説明

手動のコンテナ反転装置

【課題】 青果物を収納したコンテナを、軽く手を添えるだけで反転させて、選果台に青果物を供給する手動のコンテナ反転装置を提供する。
【解決手段】 コンテナに収容された青果物を選果台に供給するための装置であり、コンテナを反転させるために、枠体の素台に、コンテナ供給台を据え付け、かつコンテナ供給台の傍にコンテナの底部一辺を落とすための空間を設定し、その空間にコンテナの底部一辺を落とすことによって傾くコンテナを受け止めると同時に支点にして反転作用を促す回転棒軸を、コンテナ供給台に平行して素台に設置し、またコンテナ供給台の側部に反転を補助するための回転キャスターを取り付けた構成を特徴とする手動のコンテナ反転装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナに収納されている青果物を、反転させて排出させる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンテナ反転装置はすでに幾つかの提案がなされている。選果場や加工場において見られるように大型でモーター等動力源を用いた、しかも自動化された装置が多い。
しかし、多くの農家が求める、手動式で、簡単な構造を備え、しかも機能性の優れる安全性の高い機種は見当たらない。
例えば、特開2001−088942号公報に記載の「コンテナ反転装置」は、コンテナを載せた反転台を操作して反転させる仕様のため、先のコンテナを空けた後、次のコンテナを受け入れるためには、反転台を元の位置に戻す必要がある。またコンテナを載せて動く反転台と固定された支持枠の間に手を挟み込まれる危険性等、安全面に難があったりする。また市販されている手動式のコンテナスピンも簡単な構造を備えているが、上記「コンテナ反転装置」と同じくコンテナを載せた反転台が反転するため、次のコンテナを受け入れるには、反転台を元の位置に戻す必要があり、迅速性に欠ける。
【0003】
手動式のコンテナ反転台は、多くの農家に期待され、高齢化に向かう農家の潜在的需要はあるものと思われる。しかし、上記のような状況から、広く普及には至らず、従来のようにコンテナを持ち上げる動作と収納した青果物を空ける動作が同時に連携する手作業は現在においても続けられているが、身体への負担は大きく未だに改善されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−088942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような事情から、身体にかかる負担を軽減し、簡単な構造で安価に提供できる、しかも機能性と安全性も追求した、手動のコンテナ反転装置を新規に提供することを目的とするものである
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、従来の大きく操作して動かす必要のある反転台をなくし、コンテナ自体だけが反転する機能を備えた反転装置に関するものである。
前記手動のコンテナ反転装置は、高さを自由に調節するための仕様を配設した枠体の素台にローラを具備したコンテナ供給台を据付けると共に、コンテナ供給台の傍に空間を設定し、その空間にコンテナの底部一辺を落とすことによって傾くコンテナを受け止めるための回転棒軸を、コンテナ供給台に平行に適度の空間を設定して素台に設置し、回転棒軸の両側に設けた棒軸受けの支持台の先端には、選果台を連結するための選果台支持部を設ける。更にコンテナ供給台の側部に、コンテナを反転させる空間にコンテナと直角方向に複数の回転キャスターを取り付けると共に左右側部にはローラコンベアを連結するための連結金具を取り付ける。また素台の左右、後にはローラコンベアを連結するためのローラコンベア支持部を取り付けるためのボルト穴を設け、コンテナの搬入方向に対応してローラコンベアを自由に取り付けられる構成とする。
【発明の効果】
【0007】
上記のような構成を有する本発明のコンテナ反転装置は、大きく動かす装置を必要とせず、ローラ、回転棒軸、回転キャスター、設定された空間による効果と手で軽く補助する事により、コンテナ自体が移動、傾き、反転、横転の動作が出来るため、身体への負担は軽く、しかも手作業による臨機応変に素早く対応する事で、より機能性を高め、更に使い勝手が良くなった。
このようなコンテナ反転装置は実際の使用上、コンテナ自体だけが反転するため使い勝手が良く、構造が簡単なため軽量で、しかもコンテナ供給台の枠の一辺や回転棒軸の支点を利用した反転なので抵抗がなく身体にも負担がかからない、安全性の高い反転装置を供給する事が出来るようになった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明における手動のコンテナ反転装置の斜視図である。
【図2】本発明における手動のコンテナ反転装置の平面図である。
【図3】本発明における手動のコンテナ反転装置を使用する際のローラ供給台からコンテナの底部が空間に迫り出した状態の側面図である。
【図4】本発明における手動のコンテナ反転装置を使用する際の、空間部に落とし込んだコンテナが傾いた状態の側面図である。
【図5】本発明における手動のコンテナ反転装置を使用する際の選果台にコンテナが横転した側面図である。
