説明

成膜装置

【課題】インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合、形成される膜の膜質の劣化の防止が困難である。
【解決手段】蒸着チャンバ10、隔壁40で隔てられた副チャンバ20、隔壁を貫通して蒸着チャンバから副チャンバへ移動可能に設けられた蒸着材料供給ベルト30、蒸着材料溶液を副チャンバ中において蒸着材料供給ベルト上に供給する蒸着材料溶液供給部(34)、蒸着チャンバ内の蒸着材料供給ベルト上の蒸着材料が気化するように加熱する加熱部33、成膜対象物1の保持搬送部を有し、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離し、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は成膜装置に関し、特に、インライン方式で真空蒸着を行う成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空蒸着は無機膜及び有機膜を形成する方法として広く用いられており、真空蒸着により、光学部品などの表面に防汚膜として機能する有機膜を形成する方法が知られている。
例えば、真空蒸着装置を構成するチャンバ中に設けられたヒーターで有機膜形成用蒸着材料を加熱して気化させ、成膜対象物の表面に蒸着材料の蒸気を噴出して蒸着材料を堆積させ、有機膜を形成する。
【0003】
有機膜を形成するための蒸着装置としては、種々の構成のものが知られている。
例えば、特許文献1には、固体あるいは粉体の有機膜形成用蒸着材料を用いて真空蒸着により有機膜を成膜する成膜装置が記載されている。
【0004】
一方、例えば特許文献2の図4及び対応する明細書の記載には、液状の防汚剤を含浸させた多孔性タブレットあるいは液状の防汚剤そのものをボートで加熱して蒸着する蒸着装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、多孔性無機酸化物マトリックスにパーフルロロアルキル基を有するシラン化合物などのオルガノシラン化合物を含浸させてなる蒸着材料を用いて高真空下で真空蒸着することで撥水性コーティングを施す方法が開示されている。
【0006】
上記の真空蒸着で用いられる有機膜形成用蒸着材料は、蒸着材料の劣化防止と均一性の確保の目的で溶媒に溶解された溶液の状態で用いられる場合がある。
しかしながら、例えばインライン方式で真空蒸着を行う成膜装置において溶液の状態の有機膜形成用蒸着材料を用いて真空蒸着する場合、蒸着材料に溶媒が混入して成膜されやすく、形成される有機膜の耐久性及び耐摩擦性などの膜質が劣化してしまうという不利益がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−263751号公報
【特許文献2】特開2002−155353号公報
【特許文献3】特開平9−137122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする課題は、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合に、形成される膜の膜質の劣化を防止することが難しいことである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の成膜装置は、蒸着チャンバと、隔壁で前記蒸着チャンバから隔てられて設けられた副チャンバと、隔壁を貫通して前記蒸着チャンバ内から前記副チャンバ内にわたって設けられ、前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動可能に設けられた蒸着材料供給ベルトと、蒸着材料を溶媒に溶解した蒸着材料溶液を前記副チャンバ中において前記蒸着材料供給ベルト上に供給する蒸着材料溶液供給部と、前記蒸着チャンバ内に設けられ、前記蒸着チャンバ内の所定の箇所の前記蒸着材料供給ベルト上の蒸着材料が気化するように加熱する加熱部と、前記蒸着チャンバ内に設けられ、成膜対象物を保持及び搬送する保持搬送部とを有し、前記副チャンバにおいて前記蒸着材料溶液供給部から供給された前記蒸着材料溶液のうちの前記蒸着材料を前記蒸着材料供給ベルト上に残して前記溶媒を蒸発させて分離し、前記蒸着チャンバにおいて前記加熱部で加熱された前記蒸着材料を気化して得られた前記蒸着材料の蒸気を前記成膜対象物に噴出して堆積させ、前記蒸着材料の膜を形成する。
【0010】
上記の本発明の成膜装置は、蒸着チャンバと、副チャンバと、蒸着材料供給ベルトと、蒸着材料溶液供給部と、加熱部と、保持搬送部とを有する。副チャンバは、隔壁で蒸着チャンバから隔てられて設けられている。蒸着材料供給ベルトは、隔壁を貫通して蒸着チャンバ内から副チャンバ内にわたって設けられ、副チャンバから蒸着チャンバへ移動可能に設けられている。蒸着材料溶液供給部は、蒸着材料を溶媒に溶解した蒸着材料溶液を副チャンバ中において蒸着材料供給ベルト上に供給する。加熱部は、蒸着チャンバ内に設けられ、蒸着チャンバ内の所定の箇所の蒸着材料供給ベルト上の蒸着材料が気化するように加熱する。保持搬送部は、蒸着チャンバ内に設けられ、成膜対象物を保持及び搬送する。
