説明

成長ホルモン受容体の発現およびインスリン様成長因子の発現のモジュレーション

成長ホルモン受容体の発現および/またはインスリン様成長因子-I(IGF-I)をモジュレートするための化合物、組成物、および方法が提供される。組成物は、成長ホルモン受容体をコードする核酸を標的とするオリゴヌクレオチドを含む。成長ホルモン受容体発現をモジュレートするため、そして成長ホルモン受容体および/またはインスリン様成長因子-Iの発現と関連する疾患を診断および治療するため、これらの化合物を使用する方法が提供される。診断方法および診断キットもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、U.S.仮出願No. 60/451,455(2003年2月28日に出願)およびU.S.仮出願No. 60/490,230(2003年7月24日に出願)に基づく利益を主張し、これらの開示の全体を、すべての目的のためにそれらの全体を参考文献として取り込む。
【0002】
発明の属する分野
本発明は、成長ホルモン受容体の発現をモジュレートするための組成物および方法を提供する。特に、本発明は、好ましい態様において成長ホルモン受容体をコードする核酸分子にハイブリダイズする化合物、具体的には、オリゴヌクレオチド化合物に関する。そのような化合物は、本明細書中で、成長ホルモン受容体の発現をモジュレートすることが示され、そしてインスリン様成長因子1(IGF-I)の発現を、先端肥大症、巨人症、年齢に関連した黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病、および成長ホルモンおよびIGF-I依存性腫瘍を含む疾患の治療に関係がある動物およびヒトの対応物の治療的レベルにモジュレートすることが示される。成長ホルモン受容体モジュレート作用は、関節炎および成長ホルモン受容体および/または成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸が関与するその他の症状の治療にも関係がある。同様に、成長ホルモン、成長ホルモン受容体、IGF-IおよびIGF-I受容体を含む成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸のいずれかの1またはそれ以上の標的に対するアンチセンス化合物を、同一の症状の治療において使用することができる。
【0003】
発明の背景
下垂体により放出される成長ホルモンは、身体およびその器官の成長を制御するホルモンのカスケードの一構成因子である。血流中への成長ホルモンの分泌は、多数の細胞および器官型上の成長ホルモン受容体(GHR)に結合することにより生じる。成長ホルモンのシグナル伝達は、この相互作用により媒介される。成長ホルモンのシグナル伝達は、肝臓、脂肪組織、および腎臓において産生されそして血流中に分泌される別のホルモン、インスリン様成長因子-I(IGF-IまたはIGF-1)の産生を引き起こす。約75%の血清IGF-Iは、成長ホルモン刺激に応答して肝臓で産生される。先端肥大症、巨人症、網膜症、黄斑変性、腎症、糖尿病および癌を含む多数の症状は、血漿中および/または組織中の成長ホルモンレベルの上昇および/または血漿中および/または組織中のIGF-Iレベルの上昇により引き起こされおよび/またはそれに関連している。多数の成長ホルモンの作用を媒介する際のIGF-Iのこの役割はよく知られており、そしてこの相互関係は、成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸と呼ばれる。正常なフィードバックループにおいて、IGF-Iはまた、減少させるべき下垂体による成長ホルモンの生成を引き起こす。
【0004】
成長ホルモンは、下垂体前葉における1セットの特殊化細胞により、産生され、そして分泌される。成長ホルモンは、例えば、骨組織や軟組織の増殖を刺激することや、炭水化物、タンパク質、および脂質代謝に影響を与えるなど、多数の組織に対して直接的および間接的な作用を有する。成長ホルモンの直接的な生物学的活性には、受容体結合、ホルモン/受容体複合体の内部移行、そしてシグナル伝達に関与するタンパク質の活性化が含まれる。
【0005】
成長ホルモンの受容体(GHR)についてのタンパク質およびRNA転写物は、ホルモンにより影響を受ける組織の多数において検出された。1分子の成長ホルモンが、2種の受容体分子に対して順に結合し、活性複合体を形成することが明らかになった。この複合体が、次に、IGF-Iを含むその他の遺伝子の刺激化をシグナル伝達する。肝臓およびその他の標的組織により産生されそして分泌されるIGF-Iは、成長および発生に対して、何らかの成長ホルモンの間接的な作用を媒介する。成長ホルモン/成長ホルモン受容体相互作用の後に生じるその他の細胞内現象には、Janusキナーゼ2(Jak-2)などのチロシンキナーゼの活性化が含まれ、これにより転写シグナル伝達分子・アクチベーター5Aおよび5B(STAT 5Aおよび5B)やマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼを含むその他のタンパク質のリン酸化および活性化が引き起こされ、それにより次に、その他のタンパク質および遺伝子が活性化される。
【0006】
成長ホルモン受容体をコードするcDNAを、多数の種からクローニングした。受容体は、細胞外ホルモン結合領域(エクソン2〜7)、1つの膜貫通領域(エクソン8)、および細胞内領域(エクソン9〜10)からなる。ヒトおよびマウス転写物の両方において遺伝子の選択的第一エクソンである、複数の選択的5'非翻訳領域も存在する。成長ホルモン受容体は、内在性のキナーゼドメインを有さないが、しかしながら細胞内領域は、シグナル伝達プロセスにおいて主要な役割を果たしている。成長ホルモン結合タンパク質(GHBP)として知られる受容体の短縮型は、成長ホルモン受容体の膜貫通領域および細胞内領域を欠損し、そして血清中に分泌される。短縮型タンパク質は、動物種に依存する2種の異なるプロセスの1種により生成される。マウスおよびラットにおいては、成長ホルモン受容体前駆体メッセンジャーRNAの選択的スプライシングは、膜貫通領域および細胞内領域を、非常に短い親水性尾部(エクソン8Aによりコードされる;15,16)により置換する。ヒト、ウシ、およびブタにおいては(特に)、明らかな選択的RNAスプライシングは存在しないが、その代わりGHBPは、成長ホルモン受容体のタンパク質分解により生成される。結合タンパク質の機能は、循環性成長ホルモンレベルをモジュレートする様に見える。
【0007】
成長ホルモン受容体は、肝臓、脂肪組織、筋肉、軟骨、骨、歯、腎臓、目、心臓血管系、腸管、生殖器官、皮膚、脳、内分泌系、および免疫系を含む多数の器官および組織において発現される。
【0008】
成長ホルモン受容体の細胞外ドメインの三次元構造が確定された。それは、2つの構成単位からなり、それぞれは約100アミノ酸からなり、それぞれβ-シートの7つの鎖を伴う2つのサンドイッチ構造として配置される。成長ホルモン受容体の細胞外ドメインの分泌型は、GHBPである。
【0009】
成長ホルモン受容体は、成長ホルモン刺激に対して生物学的に応答する。JAK2は、成長ホルモン受容体シグナル伝達に対する初期エフェクター分子である。JAK2は、成長ホルモン受容体二量体化の後に活性化される。成長ホルモンはその受容体と二量体化されると、JAKどうしが近くに寄せられ、そして適切な配置によりトランスリン酸化が互いに起こり、完全な活性化が引き起こされる。JAKのための細胞内標的には、受容体細胞質ドメインそのものにおけるチロシン残基が含まれ、それが次に、SH2ドメイン(STATS、ShcおよびSHP2)を活性化する。これらは、続けてMAPキナーゼ経路を活性化する可能性があり、それが細胞増殖を制御する。JAK2はまた、IRS-1および-2、およびホスファチジル3-イノシトールキナーゼなどのその他のシグナル伝達分子をリン酸化しそして活性化し、これはインスリンシグナル伝達メカニズムの重要な部分でありそして成長ホルモンのインスリン様作用の原因である可能性がある。活性化JAK2はまた、STAT5をリン酸化し、そして活性化されると、多数の遺伝子の転写に関与する。
【0010】
成長ホルモン受容体活性化により、以下の器官における以下の結果を含む、多数の器官における多数の作用が引き起こされる:
肝臓:インスリン様成長因子-Iの分泌増加、血漿タンパク質の合成、窒素平衡酵素の制御、炭水化物合成/保存の増加、および脂肪分解の増加;脂肪組織:保存脂肪の分解;筋肉:タンパク質合成の増加、タンパク質分解の減少;軟骨:成長板における軟骨細胞増殖および分化の増加による高さの増加;骨および歯:組織ターンオーバーの増加、合成および分解の両方;腎臓:ナトリウム、炭酸水素イオンおよび水貯留のの増加;目:網膜血管新生の増加;心臓血管:肥大、収縮性の増加、1回拍出量(stroke volume)の増加、心血液量(cardiac output)の増加;腸管:肥大、アミノ酸の取り込みの増加、ナトリウムの取り込みの増加、カルシウムの取り込みの増加、ホスフェートの取り込みの増加およびB12の取り込みの増加;生殖系:精子産生および運動性の増加、雄性における副腺分泌の増加、濾胞数および排卵頻度の増加、濾胞成熟頻度の増加、乳産生の増加;皮膚:皮膚厚および強度の増加、毛髪成長および幅の増加;脳:出生前のニューロン増殖および連結度の増加、ミエリン形成の増加、長期記憶の改善;内分泌系:インスリン合成および分泌の増加、副腎ステロイド生成の増加;免疫系:免疫細胞増殖の増加、単球、マクロファージおよびNK細胞による傷害の増加、抗体産生の増加。
【0011】
成長ホルモンシグナル伝達経路における成長ホルモン受容体からの下流は、IGF-IおよびIGF-I受容体である。インスリン様成長因子(IGF)は、増殖に重要である。特に、IGF-IおよびIGF-2は、それぞれ幅広い細胞に対して強力なマイトジェン作用を有する偏在性のポリペプチドである。インスリン様成長因子型の分子もまた、DNA合成を介して“コンピテント”な細胞を活性化する、“進行性因子”としても知られる。インスリン様成長因子は、チロシンキナーゼ結合型であるI型受容体またはIGF-IRとして知られる共通受容体を介して作用する。
【0012】
インスリン様成長因子結合タンパク質(IGFBP)と呼ばれる具体的なタンパク質は、組織インスリン様成長因子利用能のオートクライン/パラクライン制御に関与している様である(Rechler and Brown, Growth Regulation, 1992, 2, 55-68)。これまでに、6種のIGFBPが同定された。IGFBPの正確な作用は明らかになっておらず、そしてin vitroにおいて見いだされた作用は、用いられた実験方法に依存して、阻害性であったり刺激性であったりした(Clemmons, Growth Regn. 1992, 2, 80,)。しかしながら、特定のIGFBPがインスリン様成長因子-Iをその細胞表面受容体に標的化することに関与しているという、いくつかの証拠が存在する。同様に、IGFBP-3の発現は、成長ホルモンにより制御される(Karen et al, 上述)。
【0013】
IGF-IRは、チロシンキナーゼ結合型細胞表面受容体であり(Ullrich et al.,EMBO J. 1986, 5, 2503-2512)、多数の細胞型における細胞分裂、形質転換およびアポトーシスを制御する(LeRoith et al., Endocr. Rev., 1995, 16, 143-163;Rubin and Baserga, Laboratory Investigation, 1995, 73, 311-331)。
【0014】
成長ホルモン産生のフィードバック制御が失われ、そして下垂体が異常な量の成長ホルモンを放出し続けたら、インスリン様成長因子-Iレベルは上昇し続け、骨成長および器官拡張が引き起こされる。過剰量の成長ホルモンもまた、糖代謝および脂質代謝の変化を引き起こし、糖尿病を引き起こす可能性がある。成長ホルモンシグナル伝達経路における欠損は、しばしば、構造異常および身体サイズおよび/または器官サイズの異常を引き起こす。成長ホルモン受容体遺伝子における変異は、結果として極めて短い構造を引き起こす(ラロン症候群)。成長ホルモンの過剰産生により、先端肥大症または巨人症が引き起こされる可能性がある。
【0015】
先端肥大症および巨人症は、成長ホルモン過剰である成長障害に関するものであり、しばしば下垂体腫瘍により引き起こされ、進行性の美容的不利益、および全身性の器官徴候を引き起こす。それは、全世界で100万人当たり40〜50人に罹患し、USおよびヨーロッパのそれぞれには約15,000人の罹患者がおり、そして毎年100万人当たり約4〜5人が発症している。これは、最初は、手および足の異常な成長および顔立における骨の変形により、特徴づけられる。患者は、あごの過剰成長、手および足の膨大、声の低音化、皮膚の肥厚、きつい体臭、間接軟骨の問題、リン酸過剰血症、末梢神経障害、高血圧、糖尿病、心臓疾患、および癌によりクオリティ・オブ・ライフが低下し、そして治療しない場合に生活の期待が減少する。死亡率は、心肺疾患および心臓血管疾患、糖尿病および新生組織形成、特に結腸癌により、正常個体群の死亡率の約2倍である。現在の治療の目的は、成長ホルモンの過剰分泌の作用を逆転し、そしてこれらの患者において約50%まで上昇するIGF-Iの産生を正常にすることである。効果的な場合、治療により、疾患症候および疾患関連死亡率が抑えられる。
【0016】
巨人症は、子供における過剰な成長ホルモンの疾患であるが、稀な症状である。巨人症においては、骨端成長板が良性下垂体腫瘍を介して引き起こされる成長ホルモン過剰により子供のあいだ開放されている間に、過度な直線的な成長が生じる。巨人症および先端肥大症の両方において、必ずしも対称的ではないが、すべての成長パラメータが影響を受ける。成長に関連する転帰の多くが、血清IGF-Iレベルの上昇により媒介される。IGF-Iの血清血液レベルは、患者の約50%で上昇しており、そして血清IGF-Iの低下を使用して、治療の成功をモニターする。
【0017】
先端肥大症および巨人症の治療には、血漿中の上昇したIGF-Iを低下させる能力が関与する。このことは、良性下垂体腫瘍の外科的除去および放射線療法により達成することができるが、しかしこれは、患者のわずか50%で有効なだけである。ブロモクリプチンメシレート(bromocriptine mesylate)またはカベルゴリン(cabergoline)などのドーパミンアゴニストを、経口的に服用させることができ、便利ではある。しかし、それらは成長ホルモン産生および関連するIGF-Iを症例の10%において充分に低下させるだけである。それらはまた、患者の20-30%において、重大な胃腸の副作用および中枢の副作用を引き起こす。同様に、Sandostatinまたはオクトレオチド(octreotide)などのソマトスタチン類似体を、先端肥大症の治療において使用し、視床下部および/または下垂体からの成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)の放出を阻害し、それにより下垂体における成長ホルモンの産生を低下させる。この化合物は、先端肥大症の患者の60-65%において効果的である。しかし、それは効果的な治療のためには、皮下に8時間ごとまたは筋肉内に注射しなければならない。
【0018】
最近、成長ホルモン受容体アンタゴニストのTrovert(Somavert、PegvisomantおよびB2036-PEGとしても知られる)もまた、臨床試験において患者の90-95%において効果的であることが示された。これまでの臨床試験の経験から、10%のドロップアウト率および肝機能障害などの副作用が示された。Trovertは、半減期を増加するために、9アミノ酸置換を有し、4〜5箇所のPEG付加を有する成長ホルモン分子である。すべての修飾タンパク質と同様に、それは免疫原性であり、抗体が投与1箇月以内にTrovertに対して作製される。このことは、Trovertの短期的有用性および長期的有用性に影響を与える可能性があり、そして投薬を予測困難なものとしている。Trovertは、最初は皮下(sc)投与により月1回投与されていたが、しかし現在の臨床実務は、投薬が1回/日scであることが必要であると示唆している。Trovertは、成長ホルモンのその受容体に対する結合を妨害するが、成長ホルモン受容体の成長ホルモン結合タンパク質(GHBP)断片との結合を妨害しない。GHBPは、成長ホルモンに結合し、その作用を長期化する。それが、過剰な成長ホルモンおよび/または過剰なIGF-Iに関与する症状における不利益となる可能性がある。PEG化もまた、Trovertの長期的安全性プロファイルに影響を与える可能性がある。
【0019】
糖尿病および生命に脅威を与える糖尿病性網膜症や腎症などのその合併症もまた、成長ホルモンおよび/またはIGF-Iレベルと関連する症状である。これらの症状の最初の治療は、高血糖症を調節することに関する。糖尿病を調節する薬物は、腎症の発症を60%低下させ、そしてまた網膜症の発症を低下させる。しかしながら、すべての糖尿病の約半分は、疾患とは気付かれず、従って治療されないままとなる。そのため、糖尿病性腎症や網膜症は、その他の治療を必要とする主要な症状のままであるだろう。網膜症においては、レーザー汎網膜光凝固術などの外科的な切除手術治療が使用されるが、しかしこれらは未だ完全には有効なものではなく、そして網膜組織を破壊し部分的視野欠損を引き起こすことがある。I型糖尿病において、ACE阻害剤およびAII阻害剤は、腎臓に作用することによりアルブミン尿排出を減少させ、II型糖尿病において、同じ阻害剤が腎臓に局所的に作用してそして血圧を低下させて腎不全による死亡リスクをさらに50%低下させる。しかしながら、20〜30%の患者は、現在の血糖コントロール薬物およびACE薬物を用いた治療に耐性であり続けている。このように、よりよい治療についての要求が存在している。
【0020】
糖尿病、糖尿病性網膜症および糖尿病性腎症の裏に潜む原因は、インスリン関連高血糖である可能性があるが、しかし成長ホルモンおよび/またはインスリン様成長因子-Iの過剰もまた、重要である。下垂体成長ホルモンの産生を減少させて、成長ホルモンおよびIGF-Iの全身性レベルを低下させおよび/または局所組織レベルをモジュレートするGHRHのオクトレオチド阻害剤は、病院において可能性があることが示される。最大耐用量5000μg/日scのオクトレオチドでsIGF-1を51%減少させるGrantら(Diabetes Care, 2000, 2,504-9)によるオクトレオチドを用いた研究は、15箇月の研究において、網膜症患者におけるレーザー手術の必要性を、プラセボでは9人/22人であったのに対して、22人の患者のうち1人にまで減少させた。同様に、眼疾患は、優位性(P 0.06)の境界で、プラセボの42%に対して、27%まで減少した。sIGF1をそれぞれ45%、約20%および約10%減少させたレベルでオクトレオチドを使用した3種のヒトの研究は、腎症の臨床試験において、少なくとも部分的に効果的であった。11人の患者を用いたSerinら(JAMA, 1991, 265, 888-92)により報告された結果では、血清IGF-Iを45%減少させた12週間の研究において、高用量のオクトレオチドを使用した。その際、糸球体ろ過速度をプラセボと比較して22〜33%低下させた際に、最高の効果が観察されたことが述べられた。しかしながら、この用量は、オクトレオチドの最大耐用量近くであった。
【0021】
オクトレオチドおよびTrovertを用いた動物病理学モデル研究もまた、成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸をモジュレートする物質がこれらの糖尿病症状の治療の際に有益であるという観点をサポートする。成長ホルモンおよびその受容体は、ソマトスタチン阻害剤オクトレオチドおよびPTR-3173(Groenbaek et al., J. Endocrinol., 2002, 172, 637-643 および Landau et al,, Kidney International, 2001, 60, 505-512)および成長ホルモン受容体アンタゴニスト、G120K-PEG(Trovertの弱いもの)による、部分腎摘出術および糖尿病性腎症における糸球体肥大および糸球体硬化の誘導に関与しており、I型糖尿病マウスおよびII型糖尿病マウスにおける合併症を防止する(Chen et al., Endocrinology, 1996, 137, 11, 5136-5165;Flyvbjerg et al., Diabetes, 1999, 40, 377-382;およびSegev et al., J. Am. Soc. Nephrol. 1999, 10, 2374-81)。成長ホルモンおよびその受容体は、ソマトスタチン阻害剤オクトレオチドおよび成長ホルモン受容体アンタゴニストMK678による、IGF-Iを介した網膜の血管新生の誘導に関与し、マウスにおける網膜の血管新生を阻害する。MK678による血管新生の減少は、低血清IGF-Iと相関している(Smith et al, Science, 1997, 276, 1706-9)。マウスにおける酸素誘導網膜症は、Higginsら(Exp. Eye Res, 2002, 74, 553-9)により報告されたように、オクトレオチドに反応性でもあった。
【0022】
黄斑変性もまた、成長ホルモンおよび/またはIGF-Iレベルの上昇に関連している。年齢に関連する黄斑変性(AMD)は、網膜の中心部分の変性、黄斑により生じ、結果として詳細な視覚が失われる。湿性AMDは、あまり一般的な型ではないが、網膜の裏側で成長しつつある新しい血管からの漏出により引き起こされる。成長ホルモン/IGF-I軸は、この状態および糖尿病性網膜症に関連する新しい血管の形成に関与する。
【0023】
様々な癌もまた、異常な成長ホルモンおよび/またはIGF-Iレベルに関連している。Trovertを用いて血清IGF-Iを20〜50%低下させることにより、動物モデルにおける乳癌においては腫瘍体積が減少し、そして結腸癌、肝臓転移、および髄膜腫においては治癒した(Friend et al,, Proceedings 11th NCIEORTC. AACR Symposium and Friend, Growth Horm. IGF Res., 2001, Jun: 11 Suppl A: S121-3)。乳癌、結腸癌、前立腺癌、および肺癌の事例は、血清IGF-Iの正常範囲の高い方における個体で、増大する。癌においてTrovertを使用した臨床研究は存在しなかった。しかしながら、オクトレオチドは、胃-膵臓癌について適応がある。
【0024】
成長ホルモンおよび/またはIGF-Iレベルの上昇と関連している可能性があるその他の症状には、リウマチ性関節炎が含まれる。先導的臨床研究は、オクトレオチドが、患者の一部における進行性難治性リウマチ性関節炎の治療に有用であることを示した(Paran et al., Ann. Rheum. Dis., 2001, 60, 888-91 コメント付き、およびAnn. Rheum. Dis., 2002, 61, 1117における著者の回答)。
【0025】
寿命は、成長ホルモン受容体のモジュレーションにより向上する可能性もある(Coschigano et al., Endocrinology, 2000, 141, 2608-2613)。低レベルのIGF-Iおよび高レベルの成長ホルモンを有するダブルノックアウト動物において、寿命がほぼ1年、有意に増加した。
【0026】
成長ホルモン受容体を介した成長ホルモンおよび/またはIGF-Iのレベルの修飾についてのその他の用途は、成長ホルモンが神経前駆細胞のニューロン分化を阻害するため、神経細胞生成への幹細胞分化を可能にするかもしれない(Turnley et al., Nature Neuroscience, 7 October 2002、オンラインで発行)。その他の用途は、当業者に既知であるだろう。
【0027】
様々な疾患または症状における潜在的な役割は異なっていると思われるが、上述の症状は、局所性および/または全身性の成長因子である成長ホルモンおよびIGF-Iおよび/またはそれらの受容体である成長ホルモン受容体およびIGF-IRの発現レベルが不適当であることに、少なくとも部分的には起因している。これらの状況において、ドーパミンアゴニスト、ソマトスタチンアンタゴニスト、および成長ホルモン受容体アンタゴニストを標的とするタンパク質が使用されおよび/または潜在能力があるものとして示された。
【0028】
成長ホルモン-インスリン様成長因子軸を修飾する物質、および成長ホルモン受容体とIGF-IRを修飾する物質に関して、幅広い治療が開発されてきたが、完全に効果的なものおよび/または悪い副作用がないものは、存在しない。さらに、適応性(compliance)に影響を与える可能性がある、投与経路および/または投与頻度における潜在的な不利益が存在する。
【0029】
したがって、1またはそれ以上の上記問題および限定を改良する新規生成物および組成物を提供することが、本発明の目的である。
この10年において、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して遺伝子機能を調べることの報告や、核酸ベースの薬物の開発についてのいくつかの報告が存在している。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、RNase H導入を介して標的mRNAを破壊すること、またはRNAプロセッシング、核外輸送、折り畳み、またはリボゾームスキャニングを妨害することを含む、多数の選択的方法を介して、mRNA翻訳を阻害する。
【0030】
Pellegriniらは、脳室内にラット成長ホルモン受容体mRNAの翻訳開始コドンと重複するコード配列の部分に相補的なアンチセンス18-merオリゴヌクレオチドを注入することにより、中枢神経系における成長ホルモン受容体合成を妨害しようと試みた(J. Neurosci. 1996, 16, 8140-8148)。
【0031】
本明細書中に示される本発明は、成長ホルモン受容体を特異的に標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドが、成長ホルモン活性の臨床的パラメータ、すなわち血清インスリン様成長因子-Iを低下させることを、初めて示す。重要なことに、我々のアンチセンス研究は、成長ホルモン受容体に対するアンチセンスを使用して、巨人症または先端肥大症の臨床的治療のために必要とされる程度と同様の程度まで血清インスリン様成長因子-Iを低下させることができることを教示する。血清インスリン様成長因子-Iレベルは、先端肥大症患者において上昇しており、そして12週間の研究において(1.3〜2分の1低下することが示される)(Trainer et al, The New England J of Med., April 20, 2000)および1年以上の長期間の研究において(van der Lely et al., Lancet 2001, Nov 24: 358 (9295) 1754-1759)、両方とも、ヒト治療薬Trovert投与により、50%低下した。
【0032】
オクトレオチドによる血清インスリン様成長因子-Iの同様なレベルの低下もまた、糖尿病性網膜症の15箇月の臨床試験において(Grant et al、上述)そして糖尿病性腎症の臨床試験において(Serri et al、上述)報告されている。20-50%の同様なレベルの低下もまた、動物モデルにおける特定の癌の成長を阻害するためには充分である(Friend、上述)。
【0033】
