説明

手摺壁および手摺壁の施工方法

【課題】建物内に確実に設置できるとともに、階下への圧迫感を軽減することが可能な手摺壁および手摺壁の施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】建物内の床1の開口側縁部1aに立設されており、ガラス等の透明板材11aを鉛直に配置してなる透明壁部11と、少なくとも一方が透明壁部11と略等しい高さに設定された二つの壁部12,13と、透明壁部11の上端部と少なくとも一方の壁部12(13)の上端部とにわたって設けられる笠木部材14と、透明板材11aの上端部を保持し、前記笠木部材14の取付下地となる補強フレーム15とを備える手摺壁10と、その施工方法。上階への視線が遮られることを防ぐことができ、階下に居る人への圧迫感を確実に軽減できる。また、ガラス等の透明板材が組み込まれた手摺壁を建物内に確実に設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の床の開口側縁部に立設される手摺壁と、その施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数階からなる住宅等の建物の上階床には、例えば上下階間に階段を架設したり、下階の床から上階の天井まで連続する吹き抜け空間を形成したりする場合に、下階空間と上階空間とを連通する開口部が形成される。そして、このように上階床に形成された開口部の開口側縁部には手摺壁が立設される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−303650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上階床の開口側縁部に立設された手摺壁は、階段や下階空間から視線に入るものであることから、階段や下階空間に居る人は上階への視界を遮られ、圧迫感を受ける場合がある。そこで、このような階下への圧迫感を軽減するために、ガラス等の透明板材が組み込まれた手摺壁を採用したいという要望がある。
また、ガラス等の透明板材が組み込まれた手摺壁を建物内に確実に設置するにあたっては、例えば透明板材を確実に支持できる構造の採用や、透明板材と周囲の壁との一体性の向上、施工の容易性の向上等も望まれる。
【0005】
本発明の課題は、建物内に確実に設置できるとともに、階下への圧迫感を軽減することが可能な手摺壁および手摺壁の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、建物内の床1の開口側縁部1aに立設される手摺壁10(20・30)において、
ガラス等の透明板材11a,11aを鉛直に配置してなる透明壁部11と、
この透明壁部11の幅方向両端部に隣接して配置されるとともに、少なくとも一方が前記透明壁部11と略等しい高さに設定された二つの壁部12,13(23・33)と、
前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)の上端部とにわたって、これら透明壁部11および少なくとも一方の壁部12(13・23・33)の上端部を覆うようにして設けられる笠木部材14(24・34)と、
長さ方向両端部が前記二つの壁部12,13(23・33)にそれぞれ固定されるとともに、前記透明板材11a,11aの上端部を保持し、前記笠木部材14(24・34)の取付下地となる補強フレーム15(25・35)とを備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、建物内の床1の開口側縁部1aに立設される手摺壁10(20・30)として、前記ガラス等の透明板材11a,11aを鉛直に配置してなる透明壁部11を備えたものを採用することができるので、上階への視線が遮られることを防ぐことができ、階下に居る人への圧迫感を確実に軽減することができる。
また、前記補強フレーム15(25・35)によって前記透明板材11a,11aの上端部を保持することができるので、前記透明板材11a,11aを確実に支持することができる。また、前記笠木部材14(24・34)によって、隣接する前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)の上端部を一遍に覆うことができるので、この笠木部材14(24・34)によって前記透明壁部11と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)とを一体的な壁として視認させることができる。また、前記透明壁部11と二つの壁部12,13(23・33)とを隣接して配置し、前記二つの壁部12,13(23・33)に前記補強フレーム15(25・35)を固定し、前記笠木部材14(24・34)を、前記補強フレーム15(25・35)に取り付けるようにして、前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)の上端部とにわたって設けることで手摺壁10(20・30)を形成することができるので、例えば透明板材11a,11aを支持するための支柱や複雑な機構を用いることなく、容易に施工を行うことができる。これによって、ガラス等の透明板材11a,11aが組み込まれた手摺壁10(20・30)を建物内に確実に設置することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1〜図7に示すように、請求項1に記載の手摺壁10において、
前記補強フレーム15の長さ方向一端部は、前記二つの壁部12,13のうちの前記透明壁部11と略等しい高さに設定された一方の壁部12側に延出しており、この延出部分15aは前記一方の壁部12の上面12aに載置固定されており、
前記補強フレーム15の長さ方向他端部は、前記二つの壁部12,13のうちの他方の壁部13の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16を介して固定されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記補強フレーム15の長さ方向一端部の延出部分15aを、前記一方の壁部12の上面12aに確実に固定することができるので、前記補強フレーム15の取付状態を確実なものとすることができる。これによって、この補強フレーム15によって保持される透明板材11a,11aと、この補強フレーム15を取付下地とする笠木部材14との取付状態も向上させることができる。
また、前記補強フレーム15の長さ方向他端部は、前記二つの壁部12,13のうちの他方の壁部13の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16を介して固定されていることから、前記他方の壁部13が前記透明壁部11よりも高さの高い壁であっても、前記補強フレーム15を前記他方の壁部13に確実に固定することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図8に示すように、請求項1に記載の手摺壁20において、
前記補強フレーム25の長さ方向両端部は、前記透明壁部11と略等しい高さに設定された二つの壁部12,23側に延出しており、これら延出部分25a,25bは、前記二つの壁部12,23の上面12a,23aにそれぞれ載置固定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、前記補強フレーム25の長さ方向両端部の延出部分25a,25bを、前記二つの壁部12,23の上面12a,23aにそれぞれ確実に固定することができるので、前記補強フレーム25の取付状態を確実かつ強固なものとすることができる。これによって、この補強フレーム25によって保持される透明板材11a,11aと、この補強フレーム25を取付下地とする笠木部材24との取付状態も向上させることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1〜図8に示すように、請求項2または3に記載の手摺壁10(20)において、