ここで、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離し、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成する。
【0011】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記蒸着材料供給ベルトが環状の形状であり、前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動した後前記副チャンバに戻るように構成されている。
【0012】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記副チャンバにおいて前記蒸着材料溶液供給部から供給された前記蒸着材料溶液のうちの前記蒸着材料を前記蒸着材料供給ベルト上に残して前記溶媒を連続的に蒸発させて分離する。
【0013】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記蒸着材料溶液供給部が前記蒸着材料溶液を連続的に前記蒸着材料供給ベルト上に供給する。
【0014】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記保持搬送部がパスバイ方式で成膜工程中に前記成膜対象物を連続的に搬送する。
【0015】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記保持搬送部がステップバイステップ方式で成膜工程毎に前記成膜対象物の搬送及び静止保持を繰り返す。
【0016】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記蒸着材料供給ベルトを前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動させる蒸着材料供給ベルト駆動部を有し、前記蒸着材料供給ベルトを前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動させる。
【0017】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記副チャンバ、前記蒸着材料供給ベルト、前記蒸着材料溶液供給部、及び前記加熱部がユニット化されている。
【0018】
上記の本発明の成膜装置は、好適には、前記副チャンバが隔壁で隔てられた複数個のチャンバから構成されている。さらに好適には、前記副チャンバが隔壁で隔てられた3個以上のチャンバから構成されている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の第1実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図2】図2は本発明の第2実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図3】図3は本発明の第3実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図4】図4は本発明の第4実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図5】図5は本発明の第5実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図6】図6は本発明の第6実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図7】図7は本発明の第6実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図8】図8は本発明の第6実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図9】図9は本発明の第6実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図10】図10は本発明の第6実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図11】図11は本発明の第7実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図12】図12は本発明の第7実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図13】図13は本発明の第7実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図14】図14は本発明の第7実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図15】図15は本発明の第7実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【図16】図16は本発明の第8実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の成膜装置並びにそれを用いた有機膜の形成方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
