説明

成膜装置

【課題】排気手段への成膜材料の混入を抑制し、排気手段の性能の低下を回避することが可能な成膜装置を提供する。
【解決手段】排気手段に通じる排気口123bに成膜材料を捕捉する捕捉手段10を備える構成とする。捕捉手段によって成膜材料を捕捉して、成膜材料の排気手段への進入を抑制する。これにより、排気手段の性能の低下を防止する。また、排気手段の交換、清掃などのメンテナンス周期を延長することが可能であるため、運転停止期間を削減して、成膜装置の生産能力を向上させることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成膜装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、真空チャンバー内で基板の処理などを行う成膜装置は、チャンバー内に設置された成膜材料を基板上に蒸着させることで成膜を行っている。近年、CIGS(銅インジウムガリウムジセレン化合物)系太陽電池用発電層の成膜において、セレンの真空蒸着法が適用されている(例えば、特許文献1参照)。成膜装置のチャンバーには、真空ポンプ(排気手段)が接続されている。チャンバー内は、真空ポンプによって排気され所定の圧力に維持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−527121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、従来技術に係る蒸着法では、蒸着源から蒸発した成膜材料が、基板の成膜面以外に付着してしまう。成膜材料が排気手段に混入し、排気手段の性能が低下した場合には、性能を回復させるためのメンテナンス作業が必要となる。そのため、成膜材料の排気手段への混入を抑制することが求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、排気手段への成膜材料の混入を抑制し、排気手段の性能の低下を回避することが可能な成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による成膜装置は、被成膜物に成膜材料を成膜する成膜装置であって、内部の気体を排気するための排気口が形成されたチャンバーと、排気口に接続されチャンバー内の気体を排気する排気手段と、排気口に設けられ成膜材料を捕捉する捕捉手段と、を備えること特徴としている。
【0007】
このような成膜装置によれば、排気手段に通じる排気口に成膜材料を捕捉する捕捉手段を備え、捕捉手段によって成膜材料(例えばセレン)を捕捉することができるため、成膜材料の排気手段への進入を抑制することができる。これにより、排気手段の性能の低下を防止することができる。また、排気手段の交換、清掃などのメンテナンス周期を延長することが可能となる。また、運転停止期間を削減することで、成膜装置の生産能力を向上させることもできる。なお、排気口に設けられているとは、チャンバーを構成する壁体の開口部に設置されている場合、壁体の開口部よりもチャンバー内側に設置されている場合、壁体の開口部よりもチャンバー外側に設置されている場合を含む。
【0008】
ここで、捕捉手段は、排気口を覆うように設置されたメッシュ部材と、冷媒が通過する冷却通路を有すると共にメッシュ部材を支持する支持部材と、冷却通路に冷媒を供給する冷媒供給手段と、を備えることを特徴としている。このように、冷却通路を有する支持部材によって、捕捉手段であるメッシュ部材を支持する構成であるため、メッシュ部材を冷却することで、成膜材料を冷却してメッシュ部材に付着させることができる。なお、冷媒として冷却水を用いることができる。例えば、成膜装置が設置された工場内の工業用水を用いることで、既設の成膜装置に対して大きな改良を施すことなく、堆積材料の付着を回避することができる。
【0009】
また、支持部材は、メッシュ部材を着脱自在に支持する構成であることが好ましい。メッシュ部材が、支持部材に対して着脱自在であるため、メッシュ部材の取替え作業を効率的に行うことができる。メッシュ部材の取替え作業の迅速化を図り、取替え作業のための運転停止時間の短縮を図ることができる。取外したメッシュ部材を清掃して、再度、取り付けて使用してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排気手段への成膜材料の混入を抑制し、排気手段の性能の低下を回避することが可能な成膜装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る成膜装置を示す概略側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る成膜装置の概略断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る成膜装置の捕捉手段を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る成膜装置の捕捉手段を示す平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る成膜装置の捕捉手段を示す概略断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る成膜装置の捕捉手段を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る成膜装置の捕捉手段を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る成膜装置について図面を参照して説明する。