本発明は、成長ホルモン受容体アンチセンスにより、ヒトおよび動物の同等の治療結果を得ることができることを初めて教示する。成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸の一成分、すなわち成長ホルモン受容体、のmRNAに対するアンチセンスが、軸における別のパラメータ、例えばIGF-I、に影響を与えることができることを教示する。重要なことは、it teaches that アンチセンスtargeting any other target in. 成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸中の何か別の標的を標的とするアンチセンスは、過剰な成長ホルモンまたはインスリン様成長因子-Iレベルに依存する症状における治療レベルを達成する能力を潜在的に有している。
【0034】
発明の概要
本発明は、成長ホルモン受容体をコードする核酸を標的とし、成長ホルモンシグナル伝達または成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸、特に成長ホルモン受容体の発現および/またはインスリン様成長因子-Iの発現を修飾する、化合物、特に核酸および核酸-様オリゴマーに関する。成長ホルモン受容体および/またはインスリン様成長因子-Iのモジュレータをスクリーニングする方法、および細胞、組織または動物中の成長ホルモン受容体の発現および/またはインスリン様成長因子-Iの発現をモジュレートする方法であって前記細胞、組織、または動物を1またはそれ以上のの本発明の化合物または組成物と接触させることを含む方法を、さらに提供する。診断方法およびキットもまた、提供される。成長ホルモンシグナル伝達または成長ホルモン/インスリン様成長因子-1軸、特に成長ホルモン受容体の発現および/またはインスリン様成長因子-Iの発現に関連する疾患または症状を有していることが疑われるか、またはそのような疾患または症状にかかりやすいことが疑われる動物、特にヒトを治療する方法もまた、本明細書中に記載する。
【0035】
発明の詳細な説明
A. 本発明のあらまし
本発明は、成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の機能および作用をモジュレートする際に使用するための化合物、好ましくはオリゴヌクレオチドおよび同様のものを利用する。このことは、成長ホルモン受容体をコードする1またはそれ以上の核酸分子と特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを提供することにより達成される。本明細書中で使用する場合、用語“標的核酸”および“成長ホルモン受容体をコードする核酸分子”は、成長ホルモン受容体をコードするDNA、このようなDNAから転写されるRNA(プレ-mRNAおよびmRNAまたはその部分を含む(コード領域および非コード領域の両方を含む))、およびこのようなRNAに由来するcDNAも含む。本発明の化合物のその標的核酸とのハイブリダイゼーションは、一般的には“アンチセンス”と呼ばれる。結果として、本発明のいくつかの好ましい態様の実施に含まれると考えられている好ましいメカニズムは、本明細書中で“アンチセンス阻害”と呼ばれている。そのようなアンチセンス阻害は、典型的には、オリゴヌクレオチド鎖または部分の水素結合-ベースのハイブリダイゼーションに基づいており、それにより少なくとも1つの鎖または部分が、切断され、分解され、またはそうでなければ機能不能にさせられる。この観点において、特異的核酸分子およびそのようなアンチセンス阻害のためのそれらの機能を標的とすることが現在のところ好ましい。
【0036】
妨害すべきDNAの機能には、複製および転写が含まれうる。例えば、複製および転写は、内在性細胞性鋳型、ベクター、プラスミド構築物、またはそれ以外のものに由来していてもよい。妨害されるべきRNAの機能には、たとえばRNAのタンパク質翻訳部位への転移(translocation)、RNA合成部位から遠い細胞内部位へのRNAの転移、RNAからタンパク質への翻訳、1またはそれ以上のmRNA種を得るためのRNAのスプライシング、およびRNAに含まれるかまたはRNAにより促進されるRNAが関与する触媒活性、および複合体形成、が含まれうる。標的核酸機能のこのような妨害の一つの好ましい結果は、成長ホルモン受容体の発現のモジュレーションである。本発明の文脈において、“モジュレーション”および“発現のモジュレーション”とは、遺伝子をコードする核酸分子、例えばDNAまたはRNA、の量またはレベルにおける増加(刺激)または減少(阻害)のいずれかを意味する。阻害はしばしば、発現のモジュレーションの好ましい形態であり、そしてmRNAはしばしば、好ましい標的核酸である。
【0037】
本発明の文脈において、“ハイブリダイゼーション”とは、オリゴマー化合物の相補鎖の対合を意味する。本発明において、対合の好ましいメカニズムは、オリゴマー化合物の鎖の相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(核酸塩基)間の、ワトソン-クリック水素結合、フーグスティーン水素結合または逆フーグスティーン水素結合でありうる、水素結合に関する。たとえば、アデニンおよびチミンは相補的な核酸塩基であり、水素結合を形成することを通じて対合する。ハイブリダイゼーションは、種々変化する条件下において生じうる。
【0038】
アンチセンス化合物は、標的核酸に対する化合物の結合が標的核酸の正常な機能を妨害して活性の低下を引き起こす場合、そして十分な程度の相補性が存在して、特異的結合が望まれる条件下、すなわちin vivoアッセイまたは治療処置の場合には生理学的条件下、およびin vitroアッセイの場合にはアッセイが行われる条件下においてアンチセンス化合物の非標的核酸配列に対する非特異的結合を回避する場合、特異的にハイブリダイズ可能である。
【0039】
本発明において、“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”または“ストリンジェントな条件”という言い回しは、本発明の化合物が、その標的配列にはハイブリダイズするが、しかしその他の配列には最低限しかハイブリダイズしない条件のことをいう。ストリンジェントな条件は、配列-依存的であり、異なる環境下においては異なるものであり、そして本発明の文脈において、オリゴマー化合物が標的配列に対してハイブリダイズする“ストリンジェントな条件”は、オリゴマー化合物の性質および組成により、そしてそれらが調べられるアッセイにより、決定される。
【0040】
本明細書中で使用する場合、“相補的”とは、オリゴマー化合物の2つの核酸塩基間で正確に対合するための能力のことをいう。例えば、オリゴヌクレオチド(オリゴマー化合物)の特定の位置の核酸塩基が、DNA、RNA、またはオリゴヌクレオチド分子である標的核酸の特定の位置で核酸塩基と水素結合を形成することができる場合、オリゴヌクレオチドおよび標的核酸間の水素結合の位置が、相補的な位置であると考えられる。オリゴヌクレオチド、およびさらなるDNA、RNA、またはオリゴヌクレオチド分子は、それぞれの分子中での十分な数の相補的な位置が、互いに水素結合することができる核酸塩基により占められている場合、互いに相補的である。したがって、“特異的にハイブリダイズ可能”および“相補的”は、安定でそして特異的な結合がオリゴヌクレオチドと標的核酸とのあいだで生じるような、十分な程度の正確な対合または十分な数の核酸塩基にわたる相補性を示すために使用される用語である。
【0041】
アンチセンス化合物の配列は、特異的にハイブリダイズ可能であるために、その標的核酸の配列と100%の相同性がある必要はないことは、当該技術分野において理解されている。さらに、オリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の部分にわたりハイブリダイズし、そのため、介在性部分または隣接部分がハイブリダイゼーション現象には関与しない可能性がある(例えば、ループ構造またはヘアピン構造)。本発明のアンチセンス化合物は、標的核酸中の標的領域に対して少なくとも70%の配列相補性を含むことが好ましく、それらが標的化される標的核酸配列中の標的領域に対して90%の配列相補性を含むことがより好ましく、そして標的化される標的核酸配列中の標的領域に対して95%の配列相補性を含むことがさらに好ましい。例えば、20核酸塩基のアンチセンス化合物の18核酸塩基が標的領域に対して相補性であり、そして従って特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物は、90%の相補性を示す。この例においては、残りの非相補的核酸塩基が、相補的核酸塩基とクラスターを形成しているかまたは点在している可能性があり、そして互いに近接している必要はなく、または相補的核酸塩基と近接している必要はない。このように、標的核酸と完全に相補的である2つの領域が隣接する4つの非相補的核酸塩基を有する長さ18核酸塩基であるアンチセンス化合物は、77.8%の標的核酸との全体的相補性を有し、そして従って本発明の範囲に含まれる。アンチセンス化合物の標的核酸の領域との%相補性は、当該技術分野において既知のBLASTプログラム(基本的な局所アラインメント研究ツール)およびPowerBLASTプログラムを使用して、日常的に決定することができる(Altschul et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410;Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649-656)。
【0042】
B. 本発明の化合物
本発明によれば、化合物には、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー(alternate splicers)、プライマー、プローブ、および標的核酸の少なくとも部分にハイブリダイズするその他のオリゴマー化合物が含まれる。このように、これらの化合物は、一本鎖オリゴマー化合物、二本鎖オリゴマー化合物、環状オリゴマー化合物、またはヘアピンオリゴマー化合物の形態中に導入されてもよく、そして内部または末端のバルジまたはループなどの構造要素を含有してもよい。一旦システム中に導入されると、本発明の化合物は、1またはそれ以上の酵素または構造タンパク質の作用を引き出し、標的核酸の修飾を生み出す可能性がある。このような酵素の1つの限定的ではない例は、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼのRNAse Hである。“DNA-様”である一本鎖アンチセンス化合物は、RNAse Hを引き起こすことが、当該技術分野において知られている。従って、RNase Hの活性化の結果、RNA標的の切断が引き起こされ、それにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド-媒介性阻害の効率が非常に亢進される。同様の役割は、RNase IIIおよびリボヌクレアーゼLファミリーの酵素におけるものなどのその他のリボヌクレアーゼについても、自明なものとされた。
【0043】
アンチセンス化合物の好ましい形状は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドであるが、多数の種において、二本鎖RNA(dsRNA)分子などの二本鎖構造の導入により、遺伝子またはその関連遺伝子産物の機能の強力でそして特異的なアンチセンス-媒介性低下が引き起こされることが示された。この現象は、植物および動物の両方ともで生じ、そしてウィルス防御およびトランスポゾンサイレンシングと進化的な関連を有していると考えられている。
【0044】
動物においてdsRNAの遺伝子サイレンシングが引き起こされる可能性があることの最初の証拠は、線虫、Caenorhabditis elegansの研究から、1995年に生じた(Guo and Kempheus, Cell, 1995, 81, 611-620)。Montgomeryらは、dsRNAの主要な干渉作用が、転写後のものであることを示した(Montgomery et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1998, 95,15502-15507)。二本鎖RNA(dsRNA)に曝露したことに由来するCaenorhabditiselegansにおいて定義された転写後アンチセンス機構は、それ以来、RNA干渉(RNAi)と示された。この用語は、内在性標的化mRNAレベルの配列特異的な低下を引き起こすdsRNAの導入に関連するアンチセンス-媒介性遺伝子サイレンシングを意味すると一般化される(Fire et al., Nature, 1998, 391, 806-811)。最近、実際、dsRNAのアンチセンス極性を有する一本鎖RNAオリゴマーこそが、RNAiの強力な誘導物質であることが示された(Tijsterman et al., Science, 2002, 295, 694-697)。
【0045】
本発明の文脈において、用語“オリゴマー化合物”は、複数のモノマー単位を含むポリマーまたはオリゴマーのことをいう。本発明の文脈において、用語“オリゴヌクレオチド”は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマーまたはポリマー、またはそれらの模倣体、キメラ、類似体およびホモログのことをいう。この用語には、天然に存在する核酸塩基、糖および共有ヌクレオシド間(バックボーン)結合からなるオリゴヌクレオチド、および同様に機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。そのような修飾オリゴヌクレオチドまたは置換オリゴヌクレオチドは、たとえば、細胞取り込みの亢進、核酸標的に対する親和性の亢進、そしてヌクレアーゼの存在下における安定性の増加などの望ましい特性のため、しばしば天然の型より好ましい。
【0046】
オリゴヌクレオチドは、本発明の化合物の好ましい形態である一方、本発明は、本明細書中に記載されるオリゴヌクレオチド類似体および模倣体を含む(しかしこれらには限定されない)化合物のその他のファミリーも包含する。
【0047】
本発明の化合物は、好ましくは、約8〜約80核酸塩基(すなわち、約8〜約80の連結したヌクレオシド)を含む。当業者は、本発明が、長さ8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、または80の核酸塩基の化合物を包含することを認識するだろう。
【0048】
好ましい一態様において、本発明の化合物は、長さ12〜50核酸塩基である。当業者は、これが、長さ12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50核酸塩基の化合物を包含することを認識するだろう。
【0049】
別の好ましい態様において、本発明の化合物は、長さ15〜30核酸塩基である。当業者は、これが、長さ15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30核酸塩基の化合物を包含することを認識するだろう。
【0050】
特に好ましい化合物は、約12〜約50核酸塩基のオリゴヌクレオチドであり、さらにより好ましいものは、約15〜約30核酸塩基を含むものである。
例示されたアンチセンス化合物中から選択された少なくとも8個の連続した核酸塩基の範囲を含む長さ8〜80の核酸塩基のアンチセンス化合物もまた、適したアンチセンス化合物であると考えられる。
【0051】
典型的な好ましいアンチセンス化合物には、例示した好ましいアンチセンス化合物の一つの5'-末端から少なくとも8個の連続した核酸塩基を含むオリゴヌクレオチド配列が含まれる(残りの核酸塩基は標的核酸に対して特異的にハイブリダイズ可能なアンチセンス化合物の5'-末端のすぐ上流から始まる同一のオリゴヌクレオチドの連続した範囲であり、そしてオリゴヌクレオチドが約8個〜約80個の核酸塩基を含有するまで継続する)。同様に好ましいアンチセンス化合物は、例示した好ましいアンチセンス化合物の一つの3'-末端から少なくとも8個の連続した核酸塩基を含むオリゴヌクレオチド配列により示される(残りの核酸塩基は、標的核酸に対して特異的にハイブリダイズ可能なアンチセンス化合物の3'-末端のすぐ下流から始まる同一のオリゴヌクレオチドの連続した範囲であり、そしてオリゴヌクレオチドが約8個〜約80個の核酸塩基を含有するまで継続する)。本明細書中で説明した好ましいアンチセンス化合物を備えた当業者は、過度な実験を行うことなく、さらに好ましいアンチセンス化合物を同定することができるだろう。
【0052】
C. 本発明の標的
アンチセンス化合物を特定の核酸分子に対して“標的化すること”は、本発明の文脈において、複数工程のプロセスである可能性がある。このプロセスは通常、機能をモジュレートすべき標的核酸の同定から始める。この標的核酸は、例えば、発現が特定の症状または疾患状態と関連している細胞性遺伝子(またはその遺伝子から転写されたmRNA)、または病原体由来の核酸分子であってもよい。本発明においては、標的核酸は成長ホルモン受容体をコードする。
【0053】
標的化プロセスには通常、アンチセンス相互作用が生じるために標的核酸中の少なくとも1つの標的領域、標的部分または標的部位を決定し、その結果、所望の作用、例えば、発現のモジュレーションが生じるようにすることも含まれる。本発明の文脈において、用語“領域”は、少なくとも1つの同定可能な構造、機能、または特性を有する標的核酸の部分として定義される。標的核酸の領域の中に、部分がある。“部分”は、標的核酸中の領域のより小さな一部または従属部分(sub-portion)として定義される。本発明において使用される場合“部位”は、標的核酸中の位置として定義される。
【0054】
当該技術分野において既知であるように、翻訳開始コドンは、典型的には5'-AUG(転写されたmRNA分子において;対応するDNA分子においては5'-ATG)であるので、翻訳開始コドンはまた、“AUGコドン”、“スタートコドン”または“AUGスタートコドン”とも呼ばれる。少数の遺伝子は、RNA配列5'-GUG、5'-UUGまたは5'-CUGを有する翻訳開始コドンを有し、そして5'-AUA、5'-ACGおよび5'-CUGが、in vivoで機能することが示された。このように、それぞれの事例における開始アミノ酸は典型的にはメチオニン(真核細胞において)またはホルミルメチオニン(原核細胞において)であるにもかかわらず、用語“翻訳開始コドン”および“スタートコドン”は、多くのコドン配列を含むことができる。真核細胞の遺伝子および原核細胞の遺伝子は、2またはそれ以上の代わりのスタートコドンを有する場合があり、そのいずれもが好ましくは特定の細胞型または組織において、または条件の特定のセットのもとにおいて、翻訳開始のため選択的に利用することができる、ということも、当該技術分野において既知である。本発明の文脈において、“スタートコドン”および“翻訳開始コドン”は、そのようなコドンの(1またはそれ以上の)配列にかかわらず、in vivoで使用して、成長ホルモン受容体をコードする遺伝子から転写されるmRNA分子の翻訳を開始する、1または複数のコドンのことをいう。遺伝子の翻訳終止コドン(または“停止コドン”)は、3つの配列、すなわち、5'-UAA、5'-UAGおよび5'-UGA(対応するDNA配列は、それぞれ、5'-TAA、5'-TAGおよび5'-TGA)のうちの一つを有しうることも、当該技術分野において既知である。
【0055】
用語“スタートコドン領域”および“翻訳開始コドン領域”は、翻訳開始コドンからいずれかの方向(すなわち、5'または3')に約25から約50の連続するヌクレオチドを含む、mRNAあるいは遺伝子の部分のことを言う。同様に、用語“停止コドン領域”および“翻訳終止コドン領域”は、翻訳終止コドンからいずれかの方向(すなわち、5'または3')に約25から約50の連続するヌクレオチドを含む、mRNAまたは遺伝子の部分のことを言う。結果として、“スタートコドン領域”(または“翻訳開始コドン領域”)および“停止コドン領域”(または“翻訳終止コドン領域”)はすべて、本発明のアンチセンス化合物を用いて、効果的に標的化することができる領域である。
【0056】
翻訳開始コドンと翻訳終止コドンとのあいだの領域のことを言うと当該技術分野において知られているオープンリーディングフレーム(ORF)または“コード領域”もまた、効果的に標的化されうる領域でもある。本発明の文脈において、好ましい領域は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始コドンまたは停止コドンを含む遺伝子内領域である。
【0057】
その他の標的領域には、翻訳開始コドンから5'方向におけるmRNAの部分、そしてしたがってmRNAの5'キャップ部位と翻訳開始コドンとのあいだのヌクレオチド(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)のことをいうと当該技術分野において知られている5'非翻訳領域(5'UTR)、そして翻訳終止コドンから3'方向におけるmRNAの部分、そしてしたがってmRNAの翻訳終止コドンと3'末端とのあいだのヌクレオチド(または遺伝子上の対応するヌクレオチド)のことをいうと当該技術分野において知られている3'非翻訳領域(3'UTR)、が含まれる。mRNAの5'キャップには5'-5'三リン酸結合を介して、mRNAの最も5'側の残基と結合するN7-メチル化グアノシン残基を含む。mRNAの5'キャップ領域は、5'キャップ構造それ自体だけでなく、キャップ部位に隣接する最初の50ヌクレオチドも含むと考えられている。5'キャップ領域もまた、好ましい標的領域でありうる。
【0058】
いくつかの真核細胞mRNA転写物は直接的に翻訳されるが、多くは1またはそれ以上の“イントロン”として知られる領域を含有し、それらは翻訳される前に転写物から切り出される。残りの(そしてしたがって翻訳される)領域は、“エクソン”として知られ、そして一緒にスプライシングされて連続的なmRNA配列を形成する。スプライス部位、すなわち、イントロン-エクソン結合またはエクソン-イントロン結合を標的化することもまた、異常なスプライシングが疾患と関与している状況、または特定のmRNAスプライス産物の過剰産生が疾患と関与している状況において、有用である可能性がある。再構成または欠損による異常な融合結合もまた、好ましい標的部位である。異なる遺伝子供給源由来の2種(またはそれ以上)のmRNAのスプライシングのプロセスから生成されるmRNA転写物は、“融合転写物”として知られる。イントロンを、たとえばDNAまたはプレ-mRNAを標的とするアンチセンス化合物を使用して効果的に標的化することができることも、既知である。
【0059】
選択的RNA転写物がDNAの同一のゲノム領域から生成することができることもまた、当該技術分野において既知である。これらの選択的転写物は、“変異体”として一般的に知られている。より具体的には、“プレ-mRNA変異体”は、開始位置または停止位置のいずれかにおいて同一のゲノムDNAから生成されたその他の転写物とは異なる、同一のゲノムDNAから生成された転写物であり、そして、イントロン配列およびエクソン配列の両方を含有する。
【0060】
1またはそれ以上のエクソン領域またはイントロン領域、またはそれらの部分をスプライシングの際に切除する時、プレ-mRNA変異体は、より小さな“mRNA変異体”を生成する。結果として、mRNA変異体は処理されたプレ-mRNA変異体であり、それぞれの独自のプレ-mRNA変異体は常に、スプライシングの結果として、独自のmRNA変異体を生成しなければならない。これらのmRNA変異体はまた、“選択的スプライシング変異体”としても知られている。プレ-mRNA変異体のスプライシングが何も生じない場合、プレ-mRNA変異体はmRNA変異体と同一である。
【0061】
マウス、ラットおよびサルにおいて、可溶性短縮型の成長ホルモン受容体である成長ホルモン結合タンパク質は、成長ホルモン受容体一次転写物の選択的スプライシングにより生成される。いくつかの態様において、成長ホルモン受容体転写物および短縮型の成長ホルモン結合タンパク質転写物の両方に存在する転写物の領域を標的化することが好ましい可能性がある。その他の態様において、より長い成長ホルモン受容体転写物中にのみ存在するmRNAの領域を標的化することが好ましい可能性がある。ヒト、ウシ、およびブタにおいて(特に)、選択的RNAスプライシングは一見して起こっていないようであるが、しかし短縮型成長ホルモン結合タンパク質は、成長ホルモン受容体のタンパク質分解により生成される。本発明の文脈において、したがって、“成長ホルモン受容体をコードする核酸”には、成長ホルモン結合タンパク質をコードする核酸も含まれることが理解されるであろう。
【0062】
変異体を、転写を開始させるかまたは停止させる選択的シグナルを使用することを通じて生成することができること、そしてプレ-mRNAおよびmRNAは、1つより多い開始コドンまたは停止コドンを有することができることもまた、当該技術分野において知られている。選択的開始コドンを使用するプレ-mRNAまたはmRNA由来の変異体は、そのプレ-mRNAまたはmRNAの“選択的開始変異体”として知られる。選択的停止コドンを使用する転写物は、そのプレ-mRNAまたはmRNAの“選択的停止変異体”として知られる。選択的停止変異体の一つの具体的な型は、“ポリA変異体”であり、ここで生成される複数の転写物が、転写装置による“ポリA停止シグナル”の一つを選択的選別し、それにより独自のポリA部位で停止する転写物を生成する結果を生じる。本発明の文脈において、本明細書中で記載される変異体の型もまた、好ましい標的核酸である。
【0063】
成長ホルモン受容体mRNAは、選択的5'非翻訳領域を有し、そして1またはそれ以上のこれらは、標的化のために好ましい可能性がある。
好ましいアンチセンス化合物がハイブリダイズする標的核酸上の位置は、本明細書中の以下において、“好ましい標的部分”と呼ばれる。本明細書中で使用される場合、用語“好ましい標的部分”は、活性なアンチセンス化合物を標的化する標的領域の少なくとも8-核酸塩基の部分として定義される。理論により縛られることを望むわけではないが、これらの標的部分は、ハイブリダイゼーションのために接近可能な標的核酸の一部分を提示すると、現在のところ考えられている。
【0064】
特定の好ましい標的部分の具体的な配列は本明細書中に記載されるが、当業者は、これらが、本発明の範囲内の特定の態様を説明しそして記載するために機能することを理解するだろう。追加的な好ましい標的部分は、当業者により特定されうる。
【0065】
例示的な好ましい標的部分内部から選択された少なくとも8個の連続した核酸塩基の範囲を含む長さ8〜80核酸塩基の標的部分もまた、標的化のために適した部分と考えられる。
【0066】
標的部分には、例示された好ましい標的部分の一つの5'-末端から少なくとも8個の連続した核酸塩基を含むDNA配列またはRNA配列が含まれる可能性がある(残りの核酸塩基は、標的部分の5'-末端のすぐ上流から始まり、DNAまたはRNAが約8個〜約80個の核酸塩基を含有するまで連続する同一のDNAまたはRNAの連続した範囲である)。同様に、好ましい標的部分は、例示された好ましい標的部分の一つの3'-末端から少なくとも8個の連続した核酸塩基を含むDNA配列またはRNA配列により示される(残りの核酸塩基は、標的部分の3'-末端のすぐ下流から始まり、そしてDNAまたはRNAが約8個〜約80個の核酸塩基を含有するまで連続する同一のDNAまたはRNAの連続した範囲である)。本明細書中に説明された好ましい標的部分を備える当業者は、過度な実験を行うことなく、さらに好ましい標的部分を同定することができるだろう。
【0067】
いったん1またはそれ以上の標的領域、標的部分または標的部位が同定されると、標的に充分に相補的な、すなわち、十分によくそして十分な特異性でハイブリダイズするアンチセンス化合物が選択され、所望の作用を得る。
【0068】
D. スクリーニングおよび標的の検証
