説明

所在データ取得装置及びプログラム

【課題】 屋外に保管される多数の物品の所在を管理する場合に、事前に測量の必要なく、任意の位置においた物品の所在管理を可能にし、調査と所要物品の検索の手間を軽減でき、かつ、精度の高い物品の所在の把握を可能にする所在データ管理システムを提供する。
【解決手段】 所在データ取得装置10は、物品に取り付けられたICタグ、バーコード、2次元コードなどによる識別情報を読み取る読取手段と、前記物品の位置情報を獲得する位置情報獲得手段と、位置情報と識別情報とを関連付けて記憶する記憶部とを有する。コンピュータ6は、所在データ取得装置10から関連付けられた識別情報と位置情報とを受信し、位置情報が示す位置を含む所定の範囲の座標領域を生成してディスプレイ7に表示させ、座標領域内に物品の位置を示す標識を表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の所在を管理、把握するための所在データ取得装置及び所在データ管理システムに関し、特に、建設現場や自衛隊の演習場のような屋外のある区域に保管された多数の物品から特定の物品の所在を的確かつ速やかに把握するための所在データ取得装置及び所在データ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場の設営や自衛隊の演習場等では、事前に測量を行い必要な資材等の物品を屋外のある区域を保管場所と定めて保管、管理を行う。このような場合には、その区域にロープを張ったり、立て札を立てたりして置いた物品の識別を可能にするのが一般的である。
【0003】
また、本発明に関連した先行技術として特許文献1の「所在確認対象物の所在確認システム」がある。
特許文献1の「所在確認対象物の所在確認システム」は、図8のように、コンピュータ31と、RFID(Radio Frequency−Identification)タグデータ読取機32と、GPS受信機33と、情報通信ネットワーク34とから構成される。
【0004】
特許文献1では自発的に発信する機能を有するRFIDタグ35が各物品36に取り付けられている。RFIDタグデータ読取機32は、コンピュータ31から読取指令信号を受信して、RFIDタグ35から発信されたタグ識別データを読み取る。この読み取られたタグ識別データは、GPS受信機33により獲得された位置情報と共に、情報通信ネットワーク34を介してコンピュータ31に送信される。コンピュータ31は、予め記憶されたタグ識別データと、受信したタグ識別データとを対応させて物品36の所在確認を行う。
【0005】
【特許文献1】特開2002−216086、「所在確認対象物の所在確認システム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、物品保管区域にロープを張ったり、立て札を立てたりして物品の所在を管理する方法では、ある物品が必要となった時に、各立て札を確認して物品の所在を確認するので、通常は瞬時にその物品の保管場所を確認することはできず、ある程度時間がかかる。従って、ある物品が緊急に必要となった場合には、この物品所在管理では不都合が生じる。
【0007】
また、特許文献1の所在確認システムの場合には、図8に示されるように、RFIDタグデータ読取機32の付近に物品36を配置していなければならず、物品の数が増加するとRFIDタグデータ読取機の数も増やさなければならず不便である。また、屋外で多数の物品の所在を管理するためにこの所在確認システムを使用する場合には、RFIDタグデータ読取機を屋外に多数適当な位置に配置しなければならない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、屋外に保管される多数の物品の所在を管理する場合などに、任意の位置においた物品の所在管理を簡単にし、かつ、所要物品の検索の手間を軽減できる所在データ取得装置及びプログラムを提供することにある。
また、本発明の目的は、屋外に保管される多数の物品の所在を管理する場合などに、事前に測量の必要なく、物品の所在を精度高く把握できる所在データ取得装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明によると、物品に取り付けられた識別情報を読み取る読取手段と、前記物品の位置に関する位置情報を獲得する位置情報獲得手段と、前記読み取られた識別情報と前記獲得した位置情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、を有することを特徴とする所在データ取得装置が提供される。
【0010】
これにより、例えば屋外に物品を保管する場合に、所在データ取得装置の読取手段が物品の識別情報を読み取り、所在データ取得装置の位置情報獲得手段が位置情報を獲得し、この識別情報と位置情報が互いに関連付けられて記憶部に記憶される。従って、簡単に、物品の所在を表すデータを取得できる。また、多数の物品を屋外に保管する場合にも、所在データ取得装置により各物品の識別情報と位置情報とを互いに関連付けて取得できるので、簡単に多数の物品を非常に効率よく管理できる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によると、所在データ取得装置は、前記互いに関連付けられた識別情報と位置情報とを所定のコンピュータへ送信する通信手段を有する。
【0012】
これにより、識別情報と位置情報が所定のコンピュータへ送信されるので、物品の所在を所定のコンピュータにおいて管理することができる。また、所在データ取得装置で物品の識別情報と位置情報を獲得する度に、コンピュータへ送信するか、又は、多数の物品の識別情報と位置情報とをまとめてコンピュータへ送信できる。従って、屋外に多数の物品を保管する場合に、物品の所在データを取得、管理するのに非常に便利である。
【0013】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記読取手段が既に読み取った識別情報を再度読み取った時に、前記位置情報獲得手段は前記物品の位置情報を再獲得し、前記記憶手段は、再度読み取った識別情報と前記再獲得した位置情報とを互いに関連付けて新たに記憶するように、前記記憶済み識別情報と位置情報を更新する。
【0014】
これにより、保管場所を変更した物品の位置情報が更新されるので、保管場所が変更された物品の所在管理を容易に行うことができる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によると、前記位置情報獲得手段は、前記位置情報としてGPS信号を受信するGPS受信機を有する。これにより、GPS信号を位置情報として獲得するので、物品の位置を高精度で把握できる。
【0016】
好ましくは、所在データ取得装置は、前記互いに関連付けられた識別情報と位置情報とに基づいて、前記位置情報が示す位置を含む所定の範囲の座標領域を生成して表示し、生成された座標領域上に前記物品の位置を示す標識を表示する表示手段とを有する。
【0017】
これにより、所在データ取得装置の表示手段により物品の位置が座標領域内に表示されるので、簡単に物品の所在を把握できる。
【0018】
また、好ましくは、前記読取手段が新たな物品に取付けられた識別情報を読み取ると共に、前記位置情報獲得手段が前記新たな物品の位置情報を獲得した場合には、前記表示手段は、新たな物品の位置が前記生成済みの座標領域内になければ、生成済みの座標領域内に表示されていた物品の位置だけでなく新たな物品の位置も含むように座標領域を再生成して表示し、再生成された座標領域上に、既に表示されていた物品の位置を示す標識だけでなく新たな物品を示す標識も表示する。
【0019】
これにより、位置情報が獲得されたすべての物品の位置が含まれるように座標領域が生成され表示されるので、多数の物品の位置を座標領域上で一度に把握できる。
【0020】
好ましくは、前記所在データ取得装置は、操作者が前記物品の位置を示す標識のいずれかを選択することができるようにし、選択された標識が示す物品の識別情報及び位置情報を前記記憶手段から削除する所在データ削除手段を有する。
【0021】
これにより、保管をしなくなった物品の識別情報及び位置情報を削除して適切にデータの整理ができる。
【0022】
また、別の実施形態によると、前記位置情報獲得手段は、前記物品の位置に関する画像データを前記位置情報として獲得するカメラを有する。
【0023】
これにより、例えばディジタルカメラ等のカメラで所定の場所に置いた物品を直接撮影したり、保管場所の目印となる物を撮影して画像データを獲得できる。この画像データを位置情報として物品の識別情報と関連付けるので、所望の物品を検索するときに、画像データをディスプレイなどに表示させて、この画像データ内の背景や目印から物品の保管場所を確認することで保管場所を容易に把握することができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態によると、前記識別情報は前記物品に取付けられたICタグに記憶されており、前記読取手段は該ICタグから識別情報を読み取るICタグリーダである
【0025】