なお、「上」、「下」等の方向を示す語は、図面に示される状態に基づいており、便宜的なものである。
【0013】
(成膜装置)
図1は、本発明の実施形態に係る成膜装置を示す概略側面図である。図1に示す成膜装置100は、被成膜物である基板(例えばガラス基板)に対して成膜等の処理を施すためのものである。成膜装置100は、セレンの真空蒸着法(セレン化法)を用いて、基板上に薄膜層を形成可能な装置である。
【0014】
成膜装置100は、例えばCIGS系の太陽電池の製造に適用可能なものである。CIGS系の太陽電池は、ガラス基板上に、裏面電極層、CIGS層(発電層)、バッファ層、透明電極層が順に積層されて構成されている。ガラス基板は、ナトリウム(Na)を含むソーダガラスを用いることができる。CIGS層は、銅(Cu)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)を含む半導体からなる発電層である。
【0015】
成膜装置100は、複数の真空チャンバー(真空容器)121〜125を備えている。真空チャンバーのサイズは、長さ2m程度、幅2m程度、高さ300mm程度とされている。本実施形態の成膜装置100では、例えば18個の真空チャンバーを備える構成とされ、連続する複数の真空チャンバー121〜125の全長は20m程度である。なお、図1では、複数の真空チャンバーのうちの一部を図示し、その他の真空チャンバーの図示を省略している。
【0016】
各真空チャンバー121〜125には、内部の気体を排気するための排気口123b(図5〜図7参照)が形成されている。排気口123bは、チャンバー121〜125のチャンバー壁123a(例えば底板)に設けられている。この排気口123bには、真空チャンバー121〜125内の圧力を適切な状態に維持する真空ポンプ2が接続されている。真空ポンプ2は、真空チャンバー121〜125内の気体を排気する排気手段として機能する。真空ポンプ2は、真空チャンバ121〜125外に張り出す短管4を介して121〜125に接続されている。また、各真空チャンバー121〜125には、チャンバー121〜125内の圧力を監視するための真空計1が複数(例えば2個)設置されている。真空計1は、チャンバー121〜125外に張り出す連通配管3を介してチャンバー121〜125に接続されている。
【0017】
成膜装置100では、複数の真空チャンバー121〜125として、ロードロックチャンバー121、バッファチャンバー122、成膜チャンバー(成膜室)123、バッファチャンバー124、ロードロックチャンバー125を備えている。これらの真空チャンバー121〜125は、この順に並んで配置されている。真空チャンバー121〜125の基板搬送方向の両端部には基板の出入口が設けられ、この出入口には開閉ゲート131〜136が設けられている。なお、開閉ゲートは、隣接する真空チャンバー間の全てに設置されていない構成でもよい。例えば、複数の真空チャンバーのうち、最初の真空チャンバーの入口側と、最後の真空チャンバーの出口側とにのみ設置されている構成でもよい。真空環境と大気圧環境との縁切り箇所に開閉ゲートが設けられている構成でもよい。
【0018】
また、成膜装置100には、図2に示すように、基板101を搬送するための搬送装置102が設けられている。搬送装置102は例えば公知のローラー102aとこのローラー102aを回転させる駆動機構(不図示)とから構成されている。そして、基板101は、搬送装置102によって搬送され、チャンバー内を順次通過する。
【0019】
ロードロックチャンバー121は、入口側に設けられた開閉ゲート131を開放することで、大気開放され、処理される基板101が導入されるチャンバーである。本実施形態の成膜装置100は、1個のロードロックチャンバー121を備えている。ロードロックチャンバー121の出口側は、開閉ゲート132を介して、バッファチャンバー122の入口側に接続されている。成膜装置100の運転中において、開閉ゲート132は開放状態とされ、隣接する真空チャンバー同士は連通された状態となる。
【0020】
