成膜装置
【課題】第4世代以上の大型基板にも対応可能な極めて実用性に秀れた成膜装置の提供。
【解決手段】直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、成膜室1に、マスク3が基板2に対して適正位置となるようにマスク3と基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、基板2若しくはマスク3の搬送方向に沿って移動可能な蒸発源100と、蒸発源100と対向する複数の成膜位置に基板2及びマスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、一の成膜位置において蒸発源100により成膜を行いながら他の成膜位置においてアライメント駆動機構によりマスク3と基板2との位置合わせを行えるように構成する。
【解決手段】直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、成膜室1に、マスク3が基板2に対して適正位置となるようにマスク3と基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、基板2若しくはマスク3の搬送方向に沿って移動可能な蒸発源100と、蒸発源100と対向する複数の成膜位置に基板2及びマスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、一の成膜位置において蒸発源100により成膜を行いながら他の成膜位置においてアライメント駆動機構によりマスク3と基板2との位置合わせを行えるように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、有機EL表示パネルの製造装置における搬送方式は、基板サイズが例えば第4世代のハーフカットサイズ以下で、重力によるガラス基板のたわみが小さく問題にならないため、フェースダウンの水平搬送が主流となっている。
【0003】
ところで、将来、基板サイズが大きくなる(第4世代以上となる)のは明らかであり、基板を水平搬送する場合には、基板が大型化するとそれに伴い装置の設置スペースが増大する。
【0004】
また、基板サイズが大きくなってもアライメントの精度は変わらず、相対的な位置合わせの困難さが増加する。更に、水平搬送では基板のたわみにより、基板とマスクとの位置合わせに問題が生じることが懸念される。
【0005】
そこで、装置の設置スペースの増大を抑制するため、また、重力による基板のたわみを軽減するため、例えば特許文献1に開示されるように、基板を垂直状態(直立状態)で搬送する垂直搬送方式が提案されている。
【0006】
また、位置合わせのためのアライメントユニットが平面方向に張り出し、設置スペースを増大させる可能性がある。
【0007】
また、基板の大型化に伴いチャンバ(成膜室)も大型化し、これによりチャンバの変形が増大するため、チャンバの変形が内部のLM(Linear Motion)ガイドに過負荷として働き、それだけLMガイドの寿命を短縮させる。また、変形を小さくするようにチャンバの強度を上げると重量が重くなり、それだけコスト及び運搬の問題が生じる。
【0008】
また、有機ELの蒸着素材は非常に高価であるため、蒸着材料を無駄なく効率よく使用することが要望されている。即ち、通常の蒸着装置では、蒸着完了後、次の基板のセッティングが完了するまで蒸発源は蒸着材料を噴出し続けるため、その分が無駄となり、それだけ蒸着材料の使用効率が低下している。また、基板と蒸発源とを近づけると使用効率は向上するが、基板、マスクが温度上昇し蒸着パターンがずれる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−340425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述のような問題を解決すべくなされたもので、省スペースを実現しつつ、チャンバの変形の影響を可及的に軽減し、また、アライメント精度を確保可能で、材料の使用効率の向上も図れるなど、第4世代以上の大型基板にも対応可能な極めて実用性に秀れた成膜装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、前記成膜室1に、前記マスク3が前記基板2に対して適正位置となるように前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板2若しくは前記マスク3の搬送方向に沿って移動可能な前記基板2に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源100と、前記蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置に係るものである。
【0013】
また、直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、前記成膜室1に、前記マスク3を直立状態に取り付けたアライメント枠4を前記基板2に対して調整移動して、前記マスク3が前記基板2に対して適正位置となるように前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板2に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源100と、この蒸発源100を前記基板2若しくは前記マスク3の搬送方向に沿って往復ガイド移動させる蒸発源ガイド機構と、前記蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、前記アライメント駆動機構を前記複数の成膜位置に夫々設けて、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置に係るものである。
【0014】
また、前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室1の内壁面との間に、成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構を設けたことを特徴とする請求項2記載の成膜装置に係るものである。
【0015】
また、前記蒸発源100からの前記基板2への放熱を防止する蒸発源冷却機構を備えたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0016】
また、前記マスク3の前記蒸発源100側にこのマスク3を冷却するマスク冷却機構を設けると共に、前記基板2のマスク3が設けられる表面とは反対側の裏面側にこの基板2を冷却する基板冷却機構を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0017】
また、前記成膜室1に前記蒸発源100の前記成膜材料が収納される坩堝104を交換する坩堝交換機構を設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0018】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0019】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0020】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側駆動機構若しくは前記下部側駆動機構に、X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部6若しくは前記下部側移動ベース部10を上部側固定ベース部5若しくは下部側固定ベース部9に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体8若しくは前記下部側連結体12を介して前記アライメント枠4をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0021】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側駆動機構及び前記下部側駆動機構に、夫々X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部6及び前記下部側移動ベース部10を上部側固定ベース部5及び下部側固定ベース部9に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12を介して前記アライメント枠4をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0022】
また、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記下部側移動ベース部10を移動せしめる前記下部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、前記上部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置に係るものである。
【0023】
また、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記上部側移動ベース部6を移動せしめる前記上部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各上部側移動ベース部6を夫々独立して移動可能に構成し、前記下部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置に係るものである。
【0024】
また、前記上部側移動ベース部6は、前記上部側固定ベース部5に対し前記上部側移動ベース部6をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記上部側固定ベース部5に連結し、前記上部側連結体8は、前記各上部側移動ベース部6に対し前記上部側連結体8をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各上部側移動ベース部6に連結し、前記下部側移動ベース部10は、前記下部側固定ベース部9に対し前記下部側移動ベース部10をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記下部側固定ベース部9に連結し、前記下部側連結体12は、前記各下部側移動ベース部10に対し前記下部側連結体12をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各下部側移動ベース部10に連結したことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上述のように構成したから、省スペースを実現しつつ、チャンバの変形の影響を可及的に軽減し、また、アライメント精度を確保可能で、材料の使用効率の向上も図れるなど、第4世代以上の大型基板にも対応可能な極めて実用性に秀れた成膜装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例の構成概略説明図である。
【図2】本実施例の構成概略説明断面図である。
【図3】本実施例の変形吸収機構の拡大説明側面図である。
【図4】本実施例の導入部の拡大説明断面である。
【図5】本実施例の要部の概略説明斜視図である。
【図6】本実施例の要部の概略説明正面図である。
【図7】本実施例の要部の概略説明断面図である。
【図8】本実施例の要部の概略説明断面図である。
【図9】本実施例のガイドローラの拡大概略説明図である。
【図10】本実施例の上部側駆動機構及び下部側駆動機構の概略説明図である。
【図11】本実施例のアライメント操作例を示す概略説明図である。
【図12】本実施例のカメラ配置例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
マスク搬送機構及び基板搬送機構により夫々直立状態に保持されたマスク3及び基板2を真空槽から成る成膜室1(チャンバ)内の所定の成膜位置へ搬送し、アライメント駆動機構を用いてマスク3と基板2との位置合わせを行い、基板2にマスク3を介して蒸発源100からの成膜材料を付着せしめて成膜を行う。
【0029】
この際、マスク搬送機構及び基板搬送機構により、蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送することができるから、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置に搬送された基板2及びマスク3の位置合わせを行えることになる。
【0030】
従って、一の成膜位置における成膜中に他の成膜位置において予めマスク3と基板2との位置合わせを行っておくことで、一の成膜位置における成膜終了後、即座に蒸発源100を移動させて他の成膜位置において成膜を開始でき、蒸発源100から無駄に成膜材料を出し続ける時間を可及的に短くすることが可能となる。
【0031】
よって、本発明は、基板2を直立状態で搬送することで、装置の設置スペースの増大を抑制でき、また、重力による基板のたわみを軽減できるのは勿論、成膜材料を無駄なく効率的に使用できることになる。
【0032】
また、例えば、前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室1の内壁面との間に、成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構を設けた場合には、成膜室1の変形による蒸発源ガイド機構への影響を可及的に低減でき、チャンバ強度を上げることなくチャンバ内部の蒸発源ガイド機構の長寿命化を図ることが可能となる。
【0033】
また、例えば、前記蒸発源100からの前記基板2への放熱を防止する蒸発源冷却機構、前記マスク3の前記蒸発源100側にこのマスク3を冷却するマスク冷却機構及び前記基板2のマスク3が設けられる表面とは反対側の裏面側にこの基板2を冷却する基板冷却機構を設けることで、基板外に飛散する成膜材料を低減させるべく基板2及びマスク3と蒸発源100との距離を短くしても、この蒸発源冷却機構と後述するマスク冷却機構及び基板冷却機構とにより、マスク3の蒸発源100からの熱による変形を抑制でき、熱によるパターンずれを抑制しつつ成膜材料の使用効率を高めることが可能となる。
【0034】
また、例えば請求項7乃至12に記載のアライメント駆動機構を採用した場合には、成膜室内に直立状態で搬送される基板2とマスク3との位置合わせを、上部側移動ベース部6若しくは下部側移動ベース部10を夫々上下の各固定ベース部5,9に対して移動せしめ、この各移動ベース部6,10に設けられる上部側連結体8若しくは下部側連結体12を介してアライメント枠4及びこのアライメント枠4と一体に移動するように取り付けられるマスク3を基板2に対してX,Y及びθ方向に調整移動する際、成膜室の外部にして上部側若しくは下部側に配置した上部側駆動機構若しくは下部側駆動機構の上部側固定ベース部5若しくは下部側固定ベース部9に対して上部側移動ベース部6若しくは下部側移動ベース部10を、これらを駆動させる駆動装置を用いて移動させることでマスク3と基板2との位置合わせを行うため、従来のようにアライメント駆動機構を搬送方向と水平方向に直交する方向に突出させることなく、成膜室1の上方若しくは下方またはその双方にコンパクトに配置することが可能となり、それだけ平面レイアウト上の設置スペースを可及的に小さくすることが可能となる。
【0035】
