説明

手のひら装着シート

【課題】幼児や被介護者の世話をする人が、特に冬期冷たい手で幼児や被介護者の肌に触れると苦痛を与える。これを避けるために世話をする人の手に冷たさの伝わらない断熱性を備えたシートを付けて世話のできるように、手のひらに装着するシートを提供する。
【解決手段】必要時に素早く手に装着できるように、指先部分に指先挿入部11を設けて握持させるか、指と手のひらとの接触する面の必要部分に接着機能を持った素材を使用して接着させ、世話をする人の手に装着して作業のできる、断熱性と防水性を備えた手のひら装着シート10を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児や被介護者の世話をする際に、世話をする人の手の冷たさが幼児や被介護者の肌に直接伝わるのを防止する断熱性能と、幼児や被介護者の排泄物等から世話をする人への感染を防止するために防水性を備えた、手のひらに装着するシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、介護の際に被介護者を移動させたりする時の、介護者に必要とされる力を軽減する介護用手袋が記されている。被介護者を起こしたり移動させたりする時に、世話をする人の手が被介護者の衣服や体をしっかりつかみ支えることができるよう高い摩擦力を生む目的で使用され、形状も着脱が容易な親指以外の4本の指をまとめ指先だけを掛けるミトンの形状となっている。
手首部分にはベルトが付いていて手袋を手のひらから外しても脱落せず素手で世話ができる構造を備えている。被介護者の体をしっかりとらえるための摩擦力を主眼にした材質と、ミトン形式で4本の指を一緒にした形状であることと、手首のベルトで手のひらから外して介護する時にも脱落しない構造を備えている。断熱機能と防水性については記載されておらず形状も機能も使用目的も本発明とは異なる。
特許文献2に、ストッキング用手袋が記されている。ストッキングをはく時に繊維を傷つけない目的で使用する。指先から手のひらの中央位置までを覆う通常の手袋を短くしたものである。
手のひら全体を使用するものではなく断熱機能と防水性については記載されておらず、形状も機能も使用目的も本発明とは異なる。
特許文献3に、ハンドユーティリティインタフェースが記されている。自立型で指の形を形成している形状物に指を押し込むことにより指を挟ませて手に固定し、肌や毛髪の手入れ時や商品の手入れ清掃などを行うとなっているが、断熱機能と防水性については記載されておらず形状、材質、機能、使用目的も本発明とは異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−46791
【特許文献2】特開2006−233397
【特許文献2】特表2009−545677
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幼児や被介護者の世話を必要とする際にも、世話をする人が家事の途中や水仕事をしていることも多い。こんな時特に冬期では冷えた手を短時間で温めて幼児や被介護者の世話に移ることは困難であり、冷たい手で幼児や被介護者の肌に触れることとなり、その結果幼児や被介護者に苦痛を与える。
【課題を解決するための手段】
【0005】
幼児や被介護者の世話をする人の手が冷たくても、手のひら状のシートを手のひらに付けて世話をし、冷えた手が幼児や被介護者の皮膚に直接触れないようにする。
シートを幼児や被介護者のベッドなどの近くに備えておき、必要時は直ちに手に付けて世話に移る。
施設での介護で大勢に対応する際は、必要に応じて世話をする人が本発明のシートを収納したケースを身に付けて準備し、必要な時に直ぐに使用できるようする。
【発明の効果】
【0006】
幼児や被介護者の世話が急ぎ必要となった時にも、手にシートを素早く付けることができるので、冷たい手で幼児や被介護者の肌に直接触れることなく世話ができ、幼児や被介護者に苦痛を与えることなく快適な世話が可能となる。
幼児や被介護者のおう吐物や下痢の便など世話をする人の手に触れることを避けたいものにも、防水性を持たせたシートで接触の機会を減少させることができ安全性が高まる。