バッファチャンバー122は、ロードロックチャンバー121を通過した基板101が導入される中間チャンバーである。本実施形態の成膜装置100は、5個のバッファチャンバー122を備えている。バッファチャンバー122の出口側は、開閉ゲート133を介して、成膜チャンバー123の入口側に接続されている。成膜装置100の運転中において、開閉ゲート133は開放状態とされ、隣接する真空チャンバー同士は連通された状態となる。また、バッファチャンバー122には、基板101を加熱するためのヒータ(不図示)が設けられている。このヒーターは、基板101の上下両面を加熱すべく、上下方向の両側に各々設置されている。バッファチャンバー122では、基板温度が例えば400℃程度になるように加熱される。
【0021】
成膜チャンバー123は、バッファチャンバー22を通過した基板101が導入され、基板101に薄膜層を成膜する処理チャンバーである。本実施形態の成膜装置100は、6個の成膜チャンバー123を備えている。成膜チャンバー123の出口側は、開閉ゲート134を介して、バッファチャンバー124の入口側に接続されている。成膜装置100の運転中において、開閉ゲート134は開放状態とされ、隣接する真空チャンバー同士は連通された状態となる。成膜チャンバー123には、成膜材料を蒸発させるプロセス装置104が設置されている。プロセス装置104内には、成膜材料(不図示)が設置されている。プロセス装置104内に所定のガスが供給され、電圧を印加することで、成膜材料が蒸発し、チャンバー123内が蒸発した成膜材料が供給される。
【0022】
また、成膜チャンバー123には、基板101を加熱するためのヒータ(不図示)が設けられている。このヒーターは、基板101の上下両面を加熱すべく、上下方向の両側に各々設置されている。成膜チャンバー123では、基板温度が例えば600℃以上(700℃〜800℃程度)に維持されている。
【0023】
バッファチャンバー124は、成膜チャンバー123と連通され、成膜チャンバー123によって成膜された基板101が導入される中間チャンバーである。本実施形態の成膜装置100は、5個のバッファチャンバー124を備えている。バッファチャンバー124の出口側は、開閉ゲート135を介して、ロードロックチャンバー125の入口側に接続されている。成膜装置100の運転中において、開閉ゲート135は開放状態とされ、隣接する真空チャンバー同士は連通された状態となる。また、バッファチャンバー124には、基板101を冷却するための冷却板(不図示)が設けられている。この冷却板は、基板101の上下両面を冷却すべく、上下方向の両側に各々設置されている。バッファチャンバー124では、基板温度が例えば400℃程度になるように冷却される。
【0024】
ロードロックチャンバー125は、バッファチャンバー124を通過した基板101が導入されるチャンバーである。本実施形態の成膜装置100は、1個のロードロックチャンバー125を備えている。ロードロックチャンバー125の出口側には、開閉ゲート36が設けられ、開閉ゲート36を開放することで、ロードロックチャンバー125が大気開放される。
【0025】
セレン化法による成膜を実行する場合には、例えば10枚程度のトレイを連続的に流しながら、トレイ上の基板101に成膜処理を連続的に施す。従って、真空チャンバー間のゲートは、成膜装置100の運転中において、常に開けたままの状態となっている。そのため、ゲートが開放状態であることによって、成膜チャンバー123のほか、成膜チャンバー123に隣接する真空チャンバーを始めとして複数の真空チャンバーの全域において、成膜材料が付着する。
【0026】
ここで、成膜装置100は、成膜材料であるセレンを捕捉する捕捉手段10を備えている。図3は、捕捉手段を示す斜視図である。図4は、捕捉手段を示す平面図である。図5は、捕捉手段を示す概略断面図である。捕捉手段10は、セレンを付着させるためのメッシュ部材11,12、メッシュ部材11,12を支持する支持部材13を備えている。捕捉手段10は、真空チャンバー121〜125の排気口123bに設置されている。
【0027】
メッシュ部材11,12は、網状を成し、例えば、ステンレスによって形成されている。メッシュ部材11,12は、排気口123bを覆うように配置されている。具体的には、支持部材13の開口部13aを覆うように配置されている。
【0028】
支持部材13は、例えば筒状を成し、真空ポンプ2へ連絡する排気通路を形成している。支持部材13は、短管4を介して、真空ポンプ2に接続されている。なお、支持部材13は、その他の形状でもよく、単に、メッシュ部材11,12を支持可能な形状であればよい。また、真空ポンプ2は、短管4を介さずに、チャンバー121〜123に接続されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、1つの排気口123bに対して、複数のメッシュ部材11,12を備えている。メッシュ部材11は、支持部材13の上端部に配置され、メッシュ部材12は、支持部材13の下端部に配置されている。
【0030】
