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成長ホルモン分泌促進剤
説明

成長ホルモン分泌促進剤

【課題】筋肉量増加、肌の弾性の増大及び骨密度増加等の健康維持・増進のために有用な成長ホルモン分泌促進剤及びそれを含有する機能性飲食品を提供する。
【解決手段】豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする成長ホルモン分泌促進剤。本発明の発酵物は、豆乳にLactobacillus属、Leuconostoc属又はPediococcus属に属する乳酸菌を添加して発酵を行わせ、発酵物を採取することにより得られる。また上記豆乳の乳酸菌発酵物を任意の飲食品に添加し、成長ホルモン分泌促進活性を有する機能性食品として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長ホルモン分泌促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
成長ホルモンは、生体の成長を司る重要な因子である。また、成長ホルモンは生体の代謝過程において、蛋白質合成速度の上昇、炭水化物利用速度の減少、遊離脂肪酸の流通及び脂肪酸利用の増大等に関与している。ヒト成長ホルモンは、191アミノ酸からなるホルモンであり、脳下垂体から分泌され、血流にのって全身に運ばれる。成長ホルモンの分泌が促進され、その血中濃度が高まると、筋肉量の増加、肌の弾性の増大、心肺機能の向上、骨密度増加等の生理現象が生じる。従って、優れた成長ホルモン分泌促進剤は、医薬品或いは機能性飲食品として有用である。
【0003】
成長ホルモン分泌促進剤としては、アルギニン、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)、グルカゴン、バソプレッシン、インシュリンなどが知られている。また、大豆7Sグロブリン食の摂食によって成長ホルモンレベルが上昇することも知られている(例えば非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】「日本農芸化学会大会講演要旨集 Vol.2003」2003年、P.57
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、新規な成長ホルモン分泌促進剤の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下に関する。
1.豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする、成長ホルモン分泌促進剤。
2.乳酸菌が、Lactobacillus属、Leuconostoc属又はPediococcus属に属する微生物である、1.記載の成長ホルモン分泌促進剤。
3.豆乳の乳酸菌発酵物を含有し、且つ成長ホルモン分泌促進活性を有する機能性飲食品。
4.豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせた後、発酵物を採取することを特徴とする、上記1.又は2.記載の成長ホルモン分泌促進剤の製造法。
5.乳酸菌が、Lactobacillus属、Leuconostoc属又はPediococcus属に属する微生物である、上記4.記載の製造法。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする成長ホルモン分泌促進剤及び機能性食品が提供された。上記の剤及び機能性食品は、筋肉量増加、肌の弾性の増大及び骨密度増加等の健康維持・増進のために使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1.成長ホルモン分泌促進剤とその製造法
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする。該発酵物は、豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせた後、発酵物を採取することによって得られる。
本発明でいう成長ホルモン分泌促進活性とは、脳下垂体細胞からの成長ホルモン分泌を促進する活性、又は血中の成長ホルモン濃度を上昇させる活性を意味する。
本発明でいう豆乳とは、水に浸漬して膨潤させた大豆を摩砕した液体、又は該液体からおからと分離して得られる液体をいう。原料となる大豆の品種は特に限定されず、例えば「りゅうほう」「たちゆたか」等が使用できる。