また、剛体としてのチャンバに各固定ベース部5,9を設けるため、位置合わせ精度も十分確保することができる。また、中央の空間部分を大きくすることができ、基板冷却機構、マスク冷却機構若しくはマスク吸着機構等の設置がそれだけ容易となる。更に、マスク3の保持モーメントが小さくなり、位置合わせ精度に対する影響を少なくでき、それだけ基板サイズの大型化に対応できるものとなる。従って、駆動機構をそれだけコンパクトにでき、また、この駆動機構と各連結体8,12のアライメント枠4との連結部との距離を短くできるため、それだけ精密な位置合わせ調整移動が可能となる。
【0036】
また、上下の各移動ベース部6,10を移動させるための駆動装置を、成膜室1の上部及び下部に夫々分割して設けることができ、例えば、所定間隔をおいて設けた一対(2つ)の下部側移動ベース部10を下部側固定ベース部9に対してX方向に移動させるボールねじ装置(1軸)及びY方向に移動させるボールねじ装置(各移動ベース部に夫々計2軸)を下部側に設け、上部側移動ベース部6を上部側固定ベース部5に対してX方向に移動させるボールねじ機構(1軸)を上部側に設けるなどすることもできる(各上部側移動ベース部6及び下部側移動ベース部10は、上部側連結体8及び下部側連結体12により連結されるため、連動して移動する)。
【0037】
これにより、各駆動装置による各移動ベース部の移動量を調整設定することで、アライメント枠4をX,Y及びθ方向に自在に調整移動させることができ、しかも、上部側の駆動装置を少なくしてより安定的に成膜室にアライメント駆動機構を設けることなどが可能となる。
【0038】
特に、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に下部側移動ベース部10を移動せしめる下部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、上部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けないか、若しくは、前記Y方向に上部側移動ベース部6を移動せしめる上部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各上部側移動ベース部6を夫々独立して移動可能に構成し、下部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けない構成とすることで、成膜室1の変形を吸収できることになり、よって、成膜室1の変形によるアライメント駆動機構への影響を可及的に低減できることになる。
【0039】
更に、成膜室1内(真空側)に配置されるのは各連結体8,12のアライメント枠4との連結部のみであり、アライメント駆動機構の摩擦接触部位が全て成膜室1の外部(大気側)に設けられるため、それだけ成膜室1の内部を清浄な雰囲気に保持することができ、成膜される薄膜をより高品質なものとすることが可能となる。
【実施例】
【0040】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0041】
本実施例は、水平方向に対して垂直に立てた垂直直立状態で基板2及びマスク3を搬送(縦型搬送)する基板搬送機構及びマスク搬送機構を備えた成膜装置(真空蒸着装置)の成膜室に本発明を適用したものである。
【0042】
即ち、本実施例は、直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、前記成膜室1に、前記マスク3を直立状態に取り付けたアライメント枠4を前記基板2に対して調整移動して、前記マスク3が前記基板2に対して適正位置となるように前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板2に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源100と、この蒸発源100を前記基板2若しくは前記マスク3の搬送方向に沿って往復ガイド移動させる蒸発源ガイド機構と、前記蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、前記アライメント駆動機構を前記複数の成膜位置に夫々設けて、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行えるように構成したものである。
【0043】
また、本実施例のアライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたものである。
【0044】
各部を具体的に説明する。
【0045】
成膜室1(チャンバ)は、図1に図示したように、基板2及びマスク3の搬入出用のロードロック室101と気密状態を保持するようにゲートバルブ102を介して連設されている。
【0046】
この成膜室1及びロードロック室101には、夫々減圧機構としての真空ポンプ103(例えばクライオポンプ等)が夫々設けられている(ロードロック室101側は図示省略)。尚、図中符合108は、ロードロック室101と大気側との間のゲートバルブである。
【0047】
また、成膜室1には、基板2の成膜面と対向する蒸発源100が設けられている。
【0048】
この蒸発源100は、図2に図示したように、収納(充填)された成膜材料を加熱して気化せしめる加熱用の坩堝104と、この気化した成膜材料が満たされる成膜材料溜め部105と、前記成膜材料溜め部105に溜められた気化した成膜材料を成膜室1内に噴射するノズル107とで構成されるホスト材料用の吹付機構及びドーパント材料用の吹付機構とを少なくとも一対備えた構成としている。
【0049】
この各吹付機構のノズル107は、夫々基板高さ方向(垂直方向)に基板2の高さ方向全体に満遍なく成膜材料を吹き付けられるように略一直線状に多数並設状態に設けられている。
【0050】
従って、このホスト材料用の吹付機構及びドーパント材料用の吹付機構を少なくとも1つずつ備えた蒸発源100を基板搬送方向と平行に移動させることで、基板全面に成膜材料を吹き付けることができる。また、本実施例ではホスト材料用の吹付機構若しくはドーパント材料用の吹付機構のいずれかを2つ設けられるように2つ目のホスト若しくはドーパント材料用の吹付機構を含み計3つの吹付機構を設けている。よって、本実施例では最大3つの各ノズル列から夫々ホスト材料とドーパント材料とを基板2に吹き付けることができる。
【0051】
また、蒸発源100には、蒸発源100の少なくとも基板2と対向する正面部を冷却する蒸発源冷却機構が設けられている。この蒸発源冷却機構は、水等の冷媒によって適宜冷却される前記各ノズルのノズル孔部分が開口する金属製の板体113で構成されている。
【0052】
従って、基板外に飛散する成膜材料を低減させるべく基板2及びマスク3と蒸発源100との距離を短くしても、この蒸発源冷却機構と後述するマスク冷却機構及び基板冷却機構とにより、マスク3の蒸発源100からの熱による変形を抑制でき、熱によるパターンずれを抑制しつつ成膜材料の使用効率を高めることが可能となる。
【0053】
また、3つのノズル列を有する蒸発源100は、夫々各成膜位置(例えば図1中α及びβの位置)において成膜材料を基板に吹き付けられるように基板搬送方向と平行に移動できるように構成されている。
【0054】
具体的には、成膜室1には、蒸発源100を基板2及びマスク3の搬送方向に沿って往復ガイド移動させるための蒸発源ガイド機構121が設けられている。この蒸発源ガイド機構121は、成膜室1の真空領域とは隔離される大気領域を形成する大気室111及び支持部材112を介して蒸発源100を移動させるように構成されている。図中符合106は、成膜室1の真空領域とは隔離される大気領域を形成するものであって、先端部が大気室111内に連通し、基端部が成膜室1の外部と連通し後述するピニオン駆動用のモーターの電源等を導入するための導入部125に設定される関節部を有する大気アームである。
【0055】
蒸発源ガイド機構121は、夫々搬送方向と平行に延設されるラック122とピニオン123(ギア)とピニオン駆動用のモーターとレール114及びブロック115から成るLMガイドとで構成されている。この蒸発源ガイド機構121のラック122はレール114の側部に設けられており、このレール114は、成膜室1の内壁面(上面及び下面)にこの成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構116を介して設けられている。尚、本実施例においては、レール114は2つ並設され、ブロック115は夫々に対応して設けられる(ラック122は一方のレール114の側部に設けられる。)。また、ブロック115はブロック取付部127を介して大気室111の上下面に夫々設けられている。また、ピニオン駆動用のモーターは大気室111内に設けられ、この大気室111内に設けられ上下端部に夫々ピニオン123が設けられる同期軸124を回転させるように構成され、大気アーム106を通じて電源等が接続される。
【0056】
この変形吸収機構116は、成膜室1の上下壁面に夫々固定状態に設けられる固定部128と、この固定部128の挿通孔に挿通配設され、上下方向(垂直方向)に相対移動可能な挿通部129と、成膜室1の壁面(上面若しくは下面)との対向面側にこの挿通部129が立設状態に取り付けられ、大気室111との対向面側にレール114が取り付けられる取付部126とで構成されている。図中符合130は気密保持用のOリング、131は変位吸収用のガイドブッシュ、132は成膜室1の変形に応じて広狭する固定部128と挿通部129の対向面間の隙間である。従って、成膜室1が変形しても固定部128と挿通部129との間の隙間132の分だけその変形が吸収され、LMガイドに影響が生じないことになる。本実施例においては固定部128及び挿通部129は2つずつ設けられており、取付部126を挿通部129間に架設状態に設けることで一層良好に成膜室1の上下壁面の変形を吸収できるように構成している。
【0057】
また、本実施例においては、大気アーム106の導入部125は、成膜室1の側壁に設けた挿通孔部133に左右方向(水平方向)に相対移動可能に挿通配設せしめられ、この導入部125の外周部に設けた径小部134に挿通孔部133の開口端に設けられる周設部材135が配設され、この径小部134の形成長さを周設部材135の厚さより長く設定することで、成膜室1の側壁が変形した際の変形を吸収できるように構成している。図中符合136は気密保持用のOリング、137は変位吸収用のガイドブッシュである。
【0058】
従って、成膜室1の変形によるLMガイドへの影響は最小限に抑えられることになる。
【0059】
また、基板2と各蒸発源100との間には、基板2(各成膜位置)と蒸発源100とを仕切るシャッター117が設けられている。
【0060】
また、本実施例においては、膜厚計として水晶モニター110を採用している。具体的には可及的に水晶の交換期間を延長できるように、チョッパを備えた多点式の水晶モニター110を採用している。
【0061】
また、本実施例においては、成膜室1に材料使用済みの坩堝104を材料充填済みの坩堝104と交換するための坩堝交換機構を設けている。本実施例においては、成膜室1内に予備の蒸発源109を設け(本実施例においては2ヶ所に設け)、蒸発源100を予備の蒸発源109と交換できるように構成し、坩堝交換機構は、この交換によって次の予備となる蒸発源109の(材料使用済みの)坩堝104を、成膜室1に連設した材料充填室118に搬送し、この材料充填室118において成膜材料が充填された坩堝104を、成膜室1の待機位置の蒸発源109へ取り付けるように構成されている。本実施例においては、予備の蒸発源109を2ヶ所に設けるようにすることで、一方の坩堝104が交換中であっても他方を使用可能となり、連続成膜により適した構成となる。尚、図中符合119は成膜室1と材料充填室118との間のゲートバルブ、120は材料充填室118と大気側との間のゲートバルブである。
【0062】
従って、前記多点式の水晶モニター110と坩堝交換機構により、水晶交換及び材料供給のためにチャンバを開放するインターバルが伸び、それだけ装置の停止時間が短くなり運転効率が向上することになる。
【0063】
また、本実施例においては、図5に図示したようにガラス基板2は基板トレイ41に取り付けられており、マスク3は枠状のマスクフレーム(図示省略)に取り付けられ、このマスクフレームは枠状のマスクトレイ42に取り付けられている(基板サイズが第5世代、第5.5世代の場合)。この枠状のマスクトレイ42の蒸発源100側の面には、このマスクトレイ42を冷却するマスク冷却機構としての冷却板が設けられている。
【0064】
尚、基板サイズによっては(例えば第6世代の場合)、マスク3をマスクフレームに取り付けたもの(マスクトレイなしのもの)を採用しても良い。
【0065】
図5〜8に図示したように、マスクトレイ42の上部には断面視略U字状の上部ガイド体43が設けられている。
【0066】
この上部ガイド体43の内部には、真空槽(ロードロック室101及び成膜室1)の内部上面側に設けられるガイドローラ40,44が当接する。また、上部ガイド体43の底面には嵌入孔37が設けられ、後述する位置決めピン36を嵌入することで、アライメント時にマスク3を固定できるように構成している。
【0067】
マスクトレイ42の下部には丸棒状の下部ガイド体45が設けられている。
【0068】
この下部ガイド体45によりマスク3は真空槽(ロードロック室101及び成膜室1)の内部下面側に設けられる搬送ローラ46(Vローラ)にガイドされつつ搬送される。具体的には搬送ローラ46は成膜室1の底面に立設される。下部ガイド体45の底面には嵌入孔39が設けられ、後述する位置決めピン38を嵌入することで、アライメント時にマスク3を固定できるように構成している。
【0069】
また、基板トレイ41にも同様にガイドローラ47が当接する断面視略U字状の上部ガイド体48と、搬送ローラ49(Vローラ)にガイドされつつ搬送される下部ガイド体50が設けられている。この上部ガイド体48の底面及び下部ガイド体50の底面には、基板トレイロックピンが嵌入する嵌入孔が設けられている。
【0070】
従って、ロードロック室101及び成膜室1に直線状に並設される上記ガイドローラ40,44及び搬送ローラ46によりマスク搬送機構が構成され、上記ガイドローラ47及び搬送ローラ49により基板搬送機構が構成される。
【0071】
また、基板トレイ41の基板2がクランプ固定されるクランプ固定面の反対側(裏面)には、基板トレイ41を冷却する基板冷却機構としての冷却板及びマスク3(インバーなどの磁性材料からなる)と基板2とを密着させるマグネット板を備えた板体51を設けるための凹部が形成されている。
【0072】
また、基板2の表面側角部及びマスク3の裏面側角部(対角位置の一対の角部)には、アライメントマークが夫々設けられている。
【0073】
このアライメントマークは、基板トレイ41及び板体51に設けたアライメントマーク視認用穴52,53を通じてCCDカメラ、レンズ及び照明から成るアライメントカメラ54により視認できるように構成している。アライメントは、このアライメントカメラ54からの映像を元にアライメント駆動機構を制御して行う。尚、アライメントカメラ54は具体的には図12に図示したように成膜室1の外部にガラス板138を介して設ける。図中符合139は気密保持用のOリングである。
【0074】
アライメント駆動機構について詳述する。
【0075】
前記上部側移動ベース部6は、前記上部側固定ベース部5に対し前記上部側移動ベース部6をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記上部側固定ベース部5に連結し、前記上部側連結体8は、前記各上部側移動ベース部6に対し前記上部側連結体をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各上部側移動ベース部6に連結し、前記下部側移動ベース部10は、前記下部側固定ベース部9に対し前記下部側移動ベース部10をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記下部側固定ベース部5に連結し、前記下部側連結体12は、前記各下部側移動ベース部10に対し前記下部側連結体12をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各下部側移動ベース部10に連結している。
