手動アイリス装置
【課題】絞り羽根を所定の位置にロックする部材の脱落を防止することができる手動絞り装置を提供する。
【解決手段】光軸上に開口部を有する絞りフォルダー2と、この絞りフォルダーに収容されて開口部20の面積を可変とする2枚の羽根31、32からなる絞り羽根3と、絞り羽根3に連結される回動レバー5と、回動レバー5にねじ込まれて絞り羽根3の移動をロックするロック用つまみ部材6を有する手動用操作部材4とを備え、回動レバー5はロック用つまみ6の一端部がねじ込まれるめねじ部53と、そのめねじ部を取り囲む一対の爪部52a、52bを有し、ロック用つまみ6は、操作部61とめねじ部53にねじ込まれるおねじ部62からなり、おねじ部62の手前にはねじ込み動作に伴って爪部52a、52bに当接して弾性変形させる拡径部63が形成されている。
【解決手段】光軸上に開口部を有する絞りフォルダー2と、この絞りフォルダーに収容されて開口部20の面積を可変とする2枚の羽根31、32からなる絞り羽根3と、絞り羽根3に連結される回動レバー5と、回動レバー5にねじ込まれて絞り羽根3の移動をロックするロック用つまみ部材6を有する手動用操作部材4とを備え、回動レバー5はロック用つまみ6の一端部がねじ込まれるめねじ部53と、そのめねじ部を取り囲む一対の爪部52a、52bを有し、ロック用つまみ6は、操作部61とめねじ部53にねじ込まれるおねじ部62からなり、おねじ部62の手前にはねじ込み動作に伴って爪部52a、52bに当接して弾性変形させる拡径部63が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラなどの光学機器に使用される撮像用レンズの光量をマニュアル操作で調整するための手動アイリス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像用レンズを有する光学機器、例えば監視カメラにおいては、光量絞り装置として、レンズ鏡筒の光軸上に開口部を有する保持枠に2枚の絞り羽根が長手方向に重合されかつ保持枠の長手方向に沿って摺動自在に設けられたアイリス装置が使用されている。通常のアイリス装置では、2枚の絞り羽根を互に逆方向に摺動させることにより、保持枠の開口部の面積を増減させている。
【0003】
監視カメラでは、監視対象となる場所の明るさが一定ではない場合(例えば屋外に設置された場合)には、オートアイリス装置が使用される。一方監視対象となる場所の明るさが一定の場合(例えば屋内に設置された場合)には、手動アイリス装置を使用して、人手によるマニュアル操作で光量を調整することが行われている。
【0004】
この種手動アイリス装置は、例えば特許文献1〜3に記載の如く、種々の構造が提案されている。特許文献1には、弧面を有する絞り枠と、この絞り枠の弧面に沿って揺動自在となる状態で鏡胴の支持筒に軸支され、外部に露出した部分を直接操作するように構成された絞りレバーと、この絞りレバーに係合させた状態でそれぞれが重ね合わせられて上記絞り枠に配置され、それぞれに絞り開口量を設定するための開口部を有し、上記絞りレバーの揺動操作によって絞り開閉動作を行う2枚の絞り羽根と、上記絞りレバーに外部に露出した部分として配置され、先端が上記絞り枠の弧面に当接することにより上記絞りレバーを絞り調整位置で固定するためのネジ固定式のロックツマミと、を含む手動式絞り機構が記載されている。
【0005】
特許文献2には、絞り開口量を制御する絞り羽根と、この絞り羽根を駆動するために揺動し、鏡胴内支持部の軸孔に嵌合する回転軸を備えた絞りレバーとを有するレンズ鏡胴において、上記回転軸にはその軸方向に割りを入れて径方向の弾性力を持たせ、この回転軸が上記鏡胴内支持部の軸孔に嵌合したとき、上記径方向の弾性力が発生して絞りレバーに所定の操作トルクを与えるように構成することが記載されている。
【0006】
特許文献3には、保持枠、絞り羽根、回動軸と回動片、操作レバーによりユニット化されており、レンズ鏡筒に対し後付け方式にて組み付けることが可能となるようにした手動絞り装置が記載されている。この絞り装置を用いる場合には、撮像レンズ(例えば、CCTVカメラ用撮影レンズ)のレンズ鏡筒に保持枠の挿入部分に対応した切欠部が設けられる。そして、手動絞り装置は、ユニット化された状態で、保持枠の挿入部分を切欠部からレンズ鏡筒内に差し込んだ後、取付部をネジ等を介してレンズ鏡筒側に固定すると、延長部分がレンズ鏡筒の外径方向に突出配置される。延長部分の片側には、回動軸及び操作レバーが配置されており、その操作レバーを回動操作することにより絞り調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3734307号公報
【特許文献2】特許第3751415号公報
【特許文献3】特許第4218745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の手動絞り装置には次のような問題がある。特許文献1に記載された手動式絞り機構によれば、2枚の絞り羽根により開口量を調整するので、6枚羽根のものと比べて部品点数を削減できる。しかしながらこの絞り機構では、鏡筒の支持筒に円弧状の絞り枠を軸支する構造を採用しているので、絞りレバーの前側に絞り枠を配置しており、コンパクトな構造にできないという問題がある。またネジ固定式のロックツマミをネジの緩み方向に回して、ロックツマミのオネジ部が絞り枠のメネジ部から離脱すると、ロックツマミを紛失する恐れがあるといった問題も伴う。
