説明

扁平型ブラシ付コアレスモータ

【課題】電装用途に使用されるブラシ付モータにおいて、薄型化、軽量化、低コストが成立出来るフラットモータを目的とする。
【解決手段】ブラシ付モータの部品においてブラシホルダー8に複数のブラシ収容部を配設し、前記ブラシホルダーの中心部に軸受機構を配設し、軸受機構に反出力側含油軸受4aを圧入する事でロータからのスラスト荷重を無くし、位置決め突起部8aを配設する事で固定用ねじ12を削減することが可能となり、反出力側ブラケット7をドーナツ状の簡素化、かつ締結用のバーリングを不要とする事で、軽量化、低コスト化を得られるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のラジエータ冷却ファンやカーエアコン用コンデンサ冷却ファン等の電装分野に使用されるモータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車用ファンモータは低燃費を実現する為の軽量化、限られたスペースの中での薄型化、最後に低コスト化が要求されている。従来、ファンモータはブラシ付モータが使用され、軽量、低コスト化のためにブラシホルダーは樹脂成型品が知られている。なお、従来のコアレスモータにおいては図2のように反出力側ブラケット7に軸受機構を設ける構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、シリンダータイプのモータにおいては軽量化、防水性を向上させるため、ねじを不要とし、ブラシホルダーユニット、ベースと新規部品を具備した構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−149019号公報
【特許文献2】実公昭58−40764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献2の構成では、ねじを不要とするが、ヨークとのかしめを必要とし、さらに新規部品を必要とするため、軽量化、低コスト化は困難という課題を有していた。
【0005】
本発明は上記問題点の工数、新規部品を解決するものであり、ブラシホルダーに軸受機構を構成し、ブラケットとの接続機構を備え、前記ブラシホルダーの固定用ねじを不要とし、ブラケット形状を簡素化して、軽量化、低コスト化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明はブラシホルダーの中心部に軸受機構を配設し、軸受をボールベアリグから含油軸受に変更して低コスト化を図るとともに前記ブラシホルダーに含油軸受を圧入する事でブラシホルダーにロータからのスラスト荷重が無くなるため、反出力側ブラケットとの固定用ねじが削減でき、軽量化、低コスト化の構造とした。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、ブラシホルダーに突起部が配設されている事を特徴とし、ブラケット形状のバーリング部分を削減し、低コスト化に有効である。突起部で位置決めする事によってブラシホルダーと反出力側ブラケットを締結する事でロータの芯出しを不要とした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラシホルダーに軸受保持機構、ブラケットへの固定用で位置決め突起部を配設し、ブラケット形状を簡素化する事により、モータの薄型、軽量化、低コスト化という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1におけるフラットモータの断面図
【図2】従来例を示すフラットモータの構造断面図
【図3】本発明の実施の形態1における出力軸側から見たブラシホルダーの正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1の発明はブラシホルダーに含油軸受を圧入することにより、前記ブラシホルダーへのスラスト荷重を無くす事で固定用ねじの削減が可能となり、ブラケット形状の軸受機構を廃止する事でブラケット形状を簡素化して、軽量化、低コスト化にすることができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明にブラシホルダーに突起部を3個以上配設し、回転方向での位置決めと空回転の防止、ロータの芯出しおよび誤組立防止の役割を果たす事が出来る。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるフラットモータの断面図を示すものである。図3は出力軸側から見たブラシホルダーの正面図である。図1において、ブラシホルダー8は軸受機構を具備したものであり、反出力側含油軸受4aをブラシホルダー8に圧入し、前記の反出力側含油軸受4aに軸2を挿入してロータ1を構成している。
【0013】
以上のように構成された扁平型ブラシ付コアレスモータについて、以下その動作、作用を説明する。
【0014】
まず、ブラシホルダー8に反出力側含油軸受4aを圧入し、軸2を挿入する。
【0015】
軸2のスラスト方向の抜け止めとしては、出力側方向にはロータ1の軸付け根部の突起部が出力側含油軸受3aにぶつかることで抜け止めとなる。また、反出力方向には、ロータ抜け止めワッシャ−や歯車のボス部(図示せず)を軸2に取り付け固定することで出力側含油軸受3aにロータ抜け止めワッシャーなどがぶつかり、ブラシホルダー8側への抜け止めとなるようにする。
【0016】
このようにし、ブラシホルダー8の反出力方向への荷重が反出力側含油軸受4aにかからず、ブラシホルダー8側へ軸2がぶつからないようにする。
【0017】
以上のような構成により、ブラシホルダー8にロータ1からのスラスト荷重が無くなるため、固定用ねじ12を不要とする事が可能となる。ちなみに軸受を反出力側ボールベアリング4b、出力側ボールベアリング3bから、それぞれ反出力側含油軸受4a、出力側含油軸受3aに変更して低コスト化を図るとともにサイズを限定しない。
【0018】
また、ブラシホルダー8に反出力側ブラケット7との固定用となる位置決め突起部8aを配設する事で位置決め、誤組立防止にもなり組立が容易となる。位置決め突起部8aはモータ外周に近く3箇所以上が望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は自動車等のラジエータ冷却ファンやカーエアコン用コンデンサ冷却ファン等の電装分野に使用される薄型化、軽量化、低コスト化を目的として有用である。
【符号の説明】
【0020】
1 ロータ
2 軸
3a 出力側含油軸受
3b 出力側ボールベアリング
4a 反出力側含油軸受
4b 反出力側ボールベアリング
5 ブラケット
6 磁石
7 反出力側ブラケット
8 ブラシホルダー
8a 位置決め突起部
9 ブラシ
10 ブラシバネ
11 整流子
12 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシホルダーに複数のブラシ収容部を配設し、前記ブラシホルダーの中心部に軸受機構を配設し、前記ブラシホルダーは反出力側ブラケットに固定される扁平型ブラシ付コアレスモータにおいて、前記ブラシホルダーの軸受機構に含油軸受を圧入する事で軸からのスラスト荷重を無くし、前記反出力側ブラケットと前記ブラシホルダーの固定用ねじを不要としたことを特徴とする扁平型ブラシ付コアレスモータ。
【請求項2】
前記ブラシホルダーに前記反出力側ブラケットとの位置決め用となる突起部を複数配設し、前記反出力側ブラケットに嵌合することで固定されていることを特徴とする請求項1に記載の扁平型ブラシ付コアレスモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate