説明

手摺りの取り付け方法

【課題】手摺りを施工性よく簡単に施工面に取り付ける方法を提供する。
【解決手段】手摺り1とブラケット2とを有する手摺り装置を取り付ける方法において、上面を手摺り面12とする長尺の手摺り本体11の両側にその長手方向に沿って垂下脚部13を形成し、該それぞれの垂下脚部13の下端部を互いに内方に折曲して水平摺動棚14を形成し、該水平摺動棚14の先端部を上方に折曲して立ち上げ支持片15とし、該手摺り内に形成された空間を係合摺動間隙16とするとともに、ブラケット2の固定部21に突出形成された支持棹22の先端部に、水平支持板231と該水平支持板231の両端部に形成された垂下摺動係合片232とを設けて係合保持部23を形成し、必要数のブラケット2の各係合保持部23を手摺り1の端部から係合摺動間隙内16に嵌挿し摺動自在に保持した後、該ブラケット2の固定部21を施工面Wに固着する手摺りの取り付け方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は手摺りに関するものであり、詳しくは、手摺りとブラケットとからなる手摺り取り付け装置を用いて手摺りを施工面に簡単に取り付ける方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2007−46276号公報に記載のように、手摺りと手摺りを固定するブラケットとを備えた手摺り取り付け構造は知られている。
【0003】
上記手摺り取り付け構造は、上記特許文献1の図1に示されるように、手摺りと、手摺りを固定するブラケットとを備えた手摺り取り付け構造において、手摺りの下側に手摺りの長手方向にわたって溝をつけることで凹部を設け、ブラケットに凸部を設けて、ブラケットの凸部を上記凹部に嵌合することによって、手摺りとブラケットとを接合している。
【0004】
また、手摺りに接合されたブラケットは、手摺りを支える支持部材に取り付けられており、ブラケットは支持部材に対して回動できるように取り付けられている。そして、施工が容易な手摺り取り付け構造を提供できるとその効果が述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−46276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の手摺りの取り付け構造においては、上記特許文献1の図1に示されるように、ブラケットを支持するための支持部材を必要とするため、すっきりとした仕上がりにすることができないという問題がある。
【0007】
また、支持部材の凹部とブラケットの平板部とをビス留めする必要があり、必ずしも施工性よく手摺りを壁面等の施工面に取り付けられるとはいえない。
【0008】
本願発明は上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、手摺りとブラケットとからなる取り付け装置を用いて手摺りを施工性よく、簡単に施工面に取り付ける方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係る手摺りの取り付け方法は、手摺りとブラケットとを有する手摺り装置を施工面に取り付ける方法において、上面を手摺り面とする長尺の手摺り本体の両側にその長手方向に沿って垂下脚部を形成し、該それぞれの垂下脚部の下端部を互いに内方に折曲して水平摺動棚を形成し、さらに該水平摺動棚の先端部を上方に折曲して立ち上げ支持片を形成し、該手摺り内に形成された空間を係合摺動間隙とするとともに、ブラケットの固定部に突出形成された支持棹の先端部に、水平支持板と該水平支持板の両端部に形成された垂下摺動係合片とを設けて係合保持部を形成し、必要数のブラケットのそれぞれの係合保持部を上記手摺りの端部から上記係合摺動間隙内に嵌挿し摺動自在に保持した後、該ブラケットの固定部を施工面に固着することを特徴としている。
【0010】
上記手摺りの材質としては、押出し成形等で容易に成形できるポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ABS等のプラスチックやアルミニウム、鉄等の金属等が用いられる。また、上記ブラケットとしては、同様にプラスチックや金属を一体成形したものが用いられる。
【0011】
上記ブラケットの係合保持部は手摺り内に形成された係合摺動間隙をスライドするとともに、しっかりと保持されるため金型加工を精密に行ってガタつかないように、手摺りにタイトに嵌挿するように作製される。
【0012】
