説明

手すり

【課題】手首に負担をかけずに上り下りできる手すりを提供する。
【解決手段】らせん形手すり3は、階段1の右側の壁2に設置されている。らせん形手すり3は、踏面11の先端間の距離L3と同じ長さのピッチPを有したS巻のらせん状に形成されており、階段1の傾斜に合わせて中心線Oを傾斜させて配置されている。らせん形手すり3は、踏面11の先端部において、平面視及び正面視で中心線に対して20°〜40°の角度で交差して延び、側面視で最も傾斜角度が大きくなる部分において水平面に対し30°〜70°の傾斜角度となるよう、水平方向に延びた部分から階段1の下側に延びるように設置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1,2の手すりは、手すり本体が逆方向に湾曲した一対の湾曲部を交互に連続させて形成されている。湾曲部同士の間には、所要の長さの直線部が設けられている。手すり本体は、湾曲部が鈍角の開き角度で湾曲することでなだらかに連続している。
【0003】
また、特許文献3の手すりは、緩傾斜部分と急傾斜部分とが階段の一段毎に配置されるよう、これらを交互に連続させて構成されている。また、下記の特許文献4の手すりは、らせん部と直線部とを交互に連続させて形成されている。らせん部の手前と後方には、らせんの円形状の一部を直線状にした握り部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−201784
【特許文献2】特開2004−156437
【特許文献3】実用新案登録第3068771号
【特許文献4】特開2005−48410
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
階段では、下りるときには手すりを掴んで体を支え、上がるときには手すりを掴んで体を引き上げることから、手首が不自然な角度で手すりを掴むと、手首に大きな負担がかかる。しかしながら、特許文献1〜3の手すりでは湾曲部が上下方向にしか湾曲していないので、無理な角度で手すりを握らなければならなかった。また、特許文献4の手すりも、直線部同士が湾曲部で結ばれた形状であることから、直線部に合わせて手首を無理な角度に曲げなければならなかった。このため、従来の手すりは十分に活用されていなかった。
【0006】
本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、上記課題を解決できる手すりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の手すりは、階段の踏面の先端間の距離と同じピッチを有した連続したらせん状に形成され、平面視及び正面視において中心線に対して20°〜40°の傾斜角度で交差して延びていることを特徴とする。
また、本発明は、側面視で最も傾斜角度が大きくなる部分において水平面に対し30°〜70°の傾斜角度となるよう、水平方向に延びた部分から階段の下側に延びるように設置されたことを特徴とする。
また、本発明は、平面視で中心線に対し通路と反対側に交差する部分が踏面の先端部に、通路側に交差する部分が踏面の基端部にそれぞれ位置し、踏面の中央部から先端側にかけて下降傾斜するように配置されたことを特徴とする。
また、本発明は、らせん径が40〜100mmに形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、円形又は縦長楕円のらせん形に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、階段の踏面の先端間の距離と同じピッチのらせん状の手すりが、平面視及び正面視において中心線に対して20°〜40°の角度で交差して延びていることから、手首を自然な角度にして手すりを握ることができ、手すりを十分に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態のらせん形手すりを示す図である。
【図2】図1のらせん形手すりを部分的に拡大して示す図である。
【図3】手すりの握り易さの実験装置の概略図である。
【図4】円筒体を引く実験での握り角度を示す図である。
【図5】円筒体を引く実験での握り角度についての測定結果を示す第1の図である。
【図6】円筒体を引く実験での握り角度についての測定結果を示す第2の図である。
【図7】円筒体を押す実験での握り角度を示す図である。