【0076】
本実施例においては、上部側固定ベース部5を成膜室1の上壁面外側に固定状態に設けている。
【0077】
図10,11に図示したように、この上部側固定ベース部5のマスク表面と平行な取付面に、X方向(左右方向)に延設されるレール15に断面視コ字状のガイドブロック16を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の上部側X方向移動ベース14を設け、この上部側X方向移動ベース14のマスク表面と平行な取付面に、Y方向(上下方向)に延設されるレール18にガイドブロック19を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の上部側Y方向移動ベース17を設けて上部側移動ベース部6を構成している。
【0078】
上部側X方向移動ベース14の上部側固定ベース部5の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック16の取付平坦面が取付固定される。また、上部側Y方向移動ベース17の上部側X方向移動ベース14の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック19の取付平坦面が取付固定される。
【0079】
下部側も同様に、下部側固定ベース部9を成膜室1の下壁面外側に固定状態に設けている。
【0080】
この下部側固定ベース部9のマスク表面と平行な取付面に、Y方向に延設されるレール21にガイドブロック22を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の下部側Y方向移動ベース20を設け、この下部側Y方向移動ベース20のマスク表面と平行な取付面に、X方向に延設されるレール24にガイドブロック25を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の下部側X方向移動ベース23を設けて下部側移動ベース部10を構成している。
【0081】
下部側Y方向移動ベース20の下部側固定ベース部9の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック22の取付平坦面が取付固定される。また、下部側X方向移動ベース23の下部側Y方向移動ベース20の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック25の取付平坦面が取付固定される。
【0082】
尚、本実施例においては、バランスを考慮して、上下の駆動機構でX方向移動ベースとY方向移動ベースの上下配置関係を逆にしているが、一致させても良い。
【0083】
また、上部側移動ベース部6及び下部側移動ベース部10は夫々、左右一対ずつ(2つずつ)設けている。
【0084】
この各上部側移動ベース部6のマスク表面と平行な取付面には、内輪に対して外輪を旋回可能に設けたクロスローラベアリング13を介して上部側連結体8の断面視L字状の板材から成る1つの基部27の垂直面を夫々設け、この基部27は各上部側移動ベース部6に架設状態に設けている。
【0085】
下部側も同様に、各下部側移動ベース部10のマスク表面と平行な取付面には、内輪に対して外輪を旋回可能に設けたクロスローラベアリング26を介して下部側連結体12の断面視L字状の板材から成る1つの基部29の垂直面を夫々設けて、この基部29を各下部側移動ベース部10に架設状態に設けている。
【0086】
上部側移動ベース部6に設けた上部側連結体8の基部27の前記垂直面と直交する水平面の左右端部(クロスローラベアリング13に対応する位置)には夫々、マスク3を直立状態で取り付けるアライメント枠4に連結される連結筒体28を立設している。
【0087】
この各連結筒体28の先端部は成膜室1の上部貫通孔7を通じて成膜室1内に導入され、この先端部にはマスク搬送ガイド用の(マスク位置決め固定位置における)ガイドローラ44が設けられアライメント枠4と連結される水平板体30が架設状態に連結される。このガイドローラ44は、図9に図示したように、上部ガイド体43の内底面に当接するローラ体70と、内側面に当接するローラ体71と、これらのローラ体70,71が回転自在に保持されるローラ保持体72と、ローラ保持体72を水平板体30の表面に対して接離動自在に支持する一対のスライドブッシュ73とで構成されている。また、このローラ保持体72はスプリング等の付勢機構により水平板体30から離反する方向に付勢されている。
【0088】
また、水平板体30には、先端にマスク3の嵌入孔37に嵌入される嵌入部を有する位置決めピン36が設けられている。この位置決めピン36は、ガイドローラ44のスライドブッシュ73間に設けられ、また、その先端部がガイドローラ44のローラ保持体72の中央部に設けられる挿通孔から突出するように設けられる。また、位置決めピン36の先端の嵌入部は、常態ではローラ体70,71より突出しないように構成され、ローラ保持体72が付勢機構による付勢力に抗して押し上げられた場合にはローラ体70,71より突出して(露出して)上部ガイド体43の嵌入孔37に嵌入できるように構成されている。
【0089】
従って、後述する位置決めピン38によりマスク3(マスクトレイ42)が上方に押し上げられ、上部ガイド体43によりローラ体70を介してローラ保持体72が押し上げられると位置決めピン36の先端の嵌入部が露出し、上部ガイド体43の嵌入孔37に嵌入されることになる。
【0090】
また、この連結筒体28を覆うように金属製のベローズ34(伸縮管)が設けられる。ベローズ34の一端は上部貫通孔7の周縁部に配置され、他端は水平板体30の上面側に配置され、これにより上部貫通孔7は気密状態で封止される。
【0091】
下部側は、下部側移動ベース部10に設けた下部側連結体12の基部29の前記垂直面と直交する水平面の左右端部(クロスローラベアリング26に対応する位置)には夫々、マスク3を直立状態で取り付けるアライメント枠4に連結される連結筒体31を立設している。
【0092】
この各連結筒体31の先端部は成膜室1の下部貫通孔11を通じて成膜室1内に導入され、この先端部にはアライメント枠4と連結される水平板体33が架設状態に連結される。
【0093】
この連結筒体31の先端部は水平板体33を(隙間がない気密を保持できる状態で)貫通して上方に突出するように設け、この連結筒体31内に連結筒体31の先端から隙間がない気密を保持できる状態で突出する筒状体60を設け、この筒状体60の内部には位置決めピン38が偏心カム機構等の適宜な突没駆動機構61により先端から突没動自在に設けられている。また、位置決めピン38の突出量は、嵌入孔39に嵌入して少なくともマスクトレイ42の下部ガイド体50が搬送ローラ46から離反するように押し上げられ、マスクトレイ42の上部ガイド体43によりローラ体70を介してローラ保持体72を押し上げて位置決めピン36の先端の嵌入部が露出し得る程度に設定する。
【0094】
尚、位置決めピン38の外周面と筒状体60の先端内周面とは気密を保持した状態で突没摺動し得るように構成している。
【0095】
従って、この位置決めピン38を筒状体60の先端から突出せしめてマスク3の嵌入孔39に嵌入すると共に、マスク3(マスクトレイ42)を押し上げて上部ガイド体43によりローラ保持体72を押し上げて露出した位置決めピン36の先端の嵌入部を嵌入孔37に嵌入することで、マスク3を上部側連結体8及び下部側連結体12に対して位置決め固定することができ、マスク3をアライメント枠4と一体に固定することができる。
【0096】
また、この連結筒体31を覆うように金属製のベローズ35が設けられる。ベローズ35の一端は下部貫通孔11の周縁部に配置され、他端は水平板体33の下面側に配置され、これにより下部貫通孔11は気密状態で封止される。
【0097】
また、アライメント枠4はその上下端部が夫々水平板体30,33に連結されている。従って、アライメント枠4と各連結体8,12とは一体で移動することになる。即ち、アライメント枠4は、左右の移動ベース部6,10夫々の移動の影響を受けてX,Y及びθの各方向へ移動する各連結体8,12と共にX,Y及びθの各方向へ移動する。尚、アライメント枠4にはマスク冷却用の冷却機構が設けられている。
【0098】
各移動ベース部6,10を移動させる駆動機構について詳述する。
【0099】
本実施例においては、上部側駆動機構及び下部側駆動機構に、夫々X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部6及び前記下部側移動ベース部10を上部側固定ベース部5及び下部側固定ベース部9に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12を介して前記アライメント枠4をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成している。
【0100】
具体的には、マスク表面に平行な上下方向であるY方向に下部側移動ベース部10を移動せしめる下部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、上部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けないか、若しくは、前記Y方向に上部側移動ベース部6を移動せしめる上部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各上部側移動ベース部6を夫々独立して移動可能に構成し、下部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けない構成とする。
【0101】
更に具体的に説明すると、X方向用駆動装置及びY方向用駆動装置としては公知のボールねじ装置を採用している。ボールねじ装置は、正逆回転自在のモーター55及びモーター55により回動するボールねじ56(固定部)と、ボールねじ56に螺合してこのボールねじ56の回動によりボールねじ56の軸方向に移動するナット57(移動部)とで構成される。
【0102】
本実施例においては、図10に図示したように、下部側固定ベース部9(の取付面)の左右端部にモーター55及びボールねじ56を、このボールねじ56が前記Y方向に延設されるレール21同士の間に該レール21と平行となるように固定し、下部側固定ベース部9の左右端部に設けた下部側移動ベース部10の下部側Y方向移動ベース20の下部側固定ベース部9との対向面に夫々前記ボールねじ56と螺合するナット57を取り付けて、Y方向に駆動せしめるように構成している。
【0103】
また、右端部に設けた下部側移動ベース部10の下部側Y方向移動ベース20にモーター55及びボールねじ56を、このボールねじ56が前記X方向に延設されるレール24同士の間に該レール24と平行となるように固定し、下部側X方向移動ベース23の下部側Y方向移動ベース20との対向面に前記ボールねじ56と螺合するナット57を取り付けて、X方向に駆動せしめるように構成している。
【0104】
また、上部側固定ベース部5(の取付面)の一端部(右端部)にモーター55及びボールねじ56を、このボールねじ56が前記X方向に延設されるレール15同士の間に該レール15と平行となるように固定し、上部側固定ベース部5の右端部に設けた上部側移動ベース部6の上部側X方向移動ベース14の上部側固定ベース部5との対向面に夫々前記ボールねじ56と螺合するナット57を取り付けて、X方向に駆動せしめるように構成している。
【0105】
従って、上部側連結体8及び下部側連結体12とアライメント枠4とは一体に移動することから、上記4つのボールねじ装置(以下、下部側X方向用駆動装置をA,下部左側Y方向用駆動装置をB,下部右側Y方向用駆動装置をC,上部側X方向駆動用装置をDとする。)による各移動ベースの移動量を調整することで、上部側連結体8及び下部側連結体12とアライメント枠4とをX,Y及びθ方向に自在に移動させることができる。
【0106】
例えば、図11に図示したように、Aにより下部側X方向移動ベース23を左方向に送り、Dにより上部側X方向移動ベース14を右方向に送り、Bにより左側の下部側Y方向移動ベース20を上方向に送り、Cにより右側の下部側Y方向移動ベース20を下方向に送ることで、クロスローラベアリングを介してアライメント枠4(マスク3)を回転させることもでき、これらA〜Dによる送り方向及び送り量を夫々独立して制御することで、アライメントマークに基づいてマスク3を精密に基板2に対する位置合わせを行うことが可能となる。
【0107】
また、本実施例においては、下部側駆動機構でアライメント枠4及びマスク3の質量を支持する必要があるため、負荷に見合ったエアー圧を供給することで質量をキャンセルしてY軸の駆動負荷を低減させるバランサーシリンダ62を設けている。尚、下部側駆動機構との結合部はアライメント動作を制限しないようにLMガイド63を介して結合している。
【0108】
また、本実施例において、基板2のロック機構及びマスク3に対する往復移動機構は、以下のように構成している。
【0109】
基板2のロック機構は、図7,8に図示したように、基板2(基板トレイ41)を上昇させる偏心カム32と、偏心カム32により上昇させた基板トレイ41の下部ガイド体50の底面の嵌入孔に嵌入する基板トレイロックピン(偏心カム32と共にマスク3に対して往復移動する)と、基板トレイ41が上昇した際、上部ガイド体48の底面に設けたV字溝に嵌入するガイドローラ47のテーパ状ローラ体とで構成している。
【0110】
また、マスク3に対する往復移動機構は、図7,8に図示したように、偏心カム32を支持する支持体66と、ガイドローラ47を支持する支持体69と、これら支持体66,69を成膜室1に対してマスク3の面方向と水平方向に直交する方向にスライド自在に支持するLMガイド67と、これら支持体66,69をスライド移動させるスライド移動機構75とで構成している。このスライド移動機構75は、サーボモーター及びこのサーボモーターにより駆動するボールねじユニットと、このボールねじユニットによりLMガイド76に沿ってマスク3の面方向と水平方向に直交する方向に移動する移動ベース78と、この移動ベース78と支持体66,69とを連結する連結部74とで構成している。
【0111】
図中、符号64は偏心カム32を回転させる回転軸、65は回転軸64を駆動する駆動モーター、68は往復移動機構によりマスク3に対して基板2を押し付けた際の過度の密着を防止するためのスプリング、77はベローズである。
【0112】
以上の構成の本実施例によるアライメント動作を説明する。
【0113】
成膜室1にマスク3及び基板2をマスク搬送機構及び基板搬送機構(搬送ローラ及びガイドローラ)により夫々搬送する。尚、本実施例においてはこれらの搬送ローラ及びガイドローラを搬送方向と水平方向に直交する方向にマスク搬送用及び基板搬送用として1列ずつ計2列並設している。勿論3列以上並設しても良い。
【0114】
成膜室1に搬送されたマスク3及び基板2を夫々、マスク3及び基板2をアーム等で機械的に仮位置決めするプリアライメント機構により、位置決めピン36,38及び基板トレイロックピンが夫々嵌入孔に嵌入し得る位置に調整移動する。尚、本実施例においては、成膜位置α及びβに対応するように、プリアライメント機構及びアライメント駆動機構はマスク3若しくは基板2の搬送方向と平行方向に同構成のものを2つ設ける(成膜位置を3つ以上設ける場合にはそれと同数だけ設ける。)。