本願請求項2に記載の発明に係る手摺りの取り付け方法は、上記請求項1に記載の手摺りの取り付け方法において、必要数のブラケットのそれぞれの係合保持部を上記手摺りの端部から上記係合摺動間隙内に嵌挿し摺動自在に保持した後に、手摺りの両端部を端部用ブラケットを介して施工面に固着し、その後必要数のブラケットの固定部を施工面に固着することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本願請求項1記載の発明に係る手摺りの取り付け方法においては、長尺の手摺り本体の両側面に垂下脚部が垂設され、該垂下脚部の下端部を互いに内方に折曲して水平摺動棚を形成してそれぞれの水平摺動棚の先端部を上方に折曲し、立ち上げ支持片を設けて手摺り内に係合摺動間隙を形成するとともに、ブラケットの施工面への固定部から突出形成された支持棹の先端部には、上記係合摺動間隙に摺動自在に嵌挿される係合保持部が一体的に形成されているため、該係合摺動間隙に予め嵌挿されたブラケットの位置決めも該ブラケットをスライドさせることにより簡単に行うことが可能であり、また、位置決め後、直ちにブラケットの固定部を施工面にビス固定できその作業が簡単になる。
【0014】
また、該位置決めされたブラケットを固定するだけで、手摺りとブラケットとの固定を、別途の固定具を用いることなく、同時に簡単に行うことができる。
【0015】
そのため、従来、手摺りの固定とブラケットとの施工面への固定を2工程で行う場合に比較して、本願発明の手摺りの取り付け方法は、手摺りの取り付け作業を効率よく簡単に行うことができる。
【0016】
本願請求項2記載の発明に係る手摺りの取り付け方法においては、必要数のブラケットを上記係合摺動間隙内に摺動自在に保持した後、エンドカバーが一体的に付設された端部用ブラケットで手摺りの両端部を施工面に固着するため、上記エンドカバーが、手摺りの端部をカバーして施蓋するため、手摺りを見栄えよく施工面に取り付けることができる。
【0017】
また、手摺り本体が端部用ブラケットで施工面に固定された状態で、ブラケットを摺動自在に保持できるので、ブラケットの位置決め作業をさらに効率よく簡単に行うことができ、また、ブラケットの位置決め後のその固定部の施工面への固定作業も手摺り本体が既に固定されているため、極めて容易にビス固定でき、従って、ブラケットの位置決めや取り付け作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明に係る手摺りの取り付け装置を示す分解斜視図。
【図2】本発明に係る手摺りの取り付け装置を断面図。
【図3】(a)は本願発明に係る端部用ブラケットを示す斜視図、(b)は本願発明に係る手摺りを施工面に固着した状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本願発明に係る手摺りの取り付け方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本願発明に係る手摺りの取り付け装置を示す分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、上記手摺りの取り付け装置は、手摺り1とブラケット2とから構成されている。手摺り1は、その上面を手摺り面12とする長尺の手摺り本体11と、その両側の長手方向に沿って垂設された垂下脚部13、13と該それぞれの垂下脚部13、13の下端部を互いに内方に折曲して形成された水平摺動棚14、14と、該それぞれの水平摺動棚14、14の先端部を上方に折曲して形成された立ち上げ支持片15、15とから成っている。上記のように構成された手摺り1内の空間には係合摺動間隙16が形成される。
【0021】
ブラケット2は、該ブラケット2を施工面へ固定するための固定部21と、該固定部21から前方上方に突出形成された支持棹22と、その先端部に一体的に形成された係合保持部23とからなり、該係合保持部23は水平支持板231と該水平支持板23の両端部に垂設された垂下摺動係合片232とから構成される。また固定部21には、施工面へビス等を用いて固定する際の固定用ビス孔211が穿たれている。
【0022】
次に、図1および図2を参照して上記手摺りの取り付け装置を用いて手摺り1を施工面Wに固着する方法について説明する。まず、手摺り本体11内に形成された上記係合摺動間隙16に、ブラケット2に形成した係合保持部23を手摺り本体11の端部から嵌挿して必要数のブラケット2を該係合摺動間隙16内に摺動自在に保持する。
【0023】
次に、複数個のブラケット2の相互間の距離や施工面Wの取り付け耐性強度を考慮してブラケット2の各固定位置を決定し、それぞれのブラケット2の固定部21に形成した固定用ビス孔211を貫通させた固定用ビス4で各ブラケット2を施工面Wに固定し、手摺り本体11の手摺り面12の内面がブラケット2の係合片保持部23に支承されるようにする。
【0024】