【図8】円筒体を押す実験での握り角度についての測定結果を示す第1の図である。
【図9】円筒体を押す実験での握り角度についての測定結果を示す第2の図である。
【図10】らせん形手すりの中心線に対する傾きを示す図である。
【図11】らせん形手すりのらせん径と傾斜角度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
図1は、らせん形手すりを示す図であり、(a)は平面図,(b)は側面図,(c)は正面図である。図2は、らせん形手すりを部分的に拡大して示す図であり、(a)は平面図,(b)は側面図,(c)は正面図である。
【0011】
図1に示すように、らせん形手すり3は、 階段1の左側の壁2に設置されている。らせん形手すり3は、踏面11の先端間の距離L3と同じ長さのピッチPを有し、階段1の下側から見てS巻のらせん状に形成されている。
【0012】
らせん形手すり3は、図1,2に示すように、平面視で中心線に対し壁2側に交差する部分3Aが踏面11の先端部に、通路側に交差する部分3Bが踏面11の基端部にそれぞれ位置し、側面視でほぼ水平になる部分3Fが踏面11の中央になるように、そして、踏面11の先端同士を結んだ線と中心線Oとが平行に並ぶように配置されている。らせん形手すり3は、踏面11の先端部での高さが850mmとなるように、図示しない取付金具で壁2に取り付けられて配置されている。
【0013】
階段1に設置されたらせん形手すり3は、踏面11の先端部において、平面視及び正面視で中心線に対し傾斜角度θ1=20°〜40°で壁2側に湾曲した後、側面視で水平面に対し0°付近から最も大きな傾斜角度となる傾斜角度θ2=30°〜70°まで傾斜角度を増大させながら下方に湾曲し、階段1の下側に延びている。
【0014】
本実施形態によれば、上述したように、らせん形手すり3が平面視で中心線に対し壁2側に交差する部分3Aが踏面11の先端部に、通路側に交差する部分3Bが踏面11の基端部にそれぞれ位置するように配置され、踏面11の先端部では平面視及び正面視で中心線に対し傾斜角度θ1=20°〜40°で壁2側に交差して、階段1の下側に湾曲して延びている。このため、階段1を上がるときには、らせん形手すり3の壁2側から通路側に湾曲方向を変える部分3Cと部分3Aとの間に位置した部分3Eを握ることで、らせん形手すり3を掴んで身体を引き上げ易くなる。また、階段1を下りるときには、らせん形手すり3の通路側から壁2側に湾曲方向を変える部分3Dと部分3Aとの間に位置して水平箇所を備えた部分3Fを握ることで、らせん形手すり3を掴んで身体を支え易くなる。このため、らせん形手すり3を十分に活用することができる。
【0015】
しかも、らせん形手すり3が、壁2側から通路側に湾曲方向を変える部分3Cにおいて、水平面に対する傾斜角度θ2=30°〜70°で階段1の下側に延びるように設置されている。このため、部分3Aと部分3Cとの間に位置した部分3Eを握ることで、階段1を上がるときにらせん形手すり3を掴んで身体を引き上げる動作をより容易に行うことができる。また、らせん形手すり3の部分3Dと部分3Aとの間に位置した部分3Fに水平箇所が形成され、部分3Fをを握ることで滑りにくくなり、体重をかけやすくもなることから、階段1を下りるときにらせん形手すり3を掴んで身体を支える動作をより容易に行うことができる。このため、手すりをより活用することができる。
【0016】
また、らせん形手すり3の形状が3次元的に湾曲して変化するので、条件に応じた使い易い位置を手のひらとフィットさせて掴むことができ、らせん形手すり3に対して手を滑り難くすることができる。このため、特に握力が弱っている高齢者や障害者に有利である。
【0017】
しかも、らせん形手すり3は、鉛直方向にのみ湾曲した手すりに比べ、上方から見たときにらせん形手すり3同士が重なって見える部分3が少なく、らせん形手すり3の全景を確認し易いため、安心安全に階段1を下りられる。
【0018】
なお、らせん形手すり3のらせん形状は円形だけでなく、縦長楕円形とすることも可能である。これにより、上記実施形態と同様の効果を得られ、しかもらせん形手すり3の水平方向の幅を狭くすることができる。このため、らせん形手すり3に手を添えるときの動きを小さくし、階段1の幅員も広く保つことができる。
【0019】