さらなる態様において、本明細書中で特定される“好ましい標的部分”は、成長ホルモン受容体の発現をモジュレートする追加の化合物のためのスクリーニングにおいて利用することができる。“モジュレータ”は、成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の発現を減少させるかまたは増加させ、そして好ましい標的部分に相補的な少なくとも8-核酸塩基部分を含む化合物である。スクリーニング方法は、成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の好ましい標的部分を、1またはそれ以上の候補モジュレータと接触させる工程、および成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の発現を減少させるかまたは増加させる1またはそれ以上の候補モジュレータについて選択する工程を含む。いったん1または複数の候補モジュレータが成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の発現をモジュレートすること(例えば、減少させることまたは増加させることのいずれか)ができることが示されると、次いで、モジュレータを、成長ホルモン受容体の機能をさらに調査研究する際に、または本発明による研究用試薬、診断用試薬、治療用薬物として使用するため、使用することができる。
【0069】
本発明の好ましい標的部分はまた、本発明のそれらのそれぞれの相補的アンチセンス化合物と組み合わせて、安定化二本鎖(二重鎖)オリゴヌクレオチドを形成することもできる。
【0070】
そのような二本鎖オリゴヌクレオチド成分により、標的発現をモジュレートし、そして翻訳ならびにRNAプロセッシングをアンチセンス機構を介して制御することが、当該技術分野において示された。さらに、二本鎖成分は、化学的修飾に供されてもよい(Fire et al., Nature, 1998, 391, 806-811;Timmons and Fire, Nature 1998, 395, 854;Timmons et al., Gene, 2001, 263, 103-112;Tabara et al., Science, 1998, 282, 430-431;Montgomery et al., Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 1998, 95, 15502-15507;Tuschl et al., Genes Dev., 1999, 13, 3191-3197;Elbashir et al., Nature, 2001, 411, 494-498;Elbashiret al., Genes Dev. 2001, 15, 188-200)。例えば、そのような二本鎖成分は、二重鎖のアンチセンス鎖の標的に対する古典的なハイブリダイゼーションにより標的を阻害し、それにより標的の酵素的分解を誘導することが示された(Tijsterman et al., Science, 2002, 295, 694-697)。本発明の化合物は、創薬および標的の検証の領域においても応用することができる。
【0071】
本発明は、創薬の取り組みにおいて、本明細書中で同定される化合物および好ましい標的部分を使用して、成長ホルモン受容体と疾患状態、表現型、または症状との間に存在する関係を評価することを包含する。これらの方法には、サンプル、組織、細胞、または生物を本発明の化合物と接触させ、処置の後ある時点において成長ホルモン受容体および/または関連する表現型指標または化学的指標の核酸レベルまたはタンパク質レベルを測定し、そして場合によりこの測定値を、非-処置サンプルまたは本発明のさらなる化合物により処置したサンプルと比較することを含む、成長ホルモン受容体を検出しまたはモジュレートすることが含まれる。標的の検証のプロセスについて未知遺伝子の機能を決定するため、または特定の遺伝子産物の、特定の疾患、症状、または表現型を治療しまたは予防するための標的としての妥当性を決定するため、その他の実験と平行して、またはその他の実験と組み合わせて、これらの方法を行うことができる。
【0072】
E. キット、研究用試薬、診断薬、および治療薬
本発明の化合物を、診断薬、治療薬、予防薬のために、そして研究用試薬およびキットとして、使用することができる。さらに、非常に強い特異性により遺伝子発現を阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、しばしば、特定の遺伝子の機能を評価し、または生物学的経路の様々な構成要素の機能間を識別するために、当業者により使用される。
【0073】
キット、および診断薬において使用する場合、本発明の化合物を、単独で、またはその他の化合物または治療薬と組み合わせるかのいずれかで、差別的解析および/またはコンビナトリアル解析におけるツールとして使用して、細胞内および組織内で発現される遺伝子の部分または完全な相補体の発現パターンを評価することができる。
【0074】
限定的ではない一例として、1またはそれ以上のアンチセンス化合物で処置した細胞または組織内部での発現パターンを、アンチセンス化合物で処置していない対照細胞または対照組織と比較して、そして生成されたパターンが、例えば、調べた遺伝子についての疾患との関連性、シグナル伝達経路、細胞局在、発現レベル、サイズ、構造または機能に関連するので、生成されたパターンを遺伝子発現の差別的なレベルについて解析する。これらの解析を、刺激細胞上でまたは非刺激細胞上で、そして発現パターンに影響を与えるその他の化合物の存在下または非存在下にて、行うことができる。
【0075】
当該技術分野において既知の遺伝子発現方法の例には、DNAアレイまたはマイクロアレイ(Brazma and Vilo, FEBS Lett., 2000, 480, 17-24;Celis, et al.,FEBS Lett., 2000, 480, 2-16)、SAGE(遺伝子発現の連続的解析)(Madden, et al.,Drug Discov. Today, 2000, 5, 415-425)、READS(消化cDNAの制限酵素増幅)(Prashar and Weissman, Methods Enzymol., 1999, 303, 258-72)、TOGA(全遺伝子発現解析)(Sutcliffe, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2000, 97, 1976-81)、タンパク質アレイおよびプロテオミクス(Celis,et al., FEBS Lett., 2000, 480, 2-16;Jungblut, et al., Electrophoresis, 1999, 20, 2100-10)、発現配列タグ(EST)配列決定法(Celis, et al., FEBS Lett., 2000, 480, 2-16;Larsson, et al., J. Biotechnol., 2000, 80, 143-57)、サブトラクティブRNAフィンガープリンティング(SuRF)(Fuchs, et al., Anal. Biochem., 2000, 286, 91-98;Larson, et al., Cytometry,2000, 41, 203-208)、サブトラクティブクローニング、ディファレンシャルディスプレイ法(DD)(Jurecicand Belmont, Curr. Opin. Microbiol., 2000, 3, 316-21)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(Carulli, et al., J. Cell Biochem. Suppl., 1998, 31, 286-96)、FISH(蛍光in situハイブリダイゼーション)技術(Going and Gusterson, Eur. J. Cancer, 1999, 35, 1895-904)およびマススペクトロメトリー法(To, Comb. Chem. High Throughput Screen, 2000, 3, 235-41)が含まれる。
【0076】
本発明の化合物は、これらの化合物が成長ホルモン受容体をコードする核酸にハイブリダイズするため、研究用および診断用として有用である。例えば、そのような効率でそして効果的な成長ホルモン受容体阻害剤となるように本明細書中で開示された条件下でハイブリダイズすることが示されるオリゴヌクレオチドはまた、それぞれ遺伝子増幅または検出のために好ましい条件下にて、効果的なプライマーまたはプローブとなりうる。これらのプライマーおよびプローブは、成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の特異的検出を必要とする方法において有用であり、そして成長ホルモン受容体を検出するためまたは成長ホルモン受容体をさらなる研究において使用するための前記核酸分子の増幅において有用である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、特にプライマーおよびプローブ、の、成長ホルモン受容体をコードする核酸とのハイブリダイゼーションを、当該技術分野において既知の手段により検出することができる。そのような手段には、オリゴヌクレオチドに対する酵素の抱合、オリゴヌクレオチドの放射性標識、またはその他いずれかの適した検出手段が含まれうる。そのような検出手段を使用してサンプル中の成長ホルモン受容体のレベルを検出するためのキットもまた、調製することができる。
【0077】
アンチセンスの特異性および感受性もまた、治療的用途のために当業者により利用される。アンチセンス化合物は、ヒトを含む動物における疾患状態の治療において、治療的成分として利用された。リボザイムを含むアンチセンスオリゴヌクレオチド薬は、安全にそして効果的にヒトに対して投与され、そして多数の臨床試験が現在行われている。このように、アンチセンス化合物が、細胞、組織、および動物の治療のための治療計画において有用であるように設計することができる、有用な治療用モダリティーでありうることが、証明される。
【0078】
本発明の化合物は、成長ホルモン受容体の発現を低下させ、そしてIGF-Iのレベルを低下させることが示された。従って、これらの化合物は、成長ホルモン受容体または成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸に関連する症状(先端肥大症、巨人症、年齢に関連する黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病、関節炎、および成長ホルモン依存性腫瘍およびIGF-I依存性腫瘍を含む)を予防するため、遅らせるため、または治療するために有用であると考えられている。
【0079】
治療薬のため、成長ホルモン受容体の発現をモジュレートすることにより治療することができる疾患または症状を有することが疑われる動物、好ましくはヒト、を、本発明によるアンチセンス化合物を投与することにより、治療する。例えば、限定的ではない一態様において、この方法は、治療を必要としている動物に対して、治療的有効量の成長ホルモン受容体阻害剤を投与する工程を含む。本発明の成長ホルモン受容体阻害剤は、成長ホルモン受容体タンパク質の活性を効果的に阻害し、または成長ホルモン受容体タンパク質の発現を効果的に阻害する。一態様において、動物における成長ホルモン受容体の活性または発現は、約10%阻害される。好ましくは、動物における成長ホルモン受容体の活性または発現は、約30%阻害される。より好ましくは、動物における成長ホルモン受容体の活性または発現は、45%またはそれ以上阻害される。
【0080】
例えば、成長ホルモン受容体の発現の低下を、血清、脂肪組織、肝臓、または動物のその他の体液、組織または器官のいずれか、において測定することができる。好ましくは、解析すべき前記液体、組織、または器官中に含有される細胞が、成長ホルモン受容体タンパク質をコードする核酸分子および/または成長ホルモン受容体タンパク質自体を含有する。
【0081】
本発明の化合物を、有効量の化合物を適切な薬剤的に許容可能な希釈剤または担体に対して添加することにより、医薬組成物において使用することができる。本発明の化合物および方法を使用することは、予防的にも有用でありうる。
【0082】
F. 修飾
当該技術分野において知られているように、ヌクレオシドは、塩基-糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、ヘテロ環式塩基である。このようなヘテロ環式塩基の2つの最も一般的なクラスは、プリンとピリミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに含む、ヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むそれらのヌクレオシドに対して、リン酸基は、糖の2'、3'または5'ヒドロキシル部分のいずれかに結合することができる。オリゴヌクレオチドを形成する際に、リン酸基が隣接するヌクレオシドと互いに共有結合し、直鎖ポリマー化合物を形成する。引き続いて、この直鎖ポリマー化合物のそれぞれの末端がさらに一緒になって、環状化合物を形成することができるが、しかしながら、直鎖化合物が一般的には好ましい。さらに、直鎖化合物は、内部核酸塩基相補性を有していてもよく、そして従って、完全な二本鎖化合物または部分的二本鎖化合物を生成する様に折り畳まれる可能性がある。オリゴヌクレオチド中において、リン酸基とは、一般的には、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間バックボーンを形成するものと言われる。RNAおよびDNAの正常な結合またはバックボーンは、3'から5'のホスホジエステル結合である。
【0083】
修飾ヌクレオシド間結合(バックボーン)
本発明において有用な好ましいアンチセンス化合物の具体的な例には、修飾バックボーンまたは非-天然ヌクレオシド間結合を含有するオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書中で定義する場合、修飾バックボーンを有するオリゴヌクレオチドには、バックボーン中にリン原子を保持するものや、バックボーン中にリン原子を有さないものが含まれる。本明細書の目的のため、そして当該技術分野において時々参照される場合、そのヌクレオシド間バックボーン中にリン原子を有さない修飾オリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオシドであると考えることができる。
【0084】
内部にリン原子を含有する好ましい修飾オリゴヌクレオチドバックボーンには、たとえば、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'-アルキレンホスホネート、5'-アルキレンホスホネート、およびキラルホスホネートを含むメチルおよびその他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3'-アミノホスホールアミデートおよびアミノアルキルホスホールアミデートを含むホスホールアミデート、チオノホスホールアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、および正常な3'-5'結合を有するセレノホスホネートおよびボラノホスホネート、2'-5'結合したこれらの類似体、および1またはそれ以上のヌクレオチド間結合が3'-3'結合、5'-5'結合または2'-2'結合である、逆向きの極性を有するもの、が含まれる。逆向きの極性を有する好ましいオリゴヌクレオチドは、最も3'側のヌクレオチド間結合において一つの3'-3'結合を含む、すなわち、脱塩基であってもよい一つの逆向きヌクレオシド残基を含む(核酸塩基が失われているか、またはその代わりにヒドロキシル基を有する)。様々な塩、混合塩、そして遊離酸型も含まれる。
【0085】
上述したリン-含有結合の調製を教示する代表的な米国特許には、U.S.: 3,687,808;4,469,863;4,476,301;5,023,243;5,177,196;5,188,897;5,264,423;5,276,019;5,278,302;5,286,717;5,321,131;5,399,676;5,405,939;5,453,496;5,455,233;5,466,677;5,476,925;5,519,126;5,536,821;5,541,306;5,550,111;5,563,253;5,571,799;5,587,361;5,194,599;5,565,555;5,527,899;5,721,218;5,672,697;および5,625,050が含まれるが、これらには限定されず、それらの特定のものは、本出願により一般に所有されるものであり、そして参考文献としてそのそれぞれを本明細書中に援用する。
【0086】
内部にリン原子を含まない好ましい修飾オリゴヌクレオチドバックボーンは、短鎖アルキルあるいはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合へテロ原子そしてアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、または1またはそれ以上の短鎖へテロ原子またはヘテロ環式ヌクレオシド間結合により形成される、バックボーンを有する。これらには、モルホリノ結合(部分的にヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサンバックボーン;スルフィド、スルホキシドおよびスルホンバックボーン;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチルバックボーン;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチルバックボーン;リボアセチルバックボーン;アルケン含有バックボーン;スルファメートバックボーン;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノバックボーン;スルホネートおよびスルホンアミドバックボーン;アミドバックボーン;および混合N、O、SおよびCH2構成要素部分を有するその他のもの、を有するものが含まれる。
【0087】
上記のオリゴヌクレオシドの調製を教示する代表的な米国特許には、U. S.: 5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,264,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,610,289;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;5,792,608;5,646,269;および5,677,439が含まれるが、これらには限定されず、それらの特定のものは、本出願により一般に所有されるものであり、そして参考文献としてそのそれぞれを本明細書中に援用する。
【0088】
修飾糖およびヌクレオシド間結合-模倣体
その他の好ましいオリゴヌクレオチド模倣体において、ヌクレオチドユニットの糖およびヌクレオシド間結合の両方(すなわち、バックボーン)を、新規の基により置換する。核酸塩基ユニットは、適した標的核酸とのハイブリダイゼーションのために維持される。優れたハイブリダイゼーション特性を有すると示されたそのような化合物の一つであるオリゴヌクレオチド模倣体は、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれている。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖-バックボーンは、アミド含有バックボーン、特にアミノエチルグリシンバックボーンにより置換される。核酸塩基は、保持され、そしてバックボーンのアミド部分のアザ窒素原子に直接的または間接的に結合される。PNA化合物の調製を教示する代表的な米国特許には、U.S.: 5,539,082;5,714,331;および5,719,262が含まれるが、これらだけには限定されず、そのそれぞれを本明細書中に参考文献として援用する。PNA化合物のさらなる教示は、Nielsen et al(Science, 1991, 254, 1497-1500)中に見出すことができる。
【0089】
本発明の好ましい態様は、ホスホロチオエートバックボーンを有するオリゴヌクレオチドおよびヘテロ原子バックボーンを有するオリゴヌクレオシドであり、特に上述のU.S.特許5,489,677の-CH2-NH-O-CH2-、-CH2-N(CH3)-O-CH2-〔メチレン(メチルイミノ)またはMMIバックボーンとして知られる〕、-CH2-O-N(CH3)-CH2-、-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-および-O-N(CH3)-CH2-CH2-〔ここで、天然のホスホジエステルバックボーンは-O-P-O-CH2-として示される〕そして上述の米国特許5,602,240のアミドバックボーンである。上述した米国特許5,034,506のモルホリノバックボーン構造を有するオリゴヌクレオチドもまた好ましい。
【0090】
修飾糖
修飾オリゴヌクレオチドは、1またはそれ以上の置換糖部分も含有する。好ましいオリゴヌクレオチドは、2'位で以下のものの一つを含む:OH;F;O-、S-、またはN-アルキル;O-、S-、またはN-アルケニル;O-、S-またはN-アルキニル;またはO-アルキル-O-アルキル、ここでアルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換のC1〜C10アルキルまたはC2〜C10アルケニルおよびアルキニルでありうる。特に好ましいものは、O[(CH2nO]mCH3、O(CH2nOCH3、O(CH2nNH2、O(CH2nCH3、O(CH2nONH2、およびO(CH2nON[(CH2nCH3)]2であり、ここでnおよびmは1から約10である。その他の好ましいオリゴヌクレオチドは、2'位に以下のものの一つを含む:C1〜C10の低級アルキル、置換低級アルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリール、アラルキル、O-アルカリールまたはO-アラルキル、SH、SCH3、OCN、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、SOCH3、SO2CH3、ONO2、NO2、N3、NH2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、リポーター基、インターカレーター、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を向上するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬理特性を向上するための基、そして同様の特性を有するその他の置換基を含む。好ましい修飾には、2'-メトキシエトキシ(2'-O-CH2CH2OCH3、2'-O-(2-メトキシエチル)または2'-MOEとしても知られる)(Martin et al., Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486-504)、すなわち、アルコキシアルコキシ基が含まれる。さらに好ましい修飾には、2'-ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわち、本明細書の以下の実施例に記載する場合、2'-DMAOEとしても知られるO(CH22ON(CH32基、そして2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において2'-O-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2'-DMAEOEとしても知られる)、すなわち、本明細書中の以下の実施例においても記載される2'-O-CH2-O-CH2-N(CH22と、が含まれる。
【0091】
その他の好ましい修飾には、2'-メトキシ(2'-O-CH3)、2'-アミノプロポキシ(2'-OCH2CH2CH2NH2)、2'-アリル(2'-CH2-CH=CH2)、2'-O-アリル(2'-O-CH2-CH=CH2)、および2'-フルオロ(2'-F)が含まれる。2'-修飾は、アラビノ(上向き)位またはリボ(下向き)位におけるものであってもよい。好ましい2'-アラビノ修飾は、2'-Fである。同様の修飾もまた、オリゴヌクレオチドのその他の位置、特に3'末端ヌクレオチド上の糖または2'-5'結合オリゴヌクレオチド中の糖の3'位および5'末端ヌクレオチドの5'位において作製することもできる。オリゴヌクレオチドは、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル成分などの糖模倣体を有する場合もある。このような修飾糖構造の調製を教示する代表的な米国特許には、U.S.: 4,981,957;5,118,800;5,319,080;5,359,044;5,393,878;5,446,137;5,466,786;5,514,785;5,519,134;5,567,811;5,576,427;5,591,722;5,597,909;5,610,300;5,627,053;5,639,873;5,646,265;5,658,873;5,670,633;5,792,747;および5,700,920が含まれるが、これらには限定されず、それらの特定のものは、本出願により一般に所有されるものであり、そしてそのそれぞれはその全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0092】
さらに好ましい修飾には、2'-ヒドロキシル基が糖環の3'または4'炭素原子に結合し、それにより2環式糖成分を形成する、ロック型核酸(Locked Nucleic Acids;LNAs)が含まれる。結合は、好ましくは2'酸素原子と4'炭素原子とを架橋するメチレン(-CH2-)n基(ここでnは1または2である)である。LNAsおよびその調製物は、WO 98/39352およびWO 99/14226中に記載される。
【0093】
天然および修飾核酸塩基