このとき、手摺り1とブラケット2とはプラスチック、例えばポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を押出し成形したものが用いられる。また、手摺り1とブラケット2とは同一の樹脂、例えばポリ塩化ビニルを用いて金型加工を精密にして仕上げることにより、上記係合保持部23が係合摺動間隙16内にタイトに嵌挿して所望の位置にスムースに移動できるとともに、所定の位置でしっかりと固定される。
【0025】
次に図3を参照して本願発明の他の実施形態を説明する。この実施形態においては、予め、手摺り1の係合摺動間隙16内に必要数のブラケット2の係合片保持部23を摺動自在に保持するとともに、手摺り1の両端部を手摺り本体11の両端部に装着された端部用ブラケット3、3を介して施工面に固着し、その後、摺動自在に保持されたブラケット2を適宜の間隔で施工面に固着する。
【0026】
図3(a)は上記端部用ブラケット3を示す斜視図である。図3(a)に示すように、前記したブラケット2の支持棹22と一体的に形成された係合保持部23にはエンドカバー31が付設されている。このエンドカバー31は手摺り本体11の端部をカバーして見栄えよく施蓋するとともに、端部用ブラケット3は手摺り1の両端部をしっかりと施工面に固着する。
【0027】
図3(b)は上記のようにして手摺り1を施工面に固定用ビス4で固着した状態を示す正面図である。本実施形態においては、まず端部用ブラケット3の係合保持部23を手摺り本体11の両端部内に形成された上記係合摺動間隙16にしっかりと嵌挿してその両端部を施工面に固着し、その後、予め保持された例えば2個のブラケット2を等間隔で、又は適宜間隔で、配設して固定用ビス4でビス固定する。
【0028】
このようにすることにより、手摺り本体11が施工面に固定された状態でブラケット2を摺動自在に保持できるので、ブラケット2を、位置決めした後直ちに施工面にビス固定できる。従って、ブラケット2の位置を決めや取り付け作業を効率よく行うことができる。
【0029】
以上述べたように、本願発明を実施することにより、従来手摺りとブラケットとの固定、ブラケットと施工面との固定と二つの工程で行われていた手摺りの取り付け作業を効率よく簡単に行うことができる。
【0030】
なお、本実施形態においては、ブラケットの施工面への固定部から突出して形成された支持棹は断面略逆J字型であるが、これに限定されず断面略L字型であってもよい。このように本願発明は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、本願発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
1 手摺り
11 手摺り本体
12 手摺り面
13 垂下脚部
14 水平摺動棚
15 立ち上げ支持片
16 係合摺動間隙
2 ブラケット
21 固定部
211 固定用ビス孔
22 支持棹
23 係合保持部
231 水平支持板
232 垂下摺動係合片
3 端部用ブラケット
31 エンドカバー
4 固定用ビス
W 施工面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手摺りとブラケットとを有する手摺り装置を施工面に取り付ける方法において、上面を手摺り面とする長尺の手摺り本体の両側にその長手方向に沿って垂下脚部を形成し、該それぞれの垂下脚部の下端部を互いに内方に折曲して水平摺動棚を形成し、さらに該水平摺動棚の先端部を上方に折曲して立ち上げ支持片を形成し、該手摺り内に形成された空間を係合摺動間隙とするとともに、ブラケットの固定部に突出形成された支持棹の先端部に、水平支持板と該水平支持板の両端部に形成された垂下摺動係合片とを設けて係合保持部を形成し、必要数のブラケットのそれぞれの係合保持部を上記手摺りの端部から上記係合摺動間隙内に嵌挿し摺動自在に保持した後、該ブラケットの固定部を施工面に固着する手摺りの取り付け方法。
【請求項2】
上記必要数のブラケットのそれぞれの係合保持部を上記手摺りの端部から上記係合摺動間隙内に嵌挿し摺動自在に保持した後に、手摺りの両端部を端部用ブラケットを介して施工面に固着し、その後必要数のブラケットの固定部を施工面に固着する請求項1に記載の手摺りの取り付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−92503(P2012−92503A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238120(P2010−238120)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】