また、本発明の好ましい実施形態によると、前記識別情報はバーコード又は2次元コードとして前記物品に取り付けられており、前記読取手段は該バーコード又は2次元コードから識別情報を読み取るコードリーダである。
【0026】
さらに、本発明によると、互いに関連付けられた物品の識別情報と該物品に関する位置情報が受信された場合に、該位置情報を記憶部に記憶する処理と、前記位置情報が示す位置を含む所定の範囲の座標領域を生成してディスプレイに表示させ、生成された座標領域上に前記物品の位置を示す標識を表示させる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
【0027】
また、本発明の実施形態によると、互いに関連付けられた新たな物品の識別情報と該新たな物品に関する位置情報とが受信され記憶部に記憶された場合に、前記プログラムは、新たな物品の位置が前記生成済みの座標領域内になければ、生成済みの座標領域内に表示されていた物品の位置だけでなく新たな物品の位置も含むように座標領域を再生成しディスプレイに表示させ、再生成された座標領域上に、既に表示されていた物品の位置を示す標識だけでなく新たな物品の位置を示す標識も表示させる処理をコンピュータに実行させる。
【0028】
また、好ましくは、前記プログラムは、削除すべき物品に関する削除情報が受信された場合に、該削除情報が示す物品の識別情報及び位置情報を前記記憶部から削除する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0029】
上記本発明によると、読取手段と位置情報獲得手段を有する所在データ読取装置により、任意の位置に置いた多数の物品の所在に関するデータを簡単に取得できる。また、ディスプレイに表示された座標領域上に多数の物品の位置を表示することもできるので、簡単に物品の位置を把握できる。また、多数の物品の所在データを所定のコンピュータに送信して、コンピュータにおいて物品の所在を管理することができる。さらに、位置情報としてGPS信号を用いることで所望物品の位置を正確に把握でき、位置情報として画像データを用いることで所望物品の位置を容易に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下において、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の所在データ取得装置10の実施形態を示す図である。図1の所在データ取得装置10は、ICタグリーダ2と、GPS受信機3と、記憶部(図示せず)と、通信部(図示せず)と、操作部4と、ディスプレイ部5とを有する。所在データ取得装置10はポータブルサイズのものである。
【0031】
ICタグリーダ2は、物品に取付けられたICタグから識別情報を受信する。ICタグは超小型のIC(集積回路)チップと、無線通信用のアンテナを組み合わせた小型装置である。ICタグのICには、このICタグが取り付けられる物品の識別情報が記憶させられ、ICタグリーダ2を物品に取付けられたICタグに近づけて、ICタグリーダ2から電波を放射させる。これによりICタグの無線通信用アンテナから物品の識別情報が含まれた電波を放射させ、これがICタグリーダ2に受信される。このようにして、物品の識別情報を読み取ることができる。なお、ICタグの代わりにバーコード又は2次元コードを物品に取り付けてもよい。この場合には、所在データ取得装置10のICタグリーダの代わりにコードリーダを用いて、バーコード又は2次元コードに記憶された物品の識別情報を読み取る。読取手段がICタグリーダ又はコードリーダにより構成されるが、これに限定されず、識別情報を他の方法で物品に取付け、これを読み取ることができる他の適切な手段で読取手段を構成してもよい。
【0032】
ICタグリーダ2が物品の識別情報を読み取った時に、GPS受信機3は、GPS衛星からGPS信号を位置情報として自動的に受信して所在データ取得装置10の位置、即ち、識別情報を読み取った物品の位置を示すGPS座標を得る。これにより、所在データ取得装置10は、物品の位置、即ち、物品の経度及び緯度の情報を得ることができる。なお、ICタグリーダ2が物品に取付けられたICタグから識別情報を受信した時に、操作者が操作部4を操作することで、GPS受信機3にGPS信号を位置情報として受信させてもよい。
【0033】
記憶部は、所在データ取得装置10に内蔵されたメモリ等の記憶手段である。記憶部は、上述した識別情報と位置情報とを互いに関連付けて記憶する(以下において、互いに関連付けられた物品の識別情報と位置情報を物品の所在データと呼ぶ)。これにより、物品の所在を記憶部に記憶することができる。
