手動型結束工具
【課題】不安定高所作業などにおいても便利に使用できるとか、結束作業効率が改善されるように、引締め操作及び切断操作が握り換えなく片手のみで良好に行えるように改善された手動型結束工具を開発して提供する。
【解決手段】手動型結束工具において、バンド部aを引張る引締め機構cと、引締め機構cで引締められたバンド部aを、ヘッド部b間際で切断させる切断機構eと、第1レバー1と、第2レバー2と、切断機構eの動きを司る切断操作部3と、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによって引締め機構cを作動させるように引締め機構cと第1及び第2レバー1,2とを連係する引締め連係部dとを有し、第1及び第2レバー1,2を握っている状態における何れかの手指で切断操作部3の操作が可能に構成する。
【解決手段】手動型結束工具において、バンド部aを引張る引締め機構cと、引締め機構cで引締められたバンド部aを、ヘッド部b間際で切断させる切断機構eと、第1レバー1と、第2レバー2と、切断機構eの動きを司る切断操作部3と、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによって引締め機構cを作動させるように引締め機構cと第1及び第2レバー1,2とを連係する引締め連係部dとを有し、第1及び第2レバー1,2を握っている状態における何れかの手指で切断操作部3の操作が可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所における電信電線工事などの片手操作に好適な結束バンド用の手動型結束工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の手動型結束工具としては、特許文献1において開示されるように、手指によって握り込み操作が可能な第1レバー(1)、及び第2レバー(2)、バンド切断用の切断レバー(3)を備えて成るものが知られている。これは、第1及び第2レバー(1),(2)の握り込みを行うことで、結束対象に巻回されている結束バンドのバンドを引き締めることができ、手指を握り換えて第1レバー(1)と切断レバー(3)との握り込みでバンドの切断が行える便利な工具である。
【0003】
上記手動型結束工具は、結束バンドのバンド部への工具先端部のセット操作が楽で簡単に行え、多数の電線やワイヤーハーネスの結束作業の数をこなしても疲れ難いように改善されたものであり、使い勝手に優れるものである。ところが、結束作業の種類によっては、特許文献1にて開示される優れた手動型結束工具を用いても使い難さのあることや、結束作業効率があまり芳しくないことが分かってきた。
【0004】
例えば、電柱や鉄塔に登っての結束作業では、片手で結束対象である電線の束や高所で安定的に躯を支えるための固定バーを掴みながら、もう一方の手で手動型結束工具を用いて結束作業を行う片手作業が余儀なくされることもある。このような場合、特許文献1による結束工具では、バンド引締め操作から切断操作に移行する際の握り換え、即ち、第1及び第2レバーを握る状態から第1レバーと切断レバーとを握る状態への切換時には、握っている手とは違う手指で支持しながら握り換えるか、一旦、工具を何処かに置いて支持させている状態で握り換えるかを行う必要がある。
【0005】
前者の握り換え手段では、握り換える間はもう片方の手指で結束工具を支えておく必要があって両手作業になるから、片手作業が余儀なくされる場面では握り換えが困難である。そして、前記後者の握り換え手段は片手作業が可能ではあるが、鉄塔等の高所作業では周囲に一旦工具を置けるような環境ではないことが多く、実質的に作業が困難になる(又は行えない)。従って、引締め操作と切断操作とが、手指の握り換えや一旦工具を置くことなく行えるようにするには、更なる改善が必要なものであった。また、工場内等の一般的な作業環境であっても、一旦握り換えを必要とする従来の結束工具による結束作業では結束作業の所要時間が結構掛かって使い勝手に劣り、その結果、結束作業効率の点では改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−262965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、不安定高所作業などにおいても便利に使用できるとか、結束作業効率が改善されるように、引締め操作及び切断操作が握り換えなく片手のみで良好に行えるように改善された手動型結束工具を開発して提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、手動型結束工具において、ヘッド部bを貫いて突出しているバンド部aを前記ヘッド部bに対して強制的に引張る引締め機構cと、前記引締め機構cによって引締められた前記バンド部aを、前記ヘッド部bから引締め方向下手側に突出する部分における前記ヘッド部b付近の箇所において切断させる切断機構eと、第1レバー1と、第2レバー2と、前記切断機構eの動きを司る切断操作部3と、前記第1レバー1と前記第2レバー2との手指による握り込みによって前記引締め機構cを作動させるように前記引締め機構cと前記第1及び第2レバー1,2とを連係させる引締め連係部dとを有し、
前記第1及び第2レバー1,2を握っている状態における何れかの手指で前記切断操作部3を操作することが可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の手動型結束工具において、前記バンド部aを保持可能なバンド保持部gを先端部に有する前記第1レバー1と、前記ヘッド部bの通過は不能で、かつ、前記バンド部aの通過は許容するバンド挿通部mを先端部に有する前記第2レバー2とを、それら各レバー1,2の長手方向の中間部において枢支連結することで前記引締め連係部dが構成され、前記第1レバー1における前記第2レバー2との枢支連結点Pに対して前記バンド保持部gと反対側となる第1基端部1rと、前記第2レバーにおける前記第1レバーとの枢支連結点Pに対して前記バンド挿通部mと反対側となる第2基端部2rとの手指での握り込みによる前記バンド保持部gと前記バンド挿通部mとの離反移動によって前記引締め機構cとして機能する状態に構成され、
前記切断機構eが、前記バンド挿通部mにスライド移動可能に装備される切断刃33を設けて構成されるとともに、前記第1基端部1rと前記第2基端部2rとの手指での握り込みによって前記切断刃33をスライド移動させるように、前記切断刃33と前記第1及び第2レバー1,2とを連係させる切断連係部sを設け、
前記切断操作部3が操作されないときには前記第1基端部1rと前記第2基端部2rとの手指での握り込みで前記引締め機構cが機能し、前記切断操作部3が操作されているときには前記第1基端部1rと前記第2基端部2rとの手指での握り込みで前記切断機構eが機能するように、前記切断操作部3と前記引締め連係部dと前記切断連係部sとが連係されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の手動型結束工具において、前記切断連係部sが、前記切断刃33をスライド移動させる揺動操作具9と、前記揺動操作具9が前記第1レバー1と共に揺動する切断作用状態と前記第2レバー2と共に揺動する非作用状態とを切換える切換部材14とを有して構成され、
前記切断操作部3を構成する切断レバーが揺動操作されたときは前記切換部材14が待機位置tから動作位置vに移動されて前記切断作用状態が齎され、前記切断レバー3が揺動操作されないときは前記切換部材14が待機位置tに維持されていて前記非作用状態が齎されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の手動型結束工具において、前記揺動操作具9が、前記第1及び第2レバー1,2とを枢支連結する枢支軸15に揺動可能に枢支されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の手動型結束工具において、前記切断レバー3の先端部3aが親指操作可能となるように、前記枢支軸15に揺動可能に枢支される状態で配置構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、詳しくは実施携帯の項にて述べるが、第1レバーと第2レバーとを手指で握り込むことでバンド部の引締めが行えるとともに、切断操作部切の操作によりバンド部の切断も行える。切断操作部は、第1及び第2レバーを握っている状態での手指操作が可能であるから、第1,2レバーを手指で握ったままの片手操作状態で、バンド部を引締める作業もバンド部の切断作業も行うことができる。その結果、不安定高所作業などにおいても便利に使用できるとか、結束作業効率が改善されるように、引締め操作及び切断操作が握り換えなく片手のみで良好に行えるように改善された手動型結束工具を提供することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、切断操作部の非操作時には、第1,2レバーの握り込みによるバンド保持部とバンド挿通部との離反移動によって引締め機構を機能させ、切断操作部の操作時には、第1,2レバーの握り込みによる切断刃がスライド移動して切断機構を機能させる切換構成が、引締め連係部や切断連係部等によってメカニカルに実現させることができている。従って、請求項1の発明による上記効果を、廉価でタフに機能する好ましい状態で奏することができる利点がある。この場合、請求項3のように、切断連係部を、切断レバーの揺動操作で位置操作される切換部材と、切断刃操作用の揺動操作具とで構成するのが好都合である。
