説明

手すり用呼出装置

【課題】手すり用呼出装置を手すりに取り付けた際に、手すり取付部と手すりとの間に隙間ができないようにする。
【解決手段】弾性および復元性を有する材質により形成され、円筒の一部を切欠いた形状を成して、円筒状の手すりに対して着脱自在である手すり取付部1と、この上部に設けられ、呼出ボタン2を収容するスイッチケース3とを一体的に形成し、手すり取付部1とスイッチケース3との間に複数のスリット4と複数の接合部5とを交互に形成するようにしているので、横長楕円の円筒手すりに対して手すり取付部1を取り付ける場合に、手すり取付部1を広げても、複数のスリット4により形成される接合部5のみに力が加わるため、手すり取付部1をスイッチケース3と独立して動かすことができるとともに、手すり取付部1に弾性を持たせているため、手すり取付部1と手すりとの間に隙間ができないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車椅子用トイレ内の手すりに取り付け可能な手すり用呼出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車椅子を使用している人が車椅子に乗ったまま入ることができるように、車椅子用トイレが存在する。このような車椅子用トイレでは、車椅子に乗っている人が他者の助けを必要とする際に押下する呼出ボタンが設置されていることがある。ここで、呼出ボタンが壁面などに設置されていると、車椅子に乗っている人が手を伸ばしても呼出ボタンに届かないケースが考えられる。
【0003】
そのため、車椅子をトイレの所定の位置に停止させた状態で、車椅子に乗っている人が無理に手を伸ばさなくても呼出ボタンを操作することができるように、停止している車椅子の近傍に設けた手すりに呼出ボタンを備えた呼出装置を設置することが考えられる。その場合、弾性および復元性を有する材質により形成されており、円筒の一部を切欠いた形状を成していて、円筒状の手すりの外周に着脱自在とする手すり取付部と、この手すり取付部の上部に一体的に形成されたスイッチケースと、スイッチケースに収められ、可撓性を有する呼出ボタンとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1など)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、スイッチケースが手すり取付部に対して一体的に形成されているため、横長楕円の円筒状である手すり(以下、横長楕円の円筒手すりと記載する)に対して、円筒状を切欠いた形状である手すり取付部を大きく広げて取り付けた場合に、スイッチケースが邪魔になり、手すり取付部の内周面と手すりとの間に隙間ができてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−135315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、手すり用呼出装置を手すりに取り付けた際に、手すり取付部の内周面と手すりとの間に隙間ができないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明では、弾性および復元性を有する材質により構成され、円筒の一部を切欠いた形状を成して、円筒状の手すりの外周の任意の位置に対して着脱自在に取り付け可能な手すり取付部と、この手すり取付部の上部に設けられ、呼出ボタンを収容するスイッチケースとを一体的に形成し、手すり取付部とスイッチケースとの間に複数のスリットと複数の接合部とを交互に形成するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した本発明によれば、手すり取付部とスイッチケースとの間に複数のスリットおよび複数の接合部が形成されているので、横長楕円の円筒手すりに対して、円筒状を切欠いた形状である手すり取付部を広げて取り付けた場合に、手すり取付部が広げられても、複数のスリットにより形成される接合部のみに力が加わるため、手すり取付部をスイッチケースと独立して動かすことが可能となる。また、これに加えて、手すり取付部に弾性および復元性を持たせているため、手すりに取り付けた際に、手すり取付部の内周面と手すりとの間に隙間ができないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態による手すり用呼出装置の外観を示す図である。
【図2】本実施形態による手すり用呼出装置を手すりに取り付けた常置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態による手すり用呼出装置の外観を示す図である。図1に示すように、本実施形態による手すり用呼出装置は、手すり取付部1、呼出ボタン2、スイッチケース3とを備えて構成されている。ここで、本実施形態の手すり用呼出装置は、病院や商業施設、駅などの公共施設に設けられている車椅子用トイレに設置されているパイプ状の手すりの任意の位置に着脱可能に取り付けられる。手すり取付部1は、弾性および復元性を有する樹脂などにより構成されており、円筒の底部を切欠いた形状を成している。ここで、手すり取付部1の円筒内周は、一般的な円筒形状の手すり(以下、円筒手すりと記載する)よりも少し小さいことが好ましい。これは、手すり取付部1の円筒内周面と円筒手すりの外周面とを密着させるためである。
【0011】
呼出ボタン2は、可撓性を有する帯状のスイッチなどにより構成されており、一端にコード6が接続されている。ここで、呼出ボタン2の内部には接点部材である上部電極と同じく接点部材である下部電極とが間隙を介して帯状に形成されている。そのため、呼出ボタン2が押下されると、上部電極および下部電極が撓んで両者が接触する。すると、呼出ボタン2にて呼出信号が生成され、生成された呼出信号は、コード6を介して外部に出力される。なお、本実施形態では、呼出ボタン2を帯状のスイッチにより構成しているが、これに限定されない。例えば、呼出ボタン2を通常の押しボタンなどにより構成するようにしても良い。