<第1実施形態>
[成膜装置の構成]
図1は本発明の第1実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
成膜装置は、例えば、蒸着チャンバ10と、副チャンバ20と、蒸着材料供給ベルト30と、蒸着材料溶液供給部(不図示)と、加熱部33と、保持搬送部(不図示)とを有する。
【0023】
蒸着チャンバ10は、排気管を介して真空ポンプ11が接続されており、内部が所定の圧力に減圧可能となっている。真空蒸着による成膜時における蒸着チャンバ10内の背圧は、例えば10−2〜10−5Pa程度である。
【0024】
副チャンバ20は、隔壁40で蒸着チャンバ10から隔てられて設けられている。副チャンバ20は、排気管を介して真空ポンプ21が接続されており、内部が所定の圧力に減圧可能となっている。真空蒸着による成膜時における副チャンバ20内の背圧は、例えば10−2〜10−5Pa程度である。副チャンバ20の背圧は、蒸着チャンバ10より低真空とすることができる。
【0025】
蒸着材料供給ベルト30は、隔壁40を貫通して蒸着チャンバ10内から副チャンバ20内にわたって設けられ、蒸着チャンバ10から副チャンバ20へ移動可能に設けられている。
例えば、蒸着材料供給ベルト30が環状の形状であり、蒸着チャンバ10から副チャンバ20へ移動した後蒸着チャンバ10に戻るように構成されている。
【0026】
蒸着材料供給ベルト30は、例えばステンレススチールなどの耐熱性及び耐蝕性を有する材料で形成されており、板状、ワイヤ、メッシュなどの構成とすることができる。
本実施形態においては、蒸着材料供給ベルトとしてベルト状の形状を示しているが、これに限らない。例えば複数個のテーブルなど、蒸着チャンバ10から副チャンバ20へ移動可能に設けられ、蒸着材料を蒸着チャンバ10から副チャンバ20へ搬送可能な構造であれば、本実施形態において蒸着材料供給ベルトに代えて採用できる。
蒸着材料供給ベルト30の長さは、成膜装置の大きさなどに応じて調整することができ、例えば500〜2000mm程度の範囲の長さを有しており、例えば長さ1000mmである。
また、蒸着材料供給ベルト30の幅についても成膜装置の大きさや成膜対象物の大きさなどに応じて調整することができ、例えば30〜200mm程度の範囲の幅を有している。
【0027】
例えば、蒸着材料供給ベルト30を副チャンバ20から蒸着チャンバ10へ移動させる蒸着材料供給ベルト駆動部を有し、蒸着材料供給ベルト30を副チャンバ20から蒸着チャンバ10へ移動させる。
本実施形態においては、蒸着材料供給ベルト駆動部は、副チャンバ20内に設けられた第1回転駆動部31と蒸着チャンバ10内に設けられた第2回転駆動部32から構成されている。第1回転駆動部31と第2回転駆動部32は、蒸着材料供給ベルト30を移動させるように駆動する部材であり、それぞれ、例えば、シャフトとシャフトを回転させる部分とシャフトに接続された円筒形状部などからなる。
上記のように蒸着材料供給ベルト30が環状の形状であり、第1回転駆動部31と第2回転駆動部32により蒸着材料供給ベルト30が回転して副チャンバ20から蒸着チャンバ10へ移動し、その後副チャンバ20に戻るように構成されている。
本実施形態においては、第1回転駆動部31と第2回転駆動部32が鉛直方向に離間して設けられ、蒸着材料供給ベルト30が鉛直方向に移動する構成となっている。
【0028】
隔壁40は、蒸着材料供給ベルト30により貫通されているが、副チャンバ20と蒸着チャンバ10間の圧力差を保持できるように、貫通部分において蒸着材料供給ベルト30との間隙をできるだけ小さく保つことが好ましい。
【0029】
蒸着材料溶液供給部(不図示)は、供給管34に接続されており、蒸着材料を溶媒に溶解した蒸着材料溶液を副チャンバ20中において蒸着材料供給ベルト30上に供給する。
本実施形態においては、第1回転駆動部31に接する部分の蒸着材料供給ベルト30上に蒸着材料溶液を供給する構成である。
例えば、蒸着材料溶液供給部は、ニードルバルブ、ディスペンサ、スクリューポンプなどの手段で構成でき、蒸着材料溶液を連続的に蒸着材料供給ベルト30上に供給することができる。
【0030】
加熱部33は、蒸着チャンバ10内に設けられ、蒸着チャンバ10内の所定の箇所の蒸着材料供給ベルト30上の蒸着材料が気化するように加熱する。
本実施形態においては抵抗加熱によるボックス型の加熱部33を示しているが、これに限らず、電子ビーム照射などの種々の手段を採用でき、加熱する位置は適宜選択可能である。また、蒸着材料供給ベルト30自体を加熱可能に構成することで、蒸着材料供給ベルト30を直接加熱してもよい。