【0015】
また、請求項4の発明のように、第1及び第2レバーが枢支連結される枢支軸に揺動操作具を揺動可能に枢支するとか、請求項5の発明のように、切断レバーを枢支軸に枢支させてその先端部が親指操作可能となるように構成すれば、さらに合理的な構造の手動型結束工具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】手動型結束工具の側面図(実施例1)
【図2】図1の手動型結束工具の正面図
【図3】図1の手動型結束工具要部の一部切欠平面図を示し、(a)は引締作動状態、(b)は切断作動状態
【図4】図1の手動型結束工具の背面図
【図5】図1の手動型結束工具の内部構造を示す一部切欠き側面図
【図6】バンド切断状態での内部構造を示す一部切欠き側面図
【図7】手動型結束工具を横移動させてバンド部を工具先端部に取込む作用図
【図8】バンド部の引締め開始状態を示す作用図
【図9】バンド引締め作用を示し、(a)は握り込み途中状態の側面図、(b)は最も握り込んだ状態の側面図
【図10】引締力調節装置の作動により第1レバーが腰折れした状態を示す側面図
【図11】バンド切断作業開始時の切断レバー操作状態を示す側面図
【図12】バンド切断作業の途中状態を示す側面図
【図13】引締力調節装置を示し、(a)は構造図、(b)は調節作用図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明による手動型結束工具の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、図面理解を容易化する目的で、各図においては、本来は破線である箇所を意図的に実線とする等、必ずしも正確な第三角法で描かれていない箇所も多々有る。
【0018】
〔実施例1〕
手動型結束工具A(以下、単に「結束工具A」と略称する)は、図1〜図6に示すように、バンド保持部gを先端部に有する第1レバー1と、横向き溝(バンド挿通部の一例)mを先端部に有する第2レバー2と、切断レバー3と、結束バンドBのバンド部aを引締める引締め機構cと、バンド部aを切断する切断機構eと、バンド部aの引締め力を調節設定可能な引締力調節装置C等を有して構成されている。結束バンドBは、エンドレス状のバンド部aと、バンド部aを二重通しするヘッド部bとから成るタイプのものを使用している。
【0019】
最初に、結束工具Aによる電線束の結束作業の概略手順を説明すると、まず、図示は省略するが、手指操作等により、ヘッド部(結束ヘッド)bに長尺状のバンド部aを通して成る結束バンドBを、電線束Kに巻付けて軽く引き締めた仮結束状態とする前処理工程を行う。次いで、図7に示すように、電線束(結束対象の一例)Kに巻回されている結束バンドBのバンド部aを、結束工具Aを横移動させてバンド保持部gの横向き溝mに取り込む取込工程を行い、それから図9に示すように、例えば右手指で把持している第1レバー1と第2レバー2とを握り込んでバンド部aを引締める引締め工程を1回又は複数回行う。
【0020】
バンド部bの引締め力が設定された値に達すると、図10に示すように、第1レバー1が腰折れ揺動してそれ以上の引締めが不能になる。従って、引締め不能状態になると、図11や図3(b)で示すように、切断レバー3を親指操作で揺動移動させ、結束工具Aを引締作用状態から切断作用状態に切換える。それから、再度第1及び第2レバー1,2を握り込み、切断刃33がスライド操作されてヘッド部b間近でバンド部aが切断される切断工程(図5,12参照)を行い、電線束Kの結束作業が終了する、という具合である。
【0021】
さて、第1レバー1は、図1〜図4に示すように、バンド部aを保持可能なバンド保持部gを先端部に有するものであって、そのバンド保持部gを備える主として厚肉鋼板製の先端レバー部1Aと、略コ字状に折り曲げられた薄肉鋼板製で引締力調節装置C等を備える主レバー部1Bとを有して構成されている。先端レバー部1Aと主レバー部1Bとは、主軸心Pを持つ頭付きピン状の主軸(枢支軸の一例)15で相対回動可能に枢支連結されており、通常は、引締力調節装置Cの弾性力により、先端レバー部1Aの折り曲げ基端1aと主レバー部1Bの段差壁1bとが当接して各レバー部1A,1Bが一体として主軸心P周りに揺動する状態に付勢維持されている。
【0022】
先端レバー部1Aは、前述の折り曲げ基端1aと先端の挟持壁1cとが折り曲げ形成される平板部1dから成る鋼板製であり、引締め機構cの主要部をなす係止片4とローラ34とを備えている。ローラ34は、図1,5,7に示すように、平板部1dの主レバー部1B側端にブロック材10を用いて架設される支軸11に遊外嵌される金属製で筒状(ボス状)の部品である。ローラ34は、通常は規制部材(後述)19の係合凹部19bに嵌り込んでいる。
【0023】
係止片4は、バンド部を係止するための天井壁4aと枢支壁4bとから成り、天井壁4aの上面における揺動方向上手側部分には側面視がギザギザ状の滑り止め部7が形成されている。係止片4は、平板部1dと、これにビス止めされる側面視で略Z形状を呈する折り曲げ鋼板製のブラケット5とに亘って架設されるピン軸6に枢支壁4bが外嵌されることで揺動可能に枢支され、かつ、ピン軸6に嵌装されるつる巻ばね8により、自由状態(図1,5参照)においては天井壁4aの先端が揺動操作具9の背面に当接するように、矢印イ方向に弾性付勢されている(図5参照)。
【0024】
主レバー部1Bは、コ字状に屈曲されて左右一対の側壁部1e,1f及び連結壁部1gを備える鋼板製であり、合成樹脂製のカバーグリップ13が被せられる第1基端部1rと、主軸心Pを含んで左右の側壁部1e,1fで成る構造部1kとを有している。第1基端部1rには引締力調節装置Cの主要部分が内包されており、構造部1kには引締め連係部dや切断連係部s等が内包配備されている。
【0025】
図1,3,7に示すように、ビス止めによって左側壁部1eの内側に固定される扁平で略鍋状のフランジ部材16が設けられており、左側壁部1eの孔(符記省略)から突出する先窄まり状の被操作部14aを有する切換部材14がフランジ部材16に出退移動可能に収容されている。切換部材14は、左側壁部1eからの脱出しを防止するフランジ14b、挿通孔9cに挿脱される円柱状の作用棒14c、作用部14cの根元部を形成すべく被操作部14aに凹入形成される環状深溝(符記省略)、及び被操作部14aを備える円形ブロック体である。作用棒14cに外装される状態でフランジ部材16の底壁16aと環状深溝(符記省略)とに亘って装備されるコイルバネ17により、通常は被操作部14aが左側壁部1eから明確に突出した待機位置tに付勢維持されている。
【0026】
第2レバー2は、図1〜図8に示すように、先端に屈曲板部2Aを、かつ、基端に握り部である第2基端部2rを持つとともに、主軸15に遊外嵌される厚肉鋼板材製の第2本体2Bから成り、第2基端部2rには合成樹脂製のグリップ12が一体的に装備されている。屈曲板部2Aには前述の横向き溝mのほか、その外側面にビス止め装着されるガイド部材28を用いて往復スライド移動可能に支持される切断刃33が装備されるとともに、切断刃33操作用の長孔29が形成されている。切断刃33は、横向き溝mに対してやや傾斜した刃先33a(図2参照)と、長孔29に対応した挿通孔33bと、屈曲形成される被操作片33cとを一体的に有している。
【0027】
第2本体2Bには、第1レバー1の左右側壁部1e,1fから折り曲げ形成される左右一対のバネ受片1u,1uとの間に復帰コイルバネ30を設けるための切起し壁2aが設けられている。切起し壁2aを切り出し形成すべく第2本体2Bに形成されている円弧孔32には、相対揺動移動する右側のバネ受片1uが通されている。復帰コイルバネ30は、第1,2基端部1r,2rが互いに離れる方向に第1,2レバー1,2を弾性付勢するものであり、自由状態では第1レバー1の挟持壁1cと屈曲板部2Aとが当接する閉じ姿勢(図1,5参照)に手動工具Aが維持されている。復帰コイルバネ30の弾性力に抗して第1,2基端部1r,2rを握り込み操作すれば挟持壁1cと屈曲板部2Aとが離反移動し、第1レバー1の右側壁部1fの下端縁が第2本体2Bの切起しストッパ35に当接して、それ以上の相対揺動が阻止される開き姿勢〔図6や図9(b)参照〕となる。
【0028】
揺動操作具9は、図1,3,5,6に示すように、横向き溝m部位に届かんばかりの先端突出部9a、切断刃33を動かすための操作突出部9b、切換部材14が装脱される挿通孔9cを有する厚肉鋼板材製の部品であり、主軸15に天秤揺動可能に枢支されている。揺動操作具9における挿通孔9cの下側(グリップ12側)には、自由状態(閉じ姿勢)以外の姿勢での切換部材14の操作を防止するための規制突起9dが形成されている。揺動操作具9は、両端が操作突出部9bの背面と切起し壁2aとに当接する状態で主軸15に嵌装される巻きばね36により、屈曲板部2Aの背面に先端突出部9aが当接する非作用姿勢(図1や図5に示される姿勢)に付勢維持されている。
【0029】
これにより、第1,2レバー1,2が握り込み操作されるとき(切断レバー3が操作されてないとき)では、揺動操作具9は第2レバーに対しては動かず、かつ、第1レバー1に対しては軸心P回りに揺動移動する状態となる。そして、切断レバー3が操作されると、即ち、図3(b)に示されるように主軸心P回りに下降揺動されると、切換部材14を押し込んで第1レバーと揺動操作具9とが一体揺動する状態に切換えられる。故に、その状態で第1,2レバー1,2を握り込むと、揺動操作具9が第2レバー2に対して主軸心P回りに揺動移動する状態となり、切断刃33を駆動操作する(詳しくは後述)。