成長ホルモン分泌促進活性を有する発酵物が得られる限り、本発明で使用する乳酸菌の種類は特に限定されない。例えば、Lactobacillus属、Leuconostoc属又はPediococcus属に属する乳酸菌が使用できる。豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせる方法は特に限定されず、例えば、培養した乳酸菌の菌液を豆乳に添加した後、用いた乳酸菌に適した温度、時間等の条件を適宜設定して発酵を行えばよい。乳酸菌が嫌気性菌の場合は嫌気条件にて発酵を行う。なお、発酵は、複数種の乳酸菌を使用した混合発酵又は連続発酵であってもよい。発酵性を向上させるために、必要な栄養源、例えば糖類などを豆乳に添加してもよい。
成長ホルモン分泌促進活性を発揮する限り、上記で得られた発酵物をそのまま本発明の成長ホルモン分泌促進剤として使用してもよい。また、該発酵物を更に分画処理して、より強い成長ホルモン分泌促進活性を有する画分を使用してもよい。分画は、例えば、溶媒抽出法、ゲル濾過カラム、限外濾過膜を用いて行うことができる。
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、医薬品、飲食品又は飲食品用素材として使用することができる。医薬品、飲食品又は飲食品用素材の種類、形態、及びその他の含有成分等には特に制約はなく、当業者に公知の任意の各種方法で容易に加工することができる。成長ホルモン分泌促進剤を使用する場合の有効成分の摂取量は、摂取者の年令、体重、適応症状などによって異なる。例えば体重60kgの成人による経口摂取の場合、一日1回又は数回摂取し、その摂取量は一日当たり1回約100g〜200g、好ましくは1.6〜3.5g/kg体重程度とすればよい。
2.本発明の機能性飲食品
本発明の機能性飲食品は、豆乳の乳酸菌発酵物を含有し、且つ成長ホルモン分泌促進活性を有する。
成長ホルモン分泌促進活性を有する限り、豆乳の乳酸菌発酵物をそのまま機能性飲食品として使用してもよいし、該発酵物を他の食品、例えば、肉製品、水産加工品、加工野菜、加工果実、惣菜類、大豆加工品、食用粉類、食用蛋白質、飲料、酒類、調味料、乳製品、菓子に添加して使用してもよい。飲食品としての形状は、特に限定されず、例えば固形状、乳状、ペースト状、半固形状、液状とすればよい。
【0009】
本発明の機能性飲食品は、体内における成長ホルモン分泌促進活性を通じて、筋肉量の増加、肌の弾性の増大、心肺機能の向上、骨密度増加等の生理活性を発揮することが可能である。なお、本発明の機能性飲食品は、ヒト用のみならずペットフードや家畜用飼料として使用することができる。
【実施例1】
【0010】
以下により、豆乳の乳酸菌発酵物を調製し、その成長ホルモン分泌促進活性を確認した。
〔成長ホルモン分泌細胞株での測定〕
豆乳の乳酸菌発酵物は次のようにして作製した。豆腐用豆乳(紀文フードケミファ社製)を50%、20% Sucrose(121℃、15分滅菌済み)を50%含有する豆乳培地に、各種乳酸菌を10−10cfu/mlになるように接種し、30℃で24時間培養した。使用した乳酸菌は次のとおりである。
(1)Lactobacillus casei subsp. casei NRIC 1597
(2)Lactobacillus plantarum NRIC 1931
(3)Leuconostoc mesenteroides NISL 7201
(4)Leuconostoc paramesenteroides NISL 7218
(5)Leuconostoc pseudomesenteroides NISL 7223
なお、NRICは東京農業大学菌株保存室のカルチャーコレクションである。また、NISLは野田産業科学研究所のカルチャーコレクションである。
成長ホルモン分泌細胞株としてMtT/S細胞を用いた。細胞培養液中に、コントロール(蒸留水)、豆乳、又は豆乳の乳酸菌発酵物を0.1%の濃度になるように添加した。添加10分後に培養液を回収し、培養液中の成長ホルモン濃度をELISA法(Rat Growth Hormone Enzyme Immunoassay Kit:Amersham社製)にて調べた。
試験結果を図1に示す。豆乳の乳酸菌発酵物を添加することによって、細胞培養液中の成長ホルモン濃度が上昇した。また、豆乳を添加した場合と比較すると、細胞培養液中の成長ホルモン濃度は高い傾向にあった。豆乳の乳酸菌発酵物が成長ホルモン分泌促進活性を有することが示された。
【実施例2】
【0011】
〔下垂体初代培養細胞での測定〕
豆乳の乳酸菌発酵物は次のようにして作製した。豆腐用豆乳(紀文フードケミファ社製)を50%、20% Sucrose(121℃、15分滅菌済み)を50%含有する豆乳培地に、Leuconostoc pseudomesenteroides NISL 7223株を10−10cfu/mlになるように接種し、30℃で24時間培養した。細胞は、Wistar系雄ラットから下垂体を摘出し、トリプシン処理後に分散培養した。培養開始2日後に、細胞培養液中にコントロール(蒸留水)、又は豆乳の乳酸菌発酵物を0.1%の濃度になるように添加した。添加10分後に培養液を回収し、培養液中の成長ホルモン濃度をELISA法にて調べた。