【0034】
通信部は、記憶部に記憶された物品の所在データを所定のコンピュータへ送信する。この場合に、2以上の物品の所在データが記憶されている場合には、これらの物品の所在データを同時に所定のコンピュータへ送信してもよい。通信部からコンピュータへの送信は、例えば、USB、シリアル通信、無線などにより行われる。コンピュータは、所在データ取得装置10の通信部から物品の所在データを受信して後述する方法で物品の所在データを登録する。なお、通信部は通信手段を構成する。
【0035】
操作部4は、複数の操作ボタンから構成されている。これらの操作ボタンを操作することで、ICタグリーダ2はICタグから物品の識別情報を読み取ったり、通信部はコンピュータへ所在データを送信したりする。
【0036】
ディスプレイ部5は、所在データ取得装置10の動作状態を表示し、操作者は表示部を見て、ICタグリーダ2による物品の識別情報の読み取り等を実行したり確認したりできる。
【0037】
次に、上述した所在データ取得装置10を用いた所在データ管理システムについて説明する。図2は、本発明の所在データ管理システムの実施形態を示している。この所在データ管理システム20は、例えば建設現場の設営又は自衛隊の演習場において多数の物品を屋外に保管、管理する場合に適用できる。図3は、本発明の実施形態による所在データ取得装置10により行われる処理の流れを示すフローチャートである。所在データ取得装置10に内蔵されたメモリに記憶されたプログラムが、図3の各ブロックに示される処理を所在データ取得装置10に内蔵されたCPUに実行させる。また、図4は、本発明の実施形態によるコンピュータ6により行われる処理の流れを示すフローチャートである。コンピュータ6のメモリ等に記憶されたプログラムが、図4の各ブロックに示された処理をコンピュータ6のCPUに実行させる。
【0038】
本発明による所在データ管理システム20は、複数の場所に多数の物品を配置して保管する場合に適用可能であるが、簡単のため図2のように、物品A、B、Cを異なる位置に配置する場合を想定する。
【0039】
物品A、B、Cにそれぞれの識別情報が記憶されたICタグを取り付けて各物品を図2のように配置した後に、物品A、B、Cの所在データを取得する場合を以下で説明する。しかし、物品A、B、Cを配置しながら所在データを取得してもよい。
【0040】
物品A、B、Cを配置した後、操作者が物品Aの位置へ移動し、そこで、所在データ取得装置10のICタグリーダ2を物品Aに取付けられたICタグに近づけて操作部4を操作することで、図3のステップS1の処理が実行される。即ち、ICタグリーダ2はICタグから物品Aの識別情報を読み取る。この時、図3のステップS2において、GPS受信機3は自動的にGPS信号を位置情報として受信する。識別情報と位置情報を獲得したら、さらに図3のステップS3において、識別情報と位置情報は互いに関連付けられて記憶部に記憶される。また、図3のステップS4の処理が実行されるように、操作者が所在データ取得装置10の操作部4を所定の方法で操作する。これにより通信部はコンピュータ6へ物品Aの所在データを送信し、後述するように物品Aの所在データがコンピュータ6に登録される。
【0041】
次に、操作者は、物品Bの位置まで移動して物品Aに対して行ったのと同様に所在データ取得装置10を操作して、物品Bの所在データを得て所在データ取得装置10から物品Bの所在データをコンピュータ6へ送信する。これを図3のフローチャートで説明すると、物品Aの所在データを送信したステップS4からステップS1へ戻り、物品Bに関してステップ1からステップ4までの処理が実行される。
【0042】
この後、操作者は物品Cの位置まで移動し、同様の操作を実行して物品Cの所在データを得て、これをコンピュータ6へ送信する。これを図3のフローチャートで説明すると、物品Bの所在データを送信したステップS4からステップS1へ戻り、物品Cに関してステップ1からステップ4までの処理が実行される。
【0043】
一方、コンピュータ6は、送信された物品A、B、Cの所在データを受信しそれぞれの所在データの登録を行う。
【0044】
具体的には、図4のステップS11においてコンピュータ6が所在データ取得装置10から物品Aの所在データを受信すると、図4のステップS12の処理が実行される。これにより、受信された所在データはコンピュータ6のメモリなどの記憶部に記憶される。この後、物品Aの所在が簡単に把握できるようにディスプレイ7上でマップ表示とリスト表示が行われる。