【0030】
バンド保持部gは、図1,5,6に示すように、第1レバー1の挟持壁1cと、矢印イ方向に回動付勢される係止片4とで構成されている。第1,2基端部1r,2rの握り込みによって第1レバー1と第2レバー2とを開き揺動させるに伴い、揺動操作具9が遠ざかることで係止片4がピン軸6回りで矢印イ方向に揺動移動し、滑り止め部7と挟持壁1cとの間にバンド部aを挟むことができる。その場合、図8に示されるように、バンド部aの引張られ方向において滑り止め部7がピン軸6よりも下手側に位置しているので、バンド部aが引張られることによって係止片4が矢印イ方向により揺動しようとし、滑り止め部7がより挟持壁1cに近付こうとするセルフロック作用が生じることとなり、引張られ方向にバンド部aが動かないようにしっかりと係止することができる。
【0031】
引締め機構cは、図1,5,7〜10に示すように、ヘッド部bの通過は不能で、かつ、バンド部aの通過は許容する横向き溝mを備える屈曲板部2Aと、前述のバンド保持部gとを有して構成されている。即ち、第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みによるバンド保持部gと横向き溝mとの離反移動により、バンド保持部gにてセルフロック保持されているバンド部aとヘッド部bとが引き離され、その結果、バンド部aにおける結束対象Kに巻回されている部分の長さが縮まって引締められるように引締め機構cが機能する。
【0032】
構造としては、横向き溝mを備える屈曲板部2A、挟持壁1c、係止片4、ブラケット5、つる巻ばね8等を有して引締め機構cが構成されている。そして、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによって引締め機構cを作動させるように、引締め機構cと第1及び第2レバー1,2とを連係させる引締め連係部dは、第1及び第2レバー1,2を、それらの長手方向の中間部において主軸15を用いて枢支連結することで構成されている。より具体的には、それに加えて、屈曲板部2Aと係止片4との間に配置される揺動操作具9と、その先端突出部9aが屈曲板部2Aに当接するように弾性付勢する巻きばね36とを有して構成されていると言える。
【0033】
切断レバー3は、結束工具Aを引締作用状態と切断作用状態とのいずれか一方に切換えるための選択レバーである。引締作用状態とは、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによりバンド部aを引張って結束バンドBの引締めが行える状態であり、切断作用状態とは、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによりバンド部aをヘッド部b間際にての切断が行える状態である。つまり、切断レバー3が揺動操作されたときは切換部材14が待機位置tから動作位置vに移動されて切断作用状態が齎され、切断レバー3が揺動操作されないときは切換部材14が待機位置tに維持されていて引締作用状態(非作用状態)が齎されるように構成されている。
【0034】
切断レバー3は、図1,3,4,7に示すように、第1レバー1の左側壁部1eの外側にて主軸15に揺動可能に枢支される厚肉鋼板製の部品であり、手指操作される被操作部である先端のノブ部(先端部の一例)3aと、切換部材14を押し込むための押圧片3bとを一体的に有している。切断レバー3は、左側壁部1eに切起し形成された上停止片37に当接する位置と、下停止片38と当接する位置との間で揺動可能である。第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みによって切断刃33をスライド移動させるように、切断刃33と第1及び第2レバー1,2とを連係させる切断連係部sは、切換部材14と揺動操作具9とを有して構成されている。
【0035】
切断操作部3を構成する切断レバー3が押圧片3bが切換部材14の被操作部14aに接して決まる被操作位置h(図1,5、及び図11の仮想線を参照)にあるときは、図3(a)に示すように、切換部材14はその被操作部14aが左側壁部1eから突出した待機位置tにあり、揺動操作具9は第2レバー2と一体揺動する状態になっている。そして、図11に示すように、ノブ部3bの親指oy操作によって切断レバー3が下降揺動され、下停止片38に当接した操作位置iに移動すると、図3(b)に示すように、傾斜壁である押圧片3bが被操作部14aのテーパ面(符記省略)を押すことの分力によって切換部材14を軸心P方向に沿う方向に押し込み、作用棒14cが揺動操作具9の挿通孔9cに入り込んで揺動操作具9が第1レバー1と一体揺動する状態に切り換る。
【0036】
切断機構eは、図5、図6等に示すように、屈曲板部2Aに装備される切断刃33と、揺動操作具9とを有して構成されている。前述のように、切断レバー3が操作されない状態では、揺動操作具9と屈曲板部2A即ち切断刃33とは一体揺動するので、第1,2レバー1,2をいくら握り込んでも切断刃33は動かない。図3(b)や図11に示すように、切断レバー3を揺動操作して切換部材14を押し込み、揺動操作具9が第1レバー1と一体揺動する状態に切換えてから第1,2レバー1,2を握り込むと、揺動操作具9の操作突出部9bと屈曲板部2Aとが互いに離れてゆくように離反移動する。しかして、挿通孔33bに挿入されている状態の操作突出部9bが被操作片33cを介して切断刃33を上方に押し上げ(図12参照)、その上昇スライド移動される切断刃33がヘッド部bと屈曲板部2Aとの間に強制的に進入し、バンド部aをヘッド部bの間際で切断するのである(図6参照)。
【0037】
引締力調節装置Cは、引締め機構cによるバンド部aの引締め力を増減調節する装置であって、図1,5,10,13に示すように、基軸18で枢支される規制部材19、スライド移動可能なスライド部材20、これら両者19,20のそれぞれに枢支連結されるリンク21、調節ネジ軸22、圧縮コイルバネ23等を左右側壁部1e,1f間に設ける状態で主レバー部1Bの内部にて構成されている。規制部材19は、左右の側壁部1e,1dに跨って架設される基軸18に遊外嵌されており、リンク21と枢支連結する連結軸19aと、ローラ34に被さる係合凹部19bと、これに続く逃げ移動面19cとを有するブロック材で形成されている。
【0038】
帯状鋼板の折返しで成るスライド部材20は、左右の側壁部1e,1fに形成される長孔24を通る一対の頭付ピン状のピン軸31,31を介して、断面コ字形状を呈する第1基端部1rの内側部分に前後方向(第1基端部1rの長手方向)スライド自在に装備されている。スライド部材20の基端側には、調節ネジ軸22のネジ軸部22Aの先端部が相対回動及び相対スライド可能に挿入されており、先端側には一方のピン軸31に共連結される状態でリンク21が枢支連結されている。調節ネジ軸22は、第1基端部1rの手元側端壁1tに貫通される調節用孔(符記省略)を通して係止用ボス25を相対移動不能に外嵌することにより、左右に回動自在に第1レバー1に装備される。ネジ軸部22Aには、カバーグリップ13の矩形状切欠き13Aに臨む略四角形状の印部材26が螺合され、その印部材26とスライド部材20との間に、圧縮コイルバネ23がネジ軸部22Aに嵌装される状態で配備されている。
【0039】
このような構成により、圧縮コイルバネ23がスライド部材20及びリンク21を介して規制部材19を基軸18回りに矢印ロ方向に押圧付勢しており、それによって規制部材19の係合凹部19bがローラ34に嵌る係合状態に付勢維持されている。ツマミ22aを回して圧縮コイルバネ23の圧縮量を変更することで、係合凹部19bとローラ34との係合付勢力を変更でき、第1レバー1の腰折れ揺動し始めるときのバンド部aの引張り強さ、即ち引締め力を増減調節することができる。従って、通常は第1レバー1が第2レバー2に対して主軸心P回りに揺動移動する一つの部品として機能するように、規制部材19とローラ34とが、即ち先端レバー部1Aと主レバー部1Bとを一体化させる機能も引締力調節装置Cが担っている。
【0040】
挟持壁1cと屈曲板部2Aとの離反移動によってバンド部aの引締力が設定値に達しても、尚も第1及び第2基端部1r,2rを握り込むと、圧縮コイルバネ23によるローラ34と係合凹部19bとの係合力に抗して、相対的にローラ34が係合凹部19bから脱け出て逃げ移動面19cに乗り上がり移動し、主軸心P回りで主レバー部1Bが先端レバー部1Aに対して下降移動(第2レバー2に近付き移動)、即ち腰折れ揺動し(図10参照)、引締力がそれ以上大きくならないように引締力調節装置Cが機能する。
【0041】
そして、その設定引締力はローラ34と係合凹部19bとの係合力、即ち圧縮コイルバネ23の弾性力に依存されるので、外部露出されているツマミ22aの回動操作により、印部材26の位置を上方に(規制部材19側に)移動させて圧縮コイルバネ23を圧縮すれば、設定値が高くなって引締力を大きくすることができ、印部材26の位置を下方に(ツマミ22a側に)移動させて圧縮コイルバネ23を伸張すれば、設定値が低くなって引締力を小さくすることができるのである。つまり、切欠き13Aに臨む表示板27に示される数字の小さい側へ印部材26が移動するようにツマミ22aを右回しすれば設定引締力が弱く(小さく)なり、数字の大きい側へ印部材26が移動するようにツマミ22aを左回しすれば設定引締力が強く(大きく)なる。
【0042】