【0009】
特許文献2に記載された絞り機構は、絞りレバーの回転軸を軸孔に取り付ける時に、軸孔に弾性力を発生させて操作トルクを調整できるようにしているが、特許文献1と同様に絞り羽根を駆動するために円弧状の絞り枠を設けるので、コンパクトな構造にできないという問題がある。また特許文献1と同様にネジ固定式のロックツマミをネジの緩み方向に回して、ロックツマミのオネジ部が絞り枠のメネジ部から離脱すると、ロックツマミを紛失する恐れがあるといった問題も伴う。
【0010】
特許文献3に記載された手動絞り装置は、レンズ鏡筒側と分離した状態でユニット化できるが、レンズ鏡筒の外側に配置された操作部により絞り羽根を作動させるので、複雑な構造になるといった問題がある。
【0011】
したがって本発明の目的は、コンパクトな構造でしかもネジ固定式のロックつまみの紛失を防止することができる手動アイリス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の手動アイリス装置は、光軸上に開口部を有するフォルダー部材と、前記フォルダー部材に収容されて前記開口部の面積を可変とする2枚の絞り羽根と、前記絞り羽根に連結される回動レバーと、前記回動レバーにねじ込まれて絞り羽根の移動を阻止するロック用つまみ部材とを備え、前記回動レバーは前記ロック用つまみ部材の一端部がねじ込まれるめねじ部と、外周面にそのめねじ部を取り囲むように形成された複数の爪部を有し、前記ロック用つまみ部材は、操作部と前記めねじ部にねじ込まれるおねじ部からなり、前記おねじ部の操作部側にはねじ込み動作に伴って前記爪部に当接して弾性変形させる拡径部が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明において、前記拡径部は前記つまみ部材のねじ込み方向に向って下り勾配となるテーパ面を有し、前記爪部は前記テーパ面に当接するテーパ面を有する形状とすることができる。
【0014】
本発明において、前記回動レバーは、前記フォルダー部材に連結され、先端に複数の分割部とテーパ付案内部を有するレバー軸に装着することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロック用つまみ部材を回動レバーにねじ込むだけの操作で、回動レバーを所定の位置で絞り枠に固定することができるので、所望の開口面積を確保することができる。しかもロック用つまみを逆転させても、拡径部が回動レバーの爪部に係止されるので、つまみが回動レバーから抜け出すのを防止することができる。
【0016】
また、レバー軸の先端を特定の形状とすることにより、回動レバーをレバー軸に押し込むだけの操作で回動レバーを絞り羽根と連動させることが可能となり、もってアイリス装置の組立工数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の手動アイリス装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の手動アイリス装置において、絞り羽根を閉じた場合の平面図である。
【図3】図1の手動アイリス装置において、絞り羽根を開放した場合の平面図である。
【図4】図1に示す手動アイリス装置の手動操作用部材を図1のA方向から見た拡大図である。
【図5】図2をB−B線で切断したときの断面図である。
【図6】図2をC−C線で切断したときの断面図である。
【図7】図1をD方向から見た矢視図である。
【図8】図1をE方向から見た矢視図である。
【図9】図1をF方向から見た矢視図である。
【図10】絞り羽根の斜視図であり、(a)は上羽根を示す図、(b)は下羽根を示す図である。
【図11】下羽根に上羽根を重ねた状態を示す斜視図である。
【図12】図1に示す手動アイリス装置の要部を示す平面図であり、(a)はロック用つまみが回動レバーの奥までねじ込まれた状態を示す図、(b)はロック用つまみが回動レバーの途中までねじ込まれた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の詳細を添付図面により説明する。
【0019】
図1に示す手動アイリス装置1は、光軸(Z軸)上に開口部20を有する絞りフォルダー2と、開口部20の面積を可変調整するために2枚の羽根を有する絞り羽根3と、絞り羽根3を開閉して所定位置に保持するための手動操作用部材4とを備えている。手動操作用部材4は、絞り羽根3の開閉操作を行う円筒状の回動レバー5と、回動レバー5にねじ込まれ、絞り羽根3を所定位置に固定しておくためのロック用つまみ6を有する。回動レバー5は、絞りフォルダー2に固設される円筒状のレバー軸7に外装されかつレバー軸7に対して回動可能に支持されている。
【0020】
この手動アイリス装置1の各部の構成を説明する。絞りフォルダー2は、開口部20が形成された羽根収容部21を有する直方体状の枠状部材であり、羽根収容部21の幅方向(Y方向)の両端面に装置全体をレンズ鏡筒(不図示)などに装着するためのフック部26a、26bが設けられている。羽根収容部21には、開口部20の面積を調整するために、互いに逆方向に摺動可能な状態で上羽根31と下羽根32からなる絞り羽根3(図10、図11参照)が収容されている。この羽根収容部21の内部には、絞り羽根3を保持する(脱落を防止する)ために、羽根の移動方向(X1、X2方向)に沿って2個づつ形成された、4個(2列)の係止爪211a、211b、211c、211dが設けられている(図9参照)。