オリゴヌクレオチドには、核酸塩基(しばしば当該技術分野において単に“塩基”としても呼ばれる)の修飾または置換も含まれうる。本明細書中で使用される場合、“非修飾”または“天然”核酸塩基には、プリン塩基、アデニン(A)およびグアニン(G)、そしてピリミジン塩基、チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が含まれる。修飾核酸塩基には、その他の合成および天然核酸塩基、たとえば5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6-メチルおよびその他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2-プロピルおよびその他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミンおよび2-チオシトシン、5-ハロウラシルおよびシトシン、5-プロピニル(−C≡C-CH3)ウラシルおよびシトシン、およびピリミジン塩基類の他のアルキニル誘導体、6-アゾのウラシル、シトシンおよびチミン、5-ウラシル(シュードウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよびその他の8-置換アデニンおよびグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチルおよびその他の5-置換ウラシルおよびシトシン、7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン、2-F-アデニン、2-アミノアデニン、8-アザグアニンおよび8-アザアデニン、7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニンおよび3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンが含まれる。さらなる修飾核酸塩基には、フェノキサジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンズオキサジン-2(3H)-オン)、フェノチアジンシチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾチアジン-2(3H)-オン)などの三環式ピリミジン類、置換フェノキサジンシチジン(例えば9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンズオキサジン-2(3H)-オン)、カルバゾールシチジン(2H-ピリミド[4,5-b]インドール-2-オン)、ピリドインドールシチジン(H-ピリド[3',2':4,5]ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2-オン)などのG-クランプが含まれる。修飾核酸塩基には、プリン塩基またはピリミジン塩基が、例えば7-デアザアデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジンおよび2-ピリドンなどのその他のヘテロ環で置換されているものもまた、含まれていてもよい。さらなる核酸塩基には、米国特許No. 3,687,808に開示されたもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, pages 858-859, Kroschwitz, J. I., ed. John Wiley & Sons, 1990に開示されたもの、Englisch et al., Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613に開示されたもの、そしてSanghvi, Y. S., Chapter 15, Antisense Research and Applications, pages 289-302, Crooke, S. T. and Lebleu, B., ed., CRC Press, 1993により開示されたもの、が含まれる。これらの核酸塩基の特定のものは、本発明の化合物の結合親和性を増加させるために特に有用である。これらには、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシルおよび5-プロピニルシトシンを含む、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジンおよびN-2、N-6およびO-6置換プリンが含まれる。5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示され、そして現在は好ましい塩基置換であり、2'-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせた場合にさらにより具体的である。
【0094】
上述した修飾核酸塩基の特定のものおよびその他の修飾核酸塩基の調製を教示する代表的な米国特許には、上述したU.S. 3,687,808、およびU.S.: 4,845,205;5,130,302;5,134,066;5,175,273;5,367,066;5,432,272;5,457,187;5,459,255;5,484,908;5,502,177;5,525,711;5,552,540;5,587,469;5,594,121;5,596,091;5,614,617;5,645,985;5,830,653;5,763,588;6,005,096;および5,681,941が含まれるが、これらには限定されず、それらの特定のものは本出願により一般に所有されるものであり、そしてそのそれぞれは参考文献として本明細書中に援用し、そして米国特許5,750,692が含まれ、これは本出願により一般に所有されるものであり、そして同様に参考文献として本明細書中に援用する。
【0095】
複合体
本発明のオリゴヌクレオチドのその他の修飾には、オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布、または細胞取り込みを向上する、化学的にオリゴヌクレオチドに対して1またはそれ以上の成分または複合体を結合することが含まれる。これらの部分または複合体には、第一または第二ヒドロキシル基などの官能基に共有結合した共役基(Conjugate groups)が含まれていてもよい。本発明の共役基には、インターカレーター、リポーター分子、ポリアミン類、ポリアミド類、ポリエチレングリコール類、ポリエーテル類、オリゴマーの薬力学的特性を亢進する基、そしてオリゴマーの薬物動態学的特性を亢進する基が含まれる。典型的な共役基には、コレステロール類、脂質類、リン脂質類、ビオチン、フェナジン、フォレート(葉酸塩)、フェナントリジン(phenanthridine)、アントラキノン、アクリジン、フルオロセイン、ローダミン類、クマリン類、および色素類が含まれる。薬力学的特性を亢進する基には、本発明の文脈において、取り込みを向上させ、分解に対する抵抗性を亢進し、および/または標的核酸との配列-特異的ハイブリダイゼーションを増強する基が含まれる。薬物動態学的特性を亢進する基には、本発明の文脈において、本発明の化合物の取り込み、分布、代謝、または排泄を向上させる基が含まれる。代表的な共役基は、1992年10月23日に出願した国際特許出願PCT/US92/09196およびU.S.特許6,287,860中に開示され、その開示の全体を本明細書中では参考文献として援用する。共役成分には、脂質成分、たとえばコレステロール成分、コール酸、チオエーテル、たとえば、ヘキシル-S-トリチルチオール、チオコレステロール、脂肪族鎖、たとえば、ドデカンジオールまたはウンデシル残基、リン脂質、たとえば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロールまたはトリエチルアンモニウム1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖、またはアダマンタン酢酸、パルミチル成分、またはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール成分が含まれるが、これらには限定されない。本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば、アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン、イブプロフェン、スプロフェン、フェンブフェン(fenbufen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、(S)-(+)-プラノプロフェン(pranoprofen)、カプロフェン(carprofen)、ダンシルサルコシン(dansylsarcosine)、2,3,5-トリヨード-安息香酸、フルフェナム酸、フォリン酸、ベンゾチアジアジド、クロロチアジド(chlorothiazide)、ジアゼピン、インドメタシン、バルビツレート、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗細菌剤または抗生物質などの、活性薬剤物質と共役化されていてもよい。オリゴヌクレオチド-薬物共役体およびそれらの調製は、米国特許出願09/334,130(1999年6月15日に出願)中に記載され、その全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0096】
この様なオリゴヌクレオチド複合体の調製を教示する代表的な米国特許には、U.S.: 4,828,979;4,948,882;5,218,105;5,525,465;5,541,313;5,545,730;5,552,538;5,578,717;5,580,731;5,580,731;5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603;5,512,439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582;4,958,013;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,245,022;5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098;5,371,241;5,391,723;5,416,203;5,451,463;5,510,475;5,512,667;5,514,785;5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481;5,587,371;5,595,726;5,597,696;5,599,923;5,599,928;および5,688,941が含まれるが、これらには限定されず、それらの特定のものは、本出願により一般に所有されるものであり、そしてそのそれぞれは参考文献として本明細書中に援用される。
【0097】
キメラ化合物
所定の化合物中のすべての位置を均一に修飾されることは必要ではなく、そして実際に、一つ以上の上述した修飾を、単一の化合物中あるいはオリゴヌクレオチド中の単一のヌクレオシドにおいても組み込むことができる。
【0098】
本発明には、キメラ化合物であるアンチセンス化合物も含まれる。本発明の文脈において、“キメラ”アンチセンス化合物または“キメラ”は、2つまたはそれ以上の化学的に特徴的な領域を含有するアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドであり、それぞれが少なくとも一つのモノマーユニット、すなわち、オリゴヌクレオチド化合物の場合にヌクレオチド、から形成される。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には少なくとも一つの領域を含有し、ここでオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドに対して、ヌクレアーゼ分解耐性の増加、細胞取り込みの増加、安定性の増加および/または標的核酸に対する結合親和性の増加を付与するように、修飾される。オリゴヌクレオチドの追加の領域は、RNA:DNAまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することができる酵素に対する基質として働くことができる。例を挙げると、RNase Hは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する、細胞性のエンドヌクレアーゼである。したがって、RNase Hの活性化により、結果としてRNA標的の切断を引き起こし、それにより遺伝子発現のオリゴヌクレオチド-媒介性阻害の効率を非常に向上させる。RNA:RNAハイブリッドの切断は、同様の様式において、細胞RNAおよびウィルスRNAを両方とも切断するRNAse Lなどのエンドリボヌクレアーゼの活性を通じて、達成することができる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動により、そして必要な場合には当該技術分野において既知の関連する核酸ハイブリダイゼーション技術により、日常的に検出することができる。
【0099】
本発明のキメラアンチセンス化合物は、2つまたはそれ以上のオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドおよび/または上述したオリゴヌクレオチド模倣体の混成の構造として形成することができる。このような化合物は、当該技術分野においてハイブリッドまたはギャップマーとも呼ばれている。このようなハイブリッド構造の調製を教示する代表的な米国特許には、U.S.: 5,013,830;5,149,797;5,220,007;5,256,775;5,366,878;5,403,711;5,491,133;5,565,350;5,623,065;5,652,355;5,652,356;および5,700,922が含まれるが、これらには限定されず、それらの特定のものは、本出願により一般に所有されるものであり、そしてそのそれぞれは全体として参考文献として本明細書中に援用される。
【0100】
G. 製剤
本発明の化合物は、取り込み、分布および/または吸収を助けるために、たとえば、リポソーム、受容体-標的化分子、経口、直腸、局所またはその他の製剤として、その他の分子、分子構造、または化合物の混合物と混合し、カプセル化し、複合体化することができ、またはそうでなければ、結合させてもよい。そのような取り込み、分布および/または吸収を助ける製剤の調製を教示する代表的な米国特許には、U.S.: 5,108,921;5,354,844;5,416,016;5,459,127;5,521,291;5,543,158;5,547,932;5,583,020;5,591,721;4,426,330;4,534,899;5,013,556;5,108,921;5,213,804;5,227,170;5,264,221;5,356,633;5,395,619;5,416,016;5,417,978;5,462,854;5,469,854;5,512,295;5,527,528;5,534,259;5,543,152;5,556,948;5,580,575;および5,595,756が含まれるが、それらには限定されず、そのそれぞれを参考文献として本明細書中に援用する。
【0101】
本発明のアンチセンス化合物は、いずれかの医薬的に許容可能な塩、エステル、またはそのようなエステルの塩、またはヒトを含む動物に投与する際にその生物学的に活性な代謝物または残留物を(直接的にまたは間接的に)提供することができるいずれか他の化合物を包含する。したがって、たとえば、開示から、プロドラッグおよび医薬的に許容可能な本発明の化合物の塩、そのようなプロドラッグの医薬的に許容可能な塩、およびその他の生物学的等価物も導き出される。ナトリウムが、特にオリゴヌクレオチド化合物について、適切な医薬的な塩である。
【0102】
用語“プロドラッグ”は、内在性の酵素またはその他の化学物質および/または条件の作用により、その体内または細胞内で活性化型(すなわち、薬物)に変換される、不活性型で調製される治療剤のことを示す。特に、本発明のオリゴヌクレオチドのプロドラッグ版は、GosselinらのWO 93/24510(1993年12月9日に発行)またはImbachらのWO 94/26764およびU.S. 5,770,713に開示された方法に従うSATE[(S-アセチル-2-チオエチル)ホスフェート]誘導体として調製される。
【0103】
用語“医薬的に許容可能な塩”とは、生理学的または医薬的に許容可能な本発明の化合物の塩:すなわち、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、そしてそれについての所望しない毒性効果を与えない塩のことをいう。オリゴヌクレオチドについて、医薬的に許容可能な塩およびそれらの使用の好ましい事例は、U.S.特許6,287,860中にさらに記載されており、その全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0104】
本発明にはまた、本発明のアンチセンス化合物を含む医薬組成物および製剤が含まれる。本発明の医薬組成物は、局所治療または全身治療が所望されるかどうかに依存して、そして治療すべき領域に依存して、多数の方法により投与することができる。投与は、局所(眼を含み、および膣および直腸送達を含む粘膜に対するものを含む)、肺、たとえば、ネブライザーによるものを含む、粉末またはエアロゾルの吸入または吹き込みによるもの;気管内、鼻内、表皮、および経皮)、経口または非経口により行うことができる。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋肉内の注射または注入;または頭蓋内、たとえば、くも膜下投与または脳室内投与が含まれる。少なくとも一つの2'-O-メトキシエチル修飾を有するオリゴヌクレオチドは、経口投与のために特に有用であると考えられている。局所投与のための医薬組成物および製剤には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、滴剤、坐剤、スプレー剤、液剤、および粉剤が含まれうる。従来からの医薬的な担体、液体、粉末または油状基材、増粘剤などが、必要とされるかまたは所望される場合がある。コートしたコンドーム、手袋などもまた有用である可能性がある。
【0105】
単位用量剤形中に容易に提供することができる本発明の医薬製剤は、医薬業界において周知の従来技術にしたがって調製することができる。このような技術には、活性有効成分と1または複数の医薬的担体または1または複数の賦形剤とを組み合わせる工程が含まれる。一般的には、均質にそして緊密に、活性有効成分と液体担体または正確に分割した固体担体またはその両方と組み合わせ、およびその後必要とされる場合には生成物を成型することにより、製剤を調製する。
【0106】
本発明の組成物は、たとえば錠剤、カプセル、ゲルカプセル、液体シロップ、軟ゲル、坐剤、および浣腸剤などの、しかしこれらには限定されない、多くの可能性のある用量剤形のいずれか中にて製剤化することができる。本発明の組成物はまた、水性媒体、非水性媒体または混合媒体中の懸濁剤として製剤化することもできる。水性懸濁剤はさらに、たとえば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む懸濁剤の粘度を上昇させる物質を含有してもよい。懸濁剤はまた、安定化剤を含有していてもよい。
【0107】
本発明の医薬組成物には、溶液、エマルジョン、泡状物、およびリポソーム含有製剤が含まれるが、これらには限定されない。本発明の医薬組成物および製剤は、1またはそれ以上の浸透亢進剤、担体、賦形剤、またはその他の活性または不活性有効成分を含んでいてもよい。
【0108】
エマルジョンは、通常は直径0.1μmを超える液滴の形状で、一つの液体を別の液体中に分散させた典型的には不均質の系である。エマルジョンは、分散相と、液体相、油相のいずれか中に溶液としてあるいは別々の相としてそれ自体として存在していてもよい活性な薬物と、に加えて、さらに要素を包含していてもよい。マイクロエマルジョンは、本発明の態様に含まれる。エマルジョンおよびそれらの使用は、当該技術分野において周知であり、そしてU.S.特許6,287,860中にさらに記載され、そしてその全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0109】
本発明の製剤には、リポソーム製剤が含まれる。本明細書中で使用される場合、“リポソーム”という用語は、球状の1または複数の二重層中に配置された、両親媒性脂質からなる小胞を意味する。リポソームは、親油性物質から形成される膜および送達すべき組成物を含有する水性の内部を有する、単一ラメラ小胞またはマルチラメラ小胞である。カチオン性リポソームは、マイナスに荷電したDNA分子と相互作用して、安定な複合体を形成する、プラスに荷電したリポソームである。pH-感受性あるいはマイナスに荷電したリポソームは、DNAと複合体を形成するというよりは、DNAを捕捉すると考えられる。カチオン性リポソームおよび非カチオン性リポソームの両方ともを使用して、DNAを細胞に送達した。
【0110】
リポソームには、“立体化学的に安定な”リポソームも含まれるが、この用語は本明細書中で使用される場合、1またはそれ以上の特殊な(specialized)脂質であって、リポソーム中に取り込まれた場合、そのような特殊な脂質を含まないリポソームと比較して、結果として循環血中での寿命が長くなる脂質、を含むリポソームのことをいう。立体化学的に安定なリポソームの例は、リポソームの小胞-形成性脂質部分の一部分が、1またはそれ以上の糖脂質を含むか、またはポリエチレングリコール(PEG)部分などの1またはそれ以上の親水性ポリマーにより誘導体化されているものである。リポソームおよびそれらの使用は、U.S.特許6,287,860中にさらに記載され、そしてその全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0111】
本発明の医薬製剤および組成物には、サーファクタントが含まれていてもよい。医薬製品、製剤、そしてエマルジョン中におけるサーファクタントの使用は、当該技術分野において周知である。サーファクタントおよびそれらの使用は、U.S.特許6,287,860中にさらに記載され、そしてその全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0112】
一態様において、本発明は、核酸、特にオリゴヌクレオチドの効率的な送達を実現するため、様々な浸透亢進剤を使用する。非-親油性薬物の細胞膜を通じた拡散を補助することに加えて、浸透亢進剤はまた、親油性薬物の透過性も向上させる。浸透亢進剤は、5つの幅広いカテゴリー、すなわち、サーファクタント、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、そして非-キレート非-サーファクタント、の一つに属するものとして分類することができる。浸透亢進剤およびそれらの使用は、U.S.特許6,287,860中にさらに記載され、そしてその全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0113】
当業者は、製剤が、それらの意図する使用、すなわち、投与経路に従って、日常的に設計されることを認識するだろう。
同様に好ましいアンチセンス化合物は、2'MOEアンチセンス化合物およびモルホリノホスホロジアミデートなどの経口投与することができるものである。このことは、従来技術における成長ホルモン受容体化合物に関して、使用者にさらに利便性を提供する。いくつかの症状の治療において好ましい化合物は、幅広く分散されるものであり、そして従って肝臓を介した局所的作用および/または全身的作用の両方が可能になるものである。しかしながら、その他の症状においては、より少ない器官に分散されることが好ましい可能性があることが理解されるだろう。
【0114】
局所投与のために好ましい製剤には、本発明のオリゴヌクレオチドを、脂質類、リポソーム類、脂肪酸類、脂肪酸エステル類、ステロイド類、キレート剤、およびサーファクタントなどの局所送達剤と組み合わせるものが含まれる。好ましい脂質類およびリポソーム類には、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルDOPEエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルコリンDMPC、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロールDMPG)およびカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピルDOTAPおよびジオレオイルホスファチジルエタノールアミンDOTMA)が含まれる。
【0115】
局所投与またはその他の投与のためには、本発明のオリゴヌクレオチドは、リポソーム中にカプセル化してもよく、またはそれに対して、特にカチオン性リポソームに対して、複合体を形成してもよい。あるいは、オリゴヌクレオチドを、脂質、特にカチオン性脂質と複合体形成させてもよい。好ましい脂肪酸、およびエステル、医薬的に許容可能なそれらの塩、およびそれらの使用は、U.S.特許6,287,860中にさらに記載され、そしてその全体を参考文献として本明細書中に援用する。局所製剤は、1999年5月20日に出願された米国特許出願09/315,298中に詳細に記載されており、その全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0116】
経口投与のための組成物および製剤には、粉末または顆粒、マイクロ粒子、ナノ粒子、懸濁剤または水溶液または非水性媒体中溶液、カプセル、ゲルカプセル、サシェ、錠剤、またはミニ錠剤などが含まれる。増粘剤、着香剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が好ましい場合がある。好ましい経口製剤は、本発明のオリゴヌクレオチドを1または複数の浸透亢進剤、サーファクタント、およびキレート剤と組み合わせて投与するものである。好ましいサーファクタントには、脂肪酸および/またはそのエステルまたは塩、胆汁酸および/またはその塩が含まれる。好ましい胆汁酸/塩、および脂肪酸、およびそれらの使用は、U.S.特許6,287,860中にさらに記載され、そしてその全体を参考文献として本明細書中に援用する。同様に好ましいものには、浸透亢進剤の組み合わせ、例えば胆汁酸/塩と組み合わせた脂肪酸類/塩がある。特に好ましい組み合わせは、ラウリン酸、カプリン酸、およびUDCAのナトリウム塩である。さらなる浸透亢進剤には、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン-20-セチルエーテルが含まれる。本発明のオリゴヌクレオチドは、スプレー乾燥粒子を含む粒状形態で経口的に投与するか、または複合体形成してミクロ粒子またはナノ粒子を形成してもよい。オリゴヌクレオチド複合体形成剤およびそれらの使用は、U.S.特許6,287,860中にさらに記載され、そしてその全体を参考文献として本明細書中に援用する。オリゴヌクレオチドおよびそれらの調製物についての経口製剤は、米国出願09/108,673(1998年7月1日に出願)、09/315,298(1999年5月20日に出願)、および10/071,822(2002年2月8日に出願)中に詳細に記載されており、それぞれの全体を参考文献として本明細書中に援用する。
【0117】
非経口投与、くも膜下投与または脳室内投与のための組成物および製剤には、バッファー、希釈剤およびその他の適した添加物、たとえば浸透亢進剤、担体化合物、およびその他の医薬的に許容可能な担体または賦形剤もまた含有しうる、滅菌水溶液が含まれうる。
【0118】