図13(a)は、例として、印部材26が最もツマミ22a側に寄って圧縮コイルバネ23が最も伸張して緩い引締力(目盛「1」以下)に調節されている状態を示している。このとき印部材26は、切欠き13Aの下端側(ツマミ22a側)に位置している。また、図13(b)は、印部材26が切欠き13Aの上端側(規制部材19側)に位置するようにツマミ22aを左回しした最も圧縮された強い引締力(目盛「5」の位置)に設定されている状態である。圧縮コイルバネ23の最大長は図13(a)に示す長さLであり、最小長は図13(b)に示す長さSである。当然ながら、L>Sである。
【0043】
次に、実施例1による結束工具Aを用いた一連の結束操作について説明する。まず、図7に示すように、結束工具Aを矢印ハで示すように横移動させて、前処理工程によって結束対象Kに仮止めされている結束バンドBのバンド部aを横向き溝mに取り込む取込工程を行い、引締め可能な状態(図1参照)とする。取込工程においては、結束工具Aの前記横移動の後に、結束工具Aを少し前方移動させて屈曲板部2Aをヘッド部bに近付けるようにして、屈曲板部2Aにヘッド部bが当接する状態にするのが望ましいが、そうでなく少し離れていてもその後の引締めは可能である。なお、図7は、内部構造を示すため、鋼板部分(先端レバー部1A及び主レバー部1B)を省略して描いてある。
【0044】
握り方としては、図1に示すように、右手の人差し指hy、中指ny、薬指ky、小指cyで第2基端部2r(グリップ12)を、そして親指oyを第1基端部1r(カバーグリップ13)に回す状態で握るのが一般的である。この場合、実際には握力測定器を握るように、第1基端部1rは親指oyと言うより掌における親指oyの付根辺りで握るような状況になる。さて、バンド部aが横向き溝mに取り込まれたら、右側壁部1fと切起しストッパ35とが当接する最大握り込み位置〔図9(b)参照〕まで第1,2レバー1,2を握り込んでのバンド部aの引締めを行う。まず、自由状態から第1,2レバー1,2を自由状態となる自由位置jから若干角度握って挟持開始位置fに来ると、図8に示すように、揺動操作具9とピン軸6とが離れて係止片4が矢印イ方向に揺動(図5参照)し、滑り止め部7と部挟持壁1cとの間におけるバンド部aのセルフロック状態での挟持が開始される。
【0045】
ヘッド部bは屈曲板部2Aで堰き止められているので、挟持開始位置fから握り込みを続けるに伴い、バンド部aにおけるヘッド部bから突出している部分が図9(a)に示すように、矢印ニ方向に引張られてバンド部aにおける結束対象Kに巻回されている部分の長さが減少し、それによって結束対象Kが引き締められてゆく。握り込みによるバンド部aの引締めは、図9(b)に示すように、最大握り込み位置nまで作用する。そして、第1,2基端部1r,2rの握り込みを解除すれば、復帰コイルバネ30の弾性付勢力によって第1,2レバー1,2が開き揺動を開始してその途端に係止片4が図1,5に示す待機位置に戻ってバンド部aの挟持を解除するとともに、第1レバー1が自由位置jに戻る。なお、簡単のため各図においては、第2レバー2の位置を基準として第1レバー1が揺動する状態として描いてある。
【0046】
上述の第1,2レバー1,2の握り込み操作を1回又は複数回行って、結束バンドBの引締め力(正確にはバンド部aの張力)が引締力調節装置Cによって設定された値に達すると、第1レバー1が腰折れ揺動してそれ以上引締め力が上昇せずその値が維持されるように機能される。即ち、図10に示すように、圧縮コイルバネ23の弾性力に抗して規制部材19がローラ34から脱出揺動し、それによって主軸心P回りに主レバー部1Bが先端レバー部1Aに対して腰折れ揺動するのである。図10は、挟持開始位置fから第1レバー1が若干角度腰折れ揺動した状態を描いてある。腰折れにより、急に握り込みが軽くなったことで作業者は設定引締め力に達したことが分ることになり、また、それ以上握り込み操作を行っても先端レバー部1Aは動かず、従って引締め機構cによるそれ以上の引締め作用は不能になる。
【0047】
バンド部aの引締めが済むと、今度は図11に示すように、第1レバー1が自由位置jにある自由状態にて、第1レバーを握っている状態の親指oyの指先でノブ部3bを押し下げる操作により、手指で第1及び第2レバー1,2を握りながら切断レバー3を下降揺動させ、結束工具Aを引締作用状態から切断作用状態に切換える。そして、親指oyによる切断作用状態を維持しながら握り込み操作することにより、図12に示すように、揺動操作具9と屈曲板部2Aとが相対離反移動して操作突出部9bが被操作片33cを押し、切断刃33を屈曲板部2Aに対してスライド上昇移動させて刃先33aがヘッド部bと屈曲板部2Aとの間に侵入して行く。なおも第1,2レバー1,2を握り込むと、図6に示すように、上昇移動する切断刃33によってヘッド部bの間際においてバンド部aが切断されるのである。
【0048】
以上のように、本発明による結束工具Aにおいては、第1,2レバー1,2を(第1,2基端部1r,2rを)を手指で握ったままの状態で、即ちもう一方の手指で補助しながらの握り換えや握り直しといったことのない片手操作状態で、バンド部aを引締める作業(引締作用状態)もバンド部aの切断作業(切断作用状態)も行うことができる便利で使い勝手に優れるものとされている。つまり、切断レバー3が操作されないときには第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みで引締め機構cが機能し、切断レバー3が操作されているときには第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みで切断機構eが機能するように、切断レバー3と引締め連係部dと切断連係部sとが連係されている。そして、切断レバー3は、その先端部であるノブ部3aが親指操作可能となるように、枢支軸15に揺動可能に枢支される状態で配置構成されている。
【0049】
〔別実施例〕
切断操作具3は、親指oy以外の指(例:人差し指hy)で操作可能なものとしても良い。切断操作具3は、実施例1のようなレバー状のもののほか、スライド移動構造のものや押しボタン状のもの等、種々の変更が可能である。また、引締作用状態と切断作用状態との切換手段としては、実施例1において示す機械的な手段のほか、例えば揺動操作具9の第1レバー1と第2レバー2との一体揺動状態の選択を、磁力とそのスイッチとを有する電気的なものとすることも可能である。結束バンドBとして、有限長さのバンド部とヘッド部とが一体となった一般的なものを用いる場合には、バンド挿通部mは孔状のものでも良い。
【符号の説明】
【0050】
1 第1レバー
1r 第1基端部
2 第2レバー
2r 第2基端部
3 切断操作部、切断レバー
3a 先端部
9 揺動操作具
14 切換部材
15 枢支軸
33 切断刃
a バンド部
b ヘッド部
c 引締め機構
d 引締め連係部
e 切断機構
g バンド保持部
m バンド挿通部
s 切断連係部
t 待機位置
v 動作位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所における電信電線工事などの片手操作に好適な結束バンド用の手動型結束工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の手動型結束工具としては、特許文献1において開示されるように、手指によって握り込み操作が可能な第1レバー(1)、及び第2レバー(2)、バンド切断用の切断レバー(3)を備えて成るものが知られている。これは、第1及び第2レバー(1),(2)の握り込みを行うことで、結束対象に巻回されている結束バンドのバンドを引き締めることができ、手指を握り換えて第1レバー(1)と切断レバー(3)との握り込みでバンドの切断が行える便利な工具である。
【0003】
上記手動型結束工具は、結束バンドのバンド部への工具先端部のセット操作が楽で簡単に行え、多数の電線やワイヤーハーネスの結束作業の数をこなしても疲れ難いように改善されたものであり、使い勝手に優れるものである。ところが、結束作業の種類によっては、特許文献1にて開示される優れた手動型結束工具を用いても使い難さのあることや、結束作業効率があまり芳しくないことが分かってきた。
【0004】
例えば、電柱や鉄塔に登っての結束作業では、片手で結束対象である電線の束や高所で安定的に躯を支えるための固定バーを掴みながら、もう一方の手で手動型結束工具を用いて結束作業を行う片手作業が余儀なくされることもある。このような場合、特許文献1による結束工具では、バンド引締め操作から切断操作に移行する際の握り換え、即ち、第1及び第2レバーを握る状態から第1レバーと切断レバーとを握る状態への切換時には、握っている手とは違う手指で支持しながら握り換えるか、一旦、工具を何処かに置いて支持させている状態で握り換えるかを行う必要がある。
【0005】