【0021】
図10及び図11に示すように、絞り羽根3は、上羽根31と下羽根32からなり、上羽根31と下羽根32は互いに逆方向に摺動可能に絞りフォルダー2に組み付けられる。上羽根31は、長手方向(X方向)の一端側(手動操作用部材側と反対側)が開放されて、他端に向って紡錘状に形成された開口310と、長手方向に沿って伸長する3個(2列)のL字型のスライド孔311a、311b、311cを有する{図10(a)参照}。上羽根31の一方の側には、延出部312が形成され、その延出部312の端部には、回動レバー5の下端部511aが係止されるL字型の係止孔313が形成されており(図9参照)、この下端部511aは、回動レバー5の回動によって係止孔313から外れないようにするために端部が根元側よりも膨らんだ形状を有する。
【0022】
下羽根32は、長手方向(X方向)の一端側(手動操作用部材側)が開放されて、他端に向って紡錘状に形成された開口320と、長手方向に沿って伸長する3個(2列)のL字型のスライド孔321a、321b、321cを有する{図10(b)参照}。下羽根32の一方の側(Y方向において一方の端部)には、延出部322が形成され、その延出部322の端部には、回動レバー5の下端部511bが係止されるL字型の係止孔323が形成されており、この下端部511bは、回動レバー5の回転によって係止孔323に下羽根32が脱落しないようにするために端部が根元側よりも膨らんだ形状を有する。
【0023】
羽根収容部21のY方向の一端側に形成された係止爪211aは、上羽根31の係止孔311aを挿通して下羽根32の係止孔321aに係止され、かつ係止爪211bは、上羽根31の係止孔311bに係止される。同様に、羽根収容部21のY方向の他端側に形成された係止爪211bは、上羽根31の係止孔311cを挿通して下羽根32の係止孔321bに係止され、かつ係止爪211dは、下羽根32の係止孔321cに係止される。(図9参照)。したがって回動レバー5を回動させることにより、上羽根31と下羽根32は互いに逆方向(X1方向又はX2方向)に摺動して、開口面積を調整することができる(図11参照)。
【0024】
羽根収容部21に隣接する操作用部材支持部22は、手動操作用部材4が戴置されるステー部23a、23bと、手動操作用部材4の回転範囲を規制するストッパー部24a、24b、24c、24dを有する。この手動操作用部材4は、上記のように絞り羽根3に連結された回動レバー5と、回動レバー5にねじ込まれるロック用つまみ6を有する。
【0025】
回動レバー5は、絞りフォルダー2に固設されたレバー軸7の外周面に装着される略円筒状の基体部50と、その下部に形成されたアーム部51a、51bと、基体部50を貫通するように形成された、ロック用つまみ6がねじ込まれるめねじ部53を有する(図4〜図6参照)。めねじ部53の端部(基体部50の外周面)には、複数の爪部、例えば対称(非対称でもよい)に配置された一対の爪部52a、52bが形成されている(図4参照)。各爪部52a、52bの端部(つまみ側)には各々、テーパ部521a、521bが形成されている。これらのテーパ部521a、521bは、内径側に向って下り勾配となる斜面を有する。回動レバー5の外周面側の下部には、対称位置に絞り羽根3の摺動範囲を規制するためのアーム51a、51bが形成されている。また操作用部材支持部22には、対称に配置された円弧状のガイド孔25a、25bが形成されている(図2、図9参照)。このガイド孔25aを通してアーム部51の係止部511aは、上羽根31の係止孔313に連結され、同様にガイド孔25bを通してアーム部51の係止部511bは下羽根32の係止孔323に係止される。したがってアーム5を回動することにより、係止部551aはガイド孔25aに沿って回動され、係止部551bはガイド孔25bに沿って回動されるので、上羽根31と下羽根32のX1方向又はX2方向への移動(図9参照)が可能となる。
【0026】
ロック用つまみ6は、円柱状(他の形状、例えば多角柱状でもよい)の基体部61と、基体部61の一端に形成されたおねじ部62を有する(図4及び図6参照)。おねじ部62の長さは、回転レバー5のめねじ部53の長さと同等(やや長くてもよい)に設定されている。おねじ部62の手前(基体部側)には、外周面がおねじ部に向って下り勾配となるリング状の拡径部63が形成されている。本例では、基体部62はおねじ部よりも大径であるが、これに限定されない。
【0027】
回動レバー5を軸支するためのレバー軸7は、T字型状の脚部72a、72の先端が絞りフォルダー2に嵌装される(圧入される)ことにより、絞りフォルダー2に固定される(図9参照)。レバー軸7は、上端部が複数(例えば4個)の切り込みにより分断され、かつ頭部には、内周側に向って下り勾配となるテーパ部を有する係止部71a、71b、71c、71dが形成されている。したがって回動レバー5をレバー軸7に外装する(押し込む)だけの操作で、レバー軸7の先端部は弾性変形する(縮径後元の状態に復元する)ので回動レバー5をレバー軸7に組み付けることができる。
【0028】
