説明

扇風機

【課題】太陽光のエネルギーを利用する省エネルギー運転が可能であるとともに、太陽光が微弱か全く存在しない環境下でも問題なく使用できる扇風機を提供する。
【解決手段】扇風機は、ファンと、ファンを回転させるモータ5と、太陽光発電パネル9と、太陽光発電パネルが発電した電力を蓄える二次電池15と、全体制御を司る制御部10を備える。制御部10は、二次電池15の充電量が所定値以上であるときは二次電池15をモータ5の電源とし、二次電池15の充電量が所定値未満であるときは商用電源13をモータ5の電源とする制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は扇風機に関する。
【背景技術】
【0002】
身近な自然エネルギーを積極的に活用するため、太陽光発電パネルにより発電された電力で電気機器を駆動するという提案がなされている。特許文献1に記載されたソーラーパネル付き扇風機もその一例である。
【0003】
特許文献1記載のソーラーパネル付き扇風機は、筐体の各側面、正面及び背面にソーラーパネルが開閉自在に装着され、ソーラーパネルを展開することにより、電源が設置されていない室外などでも使用可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−201990号公報(国際特許分類:F04D25/08、F04D29/00、F04D29/52)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたソーラーパネル付き扇風機は、コンセントのない場所でも大風量が得られるように設計されており、屋外での使用に好適する。反面、屋内で、しかも太陽光の微弱な時間帯に使用するには適さない。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、太陽光のエネルギーを利用する省エネルギー運転が可能であるとともに、太陽光が微弱か全く存在しない環境下でも問題なく使用できる扇風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の好ましい実施形態によれば、扇風機は、ファンと、前記ファンを回転させるモータと、太陽光発電パネルと、前記太陽光発電パネルが発電した電力を蓄える二次電池と、全体制御を司る制御部を備え、前記制御部は、前記二次電池の充電量が所定値以上であるときは当該二次電池を前記モータの電源とし、前記二次電池の充電量が所定値未満であるときは商用電源を前記モータの電源とする制御を行う。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の扇風機において、前記モータはスタンドの支柱に支持されるものであり、前記スタンドのベースに前記太陽光発電パネルが設置される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の扇風機において、前記制御部による制御モードには、前記モータの回転数が設定上限値以上になったら通電を断ち、その後当該モータの回転数が設定下限値以下になったら通電を再開する「惰性運転モード」が含まれる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記構成の扇風機において、前記惰性運転モードは、前記制御部に付属する操作部を操作して「夜間運転」を選択したときに実行される制御モードである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、太陽光発電パネルが発電した電力を二次電池に蓄え、制御部は、二次電池の充電量が所定値以上であるときは当該二次電池をモータの電源とし、二次電池の充電量が所定値未満であるときは商用電源をモータの電源とする制御を行うものであるから、その時々の太陽光の強弱に関係なく、扇風機を自由に使用することができる。しかも二次電池の充電量が所定値以上のときは二次電池を商用電源に優先して使用するので、省エネルギーのメリットを十分に享受できるものである。
【0012】
特に夜間運転に惰性運転モードが実行されるものでは、消費電力を節約できると共に、この電力に昼間太陽光発電パネルで発電して二次電池に蓄電した電力を充てることにより、太陽エネルギーを効果的に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る扇風機の概略構造を示す正面図である。
【図2】第1実施形態に係る扇風機のスタンドの平面図である。
【図3】第1実施形態に係る扇風機のブロック構成図である。
【図4】第1実施形態に係る扇風機の全般的動作のフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係る扇風機の惰性運転のフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る扇風機のブロック構成図である。