【図6】本発明における手動のコンテナ反転装置の実施例に係るローラコンベアと選果台を連結した場合の平面視による説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
図1はコンテナ反転装置の斜視図であり反転装置の全体の状態を示す。この反転装置は、高さを自由に調節するための仕様を配設した枠体の素台(10)にローラを具備したコンテナ供給台(1)を据える。
供給台はローラによって構成されているので、青果物を収納したコンテナは自由自在に軽く移動し、制御、誘導することも出来る。
【0010】
棒軸を回転させる仕様にした回転棒軸(4)を、コンテナを反転させる側に、コンテナ供給台(1)に平行して、空間(3)を設定して素台(10)に設置し、また回転棒軸を設置するために設けた両側の棒軸受け支持台の先端部には選果台を連結するための選果台支持部(7)を設け、同じく素台(10)にはローラコンベアを連結するための、ローラコンベア支持部(6)を設置する。
ローラコンベア支持部(6)はボルト締めによる取り付け仕様のため、取り外して左側や後ろ側に付け替えることによりローラコンベア(8)は青果物収納コンテナの搬入方向何れにも対応する事が出来、以上の工夫を素台(10)に組み込んだコンテナ反転装置は、極めて簡単な構造になった。
なおローラコンベアを後ろに連結する、すなわち選果台や反転台と共に直列に連結するためには、コンテナ供給台(1)を横に90度回し素台(10)に据えることで可能になる。
【0011】
コンテナ供給台(1)の側部には回転用キャスター(4)とローラコンベア(8)を連結するための連結金具(6)を取り付ける。
【0012】
図2はコンテナ反転装置の平面図である。ローラを具備したコンテナ供給台(1)に空間(3)を設定して回転棒軸(2)を設置した状態と回転キャスター(4)の取り付け状況を示すもので、この構成による効果でコンテナの反転を促すもので、極めて簡単な構造を示したものである
【0013】
図3はコンテナが空間(3)の上に迫り出した状態を横から見た側面図である。この様にコンテナの底部一辺を空間(3)の上に迫り出すことで、コンテナ供給台の枠が支点になって抵抗なく傾けることが出来るようになり、コンテナを空間(3)の上に迫り出すための工夫は、図(6)の実施例の平面図の通り、ローラコンベア(8)を反転側にずらして連結する事によって解決する。すなわち青果物の入ったコンテナをローラコンベアに載せて滑らかして行けば、コンテナ供給台(1)とは、ずらして連結しているので、コンテナは空間(3)の上に迫り出した状態でコンテナ供給台(1)にセットされる。
なおコンテナ供給台(1)の上でも、ローラの回転作用により簡単にコンテナを空間(3)の上に誘導する事も出来る。
【0014】
図4はコンテナを空間(3)に落してコンテナが傾いた状態を横から見た側面図である。この図は傾くコンテナが回転棒軸(2)によって受け止められた状況を示したもので、この後コンテナは回転棒軸(2)の回転作用で反転を開始し、回転キャスター(4)の補助により更に反転を続けて行くので、軽く手を添えるだけでよい。
【0015】
図5はコンテナが選果台の上に横転した状態を横から見た側面図であり、選果台は傾斜しているので、横転したコンテナに収容されている青果物は自然に転がり出てくる。コンテナに残る青果物も、手でコンテナの底部を持ち上げてやればよく、コンテナも簡単に回収できるため、続いて送られてくるコンテナには支障がなく、迅速に作業を進めることが出来る。
選果台は選果機に連結する事も出来る。
【0016】
図6は実施例をローラコンベア(8)と選果台(9)を反転装置に連結した状態を平面図で説明するものであり、これは反転装置のコンテナ供給台(1)に対してローラコンベア(8)をずらして連結した状態を示すもので、コンテナの底部一辺を空間(3)の上に迫り出してセットするための工夫である。
【符号の説明】
【0017】
1 コンテナ供給台
2 回転棒軸
3 空間
4 回転キャスター
5 ローラコンベア連結金具
6 ローラコンベア支持部
7 選果台支持部
8 ローラコンベア
9 選果台
10 素台
11 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体の素台の上にコンテナ供給台を据え付け、かつコンテナ供給台の傍に空間を設定し、コンテナ供給台の上に載る青果物の収納したコンテナを、供給台から空間の上に迫り出せるようにしたことを特徴とする装置を設けた手動のコンテナ反転装置。
【請求項2】
コンテナ供給台から空間に落として傾くコンテナを受け止め、かつ反転させるための支点となる回転棒軸を取り付けたことを特徴とする請求項第1項記載の手動のコンテナ反転装置。
【請求項3】
コンテナ供給台の側部に、コンテナを反転させる空間にコンテナと直角方向に複数の回転キャスターを取り付けたことを特徴とする請求項第1項に記載の手動のコンテナ反転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−265059(P2010−265059A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116392(P2009−116392)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(309007405)