また、らせん形手すり3のらせん径φs(2R)(図10,11参照)は、踏面11の先端部において、平面視及び正面視で中心線に対し傾斜角度θ1=20°〜40°で壁2側に湾曲し、側面視で水平面に対し最も大きな傾斜角度となる傾斜角度θ2=30°〜70°で下方に湾曲して設置されるよう、階段1の幅員や、階段1の勾配、らせん形手すり3が取り付けられる壁2との距離に応じて定めることができる。
【0020】
また、上記実施形態では、階段1の右側の壁2にらせん形手すり3が配置されるため、らせん形手すり3が階段1の下側から見てS巻のらせん状に形成されていた。しかしながら、らせん形手すり3が左側の壁に配置される場合は、踏面11の先端側でらせん形手すり3を通路側と反対側に向けて湾曲させるために、階段1の下側から見てZ巻のらせん状に形成されたらせん形手すり3が用いられる。また、らせん形手すり3は階段1の左右の壁に取り付けられている必要はなく、踏面11に設置された支柱に取り付けられていてもよい。
【0021】
また、らせん形手すり3は、階段1を上がるときに部分3Eを、階段1を下りるときに部分3Fをそれぞれ握れるように設置される。このため、必ずしも、部分3Aが踏面11の先端部に、部分3Bが踏面11の基端部に、部分3Fが踏面11の中央部にそれぞれ位置するように配置される必要はなく、踏面11の先端同士を結んだ線と中心線Oとが平行に並ぶように配置される必要もない。
【実施例】
【0022】
以下、上記実施形態で定めた傾斜角度θ1,θ2の根拠について説明する。
らせん形手すり3の正面視及び平面視での中心線に対する握り角度γ1,側面視での水平面に対する握り角度γ2と、らせん形手すり3の握り易さとの関係を、5人の被験者A〜Eで測定した。
【0023】
測定には、図3に示す実験装置を用いた。この実験装置は、らせん形手すり3の一部を切り出した形状の円筒体に錘を繋げて構成されている。被験者A〜Eは、床面から750mmの高さから円筒体を下方に押す動作と、床面から850mmの高さで円筒体を後方に引く動作を行った。握り易さは、この動作の際の被験者A〜Eの上腕二頭筋,上腕三頭筋,円回内筋,腕橈骨筋の筋電位で計測した。
【0024】
円筒体を引く実験では、図4(a)に示すように、円筒体を鉛直方向(中心線の方向)を向いた握り角度γ1=0°から水平方向を向いた90°まで、反時計回り方向に15°ずつ回転させて配置し、各角度γ1で計測を行った。また、図4(b)に示すように、円筒体を水平方向を向いた握り角度γ2=0°から鉛直方向を向いた90°まで、時計回り方向に15°ずつ回転させて配置し、各角度γ2で計測を行った。
【0025】
円筒体を引く実験での握り角度γ1についての測定結果を図5に示す。図中の横軸は円筒体の握り角度γ1、縦軸は被験者A〜Eの上腕二頭筋の筋電位を示している。
【0026】
図5に示すように、上腕二頭筋の筋電位は、握り角度γ1=10°から30°付近にかけて低下し、30°付近を超えると上昇する傾向にある。上腕二頭筋は主に引く動作で使用されることから、握り角度γ1=20°〜40°が手すりを引く際に筋肉の負担が少ない握り角度と考えられる。上腕三頭筋,円回内筋,腕橈骨筋の測定結果については、握り角度γ1との関係について傾向を見いだすことができなかった。
【0027】
図5に示す筋電位の測定結果から、握り角度γ1=20°〜40°が、手すりを引く際の握り角度として好ましいことが明らかになった。
【0028】
円筒体を引く実験での握り角度γ2についての測定結果を図6に示す。図6(a)には円回内筋の測定結果が、図6(b)には腕橈骨筋の測定結果がそれぞれ示されている。図中の横軸は円筒体の握り角度γ2、縦軸は被験者A〜Eの筋電位を示している。
【0029】
図6(a)に示すように、円回内筋の筋電位は、握り角度γ2=0°から15°付近にかけては低下し、15°付近からはほぼ横這いで推移する傾向がある。円回内筋は引く動作を行う際の握り動作に使用されることから、握り角度γ2=10°以上が小さな握力で引く動作を行える握り角度と考えられる。
【0030】
図6(b)に示すように、腕橈骨筋の筋電位は、握り角度γ2=0°から30°付近にかけては横這い又は低下して推移し、30°付近を超えると上昇する傾向にある。腕橈骨筋は主に橈屈動作に使用されることから、握り角度γ2=0°〜30°の範囲が手すりを引く際に手首に無理がかからない握り角度と考えられる。上腕二頭筋,上腕三頭筋の測定結果については、握り角度γ2との関係について傾向を見いだすことができなかった。
【0031】
図6に示す筋電位の測定結果から、握り角度γ2=10°〜30°が、手すりを引く際の握り角度として好ましいことが明らかになった。
【0032】