支持部材13の上端部には、メッシュ部材11を支持するボルト部材14が設置され、支持部材13の下端部には、メッシュ部材12を支持するつば部15が形成されている。
【0031】
ボルト部材14は、支持部材13の上端部から上方に張り出すように設置されている。ボルト部材14が、メッシュ部材11の開口に挿通されることで、メッシュ部材11が支持部材13に取り付けられている。メッシュ部材11は、支持部材13の上端部に載置されているだけでもよく、ボルトナットによって固定されていてもよい。メッシュ部材11は、その他の固定部材によって、固定されていてもよい。メッシュ部材11は、支持部材12の端面に形成された段差部に嵌められている構成でもよい。
【0032】
つば部15は、支持部材13の下端部において、内方に張り出すように形成されている。つば部15は、例えば、平板状のリング部材によって形成することができる。メッシュ部材12は、支持部材13内に嵌められて、つば部15の上側の面に載置されている。メッシュ部材12は、その他の構成の支持部材13に支持されていてもよい。ボルトナットを用いて、メッシュ部材12を固定してもよく、クランプ部材を用いて、メッシュ部材12を支持部材13に固定してもよい。
【0033】
また、支持部材13には、冷却通路(ウォータージャケット)16が形成されている。冷却通路16は、例えば、支持部材13の筒状の側壁内において、周方向に連続している。
【0034】
また、成膜装置100は、図4に示すように、支持部材13内の冷却通路16に冷却水を供給する冷却水供給手段(冷媒供給手段)17を備えている。冷却水供給手段17は、冷却通路16内に冷却水を供給する冷却水供給配管18と、冷却通路16内の冷却水を排水する排水管19とを有する。冷却水供給配管18は、各チャンバー121〜125の捕捉手段10の冷却水供給配管を集合する集合管(ヘッダー)20に接続されている。排水管19は、各チャンバー121〜125の捕捉手段10の排水管19を集合する集合管(ヘッダー)21に接続されている。ヘッダー20,21間の圧力差を利用して、冷却水を流通させる。例えば、昇圧ポンプを用いて冷却水を昇圧して、昇圧された冷却水をヘッダー20に供給してもよい。
【0035】
ヘッダー20は、例えば、成膜装置100が設置されている工場の工業用水配管に接続されている。工業用水は、ヘッダー20に供給されて冷却水として使用されている。ヘッダー21は、工場の排水配管に接続され、回収された冷却水は工場外へ排出される。なお、ヘッダー21を通じて回収された冷却水を冷却し、再使用してもよい。
【0036】
冷却通路16に導入される冷媒としては、例えば20℃程度の水を用いることができる。支持部材13内の冷却通路16内の温度は、運転中(成膜中)において、100℃以下であり、例えば70℃〜80℃程度である。
【0037】
成膜装置100では、運転中において冷却水供給手段17によって冷却通路16内に冷却水が供給される。冷却水は、冷却通路16内を流れて支持部材13の外表面を冷却し、メッシュ部材11,12を冷却する。そして、気体中のセレンは、メッシュ部材11,12によって冷却されて、メッシュ部材11,12に付着する。これにより、セレンを捕集し、セレンの真空ポンプ2内への進入を抑制することができる。そして、成膜装置100の運転時間が経過してメッシュ部材11,12にセレンがある程度堆積したら、メッシュ部材11,12を取り替える。
【0038】
このような本実施形態の成膜装置100によれば、真空ポンプ2に通じる排気口123bにセレンを捕捉する捕捉手段10を備え、捕捉手段10によってセレンを捕捉することができるため、セレンの真空ポンプ2への進入を抑制することができる。これにより、真空ポンプ2の性能の低下を防止することができる。また、真空ポンプ2の交換、清掃などのメンテナンス周期を延長することが可能となる。また、運転停止期間を削減することで運転時間を増やし、成膜装置100の生産能力を向上させることもできる。真空ポンプ2の交換の頻度を減少させることが可能であるため、ランニングコスト、メンテナンスコストを削減することが可能となる。
【0039】
また、成膜装置100は、捕捉手段10であるメッシュ部材11,12と、冷媒が通過する冷却通路16を有すると共にメッシュ部材11,12を支持する支持部材13と、冷却通路16に冷媒を供給する冷媒供給手段17と、を備えている。このように、冷却通路を有する支持部材によって、捕捉手段であるメッシュ部材11,12を支持する構成であるため、メッシュ部材11,12を冷却することで、セレンを冷却してメッシュ部材11,12に付着させることができる。また、成膜装置100が設置された工場内の工業用水を用いることで、既設の成膜装置100に対して大きな改良を施すことなく、堆積材料の付着を回避することができる。
【0040】
また、メッシュ部材11,12は、支持部材13に対して着脱自在であるため、メッシュ部材11,12の取替え作業を効率的に行うことができる。メッシュ部材11,12の取替え作業の迅速化を図り、取替え作業のための運転停止時間の短縮を図ることができる。なお、取外したメッシュ部材11,12は、清掃後、再使用してもよい。