【0115】
プリアライメントされたマスク3の嵌入孔37,39に、位置決めピン36,38を嵌入せしめ、マスク3(マスクトレイ42)を各連結体8,12に対して固定する。
【0116】
また、基板2については基板トレイロックピンを上昇させつつ搬送ローラのうちの一部の偏心カム32の回転により基板トレイ41を上昇させてアライメント位置(マスク3と基板2のアライメントマークがある程度重なる位置)に移動せしめ(図7。この際、基板トレイ上部は上部ローラガイドに固定。)、このアライメント位置で基板トレイロックピンを基板トレイ下部の嵌入孔に嵌入せしめ、成膜室1に対して固定し、その後、マスク側へスライド移動せしめて計測位置に移動させる。
【0117】
基板2を計測位置に移動させ、CCDカメラにてアライメントマークの位置情報を取得し、取得したアライメントマークの位置情報をもとに駆動制御装置内でマスクトレイ42の位置補正量を算出し、この位置補正量からアライメント枠4及びマスク3の移動量(各X方向用駆動装置及びY方向用駆動装置による送り量)を算出し、この算出した移動量を元に各駆動装置を駆動せしめてアライメント(マスク3の基板2に対する位置合わせ)を行う。尚、アライメントは、基板2を計測位置から(マスクから離反する方向に)少し戻り移動させた後に行う。
【0118】
アライメント終了後、基板2をマスク3に近接するように往復移動機構により蒸着位置に移動せしめ(図8)、基板2とマスク3とを密着させて基板トレイ41の凹部に冷却板及びマグネット板を備えた板体51を設け、この状態でCCDカメラにてアライメントマークの位置情報を取得し、位置合わせが基準寸法内に収まっているかを駆動制御装置で判定し、アライメントマークのズレが基準寸法内であればそのまま成膜を開始し、基準寸法内でなければ前記位置補正量及び前記移動量を算出して基準寸法内になるまで繰り返しアライメントを行う。
【0119】
ここで、基板2をマスク3に近接するように往復移動機構により移動せしめると、基板搬送経路が開放されるため、このマスク3と近接する基板2の背後を通って他の基板2を搬送することが可能となる(従って、ガイドローラ47及び搬送ローラ49は偏心カム32が基板搬送経路から外れても、基板2が片持ち状態とならない間隔で並設する。)。
【0120】
即ち、例えばまず成膜位置αでアライメントを行って成膜を開始した際、成膜位置αの基板2の背後を通って他の基板2を成膜位置β側へ搬送することができ、成膜位置αにおける成膜中に成膜位置βにて他の基板2のアライメントを行えることになる。
【0121】
尚、本実施例においては、マスク3側を動かすことでアライメントを行っているが、基板2側を動かすように同様に構成しても良い。また、本実施例においては、成膜室1の上下に夫々上部側駆動機構及び下部側駆動機構を設けた構成であるが、X方向用駆動装置及びY方向用駆動装置を備えた上部側駆動機構若しくは下部側駆動機構のみを設ける構成としても良い。
【0122】
本実施例は上述のように構成したから、マスク搬送機構及び基板搬送機構により夫々直立状態に保持されたマスク3及び基板2を真空槽から成る成膜室1(チャンバ)内の所定の成膜位置へ搬送し、アライメント駆動機構を用いてマスク3と基板2との位置合わせを行い、基板2にマスク3を介して蒸発源100からの成膜材料を付着せしめて成膜を行う際、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置に搬送された基板2及びマスク3の位置合わせを行えることになる。
【0123】
従って、一の成膜位置における成膜中に他の成膜位置において予めマスク3と基板2との位置合わせを行っておくことで、一の成膜位置における成膜終了後、即座に蒸発源100を移動させて他の成膜位置において成膜を開始でき、蒸発源100から無駄に成膜材料を出し続ける時間を可及的に短くすることが可能となる。
【0124】
よって、基板2を直立状態で搬送することで、装置の設置スペースの増大を抑制でき、また、重力による基板のたわみを軽減できるのは勿論、成膜材料を無駄なく効率的に使用できることになる。
【0125】
また、前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室1の内壁面との間に、成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構を設けたから、成膜室1の変形による蒸発源ガイド機構への影響を可及的に低減でき、チャンバ強度を上げることなくチャンバ内部の蒸発源ガイド機構の長寿命化を図ることが可能となる。
【0126】
また、成膜室内に直立状態で搬送される基板2とマスク3との位置合わせを、上部側移動ベース部6及び下部側移動ベース部10を夫々上下の各固定ベース部5,9に対して移動せしめ、この上下の各移動ベース部6,10に設けられる上部側連結体8及び下部側連結体12を介してアライメント枠4及びこのアライメント枠4と一体に移動するように取り付けられるマスク3を基板2に対してX,Y及びθ方向に調整移動することで行うため、従来のようにアライメント駆動機構を搬送方向と水平方向に直交する方向に突出させることなく、成膜室1の上下にコンパクトに分割配置することが可能となり、それだけ平面レイアウト上の設置スペースを可及的に小さくすることができる。
【0127】
また、剛体としてのチャンバに各固定ベース部5,9を設けるため、位置合わせ精度も十分確保することができる。また、中央の空間部分を大きくすることができ、マスク冷却機構や基板吸着機構等の設置がそれだけ容易となる。更に、マスク3の保持モーメントが小さくなり、位置合わせ精度に対する影響を少なくでき、それだけ基板サイズの大型化に対応できるものとなる。従って、駆動機構を上下に分割してそれだけコンパクトにでき、また、この駆動機構と各連結体8,12のアライメント枠4との連結部との距離を短くできるため、それだけ精密な位置合わせ調整移動が可能となる。
【0128】
また、上下の各移動ベース部6,10を移動させるための駆動装置を、成膜室1の上部及び下部に夫々分割して設けることができ、所定間隔をおいて設けた一対(2つ)の下部側移動ベース部10を下部側固定ベース部9に対してX方向に移動させるボールねじ装置(1軸)及びY方向に移動させるボールねじ装置(各移動ベース部に夫々計2軸)を下部側に設け、上部側移動ベース部6を上部側固定ベース部5に対してX方向に移動させるボールねじ機構(1軸)を上部側に設け、各駆動装置による各移動ベース部の移動量を調整設定することで、アライメント枠4をX,Y及びθ方向に自在に調整移動させることができ、しかも、上部側の駆動装置を少なくしてより安定的に真空槽にアライメント駆動機構を設けることなどが可能となる。
【0129】
また、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に下部側移動ベース部10を移動せしめる下部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、上部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けない構成としたから、成膜室1の変形を吸収できることになり、よって、成膜室1の変形によるアライメント駆動機構(のLMガイド)への影響を可及的に低減できることになる。
【0130】
更に、真空槽内(真空側)に配置されるのは各連結体8,12のアライメント枠4との連結部のみであり、アライメント駆動機構の摩擦接触部位が全て真空槽の外部(大気側)に設けられるため、それだけ成膜室1の内部を清浄な雰囲気に保持することができ、成膜される薄膜をより高品質なものとすることが可能となる。
【0131】
よって、本実施例は、位置合わせ精度を確保しつつ省スペースを実現し、第四世代以上の大型基板にも対応可能な極めて実用性に秀れたものとなる。
【符号の説明】
【0132】
1 成膜室
2 基板
3 マスク
4 アライメント枠
5 上部側固定ベース部
6 上部側移動ベース部
7 上部貫通孔
8 上部側連結体
9 下部側固定ベース部
10 下部側移動ベース部
11 下部貫通孔
12 下部側連結体
34,35 ベローズ
100 蒸発源
104 坩堝
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、有機EL表示パネルの製造装置における搬送方式は、基板サイズが例えば第4世代のハーフカットサイズ以下で、重力によるガラス基板のたわみが小さく問題にならないため、フェースダウンの水平搬送が主流となっている。
【0003】
ところで、将来、基板サイズが大きくなる(第4世代以上となる)のは明らかであり、基板を水平搬送する場合には、基板が大型化するとそれに伴い装置の設置スペースが増大する。
【0004】
また、基板サイズが大きくなってもアライメントの精度は変わらず、相対的な位置合わせの困難さが増加する。更に、水平搬送では基板のたわみにより、基板とマスクとの位置合わせに問題が生じることが懸念される。
【0005】
そこで、装置の設置スペースの増大を抑制するため、また、重力による基板のたわみを軽減するため、例えば特許文献1に開示されるように、基板を垂直状態(直立状態)で搬送する垂直搬送方式が提案されている。
【0006】
また、位置合わせのためのアライメントユニットが平面方向に張り出し、設置スペースを増大させる可能性がある。
【0007】
また、基板の大型化に伴いチャンバ(成膜室)も大型化し、これによりチャンバの変形が増大するため、チャンバの変形が内部のLM(Linear Motion)ガイドに過負荷として働き、それだけLMガイドの寿命を短縮させる。また、変形を小さくするようにチャンバの強度を上げると重量が重くなり、それだけコスト及び運搬の問題が生じる。
【0008】
また、有機ELの蒸着素材は非常に高価であるため、蒸着材料を無駄なく効率よく使用することが要望されている。即ち、通常の蒸着装置では、蒸着完了後、次の基板のセッティングが完了するまで蒸発源は蒸着材料を噴出し続けるため、その分が無駄となり、それだけ蒸着材料の使用効率が低下している。また、基板と蒸発源とを近づけると使用効率は向上するが、基板、マスクが温度上昇し蒸着パターンがずれる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−340425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述のような問題を解決すべくなされたもので、省スペースを実現しつつ、チャンバの変形の影響を可及的に軽減し、また、アライメント精度を確保可能で、材料の使用効率の向上も図れるなど、第4世代以上の大型基板にも対応可能な極めて実用性に秀れた成膜装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、前記成膜室1に、前記マスク3が前記基板2に対して適正位置となるように前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板2若しくは前記マスク3の搬送方向に沿って移動可能な前記基板2に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源100と、前記蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置に係るものである。
【0013】
また、直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、前記成膜室1に、前記マスク3を直立状態に取り付けたアライメント枠4を前記基板2に対して調整移動して、前記マスク3が前記基板2に対して適正位置となるように前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板2に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源100と、この蒸発源100を前記基板2若しくは前記マスク3の搬送方向に沿って往復ガイド移動させる蒸発源ガイド機構と、前記蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、前記アライメント駆動機構を前記複数の成膜位置に夫々設けて、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置に係るものである。
【0014】
また、前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室1の内壁面との間に、成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構を設けたことを特徴とする請求項2記載の成膜装置に係るものである。
【0015】
また、前記蒸発源100からの前記基板2への放熱を防止する蒸発源冷却機構を備えたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0016】
また、前記マスク3の前記蒸発源100側にこのマスク3を冷却するマスク冷却機構を設けると共に、前記基板2のマスク3が設けられる表面とは反対側の裏面側にこの基板2を冷却する基板冷却機構を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0017】
また、前記成膜室1に前記蒸発源100の前記成膜材料が収納される坩堝104を交換する坩堝交換機構を設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0018】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0019】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0020】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側駆動機構若しくは前記下部側駆動機構に、X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部6若しくは前記下部側移動ベース部10を上部側固定ベース部5若しくは下部側固定ベース部9に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体8若しくは前記下部側連結体12を介して前記アライメント枠4をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0021】
また、前記アライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側駆動機構及び前記下部側駆動機構に、夫々X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部6及び前記下部側移動ベース部10を上部側固定ベース部5及び下部側固定ベース部9に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12を介して前記アライメント枠4をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【0022】
また、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記下部側移動ベース部10を移動せしめる前記下部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、前記上部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置に係るものである。