本発明の特定の態様は、1またはそれ以上のオリゴマー化合物、および非-アンチセンスメカニズムにより機能する1またはそれ以上のその他の化学療法剤、を含有する医薬組成物を提供する。このような化学療法剤の例には、ダウノルビシン、ダウノマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、エソルビシン、ブレオマイシン、マフォスファミド、イフォスファミド、シトシンアラビノシド、bis-クロロエチルニトロソウレア、ブスルファン、マイトマイシンC、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、プレドニゾン、ヒドロキシプロゲステロン、テストステロン、タモキシフェン、ダカルバジン、プロカルバジン、ヘキサメチルメラミン、ペンタメチルメラミン、ミトキサントロン、アムサクリン、クロラムブシル、メチルシクロヘキシルニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-アザシチジン、ヒドロキシウレア、デオキシコフォルマイシン、4-ヒドロキシペルオキシシクロホスホールアミド、5-フルオロウラシル(5-FU)、5-フロキシウリジン(5-FUdR)、メトトレキセート(MTX)、コルヒチン、タキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド(VP-16)、トリメトレキセート、イリノテカン、トポテカン、ゲムシタビン、テニポシド、シスプラチンおよびジエチルスチルベストロール(DES)などの癌化学療法薬物が含まれるが、これらには限定されない。本発明の化合物とともに使用する場合、そのような化学療法剤を独立して(例えば、5-FUおよびオリゴヌクレオチド)、連続的に(例えば、一定の期間の5-FUとオリゴヌクレオチドの後、MTXおよびオリゴヌクレオチド)、あるいは1または複数のその他のこのような化学療法剤と組み合わせて(例えば、5-FU、MTXおよびオリゴヌクレオチド、または5-FU、放射線療法およびオリゴヌクレオチド)使用することができる。非ステロイド性抗炎症性薬物およびコルチコステロイドを含む抗炎症性薬物(しかしこれらには限定されない)、およびリビビリン(ribivirin)、ビダラビン(vidarabine)、アシクロビルおよびガンシクロバーを含む抗ウィルス性薬物(しかしこれらには限定されない)を、本発明の組成物中に組み合わせることができる。アンチセンス化合物とその他の非-アンチセンス薬物との組み合わせもまた、本発明の範囲に含まれる。2つまたはそれ以上の組み合わせ化合物を、一緒にあるいは連続的に使用することができる。特に好ましい組み合わせは、オクトレオチド、Trovertおよび/または成長ホルモン、インスリン様成長因子-I、IGFBP-3、成長ホルモン受容体またはインスリン様成長因子1受容体の(1またはそれ以上の)その他の阻害剤またはアンタゴニストを含む。
【0119】
本発明の組成物には、第一の核酸を標的とする、1またはそれ以上のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド、および第二の核酸標的を標的とする1またはそれ以上の追加のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドを含有することができる。あるいは、本発明の組成物は、同一の核酸標的の異なる領域を標的とする2またはそれ以上のアンチセンス化合物を含有してもよい。数多くのアンチセンス化合物の例が当該技術分野で知られている。2つまたはそれ以上の組み合わせ化合物を、一緒にあるいは連続的に使用することができる。
【0120】
H. 投与
治療用組成物の製剤化およびそれに引き続く投与(dosing)は、当該技術分野の範囲内のものであると考えられる。投与は、治療すべき疾患状態の重症度および反応性に依存し、数日間から数ヶ月間持続する治療経過、あるいは治癒が得られるかまたは疾患の減退が得られるまでの治療経過を伴う。最適な投与スケジュールは、患者体内での薬物の蓄積を測定することから算出することができる。当業者であれば、最適用量、投与方法、および反復頻度を容易に決定することができる。最適な用量は、個々のオリゴヌクレオチドの比効力に依存して変更することができ、そして一般的には、in vitroおよびin vivo動物モデルにおいて効果的であることが見いだされるEC50に基づいて見積もることができる。一般的には、用量は、0.01μg〜100 g/kg体重であり、そして1日、1週間、1ヶ月、あるいは1年に一度またはそれ以上与えることができ、あるいは2〜20年ごとに1度であってもよい。当業者は、体液あるいは組織における測定された薬物の滞留時間および濃度に基づいて、投与のための反復頻度を容易に見積もることができる。好結果の治療の後、患者に維持療法を受けさせて、疾患状態の再発を防止することが好ましく、ここでオリゴヌクレオチドは、1日に1回またはそれ以上〜20年間ごとに1回で、0.01μg〜100 g/kg体重の範囲で、維持用量で投与する。
【0121】
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、定頻度の投与すなわち、1日に1回、1週間に1回、またはそれ以下の投与が可能な化学的作用を用いて調製される。特に好ましいアンチセンス化学的作用は、2日目ごとに1回投与することができる本明細書中で使用される方法であり、そして同一クラスのアンチセンスの観察に基づいて、1ヶ月に1回の低頻度とまではいかないものの、少なくとも1週間に1回scで投与することができる。これは、毎日投与された同一の動物モデルにおけるTrovertよりも低頻度であり、 そしてTrovertを用いた現在の臨床経験よりも低頻度である。このことは、服薬遵守を潜在的に改善することができるこの慢性症状の治療のために、多大な利便性を提供する。
【0122】
本発明は、特定のその好ましい態様にしたがって、具体的に記載されるが、以下の実施例は、本発明の説明のためにのみ提供し、そして本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0123】
実施例1:ヌクレオシドホスホールアミダイトの合成
アミダイトおよびそれらの中間体を含む以下の化合物を、US特許6,426,220に記載されたように、そしてPCT WO 02/36743において公開されたように調製した;5-メチル dCアミダイトのための5'-O-ジメトキシトリチル-チミジン中間体、5-メチル-dCアミダイトのための5'-O-ジメトキシトリチル-2'-デオキシ-5-メチルシチジン中間体、5-メチル dCアミダイトのための5'-O-ジメトキシトリチル-2'-デオキシ-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジンの最後から二番目の中間体、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-デオキシ-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホールアミダイト(5-メチル dCアミダイト)、2'-フルオロデオキシアデノシン、2'-フルオロデオキシグアノシン、2'-フルオロウリジン、2'-フルオロデオキシシチジン、2'-O-(2-メトキシエチル)修飾アミダイト、2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルウリジン中間体、5'-O-DMT-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルウリジンの最後から二番目の中間体、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルウリジン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホールアミダイト(MOE Tアミダイト)、5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチルシチジン中間体、5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-(2-メトキシエチル)-N4-ベンゾイル-5-メチル-シチジンの最後から二番目の中間体、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-(2-メトキシエチル)-N4-ベンゾイル-5-メチルシチジン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホールアミダイト(MOE 5-Me-Cアミダイト)、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-メトキシエチル)-N6-ベンゾイルアデノシン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホールアミダイト(MOE Aアミダイト)、[5'-O-(4,4'-ジメトキシトリフェニルメチル)-2'-O-(2-メトキシエチル)-N4-イソブチリルグアノシン-3'-O-イル]-2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルホスホールアミダイト(MOE Gアミダイト)、2'-O-(アミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトおよび2'-O-(ジメチルアミノ-オキシエチル)ヌクレオシドアミダイト、2'-(ジメチルアミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-O2-2'-無水-5-メチルウリジン、5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-(2-ヒドロキシエチル)-5-メチルウリジン、2'-O-([2-フタルイミドキシ)エチル]-5'-t-ブチルジフェニルシリル-5-メチルウリジン、5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[(2-ホルムアドキシイミノオキシ)エチル]-5-メチルウリジン、5'-O-tert-ブチルジフェニルシリル-2'-O-[N,Nジメチルアミノオキシエチル]-5-メチルウリジン、2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン、5'-O-DMT-2'-O-(ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン、5'-O-DMT-2'-O-(2-N,N-ジメチルアミノオキシエチル)-5-メチルウリジン-3'-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホールアミダイト]、2'-(アミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、N2-イソブチリル-6-O-ジフェニルカルバモイル-2'-O-(2-エチルアセチル)-5'-O-(4,4'-ジメトキシトリチル)グアノシン-3'-[(2-シアノエチル)-N,N-ジイソプロピルホスホールアミダイト]、2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ(2'-DMAEOE)ヌクレオシドアミダイト、2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)エチル]-5-メチルウリジン、5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)-エチル)]-5-メチルウリジン、および5'-O-ジメトキシトリチル-2'-O-[2(2-N,N-ジメチルアミノエトキシ)-エチル)]-5-メチルウリジン-3'-O-(シアノエチル-N,N-ジイソプロピル)ホスホールアミダイト。
【0124】
実施例2:オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオシド合成
本発明に従って使用されるアンチセンス化合物は、周知の固相合成技術を通じて、便利にそして日常的に調製することができる。そのような合成のための装置は、例えば、Applied Biosystems(Foster City, CA)を含むいくつかの販売者により販売されている。当該技術分野において公知のそのような合成のための手段のいずれかその他のものを、さらにまたは代替的に利用することができる。同様の技術を使用してホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などのオリゴヌクレオチドを調製することは、周知である。
【0125】
オリゴヌクレオチド:未置換及び置換ホスホジエステル(P=O)オリゴヌクレオチドを、自動DNAシンセサイザー(Applied Biosystems model 394)で、ヨウ素による酸化を用いる標準的なホスホールアミダイト化学を使用して、合成する。
【0126】
亜リン酸結合の酸化のため、アセトニトリル中10%w/vの3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド溶液によりチア化を行ったこと以外は、ホスホロチオエート(P=S)は、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドのためと同様に合成される。チア化反応段階の時間を180秒に増加し、そして、引き続いて通常のキャッピング段階を行った。CPGカラムからの切断、及び、55℃での(12〜16時間)濃縮された水酸化アンモニウム中にて脱ブロック化した後、3倍量以上のエタノールで沈殿することにより、オリゴヌクレオチドを1 M NH4OAc溶液から回収した。ホスフィネートオリゴヌクレオチドを、本明細書中で参考文献として援用する、U.S.特許5,508,270に記載の通り、調製する。
【0127】
アルキルホスホネートオリゴヌクレオチドは、本明細書中で参考文献として援用する、U.S.特許4,469,863に記載の通り、調製する。
3'-デオキシ-3'-メチレンホスホネートオリゴヌクレオチドは、本明細書中で参考文献として援用する、U.S.特許5,610,289または5,625,050に記載の通り、調製する。
【0128】
ホスホールアミダイトオリゴヌクレオチドは、本明細書中で参考文献として援用する、U.S.特許5,256,775またはU.S.特許5,366,878に記載の通り、調製する。
アルキルホスホノチオエートオリゴヌクレオチドは、本明細書中で参考文献として援用する、公開されたPCT出願PCT/US94/00902及びPCT/US93/06976(それぞれWO 94/17093及びWO 94/02499として公開)に記載の通り、調製する。
【0129】
3'-デオキシ-3'-アミノホスホールアミデートオリゴヌクレオチドは、本明細書中で参考文献として援用する、U.S.特許5,476,925に記載の通り、調製する。
ホスホトリエステルオリゴヌクレオチドは、本明細書中に参考文献として援用されるU.S.特許5,023,243に記載の通り、調製する。
【0130】
ボランリン酸オリゴヌクレオチドは、共に本明細書中で参考文献として援用される、U.S.特許5,130,302及び5,177,198に記載の通り、調製する。
オリゴヌクレオシド:MMI結合オリゴヌクレオシドとも特定されるメチレンメチルイミノ結合オリゴヌクレオシド、MDH結合オリゴヌクレオシドとも特定されるメチレンジメチルヒドラゾ結合オリゴヌクレオシド、及び、アミド-3結合オリゴヌクレオシドとも特定されるメチレンカルボニルアミノ結合オリゴヌクレオシド、及び、アミド-4結合オリゴヌクレオシドとも特定されるメチレンアミノカルボニル結合オリゴヌクレオシド、ならびに、例えば、MMIとP=OあるいはP=S結合とを換えたものを有する混合バックボーン化合物は、そのすべてが本明細書中で参考文献として援用される、U.S.特許5,378,825、5,386,023、5,489,677、5,602,240および5,610,289に記載の通り、調製する。
【0131】
ホルムアセタール及びチオホルムアセタール結合オリゴヌクレオシドは、本明細書中で参考文献として援用される、U.S.特許5,264,562および5,264,564に記載の通り、調製する。
エチレンオキシド結合オリゴヌクレオシドは、本明細書中で参考文献として援用される、U.S.特許5,223,618に記載の通り、調製する。
【0132】
実施例3:RNA合成
一般的には、RNA合成化学は、戦略的な中間反応における様々な保護基の選択的取り込みに基づく。当業者は、有機合成において保護基を使用することを理解しうるが、有用な保護基のクラスには、シリルエーテルが含まれる。特に、大型(bulky)シリルエーテルを使用して、2'-ヒドロキシル上の酸-不安定なオルソエステル保護基と組み合わせて、5'-ヒドロキシルを保護化する。次いで、この組み合わせの保護基は、標準的な固相合成技術と共に使用される。すべてのその他の合成工程の後、酸-不安定なオルソエステル保護基を最終的に除去することは、重要なことである。さらに、合成のあいだシリル保護基を初期に使用することは、2'ヒドロキシルの所望されない脱保護化なしに、所望したときに容易に除去することを保証する。
【0133】
他と差別的に除去し、そして他と差別的に化学的に不安定である保護基による2'-ヒドロキシルの保護化と組み合わせて、5'-ヒドロキシルの連続的な保護化を行うこの方法により、RNAオリゴヌクレオチドを合成した。
【0134】
RNAオリゴヌクレオチドは、段階的な様式で合成する。それぞれのヌクレオチドを、連続的に(3'-から5'-方向)、固相支持体-結合オリゴヌクレオチドに対して添加する。鎖の3'-末端の最初のヌクレオシドは、固相支持体に対して共有結合される。ヌクレオチド前駆体であるリボヌクレオシドホスホールアミダイトおよび活性化物質を添加し、最初のヌクレオシドの5'-末端に対して2番目の塩基を結合する。支持体を洗浄し、そしてすべての反応しなかった5'-ヒドロキシル基を無水酢酸によりキャップ化して、5'-アセチル成分を得る。次いで、結合は、酸化されてより安定になり、そして究極的には所望のP(V)結合となる。ヌクレオチド付加サイクルの最後に、5'-シリル基をフルオリドにより切り出す。サイクルを、それぞれの次のヌクレオチドについて繰り返す。
【0135】
合成に続いて、ホスフェート上のメチル保護基を、30分間にわたりDMF中1 Mジソジウム-2-カルバモイル-2-シアノエチレン-1,1-ジチオレート三水和物(S2Na2)を用いて、切り出す。脱保護化溶液を、水を使用して固相支持体-結合オリゴヌクレオチドから洗い流す。次いで、支持体を、水中40%メチルアミンを用いて、55℃にて10分間、処理する。これにより、溶液中のRNAオリゴヌクレオチドが放出され、環外アミンを脱保護化し、そして2'-基を修飾する。オリゴヌクレオチドを、この段階にて、陰イオン交換HPLCにより解析することができる。
【0136】
2'-オルソエステル基は、除去すべき最後の保護基である。Dharmacon Research, Inc.(Lafayette, CO)により開発されたエチレングリコールモノアセテートオルソエステル保護基は、以下の重要な特性を有する有用なオルソエステル保護基の一例である。それは、ヌクレオシドホスホールアミダイト合成およびオリゴヌクレオチド合成の条件に安定である。しかしながら、オリゴヌクレオチド合成の後、オリゴヌクレオチドをメチルアミンにより処理する。メチルアミンは、固相支持体からオリゴヌクレオチドを切り出すだけでなく、オルソエステルからアセチル基を除去する。オルソエステル上の得られた2-エチル-ヒドロキシル置換基は、アセチル化された前駆体と比較して、電子求引性(electron withdrawing)が低い。結果として、修飾オルソエステルは、酸で触媒された加水分解に対してより不安定になる。具体的には、切り出しの速度が、アセチル基を除去した後は10倍早い。従って、このオルソエステルは、オリゴヌクレオチド合成に適合性であるために、十分な安定性を保持し、それにもかかわらず、引き続いて修飾される場合、最終的なRNAオリゴヌクレオチド生成物に適合する比較的穏やかな水性条件下において、脱保護化が生じるようにする。
【0137】
さらに、RNA合成の方法は、当該技術分野において周知である(Scaringe, S. A. Ph.D. Thesis, University of Colorado, 1996;Scaringe, S. A., et al., J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 11820-11821;Matteucci, M. D. and Caruthers, M. H. J. Am. Chem. Soc., 1981, 103, 3185-3191;Beaucage, S. L. and Caruthers, M. H. Tetrahedron Lett., 1981, 22, 1859-1862;Dahl, B. J., et al., Acta Chem. Scand., 1990, 44, 639-641;Reddy, M. P., et al., Tetrahedron Lett., 1994, 25, 4311-4314;Wincott, F. et al., Nucleic Acid Res.,1995, 23, 2677-2684;Griffin, B. E., et al.,Tetrahedron, 1967, 23, 2301-2313;Griffin, B. E., et al.,Tetrahedron, 1967, 23, 2315-2331)。
【0138】
本発明のRNAアンチセンス化合物(RNAオリゴヌクレオチド)は、本明細書中の方法により合成することができ、またはDharmacon Research, Inc(Lafayette, CO)から購入することができる。いったん合成すれば、次に相補的RNAアンチセンス化合物を、当該技術分野において公知の方法によりアニーリングして、二本鎖(二重鎖)アンチセンス化合物を作成することができる。例えば、二重鎖は、30μlのRNAオリゴヌクレオチドの相補鎖のそれぞれ(50μM RNAオリゴヌクレオチド溶液)と15μlの5×アニーリングバッファー(100 mM 酢酸カリウム、30 mM HEPES-KOH pH 7.4、2 mM 酢酸マグネシウム)とを組み合わせ、その後90℃にて1分間加熱し、その後37℃にて1時間反応させることにより形成することができる。得られた二重鎖アンチセンス化合物を、標的核酸の役割を調べるためのキット、アッセイ、スクリーニング、またはその他の方法において使用することができる。
【0139】
実施例4:キメラオリゴヌクレオチドの合成
本発明のキメラオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、または、混合オリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドは、いくつかの異なる型でありうる。これらには、結合ヌクレオシドの“ギャップ”セグメントが結合ヌクレオシドの5'あるいは3'“ウィング”セグメントの間に位置する第一の型、及び、“ギャップ”セグメントがオリゴマー化合物の3'端あるいは5'端のどちらかに位置する、第二の“オープンエンド”型が含まれる。第一の型のオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において、“ギャップマー”あるいはギャップ化オリゴヌクレオチドとしても知られる。第二の型のオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において、“ヘミマー”あるいは“ウィングマー”としても知られる。
【0140】
〔2'-O-Me〕--〔2'-デオキシ〕--〔2'-O-Me〕キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
2'-O-アルキルホスホロチオエートを有するキメラオリゴヌクレオチド及び2'-デオキシホスホロチオエートオリゴヌクレオチドセグメントを、上記の通り、Applied Biosystems自動DNAシンセサイザーModel 394を使用して合成する。オリゴヌクレオチドは、自動シンセサイザーを用い、及び、DNA部分には2'-デオキシ-5'-ジメトキシトリチル-3'-O-ホスホールアミダイトを、そして、5'及び3'ウィングには5'-ジメトキシトリチル-2'-O-メチル-3'-O-ホスホールアミダイトを使用して、合成する。標準的な合成サイクルを、5'-ジメトキシトリチル-2'-O-メチル-3'-O-ホスホールアミダイトについての反応時間を増加させたカップリング工程を取り込むことにより修飾する。完全に保護されたオリゴヌクレオチドを支持体から切り出し、そして、濃縮アンモニア(NH4OH)中で55℃にて12〜16時間、脱保護化する。次いで、脱保護化したオリゴを、適切な方法(沈殿、カラムクロマトグラフィー)により回収し、減圧下にて容量を減少させ、そしてキャピラリー電気泳動により、および、質量分析により、収量について、および、純度について、分光光度的に分析される。
【0141】
〔2'-O-(2-メトキシエチル)〕--〔2'-デオキシ〕--〔2'-O-(メトキシエチル)〕キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
〔2'-O-(2-メトキシエチル)〕--〔2'-デオキシ〕--〔2'-O-(メトキシエチル)〕キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは、2'-O-(メトキシエチル)アミダイトを2'-O-メチルアミダイトに置き換えた2'-O-メチルキメラオリゴヌクレオチドのための上記の方法に従って、調製した。
【0142】
〔2'-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル〕--〔2'-デオキシホスホロチオエート〕--〔2'-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル〕キメラオリゴヌクレオチド
〔2'-O-(2-メトキシエチル)ホスホジエステル〕--〔2'-デオキシホスホロチオエート〕--〔2'-O-(メトキシエチル)ホスホジエステル〕キメラオリゴヌクレオチドは、2'-O-(メトキシエチル)アミダイトを2'-O-メチルアミダイトに置き換えた、2'-O-メチルキメラオリゴヌクレオチドについての上記の方法、キメラ構造のウィング部分中のホスホジエステルヌクレオチド間結合を作るためのヨウ素を用いる酸化、中央ギャップのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を作るための3,H-1,2ベンゾジチオール-3-オン1,1ジオキシド(Beaucage Reagent)を使用する硫化に従って、調製する。
【0143】
他のキメラオリゴヌクレオチド、キメラオリゴヌクレオシド及び混合キメラオリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドは、本明細書中で参考文献として援用される、アメリカ合衆国特許5,623,065に従って合成される。
【0144】
実施例5:成長ホルモン受容体を標的とする二本鎖アンチセンス化合物の設計およびスクリーニング
本発明に従って、本発明のアンチセンス化合物およびそれらの相補物を含む一連の核酸二本鎖を、成長ホルモン受容体を標的とするように設計することができる。一態様において、これらの核酸二本鎖は、二本鎖RNA化合物である(短い干渉RNAあるいはsiRNA)。一般的には、RNase H-依存的アンチセンスオリゴヌクレオチドの活性部位は、siRNAの活性部位であると予想される(Vickers et al., 2003, J. Biol Chem. 278, 7108-7118)。本発明の一態様において、二本鎖のアンチセンス鎖の核酸塩基配列は、少なくとも表1に示されるオリゴヌクレオチド配列の部分を含む。あるいは、成長ホルモン受容体を標的とする一連のdsRNAを合成しそして試験する新規の“ジーンウォーキング(gene walk)”を使用することができる。
【0145】
dsRNA鎖の末端を、1またはそれ以上の天然の核酸塩基または修飾核酸塩基を付加することにより修飾して、オーバーハングを形成することができる。次いで、dsRNAのセンス鎖を、アンチセンス鎖の相補物として設計しそして合成し、そしていずれかの末端に修飾または付加を含有してもよい。例えば、一態様において、dsRNA二本鎖の両方ともの鎖が、中央部核酸塩基にわたり相補的であり、それぞれが一方の末端または両方の末端にオーバーハングを有する。二本鎖は、単分子の二本鎖であってもまたは二分子の二本鎖であってもよい;すなわち、2本の鎖が、直接的またはリンカーにより連結されていてもよく、または別々の分子であってもよい。
【0146】
一例として、配列CGAGAGGCGGACGGGACCGを有しかつデオキシチミジン(dT)の2-核酸塩基オーバーハングを有するアンチセンス鎖を含む二本鎖は、以下の構造を有する場合がある:
【0147】
【化1】