【0045】
マップ表示を行うために、コンピュータ6は、ステップS13において、受信した物品Aの所在データに基づいて、所在データが示す物品Aの位置を含む所定の範囲の座標領域を生成する。また、ステップS13においてこの座標領域は、図5に示されるようにコンピュータ6のディスプレイ7に表示され、この座標領域上に物品Aの位置を示す標識、この例では、標識Aが表示される。このようにして、物品Aのマップ表示が行われる。この座標領域は、例えばGPS座標によりグリッド表示された領域である。
【0046】
また、リスト表示を行うために、ステップS14においてコンピュータ6は、受信した物品Aの所在データに基づいて、図5に示されるように、物品Aの識別情報、位置、物品Aに関する情報及び物品Aの所在データ受信日時を、それぞれリスト表示のID、位置、物品情報及び登録日時の欄に表示する。コンピュータ6には、予め各物品の識別情報とID及び物品情報との対応データが記憶されている。この対応データに基づいて、物品AのID及び物品情報が、リスト表示に表示される。このようにして、物品Aのリスト表示が行われる。
【0047】
その後、物品Bの所在データが送信されてくると、コンピュータ6は、これを受信してこの所在データを記憶部に記憶して、物品Bのマップ表示とリスト表示を行う。これを図4のフローチャートで説明すると、物品Aに関してステップS14の処理が実行された後、ステップS11へ戻り、物品Bに関してステップS11からステップS14までの処理が実行される。
物品Bに関するステップS13のマップ表示は次のように行われる。物品Bの所在データが示す物品Bの位置が、物品Aのために既に生成された座標領域内にあれば、物品Bの所在を示す標識、例えば、標識Bが座標領域内に表示される。一方、物品Bが既に生成された座標領域内になければ、コンピュータ6は、図6に示すように物品Aの位置だけでなく物品Bの位置も含むように新たに座標領域を生成して表示し、新たな座標領域上に物品Aの位置と物品Bの位置を示す標識、この例では、標識A、Bを表示する。このようにして、物品Bのマップ表示が行われる。
また、コンピュータ6は、物品Bに関するステップS14のリスト表示を上述した物品Aと同様の方法で行う。即ち、図6のように、物品BのID、位置、物品情報及び登録日時がリストに追加される。このようにして、物品Bのリスト表示が行われる。
【0048】
同様に、物品Cの所在データが送信されてくると、コンピュータ6は、これを受信してこの所在データを記憶部に記憶して、物品Cのマップ表示とリスト表示を行う。これを図4のフローチャートで説明すると、物品Bに関してステップS14の処理が実行された後、ステップS11へ戻り、物品Cに関してステップS11からステップS14までの処理が実行される。
物品Cに関するステップS13のマップ表示は次のように行われる。物品Cの所在データが示す物品Cの位置が、物品A及びBのために既に生成された座標領域内にあれば、物品Cの所在を示す標識、例えば、標識Cが座標領域内に表示される。一方、物品Cが既に生成された座標領域内になければ、コンピュータ6は、図7に示すように物品A、Bの位置だけでなく物品Cの位置も含むように新たに座標領域を生成して表示し、新たな座標領域内に物品A、B及びCの位置を示す標識、この例では、標識A、B、Cを表示する。このようにして、物品Cのマップ表示が行われる。
また、コンピュータ6は、物品Cに関するステップS14のリスト表示は上述した物品A、Bと同様の方法で行う。即ち、図7のように、物品CのID、位置、物品情報及び登録日時がリストに追加される。このようにして、物品Cのリスト表示が行われる。
【0049】
上述では、物品A、B、Cの所在データは、各物品の所在データを得た時点で所在データ取得装置10の通信部によりコンピュータ6へ別々に送信した場合を説明した。しかし、所在データ取得装置10により物品A、B、Cすべての所在データを取得してから、物品A、B、Cの所在データをまとめて所在データ取得装置10からコンピュータ6へ送信してもよい。これを図3のフローチャートで説明すると、ステップS1からステップS3までの処理がそれぞれ物品A、B、Cに関して繰り返して実行され、その後ステップS4の処理が実行されることで物品A、B、Cの所在データがまとめてコンピュータ6へ送信される。
【0050】
この場合には、コンピュータ6は、物品A、B、Cすべての所在データをまとめて受信して、物品A、B及びCのマップ表示とリスト表示を同時に行う。
即ち、図7に示すように物品A、B及びCすべての位置を含むように座標領域が生成、表示され、この座標領域上に物品A、B、Cの位置を示す標識、この例では、標識A、B、Cが表示される。このようにして、物品A、B及びCのマップ表示が行われる。