【0023】
また、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記上部側移動ベース部6を移動せしめる前記上部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各上部側移動ベース部6を夫々独立して移動可能に構成し、前記下部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置に係るものである。
【0024】
また、前記上部側移動ベース部6は、前記上部側固定ベース部5に対し前記上部側移動ベース部6をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記上部側固定ベース部5に連結し、前記上部側連結体8は、前記各上部側移動ベース部6に対し前記上部側連結体8をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各上部側移動ベース部6に連結し、前記下部側移動ベース部10は、前記下部側固定ベース部9に対し前記下部側移動ベース部10をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記下部側固定ベース部9に連結し、前記下部側連結体12は、前記各下部側移動ベース部10に対し前記下部側連結体12をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各下部側移動ベース部10に連結したことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の成膜装置に係るものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上述のように構成したから、省スペースを実現しつつ、チャンバの変形の影響を可及的に軽減し、また、アライメント精度を確保可能で、材料の使用効率の向上も図れるなど、第4世代以上の大型基板にも対応可能な極めて実用性に秀れた成膜装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施例の構成概略説明図である。
【図2】本実施例の構成概略説明断面図である。
【図3】本実施例の変形吸収機構の拡大説明側面図である。
【図4】本実施例の導入部の拡大説明断面である。
【図5】本実施例の要部の概略説明斜視図である。
【図6】本実施例の要部の概略説明正面図である。
【図7】本実施例の要部の概略説明断面図である。
【図8】本実施例の要部の概略説明断面図である。
【図9】本実施例のガイドローラの拡大概略説明図である。
【図10】本実施例の上部側駆動機構及び下部側駆動機構の概略説明図である。
【図11】本実施例のアライメント操作例を示す概略説明図である。
【図12】本実施例のカメラ配置例を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
マスク搬送機構及び基板搬送機構により夫々直立状態に保持されたマスク3及び基板2を真空槽から成る成膜室1(チャンバ)内の所定の成膜位置へ搬送し、アライメント駆動機構を用いてマスク3と基板2との位置合わせを行い、基板2にマスク3を介して蒸発源100からの成膜材料を付着せしめて成膜を行う。
【0029】
この際、マスク搬送機構及び基板搬送機構により、蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送することができるから、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置に搬送された基板2及びマスク3の位置合わせを行えることになる。
【0030】
従って、一の成膜位置における成膜中に他の成膜位置において予めマスク3と基板2との位置合わせを行っておくことで、一の成膜位置における成膜終了後、即座に蒸発源100を移動させて他の成膜位置において成膜を開始でき、蒸発源100から無駄に成膜材料を出し続ける時間を可及的に短くすることが可能となる。
【0031】
よって、本発明は、基板2を直立状態で搬送することで、装置の設置スペースの増大を抑制でき、また、重力による基板のたわみを軽減できるのは勿論、成膜材料を無駄なく効率的に使用できることになる。
【0032】
また、例えば、前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室1の内壁面との間に、成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構を設けた場合には、成膜室1の変形による蒸発源ガイド機構への影響を可及的に低減でき、チャンバ強度を上げることなくチャンバ内部の蒸発源ガイド機構の長寿命化を図ることが可能となる。
【0033】
また、例えば、前記蒸発源100からの前記基板2への放熱を防止する蒸発源冷却機構、前記マスク3の前記蒸発源100側にこのマスク3を冷却するマスク冷却機構及び前記基板2のマスク3が設けられる表面とは反対側の裏面側にこの基板2を冷却する基板冷却機構を設けることで、基板外に飛散する成膜材料を低減させるべく基板2及びマスク3と蒸発源100との距離を短くしても、この蒸発源冷却機構と後述するマスク冷却機構及び基板冷却機構とにより、マスク3の蒸発源100からの熱による変形を抑制でき、熱によるパターンずれを抑制しつつ成膜材料の使用効率を高めることが可能となる。
【0034】
また、例えば請求項7乃至12に記載のアライメント駆動機構を採用した場合には、成膜室内に直立状態で搬送される基板2とマスク3との位置合わせを、上部側移動ベース部6若しくは下部側移動ベース部10を夫々上下の各固定ベース部5,9に対して移動せしめ、この各移動ベース部6,10に設けられる上部側連結体8若しくは下部側連結体12を介してアライメント枠4及びこのアライメント枠4と一体に移動するように取り付けられるマスク3を基板2に対してX,Y及びθ方向に調整移動する際、成膜室の外部にして上部側若しくは下部側に配置した上部側駆動機構若しくは下部側駆動機構の上部側固定ベース部5若しくは下部側固定ベース部9に対して上部側移動ベース部6若しくは下部側移動ベース部10を、これらを駆動させる駆動装置を用いて移動させることでマスク3と基板2との位置合わせを行うため、従来のようにアライメント駆動機構を搬送方向と水平方向に直交する方向に突出させることなく、成膜室1の上方若しくは下方またはその双方にコンパクトに配置することが可能となり、それだけ平面レイアウト上の設置スペースを可及的に小さくすることが可能となる。
【0035】
また、剛体としてのチャンバに各固定ベース部5,9を設けるため、位置合わせ精度も十分確保することができる。また、中央の空間部分を大きくすることができ、基板冷却機構、マスク冷却機構若しくはマスク吸着機構等の設置がそれだけ容易となる。更に、マスク3の保持モーメントが小さくなり、位置合わせ精度に対する影響を少なくでき、それだけ基板サイズの大型化に対応できるものとなる。従って、駆動機構をそれだけコンパクトにでき、また、この駆動機構と各連結体8,12のアライメント枠4との連結部との距離を短くできるため、それだけ精密な位置合わせ調整移動が可能となる。
【0036】
また、上下の各移動ベース部6,10を移動させるための駆動装置を、成膜室1の上部及び下部に夫々分割して設けることができ、例えば、所定間隔をおいて設けた一対(2つ)の下部側移動ベース部10を下部側固定ベース部9に対してX方向に移動させるボールねじ装置(1軸)及びY方向に移動させるボールねじ装置(各移動ベース部に夫々計2軸)を下部側に設け、上部側移動ベース部6を上部側固定ベース部5に対してX方向に移動させるボールねじ機構(1軸)を上部側に設けるなどすることもできる(各上部側移動ベース部6及び下部側移動ベース部10は、上部側連結体8及び下部側連結体12により連結されるため、連動して移動する)。
【0037】
これにより、各駆動装置による各移動ベース部の移動量を調整設定することで、アライメント枠4をX,Y及びθ方向に自在に調整移動させることができ、しかも、上部側の駆動装置を少なくしてより安定的に成膜室にアライメント駆動機構を設けることなどが可能となる。
【0038】
特に、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に下部側移動ベース部10を移動せしめる下部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、上部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けないか、若しくは、前記Y方向に上部側移動ベース部6を移動せしめる上部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各上部側移動ベース部6を夫々独立して移動可能に構成し、下部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けない構成とすることで、成膜室1の変形を吸収できることになり、よって、成膜室1の変形によるアライメント駆動機構への影響を可及的に低減できることになる。
【0039】
更に、成膜室1内(真空側)に配置されるのは各連結体8,12のアライメント枠4との連結部のみであり、アライメント駆動機構の摩擦接触部位が全て成膜室1の外部(大気側)に設けられるため、それだけ成膜室1の内部を清浄な雰囲気に保持することができ、成膜される薄膜をより高品質なものとすることが可能となる。
【実施例】
【0040】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0041】
本実施例は、水平方向に対して垂直に立てた垂直直立状態で基板2及びマスク3を搬送(縦型搬送)する基板搬送機構及びマスク搬送機構を備えた成膜装置(真空蒸着装置)の成膜室に本発明を適用したものである。
【0042】
即ち、本実施例は、直立状態に保持された基板2にマスク3を介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室1を備えた成膜装置であって、前記成膜室1に、前記マスク3を直立状態に取り付けたアライメント枠4を前記基板2に対して調整移動して、前記マスク3が前記基板2に対して適正位置となるように前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板2に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源100と、この蒸発源100を前記基板2若しくは前記マスク3の搬送方向に沿って往復ガイド移動させる蒸発源ガイド機構と、前記蒸発源100と対向する複数の成膜位置に前記基板2及び前記マスク3を夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、前記アライメント駆動機構を前記複数の成膜位置に夫々設けて、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスク3と前記基板2との位置合わせを行えるように構成したものである。
【0043】
また、本実施例のアライメント駆動機構は、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の上部側に固定される上部側固定ベース部5と、この上部側固定ベース部5に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部6と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部6に支持され、他端が前記成膜室1の上部に設けた上部貫通孔7を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の上部に連結する上部側連結体8とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室1の外部に設けられこの成膜室1の下部側に固定される下部側固定ベース部9と、この下部側固定ベース部9に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部10と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部10に支持され、他端が前記成膜室1の下部に設けた下部貫通孔11を通じて前記成膜室1内の前記アライメント枠4の下部に連結する下部側連結体12とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12の前記アライメント枠4との連結部は前記上部貫通孔7及び前記下部貫通孔11を夫々気密状態で封止するベローズ34,35を介して前記成膜室1内に設けたものである。
【0044】
各部を具体的に説明する。
【0045】
成膜室1(チャンバ)は、図1に図示したように、基板2及びマスク3の搬入出用のロードロック室101と気密状態を保持するようにゲートバルブ102を介して連設されている。
【0046】
この成膜室1及びロードロック室101には、夫々減圧機構としての真空ポンプ103(例えばクライオポンプ等)が夫々設けられている(ロードロック室101側は図示省略)。尚、図中符合108は、ロードロック室101と大気側との間のゲートバルブである。
【0047】
また、成膜室1には、基板2の成膜面と対向する蒸発源100が設けられている。
【0048】
この蒸発源100は、図2に図示したように、収納(充填)された成膜材料を加熱して気化せしめる加熱用の坩堝104と、この気化した成膜材料が満たされる成膜材料溜め部105と、前記成膜材料溜め部105に溜められた気化した成膜材料を成膜室1内に噴射するノズル107とで構成されるホスト材料用の吹付機構及びドーパント材料用の吹付機構とを少なくとも一対備えた構成としている。
【0049】
この各吹付機構のノズル107は、夫々基板高さ方向(垂直方向)に基板2の高さ方向全体に満遍なく成膜材料を吹き付けられるように略一直線状に多数並設状態に設けられている。
【0050】
従って、このホスト材料用の吹付機構及びドーパント材料用の吹付機構を少なくとも1つずつ備えた蒸発源100を基板搬送方向と平行に移動させることで、基板全面に成膜材料を吹き付けることができる。また、本実施例ではホスト材料用の吹付機構若しくはドーパント材料用の吹付機構のいずれかを2つ設けられるように2つ目のホスト若しくはドーパント材料用の吹付機構を含み計3つの吹付機構を設けている。よって、本実施例では最大3つの各ノズル列から夫々ホスト材料とドーパント材料とを基板2に吹き付けることができる。
【0051】
また、蒸発源100には、蒸発源100の少なくとも基板2と対向する正面部を冷却する蒸発源冷却機構が設けられている。この蒸発源冷却機構は、水等の冷媒によって適宜冷却される前記各ノズルのノズル孔部分が開口する金属製の板体113で構成されている。
【0052】
従って、基板外に飛散する成膜材料を低減させるべく基板2及びマスク3と蒸発源100との距離を短くしても、この蒸発源冷却機構と後述するマスク冷却機構及び基板冷却機構とにより、マスク3の蒸発源100からの熱による変形を抑制でき、熱によるパターンずれを抑制しつつ成膜材料の使用効率を高めることが可能となる。
【0053】
また、3つのノズル列を有する蒸発源100は、夫々各成膜位置(例えば図1中α及びβの位置)において成膜材料を基板に吹き付けられるように基板搬送方向と平行に移動できるように構成されている。
【0054】