【0148】
別の態様においては、同一の配列CGAGAGGCGGACGGGACCGを有するアンチセンス鎖を含む二本鎖を、以下に示す様に、平滑末端(一本鎖オーバーハングなし)を有する様に調製することができる:
【0149】
【化2】

【0150】
二本鎖のRNA鎖を、本明細書中に開示する方法により合成することができ、またはDharmacon Research Inc.(Lafayette, CO)から購入することができる。いったん合成すると、相補的鎖がアニーリングされる。一本鎖を分取し、そして50μMの濃度に希釈する。いったん希釈したら、30μLの各鎖を15μLの5×アニーリングバッファー溶液と組み合わせる。前記バッファーの最終濃度は、100 mM酢酸カリウム、30 mM HEPES-KOH pH 7.4、および2 mM酢酸マグネシウムである。最終容量は、75μLである。この溶液を、90℃にて1分間インキュベートし、そしてその後15秒間遠心処理する。チューブを37℃にて1時間静置させ、その時点でdsRNA二本鎖を実験に使用する。dsRNA二本鎖の最終濃度は20μMである。この溶液は、凍結して保存し(-20℃)そして5回まで凍結融解することができる。
【0151】
いったん調製したら、二本鎖アンチセンス化合物を、成長ホルモン受容体発現をモジュレートするそれらの能力について評価する。
細胞が80%コンフルエントに達したら、それらを本発明の二本鎖アンチセンス化合物を用いて処理する。96-ウェルプレート中で増殖させた細胞に関して、ウェルを、200μLのOPTI-MEM-1減少血清培地(Gibco BRL)を用いて一度洗浄し、そして次いで、12μg/mL LIPOFECTIN(Gibco BRL)および最終濃度200 nMの所望の二本鎖アンチセンス化合物を含有する130μLのOPTI-MEM-1により処理しする。処理後5時間後に、培地を新鮮な培地に置換する。細胞を処理後16時間後に回収し、その時点でRNAを単離し、そして標的の減少をRT-PCRにより測定する。
【0152】
実施例6:オリゴヌクレオチドの単離
制御孔ガラスカラム固相支持体から切り出し、そして、濃縮された水酸化アンモニウム中、55℃にて12〜16時間、脱ブロック化した後、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオシドは、1 M NH4OAcから>3倍量のエタノールを用いた沈殿により回収する。合成されたオリゴヌクレオチドは、エレクトロスプレー質量分析(分子量決定)により、そしてキャピラリーゲル電気泳動により分析され、そして、少なくとも70%の全長物質であると判断された。合成により得られたホスホロチオエート及びホスホジエステル結合の相対量は、-16 amu生成物に対する正確な分子量の比率により決定した(+/- 32 +/-48)。いくつかの研究のため、オリゴヌクレオチドをChiang ら(J. Biol. Chem. 1991, 266, 18162-18171)により記載の通り、HPLCで精製した。HPLC精製物質を用いて得られた結果は、非HPLC精製物質から得られたものと同様だった。
【0153】
実施例7:オリゴヌクレオチド合成−96ウェルプレートフォーマット
オリゴヌクレオチドを、固相P(III)ホスホールアミダイト化学により、96ウェルフォーマットで同時に96配列を構築することができる自動シンセサイザーで合成した。ホスホロジエステルヌクレオチド間結合はヨウ素水溶液を用いる酸化によって得られた。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、無水アセトニトリル中3,H-1,2ベンゾジチオール-3-オン1,1ジオキシド(Beaucage Reagent)を使用した硫化により、生成した。標準的な塩基-保護β-シアノエチル-ジイソ-プロピルホスホールアミダイトは、商業販売者(例えば、PE-Applied Biosystems, Foster City, CAまたはPharmacia, Piscataway, NJ)から購入した。非標準ヌクレオシドは、標準的な方法、あるいは、特許の方法の通り、合成する。それらは、塩基保護β-シアノエチルジイソプロピルホスホールアミダイトとして使用される。
【0154】
オリゴヌクレオチドを支持体から切り出し、そして、高温度(55-60℃)にて、12〜16時間、濃縮NH4OHにより脱保護し、そして放出された生成物を次に減圧下で乾燥した。乾燥した生成物を次に滅菌水に再懸濁して、マスタープレートを得て、そこからすべての分析用プレート試料及び試験用プレート試料をロボットピペッターを使用して希釈する。
【0155】
実施例8:オリゴヌクレオチド分析−96ウェルプレートフォーマット
各ウェルのオリゴヌクレオチドの濃度を、試料の希釈及びUV吸収分光器により調査した。個々の生成物の全長の完全性を、キャピラリー電気泳動(CE)により、96ウェルフォーマット(Beckman P/ACETM MDQ)で、あるいは、個々に調製した試料については市販のCE器具(例えば、Beckman P/ACETM5000、ABI 270)で、評価した。塩基組成及びバックボーン組成は、エレクトロスプレー質量分光計を使用する化合物の質量分析により、確かめられた。すべてのアッセイ試験プレートは、マスタープレートから、シングルチャネルあるいはマルチチャネルのロボットピペッターを使用して希釈した。プレートは、プレート上の化合物の少なくとも85%が、少なくとも85%完全長であれば、許容可能であると判断した。
【0156】
実施例9:細胞培養及びオリゴヌクレオチド処理
標的核酸の発現に対するアンチセンス化合物の効果は、測定可能なレベルで標的核酸が存在する場合、様々な細胞タイプのいずれにおいても、試験することができる。これは、例えば、PCRあるいはノザンブロット分析を使って日常的に決定することができる。以下の細胞タイプは説明のために提供されるが、選択された細胞タイプ中において標的が発現される場合には、他の細胞タイプを日常的に使用することができる。これは、当該技術分野において日常的な方法、たとえばノザンブロット解析、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、あるいはRT-PCR、により容易に確認することができる。
【0157】
T-24細胞:
ヒト移行上皮細胞(transitional cell)膀胱癌細胞株T-24細胞はAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Manassas, VA)より入手した。T-24細胞は、10%ウシ胎児血清(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)、100 unit/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)を添加した、完全McCoy's 5A基本培地(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)で、日常的に培養した。細胞は、それが90%コンフルエンスに達したら、トリプシン処理及び希釈により、日常的に継代した。RT-PCR分析において使用するため、細胞を96ウェルプレート(Falcon-Primaria #353872)に7000細胞/ウェルの濃度でまいた。
【0158】
ノザンブロットあるいは他の分析のため、細胞を100 mmあるいは他の標準的な組織培養プレートにまき、そして、適切な量の培地及びオリゴヌクレオチドを使用して、同様の処理をすることができる。
【0159】
A549細胞:
ヒト肺癌細胞株A549は、American Type Culture Collection(ATCC)(Manassas, VA)より入手した。A549細胞は、10%ウシ胎児血清(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)、100 unit/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)を加えた、DMEM基本培地(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)で、日常的に培養した。細胞は、それが90%コンフルエンスに達したら、トリプシン処理及び希釈により、日常的に継代した。
【0160】
NHDF細胞:
ヒト新生児皮膚線維芽細胞(NHDF)は、Clonetics Corporation(Walkersville MD)より入手した。NHDFは、提供者により推奨される通り添加した線維芽細胞成長培地(Clonetics Corporation, Walkersville MD)で、日常的に維持した。細胞は提供者により推奨される通り、10継代まで維持した。
【0161】
HEK細胞:
ヒト胎児ケラチノサイト(HEK)はClonetics Corporation(Walkersville MD)より入手した。HEK細胞は、提供者により推奨される通り処方されたケラチノサイト増殖培地(Clonetics Corporation, Walkersville MD)で、日常的に維持した。細胞は、提供者により推奨される通り、10継代まで、日常的に維持した。
【0162】
MCF-7細胞:
ヒト乳房癌腫細胞株MCF-7を、American Type Culure Collection(Manassas, VA)から入手した。MCF-7細胞は、10%ウシ胎児血清(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)を添加したDMEM、低グルコース(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)中で、日常的に培養した。細胞が90%コンフルエントに達したときに、細胞を、トリプシン処理および希釈により、日常的に継代した。細胞を、RT-PCR解析において使用するため、96-ウェルプレート(Falcon-Primaria#3872)中に、7000細胞/ウェルの濃度でまいた。
【0163】
ノザンブロットまたは他の解析のため、細胞を100 mm組織培養プレートまたはその他の標準的な組織培養プレートにまき、適切な容量の培地およびオリゴヌクレオチドを使用して、同様に処理することができる。
【0164】
b.END細胞:
マウス脳内皮細胞株、b.ENDを、Max Plank研究所(Bad Nauheim, Germany)のDr. Werner Risauより入手した。b.END細胞は、10%ウシ胎児血清(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)を添加したDMEM、高グルコース(Gibco/Life Technologies, Gaithersburg, MD)中で日常的に培養された。細胞が90%コンフルエントに達した際に、細胞を、トリプシン処理と希釈により、日常的に継代した。細胞を、RT-PCR解析において使用するため、3000細胞/ウェルの濃度で96-ウェルプレート(Falcon-Primaria #3872)中にまいた。
【0165】
ノザンブロットまたは他の解析のため、細胞を100 mm組織培養プレートまたはその他の標準的な組織培養プレートにまき、適切な容量の培地およびオリゴヌクレオチドを使用して、同様に処理することができる。
【0166】
アンチセンス化合物の処理:
細胞が65〜75%コンフルエントに達したとき、オリゴヌクレオチドにより処理した。96ウェルプレートで増殖させた細胞について、ウェルを100μLのOPTI-MEMTM-1減少血清培地(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)で一度洗浄し、次に3.75μg/mL LIPOFECTINTM(Invitrogen Corporation, Carlsbad, CA)及び望ましい濃度のオリゴヌクレオチドを含有する、130μLのOPTI-MEMTM-1で処理した。細胞を処理し、そしてデータを3回繰り返しで得る。37℃にて4〜7時間処理後、培地をフレッシュな培地に交換した。オリゴヌクレオチド処理後16〜24時間後に細胞を回収した。
【0167】
使用したオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞株ごとに変化させる。特定の細胞株に対する最適オリゴヌクレオチド濃度を決定するため、細胞をある濃度範囲の陽性対照オリゴヌクレオチドにより処理する。ヒト細胞については、陽性対照オリゴヌクレオチドは、ヒトH-rasを標的とする、ISIS 13920、
【0168】
【化3】