ボックス型の加熱部を用いる場合、本実施形態においては第2回転駆動部32を覆うように加熱部33を配置しているが、これに限らず、第2回転駆動部32は加熱部33の外部に配置されていてもよい。
【0031】
保持搬送部(不図示)は、蒸着チャンバ10内に設けられ、成膜対象物1を保持及び搬送方向2へ搬送する。
いわゆる、インライン方式で成膜対象物を蒸着チャンバ10内にパスバイあるいはステップバイステップなどの方式で連続的に搬送可能である。
【0032】
例えば、保持搬送部がパスバイ方式で成膜工程中に成膜対象物1を搬送方向2へ連続的に搬送する。
あるいは、例えば、保持搬送部がステップバイステップ方式で成膜工程毎に成膜対象物1の搬送方向2への搬送及び静止保持を繰り返す。
【0033】
本実施形態においては、成膜対象物1が加熱部33の鉛直方向下部に配置されている構成である。
【0034】
本実施形態の成膜装置においては、例えば、副チャンバ20において蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト30上に残して溶媒を連続的に蒸発させて分離する。
上記のように蒸着材料溶液供給部により蒸着材料溶液を連続的に蒸着材料供給ベルト30上に供給しても、副チャンバ20に内で溶媒を連続的に蒸発させて分離し、蒸着材料溶液のうちの蒸着材料のみを蒸着材料供給ベルト30上に残すことができる。
【0035】
蒸着材料供給ベルト30上に残された蒸着材料は、蒸着材料供給ベルト30の移動により蒸着チャンバ10に搬送される。
蒸着材料は加熱部33で加熱されて気化される。気化して得られた蒸着材料の蒸気は、成膜対象物1に噴出されて成膜対象物1上に堆積し、蒸着材料の膜が形成される。
これは、いわゆるフラッシュコーティングによる成膜であり、蒸着材料が加熱部に達する度に蒸発して成膜対象物1に噴出され、蒸着材料の膜が形成される。
【0036】
蒸着材料供給ベルト30の移動速度と蒸着材料溶液の供給速度を調整することで、副チャンバ20にて溶媒を完全に分離して、蒸着材料供給ベルト30上に蒸着材料のみを残すことができる。
蒸着材料供給ベルト30の移動速度は、蒸着材料溶液の溶媒の種類や粘度、あるいは蒸着材料溶液の供給量などに応じて適宜調整可能であり、例えば0.2〜3.5mm/s程度の範囲である。
【0037】
また、蒸着チャンバ10から副チャンバ20へ戻る際の蒸着材料供給ベルト30は、副チャンバでの蒸着材料の気化を避けるために水冷される構成とすることができる。
また、副チャンバ20内の第1回転駆動部31も水冷される構成とすることができる。
【0038】
[蒸着材料溶液を構成する蒸着材料]
蒸着材料は、目的とする防汚膜の特性に応じて適宜選択可能であり、例えば防汚膜を形成するための蒸着材料としては、フッ化炭素系化合物及びシリコーン樹脂などを用いることができ、例えば、パーフロロアルキルシラザンを好ましく用いることができる。
また、防汚膜以外の用途の蒸着材料を用いることも可能である。
【0039】
また、特許文献3に開示されたオルガノシラン化合物を好ましく用いることができる。
例えば、下記式(1)で示されるパーフロロアルキル基を有するシラン化合物である。
【0040】
(化1)
2n+1−(CH−Si(R) …(1)
【0041】
式(1)中、Rは1〜3個の炭素原子を有するアルコキシであるか、またはC2n+1−(CH−Si(R)−O−であり、R,Rは1〜3個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシであり、nは1〜12であり、およびmは1〜6である。
【0042】
式(1)の化合物として、例えば、トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−ウンデカフルオロヘプチル)シラン;トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)シラン;トリエトキシ(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)シラン;ジエトキシメチル(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)シラン;ビス[エトキシメチル(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル)]シリルエーテルを用いることができる。
【0043】
[蒸着材料溶液を構成する溶媒]
蒸着材料溶液を構成する溶媒としては、上記の蒸着材料を溶解するものであり、蒸着材料より少なくとも低温及び低真空のいずれかで蒸発する特性を有していれば特に制限はない。
例えば、パーフルオロ炭化水素などの蒸着材料より少なくとも低温及び低真空のいずれかで蒸発しやすい溶媒を好ましく用いることができる。
【0044】
例えば、蒸着材料溶液として、フッ化炭素系化合物20%、溶媒としてパーフルオロヘキサン80%を含有する「オプツールDSX(商品名、ダイキン工業株式会社製)」を好ましく用いることができる。