【図7】第2実施形態に係る扇風機の夜間運転のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明が実施される扇風機の構造を図1に示す。扇風機1は、ベース3と伸縮式の支柱4からなるスタンド2を有し、支柱4の上端にモータ5(図1には現れず、図3にその存在を示す)が支持され、モータ5によって回転せしめられるファン6の周囲を金属線製のガード7で囲む、という伝統的なスタイルを備えている。
【0015】
図2に示す通り、ベース3は平面形状円形であり、中央後寄りに支柱4、その前に操作部8があり、支柱4と操作部8の左右両側に太陽光発電パネル9が設置されている。
【0016】
扇風機1の制御システムは図3に示す構成となっている。扇風機1の制御を司る制御部10はマイクロコンピュータを中核として構成され、操作部8から出力信号を受け取り、モータ5を駆動するモータ駆動回路11に対し制御信号を出力する。モータ5には回転数測定装置12が付属しており、その測定値が制御部10にフィードバックされる。
【0017】
モータ5の電力源となるのは商用電源13(交流100V)と太陽光発電パネル9である。太陽光発電パネル9が発電した電力は、充電回路14を経て二次電池15に蓄えられる。二次電池15に蓄えられた電力は直流/交流変換回路16によって交流に変換され、モータ駆動回路11に供給される。二次電池15には電圧測定回路17が付属しており、二次電池15の電圧測定値が制御部10に入力される。
【0018】
扇風機1の動作を図4のフローチャートで説明する。ステップ#101において、太陽光発電パネル9に発電に足る光が照射されていればステップ#102に進み、太陽光発電パネル9による発電と、充電回路14による二次電池15の充電が遂行される。ステップ#103では操作部8の中の運転スイッチのON/OFFをチェックする。運転スイッチがONであればステップ#105に進む。運転スイッチがOFFであればステップ#104に進んで扇風機1の運転は行われない。
【0019】
ステップ#105では、操作部8の操作で「夜間運転」が選択されているかどうかをチェックする。「夜間運転」であればステップ#109に進み、「夜間運転」でなければステップ#106に進む。
【0020】
ステップ#106では電圧測定回路17の電圧測定値より二次電池15の充電量をチェックする。二次電池15の充電量が所定値以上であればステップ#107に進み、二次電池15の充電量が所定値未満であるときはステップ#108に進む。
【0021】
ステップ#107に進んだときは、二次電池15がモータ5の電源となる。「夜間運転」ではないので、通常の運転が行われる。
【0022】
ステップ#108に進んだときは、商用電源13がモータ5の電源となる。「夜間運転」ではないので、通常の運転が行われる。
【0023】
このように制御部10は、二次電池15の充電量が所定値以上であるときは二次電池15をモータ5の電源とし、二次電池15の充電量が所定値未満であるときは商用電源13をモータ5の電源とする制御を行うから、その時々の太陽光の強弱に関係なく、扇風機1を自由に使用することができる。しかも二次電池15の充電量が所定値以上のときは二次電池15を商用電源13に優先して使用するので、電力料金を削減することができる。
【0024】
「夜間運転」が選択されているためステップ#109に進んだときは、ステップ#109で二次電池15の充電量をチェックする。二次電池15の充電量が所定値以上であればステップ#110に進み、二次電池15の充電量が所定値未満であるときはステップ#111に進む。
【0025】
ステップ#110に進んだときは、二次電池15がモータ5の電源となる。「夜間運転」が選択されているので、扇風機1は「惰性運転モード」で運転される。
【0026】
ステップ#111に進んだときは、商用電源13がモータ5の電源となる。「夜間運転」が選択されているので、扇風機1は「惰性運転モード」で運転される。
【0027】
ステップ#110またはステップ#111の「惰性運転モード」は、制御部10の制御モードの一つであり、図5のフローチャートのように制御が進行する。
【0028】
図5において、ステップ#121で「惰性運転モード」への切り換えが行われると、ステップ#122ではモータ5が通電中であるかどうかがチェックされる。通電中であればステップ#123に進み、非通電状態であればステップ#125に進む。
【0029】
ステップ#123に進んだときは、回転数測定装置12の出力値より、モータ5の回転数が設定上限値以上であるかどうかをチェックする。モータ5の回転数が設定上限値以上であればステップ#124に進み、モータ5の通電を停止する。そしてステップ#125に進む。
【0030】