手動アイリス装置1の絞り羽根3の開閉動作を説明する。回動レバー5をR1方向に回転させた場合(図2、図7及び図8参照)、上羽根31はX1方向に移動し、下羽根32はX2方向(上羽根31と逆方向)に移動して、絞りフォルダー2の開口20の面積が狭くなり、アーム部51aがストッパー24aに当接し、またアーム部51bがストッパー24dに当接することにより、絞り羽根3は全閉状態となる(図7〜図9参照)。一方回動レバー5をR2方向に回転させた場合(図3参照)、上羽根31はX2方向に移動し、下羽根32はX1方向(上羽根31と逆方向)に移動して、絞りフォルダー2の開口20の面積が広くなり、アーム部51aがストッパー24bに当接し、またアーム部51bがストッパー24cに当接することにより、絞り羽根3は全開状態となる(図3参照)。
【0029】
本発明においては、絞り羽根3を所望の開口面積となる位置に維持するために、回動レバー5にロック用つまみ6をねじ込む操作が行われる。このねじ込み操作の動作過程は次の通りである。例えば図3に示す全開状態で、ロック用つまみ6をねじ込むことにより、ロック用つまみ6はS1方向に移動する。次いでロック用つまみ6をさらにねじ込むことにより、拡径部63がテーパ部521a及びテーパ部521bに当接し、爪部52a及び爪部52bは弾性変形して、拡径部63は爪部521a及び爪部521bを通り抜ける(図4参照)。ロック用つまみ6が奥までねじ込まれると、その先端はレバー軸7の外周面に突き当たり、ロック用つまみ6とレバー軸7が圧接した状態が現出する{図12(a)参照}。したがって回動レバー5は絞りフォルダー2に固定されるので、絞りフォルダー2の開口部20の面積を所望の大きさに維持することができる。
【0030】
次に、開口面積を変更する場合は、ロック用つまみ6を緩めて上記とは逆方向(S2方向)に移動させることにより(図4参照)、ロック用つまみ6とレバー軸7の圧接を解除する。次いで絞り羽根3を閉じることにより、開口面積を狭めることができる。所望の開口面積が得られる位置で、上記と同様にロック用つまみ6を奥までねじ込んで、回動レバー5を絞りフォルダー2に固定すればよい。
【0031】
上記のロック用つまみ6をねじ込む又は緩める過程では、その拡径部63が爪部52a、52bのテーパ部521a、521bに当接した時点では、おねじ部62の先端はレバー軸7に到達していないが、少なくともおねじ部62の一部は回動レバー5にねじ込まれている(支持されている)ので、ロック用つまみ6が回動レバー5から脱落することは無い。これに対し、拡径部63が爪部52a、52bの先端(テーパ部521a、521b)を通過しかつおねじ部62の先端がレバー軸7に到達していない状態では、ロック用つまみ6のおねじ部62の少なくとも一部が回動レバー5の基体部50にねじ込まれていないと、ロック用つまみ6が脱落することになる。しかして本発明においては、回動レバー5の外周面には、めねじ部53の周囲に爪部521a、521bが設けられているので、ロック用つまみ6がS2方向に移動しようとすると、ロック用つまみ6の拡径部63が爪部521a、521bでせき止められしかもおねじ部62の一部は基体部50に保持されているので、ロック用つまみ6が回動レバー5から脱落するのを防止することができる{図12(b)参照}。
【0032】
このように本発明によれば、回動レバー5及びロック用つまみ6が特定の形状に形成されているので、追加の部品(例えばロック用つまみを回動レバー5に結合する部材)を準備すること無く、ロック用つまみ6を回動レバー5にねじ込むだけの操作で、ロック用つまみ6の脱落(紛失)を確実に防止できるといった実用性の優れた手動アイリス装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1:手動アイリス装置、
2:絞りフォルダー、20:開口部、21:絞り羽根収容部、211a、211b、211c、211d:係止爪、22:操作用部材支持部、23a、23b:ステー部、24a、24b、24c、24d:ストッパー部、25a、25b:ガイド孔、26a、26b:フック部、
3:絞り羽根、31:上羽根、310:開口部、311a、311b、311c、311d:スライド孔、312:延出部、313:係止孔、32:下羽根、320:開口部、321a、321b、321c、321d:スライド孔、322:延出部、323:係止孔、
4:手動操作用部材、
5:回動レバー、50:基体部、51a、51b:アーム部、511a、511b:係止部、52a、52b:爪部、521a、521b:テーパ部、53:めねじ部、
6:ロック用つまみ、61:操作部、62:おねじ部、63:拡径部、
7:レバー軸、71a、71b、71c、71d:係止部、72a、72b:脚部、
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラなどの光学機器に使用される撮像用レンズの光量をマニュアル操作で調整するための手動アイリス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像用レンズを有する光学機器、例えば監視カメラにおいては、光量絞り装置として、レンズ鏡筒の光軸上に開口部を有する保持枠に2枚の絞り羽根が長手方向に重合されかつ保持枠の長手方向に沿って摺動自在に設けられたアイリス装置が使用されている。通常のアイリス装置では、2枚の絞り羽根を互に逆方向に摺動させることにより、保持枠の開口部の面積を増減させている。
【0003】
監視カメラでは、監視対象となる場所の明るさが一定ではない場合(例えば屋外に設置された場合)には、オートアイリス装置が使用される。一方監視対象となる場所の明るさが一定の場合(例えば屋内に設置された場合)には、手動アイリス装置を使用して、人手によるマニュアル操作で光量を調整することが行われている。