具体的には、成膜室1には、蒸発源100を基板2及びマスク3の搬送方向に沿って往復ガイド移動させるための蒸発源ガイド機構121が設けられている。この蒸発源ガイド機構121は、成膜室1の真空領域とは隔離される大気領域を形成する大気室111及び支持部材112を介して蒸発源100を移動させるように構成されている。図中符合106は、成膜室1の真空領域とは隔離される大気領域を形成するものであって、先端部が大気室111内に連通し、基端部が成膜室1の外部と連通し後述するピニオン駆動用のモーターの電源等を導入するための導入部125に設定される関節部を有する大気アームである。
【0055】
蒸発源ガイド機構121は、夫々搬送方向と平行に延設されるラック122とピニオン123(ギア)とピニオン駆動用のモーターとレール114及びブロック115から成るLMガイドとで構成されている。この蒸発源ガイド機構121のラック122はレール114の側部に設けられており、このレール114は、成膜室1の内壁面(上面及び下面)にこの成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構116を介して設けられている。尚、本実施例においては、レール114は2つ並設され、ブロック115は夫々に対応して設けられる(ラック122は一方のレール114の側部に設けられる。)。また、ブロック115はブロック取付部127を介して大気室111の上下面に夫々設けられている。また、ピニオン駆動用のモーターは大気室111内に設けられ、この大気室111内に設けられ上下端部に夫々ピニオン123が設けられる同期軸124を回転させるように構成され、大気アーム106を通じて電源等が接続される。
【0056】
この変形吸収機構116は、成膜室1の上下壁面に夫々固定状態に設けられる固定部128と、この固定部128の挿通孔に挿通配設され、上下方向(垂直方向)に相対移動可能な挿通部129と、成膜室1の壁面(上面若しくは下面)との対向面側にこの挿通部129が立設状態に取り付けられ、大気室111との対向面側にレール114が取り付けられる取付部126とで構成されている。図中符合130は気密保持用のOリング、131は変位吸収用のガイドブッシュ、132は成膜室1の変形に応じて広狭する固定部128と挿通部129の対向面間の隙間である。従って、成膜室1が変形しても固定部128と挿通部129との間の隙間132の分だけその変形が吸収され、LMガイドに影響が生じないことになる。本実施例においては固定部128及び挿通部129は2つずつ設けられており、取付部126を挿通部129間に架設状態に設けることで一層良好に成膜室1の上下壁面の変形を吸収できるように構成している。
【0057】
また、本実施例においては、大気アーム106の導入部125は、成膜室1の側壁に設けた挿通孔部133に左右方向(水平方向)に相対移動可能に挿通配設せしめられ、この導入部125の外周部に設けた径小部134に挿通孔部133の開口端に設けられる周設部材135が配設され、この径小部134の形成長さを周設部材135の厚さより長く設定することで、成膜室1の側壁が変形した際の変形を吸収できるように構成している。図中符合136は気密保持用のOリング、137は変位吸収用のガイドブッシュである。
【0058】
従って、成膜室1の変形によるLMガイドへの影響は最小限に抑えられることになる。
【0059】
また、基板2と各蒸発源100との間には、基板2(各成膜位置)と蒸発源100とを仕切るシャッター117が設けられている。
【0060】
また、本実施例においては、膜厚計として水晶モニター110を採用している。具体的には可及的に水晶の交換期間を延長できるように、チョッパを備えた多点式の水晶モニター110を採用している。
【0061】
また、本実施例においては、成膜室1に材料使用済みの坩堝104を材料充填済みの坩堝104と交換するための坩堝交換機構を設けている。本実施例においては、成膜室1内に予備の蒸発源109を設け(本実施例においては2ヶ所に設け)、蒸発源100を予備の蒸発源109と交換できるように構成し、坩堝交換機構は、この交換によって次の予備となる蒸発源109の(材料使用済みの)坩堝104を、成膜室1に連設した材料充填室118に搬送し、この材料充填室118において成膜材料が充填された坩堝104を、成膜室1の待機位置の蒸発源109へ取り付けるように構成されている。本実施例においては、予備の蒸発源109を2ヶ所に設けるようにすることで、一方の坩堝104が交換中であっても他方を使用可能となり、連続成膜により適した構成となる。尚、図中符合119は成膜室1と材料充填室118との間のゲートバルブ、120は材料充填室118と大気側との間のゲートバルブである。
【0062】
従って、前記多点式の水晶モニター110と坩堝交換機構により、水晶交換及び材料供給のためにチャンバを開放するインターバルが伸び、それだけ装置の停止時間が短くなり運転効率が向上することになる。
【0063】
また、本実施例においては、図5に図示したようにガラス基板2は基板トレイ41に取り付けられており、マスク3は枠状のマスクフレーム(図示省略)に取り付けられ、このマスクフレームは枠状のマスクトレイ42に取り付けられている(基板サイズが第5世代、第5.5世代の場合)。この枠状のマスクトレイ42の蒸発源100側の面には、このマスクトレイ42を冷却するマスク冷却機構としての冷却板が設けられている。
【0064】
尚、基板サイズによっては(例えば第6世代の場合)、マスク3をマスクフレームに取り付けたもの(マスクトレイなしのもの)を採用しても良い。
【0065】
図5〜8に図示したように、マスクトレイ42の上部には断面視略U字状の上部ガイド体43が設けられている。
【0066】
この上部ガイド体43の内部には、真空槽(ロードロック室101及び成膜室1)の内部上面側に設けられるガイドローラ40,44が当接する。また、上部ガイド体43の底面には嵌入孔37が設けられ、後述する位置決めピン36を嵌入することで、アライメント時にマスク3を固定できるように構成している。
【0067】
マスクトレイ42の下部には丸棒状の下部ガイド体45が設けられている。
【0068】
この下部ガイド体45によりマスク3は真空槽(ロードロック室101及び成膜室1)の内部下面側に設けられる搬送ローラ46(Vローラ)にガイドされつつ搬送される。具体的には搬送ローラ46は成膜室1の底面に立設される。下部ガイド体45の底面には嵌入孔39が設けられ、後述する位置決めピン38を嵌入することで、アライメント時にマスク3を固定できるように構成している。
【0069】
また、基板トレイ41にも同様にガイドローラ47が当接する断面視略U字状の上部ガイド体48と、搬送ローラ49(Vローラ)にガイドされつつ搬送される下部ガイド体50が設けられている。この上部ガイド体48の底面及び下部ガイド体50の底面には、基板トレイロックピンが嵌入する嵌入孔が設けられている。
【0070】
従って、ロードロック室101及び成膜室1に直線状に並設される上記ガイドローラ40,44及び搬送ローラ46によりマスク搬送機構が構成され、上記ガイドローラ47及び搬送ローラ49により基板搬送機構が構成される。
【0071】
また、基板トレイ41の基板2がクランプ固定されるクランプ固定面の反対側(裏面)には、基板トレイ41を冷却する基板冷却機構としての冷却板及びマスク3(インバーなどの磁性材料からなる)と基板2とを密着させるマグネット板を備えた板体51を設けるための凹部が形成されている。
【0072】
また、基板2の表面側角部及びマスク3の裏面側角部(対角位置の一対の角部)には、アライメントマークが夫々設けられている。
【0073】
このアライメントマークは、基板トレイ41及び板体51に設けたアライメントマーク視認用穴52,53を通じてCCDカメラ、レンズ及び照明から成るアライメントカメラ54により視認できるように構成している。アライメントは、このアライメントカメラ54からの映像を元にアライメント駆動機構を制御して行う。尚、アライメントカメラ54は具体的には図12に図示したように成膜室1の外部にガラス板138を介して設ける。図中符合139は気密保持用のOリングである。
【0074】
アライメント駆動機構について詳述する。
【0075】
前記上部側移動ベース部6は、前記上部側固定ベース部5に対し前記上部側移動ベース部6をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記上部側固定ベース部5に連結し、前記上部側連結体8は、前記各上部側移動ベース部6に対し前記上部側連結体をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各上部側移動ベース部6に連結し、前記下部側移動ベース部10は、前記下部側固定ベース部9に対し前記下部側移動ベース部10をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記下部側固定ベース部5に連結し、前記下部側連結体12は、前記各下部側移動ベース部10に対し前記下部側連結体12をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各下部側移動ベース部10に連結している。
【0076】
本実施例においては、上部側固定ベース部5を成膜室1の上壁面外側に固定状態に設けている。
【0077】
図10,11に図示したように、この上部側固定ベース部5のマスク表面と平行な取付面に、X方向(左右方向)に延設されるレール15に断面視コ字状のガイドブロック16を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の上部側X方向移動ベース14を設け、この上部側X方向移動ベース14のマスク表面と平行な取付面に、Y方向(上下方向)に延設されるレール18にガイドブロック19を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の上部側Y方向移動ベース17を設けて上部側移動ベース部6を構成している。
【0078】
上部側X方向移動ベース14の上部側固定ベース部5の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック16の取付平坦面が取付固定される。また、上部側Y方向移動ベース17の上部側X方向移動ベース14の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック19の取付平坦面が取付固定される。
【0079】
下部側も同様に、下部側固定ベース部9を成膜室1の下壁面外側に固定状態に設けている。
【0080】
この下部側固定ベース部9のマスク表面と平行な取付面に、Y方向に延設されるレール21にガイドブロック22を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の下部側Y方向移動ベース20を設け、この下部側Y方向移動ベース20のマスク表面と平行な取付面に、X方向に延設されるレール24にガイドブロック25を被嵌して成る2つのLMガイドを介して板状の下部側X方向移動ベース23を設けて下部側移動ベース部10を構成している。
【0081】
下部側Y方向移動ベース20の下部側固定ベース部9の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック22の取付平坦面が取付固定される。また、下部側X方向移動ベース23の下部側Y方向移動ベース20の前記取付面との対向面はマスク表面と平行な面に設定され、この面にガイドブロック25の取付平坦面が取付固定される。
【0082】
尚、本実施例においては、バランスを考慮して、上下の駆動機構でX方向移動ベースとY方向移動ベースの上下配置関係を逆にしているが、一致させても良い。
【0083】
また、上部側移動ベース部6及び下部側移動ベース部10は夫々、左右一対ずつ(2つずつ)設けている。
【0084】
この各上部側移動ベース部6のマスク表面と平行な取付面には、内輪に対して外輪を旋回可能に設けたクロスローラベアリング13を介して上部側連結体8の断面視L字状の板材から成る1つの基部27の垂直面を夫々設け、この基部27は各上部側移動ベース部6に架設状態に設けている。
【0085】
下部側も同様に、各下部側移動ベース部10のマスク表面と平行な取付面には、内輪に対して外輪を旋回可能に設けたクロスローラベアリング26を介して下部側連結体12の断面視L字状の板材から成る1つの基部29の垂直面を夫々設けて、この基部29を各下部側移動ベース部10に架設状態に設けている。
【0086】
上部側移動ベース部6に設けた上部側連結体8の基部27の前記垂直面と直交する水平面の左右端部(クロスローラベアリング13に対応する位置)には夫々、マスク3を直立状態で取り付けるアライメント枠4に連結される連結筒体28を立設している。
【0087】
この各連結筒体28の先端部は成膜室1の上部貫通孔7を通じて成膜室1内に導入され、この先端部にはマスク搬送ガイド用の(マスク位置決め固定位置における)ガイドローラ44が設けられアライメント枠4と連結される水平板体30が架設状態に連結される。このガイドローラ44は、図9に図示したように、上部ガイド体43の内底面に当接するローラ体70と、内側面に当接するローラ体71と、これらのローラ体70,71が回転自在に保持されるローラ保持体72と、ローラ保持体72を水平板体30の表面に対して接離動自在に支持する一対のスライドブッシュ73とで構成されている。また、このローラ保持体72はスプリング等の付勢機構により水平板体30から離反する方向に付勢されている。
【0088】
また、水平板体30には、先端にマスク3の嵌入孔37に嵌入される嵌入部を有する位置決めピン36が設けられている。この位置決めピン36は、ガイドローラ44のスライドブッシュ73間に設けられ、また、その先端部がガイドローラ44のローラ保持体72の中央部に設けられる挿通孔から突出するように設けられる。また、位置決めピン36の先端の嵌入部は、常態ではローラ体70,71より突出しないように構成され、ローラ保持体72が付勢機構による付勢力に抗して押し上げられた場合にはローラ体70,71より突出して(露出して)上部ガイド体43の嵌入孔37に嵌入できるように構成されている。
【0089】
従って、後述する位置決めピン38によりマスク3(マスクトレイ42)が上方に押し上げられ、上部ガイド体43によりローラ体70を介してローラ保持体72が押し上げられると位置決めピン36の先端の嵌入部が露出し、上部ガイド体43の嵌入孔37に嵌入されることになる。
【0090】
また、この連結筒体28を覆うように金属製のベローズ34(伸縮管)が設けられる。ベローズ34の一端は上部貫通孔7の周縁部に配置され、他端は水平板体30の上面側に配置され、これにより上部貫通孔7は気密状態で封止される。
【0091】
下部側は、下部側移動ベース部10に設けた下部側連結体12の基部29の前記垂直面と直交する水平面の左右端部(クロスローラベアリング26に対応する位置)には夫々、マスク3を直立状態で取り付けるアライメント枠4に連結される連結筒体31を立設している。
【0092】
この各連結筒体31の先端部は成膜室1の下部貫通孔11を通じて成膜室1内に導入され、この先端部にはアライメント枠4と連結される水平板体33が架設状態に連結される。
【0093】
この連結筒体31の先端部は水平板体33を(隙間がない気密を保持できる状態で)貫通して上方に突出するように設け、この連結筒体31内に連結筒体31の先端から隙間がない気密を保持できる状態で突出する筒状体60を設け、この筒状体60の内部には位置決めピン38が偏心カム機構等の適宜な突没駆動機構61により先端から突没動自在に設けられている。また、位置決めピン38の突出量は、嵌入孔39に嵌入して少なくともマスクトレイ42の下部ガイド体50が搬送ローラ46から離反するように押し上げられ、マスクトレイ42の上部ガイド体43によりローラ体70を介してローラ保持体72を押し上げて位置決めピン36の先端の嵌入部が露出し得る程度に設定する。
【0094】