また、コンピュータ6は、図7のように、物品A、B及びCのID、位置、物品情報及び登録日時をリストに表示させる。このようにして、物品A、B及びCのリスト表示が行われる。
このように、物品A、B、Cすべての所在データをまとめてコンピュータ6へ送信されてきた場合には、図4のフローチャートのステップS11からS14までの処理は物品A、B、Cすべてについて同時に行われる。
【0051】
また、図5、図6、図7の例では、マップ表示とリスト表示の両方が同時にディスプレイ7上に表示されているが、代わりに座標領域、標識、スケール表示などからなるマップ表示のみがディスプレイ7上に表示されていてもよい。この場合には、例えばコンピュータ6に接続されたマウスによりマップ表示の特定部分をクリックすると、この特定部分に対応するリスト表示がディスプレイ7上に表示されるようにしてもよい。例えば、特定部分となる範囲を自由に選択して、この特定部分をクリックすることでこの範囲内に含まれる物品についてリスト表示が行われるようにしてもよい。
【0052】
次に、図7にマップ表示とリスト表示がされた物品A、B、Cのうち例えば、物品Aを保管しなくなったときに、物品Aの所在データをコンピュータの記憶部から削除する場合について説明する。所在データ取得装置10のディスプレイ部5の表示を見ながら操作部4を操作することで、削除すべき物品を選択して、この物品に関する削除情報をコンピュータ6へ送信する。コンピュータ6は、図4のステップS15において削除情報を受信し、ステップS16において、削除情報に基づき削除すべき物品の所在データをコンピュータ6の記憶部から削除する。
また、次の方法で不要になった所在データを削除してもよい。操作者は、例えばコンピュータ6に接続されたマウスを操作して、図7の画面上でカーソルを標識Aの位置へ移動させ、標識Aをクリックする。これにより、例えば「削除」の項目が含まれたメニューがディスプレイ7上に表示される。この「削除」の項目をクリックすると図4のステップS16の処理が実効される。これにより、リスト表示とマップ表示から物品Aについての表示を消去して物品Aの所在データを記憶部から削除する。
このように、必要がなくなった物品Aの所在データを削除してコンピュータ6に登録された所在データを整理することができる。
【0053】
また、既に所在データをコンピュータ6に登録した物品の保管場所を変更した場合には、操作者は再度、所在データ取得装置10を操作することで、ステップS1においてICタグリーダ2は保管場所を変更した物品のICタグから識別情報を読み取ると共に、ステップS2においてGPS受信機3はGPS信号をこの物品の位置情報として獲得する。この場合には、図3のステップS3において、所在データ取得装置10の記憶部にこの物品の変更された保管場所を示す所在データを記憶するように記憶済みのデータが更新される。
【0054】
さらに、操作部4の操作することで、ステップS4においてこの保管場所の変更された物品の所在データを通信部からコンピュータ6に送信する。ステップS11でこの所在データを受信したコンピュータ6は、図4のステップS12からS14の処理を実行し、この物品の所在データを更新して、更新された所在データに基づいて、この物品のマップ表示とリスト表示を行う。
【0055】
次に、所在データ取得装置10にディジタルカメラなどのカメラを設ける場合について説明する。この場合には、所在データ取得装置10が物品の識別情報を読み取った時に、カメラで所定の場所に置いた物品を直接撮影したり、保管場所の目印となる物を撮影して画像データも獲得できる。このように獲得した画像データと前記GPS信号の両方又はいずれか一方を位置情報とすることができる。いずれの場合にも、このような位置情報と上述の識別情報は関連付けてられて所在データ取得装置10の記憶部に所在データとして記憶される。所在データ取得装置10の通信部は、このような所在データをコンピュータ6へ送信し、コンピュータ6はこれを受信して自身の記憶部に記憶する。