【0169】
または、ヒトJun-N末端キナーゼ-2(JNK2)を標的とする、ISIS 18078、
【0170】
【化4】

【0171】
のいずれかから選択される。両方の対照とも、ホスホロチオエートバックボーンを有する2'-O-メトキシエチルギャップマー(2'-O-メトキシエチルは太字で示した)である。マウスまたはラット細胞については、陽性対照オリゴヌクレオチドは、マウスc-rafおよびラットc-rafの両方を標的とし、ホスホロチオエートバックボーンを有する2'-O-メトキシエチルギャップマー(2'-O-メトキシエチルは太字で示した)である、ISIS 15770、
【0172】
【化5】

【0173】
である。c-Ha-ras(ISIS 13920)mRNA、JNK2(ISIS 18078)mRNA、またはc-raf(ISIS 15770)mRNAの80%の阻害を引き起こす陽性対照オリゴヌクレオチドの濃度を、その細胞株について引き続いて実験する際に新規オリゴヌクレオチドについてのスクリーニング濃度として利用する。80%の阻害が達成されない場合、c-H-ras、JNK2またはc-raf mRNAの60%の阻害を引き起こす陽性対照オリゴヌクレオチドの最低濃度を、その細胞株について引き続いて実験する際にオリゴヌクレオチドスクリーニング濃度として利用する。60%の阻害が達成されない場合、その特定の細胞株はオリゴヌクレオチドトランスフェクション実験については適していないものと判断する。本明細書中で使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は、50 nM〜300 nMである。
【0174】
実施例10:成長ホルモン受容体発現のオリゴヌクレオチド阻害の分析
成長ホルモン受容体発現のアンチセンスモジュレーションは、当該技術分野において知られる様々な方法でアッセイすることができる。例えば、成長ホルモン受容体mRNAレベルは、例えばノザンブロット分析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、あるいは、リアルタイムPCR(RT-PCR)により、定量することができる。リアルタイム定量PCRが現在のところ好ましい。RNA分析は、全細胞内RNA、あるいは、ポリ(A)+mRNAについて行うことができる。本発明のRNA解析の好ましい方法は、本明細書中の他の実施例に記載する様な、全細胞内RNAを使用するものである。RNA単離の方法は、当該技術分野において周知である。ノザンブロット分析もまた、当該技術分野においては、日常的な方法である。リアルタイム定量(PCR)は、PE-Applied Biosystems(Foster City, CA)から入手可能な、市販のABI PRISMTM 7600、7700または7900 Sequence Detection Systemを使用することにより、都合よく成し遂げることができ、そして、製造者の指示に従って使用される。
【0175】
成長ホルモン受容体のタンパク質レベルは、免疫沈降、ウエスタンブロット分析(イムノブロット)、酵素-結合型イムノソルベントアッセイ(ELISA)、あるいは、蛍光活性化細胞分取器(FACS)といった、当該技術分野において周知である様々な手法により定量することができる。成長ホルモン受容体に対する抗体は、MSRSの抗体カタログ(Aerie Corporation, Birmingham, MI)といった様々な供給者から、特定されそして入手することが可能であり、または、当該技術分野において周知の従来からのモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体作成方法により調製することができる。
【0176】
成長ホルモン受容体の発現の減少は、血清またはその他の体液、組織または器官中のインスリン様成長因子-Iの減少を測定することにより、間接的に測定することもまたできる。
【0177】
実施例11:成長ホルモン受容体阻害剤を使用するための、表現型アッセイおよびin vivo研究の計画
表現型アッセイ
成長ホルモン受容体阻害剤が、本明細書中に開示される方法によりいったん特定されたら、化合物を1またはそれ以上の表現型アッセイでさらに調べる。それぞれのアッセイは、特定の疾患状態または症状の治療における有効性についての測定可能な最終目標予測を有する。表現型アッセイ、およびそれらに使用するためのキット、および試薬は、当業者に対して周知であり、そして本明細書中では、健康および疾患における成長ホルモン受容体の役割および/または関連性を調べるために使用される。いくつかの商業的供給元のいずれか一つから購入することができる代表的な表現型アッセイには、細胞生存率、細胞傷害性、増殖または細胞生存を測定するためのもの(Molecular Probes, Eugene, OR;PerkinElmer, Boston, MA)、酵素的アッセイを含むタンパク質ベースのアッセイ(Panvera, LLC, Madison, WI;BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ;Oncogene Research Products, San Diego, CA)、細胞制御、シグナル伝達、炎症、酸化プロセス、およびアポトーシスに関するもの(Assay Designs Inc., Ann Arbor, MI)、トリグリセリド蓄積に関するもの(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)、血管形成アッセイ、管形成アッセイ、サイトカインおよびホルモンアッセイおよび代謝アッセイに関するもの(Chemicon International Inc., Temecula, CA;Amersham Biosciences, Piscataway, NJ)が含まれる。
【0178】
一つの限定的ではない事例において、特定の表現型アッセイについて適切であると判断された細胞(すなわち、乳癌の研究について選択されるMCF-7細胞;肥満の研究について脂肪細胞)を、in vitro研究から特定された成長ホルモン受容体阻害剤ならびに対照化合物により、上述した方法により決定される最適濃度にて、処理する。処理期間の最後に、処理された細胞および未処理の細胞を、表現型の結論および表現型の最終目標を決定するためのアッセイについて特異的な1またはそれ以上の方法により解析する。
【0179】
表現型の最終目標には、時間または処理用量に対する細胞形態の変化、ならびにタンパク質、脂質、核酸、ホルモン、糖類、または金属などの細胞構成成分のレベルの変化が含まれる。pH、細胞周期のステージ、細胞による生物学的指標の取り込みまたは排出を含む細胞状態の測定値もまた、目的とする最終目標である。
【0180】
処置後の細胞の遺伝子型の解析(1またはそれ以上の細胞遺伝子の発現の測定値)もまた、成長ホルモン受容体阻害剤の効率または潜在力の指標として使用される。特徴的な遺伝子、または特定の疾患状態、症状、または表現型に関連することが疑われる遺伝子を、処理細胞および未処理細胞の両方ともで測定する。
【0181】
In vivo研究
本明細書中に記載するin vivo研究の個々の被験体は、ヒトを含む温血の脊椎動物である。
【0182】
臨床試験は、個体が不必要にリスクに曝されず、そして個体が完全に研究におけるそれらの役割について情報を与えられることを保証する様に、厳しいコントロールのもとにおかれる。治療を受けるという心理的な作用について明らかにするため、ボランティアには、プラセボまたは成長ホルモン受容体阻害剤を無作為に与える。さらに、医師が治療においてバイアスを受けることを防止するため、医師には、彼らが投与している医薬が成長ホルモン受容体阻害剤であるかまたはプラセボであるかについての情報を与えていない。この無作為化アプローチを使用して、各ボランティアは、新しい治療法またはプラセボのいずれかを与えられることについて同一の機会を有している。
【0183】
ボランティアは、示される疾患状態または症状に関連する生物学的パラメータを、最初(いずれかの治療前のベースライン測定値)および最後(最後の治療後)に、そして研究期間中定期的に測定しながら、成長ホルモン受容体阻害剤またはプラセボのいずれかを、8週間の期間にわたり与えられる。そのような測定値には、前処置レベルと比較した、体液、組織または器官中の成長ホルモン受容体をコードする核酸分子レベルまたは成長ホルモン受容体タンパク質レベルが含まれる。その他の測定値には、治療される疾患状態または症状の指標、体重の指標、血圧の指標、疾患または毒性の薬理学的指標の血清力価の指標、ならびにADME(吸収、分布、代謝および排出(absorption, distribution, metabolism and excretion))測定値の指標が含まれるが、これらには限定されない。
【0184】
それぞれの患者について記録された情報には、年齢(歳)、性別、身長(cm)、疾患状態または症状の家族歴(yes/no)、動機付け評価(motivation rating)(いくらか/中程度/高)、および示された疾患または症状に関する以前の治療処置の回数および種類が含まれる。
【0185】
この研究に参加したボランティアは、健康な成人(年齢18歳〜65歳)であり、およびほぼ同数の男性および女性が本研究に参加する。特定の特徴を有するボランティアを、プラセボ処置および成長ホルモン受容体阻害剤処置に均等に分配する。一般的には、プラセボで処置されるボランティアは、処置に対してほとんど反応しないかまたは全く反応せず、一方成長ホルモン受容体阻害剤で処置されるボランティアは、本研究の結論において、それらの疾患状態または症状の指標において肯定的な傾向を示す。
【0186】
実施例12:RNA単離
ポリ(A)+ mRNA単離
ポリ(A)+ mRNAは、Miuraら(Clin. Chem., 1996, 42, 1758-1764)に従って、単離された。ポリ(A)+ mRNA単離のための他の方法は、当該技術分野において日常的なものである。簡潔には、96ウェルプレート上で増殖させた細胞について、細胞から増殖培地を除き、そして、各ウェルを200μLの冷PBSで洗浄した。60μL溶解バッファー(10 mM Tris-HCl、pH 7.6、1 mM EDTA、0.5 M NaCl、0.5%NP-40、20 mMバナジル-リボヌクレオシド複合体)を各ウェルに加え、プレートをゆっくり揺り動かし、そして次に、室温で5分間インキュベートした。溶解物55μLをオリゴd(T)をコートした96ウェルプレート(AGCT Inc., Irvine CA)に移した。プレートを、室温にて60分間インキュベートし、洗浄バッファー(10 mM Tris-HCl pH 7.6、1 mM EDTA、0.3 M NaCl)200μLで3回洗浄した。最後の洗浄の後、プレートをペーパータオルに当てて、余分な洗浄バッファーを取り除き、そしてその後、5分間風乾した。
70℃に前もって熱した、溶出バッファー(5 mM Tris-HCl pH 7.6)60μLを、各ウェルに加え、プレートを90℃ホットプレートで5分間インキュベートし、そして、次に溶出物を新しい96ウェルプレートに移した。
【0187】
100 mmあるいは他の標準的なプレート上で増殖させた細胞は、適切な容量のすべての溶液を用いて、同様に処理し得る。
全RNA単離
全RNAは、Qiagen Inc.(Valencia CA)より購入したRNEASY 96TMキット及びバッファーを用い、製造者の推奨する方法に従って単離した。簡潔には、96ウェルプレート上で増殖させた細胞について、増殖培地を細胞から除き、そして、各ウェルを200μL冷PBSで洗浄した。150μLのバッファーRLTを各ウェルに加え、そして、プレートを20秒間激しく揺り動かした。70%エタノール150μLを次に各ウェルに加え、内容物を3回上下にピペッティングして混ぜた。次に試料を排水回収トレイを備えたQIAVACTMマニホルドに取り付け、そして減圧装置に取り付けた、RNEASY 96TMウェルプレートに移した。減圧は1分間行われた。500μLのバッファーRW1をRNEASY 96TMプレートの各ウェルに加え、15分間インキュベートし、そして、再び減圧を1分間行った。その後、500μLのバッファーRW1をRNEASY 96TMプレートの各ウェルの添加し、そして減圧を2分間行った。その後、1 mLのバッファーRPEをRNEASY 96TMプレートの各ウェルの添加し、そして減圧を90秒間行った。次に、バッファーRPE洗浄を繰り返し、さらに3分間減圧を行った。プレートをQIAVACTMマニホルドから取り外し、そしてペーパータオルにあてて乾燥させた。次に、プレートを、1.2 mL回収チューブを含む、回収チューブラックを備えたQIAVACTMマニホルドにもう一度取り付けた。RNAを次に各ウェル中の140μLのRNAseフリー水をピペッティングすることにより溶出し、1分間インキュベートし、そして次に、3分間減圧を行った。
【0188】
繰り返しのピペッティング及び溶出段階を、QIAGEN Bio-Robot 9604(Qiagen, Inc., Valencia CA)を用いて、自動化することができる。本質的には、培養プレート上で細胞を溶解した後、プレートをロボットデッキに移し、そこで、ピペッティング、DNase処理、及び、溶出段階が実行される。
【0189】
実施例13:成長ホルモン受容体mRNAレベルのリアルタイム定量PCR分析
成長ホルモン受容体mRNAレベルの定量は、ABI PRISMTM 7600、7700、または7900 Sequence Detection System(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA)を製造者の指示に従って使用して、リアルタイム定量PCRにより決定された。これは、閉じられたチューブで、ゲルに基づかず、リアルタイムにポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物のハイスループット定量ができる蛍光検出システムである。PCRが終了した後に、増幅産物が定量される標準的なPCRとは対照的に、リアルタイム定量PCRにおける産物はそれが蓄積するに従って定量される。これは、フォワードPCRプライマー及びリバースPCRプライマーの間に特異的にアニールし、そして2つの蛍光色素を含有するオリゴヌクレオチドをPCR反応物中に含むことにより達せられる。レポーター色素(例えば、PE-Applied Biosystems, Foster City, CA、Operon Technologies Inc., Alameda, CAまたはIntegrated DNA Technologies Inc., Coralville, IAのいずれかから入手可能なFAMあるいはJOE)を、プローブの5'端に結合させ、そして、クエンチャー色素(例えば、PE-Applied Biosystems, Foster City, CA、Operon Technologies Inc., Alameda, CAまたはIntegrated DNA Technologies Inc., Coralville, IAのいずれかから入手可能なTAMRA)を、プローブの3'端に結合させる。プローブ及び色素が無傷なとき、レポーター色素の発光は3'クエンチャー色素の近接により消光される。増幅の間、プローブの標的配列へのアニーリングはTaqポリメラーゼの5'-エキソヌクレアーゼ活性により切断されうる基質を作り出す。PCR増幅サイクルの伸長相の間、Taqポリメラーゼによるプローブの切り出しは、プローブの残りから(そしてつまりクエンチャー成分から)レポーター色素を遊離し、そして、配列特異的な蛍光シグナルが生み出される。各サイクルで、さらなるレポーター色素分子はその対応するプローブから切り出され、そして、蛍光強度は、ABI PRISMTM Sequence Detection Systemに組み込まれるレーザー光学系により、一定の間隔でモニターされる。各アッセイにおいて、未処理の対照試料由来mRNAの希釈系列を含有する一連の並行反応は、試験試料の、アンチセンスオリゴヌクレオチド処理後の阻害パーセントを定量するのに用いられる、標準曲線を生み出す。
【0190】
定量的PCR解析の前に、測定される標的遺伝子に対して特異的なプライマー-プローブセットを、GAPDH増幅反応とともに“多重化”することができる能力について評価する。多重化において、標的遺伝子および内部標準遺伝子GAPDHの両方を、単一サンプル中で同時に増幅する。この解析において、非処理細胞から単離されるmRNAは、階段希釈される。それぞれの希釈物は、GAPDHのみに特異的なプライマー-プローブセットの存在下または標的遺伝子のみに特異的なプライマー-プローブセットの存在下(“単一反応性(single-plexing)”)、もしくは両方に特異的なプライマー-プローブセットの存在下(多重反応性)において増幅させる。PCR増幅の後、GAPDHおよび標的mRNAシグナルの標準曲線を、希釈の関数として、単一反応性サンプルおよび多重反応性サンプルの両方から作成する。多重反応性サンプルから作成されたGAPDHシグナルおよび標的シグナルの傾きおよび相関係数の両方が、単一反応性サンプルから作成されたそれらの対応する値の10%以内に収まる場合には、その標的に対して特異的なプライマー-プローブセットは、多重化可能であるとみなされる。PCRの他の手法もまた、当該技術分野において、既知である。
【0191】
PCR試薬はInvitrogen Corporation(Carlsbad, CA)より入手した。RT-PCR反応は、30μL全RNA溶液(20〜200 ng)を含有する96ウェルプレートに、20μLのPCRカクテル(MgCl2を含まない2.5×PCRバッファー、6.6 mM MgCl2、375μMの各dATP、dCTP、dCTPおよびdGTP、375 nMの各フォワードプライマーおよびリバースプライマー、125 nMのプローブ、4単位のRNAseインヒビター、1.25単位のPLATINUM(商標)Taq、5単位のMuLV逆転写酵素、および2.5×ROX色素)を加えることにより実行した。RT反応は48℃で30分のインキュベーションにより実行された。95℃にて10分間インキュベーションしてPLATINUM(商標)Taqを活性化した後、40サイクルの2-ステップPCRプロトコル:95℃にて15秒間(変性)その後60℃にて1.5分間(アニーリング/伸長)を行った。
【0192】
リアルタイムRT-PCRにより得られた遺伝子標的量は、発現が一定であるGAPDH遺伝子の発現レベルを用いて、またはRiboGreenTM(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR)を使用して全RNAを定量することにより、正規化する。GAPDH発現は、標的と同時に、多重化により、もしくは別々に実行することにより、リアルタイムRT-PCRにより定量される。全RNAは、RiboGreenTMRNA定量試薬(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR)を使用して定量する。RiboGreenTMによるRNAの定量方法は、Jones, L. J.ら(Analytical Biochemistry, 1998, 265, 368-374)の中で教示されている。
【0193】
このアッセイにおいて、170μLのRiboGreenTM標準試薬(10 mM Tris-HCl、1 mM EDTA、pH 7.5中で1:350に希釈したRiboGreenTM試薬)を、30μLの精製細胞RNAを含有する96-ウェルプレート中にピペットで注入する。プレートを、485 nmでの励起および530 nmでの放射を用いて、CytoFluor 4000(PE Applied Biosystems)中で読み取る。
【0194】
刊行物に記載された配列情報(本明細書中でSEQ ID NO: 4として援用されるGenBankアクセッション番号NM_000163.1)を使用して、ヒト成長ホルモン受容体に対するプローブおよびプライマーを、ヒト成長ホルモン受容体配列にハイブリダイズするように設計した。ヒト成長ホルモン受容体について、PCRプライマーは:
フォワードプライマー:GATGTCCCAATGTGACATGCA(SEQ ID NO: 5)、
リバースプライマー:AAGTAGGCATTGTCCATAAGGAAGTT(SEQ ID NO: 6)、および
PCRプローブ:FAM-CCGGAAATGGTCTCACTCTGCCAAGA-TAMRA(SEQ ID NO: 7)、であり、ここでFAMは蛍光色素であり、そして、TAMRAはクエンチャー色素である。ヒトGAPDH用のPCRプライマーは:
フォワードプライマー:GAAGGTGAAGGTCGGAGTC(SEQ ID NO: 8)、
リバースプライマー:GAAGATGGTGATGGGATTTC(SEQ ID NO: 9)であり、及び
PCRプローブは:5' JOE-CAAGCTTCCCGTTCTCAGCC-TAMRA 3'(SEQ ID NO: 10)、
であり、JOEは蛍光レポーター色素であり、そして、TAMRAはクエンチャー色素である。
【0195】
刊行物に記載された配列情報(本明細書中でSEQ ID NO: 11として援用されるGenBankアクセッション番号NM_010284.1)を使用して、マウス成長ホルモン受容体に対するプローブおよびプライマーを、マウス成長ホルモン受容体配列にハイブリダイズするように設計した。マウス成長ホルモン受容体について、PCRプライマーは:
フォワードプライマー:TTGACGAAATAGTGCAACCTGATC(SEQ ID NO: 12)、
リバースプライマー:CGAATCCCGGTCAAACTAATG(SEQ ID NO: 13)、および
PCRプローブ:FAM-CATTGGCCTCAACTGGACTTTACTAA-TAMRA(SEQ ID NO: 14)、
であり、ここでFAMは蛍光レポーター色素であり、そして、TAMRAはクエンチャー色素である。マウスGAPDHについてPCRプライマーは:
フォワードプライマー:GGCAAATTCAACGGCACAGT(SEQ ID NO: 15)、
リバースプライマー:GGGTCTCGCTCCTGGAAGAT(SEQ ID NO: 16)であり、及び
PCRプローブは:5' JOE-AAGGCCGAGAATGGGAAGCTTGTCATC-TAMRA 3'(SEQ ID NO: 17)
であり、JOEは蛍光レポーター色素であり、そして、TAMRAはクエンチャー色素である。
【0196】
実施例14:成長ホルモン受容体mRNAレベルのノザンブロット分析
アンチセンス処理の18時間後、単層の細胞を冷PBSで2回洗浄し、そして、1 mL RNAZOLTM(TEL-TEST “B” Inc., Friendswood, TX)中で溶解した。全RNAは製造者が推奨するプロトコルに従って調製した。MOPSバッファーシステム(AMRESCO, Inc. Solon, OH)を用い、1.1%ホルムアルデヒドを含有する1.2%アガロースゲルによる電気泳動により、20μgの全RNAを分離した。Northern/Southern Transferバッファーシステム(TEL-TEST “B” Inc., Friendswood, TX)を使用して、一晩キャピラリートランスファーすることによって、RNAをゲルからHYBONDTM-N+ ナイロンメンブレン(Amersham Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)に移した。RNAのトランスファーは、UV可視化により確認した。メンブレンをSTRATALINKERTMUV Crosslinker 2400(Stratagene, Inc, La Jolla, CA)を使用して、UV架橋により固定し、そしてその後QUICKHYBTMハイブリダイゼーション溶液(Stratagene, La Jolla, CA)を使用して、ストリンジェントな条件についての製造者の推奨を用いて、プローブ化した。
【0197】
ヒト成長ホルモン受容体を検出するため、ヒト成長ホルモン受容体特異的プローブを、フォワードプライマーGATGTCCCAATGTGACATGCA(SEQ ID NO: 5)およびリバースプライマーAAGTAGGCATTGTCCATAAGGAAGTT(SEQ ID NO: 6)を使用したPCRにより調製した。ロード効率及びトランスファー効率における多様性を標準化するため、メンブレンをストリップ化し、そして、ヒトグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)RNA(Clontech, Palo Alto, CA)についてプローブ化した。
【0198】
マウス成長ホルモン受容体を検出するため、マウス成長ホルモン受容体特異的プローブを、フォワードプライマーTTGACGAAATAGTGCAACCTGATC(SEQ ID NO: 12)およびリバースプライマーCGAATCCCGGTCAAACTAATG(SEQ ID NO: 13)を使用したPCRにより調製した。ロード効率及びトランスファー効率における多様性を標準化するため、メンブレンをストリップ化し、そして、マウスグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)RNA(Clontech, Palo Alto, CA)についてプローブ化した。
【0199】
PHOSPHORIMAGERTMおよびIMAGEQUANTTMSoftware V3.3(Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)を用いて、ハイブリダイズしたメンブレンを可視化し、そして、定量した。データは未処理対照におけるGAPDHレベルに標準化した。
【0200】
実施例15:2'-MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒト成長ホルモン受容体発現のアンチセンス阻害
本発明に従って、刊行物に記載された配列(本明細書中でSEQ ID NO: 4として援用されるGenBankアクセッション番号NM_000163.1、および本明細書中でSEQ ID NO: 18として援用されるGenBankアクセッション番号NT_006702.8の配列の位置468085〜502183の相補鎖)を用いて、一連のオリゴヌクレオチドを、ヒト成長ホルモン受容体RNAの異なる領域を標的とするように設計した。化合物は表1に示す。“標的部位”は、化合物が結合する特定の標的配列上の最初の(最も5'側の)ヌクレオチドを示す。表1中のすべての化合物は、長さ20ヌクレオチドのキメラオリゴヌクレオチド(“ギャップマー”)であり、両方の端(5'及び3'方向)を5-ヌクレオチドの“ウィング”によって挟まれた、10個の2'-デオキシヌクレオチドからなる中央“ギャップ”領域から構成される。ウィングは、2'-メトキシエチル(2'-MOE)ヌクレオチドからなる。ヌクレオシド間(バックボーン)結合は、オリゴヌクレオチド全体にわたりホスホロチオエート(P=S)である。全てのシチジン残基は5-メチルシチジンである。化合物を、ヒト成長ホルモン受容体mRNAレベルに対する効果について、本明細書中の他の実施例に記載の通り、定量的リアルタイムPCRにより分析した。データは、MCF7細胞を本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドにより処理した3回の実験からの平均である。それぞれのデータ点についての陽性対照は、SEQ ID NOにより表中に特定する。存在する場合、“N.D.”は“データなし”を示す。
【0201】
【表1−1】

【0202】
【表1−2】

【0203】
【表1−3】

【0204】
表1に示されるように、SEQ ID NO: 19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、73、74、75、76、77、78、79、81、82、83、84、85、86、87、88、89、91、92、93、および94は、このアッセイにおいてヒト成長ホルモン受容体発現の少なくとも45%の阻害を示し、そして従って、好ましい。SEQ ID NO: 30、44および57がより好ましい。
【0205】
ISIS 272322(SEQ ID NO: 57)は、すべての成長ホルモン受容体転写物中に出現する領域であるエクソン10を標的とする。従って、エクソン10を標的とする化合物は、本発明の好ましい態様である。(1または複数の)ヒト転写物中で選択的スプライシングされることが報告されているエクソン3もまた、好ましい標的領域でありうる。
【0206】
表2の好ましいアンチセンス配列が相補的な標的領域は、本明細書中で“好ましい標的部分”と呼ばれ、そして従って本発明の化合物により標的化するために好ましい。これらの好ましい標的部分は、表3に示される。配列は、表1に示される好ましいアンチセンス化合物の逆相補鎖を示す。“標的部位”は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的核酸の最初の(最も5'-末端側)ヌクレオチド番号を示す。それぞれの好ましい標的部分が見いだされた種もまた、表3中に示される。
【0207】
実施例16:2'-MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、マウス成長ホルモン受容体発現のアンチセンス阻害
本発明に従って、2番目の一連のアンチセンス化合物を、刊行物に記載された配列(本明細書中でSEQ ID NO: 11として援用されるGenBankアクセッション番号NM_010284.1、本明細書中でSEQ ID NO: 97として援用される、エクソン1B:エクソン2に由来する選択的スプライシング部位を有するGenBankアクセッション番号AF120480.2の変異体、本明細書中でSEQ ID NO: 98として援用される、エクソン1C:エクソン2に由来する選択的スプライシング部位を有するGenBankアクセッション番号AF120480.2の変異体、本明細書中でSEQ ID NO: 99として援用される、エクソン1D:エクソン2に由来する選択的スプライシング部位を有するGenBankアクセッション番号AF120480.2の変異体、および本明細書中でSEQ ID NO: 100として援用されるゲノム配列に示されるGenBankアクセッション番号AF120480.2およびGenBankアクセッション番号AC073753.1由来の配列)を用いて、マウス成長ホルモン受容体RNAの異なる領域を標的とするように設計した。化合物は表2に示す。“標的部位”は、化合物が結合する特定の標的核酸上の最初の(最も5'側の)ヌクレオチド番号を示す。表2中のすべての化合物は、長さが20ヌクレオチドの、キメラオリゴヌクレオチド(“ギャップマー”)であり、両方の側(5'及び3'方向)を5-ヌクレオチドの“ウィング”によって挟まれた、10個の2'-デオキシヌクレオチドからなる中央“ギャップ”領域から構成される。ウィングは、2'-メトキシエチル(2'-MOE)ヌクレオチドからなる。ヌクレオシド間(バックボーン)結合はオリゴヌクレオチド全体にわたりホスホロチオエート(P=S)である。全てのシチジン残基は5-メチルシチジンである。化合物を、マウス成長ホルモン受容体mRNAレベルに対する効果について、本明細書中の他の実施例に記載の通り、定量的リアルタイムPCRにより分析した。データは、b.END細胞を本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドにより処置した3回の実験からの平均である。それぞれのデータ点についての陽性対照は、SEQ ID NOにより表中に特定する。
存在する場合、“N.D.”は“データなし”を示す。
【0208】
【表2−1】

【0209】
【表2−2】

【0210】
【表2−3】

【0211】
表2において示される様に、SEQ ID NO: 102、103、104、105、106、107、108、110、112、113、114、115、117、120、121、123、124、126、127、129、130、131、135、137、138、140、141、146、147、148、149、150、151、156、および157は、この実験においてマウス成長ホルモン受容体発現の少なくとも50%の阻害を示し、そして従って、好ましい。SEQ ID NO: 104、147、および149がより好ましい。
【0212】
ISIS 227446、227507および227509(SEQ ID NO: 104、147および149)を、用量-反応性の研究に供した。3種の化合物すべてが、それぞれ約25 nM、12.5 nMおよび12.5 nMのIC50を有する良好な用量反応性を示した。
【0213】
表2の好ましいアンチセンス配列が相補的な標的領域は、本明細書中で“好ましい標的部分”と呼ばれ、そして従って本発明の化合物により標的化するために好ましい。これらの好ましい標的部分は、表3に示される。配列は、表2に示される好ましいアンチセンス化合物の逆相補鎖を示す。“標的部位”は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的核酸の最初の(最も5'-末端側)ヌクレオチド番号を示す。それぞれの好ましい標的部分が見いだされた種もまた、表3中に示される。
【0214】
【表3−1】

【0215】
【表3−2】

【0216】
【表3−3】

【0217】
これらの“好ましい標的部分”は、本発明のアンチセンス化合物によるハイブリダイゼーションに開かれており、そして利用可能であることが実験により見いだされたことから、当業者は、たかだか通常の実験を使用して、これらの好ましい標的部分に特異的にハイブリダイズし、そして結果的に成長ホルモン受容体の発現を阻害するその他の化合物を包含する本発明のさらなる態様を認識しうるかまたは確認することができる。
【0218】
本発明に従って、アンチセンス化合物には、アンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、選択的スプライサー、プライマー、プローブ、および標的核酸の少なくとも部分にハイブリダイズするその他の短いオリゴマー化合物が含まれる。
【0219】
実施例17:成長ホルモン受容体タンパク質レベルのウエスタンブロット分析
ウエスタンブロット分析(イムノブロット分析)は標準的な方法を用いて行われる。細胞をオリゴヌクレオチド処理の16〜20時間後に回収し、PBSで1回洗浄し、Laemmliバッファー(100μl/well)に懸濁し、5分間煮沸し、そして、16%SDS-PAGEゲルにロードする。ゲルを1.5時間、150 Vで泳動し、そして、ウエスタンブロットのために、メンブレンにトランスファーする。成長ホルモン受容体に対する適切な一次抗体を、一次抗体の種に対する放射標識した、あるいは、蛍光標識した二次抗体とともに使用する。バンドをPHOSPHORIMAGERTM(Molecular Dynamics, Sunnyvale CA)を使用して、可視化する。
【0220】
実施例18:成長ホルモン受容体に対するアンチセンスを用いて処理した後の動物における血清IGF-Iの減少〜1週間の試験的研究
体重が9〜lO gの40匹のオスBalb/C(a)マウスを、4匹/ケージでケージの中に入れ、そして1週間の研究の開始までの約1週間(Day -7)、新しい同腹子をそれらの環境中に順応させた。この齢のマウスは、成長率が最高であった。それらのマウスの体重は、この期間中2日ごとに測定しそして記録した。マウスが11 gとなったとき(day -2)、血液サンプルを以下に記載する様に麻酔下にて回収し、そして血清IGF-Iアッセイを行い、前処置値を決定し、そして動物の変動性を減少させるためにマウスを処置群に割り当てる際の補助とした。血液サンプルを得るため、動物をペントバルビタール(50 mg/kg腹腔内)を用いて麻酔し、そして非-空腹時血液サンプルを、正確に5分後に、軽いエーテル麻酔下にてヘパリン化毛細管を介して眼球後部血管叢から回収した。40匹の動物を5群に分類し、試験のために各群は同様の体重平均および同様のIGF-I平均濃度を有する様にした。
【0221】
動物(n=8/群)を、以下の5種の処置群:
対照-塩類溶液(2日ごとに1回)、
ASO(成長ホルモン受容体に対するアンチセンス)-ISIS 227446(SEQ ID NO: 104)(2日ごとに1回、3および30 mg/kg)、
ミスマッチ(陰性対照オリゴヌクレオチド)-ISIS 261303(SEQ ID NO: 267、ISIS 227446に対して8-塩基ミスマッチ)(2日ごとに1回、30 mg/kg)、
オクトレオチド(Octreotide)-(25 pg/kg/1日2回)、
に指定した。
【0222】
塩類溶液、アンチセンス、ミスマッチ対照およびオクトレオチドサンプルを調製し、そしてブラインドのためにコード化した。動物に対して、塩類溶液を2日ごとに皮下投与で与え、そしてミスマッチ対照またはアンチセンスをday 0、day 2、day 4、day 6に投与により与えた。動物に対して、毎日2回、25μgのオクトレオチドを与えた。動物を、1週間の期間、4匹/ケージで収容した。マウスは、事前に決められた量の標準的なマウス飼料および水に実験を通じて常に利用できた。マウスは、実験の全体にわたって、静かで、温度および湿度を維持した環境下で、収容した。day 0におよび毎日または2日目の処置前に、動物の体重を測定し、そして食料摂取を測定し、正確な用量の薬剤を投与することを可能にする。動物を、毛並み、皮膚、目、歩行、またはその他の行動の変化について、念入りにモニターした。問題は観察されなかった。day -7〜day 7までの隔日に、体重および食料摂取を測定した。
【0223】
アンチセンスの最終投与の後1日のday 7および/またはオクトレオチド投与の後1日のday 7に、動物をペントバルビタール(50 mg/kg腹腔投与)で麻酔し、そして非-空腹時血液サンプルを、正確に5分後に軽いエーテル麻酔下にてヘパリン化毛細管を介して眼球後部血管叢から回収した(day -7およびday 0)。
【0224】
day -2およびday 7に、血清IGF-I測定を、ラジオイムノアッセイにより行った。結果を表4に示す。血清IGF-Iレベルは、ヒトの治療において、成長ホルモンの生物学的活性の最も幅広く使用される測定値である。過剰な成長ホルモンに対する細胞の反応性を妨害するTrovert、および下垂体からの成長ホルモン分泌を妨害するドーパミンアゴニスト薬物およびオクトレオチドソマトスタチンアンタゴニスト薬物の様に、それを使用して、成長ホルモンアンタゴニスト治療の効率を測定する。
【0225】
【表4】

