説明

手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造

【課題】簡単な構造でありながら、第1ジャイロセンサと第2ジャイロセンサのカメラにおける取付位置を簡単に変更でき、しかも仕様が異なる複数のカメラに適用可能な手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造を提供する。
【解決手段】第1ジャイロセンサS1及び第2ジャイロセンサS2を支持するセンサ取付部材20、22と、カメラ内部の固定部材15に形成した仮想正方形の各頂点上に位置する4つの同一仕様の雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dと、センサ取付部材を貫通し4つの雌ねじ孔のうち少なくとも二つにそれぞれ螺合する2ないし4つの同一仕様のボルト25と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
手振補正機能付カメラは、カメラのX方向とY方向の手振れを検出するために、X方向の軸回りの回転を検出するX軸ジャイロセンサとY方向の軸回りの回転を検出するY軸ジャイロセンサをジャイロ基板に取り付けて、このジャイロ基板をカメラ内部の固定部材に固定している。
【特許文献1】特開2005−181463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
手振補正機能付カメラは、補正レンズや撮像素子を光軸に対して直交する方向に移動させることにより手振れを補正するため、補正レンズや撮像素子が移動するとこれらの部材からカメラボディやレンズ鏡筒に振動が伝わる。また、一眼レフタイプの手振補正機能付カメラの場合は、シャッターボタンを押した際にカメラ内に設けたミラーが回転する(跳ね上がる)ので、回転動作時にこのミラーからカメラボディやレンズ鏡筒に振動が伝わる。
この際の振動の程度はカメラボディやレンズ鏡筒の位置ごとに異なる。そのため、カメラボディやレンズ鏡筒を介してX軸ジャイロセンサとY軸ジャイロセンサに伝わる振動がX軸ジャイロセンサやY軸ジャイロセンサに大きな影響を及ぼさなければ、X軸ジャイロセンサとY軸ジャイロセンサはカメラの手振れを精度よく検出できる。しかし、X軸ジャイロセンサやY軸ジャイロセンサに伝わる振動がX軸ジャイロセンサやY軸ジャイロセンサに大きな影響を及ぼす場合には、X軸ジャイロセンサやY軸ジャイロセンサはカメラの手振れを精度よく検出できなくなる。
【0004】
しかし従来の手振補正機能付カメラではジャイロ基板の取付態様は一つしかなく、他の態様でカメラに取り付けることができなかったので、X軸ジャイロセンサやY軸ジャイロセンサに伝わる振動がX軸ジャイロセンサやY軸ジャイロセンサに大きな影響を及ぼす場合には、X軸ジャイロセンサやY軸ジャイロセンサをジャイロ基板ごと別種のものに交換する必要があった。
さらに、カメラの仕様(例えば、ジャイロセンサを取り付けるカメラボディの寸法や材質)によって、X軸ジャイロセンサとY軸ジャイロセンサには上記振動が異なる態様で伝わる。そのため、X軸ジャイロセンサとY軸ジャイロセンサを仕様が異なる複数のカメラに適用する場合には、各カメラごとに異なる仕様のX軸ジャイロセンサとY軸ジャイロセンサを選択し取り付ける必要があったので、コストが増大していた。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構造でありながら、第1ジャイロセンサと第2ジャイロセンサのカメラにおける取付位置を簡単に変更でき、しかも仕様が異なる複数のカメラに適用可能な手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造は、第1の態様によると、レンズ光軸に直交すると共に互いに直交する二つの軸のうちの一方の軸回りの回転を検出する第1ジャイロセンサ、及び他方の軸回りの回転を検出する第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材と、該センサ取付部材を取り付けるためのカメラ内部の固定部材と、を有する手振補正機能を有するカメラにおけるジャイロセンサの取付構造において、上記センサ取付部材と上記固定部材の一方に形成した、上記レンズ光軸に直交する平面上に位置し、かつその一辺が上記一方の軸または他方の軸と平行な仮想正方形の各頂点に位置する4つの同一仕様の被嵌合部と、上記センサ取付部材と上記固定部材の他方に形成した、上記被嵌合部のうちの少なくとも2つに嵌合可能な2ないし4つの同一仕様の嵌合部材と、を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造は、第2の態様によると、レンズ光軸に直交すると共に互いに直交する二つの軸のうちの一方の軸回りの回転を検出する第1ジャイロセンサ、及び他方の軸回りの回転を検出する第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材と、該センサ取付部材を取り付けるためのカメラ内部の固定部材と、を有する手振補正機能を有するカメラにおけるジャイロセンサの取付構造において、上記センサ取付部材と上記固定部材の一方に形成した、上記レンズ光軸に直交する平面上に位置し、かつその一辺が上記一方の軸または他方の軸と平行な仮想正方形の3つの頂点に位置する3つの同一仕様の被嵌合部と、上記センサ取付部材と上記固定部材の他方に形成した、上記仮想正方形の一辺の両端に位置する2つの上記被嵌合部に嵌合可能な2つの同一仕様の嵌合部材と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造は、第3の態様によると、レンズ光軸に直交すると共に互いに直交する二つの軸のうちの一方の軸回りの回転を検出する第1ジャイロセンサ、及び他方の軸回りの回転を検出する第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材と、該センサ取付部材を取り付けるためのカメラ内部の固定部材と、を有する手振補正機能を有するカメラにおけるジャイロセンサの取付構造において、上記センサ取付部材と上記固定部材の一方に形成した、上記レンズ光軸に直交する平面上に位置する一対の同一仕様の被嵌合部と、上記センサ取付部材と上記固定部材の他方に形成した、上記一対の被嵌合部に嵌合可能な一対の同一仕様の嵌合部材と、を備えることを特徴としている。
【0009】
第3の態様の場合、上記一対の被嵌合部を二組有すると共に各組の上記被嵌合部を結ぶ直線同士が直交し、上記嵌合部材が、いずれの組の一対の上記被嵌合部にも嵌合可能であってもよい。
【0010】
いずれの態様においても、例えば上記被嵌合部が上記固定部材に形成した雌ねじ孔であり、上記嵌合部材が上記センサ取付部材を貫通し、その雄ねじ部が上記各雌ねじ孔にそれぞれ螺合し、かつその頭部と上記固定部材との間で上記センサ取付部材を挟持するボルトであってもよい。
【0011】
また、いずれの態様においても、上記被嵌合部が上記センサ取付部材に形成した貫通孔であり、上記嵌合部材が上記固定部材及び上記貫通孔を貫通し、その頭部が上記固定部材における上記センサ取付部材と反対側の面に接触するボルトであり、さらに、上記貫通孔から突出する上記ボルトの先端部にナットを螺合し、該ナットと上記頭部の間に上記固定部材及びセンサ取付部材を挟持してもよい。
【0012】
いずれの態様においても、上記被嵌合部が、上記固定部材とセンサ取付部材の一方に設けた孔または凹部であり、上記嵌合部材が、上記固定部材とセンサ取付部材の他方を貫通し自由状態における径が上記孔または凹部より大径の弾性材料からなる挿入部と、該挿入部が上記孔または凹部に嵌合したときに上記固定部材とセンサ取付部材の一方との間で上記固定部材とセンサ取付部材の他方を挟持する頭部と、を有する嵌合ピンであってもよい。
【0013】
いずれの態様においても、上記センサ取付部材が、弾性材料からなり上記嵌合部材によって上記固定部材に固定される緩衝部と、上記第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサを支持し該緩衝部に上記固定部材から離間した状態で支持されるジャイロ基板と、を備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1によると、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材は、仮想正方形の各頂点上に位置する4つの同一仕様の被嵌合部に2ないし4つの同一仕様の嵌合部材をそれぞれ嵌合することにより、固定部材に固定できる。
従って、カメラの内部装置が動くことによって第1ジャイロセンサや第2ジャイロセンサに伝わる振動が第1ジャイロセンサや第2ジャイロセンサに大きな影響を及ぼす場合には、センサ取付部材を90°、180°あるいは270°回転させ、かつ各嵌合部を対応する被嵌合部に嵌合させることにより、第1ジャイロセンサと第2ジャイロセンサの取付位置を簡単に変更することができる。しかも、センサ取付部材の回転間隔が90°なので、いずれの角度で取り付けた場合においても、第1ジャイロセンサは互いに直交する二つの軸(X軸とY軸)の一方の軸回りの回転を必ず検出可能となり、第2ジャイロセンサは他方の軸回りの回転を必ず検出可能になる。
また、仕様が異なる複数のカメラにも適用可能となる。
さらに、本発明の取付構造は極めて簡単な構造なので、低コストで実現することが可能である。
【0015】