前記所在データに画像データが含まれている場合には、どの物品の画像データか分かるようにコンピュータ6のディスプレイ7上に画像データが表示される。GPS信号と画像データの両方が位置情報に含まれている場合には、例えば以下のように画像データが表示される。コンピュータ6は、上述したのと同様にディスプレイ7上に図7のように各物品A、B、Cについてリスト表示及びマップ表示を行い、操作者がコンピュータ6に接続されたマウスを操作してディスプレイ7上に表示されたカーソルを図7の標識Aの位置まで移動させて標識Aをクリックする。これにより、物品Aの画像データが、ディスプレイ7上の他の表示の上に表示される(物品B、Cについても同様である)。このように表示された物品の画像データを見ることで、画像データ中の物品の背景や目印から物品の保管場所を容易に把握することができる。また、上述した所在データ削除手段は、選択された物品の所在データを削除するときに、その物品の画像データも削除する。
画像データを獲得するカメラを、GPS受信機3とともに所在データ取得装置10に設けてよく、GPS信号が必要ない場合には、GPS受信機3の代わりにカメラを在データ取得装置10に設けてもよい。この場合には、上述した実施形態でのGPS信号の代わりに画像データが位置情報として用いられる。
なお、上述では位置情報としてGPS信号及び/又は画像データが用いられたが、他の適切な情報を位置情報として用いてもよい。このような位置情報を獲得するためのGPS受信機、カメラ、他の適切な装置又はこれらの組み合わせは位置情報獲得手段を構成する。
【0056】
また、登録物品数などの他の適当な情報もディスプレイ7上に表示してもよい。
登録物品が多数となっても、リスト表示をスクロールボタンをクリックする等してスクロールさせたり、所望の物品を検索するための検索機能をコンピュータ6に持たせることで、すみやかに所望の物品の所在を知ることができる。
【0057】
このように、本発明によると、上述したコンピュータ6に物品の所在データを管理させておくことができる。従って、ある物品が必要となった時に、コンピュータ6のディスプレイ7上に表示されたデータを見ることで、物品の保管場所を速やかに知ることができる。
【0058】
なお、上述したコンピュータ6のマップ表示機能、リスト表示機能、物品の画像データの表示機能を所在データ取得装置10に持たせてもよい。即ち、所在データ取得装置10のディスプレイ部5に上述した図5、6、7の内容を表示させてもよい。この場合、ある物品の所在データが不要になったときに、操作部4を操作してディスプレイ部5に表示されたこの物品の標識を選択して、これによりこの物品の所在データを所在データ取得装置の記憶部から削除するようにしてもよい。この場合に、不要物品の標識を選択する操作部と、選択された標識が示す物品の所在データを記憶部から削除するためのプログラムは、所在データ削除手段を構成する。さらに上述した物品の画像データをディスプレイ部5に表示させてもよい。これらの機能を実行するためのプログラムを記憶したメモリとCPUが所在データ取得装置10に内蔵される。このCPU、プログラムを記憶したメモリ及びディスプレイ部5は表示手段を構成する。
【0059】
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の所在データ取得装置の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の所在データ管理システムの実施形態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態によるプログラムが所在データ取得装置のCPUに実行させる処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態によるプログラムが管理用のコンピュータに実行させる処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態によるコンピュータのディスプレイ上の表示を示す図である。
【図6】本発明の実施形態によるコンピュータのディスプレイ上の表示を示す図である。
【図7】本発明の実施形態によるコンピュータのディスプレイ上の表示を示す図である。
【図8】特許文献1の「所在確認対象物の所在確認システム」を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
2 ICタグリーダ
3 GPS受信機
4 操作部
5 ディスプレイ部
6 コンピュータ
7 ディスプレイ
10 所在データ取得装置
20 所在データ管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に取り付けられた識別情報を読み取る読取手段と、
前記物品の位置に関する位置情報を獲得する位置情報獲得手段と、
前記読み取られた識別情報と前記獲得した位置情報とを関連付けて記憶する記憶手段と、を有することを特徴とする所在データ取得装置。
【請求項2】