前者の握り換え手段では、握り換える間はもう片方の手指で結束工具を支えておく必要があって両手作業になるから、片手作業が余儀なくされる場面では握り換えが困難である。そして、前記後者の握り換え手段は片手作業が可能ではあるが、鉄塔等の高所作業では周囲に一旦工具を置けるような環境ではないことが多く、実質的に作業が困難になる(又は行えない)。従って、引締め操作と切断操作とが、手指の握り換えや一旦工具を置くことなく行えるようにするには、更なる改善が必要なものであった。また、工場内等の一般的な作業環境であっても、一旦握り換えを必要とする従来の結束工具による結束作業では結束作業の所要時間が結構掛かって使い勝手に劣り、その結果、結束作業効率の点では改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−262965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、不安定高所作業などにおいても便利に使用できるとか、結束作業効率が改善されるように、引締め操作及び切断操作が握り換えなく片手のみで良好に行えるように改善された手動型結束工具を開発して提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、手動型結束工具において、ヘッド部bを貫いて突出しているバンド部aを前記ヘッド部bに対して強制的に引張る引締め機構cと、前記引締め機構cによって引締められた前記バンド部aを、前記ヘッド部bから引締め方向下手側に突出する部分における前記ヘッド部b付近の箇所において切断させる切断機構eと、第1レバー1と、第2レバー2と、前記切断機構eの動きを司る切断操作部3と、前記第1レバー1と前記第2レバー2との手指による握り込みによって前記引締め機構cを作動させるように前記引締め機構cと前記第1及び第2レバー1,2とを連係させる引締め連係部dとを有し、
前記第1及び第2レバー1,2を握っている状態における何れかの手指で前記切断操作部3を操作することが可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の手動型結束工具において、前記バンド部aを保持可能なバンド保持部gを先端部に有する前記第1レバー1と、前記ヘッド部bの通過は不能で、かつ、前記バンド部aの通過は許容するバンド挿通部mを先端部に有する前記第2レバー2とを、それら各レバー1,2の長手方向の中間部において枢支連結することで前記引締め連係部dが構成され、前記第1レバー1における前記第2レバー2との枢支連結点Pに対して前記バンド保持部gと反対側となる第1基端部1rと、前記第2レバーにおける前記第1レバーとの枢支連結点Pに対して前記バンド挿通部mと反対側となる第2基端部2rとの手指での握り込みによる前記バンド保持部gと前記バンド挿通部mとの離反移動によって前記引締め機構cとして機能する状態に構成され、
前記切断機構eが、前記バンド挿通部mにスライド移動可能に装備される切断刃33を設けて構成されるとともに、前記第1基端部1rと前記第2基端部2rとの手指での握り込みによって前記切断刃33をスライド移動させるように、前記切断刃33と前記第1及び第2レバー1,2とを連係させる切断連係部sを設け、
前記切断操作部3が操作されないときには前記第1基端部1rと前記第2基端部2rとの手指での握り込みで前記引締め機構cが機能し、前記切断操作部3が操作されているときには前記第1基端部1rと前記第2基端部2rとの手指での握り込みで前記切断機構eが機能するように、前記切断操作部3と前記引締め連係部dと前記切断連係部sとが連係されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の手動型結束工具において、前記切断連係部sが、前記切断刃33をスライド移動させる揺動操作具9と、前記揺動操作具9が前記第1レバー1と共に揺動する切断作用状態と前記第2レバー2と共に揺動する非作用状態とを切換える切換部材14とを有して構成され、
前記切断操作部3を構成する切断レバーが揺動操作されたときは前記切換部材14が待機位置tから動作位置vに移動されて前記切断作用状態が齎され、前記切断レバー3が揺動操作されないときは前記切換部材14が待機位置tに維持されていて前記非作用状態が齎されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の手動型結束工具において、前記揺動操作具9が、前記第1及び第2レバー1,2とを枢支連結する枢支軸15に揺動可能に枢支されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の手動型結束工具において、前記切断レバー3の先端部3aが親指操作可能となるように、前記枢支軸15に揺動可能に枢支される状態で配置構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、詳しくは実施携帯の項にて述べるが、第1レバーと第2レバーとを手指で握り込むことでバンド部の引締めが行えるとともに、切断操作部切の操作によりバンド部の切断も行える。切断操作部は、第1及び第2レバーを握っている状態での手指操作が可能であるから、第1,2レバーを手指で握ったままの片手操作状態で、バンド部を引締める作業もバンド部の切断作業も行うことができる。その結果、不安定高所作業などにおいても便利に使用できるとか、結束作業効率が改善されるように、引締め操作及び切断操作が握り換えなく片手のみで良好に行えるように改善された手動型結束工具を提供することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、切断操作部の非操作時には、第1,2レバーの握り込みによるバンド保持部とバンド挿通部との離反移動によって引締め機構を機能させ、切断操作部の操作時には、第1,2レバーの握り込みによる切断刃がスライド移動して切断機構を機能させる切換構成が、引締め連係部や切断連係部等によってメカニカルに実現させることができている。従って、請求項1の発明による上記効果を、廉価でタフに機能する好ましい状態で奏することができる利点がある。この場合、請求項3のように、切断連係部を、切断レバーの揺動操作で位置操作される切換部材と、切断刃操作用の揺動操作具とで構成するのが好都合である。
【0015】
また、請求項4の発明のように、第1及び第2レバーが枢支連結される枢支軸に揺動操作具を揺動可能に枢支するとか、請求項5の発明のように、切断レバーを枢支軸に枢支させてその先端部が親指操作可能となるように構成すれば、さらに合理的な構造の手動型結束工具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】手動型結束工具の側面図(実施例1)
【図2】図1の手動型結束工具の正面図
【図3】図1の手動型結束工具要部の一部切欠平面図を示し、(a)は引締作動状態、(b)は切断作動状態
【図4】図1の手動型結束工具の背面図
【図5】図1の手動型結束工具の内部構造を示す一部切欠き側面図
【図6】バンド切断状態での内部構造を示す一部切欠き側面図
【図7】手動型結束工具を横移動させてバンド部を工具先端部に取込む作用図
【図8】バンド部の引締め開始状態を示す作用図
【図9】バンド引締め作用を示し、(a)は握り込み途中状態の側面図、(b)は最も握り込んだ状態の側面図
【図10】引締力調節装置の作動により第1レバーが腰折れした状態を示す側面図
【図11】バンド切断作業開始時の切断レバー操作状態を示す側面図
【図12】バンド切断作業の途中状態を示す側面図
【図13】引締力調節装置を示し、(a)は構造図、(b)は調節作用図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明による手動型結束工具の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、図面理解を容易化する目的で、各図においては、本来は破線である箇所を意図的に実線とする等、必ずしも正確な第三角法で描かれていない箇所も多々有る。
【0018】
〔実施例1〕
手動型結束工具A(以下、単に「結束工具A」と略称する)は、図1〜図6に示すように、バンド保持部gを先端部に有する第1レバー1と、横向き溝(バンド挿通部の一例)mを先端部に有する第2レバー2と、切断レバー3と、結束バンドBのバンド部aを引締める引締め機構cと、バンド部aを切断する切断機構eと、バンド部aの引締め力を調節設定可能な引締力調節装置C等を有して構成されている。結束バンドBは、エンドレス状のバンド部aと、バンド部aを二重通しするヘッド部bとから成るタイプのものを使用している。
【0019】
最初に、結束工具Aによる電線束の結束作業の概略手順を説明すると、まず、図示は省略するが、手指操作等により、ヘッド部(結束ヘッド)bに長尺状のバンド部aを通して成る結束バンドBを、電線束Kに巻付けて軽く引き締めた仮結束状態とする前処理工程を行う。次いで、図7に示すように、電線束(結束対象の一例)Kに巻回されている結束バンドBのバンド部aを、結束工具Aを横移動させてバンド保持部gの横向き溝mに取り込む取込工程を行い、それから図9に示すように、例えば右手指で把持している第1レバー1と第2レバー2とを握り込んでバンド部aを引締める引締め工程を1回又は複数回行う。
【0020】
バンド部bの引締め力が設定された値に達すると、図10に示すように、第1レバー1が腰折れ揺動してそれ以上の引締めが不能になる。従って、引締め不能状態になると、図11や図3(b)で示すように、切断レバー3を親指操作で揺動移動させ、結束工具Aを引締作用状態から切断作用状態に切換える。それから、再度第1及び第2レバー1,2を握り込み、切断刃33がスライド操作されてヘッド部b間近でバンド部aが切断される切断工程(図5,12参照)を行い、電線束Kの結束作業が終了する、という具合である。
【0021】
さて、第1レバー1は、図1〜図4に示すように、バンド部aを保持可能なバンド保持部gを先端部に有するものであって、そのバンド保持部gを備える主として厚肉鋼板製の先端レバー部1Aと、略コ字状に折り曲げられた薄肉鋼板製で引締力調節装置C等を備える主レバー部1Bとを有して構成されている。先端レバー部1Aと主レバー部1Bとは、主軸心Pを持つ頭付きピン状の主軸(枢支軸の一例)15で相対回動可能に枢支連結されており、通常は、引締力調節装置Cの弾性力により、先端レバー部1Aの折り曲げ基端1aと主レバー部1Bの段差壁1bとが当接して各レバー部1A,1Bが一体として主軸心P周りに揺動する状態に付勢維持されている。