本発明の請求項2によると、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材は、仮想正方形の各頂点上に位置する3つの同一仕様の被嵌合部に2つの同一仕様の嵌合部材をそれぞれ嵌合することにより、固定部材に固定できる。
【0016】
本発明の請求項3によると、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材は、一対の同一仕様の被嵌合部に一対の同一仕様の嵌合部材をそれぞれ嵌合することにより、固定部材に固定できる。この場合は選択できるセンサ取付部材の固定位置は180°間隔となる。
さらに、請求項4のように被嵌合部と嵌合部材を二対として実施してもよく、このようにすれば選択できるセンサ取付部材の固定位置は90°間隔となる。
【0017】
さらに請求項8の発明では、第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサを支持するジャイロ基板を緩衝部を介して固定部材から離間した状態で支持し、かつカメラの内部装置から第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサに伝わる振動を緩衝部によって吸収する。従って、カメラの内部装置から第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサに振動が伝わり難くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。なお、以下の説明の図1〜図4、図6及び図7等の矢印に示すように、以下の説明では手振補正機能付カメラ10の左右方向をX方向、手振補正機能付カメラ10の上下方向をY方向とする。
図1に示すように手振補正機能付カメラ10は一眼レフタイプのカメラであり、カメラボディ11と、カメラボディ11の前面中央部に着脱可能に取り付けたレンズ鏡筒12とからなる。カメラボディ11の内部にはその前面に撮像素子13を支持したステージ板14が設けてある。このステージ板14(撮像素子13)は、図1に示す初期位置(正面視においてレンズ光軸Oと撮像素子13の中心点が一致する位置)からカメラボディ11に対してX方向とY方向にスライド可能である。さらに、カメラボディ11内にはステージ板14をX方向とY方向に駆動するための駆動手段(例えば、磁石と、該磁石の磁界内に位置する状態で電流を受けることにより駆動力を発生するコイルとによって構成できる)が設けてある。
【0019】
図2〜図7に示すように、カメラボディ11の後壁部前面(内面)には正面視方形の固定部材15が固定してある。図3及び図5に示すように固定部材15には正面視で方形枠状をなす枠状突部16が突設してあり、枠状突部16の前面には同一仕様の4つの雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dが形成してある。図3に示すように、4つの雌ねじ孔(被嵌合部)17A、17B、17C、17Dは正面視で仮想正方形(図示略。レンズ光軸Oに対して直交する平面上に位置する)の各頂点部に位置する。即ち、雌ねじ孔17Aと雌ねじ孔17Bを結ぶY方向辺及び雌ねじ孔17Cと雌ねじ孔17Dを結ぶY方向辺は共にY方向に延びており、雌ねじ孔17Aと雌ねじ孔17Dを結ぶX方向辺及び雌ねじ孔17Bと雌ねじ孔17Cを結ぶX方向辺は共にX方向に延びている。別言すると、図3に示すように枠状突部16の中心を通るX方向の直線LXに関して雌ねじ孔17Aと雌ねじ孔17B及び雌ねじ孔17Cと雌ねじ孔17Dは互いに対称な位置にあり、かつ該中心を通るY方向の直線LYに関して雌ねじ孔17Aと雌ねじ孔17D及び雌ねじ孔17Cと雌ねじ孔17Bは互いに対称な位置にある。
枠状突部16の直前には、正面視正方形で枠状突部16より大寸のジャイロ基板(センサ取付部材)20が位置している。このジャイロ基板20は、ジャイロ基板20を枠状突部16の直前に位置させたときに各雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dとそれぞれ同心をなす4つの嵌合孔21A、21B、21C、21Dを有している。これら4つの嵌合孔21A、21B、21C、21Dは互いに同一仕様である。さらに、図示するように枠状突部16の前面には、同一仕様の2つのジャイロセンサである第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2が固着してある。図示するように第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2は共に長方形状であり、第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2は正面視で互いに直交する方向に延びている。