【0004】
この種手動アイリス装置は、例えば特許文献1〜3に記載の如く、種々の構造が提案されている。特許文献1には、弧面を有する絞り枠と、この絞り枠の弧面に沿って揺動自在となる状態で鏡胴の支持筒に軸支され、外部に露出した部分を直接操作するように構成された絞りレバーと、この絞りレバーに係合させた状態でそれぞれが重ね合わせられて上記絞り枠に配置され、それぞれに絞り開口量を設定するための開口部を有し、上記絞りレバーの揺動操作によって絞り開閉動作を行う2枚の絞り羽根と、上記絞りレバーに外部に露出した部分として配置され、先端が上記絞り枠の弧面に当接することにより上記絞りレバーを絞り調整位置で固定するためのネジ固定式のロックツマミと、を含む手動式絞り機構が記載されている。
【0005】
特許文献2には、絞り開口量を制御する絞り羽根と、この絞り羽根を駆動するために揺動し、鏡胴内支持部の軸孔に嵌合する回転軸を備えた絞りレバーとを有するレンズ鏡胴において、上記回転軸にはその軸方向に割りを入れて径方向の弾性力を持たせ、この回転軸が上記鏡胴内支持部の軸孔に嵌合したとき、上記径方向の弾性力が発生して絞りレバーに所定の操作トルクを与えるように構成することが記載されている。
【0006】
特許文献3には、保持枠、絞り羽根、回動軸と回動片、操作レバーによりユニット化されており、レンズ鏡筒に対し後付け方式にて組み付けることが可能となるようにした手動絞り装置が記載されている。この絞り装置を用いる場合には、撮像レンズ(例えば、CCTVカメラ用撮影レンズ)のレンズ鏡筒に保持枠の挿入部分に対応した切欠部が設けられる。そして、手動絞り装置は、ユニット化された状態で、保持枠の挿入部分を切欠部からレンズ鏡筒内に差し込んだ後、取付部をネジ等を介してレンズ鏡筒側に固定すると、延長部分がレンズ鏡筒の外径方向に突出配置される。延長部分の片側には、回動軸及び操作レバーが配置されており、その操作レバーを回動操作することにより絞り調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3734307号公報
【特許文献2】特許第3751415号公報
【特許文献3】特許第4218745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来の手動絞り装置には次のような問題がある。特許文献1に記載された手動式絞り機構によれば、2枚の絞り羽根により開口量を調整するので、6枚羽根のものと比べて部品点数を削減できる。しかしながらこの絞り機構では、鏡筒の支持筒に円弧状の絞り枠を軸支する構造を採用しているので、絞りレバーの前側に絞り枠を配置しており、コンパクトな構造にできないという問題がある。またネジ固定式のロックツマミをネジの緩み方向に回して、ロックツマミのオネジ部が絞り枠のメネジ部から離脱すると、ロックツマミを紛失する恐れがあるといった問題も伴う。
【0009】
特許文献2に記載された絞り機構は、絞りレバーの回転軸を軸孔に取り付ける時に、軸孔に弾性力を発生させて操作トルクを調整できるようにしているが、特許文献1と同様に絞り羽根を駆動するために円弧状の絞り枠を設けるので、コンパクトな構造にできないという問題がある。また特許文献1と同様にネジ固定式のロックツマミをネジの緩み方向に回して、ロックツマミのオネジ部が絞り枠のメネジ部から離脱すると、ロックツマミを紛失する恐れがあるといった問題も伴う。
【0010】
特許文献3に記載された手動絞り装置は、レンズ鏡筒側と分離した状態でユニット化できるが、レンズ鏡筒の外側に配置された操作部により絞り羽根を作動させるので、複雑な構造になるといった問題がある。
【0011】
したがって本発明の目的は、コンパクトな構造でしかもネジ固定式のロックつまみの紛失を防止することができる手動アイリス装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の手動アイリス装置は、光軸上に開口部を有するフォルダー部材と、前記フォルダー部材に収容されて前記開口部の面積を可変とする2枚の絞り羽根と、前記絞り羽根に連結される回動レバーと、前記回動レバーにねじ込まれて絞り羽根の移動を阻止するロック用つまみ部材とを備え、前記回動レバーは前記ロック用つまみ部材の一端部がねじ込まれるめねじ部と、外周面にそのめねじ部を取り囲むように形成された複数の爪部を有し、前記ロック用つまみ部材は、操作部と前記めねじ部にねじ込まれるおねじ部からなり、前記おねじ部の操作部側にはねじ込み動作に伴って前記爪部に当接して弾性変形させる拡径部が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明において、前記拡径部は前記つまみ部材のねじ込み方向に向って下り勾配となるテーパ面を有し、前記爪部は前記テーパ面に当接するテーパ面を有する形状とすることができる。
【0014】
本発明において、前記回動レバーは、前記フォルダー部材に連結され、先端に複数の分割部とテーパ付案内部を有するレバー軸に装着することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロック用つまみ部材を回動レバーにねじ込むだけの操作で、回動レバーを所定の位置で絞り枠に固定することができるので、所望の開口面積を確保することができる。しかもロック用つまみを逆転させても、拡径部が回動レバーの爪部に係止されるので、つまみが回動レバーから抜け出すのを防止することができる。