【0226】
表4に示す様に、成長ホルモン受容体アンチセンス化合物、ISIS 227446(SEQ ID NO: 104、1週間の間1日おきに30 mg/kgで皮下に投与した)は、統計的有意性を生成し、そして対照(塩類溶液)群の55%まで血清IGF-Iを特異的に減少させた。t-検定により、アンチセンス30 mg/kgは、塩類溶液対照(p<0.005)、そしてミスマッチ対照(p<0.01)とは有意に異なった。ミスマッチ対照は、塩類溶液対照(p>0.05)とは有意には異ならなかった。3 mg/kgでは、効果がなかった。30 mg/kgのアンチセンスを1日おきに使用する本研究において血清IGF-Iレベルが45%の減少したことは、毎日10 mg/kgのTrovertを使用して得られた結果と匹敵する(Van Neck et al., J. Endocrinol., 2000, 167, 295-303)。
【0227】
陰性対照の8-ヌクレオチドミスマッチオリゴヌクレオチドISIS 261303(SEQ ID NO: 267)は、対照塩類溶液群と比較して血清IGF-Iを21%減少させた。しかしながら、この減少は、統計的に有意なものではなかった(p>0.05を有する)。オクトレオチドをそれぞれ25μg、1日2回投与した場合、day 7に血清IGF-Iレベルに対して何の効果も無かった。オクトレオチドを用いて得られた効果なしは、糖尿病マウスにおいて、day 7にこの用量およびこの用量の2回投与を使用するGroenbaekら(J. Endocrinol., 2002,172, 637-643)により報告されたデータと一致している。糖尿病動物においては、50μgのオクトレオチドを1日2回、2週間投与することが、sIGF-Iレベルを減少させるために必要とされる。
【0228】
このように、成長ホルモン受容体のアンチセンス阻害剤は、ここで、対照と比較して血清インスリン様成長因子-Iレベルを45%、特異的に減少させることが示された。オクトレオチドまたはTrovertを使用して同様のレベルまで血清インスリン様成長因子-Iを減少させることは、臨床的には、先端肥大症、巨人症、年齢に関連する黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病、および成長ホルモン依存性腫瘍、および上述したIGF-I-依存性腫瘍を含む疾患の治療することに関連する。このように、アンチセンス治療は、成長ホルモン/インスリン様成長因子-I軸に関連する症状を治療するために、療法的に有用であると考えられる。
【0229】
インスリン様成長因子-1アッセイの後の残った血清を分離し、そして-80℃にて保存した。全肝臓を急いで取り出し、秤量して液体窒素中に浸漬することにより、表示を付けたアルミニウム容器中で急速凍結させた。腎臓および脾臓もまた、液体窒素中で急速凍結させ、冷凍庫の中で-80℃で保存した。屠体を秤量し、そしてその後手頃なプラスチック袋の中に入れ、ドライアイス上で急速冷凍させ、そして-80℃で保存した。
【0230】
30 mg/kgのアンチセンスでの血清インスリン様成長因子-Iの減少は、この期間にわたって体重または器官重量に影響を与える程に十分ではなかった。このことから、他の研究者の刊行物に記載された結果が確認される(Van Neck et al., J Endocrinol., 2000, 167, 295-303)。この研究を全体的に見ると、研究期間中の体長の増加は、7.5〜10%の範囲であった。尾の長さの増加は、全体の長さの増加に比例していた。食料摂取は、治療群間で有意には相違しなかった。成長(体長および体重)は、いずれの処置によっても影響を受けなかった。体重は、2種類の方法:重量増(生きている動物)および最終的な屠体重量で測定した。オクトレオチド群について肝臓重量(g/全体重)がわずかに増加した以外は、絶対的な肝臓重量は変化しなかった。その他の器官の重量は、影響を受けなかった。これらの知見は、成長ホルモン受容体アンチセンスによって見いだされた様に肝臓重量がTrovertにより影響を受けなかった点を除き、van Neckらにより報告されたTrovertを用いた知見と類似していた。
【0231】
本発明者らのここでの研究由来の組織サンプルにおける成長ホルモン受容体mRNAレベルは、RNase H-ベースのアンチセンス作用機構について試験するため、肝臓および腎臓からアッセイされる。本発明者らのここでの研究由来の組織サンプル中でのウェスタンアッセイまたは結合アッセイによる成長ホルモン受容体タンパク質レベルは、追加的なアンチセンス作用機構および/または代替的なアンチセンス作用機構について試験するため、肝臓および/または腎臓からアッセイされる。Sjogrenら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1999, 96, 7088-7092)の成長ホルモン受容体ノックアウト動物において示されるように、肝臓は、血清インスリン様成長因子-Iレベルの75%に寄与する。ウェスタンブロットおよびノザンブロット全RNA解析または定量的PCRによる肝臓および腎臓のインスリン様成長因子-Iのサンプル解析もまた、当業者により理解されるように行われる。
【0232】
実施例19:成長ホルモン受容体に対するアンチセンスを用いた処置後の動物における成長ホルモン受容体活性の減少
特異的結合アッセイを、ヨウ化ヒト成長ホルモン[125I]hGHを使用して肝臓組織を用いて行った。
【0233】
ミクロソーム膜調製物を、以下の様にして得た。400 mgの組織粉末を、冷ホモジナイズバッファー(50mM Tris/HCl、250mMスクロース、pH 7.4)中でホモジナイズした。これを、3℃にて10分間、2000 rpmで遠心分離にかけ、そして上清を保存した。これを20分間、15,000 rpmで再び遠心分離にかけた。ペレットを、0.5 mlの阻害剤を含むRRAバッファー(50 mM Tris、20 mM MgCl2、pH 7.4)中に再懸濁した。ミクロソーム調製物サンプルを特異的結合アッセイまで、-80℃で保存した。
【0234】
125I]hGH特異的結合アッセイを、以下の様にして行った。4本のガラスチューブを各サンプルについて設定し、2本は(-)用、2本は(+)用であった。異なるサンプルおよび溶液を、それぞれのチューブに以下の様に添加した:(i)0.2 ml RRAバッファー(50 mM Tris、20 mM MgCl2、0.1%BSA、pH 7.4);(ii)0.1 ml膜(1/2または1/4希釈);(iii)(+)チューブにつき0.1 ml bGH(10μg/ml)または(-)チューブにつき0.1 ml RRAバッファー;および(iv)0.1 ml [125I]-hGHトレーサー。
【0235】
サンプルを、4℃にて一晩、震盪させながらインキュベートした。反応を2.5 mlの冷RRAを用いて停止させ、そしてサンプルを4℃にて25分間、2800 rpmで遠心分離にかけた。上清を吸引し、そしてペレットをγ-カウンターを使用して計数した。特異的結合能力を、CPM(-)−CPM(+)として計算した。ミクロソームサンプルのタンパク質含量は、BCAタンパク質アッセイにより決定した。
【0236】
【表5】

【0237】
表5において示されるように、成長ホルモン受容体アンチセンス化合物、ISIS 227446(SEQ ID NO: 104、1週間の間1日おきに30 mg/kgで皮下に投与した)は、統計的有意性を生成し(p<0.05)、そしてそして対照(塩類溶液)群の61%まで成長ホルモン受容体レベル(成長ホルモン結合活性により測定)の特異的減少を引き起こした。陰性対照の8-ヌクレオチドミスマッチオリゴヌクレオチドISIS 261303(SEQ ID NO: 267)は、対照塩類溶液群と比較して作用を何も有さなかった。成長ホルモン受容体のアンチセンス阻害剤は、統計的有意性を生成し(p<0.01)、そして1/2希釈実験において対照(ミスマッチ)群の59%まで成長ホルモン受容体レベルの特異的減少を引き起こした。
【0238】
成長ホルモン受容体レベルの特異的減少は、両方の希釈で、塩類溶液対照およびミスマッチ対照の両方ともと異なり、有意であった(t-検定により)(p<0.05)。
アンチセンス処理後のこれらの成長ホルモン受容体レベル測定値は、30 mg/kgのアンチセンスを1日おきに使用する本発明者らの研究において、対照(塩類溶液)と比較して、血清インスリン様成長因子-Iレベルを45%減少させることと一致している。
【0239】
実施例20:成長ホルモン受容体に対するアンチセンスを用いた処理後の動物における成長ホルモン受容体mRNAレベルおよび血清IGF-Iの減少〜さらに1週間の研究
オスBalb/C(a)マウスを調製し、そして上述の実施例18における様に、解析のためにグループ分けした。
【0240】
動物(n=10/群)を、以下の5種の処置群:
対照-塩類溶液(2日ごとに1回)
ASO(成長ホルモン受容体に対するアンチセンス)-ISIS 227446(SEQ ID NO: 104)(2日ごとに1回、30および50 mg/kg)
無関係な陰性対照オリゴヌクレオチド-ISIS 260120(TTACCGTATGGTTCCTCACT;SEQ ID NO: 268、(2日ごとに1回、50 mg/kg))、
に指定した。
【0241】
上述の実施例18の様に、動物を処置し、そして血清IGF-Iレベルを測定した。簡単に書くと、1週間の研究のあいだ、マウスに対して、塩類溶液を皮下投与により2日ごとに与え、そしてday 0、day 2、day 4、day 6に投与によりミスマッチ対照またはアンチセンスを与えた。day 7に、動物をペントバルビタールで麻酔し、そして非-空腹時血清サンプルを正確に5分後に軽いエーテル麻酔下にてヘパリン化毛細管を介して眼球後部血管叢から回収した。血清IGF-I測定を、day 7にラジオイムノアッセイにより行った。
【0242】
1週間の研究において、成長ホルモン受容体アンチセンス阻害剤ISIS 227446は、50 mg/kg用量で、塩類溶液対照と比較して33%(p<0.001)、そして無関係対照と比較して20%(p<0.068)、血清IGF-Iを減少させた。50 mg/kg用量の無関係対照は、塩類溶液と比較して血清IGF-Iを17%減少させた(p>0.05)。
【0243】
この1週間の研究において処置マウスおよび非処置マウス由来の肝臓組織サンプル中の成長ホルモン受容体mRNAレベルを、アッセイした。成長ホルモン受容体アンチセンス阻害剤ISIS 227446は、1週間の研究の後、肝臓中の成長ホルモン受容体mRNAレベルを、50 mg/kg用量で、塩類溶液対照と比較して72%減少させた(p<0.0001)。30 mg/kg用量のISIS 227446は、成長ホルモン受容体mRNAの50%の減少を生じた(p<0.0001)。無関係対照オリゴヌクレオチドISIS 260120(50 mg/kg)は、成長ホルモン受容体mRNAレベルを、約15%減少させた(p>0.05)。
【0244】
実施例21:成長ホルモン受容体に対するアンチセンスを用いた処置後の動物における成長ホルモン受容体mRNAレベルおよび血清IGF-Iの減少〜2週間の研究
2週間の研究を、実施例18における1週間の研究と同様の方法で、今回はISIS 227446を、3、5、10、20および30 mg/kgの用量で使用して、行った。ミスマッチ対照を同一用量で与えた。マウスを、14日間、1日おきに、アンチセンス化合物または塩類溶液で処置した。
【0245】
表6は、14日間処置したマウスにおける血清IGF-Iレベルを示す。P-値は、t-検定により決定された。
【0246】
【表6】

【0247】
14日目の血清IGF-Iの減少は、3 mg/kgと比較して、>10 mg/kgで得られたレベルの39〜43%の減少を伴う用量に依存した。3 mg/kgの用量のISIS 227446は、血清IGF-Iレベルに対して何の効果も有さず、そして塩類溶液(未処置)対照(別の実験において示される)と同等であった。
【0248】
ミスマッチ対照では、血清IGF-Iレベルの減少が低かった。これらの結果は、表7中に示される。2週間の時点にミスマッチオリゴヌクレオチドで観察された30 mg/kgの作用は、無関係の陰性対照オリゴヌクレオチド(ISIS 260120;SEQ ID NO: 268)では観察されなかった。
【0249】
【表7】

【0250】
この2週間の研究での処置マウスおよび未処置マウス由来の肝臓組織サンプル中での成長ホルモン受容体mRNAレベルをアッセイした。成長ホルモン受容体アンチセンス阻害剤ISIS 227446は、20 mg/kg用量で、塩類溶液対照と比較して、2週間の研究の後、肝臓における成長ホルモン受容体mRNAレベルを50%減少させた(p<0.001)。30 mg/kg用量のISIS 227446は、成長ホルモン受容体mRNAの53%の減少を生じた(p<0.0001)。ミスマッチ対照オリゴヌクレオチドISIS 261303(SEQ ID NO: 267)は、30 mg/kgで、成長ホルモン受容体mRNAレベルを約3%減少させた。
【0251】
実施例22:網膜症に対する成長ホルモン受容体のアンチセンス阻害の作用
未熟児の網膜症は、極低出生児体重の新生児において失明を引き起こす可能性がある血管新生障害である。網膜症(異常血管形成)は、例えば、保育器の中で見られる様な相対的に高い酸素レベルにより引き起こされる。網膜症(網膜における異常血管形成)のマウスモデルを使用して、血管新生の程度に対する薬物の作用を研究する。
【0252】
7日齢のマウスを、出生後day 7〜day 12のあいだ、75%酸素中に授乳中の母親と一緒に保育器に入れ、文献(Smith et al., 1994, Invest Ophthalmol Vis Sci 35, 101-111;Robinson et al., Proc Natl Acad Sci U S A., 1996, May 14; 93, 4851-6)に記載される様に、酸素により引き起こされる網膜症を引き起こす。動物を酸素下におくあいだ、酸素濃度を少なくとも毎日測定する。出生後day 12に、動物を通常大気に戻す。動物を、最大の血管新生が観察される出生後day 17に犠死させる。
【0253】
出生後day 12、day 13、day 14、day 15、およびday 16またはday 7、day 8、day 9、day 11、day 13、day 15およびday 17に、マウスにアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与する。オリゴヌクレオチドを、腹腔内に、5、10、20および30 mg/kgの濃度で投与する。ミスマッチ対照ISIS 261303および/または無関係な陰性アンチセンス対照ISIS 260120もまた、与える。
【0254】
実施例23:追加のモデル
以下の病理学的動物モデルにおいてそしてヒトにおいて、当業者により理解される様に、成長ホルモン受容体のアンチセンス阻害剤を使用する研究もまた行われる:I型およびII型糖尿病性腎症モデル、癌モデル、関節炎モデル、および化学療法により引き起こされる下痢モデル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長ホルモン受容体をコードする核酸分子を標的とする長さ8〜80核酸塩基の化合物であって、成長ホルモン受容体をコードする前記核酸分子(SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 18)と特異的にハイブリダイズし、そして成長ホルモン受容体の発現を阻害する、前記化合物。
【請求項2】
長さ12〜50核酸塩基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
長さ15〜30核酸塩基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドを含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドがDNAオリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドがRNAオリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
オリゴヌクレオチドがキメラオリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
短い干渉RNA(siRNA)分子である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
成長ホルモン受容体をコードする核酸分子(SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 18)と、少なくとも70%の相補性を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
成長ホルモン受容体をコードする核酸分子(SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 18)と、少なくとも80%の相補性を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
成長ホルモン受容体をコードする核酸分子(SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 18)と、少なくとも90%の相補性を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
成長ホルモン受容体をコードする核酸分子(SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 18)と、少なくとも95%の相補性を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
SEQ ID NO: 19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、73、74、75、76、77、78、79、81、82、83、84、85、86、87、88、89、91、92、93または94の少なくとも8-核酸塩基部分を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
オリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO: 19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、73、74、75、76、77、78、79、81、82、83、84、85、86、87、88、89、91、92、93および94から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
オリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO: 30、44および57から選択される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
成長ホルモン受容体(SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 18)をコードする領域に特異的にハイブリダイズし、この領域、またはその部分または部位が、翻訳開始コドン、停止コドン、コード領域、5'非翻訳領域、3'非翻訳領域、イントロン:エクソン結合部、またはエクソン:イントロン結合部を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
核酸分子の領域、部分または部位が、SEQ ID NO: 161〜232から選択される配列の少なくとも8-核酸塩基部分を含む、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
成長ホルモン受容体の発現を少なくとも45%阻害する、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、糖部分、または核酸塩基を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
少なくとも1つの2'-O-メトキシエチル糖部分を有する、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を有する、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
少なくとも1つの5-メチルシトシンを有する、請求項20に記載の化合物。
【請求項24】
細胞または組織における成長ホルモン受容体の発現を阻害する方法であって、前記細胞または組織を請求項1に記載の化合物と接触させることを含む、前記方法。
【請求項25】
成長ホルモン受容体のモジュレータをスクリーニングする方法であって、以下の工程:
a)成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の好ましい標的部分を、成長ホルモン受容体の1またはそれ以上の候補モジュレータと接触させる工程;そして
b)成長ホルモン受容体の発現をモジュレートする、成長ホルモン受容体発現の1またはそれ以上のモジュレータを同定する工程;
を含む、前記方法。
【請求項26】
成長ホルモン受容体発現のモジュレータが、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、DNAオリゴヌクレオチド、RNAオリゴヌクレオチド、RNAとハイブリダイズしてオリゴヌクレオチド-RNA二本鎖を形成することができる前記RNAオリゴヌクレオチドの少なくとも部分を有するRNAオリゴヌクレオチド、またはキメラオリゴヌクレオチドを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
成長ホルモン受容体のシグナル伝達、活性、または発現の既知阻害剤、または成長ホルモン/インスリン様成長因子軸の既知阻害剤に関連する成長ホルモン受容体の候補モジュレータを“ベンチマークテスト”することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
成長ホルモン受容体シグナル伝達、活性または発現の既知阻害剤が、ドーパミンアゴニスト、ソマトスタチン類似体または成長ホルモン受容体アンタゴニストである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
成長ホルモン受容体のシグナル伝達、活性または発現の既知阻害剤が、Trovert、オクトレオチド(octreotide)、Sandostatin、メシル酸ブロモクリプチン(bromocriptine mesylate)、またはカベルゴリン(cabergoline)、または請求項1の化合物である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
サンプル中の成長ホルモン受容体の存在を、SEQ ID NOs 5または6を含む少なくとも1つのプライマー、またはSEQ ID NO 7を含むプローブを使用して同定することを含む、疾患状態を同定するための診断方法。
【請求項31】
請求項1の化合物を含む、キットまたはアッセイデバイス。
【請求項32】
成長ホルモン受容体のシグナル伝達または成長ホルモン/インスリン様成長因子軸に関連する疾患または症状を有する動物を治療する方法であって、前記動物に対して、成長ホルモン受容体またはインスリン様成長因子レベルまたは発現をモジュレートすることができる治療的または予防的有効量のオリゴヌクレオチドを投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
オリゴヌクレオチドが、請求項1に記載の化合物である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患または症状疾患または症状が、先端肥大症、巨人症、癌、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、異所性血管新生、異所性血管形成、黄斑変性、リウマチ性関節炎、または短寿命である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
動物がヒトである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
細胞または組織におけるインスリン様成長因子-1の発現を阻害する方法であって、前記細胞または組織を、請求項1に記載の化合物と接触させ、それにより成長ホルモン受容体の発現およびインスリン様成長因子-1の発現を阻害することを含む、前記方法。
【請求項37】
成長ホルモン受容体のシグナル伝達のモジュレータをスクリーニングする方法であって、以下の工程:
a)成長ホルモン受容体をコードする核酸分子の好ましい標的部分を、成長ホルモン受容体の1またはそれ以上の候補モジュレータと接触させる工程;そして
b)成長ホルモン受容体のシグナル伝達をモジュレートする成長ホルモン受容体発現の1またはそれ以上のモジュレータを同定する工程;
を含む、前記方法。
【請求項38】
成長ホルモン受容体発現のモジュレータが、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、DNAオリゴヌクレオチド、RNAオリゴヌクレオチド、RNAとハイブリダイズしてオリゴヌクレオチド-RNA二本鎖を形成することができる前記RNAオリゴヌクレオチドの少なくとも部分を有するRNAオリゴヌクレオチド、またはキメラオリゴヌクレオチドを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
成長ホルモン受容体発現のモジュレータが、インスリン様成長因子-1発現をモジュレートする、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
成長ホルモン受容体シグナル伝達、活性または発現の既知阻害剤、または成長ホルモン/インスリン様成長因子軸の既知阻害剤に関連する成長ホルモン受容体の候補モジュレータを“ベンチマークテスト”することを更に含む、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
成長ホルモン受容体シグナル伝達、活性または発現の既知阻害剤が、ドーパミンアゴニスト、ソマトスタチン類似体または成長ホルモン受容体アンタゴニストである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
成長ホルモン受容体シグナル伝達、活性または発現の既知阻害剤が、Trovert、オクトレオチド、Sandostatin、メシル酸ブロモクリプチン、またはカベルゴリンもしくは請求項1の化合物である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
成長ホルモン受容体のシグナル伝達と関連する疾患または症状の治療のための医薬の製造における、成長ホルモン受容体をコードする核酸分子を標的とする化合物の使用。
【請求項44】
成長ホルモン受容体をコードする核酸分子を標的とする化合物が、成長ホルモンをコードする核酸分子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項43に記載の使用。
【請求項45】
疾患または症状が、先端肥大症、巨人症、癌、糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、異所性血管新生、異所性血管形成、黄斑変性、リウマチ性関節炎、または短寿命である、請求項43に記載の使用。

【公表番号】特表2007−524373(P2007−524373A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508878(P2006−508878)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/005896
【国際公開番号】WO2004/078922
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(595104323)アイシス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド (53)
【出願人】(506078529)アンチセンス・セラピューティックス・リミテッド・プロプライアタリー (2)
【Fターム(参考)】