【0041】
なお、捕捉手段10が排気口に設けられているとは、チャンバーを構成する壁体の開口内に捕捉手段10が配置されている場合、チャンバーの壁体の開口部よりもチャンバー内側に捕捉手段10が設置されている場合、チャンバーの壁体の開口部よりもチャンバー外側に捕捉手段10が設定されている場合を含む。
【0042】
図6は、本発明の第2実施形態に係る成膜装置の捕捉手段を示す概略断面図である。図6に示す捕捉手段10Bが、図5に示す捕捉手段10と違う点は、排気口123bよりも内側に配置されている点である。このように、捕捉手段10Bを排気口123bよりも内側に配置してもよい。
【0043】
図7は、本発明の第3実施形態に係る成膜装置の捕捉手段を示す概略断面図である。図7に示す捕捉手段10Cが、図5に示す捕捉手段10と違う点は、排気口123bよりも外側に配置されている点である。このように、捕捉手段10Cを排気口123bよりも内側に配置してもよい。
【0044】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、捕捉手段10として、メッシュ部材11,12を備える構成としているが、メッシュ部材11,12以外の物に、成膜材料を捕集する構成としてもよい。例えば、冷媒が流通する冷却管を、排気口に配置して、冷却管に成膜材料を付着させてもよい。その他の伝熱部材を配置して、成膜材料を付着させてもよい。また、メッシュ部材11,12は、気体の流れ方向に対して、傾斜して配置されていてもよい。また、捕捉手段10は、メッシュ部材11,12の何れか一方を有する構成でもよい。また、3つ以上のメッシュ部材を有するものでもよい。
【0045】
また、冷却通路16を有する支持部材13を備える構成としているが、例えば、支持部材13の内面側や、外面側に冷却管を設置して、支持部材13を冷却してもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、メッシュ部材11,12が支持部材13に対して着脱自在な構成とされているが、メッシュ部材11,12を支持部材13と一体的に形成してもよい。
【0047】
また、成膜装置100は、セレン化法に限定されず、その他の成膜法を用いるものでもよい。成膜材料は、セレンに限定されず、その他の成膜材料でもよい。また、成膜装置100は、基板101以外の被成膜物に成膜材料を成膜するものでもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、全ての真空チャンバー121〜125に対して、真空ポンプ2及び捕捉手段10が設置されているが、例えば、複数の真空チャンバー121〜125に対して、1つの真空ポンプ2及び捕捉手段10を備える構成としてもよい。また、1つの真空チャンバー121〜125に対して、複数の真空ポンプ2及び捕捉手段10を備える構成としてもよい。
【0049】
また、排気口の位置は、真空チャンバー121〜125の底板123aに形成されているものに限定されず、天板(天蓋)、その他の側壁に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
2…真空ポンプ(排気手段)、10…捕捉手段、11,12…メッシュ部材、13…支持部材、14…ボルト、16…冷却通路、17…冷却水供給手段(冷媒供給手段)、100…成膜装置、121…ロードロックチャンバー(真空容器)、122…バッファチャンバー(真空容器)、123…成膜チャンバー(成膜室、真空容器)、124…バッファチャンバー(真空容器)、125…ロードロックチャンバー(真空容器)、131〜136…開閉ゲート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被成膜物に成膜材料を成膜する成膜装置であって、
内部の気体を排気するための排気口が形成されたチャンバーと、
前記排気口に接続され前記チャンバー内の気体を排気する排気手段と、
前記排気口に設けられ前記成膜材料であるセレンを捕捉する捕捉手段と、を備えることを特徴とする成膜装置。
【請求項2】
前記捕捉手段は、前記排気口を覆うように設置されたメッシュ部材と
冷媒が通過する冷却通路を有すると共に前記メッシュ部材を支持する支持部材と、
前記冷却通路に冷媒を供給する冷媒供給手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の成膜装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記メッシュ部材を着脱自在に支持することを特徴とする請求項2に記載の成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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