【0016】
また、レバー軸の先端を特定の形状とすることにより、回動レバーをレバー軸に押し込むだけの操作で回動レバーを絞り羽根と連動させることが可能となり、もってアイリス装置の組立工数を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の手動アイリス装置の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の手動アイリス装置において、絞り羽根を閉じた場合の平面図である。
【図3】図1の手動アイリス装置において、絞り羽根を開放した場合の平面図である。
【図4】図1に示す手動アイリス装置の手動操作用部材を図1のA方向から見た拡大図である。
【図5】図2をB−B線で切断したときの断面図である。
【図6】図2をC−C線で切断したときの断面図である。
【図7】図1をD方向から見た矢視図である。
【図8】図1をE方向から見た矢視図である。
【図9】図1をF方向から見た矢視図である。
【図10】絞り羽根の斜視図であり、(a)は上羽根を示す図、(b)は下羽根を示す図である。
【図11】下羽根に上羽根を重ねた状態を示す斜視図である。
【図12】図1に示す手動アイリス装置の要部を示す平面図であり、(a)はロック用つまみが回動レバーの奥までねじ込まれた状態を示す図、(b)はロック用つまみが回動レバーの途中までねじ込まれた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の詳細を添付図面により説明する。
【0019】
図1に示す手動アイリス装置1は、光軸(Z軸)上に開口部20を有する絞りフォルダー2と、開口部20の面積を可変調整するために2枚の羽根を有する絞り羽根3と、絞り羽根3を開閉して所定位置に保持するための手動操作用部材4とを備えている。手動操作用部材4は、絞り羽根3の開閉操作を行う円筒状の回動レバー5と、回動レバー5にねじ込まれ、絞り羽根3を所定位置に固定しておくためのロック用つまみ6を有する。回動レバー5は、絞りフォルダー2に固設される円筒状のレバー軸7に外装されかつレバー軸7に対して回動可能に支持されている。
【0020】
この手動アイリス装置1の各部の構成を説明する。絞りフォルダー2は、開口部20が形成された羽根収容部21を有する直方体状の枠状部材であり、羽根収容部21の幅方向(Y方向)の両端面に装置全体をレンズ鏡筒(不図示)などに装着するためのフック部26a、26bが設けられている。羽根収容部21には、開口部20の面積を調整するために、互いに逆方向に摺動可能な状態で上羽根31と下羽根32からなる絞り羽根3(図10、図11参照)が収容されている。この羽根収容部21の内部には、絞り羽根3を保持する(脱落を防止する)ために、羽根の移動方向(X1、X2方向)に沿って2個づつ形成された、4個(2列)の係止爪211a、211b、211c、211dが設けられている(図9参照)。
【0021】
図10及び図11に示すように、絞り羽根3は、上羽根31と下羽根32からなり、上羽根31と下羽根32は互いに逆方向に摺動可能に絞りフォルダー2に組み付けられる。上羽根31は、長手方向(X方向)の一端側(手動操作用部材側と反対側)が開放されて、他端に向って紡錘状に形成された開口310と、長手方向に沿って伸長する3個(2列)のL字型のスライド孔311a、311b、311cを有する{図10(a)参照}。上羽根31の一方の側には、延出部312が形成され、その延出部312の端部には、回動レバー5の下端部511aが係止されるL字型の係止孔313が形成されており(図9参照)、この下端部511aは、回動レバー5の回動によって係止孔313から外れないようにするために端部が根元側よりも膨らんだ形状を有する。
【0022】
下羽根32は、長手方向(X方向)の一端側(手動操作用部材側)が開放されて、他端に向って紡錘状に形成された開口320と、長手方向に沿って伸長する3個(2列)のL字型のスライド孔321a、321b、321cを有する{図10(b)参照}。下羽根32の一方の側(Y方向において一方の端部)には、延出部322が形成され、その延出部322の端部には、回動レバー5の下端部511bが係止されるL字型の係止孔323が形成されており、この下端部511bは、回動レバー5の回転によって係止孔323に下羽根32が脱落しないようにするために端部が根元側よりも膨らんだ形状を有する。
【0023】
羽根収容部21のY方向の一端側に形成された係止爪211aは、上羽根31の係止孔311aを挿通して下羽根32の係止孔321aに係止され、かつ係止爪211bは、上羽根31の係止孔311bに係止される。同様に、羽根収容部21のY方向の他端側に形成された係止爪211bは、上羽根31の係止孔311cを挿通して下羽根32の係止孔321bに係止され、かつ係止爪211dは、下羽根32の係止孔321cに係止される。(図9参照)。したがって回動レバー5を回動させることにより、上羽根31と下羽根32は互いに逆方向(X1方向又はX2方向)に摺動して、開口面積を調整することができる(図11参照)。
【0024】
羽根収容部21に隣接する操作用部材支持部22は、手動操作用部材4が戴置されるステー部23a、23bと、手動操作用部材4の回転範囲を規制するストッパー部24a、24b、24c、24dを有する。この手動操作用部材4は、上記のように絞り羽根3に連結された回動レバー5と、回動レバー5にねじ込まれるロック用つまみ6を有する。