【0022】
先端レバー部1Aは、前述の折り曲げ基端1aと先端の挟持壁1cとが折り曲げ形成される平板部1dから成る鋼板製であり、引締め機構cの主要部をなす係止片4とローラ34とを備えている。ローラ34は、図1,5,7に示すように、平板部1dの主レバー部1B側端にブロック材10を用いて架設される支軸11に遊外嵌される金属製で筒状(ボス状)の部品である。ローラ34は、通常は規制部材(後述)19の係合凹部19bに嵌り込んでいる。
【0023】
係止片4は、バンド部を係止するための天井壁4aと枢支壁4bとから成り、天井壁4aの上面における揺動方向上手側部分には側面視がギザギザ状の滑り止め部7が形成されている。係止片4は、平板部1dと、これにビス止めされる側面視で略Z形状を呈する折り曲げ鋼板製のブラケット5とに亘って架設されるピン軸6に枢支壁4bが外嵌されることで揺動可能に枢支され、かつ、ピン軸6に嵌装されるつる巻ばね8により、自由状態(図1,5参照)においては天井壁4aの先端が揺動操作具9の背面に当接するように、矢印イ方向に弾性付勢されている(図5参照)。
【0024】
主レバー部1Bは、コ字状に屈曲されて左右一対の側壁部1e,1f及び連結壁部1gを備える鋼板製であり、合成樹脂製のカバーグリップ13が被せられる第1基端部1rと、主軸心Pを含んで左右の側壁部1e,1fで成る構造部1kとを有している。第1基端部1rには引締力調節装置Cの主要部分が内包されており、構造部1kには引締め連係部dや切断連係部s等が内包配備されている。
【0025】
図1,3,7に示すように、ビス止めによって左側壁部1eの内側に固定される扁平で略鍋状のフランジ部材16が設けられており、左側壁部1eの孔(符記省略)から突出する先窄まり状の被操作部14aを有する切換部材14がフランジ部材16に出退移動可能に収容されている。切換部材14は、左側壁部1eからの脱出しを防止するフランジ14b、挿通孔9cに挿脱される円柱状の作用棒14c、作用部14cの根元部を形成すべく被操作部14aに凹入形成される環状深溝(符記省略)、及び被操作部14aを備える円形ブロック体である。作用棒14cに外装される状態でフランジ部材16の底壁16aと環状深溝(符記省略)とに亘って装備されるコイルバネ17により、通常は被操作部14aが左側壁部1eから明確に突出した待機位置tに付勢維持されている。
【0026】
第2レバー2は、図1〜図8に示すように、先端に屈曲板部2Aを、かつ、基端に握り部である第2基端部2rを持つとともに、主軸15に遊外嵌される厚肉鋼板材製の第2本体2Bから成り、第2基端部2rには合成樹脂製のグリップ12が一体的に装備されている。屈曲板部2Aには前述の横向き溝mのほか、その外側面にビス止め装着されるガイド部材28を用いて往復スライド移動可能に支持される切断刃33が装備されるとともに、切断刃33操作用の長孔29が形成されている。切断刃33は、横向き溝mに対してやや傾斜した刃先33a(図2参照)と、長孔29に対応した挿通孔33bと、屈曲形成される被操作片33cとを一体的に有している。
【0027】
第2本体2Bには、第1レバー1の左右側壁部1e,1fから折り曲げ形成される左右一対のバネ受片1u,1uとの間に復帰コイルバネ30を設けるための切起し壁2aが設けられている。切起し壁2aを切り出し形成すべく第2本体2Bに形成されている円弧孔32には、相対揺動移動する右側のバネ受片1uが通されている。復帰コイルバネ30は、第1,2基端部1r,2rが互いに離れる方向に第1,2レバー1,2を弾性付勢するものであり、自由状態では第1レバー1の挟持壁1cと屈曲板部2Aとが当接する閉じ姿勢(図1,5参照)に手動工具Aが維持されている。復帰コイルバネ30の弾性力に抗して第1,2基端部1r,2rを握り込み操作すれば挟持壁1cと屈曲板部2Aとが離反移動し、第1レバー1の右側壁部1fの下端縁が第2本体2Bの切起しストッパ35に当接して、それ以上の相対揺動が阻止される開き姿勢〔図6や図9(b)参照〕となる。
【0028】
揺動操作具9は、図1,3,5,6に示すように、横向き溝m部位に届かんばかりの先端突出部9a、切断刃33を動かすための操作突出部9b、切換部材14が装脱される挿通孔9cを有する厚肉鋼板材製の部品であり、主軸15に天秤揺動可能に枢支されている。揺動操作具9における挿通孔9cの下側(グリップ12側)には、自由状態(閉じ姿勢)以外の姿勢での切換部材14の操作を防止するための規制突起9dが形成されている。揺動操作具9は、両端が操作突出部9bの背面と切起し壁2aとに当接する状態で主軸15に嵌装される巻きばね36により、屈曲板部2Aの背面に先端突出部9aが当接する非作用姿勢(図1や図5に示される姿勢)に付勢維持されている。
【0029】
これにより、第1,2レバー1,2が握り込み操作されるとき(切断レバー3が操作されてないとき)では、揺動操作具9は第2レバーに対しては動かず、かつ、第1レバー1に対しては軸心P回りに揺動移動する状態となる。そして、切断レバー3が操作されると、即ち、図3(b)に示されるように主軸心P回りに下降揺動されると、切換部材14を押し込んで第1レバーと揺動操作具9とが一体揺動する状態に切換えられる。故に、その状態で第1,2レバー1,2を握り込むと、揺動操作具9が第2レバー2に対して主軸心P回りに揺動移動する状態となり、切断刃33を駆動操作する(詳しくは後述)。
【0030】
バンド保持部gは、図1,5,6に示すように、第1レバー1の挟持壁1cと、矢印イ方向に回動付勢される係止片4とで構成されている。第1,2基端部1r,2rの握り込みによって第1レバー1と第2レバー2とを開き揺動させるに伴い、揺動操作具9が遠ざかることで係止片4がピン軸6回りで矢印イ方向に揺動移動し、滑り止め部7と挟持壁1cとの間にバンド部aを挟むことができる。その場合、図8に示されるように、バンド部aの引張られ方向において滑り止め部7がピン軸6よりも下手側に位置しているので、バンド部aが引張られることによって係止片4が矢印イ方向により揺動しようとし、滑り止め部7がより挟持壁1cに近付こうとするセルフロック作用が生じることとなり、引張られ方向にバンド部aが動かないようにしっかりと係止することができる。
【0031】
引締め機構cは、図1,5,7〜10に示すように、ヘッド部bの通過は不能で、かつ、バンド部aの通過は許容する横向き溝mを備える屈曲板部2Aと、前述のバンド保持部gとを有して構成されている。即ち、第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みによるバンド保持部gと横向き溝mとの離反移動により、バンド保持部gにてセルフロック保持されているバンド部aとヘッド部bとが引き離され、その結果、バンド部aにおける結束対象Kに巻回されている部分の長さが縮まって引締められるように引締め機構cが機能する。
【0032】
構造としては、横向き溝mを備える屈曲板部2A、挟持壁1c、係止片4、ブラケット5、つる巻ばね8等を有して引締め機構cが構成されている。そして、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによって引締め機構cを作動させるように、引締め機構cと第1及び第2レバー1,2とを連係させる引締め連係部dは、第1及び第2レバー1,2を、それらの長手方向の中間部において主軸15を用いて枢支連結することで構成されている。より具体的には、それに加えて、屈曲板部2Aと係止片4との間に配置される揺動操作具9と、その先端突出部9aが屈曲板部2Aに当接するように弾性付勢する巻きばね36とを有して構成されていると言える。
【0033】
切断レバー3は、結束工具Aを引締作用状態と切断作用状態とのいずれか一方に切換えるための選択レバーである。引締作用状態とは、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによりバンド部aを引張って結束バンドBの引締めが行える状態であり、切断作用状態とは、第1レバー1と第2レバー2との手指による握り込みによりバンド部aをヘッド部b間際にての切断が行える状態である。つまり、切断レバー3が揺動操作されたときは切換部材14が待機位置tから動作位置vに移動されて切断作用状態が齎され、切断レバー3が揺動操作されないときは切換部材14が待機位置tに維持されていて引締作用状態(非作用状態)が齎されるように構成されている。
【0034】
切断レバー3は、図1,3,4,7に示すように、第1レバー1の左側壁部1eの外側にて主軸15に揺動可能に枢支される厚肉鋼板製の部品であり、手指操作される被操作部である先端のノブ部(先端部の一例)3aと、切換部材14を押し込むための押圧片3bとを一体的に有している。切断レバー3は、左側壁部1eに切起し形成された上停止片37に当接する位置と、下停止片38と当接する位置との間で揺動可能である。第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みによって切断刃33をスライド移動させるように、切断刃33と第1及び第2レバー1,2とを連係させる切断連係部sは、切換部材14と揺動操作具9とを有して構成されている。
【0035】
切断操作部3を構成する切断レバー3が押圧片3bが切換部材14の被操作部14aに接して決まる被操作位置h(図1,5、及び図11の仮想線を参照)にあるときは、図3(a)に示すように、切換部材14はその被操作部14aが左側壁部1eから突出した待機位置tにあり、揺動操作具9は第2レバー2と一体揺動する状態になっている。そして、図11に示すように、ノブ部3bの親指oy操作によって切断レバー3が下降揺動され、下停止片38に当接した操作位置iに移動すると、図3(b)に示すように、傾斜壁である押圧片3bが被操作部14aのテーパ面(符記省略)を押すことの分力によって切換部材14を軸心P方向に沿う方向に押し込み、作用棒14cが揺動操作具9の挿通孔9cに入り込んで揺動操作具9が第1レバー1と一体揺動する状態に切り換る。