尚、位置決めピン38の外周面と筒状体60の先端内周面とは気密を保持した状態で突没摺動し得るように構成している。
【0095】
従って、この位置決めピン38を筒状体60の先端から突出せしめてマスク3の嵌入孔39に嵌入すると共に、マスク3(マスクトレイ42)を押し上げて上部ガイド体43によりローラ保持体72を押し上げて露出した位置決めピン36の先端の嵌入部を嵌入孔37に嵌入することで、マスク3を上部側連結体8及び下部側連結体12に対して位置決め固定することができ、マスク3をアライメント枠4と一体に固定することができる。
【0096】
また、この連結筒体31を覆うように金属製のベローズ35が設けられる。ベローズ35の一端は下部貫通孔11の周縁部に配置され、他端は水平板体33の下面側に配置され、これにより下部貫通孔11は気密状態で封止される。
【0097】
また、アライメント枠4はその上下端部が夫々水平板体30,33に連結されている。従って、アライメント枠4と各連結体8,12とは一体で移動することになる。即ち、アライメント枠4は、左右の移動ベース部6,10夫々の移動の影響を受けてX,Y及びθの各方向へ移動する各連結体8,12と共にX,Y及びθの各方向へ移動する。尚、アライメント枠4にはマスク冷却用の冷却機構が設けられている。
【0098】
各移動ベース部6,10を移動させる駆動機構について詳述する。
【0099】
本実施例においては、上部側駆動機構及び下部側駆動機構に、夫々X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部6及び前記下部側移動ベース部10を上部側固定ベース部5及び下部側固定ベース部9に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体8及び前記下部側連結体12を介して前記アライメント枠4をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成している。
【0100】
具体的には、マスク表面に平行な上下方向であるY方向に下部側移動ベース部10を移動せしめる下部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、上部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けないか、若しくは、前記Y方向に上部側移動ベース部6を移動せしめる上部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各上部側移動ベース部6を夫々独立して移動可能に構成し、下部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けない構成とする。
【0101】
更に具体的に説明すると、X方向用駆動装置及びY方向用駆動装置としては公知のボールねじ装置を採用している。ボールねじ装置は、正逆回転自在のモーター55及びモーター55により回動するボールねじ56(固定部)と、ボールねじ56に螺合してこのボールねじ56の回動によりボールねじ56の軸方向に移動するナット57(移動部)とで構成される。
【0102】
本実施例においては、図10に図示したように、下部側固定ベース部9(の取付面)の左右端部にモーター55及びボールねじ56を、このボールねじ56が前記Y方向に延設されるレール21同士の間に該レール21と平行となるように固定し、下部側固定ベース部9の左右端部に設けた下部側移動ベース部10の下部側Y方向移動ベース20の下部側固定ベース部9との対向面に夫々前記ボールねじ56と螺合するナット57を取り付けて、Y方向に駆動せしめるように構成している。
【0103】
また、右端部に設けた下部側移動ベース部10の下部側Y方向移動ベース20にモーター55及びボールねじ56を、このボールねじ56が前記X方向に延設されるレール24同士の間に該レール24と平行となるように固定し、下部側X方向移動ベース23の下部側Y方向移動ベース20との対向面に前記ボールねじ56と螺合するナット57を取り付けて、X方向に駆動せしめるように構成している。
【0104】
また、上部側固定ベース部5(の取付面)の一端部(右端部)にモーター55及びボールねじ56を、このボールねじ56が前記X方向に延設されるレール15同士の間に該レール15と平行となるように固定し、上部側固定ベース部5の右端部に設けた上部側移動ベース部6の上部側X方向移動ベース14の上部側固定ベース部5との対向面に夫々前記ボールねじ56と螺合するナット57を取り付けて、X方向に駆動せしめるように構成している。
【0105】
従って、上部側連結体8及び下部側連結体12とアライメント枠4とは一体に移動することから、上記4つのボールねじ装置(以下、下部側X方向用駆動装置をA,下部左側Y方向用駆動装置をB,下部右側Y方向用駆動装置をC,上部側X方向駆動用装置をDとする。)による各移動ベースの移動量を調整することで、上部側連結体8及び下部側連結体12とアライメント枠4とをX,Y及びθ方向に自在に移動させることができる。
【0106】
例えば、図11に図示したように、Aにより下部側X方向移動ベース23を左方向に送り、Dにより上部側X方向移動ベース14を右方向に送り、Bにより左側の下部側Y方向移動ベース20を上方向に送り、Cにより右側の下部側Y方向移動ベース20を下方向に送ることで、クロスローラベアリングを介してアライメント枠4(マスク3)を回転させることもでき、これらA〜Dによる送り方向及び送り量を夫々独立して制御することで、アライメントマークに基づいてマスク3を精密に基板2に対する位置合わせを行うことが可能となる。
【0107】
また、本実施例においては、下部側駆動機構でアライメント枠4及びマスク3の質量を支持する必要があるため、負荷に見合ったエアー圧を供給することで質量をキャンセルしてY軸の駆動負荷を低減させるバランサーシリンダ62を設けている。尚、下部側駆動機構との結合部はアライメント動作を制限しないようにLMガイド63を介して結合している。
【0108】
また、本実施例において、基板2のロック機構及びマスク3に対する往復移動機構は、以下のように構成している。
【0109】
基板2のロック機構は、図7,8に図示したように、基板2(基板トレイ41)を上昇させる偏心カム32と、偏心カム32により上昇させた基板トレイ41の下部ガイド体50の底面の嵌入孔に嵌入する基板トレイロックピン(偏心カム32と共にマスク3に対して往復移動する)と、基板トレイ41が上昇した際、上部ガイド体48の底面に設けたV字溝に嵌入するガイドローラ47のテーパ状ローラ体とで構成している。
【0110】
また、マスク3に対する往復移動機構は、図7,8に図示したように、偏心カム32を支持する支持体66と、ガイドローラ47を支持する支持体69と、これら支持体66,69を成膜室1に対してマスク3の面方向と水平方向に直交する方向にスライド自在に支持するLMガイド67と、これら支持体66,69をスライド移動させるスライド移動機構75とで構成している。このスライド移動機構75は、サーボモーター及びこのサーボモーターにより駆動するボールねじユニットと、このボールねじユニットによりLMガイド76に沿ってマスク3の面方向と水平方向に直交する方向に移動する移動ベース78と、この移動ベース78と支持体66,69とを連結する連結部74とで構成している。
【0111】
図中、符号64は偏心カム32を回転させる回転軸、65は回転軸64を駆動する駆動モーター、68は往復移動機構によりマスク3に対して基板2を押し付けた際の過度の密着を防止するためのスプリング、77はベローズである。
【0112】
以上の構成の本実施例によるアライメント動作を説明する。
【0113】
成膜室1にマスク3及び基板2をマスク搬送機構及び基板搬送機構(搬送ローラ及びガイドローラ)により夫々搬送する。尚、本実施例においてはこれらの搬送ローラ及びガイドローラを搬送方向と水平方向に直交する方向にマスク搬送用及び基板搬送用として1列ずつ計2列並設している。勿論3列以上並設しても良い。
【0114】
成膜室1に搬送されたマスク3及び基板2を夫々、マスク3及び基板2をアーム等で機械的に仮位置決めするプリアライメント機構により、位置決めピン36,38及び基板トレイロックピンが夫々嵌入孔に嵌入し得る位置に調整移動する。尚、本実施例においては、成膜位置α及びβに対応するように、プリアライメント機構及びアライメント駆動機構はマスク3若しくは基板2の搬送方向と平行方向に同構成のものを2つ設ける(成膜位置を3つ以上設ける場合にはそれと同数だけ設ける。)。
【0115】
プリアライメントされたマスク3の嵌入孔37,39に、位置決めピン36,38を嵌入せしめ、マスク3(マスクトレイ42)を各連結体8,12に対して固定する。
【0116】
また、基板2については基板トレイロックピンを上昇させつつ搬送ローラのうちの一部の偏心カム32の回転により基板トレイ41を上昇させてアライメント位置(マスク3と基板2のアライメントマークがある程度重なる位置)に移動せしめ(図7。この際、基板トレイ上部は上部ローラガイドに固定。)、このアライメント位置で基板トレイロックピンを基板トレイ下部の嵌入孔に嵌入せしめ、成膜室1に対して固定し、その後、マスク側へスライド移動せしめて計測位置に移動させる。
【0117】
基板2を計測位置に移動させ、CCDカメラにてアライメントマークの位置情報を取得し、取得したアライメントマークの位置情報をもとに駆動制御装置内でマスクトレイ42の位置補正量を算出し、この位置補正量からアライメント枠4及びマスク3の移動量(各X方向用駆動装置及びY方向用駆動装置による送り量)を算出し、この算出した移動量を元に各駆動装置を駆動せしめてアライメント(マスク3の基板2に対する位置合わせ)を行う。尚、アライメントは、基板2を計測位置から(マスクから離反する方向に)少し戻り移動させた後に行う。
【0118】
アライメント終了後、基板2をマスク3に近接するように往復移動機構により蒸着位置に移動せしめ(図8)、基板2とマスク3とを密着させて基板トレイ41の凹部に冷却板及びマグネット板を備えた板体51を設け、この状態でCCDカメラにてアライメントマークの位置情報を取得し、位置合わせが基準寸法内に収まっているかを駆動制御装置で判定し、アライメントマークのズレが基準寸法内であればそのまま成膜を開始し、基準寸法内でなければ前記位置補正量及び前記移動量を算出して基準寸法内になるまで繰り返しアライメントを行う。
【0119】
ここで、基板2をマスク3に近接するように往復移動機構により移動せしめると、基板搬送経路が開放されるため、このマスク3と近接する基板2の背後を通って他の基板2を搬送することが可能となる(従って、ガイドローラ47及び搬送ローラ49は偏心カム32が基板搬送経路から外れても、基板2が片持ち状態とならない間隔で並設する。)。
【0120】
即ち、例えばまず成膜位置αでアライメントを行って成膜を開始した際、成膜位置αの基板2の背後を通って他の基板2を成膜位置β側へ搬送することができ、成膜位置αにおける成膜中に成膜位置βにて他の基板2のアライメントを行えることになる。
【0121】
尚、本実施例においては、マスク3側を動かすことでアライメントを行っているが、基板2側を動かすように同様に構成しても良い。また、本実施例においては、成膜室1の上下に夫々上部側駆動機構及び下部側駆動機構を設けた構成であるが、X方向用駆動装置及びY方向用駆動装置を備えた上部側駆動機構若しくは下部側駆動機構のみを設ける構成としても良い。
【0122】
本実施例は上述のように構成したから、マスク搬送機構及び基板搬送機構により夫々直立状態に保持されたマスク3及び基板2を真空槽から成る成膜室1(チャンバ)内の所定の成膜位置へ搬送し、アライメント駆動機構を用いてマスク3と基板2との位置合わせを行い、基板2にマスク3を介して蒸発源100からの成膜材料を付着せしめて成膜を行う際、一の前記成膜位置において前記蒸発源100により成膜を行いながら他の前記成膜位置に搬送された基板2及びマスク3の位置合わせを行えることになる。
【0123】
従って、一の成膜位置における成膜中に他の成膜位置において予めマスク3と基板2との位置合わせを行っておくことで、一の成膜位置における成膜終了後、即座に蒸発源100を移動させて他の成膜位置において成膜を開始でき、蒸発源100から無駄に成膜材料を出し続ける時間を可及的に短くすることが可能となる。
【0124】
よって、基板2を直立状態で搬送することで、装置の設置スペースの増大を抑制でき、また、重力による基板のたわみを軽減できるのは勿論、成膜材料を無駄なく効率的に使用できることになる。
【0125】
また、前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室1の内壁面との間に、成膜室1の変形を吸収する変形吸収機構を設けたから、成膜室1の変形による蒸発源ガイド機構への影響を可及的に低減でき、チャンバ強度を上げることなくチャンバ内部の蒸発源ガイド機構の長寿命化を図ることが可能となる。
【0126】
また、成膜室内に直立状態で搬送される基板2とマスク3との位置合わせを、上部側移動ベース部6及び下部側移動ベース部10を夫々上下の各固定ベース部5,9に対して移動せしめ、この上下の各移動ベース部6,10に設けられる上部側連結体8及び下部側連結体12を介してアライメント枠4及びこのアライメント枠4と一体に移動するように取り付けられるマスク3を基板2に対してX,Y及びθ方向に調整移動することで行うため、従来のようにアライメント駆動機構を搬送方向と水平方向に直交する方向に突出させることなく、成膜室1の上下にコンパクトに分割配置することが可能となり、それだけ平面レイアウト上の設置スペースを可及的に小さくすることができる。
【0127】
また、剛体としてのチャンバに各固定ベース部5,9を設けるため、位置合わせ精度も十分確保することができる。また、中央の空間部分を大きくすることができ、マスク冷却機構や基板吸着機構等の設置がそれだけ容易となる。更に、マスク3の保持モーメントが小さくなり、位置合わせ精度に対する影響を少なくでき、それだけ基板サイズの大型化に対応できるものとなる。従って、駆動機構を上下に分割してそれだけコンパクトにでき、また、この駆動機構と各連結体8,12のアライメント枠4との連結部との距離を短くできるため、それだけ精密な位置合わせ調整移動が可能となる。
【0128】
また、上下の各移動ベース部6,10を移動させるための駆動装置を、成膜室1の上部及び下部に夫々分割して設けることができ、所定間隔をおいて設けた一対(2つ)の下部側移動ベース部10を下部側固定ベース部9に対してX方向に移動させるボールねじ装置(1軸)及びY方向に移動させるボールねじ装置(各移動ベース部に夫々計2軸)を下部側に設け、上部側移動ベース部6を上部側固定ベース部5に対してX方向に移動させるボールねじ機構(1軸)を上部側に設け、各駆動装置による各移動ベース部の移動量を調整設定することで、アライメント枠4をX,Y及びθ方向に自在に調整移動させることができ、しかも、上部側の駆動装置を少なくしてより安定的に真空槽にアライメント駆動機構を設けることなどが可能となる。
【0129】
また、前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に下部側移動ベース部10を移動せしめる下部側駆動機構に設けられるY方向用駆動装置を、各下部側移動ベース部10を夫々独立して移動可能に構成し、上部側駆動機構にはY方向用駆動装置を設けない構成としたから、成膜室1の変形を吸収できることになり、よって、成膜室1の変形によるアライメント駆動機構(のLMガイド)への影響を可及的に低減できることになる。
【0130】
更に、真空槽内(真空側)に配置されるのは各連結体8,12のアライメント枠4との連結部のみであり、アライメント駆動機構の摩擦接触部位が全て真空槽の外部(大気側)に設けられるため、それだけ成膜室1の内部を清浄な雰囲気に保持することができ、成膜される薄膜をより高品質なものとすることが可能となる。