例えば、蒸着材料溶液の供給量を10μl/sとし、副チャンバ20の背圧を1×10−1Paとし、蒸着材料供給ベルト30の移動速度を0.2〜3.5mm/sとすることで、副チャンバ20においてパーフルオロヘキサンを完全に分離し、蒸着チャンバ10においてフッ化炭素系化合物のみを蒸着させることができる。
【0045】
[真空蒸着方法]
次に、本実施形態に係る有機膜形成用蒸着材料を用いた真空蒸着方法について説明する。
例えば、上述の本実施形態に係る真空蒸着装置を用いて行う。
まず、例えば、蒸着チャンバ10及び副チャンバ20を所定の圧力に真空引きする。
例えば、加熱部33を所定の温度に加熱し、また、第1回転駆動部31及び第2回転駆動部32を回転駆動し、蒸着材料供給ベルト30を蒸着チャンバ10から副チャンバ20へ移動させる。
【0046】
例えば、保持搬送部(不図示)により、蒸着チャンバ10内にインライン方式で成膜対象物を搬送する。
【0047】
次に、例えば、蒸着材料溶液供給部(不図示)により、供給管34から蒸着材料を溶媒に溶解した蒸着材料溶液を副チャンバ20中において蒸着材料供給ベルト30上に供給する。
【0048】
本実施形態においては、副チャンバ20において蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト30上に残して溶媒を連続的に蒸発させて分離する。
上記のように蒸着材料溶液供給部により蒸着材料溶液を連続的に蒸着材料供給ベルト30上に供給しても、副チャンバ20に内で溶媒を連続的に蒸発させて分離し、蒸着材料溶液のうちの蒸着材料のみを蒸着材料供給ベルト30上に残すことができる。
【0049】
次に、蒸着材料供給ベルト30上に残された蒸着材料は、蒸着材料供給ベルト30の移動により蒸着チャンバ10に搬送され、蒸着材料は加熱部33で加熱されて気化される。
気化して得られた蒸着材料の蒸気は、成膜対象物1に噴出されて成膜対象物1上に堆積し、蒸着材料の膜が形成される。
【0050】
本実施形態の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
例えば防汚膜を形成する場合、防汚膜の耐久性及び耐摩擦性などの高い膜質を実現できる。
これは、蒸着材料供給ベルトを採用することで、少なくとも圧力及び温度のいずれかの異なる2箇所以上の領域を設けることができ、これにより、蒸着材料溶液から溶媒を連続的に分離することが可能となったものである。
【0051】
本実施形態の成膜装置及び成膜方法において、蒸着材料の効率的な蒸発のためには、蒸着材料供給ベルト表面上の蒸着材料を均一にならすことが効果的である。
例えば、副チャンバにおける蒸着材料溶液からの溶媒分離後から蒸着チャンバにおける蒸着材料の蒸発までの間に、蒸着材料供給ベルトの表面にオリフィスを設けることで蒸着材料を均一にならすことができる。例えば蒸着材料供給ベルトの幅が30mmである時、上記のオリフィスの寸法としては、例えば蒸着材料ベルトとの隙間を0.2mm、幅を28mmとする。
【0052】
また、本実施形態の成膜装置及び成膜方法において、成膜装置を長期間使用すると、蒸発しきれなかった蒸着材料が蒸着材料供給ベルト上や各オリフィスに堆積し、正常な動作を阻害したり、膜質に悪影響を及ぼすことがある。
例えば、蒸着材料供給ベルトの表面に接触しているまたは適切な隙間を維持した部品(スクレイパー)を取り付けることで、上記の不要となった蒸着材料を除去できる。
スクレイパーの設置位置は、蒸発チャンバから蒸着材料を供給する供給管までの間である。具体的には、例えば蒸着材料供給ベルト表面に接触する板を蒸発チャンバの内部に設置することで、上記の不要となった蒸着材料を適切に除去できる。
【0053】
<変形例>
上記の本実施形態の成膜装置は、副チャンバ、蒸着材料供給ベルト、蒸着材料溶液供給部、及び加熱部がユニット化されていることが好ましい。
ユニット化された構成とすることで、成膜装置への装着、整備あるいは交換などの処理が容易になる。
【0054】
<第2実施形態>
図2は本発明の第2実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
本実施形態においては、第1実施形態と同様に、成膜対象物1が加熱部33の鉛直方向下部に配置されている。
また、本実施形態においては、第1回転駆動部31と第2回転駆動部32が水平方向に離間して設けられ、蒸着材料供給ベルト30が水平方向に移動する構成となっている。
また、第1回転駆動部31を過ぎた部分の蒸着材料供給ベルト30上に蒸着材料溶液を供給する構成である。
上記を除いて、第1実施形態と同様の構成である。
【0055】
本実施形態の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
【0056】
<第3実施形態>
図3は本発明の第3実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
本実施形態においては、第1実施形態と異なり、成膜対象物1が加熱部33の鉛直方向上部に配置されている。
また、本実施形態においては、第1回転駆動部31と第2回転駆動部32が鉛直方向に離間して設けられ、蒸着材料供給ベルト30が鉛直方向に移動する構成となっている。