ステップ#125に進んだ段階では、モータ5は非通電となっており、モータ5とファン6は惰性で回転している。この惰性回転の回転数を、回転数測定装置12の出力値よりチェックする。モータ5の回転数が設定下限値以下に下がったときは、ステップ#126に進み、モータ5への通電を再開する。これによりモータ5は、設定上限値に向けて回転数を立ち上げていくことになる。
【0031】
このように、モータ5の回転数が設定上限値以上になったら、モータ5への通電を停止してモータ5とファン6を惰性で回転させ、モータ5の回転数が設定下限値以下に落ちたらモータ5への通電を再開するという制御を行うことにより、消費電力を削減することができる。このため、二次電池15を長時間にわたりモータ5の電源として使用することができる。
【0032】
本発明の第2実施形態を図6及び図7に示す。第2実施形態が第1実施形態から変わった点は、光センサ18が備えられている点である。光センサ18はスタンド2の操作部8の一部に設置される(図2参照)。
【0033】
扇風機では、タイマーによって自動停止させる構成とする場合が多い。この場合、就寝後も、あるいは人が部屋を出て行ってしまった場合でもタイマーで設定された時間が経過しないかぎり扇風機は運転を続けており、それが電力の浪費につながることがある。第2実施形態は、タイマーによらず部屋の明るさによってモータ5を自動停止、あるいは操作部8の表示用LEDを消灯させ、省エネルギーを促進することをねらいとしている。
【0034】
第2実施形態の扇風機1の動作を図7のフローチャートに基づき説明する。まずステップ#131において、操作部8の中の運転スイッチがONとされることにより、モータ5への通電が開始され、操作部8の中の表示用LED19(図2参照)が点灯する。
【0035】
続くステップ#132では、光センサ18が検知している照度が所定値以上であるかどうかをチェックする。「照度の所定値」は、人が起きて活動しているかぎりそのような低い照度であることはあり得ない、といった程度に低く設定されている。照度が所定値に満たなければその部屋に人はいるものの就寝中、または人がいない、と判定し、ステップ#133に進む。
【0036】
ステップ#133では、省エネルギーのために表示用LED19を消灯した状態で扇風機1の運転を継続する設定になっているか、どうかをチェックする。そのような設定になっていればステップ#134に進み、そのような設定になっていなければステップ#135に進む。
【0037】
ステップ#134に進んだ場合は、表示用LED19は消灯され、モータ5の通電は継続される。そしてステップ#132に戻る。
【0038】
ステップ#135に進んだ場合は、扇風機1の運転が停止される。
【0039】
尚、部屋の明るさを検知する光センサ18は、太陽光発電パネル9で兼用することもできる。
【0040】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、扇風機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 扇風機
2 スタンド
3 ベース
4 支柱
5 モータ
6 ファン
8 操作部
9 太陽光発電パネル
10 制御部
13 商用電源
15 二次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、前記ファンを回転させるモータと、太陽光発電パネルと、前記太陽光発電パネルが発電した電力を蓄える二次電池と、全体制御を司る制御部を備え、
前記制御部は、前記二次電池の充電量が所定値以上であるときは当該二次電池を前記モータの電源とし、前記二次電池の充電量が所定値未満であるときは商用電源を前記モータの電源とする制御を行うことを特徴とする扇風機。
【請求項2】
前記モータはスタンドの支柱に支持されるものであり、前記スタンドのベースに前記太陽光発電パネルが設置されることを特徴とする請求項1に記載の扇風機。
【請求項3】
前記制御部による制御モードには、前記モータの回転数が設定上限値以上になったら通電を断ち、その後当該モータの回転数が設定下限値以下になったら通電を再開する「惰性運転モード」が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載の扇風機。
【請求項4】
前記惰性運転モードは、前記制御部に付属する操作部を操作して「夜間運転」を選択したときに実行される制御モードであることを特徴とする請求項3に記載の扇風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−97624(P2012−97624A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244874(P2010−244874)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】