【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】装着概念図(右手)
【図2】使用者装着面、構造図(右手用)
【図3】世話の対象者への接触面、構造図(右手用)
【図4】指先開放型の使用者装着面、構造図(右手用)
【図5】指と手首部接着型の使用者装着面、構造図(左手用)
【図6】立体型の使用者装着面、斜視図(右手用)
【図7】ケース収容状態、断面図(右手用)
【図8】ケース収容状態平面図(両手用)
【発明を実施するための形態】
【0008】
手のひら装着シートは、幼児や被介護者に触れる面に冷感を与えない素材と断熱性能を持つ材質を用いることにより、世話を受ける幼児や被介護者の肌に手の冷たさが伝わらないようにすると共に、世話をする人の手と指に向けて汚物等が浸透しないように防水性を備えているため雑菌などの侵入が防止でき安全性を高める。
手のひら装着シート(10)は、シートの使用目的とそれに適した素材を使用し、それらに対応して単一層か複数の素材を組み合わせた層を構成するかして、断熱性と防水性の機能を満たす。
【0009】
手のひら装着シート(10)は、世話をする人の手のひらに装着する際、必要な1枚だけが収納ケースより取り出せるようにしてあり、シートを装着して世話をする時、手と指を効果的に活用できるように、シートが手と指に確実に装着されて一体となるように図2のごとく両手の指先部分を挿入できる構造を備えている。この指先挿入部(11)は、挿入時に指先の挿入を容易にするために入り口部分を少し広めにしてあると共に指先全体を十分握持でき、装着した手と指から不用意に外れない構造を備えている。指先挿入部(11)は指先から指の付け根に向けて同じ太さではなく、指の関節に対応する部位を図2に示すごとく太くするか又は指の関節に対応する部位に付いてのみシート面に対してして指先挿入部(11)の接続がされていない状態として余裕を持たせ、指の屈伸動作の妨げにならないような構造を備えている。
尚シートを手と指により強く装着をさせるために、指先挿入部(11)に伸縮可能な素材を使用するか指を圧迫する形状又は構造を持たせて指を握持する方法をとるか、又は指先挿入部(11)の指に接触する面をより接着性あるいは吸着性を持たせるための素材を使用するか塗布するなどしてより強い装着を実現する。
【0010】
手のひらに装着して操作性を確保するための別の方法として指先挿入部(11)に替えて、図5のごとく手と指に吸着する接着材料の部分を、シート面の使用者の手と指の接触する位置に設け、装着時の密着機能を持たせる構造を用いる。更に指先挿入部(11)とこの接着材料を組み合わせた構造とすることも可能である。
【0011】
シートを手のひらに装着して手指の操作性を向上させるために、シート全体が平面である形状に代えて、一例として図6に示すごとく手のひらの形状になじみやすい立体的形状を持たせる方法か、指先から手首部分方向に向けて凹凸を付けるか折り目を付ける方法か、親指から小指の手の巾方向に凹凸を付けるか折り目を付ける方法か、いずれを選んでも良い。

【0012】
指先の感覚を生かす要求を満たすために、シートの指先挿入部(11)の形状を図2に示される一般的な手袋が備えている指先を包んでしまう形状から、図4に示すごとく指の先端部分のみを解放して感覚と操作性の向上を図る構造とすることも良い。
【0013】
使用者の手のひら全体を分割しないで広く確保したい時は、図には示していないが親指を除く他の4本について複数本をまとめて活用する構造のシートで対応する。複数の指を一括して包み込めば、シートの指部分での切れ目が減少した形状となり、防水性能がより向上する。
【0014】
施設での大人数に対する介護の際には、世話をする人がシートを収納したケースを身に付けていて、どこにいても必要時に直ぐ本発明のシートを手に装着できる運用形態をとることにより、より効率の良い質の高い介護が可能となる。
【0015】
図8はケースに収納されている使用待ち状態のシートを示し、両手を同時に装着できるように配置されている。図7は、図8の右手用片方のみの断面図を示しており、装着時指の挿入をより容易にするために指先挿入部(11)の指の入り口部分を上向きにして使用者の装着を待つ状態を作り出している。その方法として底部の中央に近い部分が隆起した収納ケースの形状を備えている。
【符号の説明】
【0016】
10 手のひら装着シート
11 指先挿入部
12 開放型指先挿入部
13 指先接着部
14 手首接着部
15 シート収納箱
16 シート収納箱突起底部
18 指先挿入部の関節対応部分
20 使用者の手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手の形状をなしたシートであって、シートに対応した使用者の手の親指、人差し指、中指、薬指及び小指から選ばれる少なくとも2つ以上の指に付いて、その指に対応した位置で、挿入された指を握持する機能を持つ指先挿入部を備えたことを特徴とする手のひら装着シート。
【請求項2】
手の形状をなしたシートであって、シートに使用者の手のひらが接触する面において、使用者の親指、人差し指、中指、薬指及び小指から選ばれる少なくとも2つ以上の指の接触する位置に使用者の指に接着又は吸着する素材を備えたことを特徴とする手のひら装着シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−72163(P2013−72163A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213594(P2011−213594)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(309023623)
【Fターム(参考)】