また、第1回転駆動部31を過ぎた部分の蒸着材料供給ベルト30上に蒸着材料溶液を供給する構成である。
上記を除いて、第1実施形態と同様の構成である。
【0057】
本実施形態の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
【0058】
<第4実施形態>
図4は本発明の第4実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
本実施形態においては、第3実施形態と同様に、成膜対象物1が加熱部33の鉛直方向上部に配置されている。
また、本実施形態においては、第1回転駆動部31と第2回転駆動部32が水平方向に離間して設けられ、蒸着材料供給ベルト30が水平方向に移動する構成となっている。
また、第1回転駆動部31を過ぎた部分の蒸着材料供給ベルト30上に蒸着材料溶液を供給する構成である。
上記を除いて、第1実施形態と同様の構成である。
【0059】
本実施形態の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
【0060】
<第5実施形態>
図5は本発明の第5実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
本実施形態においては、第1実施形態と異なり、成膜対象物1が加熱部33に対して水平横方向に配置されている。
また、成膜対象物1は、図面上手前側から奥側(または奥側から手前側)に搬送される構成である。
また、本実施形態においては、第1回転駆動部31と第2回転駆動部32が水平方向に離間して設けられ、蒸着材料供給ベルト30が水平方向に移動する構成となっている。
また、第1回転駆動部31を過ぎた部分の蒸着材料供給ベルト30上に蒸着材料溶液を供給する構成である。
【0061】
また、本実施形態においては、加熱部としてディストリビュータ(分配器)33Sが用いられている。ディストリビュータ33Sには複数個所の開口部が設けられており、ディストリビュータ33Sで加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に複数個所の開口部から噴出して、成膜対象物上に広範囲に蒸着材料の膜を形成することができる。
上記を除いて、第1実施形態と同様の構成である。
【0062】
本実施形態の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
【0063】
本実施形態においては、加熱部としてディストリビュータ(分配器)33Sを用いているが、第1〜第4実施形態と同様の加熱部を用いてもよい。
また、第1〜第4実施形態の成膜装置の加熱部として、本実施形態に記載のディストリビュータ(分配器)を用いてもよい。
【0064】
<第6実施形態>
図6〜図10は本発明の第6実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
図6〜図10の各成膜装置は、それぞれ第1〜第5実施形態の成膜装置に対応し、副チャンバが隔壁で隔てられた複数個のチャンバから構成されていることが異なる。即ち、本実施形態においては、隔壁で隔てられた第1副チャンバ20Sと第2副チャンバ22を有している。
第1副チャンバ20Sは、第1〜第5実施形態の副チャンバ20と同様の構成である。
第2副チャンバ22は、排気管を介して真空ポンプ23が接続されており、内部が所定の圧力に減圧可能となっている。真空蒸着による成膜時における第2副チャンバ22内の背圧は、例えば大気圧〜蒸着チャンバ20の背圧の間である。
第1副チャンバ20Sと第2副チャンバ22が第1隔壁41で隔てられ、第2副チャンバ22と蒸着チャンバ10が第2隔壁42で隔てられている。
例えば、第1副チャンバ20S、第2副チャンバ22、蒸着チャンバ10の順に真空度が高くなる構成とすることができる。
上記を除いて、第1実施形態と同様の構成である。
【0065】
第1隔壁41と第2隔壁42は、蒸着材料供給ベルト30により貫通されているが、第1副チャンバ20S、第2副チャンバ22及び蒸着チャンバ10間の圧力差を保持できるように、貫通部分において蒸着材料供給ベルト30との間隙をできるだけ小さく保つことが好ましい。
【0066】
本実施形態の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
これは、蒸着材料供給ベルトを採用することで、少なくとも圧力及び温度のいずれかの異なる3箇所以上の領域を設けることができ、これにより、蒸着材料溶液から溶媒を連続的に分離することが可能となったものである。
【0067】
<第7実施形態>
図11〜図15は本発明の第7実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