らせん形手すり3では、踏面11の先端部において、正面視で中心線に対し傾斜角度θ1=20°〜40°で壁2側に交差して階段1の下側に湾曲して延びており、握り角度γ1=20°〜40°となる箇所が部分3Eに形成される。また、側面視では、傾斜角度θ2がほぼ0°の水平部分3Fから、最も傾斜角度が大きくなる部分3Cで傾斜角度θ2=30°〜70°となるよう階段1の下側に延びており、握り角度γ2=10°〜30°となる箇所が部分3Eに形成される。このため、階段を上がる時には、らせん形手すり3の部分3Aと部分3Cとの間に位置した部分3Eを掴むことで、自然な握り角度とすることができる。
【0033】
円筒体を押す実験では、図7(a)に示すように、円筒体を前後方向(中心線の方向)を向いた握り角度γ1=0°から左右方向を向いた90°まで時計回り方向に、また、−90°まで反時計回り方向に、それぞれ30°ずつ回転させて配置し、各角度γ1で計測を行った。また、図7(b)に示すように、握り角度γ1=0°の位置で、円筒体を水平方向を向いた握り角度γ2=0°から鉛直方向を向いた90°まで、時計回り方向に15°ずつ回転させて配置し、各角度γ2で計測を行った。
【0034】
円筒体を押す実験での握り角度γ1についての測定結果を図8に示す。図中の横軸は円筒体の握り角度γ1、縦軸は被験者A〜Eの円回内筋の筋電位を示している。
【0035】
図8に示すように、円回内筋の筋電位は、握り角度γ1=0°〜−90°の範囲ではほぼ横這いで推移し、0°から90°にかけては上昇する傾向にある。円回内筋は押す動作を行う際の回内動作に使用されることから、握り角度γ1=0°〜−90°が手すりを押す際に手首に無理がかからない握り角度と考えられる。上腕二頭筋,上腕三頭筋,円回内筋,腕橈骨筋の測定結果については、握り角度γ1との関係について傾向を見いだすことができなかった。
【0036】
図8に示す筋電位の測定結果から、握り角度γ1=0°〜−90°が、手すりを押す際の握り角度として好ましいことが明らかになった。
【0037】
円筒体を押す実験での握り角度γ2についての測定結果を図9に示す。図9(a)には円回内筋の測定結果が、図9(b)には腕橈骨筋の測定結果がそれぞれ示されている。図中の横軸は円筒体の握り角度γ2、縦軸は被験者A〜Eの筋電位を示している。
【0038】
図9(a)に示すように、円回内筋の筋電位は、握り角度γ2=0°から60°付近にかけて横這いで推移しているが、60°付近を超えると上昇する傾向がある。円回内筋は押す動作を行う際の尺屈動作に使用されることから、握り角度γ2=0°〜60°が手すりを押す際に手首に無理がかからない握り角度と考えられる。
【0039】
図9(b)に示すように、腕橈骨筋の筋電位は、握り角度γ2=0°から60°付近にかけては横這いで推移し、60°付近を超えると大きく上昇する傾向にある。腕橈骨筋は押す動作を行う際の握り動作に使用されることから、握り角度γ2=0°〜60°の範囲では、小さな握力で押す動作を行えると考えられる。上腕二頭筋,上腕三頭筋の測定結果については、握り角度γ2との関係について傾向を見いだすことができなかった。
【0040】
図9に示す筋電位の測定結果から、握り角度γ2=0°〜60°が、手すりを押す際の握り角度として好ましいことが明らかになった。また、身体を支えて階段を下がる際に手すりから手を離さずに握り続けられるようにするためにも、握り角度γ2は60°以下に抑えることが特に望ましい。
【0041】
らせん形手すり3では、踏面11の先端部において、平面視で中心線に対し傾斜角度θ1=20°〜40°で壁2側に交差しており、握り角度γ1=−20°〜−40°となる箇所が部分3Fに形成される。また、握り角度γ2=0°〜60°の箇所が部分3Fから3Cの間に形成される。このため、らせん形手すり3の部分3Aと部分3Dとの間に位置した部分3Fを掴むことで、体を支えやすく、また自然な握り角度とすることができ、また、階段1を下りる際には部分3Fから部分3Cの近くにかけてを手を離さずに、無理なく握り続けられる。
【0042】
次に、らせん形手すり3の形状と、傾斜角度θ1,θ2との関係について説明する。
図10(a)に示すように、らせん形手すり3の中心線OをX軸,上下方向をY軸,左右方向をZ軸とし、Y−Z平面上で中心線Oを中心,Z軸を基準としたらせん形手すり3の回転位置をらせん角θとすると、ピッチp,らせん半径Rのらせん形手すり3のらせん角θでの各軸上での位置X,Y,Zは次の数1〜3の式で表すことができる。
【数1】

【数2】

【数3】

【0043】
このため、図10(b)に示すようにX−Z平面に投影されたらせん形手すり3の形状は、次の数4の式で表すことができる。
【数4】

この式を変形すると、らせんの傾きφ1は、次の数5の式で表すことができる。
【数5】

よって、傾斜角度θ1は、次の数6の式で表すことができる。
【数6】

【0044】
また、図10(c)に示すようにX−Y平面に投影されたらせん形手すり3の形状は、次の数7の式で表すことができる。
【数7】

この式を変形すると、らせんの傾きφ2は、次の数8の式で表すことができる。
【数8】

よって、傾斜角度θ2は、次の数9の式で表すことができる。
【数9】

ここで、αは、らせん形手すりの設置角度(階段1の傾斜角度)であり、らせん形手すり3の中心線Oの水平面に対する角度と一致する。
【0045】
図11は、踏幅L1=320mm,蹴上高L2=160mmでL=358mmとなる階段1(図1参照)にピッチp=358mmのらせん形らせん形手すり3を設置したときの、らせん径φs(2R)と傾斜角度θ1max,θ1min,θ2max,θ2minとの関係を示す。
【0046】
らせん形手すり3は、正面視及び平面視での中心線Oに対する交差箇所(部分A)で傾斜角度γ1が最大になり、側面視での中心線に対する交差箇所(部分C)傾斜角度θ2が最大になることから、傾斜角度θ1max=20°〜30°,傾斜角度θ2max=30°〜70°でらせん形手すり3が設置されるために定められるらせん径φs(2R)の有効範囲は、図11に示す点線で挟まれた40〜100mmとなる。
【0047】
階段では、一般的に踏幅L1=320mm前後,蹴上高L2=160mm前後が採用されており、L3=358mm程度となることから、らせん径φs(2R)=40〜100mmとすることで、らせん形手すり3を様々な階段に設置することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 階段
11 踏面
2 壁
3 らせん形手すり
3A〜3F 部分
L1 踏幅
L2 蹴上高
L3 踏面の先端間の距離
O 中心線
P ピッチ
φs(2R) らせん径
θ らせん角
θ1 中心線に対する傾斜角度
θ2 水平面に対する傾斜角度
γ1 鉛直方向に対する握り角度(手首の角度)
γ2 水平方向に対する握り角度(手首の角度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段の踏面の先端間の距離と同じピッチを有した連続したらせん状に形成され、
平面視及び正面視において中心線に対して20°〜40°の傾斜角度で交差して延びていることを特徴とする手すり。
【請求項2】
側面視で最も傾斜角度が大きくなる部分において水平面に対し30°〜70°の傾斜角度となるよう、水平方向に延びた部分から階段の下側に延びるように設置されたことを特徴とする請求項1に記載の手すり。
【請求項3】
平面視で中心線に対し通路と反対側に交差する部分が踏面の先端部に、通路側に交差する部分が踏面の基端部にそれぞれ位置し、踏面の中央部から先端側にかけて下降傾斜するように配置されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の手すり。
【請求項4】
らせん径が40〜100mmに形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の手すり。
【請求項5】
円形又は縦長楕円のらせん形に形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の手すり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−215001(P2012−215001A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80009(P2011−80009)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 日本機械学会 九州学生会 刊行物名 日本機械学会九州学生会第42回学生員卒業研究発表講演会論文集 発行年月日 平成23年3月11日
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】