。そして、遮蔽板81は、ボート44側から見てヒータ78が隠れるように設けられている。これにより、ボート44に保持されているウェハWがヒータ78により加熱されることを、更に確実に防止できる。
【0114】
また、本変形例では、供給管加熱機構77が一つのみ設けられている。このような構成を有していても、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)よりも高い温度(例えば240〜280℃)に加熱することができる。これにより、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを防止できる。
【0115】
また、本変形例でも、制御部90は、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。これにより、成膜するポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【0116】
また、本変形例でも、供給管加熱機構77の温度を制御することによって、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。また、遮蔽板81により、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77に加熱されることを防止できるため、更に、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが低減するように制御できる。
【0117】
また、本変形例でも、ヒータ(基板加熱部)62を複数のゾーンに分け、ゾーン毎に独立して温度制御するようにしてもよい。このとき、供給管加熱機構77により温度制御することに加え、複数のゾーン毎にヒータ(基板加熱部)62により温度制御することになる。また、遮蔽板81によりボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止できる。これにより、ウェハ毎の成膜速度のばらつきが更に低減するように制御できる。
(第1の実施の形態の第2の変形例)
次に、図22を参照し、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例に係る成膜装置について説明する。
【0118】
本変形例に係る成膜装置は、供給管加熱機構77が複数でなく一つのみである点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。それ以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様であり、説明を省略する。
【0119】
図22は、本変形例に係るインジェクタ72bを示す側面図である。インジェクタ72bは、供給管73a及び内側供給管73bを含む。供給管73a及び内側供給管73bは、それぞれ、第1の実施の形態に係る成膜装置10における供給管73a及び内側供給管73bと同様であり、説明を省略する。
【0120】
本変形例では、供給管加熱機構77が一つのみ設けられている。このような構成を有していても、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)よりも高い温度(例えば240〜280℃)に加熱することができる。これにより、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを防止できる。
【0121】
また、本変形例でも、制御部90は、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。これにより、成膜するポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
(第2の実施の形態)
次に、図23及び図24を参照し、本発明の第2の実施の形態に係る成膜装置について説明する。
【0122】
本実施の形態に係る成膜装置10aは、ボートが1つである点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。また、本実施の形態に係る成膜装置10aは、ボート44が、上下に隣り合うウェハWの裏面同士が対向せず、かつ、上下に隣り合うウェハWの表面同士も対向しないように、複数のウェハWを上下方向に保持する点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10と相違する。それ以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様であり、説明を省略する。
【0123】
図23は、本実施の形態に係る成膜装置10aを概略的に示す縦断面図である。図24は、成膜容器60、供給機構70及び排気機構85の構成の概略を示す断面図である。
【0124】
成膜装置10aは、載置台(ロードポート)20、筐体30、及び制御部90を有する。また、筐体30は、ローディングエリア(作業領域)40及び成膜容器60を有する。載置台(ロードポート)20、筐体30、ローディングエリア(作業領域)40、成膜容器60の位置関係については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様である。
【0125】
載置台(ロードポート)20は、支持環を収納する収納容器が載置されていない点を除き、第1の実施の形態に係る成膜装置10の載置台20と同様にすることができる。
【0126】
ローディングエリア(作業領域)40には、ドア機構41、シャッター機構42、蓋体43、ボート44、昇降機構46、及び移載機構47が設けられている。蓋体43、ボート44、及び移載機構47以外の部分については、第1の実施の形態に係る成膜装置10と同様にすることができる。
【0127】
蓋体43及びボート44については、ボート44が一つのみであり、蓋体43に常にボート44が載置されている点で、第1の実施の形態に係る成膜装置10の載置台20と相違する。すなわち、第1の実施の形態に係る成膜装置10で設けられていた基台45a、45b及びボート搬送機構45cについては、設けられていなくてもよい。
【0128】
ボート44は、例えば図4に示したボート44と同様であり、天板50と底板51の間に複数本例えば3本の支柱52を介設してなる。そして、支柱52には、ウェハWを保持するための爪部53が設けられている。ただし、本実施の形態では、複数のウェハWのいずれのウェハWも表面を下面とした状態で、又は、いずれのウェハWも表面を上面とした状態で搭載される。従って、第1の実施の形態と相違し、搭載されるウェハWの枚数と同じ数の爪部53が設けられている。よって、第1の実施の形態と同じ枚数のウェハWを搭載するためには、ボート44には、第1の実施の形態における爪部53の数の倍の数の爪部53が、第1の実施の形態における爪部53の間隔の半分の間隔で設けられている。
【0129】
移載機構47は、基台57、昇降アーム58、及び、複数のフォーク(移載板)59を有する。本実施の形態では、上下反転可能な上側フォークを有していなくてもよく、複数のフォーク59は移動体59cにより水平動のみ可能に設けられていてもよい。
【0130】
成膜容器60、供給機構70、排気機構85及び制御部90は、第1の実施の形態と同様にすることができる。
【0131】
本実施の形態でも、制御部90は、ヒータ(基板加熱部)62により、ボート44(基板保持部)に保持されているウェハWを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御する。これにより、成膜するポリイミド膜の成膜速度を一定にすることができる。
【0132】
また、本実施の形態でも、供給管73aを流れる第1の原料ガス及び第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲(例えば200℃程度)よりも高い温度(例えば240〜280℃)に加熱することができる。これにより、第1の原料ガス及び第2の原料ガスが熱重合反応して発生したポリイミド膜が、供給管73aの内壁又は供給孔75の付近に堆積することを防止できる。
【0133】
なお、本実施の形態でも、供給機構70が、ボート44に保持されているウェハWが供給管加熱機構77により加熱されることを防止するための遮蔽板81を含むようにしてもよい。また、本実施の形態でも、供給管加熱機構77が複数でなく一つのみであるようにしてもよい。
【0134】
以上、本発明の好ましい実施の形態について記述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 成膜装置
43 蓋体(基板保持部)
44、44a、44b ボート(基板保持部)
56 複板ユニット
60 成膜容器
62 ヒータ(基板加熱部)
70 供給機構
71 原料ガス供給部
72 インジェクタ
73a 供給管
73b 内側供給管
75 供給孔
76 開口
77、77a、77b 供給管加熱機構
90 制御部
W ウェハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族酸二無水物よりなる第1の原料ガスと、芳香族ジアミンよりなる第2の原料ガスとを、成膜容器内に保持されている基板に供給し、供給した前記第1の原料ガスと前記第2の原料ガスとを前記基板の表面で熱重合反応させることによって、前記基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置において、