図11〜図15の各成膜装置は、それぞれ第1〜第5実施形態の成膜装置に対応し、副チャンバが隔壁で隔てられた3個以上のチャンバから構成されていることが異なる。即ち、本実施形態においては、隔壁で隔てられた第1副チャンバ20S、第2副チャンバ22及び第3副チャンバ24を有している。本実施形態では副チャンバが3個のチャンバから構成されているが、3個以上のチャンバから構成されていてもよい。
第1副チャンバ20Sは、第1〜第5実施形態の副チャンバ20と同様の構成である。
第2副チャンバ24は、排気管を介して真空ポンプ25が接続されており、内部が所定の圧力に減圧可能となっている。真空蒸着による成膜時における第2副チャンバ24内の背圧は、例えば大気圧〜蒸着チャンバ20の背圧の間である。
第3副チャンバ26は、排気管を介して真空ポンプ27が接続されており、内部が所定の圧力に減圧可能となっている。真空蒸着による成膜時における第3副チャンバ26内の背圧は、例えば大気圧〜蒸着チャンバ20の背圧の間である。
第1副チャンバ20Sと第2副チャンバ24が第1隔壁43で隔てられ、第2副チャンバ24と第3副チャンバ26が第2隔壁44で隔てられ、第3副チャンバ26と蒸着チャンバ10が第3隔壁45で隔てられている。
例えば、第1副チャンバ20S、第2副チャンバ24、第3副チャンバ26、蒸着チャンバ10の順に真空度が高くなる構成とすることができる。
上記を除いて、第1実施形態と同様の構成である。
【0068】
第1隔壁43、第2隔壁44及び第3隔壁35は、蒸着材料供給ベルト30により貫通されているが、第1副チャンバ20S、第2副チャンバ24、第3副チャンバ26及び蒸着チャンバ10間の圧力差を保持できるように、貫通部分において蒸着材料供給ベルト30との間隙をできるだけ小さく保つことが好ましい。
【0069】
本実施形態の成膜装置によれば、インライン方式で溶液の状態の蒸着材料を用いて真空蒸着する場合であっても、副チャンバにおいて蒸着材料溶液供給部から供給された蒸着材料溶液のうちの蒸着材料を蒸着材料供給ベルト上に残して溶媒を蒸発させて分離した後、蒸着チャンバにおいて加熱部で加熱された蒸着材料を気化して得られた蒸着材料の蒸気を成膜対象物に噴出して堆積させ、蒸着材料の膜を形成することにより、形成される膜の膜質の劣化を防止することができる。
これは、蒸着材料供給ベルトを採用することで、少なくとも圧力及び温度のいずれかの異なる4箇所以上の領域を設けることができ、これにより、蒸着材料溶液から溶媒を連続的に分離することが可能となったものである。
さらに、必要に応じてさらに副チャンバを構成するチャンバの数を増加させることも可能である。
【0070】
上記の第6実施形態及び第7実施形態においては、副チャンバは複数個のチャンバで構成されている。
上記の構成では、第1副チャンバの背圧を高く設定して第1副チャンバでの溶媒分離は行わず、第2副チャンバ以降において徐々に溶媒分離を行う構成としてもよい。
また、真空蒸着材料の供給速度と複数個の副チャンバの配置及び背圧設定により、蒸着チャンバに至るまでの副チャンバ内で所要の圧力勾配ができるようにすることができる。
材料を副チャンバ内へ導入する際、副チャンバの背圧が適切に設定されていないと溶媒が一気に蒸発してしまい、蒸着材料ごと飛散させてしまうことがあるが、上記のように圧力勾配を設けたり、第1副チャンバでの溶媒分離は行わず、第2副チャンバ以降において徐々に溶媒分離を行う構成とすることで、これを抑制することができる。
例えば、第1副チャンバにArなどのガスを導入し、材料供給口とあわせて設計することで適切な圧力勾配を得ることができる。
さらに、カバー、メッシュ、ワイヤなどを使用して、蒸着材料の飛散を防ぐことも可能である。
【0071】
<第8実施形態>
図16は本発明の第8実施形態に係る成膜装置の模式構成図である。
蒸着材料の蒸気噴出部が複数個並列に並べて構成されている。
即ち、1つの蒸着チャンバ10に対して、隔壁40Aで隔てられ、排気管を介して真空ポンプ21Aが接続された副チャンバ20A、蒸着材料供給ベルト30A、蒸着材料溶液供給部に接続された供給管34A、及び加熱部33Aからなる第1ユニットAと、隔壁40Bで隔てられ、排気管を介して真空ポンプ21Bが接続された副チャンバ20B、蒸着材料供給ベルト30B、蒸着材料溶液供給部に接続された供給管34B、及び加熱部33Bからなる第2ユニットBと、隔壁40Cで隔てられ、排気管を介して真空ポンプ21Cが接続された副チャンバ20C、蒸着材料供給ベルト30C、蒸着材料溶液供給部に接続された供給管34C、及び加熱部33Cからなる第3ユニットCが並列に並べて構成されている。
【0072】
蒸着材料の蒸気噴出部が複数個並列に並べて構成することで、幅の広い蒸着対象物に対しても蒸着可能である。
【0073】
本実施形態においても、各副チャンバは隔壁で隔てられた複数個のチャンバから構成されていてもよい。さらに、各副チャンバは隔壁で隔てられた3個以上のチャンバから構成されていてもよい。
また、加熱部として、第5実施形態に記載のディストリビュータ(分配器)を用いてもよい。
【0074】
本発明は上記の説明に限定されない。