【0020】
各嵌合孔21A、21B、21C、21Dには、ゴム等の弾性材料からなる円筒形状の緩衝筒(センサ取付部材/緩衝部)22がそれぞれ弾性的に嵌合しており、各嵌合孔21A、21B、21C、21Dの外周面に形成した環状凹部23が各嵌合孔21A、21B、21C、21Dの周縁部にそれぞれ弾性的に嵌合している。各嵌合孔21A、21B、21C、21Dを前後方向に貫通する円柱形状の中心孔24は各雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dより大径であり、対応する雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dと同心をなしている。
4本のボルト(嵌合部材)25は互いに同一仕様であり、緩衝筒22の中心孔24と同形状の円柱部26と、先端部をなす雄ねじ部27と、各緩衝筒22の中心孔24より大径の頭部28とを具備している。各中心孔24が対応する雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dと同心をなすように各緩衝筒22の後面を枠状突部16の前面に面接触させた状態で、4本のボルト25の円柱部26を各中心孔24に嵌合しかつ雄ねじ部27を対応する雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dに螺合すると、頭部28が対応する緩衝筒22の前面に当接する。このようにすることにより、図2に示すように第1ジャイロセンサS1がX方向と平行をなし第2ジャイロセンサS2がY方向と平行をなす態様で、ジャイロ基板20が枠状突部16から離間した状態で枠状突部16(固定部材15)に固定される。
【0021】
この図2の取付態様では、第1ジャイロセンサS1が図示を省略したX軸回りの角速度を検出するX軸ジャイロセンサとして機能し、第2ジャイロセンサS2が図示を省略したY軸回りの角速度を検出するY軸ジャイロセンサとして機能する(X軸とY軸は共にレンズ光軸Oに対して直交し、かつ互いに直交する)。従って、この第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2が検出した角速度に基づいて手振補正機能付カメラ10の演算手段(図示略)が演算したカメラボディ11のX方向とY方向の手振れ(量)を打ち消すように、上記駆動手段の駆動力によってステージ板14(撮像素子13)をX方向とY方向にスライドさせれば、手振補正機能付カメラ10の手振れが補正される。
【0022】
仮に第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2を図2の取付位置に位置させたときに、ステージ板14のスライドによる振動や、図示を省略したミラーの跳ね上げ(回転動作)による振動がカメラボディ11を介して第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2に伝わり、第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2に大きな影響を及ぼす場合には、4本のボルト25を雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dと各中心孔24から一旦取り除いた上で図4に示すようにジャイロ基板20を枠状突部16に対して時計方向に90°回転させ、4本のボルト25を再度雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dと各中心孔24に挿入する(螺合する)。このようにすると、図2のときとは第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2の取付位置が変わるので、ステージ板14のスライドやミラーの跳ね上げによる振動の第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2への伝わり方に変化が生じる。
図4のようにしたときに第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2が上記振動から影響が受けにくくなった場合は、ジャイロ基板20の枠状突部16に対する回転位置はこのままにする。一方、図4の取付態様においても第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2に振動の影響が大きく及ぶ場合には、図4の状態からさらに時計方向に90°あるいは180°回転させる(図示略)。
なお、この場合は第1ジャイロセンサS1がY軸回りの角速度を検出するY軸ジャイロセンサとして機能し、第2ジャイロセンサS2がX軸回りの角速度を検出するX軸ジャイロセンサとして機能する。