前記成膜容器内で基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持されている基板を加熱する基板加熱部と、
前記成膜容器内に設けられるとともに、前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するための供給孔が形成された、供給管を含み、前記供給孔を介して前記成膜容器内に前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給する供給機構と、
前記基板保持部と前記基板加熱部と前記供給機構とを制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記供給機構により前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するとともに、前記基板加熱部により、前記基板保持部に保持されている基板を、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御するものである、成膜装置。
【請求項2】
前記供給機構は、前記供給管を流れる前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱する、供給管加熱機構を含むものである、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記基板保持部は、複数の基板を上下方向に所定の保持間隔で保持するものであり、
前記供給管は、上下方向に延在するように設けられるとともに、複数の供給孔が形成されており、
前記供給管加熱機構は、上下方向に配置された、互いに独立に温度制御可能な複数の供給管加熱機構である、請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記基板保持部は、上下に隣り合う基板の裏面同士が対向するか、又は、上下に隣り合う基板の表面同士が対向するとともに、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔よりも狭くなるように、前記複数の基板を上下方向に保持するものである、請求項3に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記基板保持部は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の隙間を塞ぐ塞ぎ部材を有する、請求項4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記供給機構は、前記供給管の前記供給孔が形成されている部分よりも上流側の部分に収容されるとともに、前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスのいずれか一方の原料ガスを供給するための開口が形成された、内側供給管を含み、前記供給管を流れる前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスの他方の原料ガスに、前記内側供給管を流れる前記一方の原料ガスを、前記開口を介して合流させて混合し、混合した前記第1の原料ガスと前記第2の原料ガスとを、前記供給孔を介して前記成膜容器内に供給するものである、請求項2から請求項5のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項7】
前記開口は、前記開口の方向が、前記供給管の延在する方向に垂直な断面視で、前記供給孔の方向と異なる方向を向くように形成されている、請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記芳香族酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物であり、
前記芳香族ジアミンは、4,4'−ジアミノジフェニルエーテルである、請求項1から請求項7のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項1】
芳香族酸二無水物よりなる第1の原料ガスと、芳香族ジアミンよりなる第2の原料ガスとを、成膜容器内に保持されている基板に供給し、供給した前記第1の原料ガスと前記第2の原料ガスとを前記基板の表面で熱重合反応させることによって、前記基板にポリイミド膜を成膜する成膜装置において、
前記成膜容器内で基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持されている基板を加熱する基板加熱部と、
前記成膜容器内に設けられるとともに、前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するための供給孔が形成された、供給管を含み、前記供給孔を介して前記成膜容器内に前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給する供給機構と、
前記基板保持部と前記基板加熱部と前記供給機構とを制御する制御部と
を有し、
前記制御部は、前記供給機構により前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを供給するとともに、前記基板加熱部により、前記基板保持部に保持されている基板を、熱重合反応が生ずる温度範囲で加熱することによって、ポリイミド膜の成膜速度を制御するものである、成膜装置。
【請求項2】
前記供給機構は、前記供給管を流れる前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスを、熱重合反応が生ずる温度範囲よりも高い温度に加熱する、供給管加熱機構を含むものである、請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記基板保持部は、複数の基板を上下方向に所定の保持間隔で保持するものであり、
前記供給管は、上下方向に延在するように設けられるとともに、複数の供給孔が形成されており、
前記供給管加熱機構は、上下方向に配置された、互いに独立に温度制御可能な複数の供給管加熱機構である、請求項2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記基板保持部は、上下に隣り合う基板の裏面同士が対向するか、又は、上下に隣り合う基板の表面同士が対向するとともに、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔が、表面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の間隔よりも狭くなるように、前記複数の基板を上下方向に保持するものである、請求項3に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記基板保持部は、裏面同士で対向して上下に隣り合う2枚の基板の隙間を塞ぐ塞ぎ部材を有する、請求項4に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記供給機構は、前記供給管の前記供給孔が形成されている部分よりも上流側の部分に収容されるとともに、前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスのいずれか一方の原料ガスを供給するための開口が形成された、内側供給管を含み、前記供給管を流れる前記第1の原料ガス及び前記第2の原料ガスの他方の原料ガスに、前記内側供給管を流れる前記一方の原料ガスを、前記開口を介して合流させて混合し、混合した前記第1の原料ガスと前記第2の原料ガスとを、前記供給孔を介して前記成膜容器内に供給するものである、請求項2から請求項5のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項7】
前記開口は、前記開口の方向が、前記供給管の延在する方向に垂直な断面視で、前記供給孔の方向と異なる方向を向くように形成されている、請求項6に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記芳香族酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物であり、
前記芳香族ジアミンは、4,4'−ジアミノジフェニルエーテルである、請求項1から請求項7のいずれかに記載の成膜装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−134388(P2012−134388A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286406(P2010−286406)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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