前記互いに関連付けられた識別情報と位置情報とを所定のコンピュータへ送信する通信手段を有することを特徴とする請求項1に記載の所在データ取得装置。
【請求項3】
前記読取手段が既に読み取った識別情報を再度読み取った時に、前記位置情報獲得手段は前記物品の位置情報を再獲得し、
前記記憶手段は、再度読み取った識別情報と前記再獲得した位置情報とを互いに関連付けて新たに記憶するように、前記記憶済み識別情報と位置情報を更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の所在データ取得装置。
【請求項4】
前記位置情報獲得手段は、前記位置情報としてGPS信号を受信するGPS受信機を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の所在データ取得装置。
【請求項5】
前記互いに関連付けられた識別情報と位置情報とに基づいて、前記位置情報が示す位置を含む所定の範囲の座標領域を生成して表示し、生成された座標領域上に前記物品の位置を示す標識を表示する表示手段とを有することを特徴とする請求項4に記載の所在データ取得装置。
【請求項6】
前記読取手段が新たな物品に取付けられた識別情報を読み取ると共に、前記位置情報獲得手段が前記新たな物品の位置情報を獲得した場合には、前記表示手段は、新たな物品の位置が前記生成済みの座標領域内になければ、生成済みの座標領域内に表示されていた物品の位置だけでなく新たな物品の位置も含むように座標領域を再生成して表示し、再生成された座標領域上に、既に表示されていた物品の位置を示す標識だけでなく新たな物品を示す標識も表示することを特徴とする請求項5に記載の所在データ取得装置。
【請求項7】
操作者が前記物品の位置を示す標識のいずれかを選択することができるようにし、選択された標識が示す物品の識別情報及び位置情報を前記記憶手段から削除する所在データ削除手段を有することを特徴とする請求項6に記載の所在データ取得装置。
【請求項8】
前記位置情報獲得手段は、前記物品の位置に関する画像データを前記位置情報として獲得するカメラを有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の所在データ取得装置。
【請求項9】
前記識別情報は前記物品に取付けられたICタグに記憶されており、前記読取手段は該ICタグから識別情報を読み取るICタグリーダであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の所在データ取得装置。
【請求項10】
前記識別情報はバーコード又は2次元コードとして前記物品に取り付けられており、前記読取手段は該バーコード又は2次元コードから識別情報を読み取るコードリーダであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の所在データ取得装置。
【請求項11】
互いに関連付けられた物品の識別情報と該物品に関する位置情報が受信された場合に、該位置情報を記憶部に記憶する処理と、
前記位置情報が示す位置を含む所定の範囲の座標領域を生成してディスプレイに表示させ、生成された座標領域上に前記物品の位置を示す標識を表示させる処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
互いに関連付けられた新たな物品の識別情報と該新たな物品に関する位置情報が受信され記憶部に記憶された場合に、新たな物品の位置が前記生成済みの座標領域内になければ、生成済みの座標領域内に表示されていた物品の位置だけでなく新たな物品の位置も含むように座標領域を再生成しディスプレイに表示させ、再生成された座標領域上に、既に表示されていた物品の位置を示す標識だけでなく新たな物品の位置を示す標識も表示させる処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
削除すべき物品に関する削除情報が受信された場合に、該削除情報が示す物品の識別情報及び位置情報を前記記憶部から削除する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする請求項12に記載のプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−117413(P2006−117413A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308418(P2004−308418)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)