【0036】
切断機構eは、図5、図6等に示すように、屈曲板部2Aに装備される切断刃33と、揺動操作具9とを有して構成されている。前述のように、切断レバー3が操作されない状態では、揺動操作具9と屈曲板部2A即ち切断刃33とは一体揺動するので、第1,2レバー1,2をいくら握り込んでも切断刃33は動かない。図3(b)や図11に示すように、切断レバー3を揺動操作して切換部材14を押し込み、揺動操作具9が第1レバー1と一体揺動する状態に切換えてから第1,2レバー1,2を握り込むと、揺動操作具9の操作突出部9bと屈曲板部2Aとが互いに離れてゆくように離反移動する。しかして、挿通孔33bに挿入されている状態の操作突出部9bが被操作片33cを介して切断刃33を上方に押し上げ(図12参照)、その上昇スライド移動される切断刃33がヘッド部bと屈曲板部2Aとの間に強制的に進入し、バンド部aをヘッド部bの間際で切断するのである(図6参照)。
【0037】
引締力調節装置Cは、引締め機構cによるバンド部aの引締め力を増減調節する装置であって、図1,5,10,13に示すように、基軸18で枢支される規制部材19、スライド移動可能なスライド部材20、これら両者19,20のそれぞれに枢支連結されるリンク21、調節ネジ軸22、圧縮コイルバネ23等を左右側壁部1e,1f間に設ける状態で主レバー部1Bの内部にて構成されている。規制部材19は、左右の側壁部1e,1dに跨って架設される基軸18に遊外嵌されており、リンク21と枢支連結する連結軸19aと、ローラ34に被さる係合凹部19bと、これに続く逃げ移動面19cとを有するブロック材で形成されている。
【0038】
帯状鋼板の折返しで成るスライド部材20は、左右の側壁部1e,1fに形成される長孔24を通る一対の頭付ピン状のピン軸31,31を介して、断面コ字形状を呈する第1基端部1rの内側部分に前後方向(第1基端部1rの長手方向)スライド自在に装備されている。スライド部材20の基端側には、調節ネジ軸22のネジ軸部22Aの先端部が相対回動及び相対スライド可能に挿入されており、先端側には一方のピン軸31に共連結される状態でリンク21が枢支連結されている。調節ネジ軸22は、第1基端部1rの手元側端壁1tに貫通される調節用孔(符記省略)を通して係止用ボス25を相対移動不能に外嵌することにより、左右に回動自在に第1レバー1に装備される。ネジ軸部22Aには、カバーグリップ13の矩形状切欠き13Aに臨む略四角形状の印部材26が螺合され、その印部材26とスライド部材20との間に、圧縮コイルバネ23がネジ軸部22Aに嵌装される状態で配備されている。
【0039】
このような構成により、圧縮コイルバネ23がスライド部材20及びリンク21を介して規制部材19を基軸18回りに矢印ロ方向に押圧付勢しており、それによって規制部材19の係合凹部19bがローラ34に嵌る係合状態に付勢維持されている。ツマミ22aを回して圧縮コイルバネ23の圧縮量を変更することで、係合凹部19bとローラ34との係合付勢力を変更でき、第1レバー1の腰折れ揺動し始めるときのバンド部aの引張り強さ、即ち引締め力を増減調節することができる。従って、通常は第1レバー1が第2レバー2に対して主軸心P回りに揺動移動する一つの部品として機能するように、規制部材19とローラ34とが、即ち先端レバー部1Aと主レバー部1Bとを一体化させる機能も引締力調節装置Cが担っている。
【0040】
挟持壁1cと屈曲板部2Aとの離反移動によってバンド部aの引締力が設定値に達しても、尚も第1及び第2基端部1r,2rを握り込むと、圧縮コイルバネ23によるローラ34と係合凹部19bとの係合力に抗して、相対的にローラ34が係合凹部19bから脱け出て逃げ移動面19cに乗り上がり移動し、主軸心P回りで主レバー部1Bが先端レバー部1Aに対して下降移動(第2レバー2に近付き移動)、即ち腰折れ揺動し(図10参照)、引締力がそれ以上大きくならないように引締力調節装置Cが機能する。
【0041】
そして、その設定引締力はローラ34と係合凹部19bとの係合力、即ち圧縮コイルバネ23の弾性力に依存されるので、外部露出されているツマミ22aの回動操作により、印部材26の位置を上方に(規制部材19側に)移動させて圧縮コイルバネ23を圧縮すれば、設定値が高くなって引締力を大きくすることができ、印部材26の位置を下方に(ツマミ22a側に)移動させて圧縮コイルバネ23を伸張すれば、設定値が低くなって引締力を小さくすることができるのである。つまり、切欠き13Aに臨む表示板27に示される数字の小さい側へ印部材26が移動するようにツマミ22aを右回しすれば設定引締力が弱く(小さく)なり、数字の大きい側へ印部材26が移動するようにツマミ22aを左回しすれば設定引締力が強く(大きく)なる。
【0042】
図13(a)は、例として、印部材26が最もツマミ22a側に寄って圧縮コイルバネ23が最も伸張して緩い引締力(目盛「1」以下)に調節されている状態を示している。このとき印部材26は、切欠き13Aの下端側(ツマミ22a側)に位置している。また、図13(b)は、印部材26が切欠き13Aの上端側(規制部材19側)に位置するようにツマミ22aを左回しした最も圧縮された強い引締力(目盛「5」の位置)に設定されている状態である。圧縮コイルバネ23の最大長は図13(a)に示す長さLであり、最小長は図13(b)に示す長さSである。当然ながら、L>Sである。
【0043】
次に、実施例1による結束工具Aを用いた一連の結束操作について説明する。まず、図7に示すように、結束工具Aを矢印ハで示すように横移動させて、前処理工程によって結束対象Kに仮止めされている結束バンドBのバンド部aを横向き溝mに取り込む取込工程を行い、引締め可能な状態(図1参照)とする。取込工程においては、結束工具Aの前記横移動の後に、結束工具Aを少し前方移動させて屈曲板部2Aをヘッド部bに近付けるようにして、屈曲板部2Aにヘッド部bが当接する状態にするのが望ましいが、そうでなく少し離れていてもその後の引締めは可能である。なお、図7は、内部構造を示すため、鋼板部分(先端レバー部1A及び主レバー部1B)を省略して描いてある。
【0044】
握り方としては、図1に示すように、右手の人差し指hy、中指ny、薬指ky、小指cyで第2基端部2r(グリップ12)を、そして親指oyを第1基端部1r(カバーグリップ13)に回す状態で握るのが一般的である。この場合、実際には握力測定器を握るように、第1基端部1rは親指oyと言うより掌における親指oyの付根辺りで握るような状況になる。さて、バンド部aが横向き溝mに取り込まれたら、右側壁部1fと切起しストッパ35とが当接する最大握り込み位置〔図9(b)参照〕まで第1,2レバー1,2を握り込んでのバンド部aの引締めを行う。まず、自由状態から第1,2レバー1,2を自由状態となる自由位置jから若干角度握って挟持開始位置fに来ると、図8に示すように、揺動操作具9とピン軸6とが離れて係止片4が矢印イ方向に揺動(図5参照)し、滑り止め部7と部挟持壁1cとの間におけるバンド部aのセルフロック状態での挟持が開始される。
【0045】
ヘッド部bは屈曲板部2Aで堰き止められているので、挟持開始位置fから握り込みを続けるに伴い、バンド部aにおけるヘッド部bから突出している部分が図9(a)に示すように、矢印ニ方向に引張られてバンド部aにおける結束対象Kに巻回されている部分の長さが減少し、それによって結束対象Kが引き締められてゆく。握り込みによるバンド部aの引締めは、図9(b)に示すように、最大握り込み位置nまで作用する。そして、第1,2基端部1r,2rの握り込みを解除すれば、復帰コイルバネ30の弾性付勢力によって第1,2レバー1,2が開き揺動を開始してその途端に係止片4が図1,5に示す待機位置に戻ってバンド部aの挟持を解除するとともに、第1レバー1が自由位置jに戻る。なお、簡単のため各図においては、第2レバー2の位置を基準として第1レバー1が揺動する状態として描いてある。
【0046】
上述の第1,2レバー1,2の握り込み操作を1回又は複数回行って、結束バンドBの引締め力(正確にはバンド部aの張力)が引締力調節装置Cによって設定された値に達すると、第1レバー1が腰折れ揺動してそれ以上引締め力が上昇せずその値が維持されるように機能される。即ち、図10に示すように、圧縮コイルバネ23の弾性力に抗して規制部材19がローラ34から脱出揺動し、それによって主軸心P回りに主レバー部1Bが先端レバー部1Aに対して腰折れ揺動するのである。図10は、挟持開始位置fから第1レバー1が若干角度腰折れ揺動した状態を描いてある。腰折れにより、急に握り込みが軽くなったことで作業者は設定引締め力に達したことが分ることになり、また、それ以上握り込み操作を行っても先端レバー部1Aは動かず、従って引締め機構cによるそれ以上の引締め作用は不能になる。
【0047】
バンド部aの引締めが済むと、今度は図11に示すように、第1レバー1が自由位置jにある自由状態にて、第1レバーを握っている状態の親指oyの指先でノブ部3bを押し下げる操作により、手指で第1及び第2レバー1,2を握りながら切断レバー3を下降揺動させ、結束工具Aを引締作用状態から切断作用状態に切換える。そして、親指oyによる切断作用状態を維持しながら握り込み操作することにより、図12に示すように、揺動操作具9と屈曲板部2Aとが相対離反移動して操作突出部9bが被操作片33cを押し、切断刃33を屈曲板部2Aに対してスライド上昇移動させて刃先33aがヘッド部bと屈曲板部2Aとの間に侵入して行く。なおも第1,2レバー1,2を握り込むと、図6に示すように、上昇移動する切断刃33によってヘッド部bの間際においてバンド部aが切断されるのである。