試験結果を図2に示す。豆乳の乳酸菌発酵物を添加することによって、細胞培養液中の成長ホルモン濃度が上昇した。下垂体初代培養細胞の試験系においても豆乳の乳酸菌発酵物が成長ホルモン分泌促進活性を示した。
【実施例3】
【0012】
〔ラット単回経口投与〕
豆乳の乳酸菌発酵物は次のようにして作製した。無調整豆乳(紀文フードケミファ社製)80mlに80% Glucose(121℃、15分滅菌済み)を5ml添加した組成の豆乳培地にPediococcus pentosaceus NRIC 0122を10−10cfu/ml になるように接種し、30℃で24時間培養した。
単回経口投与の確認試験は、頚静脈にカニューレを施した10週齢のWistar系雄ラットを用いた。豆乳の乳酸菌発酵物を10ml/kg体重の用量で胃ゾンデを用いて単回経口投与した。また、コントロールとして水を投与した。投与後30分から120分まで5分おきにカニューレから採血を行い、血中の成長ホルモン濃度をELISA法にて調べた。
試験結果を図3に示す。豆乳の乳酸菌発酵物の投与から80分後、90分後、105分後、110分後及び115分後で血中の成長ホルモン濃度上昇が認められた。ラット単回経口投与の系においても豆乳の乳酸菌発酵物が成長ホルモン分泌促進活性を示した。
【実施例4】
【0013】
〔ラット長期投与〕
豆乳の乳酸菌発酵物は次のようにして作製した。豆腐用豆乳(紀文フードケミファ社製)50%、20% Sucrose50%(121℃、15分滅菌済み)の組成の豆乳培地にLeuconostoc pseudomesenteroides NISL 7223株を10−10cfu/mlになるように接種し、30℃で24時間培養した。
長期投与の確認試験は5週齢のラットに豆乳の乳酸菌発酵物を5%の割合で添加した飼料を13週間にわたって自由摂取させた。コントロールとして通常飼料を自由摂取させた。13週経過後のラットは麻酔下において腹大動脈より採血を行った。血液中の成長ホルモン濃度は、ELISA法にて調べた。
試験結果を図4に示す。豆乳の乳酸菌発酵物を摂食したラットの血中成長ホルモン濃度は、コントロールと比べて高かった。ラット長期投与の系において、豆乳の乳酸菌発酵物が成長ホルモン分泌促進活性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、医薬品、飲食品又は飲食品用素材として使用することができる。該成長ホルモン分泌促進剤は、任意の飲食品に添加して使用できるので、成長ホルモン分泌促進を通じて筋肉量増加、肌の弾性の増大及び骨密度増加等の生理活性を発揮する特定保健用食品、機能性食品を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】成長ホルモン分泌細胞株の培養液中の成長ホルモン(GH)濃度を示す図である。
【図2】脳下垂体初代培養細胞の培養液中の成長ホルモン(GH)濃度を示す図である。
【図3】単回投与試験のラット血中成長ホルモン(GH)濃度の変動を示す図である。
【図4】長期投与試験のラット血中成長ホルモン(GH)濃度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆乳の乳酸菌発酵物を有効成分とする、成長ホルモン分泌促進剤。
【請求項2】
乳酸菌が、Lactobacillus属、Leuconostoc属又はPediococcus属に属する微生物である、請求項1記載の成長ホルモン分泌促進剤。
【請求項3】
豆乳の乳酸菌発酵物を含有し、且つ成長ホルモン分泌促進活性を有する機能性飲食品。
【請求項4】
豆乳に乳酸菌を添加して発酵を行わせた後、発酵物を採取することを特徴とする、請求項1又は2記載の成長ホルモン分泌促進剤の製造法。
【請求項5】
乳酸菌が、Lactobacillus属、Leuconostoc属又はPediococcus属に属する微生物である、請求項4記載の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−150340(P2008−150340A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341989(P2006−341989)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000004477)キッコーマン株式会社 (212)
【Fターム(参考)】