【0025】
回動レバー5は、絞りフォルダー2に固設されたレバー軸7の外周面に装着される略円筒状の基体部50と、その下部に形成されたアーム部51a、51bと、基体部50を貫通するように形成された、ロック用つまみ6がねじ込まれるめねじ部53を有する(図4〜図6参照)。めねじ部53の端部(基体部50の外周面)には、複数の爪部、例えば対称(非対称でもよい)に配置された一対の爪部52a、52bが形成されている(図4参照)。各爪部52a、52bの端部(つまみ側)には各々、テーパ部521a、521bが形成されている。これらのテーパ部521a、521bは、内径側に向って下り勾配となる斜面を有する。回動レバー5の外周面側の下部には、対称位置に絞り羽根3の摺動範囲を規制するためのアーム51a、51bが形成されている。また操作用部材支持部22には、対称に配置された円弧状のガイド孔25a、25bが形成されている(図2、図9参照)。このガイド孔25aを通してアーム部51の係止部511aは、上羽根31の係止孔313に連結され、同様にガイド孔25bを通してアーム部51の係止部511bは下羽根32の係止孔323に係止される。したがってアーム5を回動することにより、係止部551aはガイド孔25aに沿って回動され、係止部551bはガイド孔25bに沿って回動されるので、上羽根31と下羽根32のX1方向又はX2方向への移動(図9参照)が可能となる。
【0026】
ロック用つまみ6は、円柱状(他の形状、例えば多角柱状でもよい)の基体部61と、基体部61の一端に形成されたおねじ部62を有する(図4及び図6参照)。おねじ部62の長さは、回転レバー5のめねじ部53の長さと同等(やや長くてもよい)に設定されている。おねじ部62の手前(基体部側)には、外周面がおねじ部に向って下り勾配となるリング状の拡径部63が形成されている。本例では、基体部62はおねじ部よりも大径であるが、これに限定されない。
【0027】
回動レバー5を軸支するためのレバー軸7は、T字型状の脚部72a、72の先端が絞りフォルダー2に嵌装される(圧入される)ことにより、絞りフォルダー2に固定される(図9参照)。レバー軸7は、上端部が複数(例えば4個)の切り込みにより分断され、かつ頭部には、内周側に向って下り勾配となるテーパ部を有する係止部71a、71b、71c、71dが形成されている。したがって回動レバー5をレバー軸7に外装する(押し込む)だけの操作で、レバー軸7の先端部は弾性変形する(縮径後元の状態に復元する)ので回動レバー5をレバー軸7に組み付けることができる。
【0028】
手動アイリス装置1の絞り羽根3の開閉動作を説明する。回動レバー5をR1方向に回転させた場合(図2、図7及び図8参照)、上羽根31はX1方向に移動し、下羽根32はX2方向(上羽根31と逆方向)に移動して、絞りフォルダー2の開口20の面積が狭くなり、アーム部51aがストッパー24aに当接し、またアーム部51bがストッパー24dに当接することにより、絞り羽根3は全閉状態となる(図7〜図9参照)。一方回動レバー5をR2方向に回転させた場合(図3参照)、上羽根31はX2方向に移動し、下羽根32はX1方向(上羽根31と逆方向)に移動して、絞りフォルダー2の開口20の面積が広くなり、アーム部51aがストッパー24bに当接し、またアーム部51bがストッパー24cに当接することにより、絞り羽根3は全開状態となる(図3参照)。
【0029】
本発明においては、絞り羽根3を所望の開口面積となる位置に維持するために、回動レバー5にロック用つまみ6をねじ込む操作が行われる。このねじ込み操作の動作過程は次の通りである。例えば図3に示す全開状態で、ロック用つまみ6をねじ込むことにより、ロック用つまみ6はS1方向に移動する。次いでロック用つまみ6をさらにねじ込むことにより、拡径部63がテーパ部521a及びテーパ部521bに当接し、爪部52a及び爪部52bは弾性変形して、拡径部63は爪部521a及び爪部521bを通り抜ける(図4参照)。ロック用つまみ6が奥までねじ込まれると、その先端はレバー軸7の外周面に突き当たり、ロック用つまみ6とレバー軸7が圧接した状態が現出する{図12(a)参照}。したがって回動レバー5は絞りフォルダー2に固定されるので、絞りフォルダー2の開口部20の面積を所望の大きさに維持することができる。
【0030】
次に、開口面積を変更する場合は、ロック用つまみ6を緩めて上記とは逆方向(S2方向)に移動させることにより(図4参照)、ロック用つまみ6とレバー軸7の圧接を解除する。次いで絞り羽根3を閉じることにより、開口面積を狭めることができる。所望の開口面積が得られる位置で、上記と同様にロック用つまみ6を奥までねじ込んで、回動レバー5を絞りフォルダー2に固定すればよい。
【0031】