【0048】
以上のように、本発明による結束工具Aにおいては、第1,2レバー1,2を(第1,2基端部1r,2rを)を手指で握ったままの状態で、即ちもう一方の手指で補助しながらの握り換えや握り直しといったことのない片手操作状態で、バンド部aを引締める作業(引締作用状態)もバンド部aの切断作業(切断作用状態)も行うことができる便利で使い勝手に優れるものとされている。つまり、切断レバー3が操作されないときには第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みで引締め機構cが機能し、切断レバー3が操作されているときには第1基端部1rと第2基端部2rとの手指での握り込みで切断機構eが機能するように、切断レバー3と引締め連係部dと切断連係部sとが連係されている。そして、切断レバー3は、その先端部であるノブ部3aが親指操作可能となるように、枢支軸15に揺動可能に枢支される状態で配置構成されている。
【0049】
〔別実施例〕
切断操作具3は、親指oy以外の指(例:人差し指hy)で操作可能なものとしても良い。切断操作具3は、実施例1のようなレバー状のもののほか、スライド移動構造のものや押しボタン状のもの等、種々の変更が可能である。また、引締作用状態と切断作用状態との切換手段としては、実施例1において示す機械的な手段のほか、例えば揺動操作具9の第1レバー1と第2レバー2との一体揺動状態の選択を、磁力とそのスイッチとを有する電気的なものとすることも可能である。結束バンドBとして、有限長さのバンド部とヘッド部とが一体となった一般的なものを用いる場合には、バンド挿通部mは孔状のものでも良い。
【符号の説明】
【0050】
1 第1レバー
1r 第1基端部
2 第2レバー
2r 第2基端部
3 切断操作部、切断レバー
3a 先端部
9 揺動操作具
14 切換部材
15 枢支軸
33 切断刃
a バンド部
b ヘッド部
c 引締め機構
d 引締め連係部
e 切断機構
g バンド保持部
m バンド挿通部
s 切断連係部
t 待機位置
v 動作位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド部を貫いて突出しているバンド部を前記ヘッド部に対して強制的に引張る引締め機構と、前記引締め機構によって引締められた前記バンド部を、前記ヘッド部から引締め方向下手側に突出する部分における前記ヘッド部付近の箇所において切断させる切断機構と、第1レバーと、第2レバーと、前記切断機構の動きを司る切断操作部と、前記第1レバーと前記第2レバーとの手指による握り込みによって前記引締め機構を作動させるように前記引締め機構と前記第1及び第2レバーとを連係させる引締め連係部とを有し、
前記第1及び第2レバーを握っている状態における何れかの手指で前記切断操作部を操作することが可能に構成されている手動型結束工具。
【請求項2】
前記バンド部を保持可能なバンド保持部を先端部に有する前記第1レバーと、前記ヘッド部の通過は不能で、かつ、前記バンド部の通過は許容するバンド挿通部を先端部に有する前記第2レバーとを、それら各レバーの長手方向の中間部において枢支連結することで前記引締め連係部が構成され、前記第1レバーにおける前記第2レバーとの枢支連結点に対して前記バンド保持部と反対側となる第1基端部と、前記第2レバーにおける前記第1レバーとの枢支連結点に対して前記バンド挿通部と反対側となる第2基端部との手指での握り込みによる前記バンド保持部と前記バンド挿通部との離反移動によって前記引締め機構として機能する状態に構成され、
前記切断機構が、前記バンド挿通部にスライド移動可能に装備される切断刃を設けて構成されるとともに、前記第1基端部と前記第2基端部との手指での握り込みによって前記切断刃をスライド移動させるように、前記切断刃と前記第1及び第2レバーとを連係させる切断連係部を設け、
前記切断操作部が操作されないときには前記第1基端部と前記第2基端部との手指での握り込みで前記引締め機構が機能し、前記切断操作部が操作されているときには前記第1基端部と前記第2基端部との手指での握り込みで前記切断機構が機能するように、前記切断操作部と前記引締め連係部と前記切断連係部とが連係されている請求項1に記載の手動型結束工具。
【請求項3】
前記切断連係部が、前記切断刃をスライド移動させる揺動操作具と、前記揺動操作具が前記第1レバーと共に揺動する作用状態と前記第2レバーと共に揺動する非作用状態とを切換える切換部材とを有して構成され、
前記切断操作部を構成する切断レバーが揺動操作されたときは前記切換部材が待機位置から動作位置に移動されて前記作用状態が齎され、前記切断レバーが揺動操作されないときは前記切換部材が待機位置に維持されていて前記非作用状態が齎されるように構成されている請求項2に記載の手動型結束工具。
【請求項4】
前記揺動操作具が、前記第1及び第2レバーとを枢支連結する枢支軸に揺動可能に枢支されている請求項3に記載の手動型結束工具。
【請求項5】
前記切断レバーの先端部が親指操作可能となるように、前記枢支軸に揺動可能に枢支される状態で配置構成されている請求項4に記載の手動型結束工具。
【請求項6】
前記引締め機構によるバンド部の引締め力を増減調節可能とする引締力調節装置が装備されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の手動型結束工具。
【請求項1】
ヘッド部を貫いて突出しているバンド部を前記ヘッド部に対して強制的に引張る引締め機構と、前記引締め機構によって引締められた前記バンド部を、前記ヘッド部から引締め方向下手側に突出する部分における前記ヘッド部付近の箇所において切断させる切断機構と、第1レバーと、第2レバーと、前記切断機構の動きを司る切断操作部と、前記第1レバーと前記第2レバーとの手指による握り込みによって前記引締め機構を作動させるように前記引締め機構と前記第1及び第2レバーとを連係させる引締め連係部とを有し、
前記第1及び第2レバーを握っている状態における何れかの手指で前記切断操作部を操作することが可能に構成されている手動型結束工具。
【請求項2】
前記バンド部を保持可能なバンド保持部を先端部に有する前記第1レバーと、前記ヘッド部の通過は不能で、かつ、前記バンド部の通過は許容するバンド挿通部を先端部に有する前記第2レバーとを、それら各レバーの長手方向の中間部において枢支連結することで前記引締め連係部が構成され、前記第1レバーにおける前記第2レバーとの枢支連結点に対して前記バンド保持部と反対側となる第1基端部と、前記第2レバーにおける前記第1レバーとの枢支連結点に対して前記バンド挿通部と反対側となる第2基端部との手指での握り込みによる前記バンド保持部と前記バンド挿通部との離反移動によって前記引締め機構として機能する状態に構成され、
前記切断機構が、前記バンド挿通部にスライド移動可能に装備される切断刃を設けて構成されるとともに、前記第1基端部と前記第2基端部との手指での握り込みによって前記切断刃をスライド移動させるように、前記切断刃と前記第1及び第2レバーとを連係させる切断連係部を設け、
前記切断操作部が操作されないときには前記第1基端部と前記第2基端部との手指での握り込みで前記引締め機構が機能し、前記切断操作部が操作されているときには前記第1基端部と前記第2基端部との手指での握り込みで前記切断機構が機能するように、前記切断操作部と前記引締め連係部と前記切断連係部とが連係されている請求項1に記載の手動型結束工具。
【請求項3】
前記切断連係部が、前記切断刃をスライド移動させる揺動操作具と、前記揺動操作具が前記第1レバーと共に揺動する作用状態と前記第2レバーと共に揺動する非作用状態とを切換える切換部材とを有して構成され、
前記切断操作部を構成する切断レバーが揺動操作されたときは前記切換部材が待機位置から動作位置に移動されて前記作用状態が齎され、前記切断レバーが揺動操作されないときは前記切換部材が待機位置に維持されていて前記非作用状態が齎されるように構成されている請求項2に記載の手動型結束工具。
【請求項4】
前記揺動操作具が、前記第1及び第2レバーとを枢支連結する枢支軸に揺動可能に枢支されている請求項3に記載の手動型結束工具。
【請求項5】
前記切断レバーの先端部が親指操作可能となるように、前記枢支軸に揺動可能に枢支される状態で配置構成されている請求項4に記載の手動型結束工具。
【請求項6】
前記引締め機構によるバンド部の引締め力を増減調節可能とする引締力調節装置が装備されている請求項1〜5のいずれか一項に記載の手動型結束工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−144257(P2012−144257A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1462(P2011−1462)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000108524)ヘラマンタイトン株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000108524)ヘラマンタイトン株式会社 (57)
【Fターム(参考)】
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