【0131】
よって、本実施例は、位置合わせ精度を確保しつつ省スペースを実現し、第四世代以上の大型基板にも対応可能な極めて実用性に秀れたものとなる。
【符号の説明】
【0132】
1 成膜室
2 基板
3 マスク
4 アライメント枠
5 上部側固定ベース部
6 上部側移動ベース部
7 上部貫通孔
8 上部側連結体
9 下部側固定ベース部
10 下部側移動ベース部
11 下部貫通孔
12 下部側連結体
34,35 ベローズ
100 蒸発源
104 坩堝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直立状態に保持された基板にマスクを介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室を備えた成膜装置であって、前記成膜室に、前記マスクが前記基板に対して適正位置となるように前記マスクと前記基板との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板若しくは前記マスクの搬送方向に沿って移動可能な前記基板に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源と、前記蒸発源と対向する複数の成膜位置に前記基板及び前記マスクを夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、一の前記成膜位置において前記蒸発源により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスクと前記基板との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
直立状態に保持された基板にマスクを介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室を備えた成膜装置であって、前記成膜室に、前記マスクを直立状態に取り付けたアライメント枠を前記基板に対して調整移動して、前記マスクが前記基板に対して適正位置となるように前記マスクと前記基板との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源と、この蒸発源を前記基板若しくは前記マスクの搬送方向に沿って往復ガイド移動させる蒸発源ガイド機構と、前記蒸発源と対向する複数の成膜位置に前記基板及び前記マスクを夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、前記アライメント駆動機構を前記複数の成膜位置に夫々設けて、一の前記成膜位置において前記蒸発源により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスクと前記基板との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室の内壁面との間に、成膜室の変形を吸収する変形吸収機構を設けたことを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記蒸発源からの前記基板への放熱を防止する蒸発源冷却機構を備えたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記マスクの前記蒸発源側にこのマスクを冷却するマスク冷却機構を設けると共に、前記基板のマスクが設けられる表面とは反対側の裏面側にこの基板を冷却する基板冷却機構を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記成膜室に前記蒸発源の前記成膜材料が収納される坩堝を交換する坩堝交換機構を設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側駆動機構若しくは前記下部側駆動機構に、X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部若しくは前記下部側移動ベース部を上部側固定ベース部若しくは下部側固定ベース部に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体若しくは前記下部側連結体を介して前記アライメント枠をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側駆動機構及び前記下部側駆動機構に、夫々X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部及び前記下部側移動ベース部を上部側固定ベース部及び下部側固定ベース部に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体及び前記下部側連結体を介して前記アライメント枠をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記下部側移動ベース部を移動せしめる前記下部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各下部側移動ベース部を夫々独立して移動可能に構成し、前記上部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置。
【請求項12】
前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記上部側移動ベース部を移動せしめる前記上部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各上部側移動ベース部を夫々独立して移動可能に構成し、前記下部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置。
【請求項13】
前記上部側移動ベース部は、前記上部側固定ベース部に対し前記上部側移動ベース部をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記上部側固定ベース部に連結し、前記上部側連結体は、前記各上部側移動ベース部に対し前記上部側連結体をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各上部側移動ベース部に連結し、前記下部側移動ベース部は、前記下部側固定ベース部に対し前記下部側移動ベース部をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記下部側固定ベース部に連結し、前記下部側連結体は、前記各下部側移動ベース部に対し前記下部側連結体をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各下部側移動ベース部に連結したことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項1】
直立状態に保持された基板にマスクを介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室を備えた成膜装置であって、前記成膜室に、前記マスクが前記基板に対して適正位置となるように前記マスクと前記基板との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板若しくは前記マスクの搬送方向に沿って移動可能な前記基板に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源と、前記蒸発源と対向する複数の成膜位置に前記基板及び前記マスクを夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、一の前記成膜位置において前記蒸発源により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスクと前記基板との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
直立状態に保持された基板にマスクを介して成膜材料を付着せしめて成膜を行う成膜室を備えた成膜装置であって、前記成膜室に、前記マスクを直立状態に取り付けたアライメント枠を前記基板に対して調整移動して、前記マスクが前記基板に対して適正位置となるように前記マスクと前記基板との位置合わせを行うアライメント駆動機構と、前記基板に前記成膜材料を付着せしめる蒸発源と、この蒸発源を前記基板若しくは前記マスクの搬送方向に沿って往復ガイド移動させる蒸発源ガイド機構と、前記蒸発源と対向する複数の成膜位置に前記基板及び前記マスクを夫々直立状態で搬送するマスク搬送機構及び基板搬送機構とを設け、前記アライメント駆動機構を前記複数の成膜位置に夫々設けて、一の前記成膜位置において前記蒸発源により成膜を行いながら他の前記成膜位置において前記アライメント駆動機構により前記マスクと前記基板との位置合わせを行えるように構成したことを特徴とする成膜装置。
【請求項3】
前記蒸発源ガイド機構と前記成膜室の内壁面との間に、成膜室の変形を吸収する変形吸収機構を設けたことを特徴とする請求項2記載の成膜装置。
【請求項4】
前記蒸発源からの前記基板への放熱を防止する蒸発源冷却機構を備えたことを特徴とする請求項2,3のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項5】
前記マスクの前記蒸発源側にこのマスクを冷却するマスク冷却機構を設けると共に、前記基板のマスクが設けられる表面とは反対側の裏面側にこの基板を冷却する基板冷却機構を設けたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項6】
前記成膜室に前記蒸発源の前記成膜材料が収納される坩堝を交換する坩堝交換機構を設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項7】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項8】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項9】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構か若しくは、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構で構成し、前記上部側駆動機構若しくは前記下部側駆動機構に、X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部若しくは前記下部側移動ベース部を上部側固定ベース部若しくは下部側固定ベース部に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体若しくは前記下部側連結体を介して前記アライメント枠をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項10】
前記アライメント駆動機構は、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の上部側に固定される上部側固定ベース部と、この上部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な上部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記上部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の上部に設けた上部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の上部に連結する上部側連結体とから成る上部側駆動機構と、前記成膜室の外部に設けられこの成膜室の下部側に固定される下部側固定ベース部と、この下部側固定ベース部に対してマスク表面に平行なX方向及びY方向に移動可能な下部側移動ベース部と、一端が前記マスク表面上の回転方向であるθ方向に回転自在に前記下部側移動ベース部に支持され、他端が前記成膜室の下部に設けた下部貫通孔を通じて前記成膜室内の前記アライメント枠の下部に連結する下部側連結体とから成る下部側駆動機構とで構成し、前記上部側駆動機構及び前記下部側駆動機構に、夫々X方向用駆動装置若しくはY方向用駆動装置またはその双方を設け、このX方向用駆動装置及びY方向用駆動装置により前記上部側移動ベース部及び前記下部側移動ベース部を上部側固定ベース部及び下部側固定ベース部に対してX方向及びY方向に移動せしめることで、前記上部側連結体及び前記下部側連結体を介して前記アライメント枠をX,Y及びθ方向に調整移動し得るように構成し、前記上部側連結体及び前記下部側連結体の前記アライメント枠との連結部は前記上部貫通孔及び前記下部貫通孔を夫々気密状態で封止するベローズを介して前記成膜室内に設けたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の成膜装置。
【請求項11】
前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記下部側移動ベース部を移動せしめる前記下部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各下部側移動ベース部を夫々独立して移動可能に構成し、前記上部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置。
【請求項12】
前記マスク表面に平行な上下方向であるY方向に前記上部側移動ベース部を移動せしめる前記上部側駆動機構に設けられる前記Y方向用駆動装置は、前記各上部側移動ベース部を夫々独立して移動可能に構成し、前記下部側駆動機構には前記Y方向用駆動装置を設けないことを特徴とする請求項10記載の成膜装置。
【請求項13】
前記上部側移動ベース部は、前記上部側固定ベース部に対し前記上部側移動ベース部をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記上部側固定ベース部に連結し、前記上部側連結体は、前記各上部側移動ベース部に対し前記上部側連結体をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各上部側移動ベース部に連結し、前記下部側移動ベース部は、前記下部側固定ベース部に対し前記下部側移動ベース部をX方向及びY方向に案内する直動案内部を介して前記下部側固定ベース部に連結し、前記下部側連結体は、前記各下部側移動ベース部に対し前記下部側連結体をθ方向に案内する回動案内部を介して前記各下部側移動ベース部に連結したことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の成膜装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−140671(P2012−140671A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293492(P2010−293492)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(591065413)キヤノントッキ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(591065413)キヤノントッキ株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
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