上記のロック用つまみ6をねじ込む又は緩める過程では、その拡径部63が爪部52a、52bのテーパ部521a、521bに当接した時点では、おねじ部62の先端はレバー軸7に到達していないが、少なくともおねじ部62の一部は回動レバー5にねじ込まれている(支持されている)ので、ロック用つまみ6が回動レバー5から脱落することは無い。これに対し、拡径部63が爪部52a、52bの先端(テーパ部521a、521b)を通過しかつおねじ部62の先端がレバー軸7に到達していない状態では、ロック用つまみ6のおねじ部62の少なくとも一部が回動レバー5の基体部50にねじ込まれていないと、ロック用つまみ6が脱落することになる。しかして本発明においては、回動レバー5の外周面には、めねじ部53の周囲に爪部521a、521bが設けられているので、ロック用つまみ6がS2方向に移動しようとすると、ロック用つまみ6の拡径部63が爪部521a、521bでせき止められしかもおねじ部62の一部は基体部50に保持されているので、ロック用つまみ6が回動レバー5から脱落するのを防止することができる{図12(b)参照}。
【0032】
このように本発明によれば、回動レバー5及びロック用つまみ6が特定の形状に形成されているので、追加の部品(例えばロック用つまみを回動レバー5に結合する部材)を準備すること無く、ロック用つまみ6を回動レバー5にねじ込むだけの操作で、ロック用つまみ6の脱落(紛失)を確実に防止できるといった実用性の優れた手動アイリス装置を得ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1:手動アイリス装置、
2:絞りフォルダー、20:開口部、21:絞り羽根収容部、211a、211b、211c、211d:係止爪、22:操作用部材支持部、23a、23b:ステー部、24a、24b、24c、24d:ストッパー部、25a、25b:ガイド孔、26a、26b:フック部、
3:絞り羽根、31:上羽根、310:開口部、311a、311b、311c、311d:スライド孔、312:延出部、313:係止孔、32:下羽根、320:開口部、321a、321b、321c、321d:スライド孔、322:延出部、323:係止孔、
4:手動操作用部材、
5:回動レバー、50:基体部、51a、51b:アーム部、511a、511b:係止部、52a、52b:爪部、521a、521b:テーパ部、53:めねじ部、
6:ロック用つまみ、61:操作部、62:おねじ部、63:拡径部、
7:レバー軸、71a、71b、71c、71d:係止部、72a、72b:脚部、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸上に開口部を有するフォルダー部材と、前記フォルダー部材に収容されて前記開口部の面積を可変とする2枚の絞り羽根と、前記絞り羽根に連結される回動レバーと、前記回動レバーにねじ込まれて絞り羽根の移動をロックするロック用つまみ部材とを備え、
前記回動レバーは前記ロック用つまみ部材の一端部がねじ込まれるめねじ部と、そのめねじ部を取り囲むように形成された複数の爪部材を有し、
前記ロック用つまみ部材は、操作部と前記めねじ部にねじ込まれるおねじ部からなり、前記おねじ部の操作部側端部にはねじ込み動作に伴って前記爪部に当接して弾性変形させる拡径部が形成されていることを特徴とする手動アイリス装置。
【請求項2】
前記拡径部は前記つまみ部材のねじ込み方向に向って下り勾配となるテーパ面を有し、前記爪部は前記テーパ面に当接するテーパ面を有することを特徴とする請求項1に記載の手動アイリス装置。
【請求項3】
前記回動レバーは、前記フォルダー部材に連結され、先端に複数の分割部とテーパ付案内部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の手動アイリス装置。
【請求項1】
光軸上に開口部を有するフォルダー部材と、前記フォルダー部材に収容されて前記開口部の面積を可変とする2枚の絞り羽根と、前記絞り羽根に連結される回動レバーと、前記回動レバーにねじ込まれて絞り羽根の移動をロックするロック用つまみ部材とを備え、
前記回動レバーは前記ロック用つまみ部材の一端部がねじ込まれるめねじ部と、そのめねじ部を取り囲むように形成された複数の爪部材を有し、
前記ロック用つまみ部材は、操作部と前記めねじ部にねじ込まれるおねじ部からなり、前記おねじ部の操作部側端部にはねじ込み動作に伴って前記爪部に当接して弾性変形させる拡径部が形成されていることを特徴とする手動アイリス装置。
【請求項2】
前記拡径部は前記つまみ部材のねじ込み方向に向って下り勾配となるテーパ面を有し、前記爪部は前記テーパ面に当接するテーパ面を有することを特徴とする請求項1に記載の手動アイリス装置。
【請求項3】
前記回動レバーは、前記フォルダー部材に連結され、先端に複数の分割部とテーパ付案内部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の手動アイリス装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−226242(P2012−226242A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95886(P2011−95886)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(505056742)ピーエス特機株式会社 (5)
【出願人】(592159999)株式会社ケンコー・トキナー (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(505056742)ピーエス特機株式会社 (5)
【出願人】(592159999)株式会社ケンコー・トキナー (9)
【Fターム(参考)】
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