【0023】
以上説明したように本実施形態によれば、雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dと4つの中心孔24が仮想正方形の各頂点上に位置するので、ジャイロ基板20を固定部材15(枠状突部16)に90°ごとの4つの回転位置から選択して取り付けることができるので、第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2の取付位置を簡単に変更できる。
しかも、第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2を支持するジャイロ基板20を直接枠状突部16に接触させずに弾性材料からなる緩衝筒22を介して枠状突部16(固定部材15)に接触させ、かつカメラボディ11の振動を緩衝筒22で吸収しているので、カメラボディ11の振動が第1ジャイロセンサS1と第2ジャイロセンサS2に伝わり難い構造となっている。
さらに、本実施形態の取付構造は極めて簡単な構造なので、低コストで実現できる。
【0024】
なお、上記実施形態では4本のボルト25を利用してジャイロ基板20を枠状突部16に固定しているが、図6や図7に示すよう2本のボルト25あるいは3本のボルト25でジャイロ基板20を枠状突部16に固定してもよい。
さらに、図示は省略してあるが、固定部材15(枠状突部16)の雌ねじ孔を3つのみとし、仮想正方形のいずれかのY方向辺またはX方向辺の両端に位置する2つの雌ねじ孔に、ジャイロ基板20のいずれかの2つの嵌合孔を貫通したボルト25を螺合してもよい。この場合は選択できる回転角度は2つ(90°間隔)となる。
【0025】
さらに、図8及び図9に示すように、枠状突部16に二対の総て同一仕様の雌ねじ孔(17Eと17F、17Gと17H)を形成し、ジャイロ基板20にも二対の総て同一仕様の嵌合孔(21Eと21F、21Gと21H)を形成してもよい。雌ねじ孔17Eと雌ねじ孔17FのX方向距離と雌ねじ孔17Gと雌ねじ孔17HのY方向距離は等しく設定してあり、雌ねじ孔17Eと雌ねじ孔17Fを結ぶX方向直線と雌ねじ孔17Gと雌ねじ孔17Hを結ぶY方向直線は互いに直交している。また、嵌合孔21Eと嵌合孔21FのX方向距離は雌ねじ孔17Eと雌ねじ孔17FのX方向距離と等しく、嵌合孔21Eと嵌合孔21FのX方向距離と嵌合孔21Gと嵌合孔21HのY方向距離は等しく設定してある。さらに、嵌合孔21Eと嵌合孔21Fを結ぶX方向直線と嵌合孔21Gと嵌合孔21Hを結ぶY方向直線は互いに直交している。
この変形例において、図9に示すように雌ねじ孔17Gと嵌合孔21Gにボルト25を螺合し、雌ねじ孔17Hと嵌合孔21Hにボルト25を螺合すればジャイロ基板20を固定部材15に固定できる。
さらに、例えば、図8及び図9の状態からジャイロ基板20を180°回転させて、雌ねじ孔17G及び嵌合孔21Hにボルト25を螺合し、かつ雌ねじ孔17H及び嵌合孔21Gにボルト25を螺合すれば、図8及び図9の状態から180°回転した状態でジャイロ基板20を固定部材15に固定できる。また、図8及び図9の状態からジャイロ基板20を時計方向に90°回転させて、雌ねじ孔17E及び嵌合孔21Gにボルト25を螺合し、かつ雌ねじ孔17F及び嵌合孔21Hにボルト25を螺合すれば、図8及び図9の状態から時計方向に90°回転した状態でジャイロ基板20を固定部材15に固定できる。
さらに図示は省略してあるが、ねじ孔を一対(例えば17Gと17Hのみ)とし、嵌合孔を一対(例えば21Gと21Hのみ)として実施してもよい。この場合は、雌ねじ孔17Gと嵌合孔21Gにボルト25を螺合し雌ねじ孔17Hと嵌合孔21Hにボルト25を螺合する態様と、雌ねじ孔17Gと嵌合孔21Hにボルト25を螺合し雌ねじ孔17Hと嵌合孔21Gにボルト25を螺合する態様の2態様での固定が可能なので、ジャイロ基板20を固定部材15に180°ごとの2つの固定位置に選択的に固定できる。
【0026】
また、図10〜図12に示すように、固定部材15(枠状突部16を具備しない)に仮想正方形の各頂点に位置する3つないし4つの貫通孔40を穿設し、2つ(この場合はY方向辺またはX方向辺の両端に位置する2つ)ないし4つの緩衝筒22の後面を枠状突部16の前面(各貫通孔40の周囲)に当接させ、頭部41を具備するボルト42を後方から各緩衝筒22及び緩衝筒22と対応する貫通孔40に挿入し、ボルト42の前端部(各緩衝筒22の前方に突出する部分)にナット43を螺合して、各頭部41とナット43によって緩衝筒22と固定部材15を挟持する構造としてもよい(この場合は緩衝筒22の中心孔24が被嵌合部)。
なお、このように緩衝筒22の中心孔24を被嵌合部とする変形例は、上記各変形例においても実施可能である。