例えば、蒸着材料としては、防汚膜のほか、防汚膜以外の用途の蒸着材料を用いることも可能である。蒸着材料が溶媒に溶解あるいは分散されて保存される場合に、溶媒あるいは分散媒を除去してから蒸着させることが可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1…成膜対象物
2…搬送方向
10…蒸着チャンバ
11…真空ポンプ
20…副チャンバ
20S…第1副チャンバ
21…真空ポンプ
22…第2副チャンバ
23…真空ポンプ
24…第2副チャンバ
25…真空ポンプ
26…第3副チャンバ
27…真空ポンプ
30…蒸着材料供給ベルト
31…第1回転駆動部
32…第2回転駆動部
33…加熱部
33S…ディストリビュータ(分配器)
34…供給管
40…隔壁
41…第1隔壁
42…第2隔壁
43…第1隔壁
44…第2隔壁
45…第3隔壁
20A,20B,20C…副チャンバ
21A,21B,21C…真空ポンプ
30A,30B,30C…蒸着材料供給ベルト
33A,33B,33C…加熱部
34A,34B,34C…供給管
40A,40B,40C…隔壁
A…第1ユニット
B…第2ユニット
C…第3ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着チャンバと、
隔壁で前記蒸着チャンバから隔てられて設けられた副チャンバと、
隔壁を貫通して前記蒸着チャンバ内から前記副チャンバ内にわたって設けられ、前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動可能に設けられた蒸着材料供給ベルトと、
蒸着材料を溶媒に溶解した蒸着材料溶液を前記副チャンバ中において前記蒸着材料供給ベルト上に供給する蒸着材料溶液供給部と、
前記蒸着チャンバ内に設けられ、前記蒸着チャンバ内の所定の箇所の前記蒸着材料供給ベルト上の蒸着材料が気化するように加熱する加熱部と、
前記蒸着チャンバ内に設けられ、成膜対象物を保持及び搬送する保持搬送部と
を有し、
前記副チャンバにおいて前記蒸着材料溶液供給部から供給された前記蒸着材料溶液のうちの前記蒸着材料を前記蒸着材料供給ベルト上に残して前記溶媒を蒸発させて分離し、
前記蒸着チャンバにおいて前記加熱部で加熱された前記蒸着材料を気化して得られた前記蒸着材料の蒸気を前記成膜対象物に噴出して堆積させ、前記蒸着材料の膜を形成する
成膜装置。
【請求項2】
前記蒸着材料供給ベルトが環状の形状であり、前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動した後前記副チャンバに戻るように構成されている
請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記副チャンバにおいて前記蒸着材料溶液供給部から供給された前記蒸着材料溶液のうちの前記蒸着材料を前記蒸着材料供給ベルト上に残して前記溶媒を連続的に蒸発させて分離する
請求項1または2に記載の成膜装置。
【請求項4】
前記蒸着材料溶液供給部が前記蒸着材料溶液を連続的に前記蒸着材料供給ベルト上に供給する
請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項5】
前記保持搬送部がパスバイ方式で成膜工程中に前記成膜対象物を連続的に搬送する
請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項6】
前記保持搬送部がステップバイステップ方式で成膜工程毎に前記成膜対象物の搬送及び静止保持を繰り返す
請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項7】
前記蒸着材料供給ベルトを前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動させる蒸着材料供給ベルト駆動部を有し、前記蒸着材料供給ベルトを前記副チャンバから前記蒸着チャンバへ移動させる
請求項1〜6のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項8】
前記副チャンバ、前記蒸着材料供給ベルト、前記蒸着材料溶液供給部、及び前記加熱部がユニット化されている
請求項1〜7のいずれかに記載の成膜装置。
【請求項9】
前記副チャンバが隔壁で隔てられた複数個のチャンバから構成されている
請求項1〜8のずれかに記載の成膜装置。
【請求項10】
前記副チャンバが隔壁で隔てられた3個以上のチャンバから構成されている
請求項9に記載の成膜装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−40357(P2013−40357A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176116(P2011−176116)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度経済産業省、戦略的基盤技術高度化支援事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(300075751)株式会社オプトラン (15)
【Fターム(参考)】