【0012】
スイッチケース3は、手すり取付部1の上部に一体的に形成されており、上部に設けた開口部に呼出ボタン2を収容する。ここで、開口部の中央には空間が形成されており、これにより、収容した呼出ボタン2を押下することが可能となる。また、一体的に形成された手すり取付部1とスイッチケース3との間には、複数のスリット4と複数の接合部5とが形成されている。また、複数のスリット4と複数の接合部5とは交互に形成されており、手すり取付部1とスイッチケース3との間を一周に渡って形成されている。また、スリット4は、少なくともスイッチケース3の長手方向の端部にそれぞれ形成されている。
【0013】
コード6は、上述したように呼出ボタン2の一端に接続されており、スイッチケース3の開口部から手すり取付部1を介して外部に取り出される。取り出されたコード6の先端部分は、壁面などに設けられる図示しないウォールユニットに接続される。ウォールユニットは、図示しない親機などに接続されており、親機にて呼出信号を入力すると、親機は呼び出しが行われたことを報知する。
【0014】
このように構成される手すり用呼出装置を手すりに取り付けた状態を、図2に基づいて説明する。手すり用呼出装置を図2(A)に示すような円筒手すりに取り付ける場合、手すり取付部1を円筒手すりの太さよりも広げて、手すり取付部1を円筒手すりに取り付ける。このとき、手すり取付部1が円筒の底部を切欠いた形状を成しているとともに、手すり取付部1が弾性および復元性を有するため、手すり取付部1の円筒の内周面と円筒手すりの外周面とが密着することになる。
【0015】
また、手すり用呼出装置を図2(B)に示すような横長楕円の円筒手すりに取り付ける場合、手すり取付部1を横長楕円の円筒手すりの太さよりも広げて、手すり取付部1を横長楕円の円筒手すりに取り付ける。このとき、手すり取付部1を広げても、複数のスリット4により形成される接合部5のみに力が加わるため、手すり取付部1がスイッチケース3と独立して動くことができる。すなわち、スイッチケース3が手すり取付部1の動きを邪魔しなくなる。このように、手すり取付部1が独立して動くことができるとともに、手すり取付部1が弾性および復元性を有するため、手すり取付部1の円筒の内周面と横長楕円の円筒手すりの外周面とが密着することになる。
【0016】
以上詳しく説明したように、本実施形態によれば、弾性部材により構成され、円筒の一部を切欠いた形状を成しており、円筒状の手すりの外周の任意の位置に対して着脱自在に取り付け可能な手すり取付部1と、この手すり取付部1の上部に設けられ、呼出ボタン2を収容するスイッチケース3とを一体的に形成し、手すり取付部1とスイッチケース3との間に複数のスリット4と複数の接合部5とを形成するようにしている。
【0017】
これにより、手すり取付部1とスイッチケース3との間に複数のスリット4および複数の接合部5が形成されているので、横長楕円の円筒手すりに対して、円筒状を切欠いた形状である手すり取付部1を広げて取り付けた場合に、手すり取付部1が広げられても、複数のスリット4により形成される接合部5のみに力が加わるため、手すり取付部1をスイッチケース3と独立して動かすことが可能となる。また、これに加えて、手すり取付部1に弾性および復元性を持たせているため、手すり用呼出装置を手すりに取り付けた際に、手すり取付部1と手すりとの間に隙間ができないようにすることができる。
【0018】
なお、前述した実施形態では、手すり用呼出装置が手すり取付部1の上部にスイッチケース3を形成しているが、これに眼底されない。例えば、手すり用呼出装置が手すり取付部1の左右の何れかにスイッチケース3を形成するようにしても良い。
【0019】
また、前述した実施形態では、呼出ボタン2の一端にコード6を接続しているが、これに限定されない。例えば、呼出ボタン2を無線式とし、呼出ボタン2にコード6を接続しないようにしても良い。
【0020】
また、前述した実施形態では、手すり取付部1とスイッチケース3とを一体的に形成しているが、これに限定されない。例えば、手すり取付部1とスイッチケース3とを別体とし、接合部材などで両者を接合して、接合部在の間に複数のスリット4が形成されるようにしても良い。
【0021】
その他、上記実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 手すり取付部
2 呼出ボタン
3 スイッチケース
4 スリット
5 接合部
6 コード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性および復元性を有する材質により形成され、円筒の一部を切欠いた形状を成して、円筒状の手すりの外周の任意の位置に対して着脱自在に取り付け可能な手すり取付部と、
操作されることにより呼出信号を生成して出力する呼出ボタンと、
前記手すり取付部に一体的に形成され、前記呼出ボタンを開口部に収容するスイッチケースとを備えた手すり用呼出装置であって、
前記手すり取付部と前記スイッチケースとの間に複数のスリットと複数の接合部とを交互に形成したことを特徴とする手すり用呼出装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−111302(P2013−111302A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−261111(P2011−261111)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】