【0027】
さらに、図13に示すように、枠状突部16に雌ねじ孔17A、17B、17C、17Dと対応する位置にこれらの代わりに嵌合凹部(被嵌合部)17A’、17B’、17C’、17D’(嵌合凹部17C’、17D’は図示略)を形成し、円柱部26と略同形状の大径部34と、嵌合凹部17A’、17B’、17C’、17D’と略同形状の小径部(挿入部)35と、頭部28と同形状の頭部36とを具備する2ないし4本の嵌合ピン(嵌合部材)33の各小径部35を嵌合凹部17A’、17B’、17C’、17D’に嵌合し、大径部34を中心孔24に嵌合することにより、嵌合ピン33の頭部36と枠状突部16の間に各緩衝筒22及びジャイロ基板20を固定してもよい。この場合、嵌合ピン33はゴム等の弾性材料により成形し、かつ大径部34の自由状態における径を中心孔24より若干大径とし、さらに小径部35の自由状態における径を嵌合凹部17A’、17B’、17C’、17D’より若干大径とする。このように設計することにより、大径部34と小径部35を中心孔24と嵌合凹部17A’、17B’、17C’、17D’に嵌合した際に、大径部34と小径部35が中心孔24及び嵌合凹部17A’、17B’、17C’、17D’から抜けにくくなる。
また、緩衝筒22と嵌合ピン33を一体成形し、緩衝筒22の後面から小径部35が後方に突出する構成として実施してもよい。
また、雌ねじ孔17A、17B、17C、17D及び嵌合凹部17A’、17B’、17C’、17D’は有底の凹部として成形したが、これらを貫通孔として成形してもよい。
なお、図示は省略してあるが、緩衝筒22の後面に嵌合凹部17A’、17B’、17C’、17D’に相当する凹部(嵌合凹部)を形成し、固定部材15に中心孔24に相当する貫通孔を形成し、嵌合ピン33に相当するピンを固定部材15の後方から各貫通孔及び凹部に挿入する構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態の手振補正機能付カメラの正面図である。
【図2】カメラボディ内面の固定部にジャイロセンサユニットを取り付けた状態を示す正面図である。
【図3】カメラボディ内面の固定部の拡大図正面図である。
【図4】図2の状態からジャイロ基板を時計方向に90°回転させたときの図2と同様の正面図である。
【図5】図2のV−V矢線に沿う断面図である。
【図6】第一の変形例の図2と同様の正面図である
【図7】第二の変形例の図2と同様の正面図である。
【図8】第三の変形例のボルトを取り外したときの正面図である。
【図9】第三の変形例の一対のボルトを螺合したときの図2と同様の正面図である。
【図10】第四の変形例の図2と同様の正面図である。
【図11】第四の変形例の斜視図である。
【図12】第四の変形例の側面図である。
【図13】第五の変形例の図5と同様の断面図である。
【符号の説明】
【0029】
10 手振補正機能付カメラ
11 カメラボディ
12 レンズ鏡筒
13 撮像素子
14 ステージ板
15 固定部材
16 枠状突部
17A 17B 17C 17D 17E 17F 17G 17H 雌ねじ孔(被嵌合部)
17A’ 17B’ 17C’ 17D’ 嵌合凹部(被嵌合部)
20 ジャイロ基板(センサ取付部材)
21A 21B 21C 21D 21E 21F 21G 21H 嵌合孔
22 緩衝筒(センサ取付部材/緩衝部)
23 環状凹部
24 中心孔
25 ボルト(嵌合部材)
26 円柱部
27 雄ねじ部
28 頭部
33 嵌合ピン(嵌合部材)
34 大径部
35 小径部(挿入部)
36 頭部
40 貫通孔
41 頭部
42 ボルト
43 ナット
O レンズ光軸
S1 第1ジャイロセンサ
S2 第2ジャイロセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ光軸に直交すると共に互いに直交する二つの軸のうちの一方の軸回りの回転を検出する第1ジャイロセンサ、及び他方の軸回りの回転を検出する第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材と、
該センサ取付部材を取り付けるためのカメラ内部の固定部材と、を有する手振補正機能を有するカメラにおけるジャイロセンサの取付構造において、
上記センサ取付部材と上記固定部材の一方に形成した、上記レンズ光軸に直交する平面上に位置し、かつその一辺が上記一方の軸または他方の軸と平行な仮想正方形の各頂点に位置する4つの同一仕様の被嵌合部と、
上記センサ取付部材と上記固定部材の他方に形成した、上記被嵌合部のうちの少なくとも2つに嵌合可能な2ないし4つの同一仕様の嵌合部材と、を備えることを特徴とする手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。
【請求項2】
レンズ光軸に直交すると共に互いに直交する二つの軸のうちの一方の軸回りの回転を検出する第1ジャイロセンサ、及び他方の軸回りの回転を検出する第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材と、
該センサ取付部材を取り付けるためのカメラ内部の固定部材と、を有する手振補正機能を有するカメラにおけるジャイロセンサの取付構造において、
上記センサ取付部材と上記固定部材の一方に形成した、上記レンズ光軸に直交する平面上に位置し、かつその一辺が上記一方の軸または他方の軸と平行な仮想正方形の3つの頂点に位置する3つの同一仕様の被嵌合部と、
上記センサ取付部材と上記固定部材の他方に形成した、上記仮想正方形の一辺の両端に位置する2つの上記被嵌合部に嵌合可能な2つの同一仕様の嵌合部材と、を備えることを特徴とする手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。
【請求項3】
レンズ光軸に直交すると共に互いに直交する二つの軸のうちの一方の軸回りの回転を検出する第1ジャイロセンサ、及び他方の軸回りの回転を検出する第2ジャイロセンサを支持するセンサ取付部材と、
該センサ取付部材を取り付けるためのカメラ内部の固定部材と、を有する手振補正機能を有するカメラにおけるジャイロセンサの取付構造において、
上記センサ取付部材と上記固定部材の一方に形成した、上記レンズ光軸に直交する平面上に位置する一対の同一仕様の被嵌合部と、
上記センサ取付部材と上記固定部材の他方に形成した、上記一対の被嵌合部に嵌合可能な一対の同一仕様の嵌合部材と、を備えることを特徴とする手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。
【請求項4】
請求項3記載の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造において、
上記一対の被嵌合部を二組有すると共に各組の上記被嵌合部を結ぶ直線同士が直交し、
上記嵌合部材が、いずれの組の一対の上記被嵌合部にも嵌合可能である手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項記載の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造において、
上記被嵌合部が上記固定部材に形成した雌ねじ孔であり、
上記嵌合部材が上記センサ取付部材を貫通し、その雄ねじ部が上記各雌ねじ孔にそれぞれ螺合し、かつその頭部と上記固定部材との間で上記センサ取付部材を挟持するボルトである手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項記載の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造において、
上記被嵌合部が上記センサ取付部材に形成した貫通孔であり、
上記嵌合部材が上記固定部材及び上記貫通孔を貫通し、その頭部が上記固定部材における上記センサ取付部材と反対側の面に接触するボルトであり、
さらに、上記貫通孔から突出する上記ボルトの先端部にナットを螺合し、該ナットと上記頭部の間に上記固定部材及びセンサ取付部材を挟持する手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項記載の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造において、
上記被嵌合部が、上記固定部材とセンサ取付部材の一方に設けた孔または凹部であり、
上記嵌合部材が、上記固定部材とセンサ取付部材の他方を貫通し自由状態における径が上記孔または凹部より大径の弾性材料からなる挿入部と、該挿入部が上記孔または凹部に嵌合したときに上記固定部材とセンサ取付部材の一方との間で上記固定部材とセンサ取付部材の他方を挟持する頭部と、を有する嵌合ピンである手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項記載の手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造において、
上記センサ取付部材が、弾性材料からなり上記嵌合部材によって上記固定部材に固定される緩衝部と、上記第1ジャイロセンサ及び第2ジャイロセンサを支持し該緩衝部に上記固定部材から離間した状態で支持されるジャイロ基板と、を備える手振補正機能付カメラにおけるジャイロセンサ取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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