前記補強フレーム15(25)の延出部分15a(25a,25b)の長さは、この延出部分15a(25a,25b)が載置固定される壁部12,23の上面12a,23aの長さよりも短く設定されており、該壁部12,23の上面12a,23aのうち、前記延出部分15a(25a,25b)が載置固定されない部分には、前記補強フレーム15(25)とともに前記笠木部材14(24)の取付下地となる下地材17が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、前記笠木部材14(24)を、前記補強フレーム15(25)と下地材17とに取り付けることができるので、前記補強フレーム15(25)だけを取付下地とする場合に比して、前記笠木部材14(24)の取付状態をより向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図9に示すように、請求項1に記載の手摺壁30において、
前記補強フレーム35の長さ方向両端部は、前記透明壁部11と略等しい高さに設定された二つの壁部12,33の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16,16を介して固定されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、前記補強フレーム35の長さ方向両端部を、前記二つの壁部12,33の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16,16を介して固定することができるので、前記補強フレーム35の取付状態を確実なものとすることができる。これによって、この補強フレーム35によって保持される透明板材11a,11aと、この補強フレーム35を取付下地とする笠木部材35との取付状態も向上させることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、請求項1〜5のいずれか一項に記載の手摺壁10(20・30)において、
前記補強フレーム15(25・35)は、この補強フレーム15(25・35)の長さ方向に延在するとともに下方に向かって開口し、前記透明板材11a,11aの上端部が挿入される溝部15bと、
この溝部15bに前記透明板材11a,11aの上端部を挿入した状態で該溝部15bを閉塞し、前記透明板材11a,11aの上端部を固定するカバー材15cとを有していることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、前記透明板材11a,11aの上端部を前記溝部15bに挿入し、この状態で、前記カバー材15cによって該溝部15bを閉塞して透明板材11a,11aの上端部を固定することができるので、このカバー材15cによって前記透明板材11a,11aの上端部を確実に保持することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、請求項6に記載の手摺壁10(20・30)において、
前記補強フレーム15(25・35)は、前記溝部15bの一側縁部を構成するとともに、前記透明板材11a,11aの取付時に、前記溝部15bに挿入された該透明板材11a,11aの上端部を受け止める板材受け部15dを有しており、
この板材受け部15dには、前記透明板材11a,11aの上端部の一方の側面が当接するクッション材15eが取り付けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、前記透明板材11a,11aの取付時に、前記クッション材15eを介して、前記板材受け部15dによって透明板材11a,11aの上端を受け止めることができるので、前記透明板材11a,11aの溝部15bへの挿入時や、前記カバー材15cで保持する時の前記透明板材11a,11aの上端部の破損を防ぐことができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、例えば図1〜図9に示すように、請求項1〜7のいずれか一項に記載の手摺壁10(20・30)を、建物内の床1の開口側縁部1aに立設する手摺壁10(20・30)の施工方法であって、
予め前記床1上に立設された二つの壁部12,13(23・33)間に、前記補強フレーム15(25・35)を固定し、
前記透明板材11a,11aを、前記二つの壁部12,13(23・33)間に、上端部を前記補強フレーム15(25・35)で保持するようにして鉛直に配置することによって透明壁部11を形成し、
前記笠木部材14(24・34)を、前記補強フレーム15(25・35)に取り付けるようにして、前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)の上端部とにわたって設けることを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、前記透明壁部11と二つの壁部12,13(23・33)とを隣接して配置し、前記二つの壁部12,13(23・33)に前記補強フレーム15(25・35)を固定し、前記笠木部材14(24・34)を、前記補強フレーム15(25・35)に取り付けるようにして、前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)の上端部とにわたって設けることで手摺壁10(20・30)を形成することができるので、例えば透明板材11a,11aを支持するための支柱や複雑な機構を用いることなく、容易に施工を行うことができる。
また、このように施工された手摺壁10(20・30)を、建物内の床1の開口側縁部1aに立設することができるので、上階への視線を遮ることを防ぐことができ、階下に居る人への圧迫感を確実に軽減することができる。また、前記補強フレーム15(25・35)によって前記透明板材11a,11aの上端部を保持することができるので、前記透明板材11a,11aを確実に支持することができる。また、前記笠木部材14(24・34)によって、隣接する前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)の上端部を一遍に覆うことができるので、この笠木部材14(24・34)によって前記透明壁部11と前記少なくとも一方の壁部12(13・23・33)とを一体的な壁として視認させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、建物内の床の開口側縁部に立設される手摺壁として、ガラス等の透明板材を鉛直に配置してなる透明壁部を備えたものを採用することができるので、上階への視線が遮られることを防ぐことができ、階下に居る人への圧迫感を確実に軽減することができる。
また、補強フレームによって透明板材の上端部を保持することができるので、透明板材を確実に支持することができる。また、笠木部材によって、隣接する透明壁部の上端部と少なくとも一方の壁部の上端部を一遍に覆うことができるので、この笠木部材によって透明壁部と少なくとも一方の壁部とを一体的な壁として視認させることができる。また、透明壁部と二つの壁部とを隣接して配置し、二つの壁部に補強フレームを固定し、笠木部材を、補強フレームに取り付けるようにして、透明壁部の上端部と少なくとも一方の壁部の上端部とにわたって設けることで手摺壁を形成することができるので、例えば透明板材を支持するための支柱や複雑な機構を用いることなく、容易に施工を行うことができる。これによって、ガラス等の透明板材が組み込まれた手摺壁を建物内に確実に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る手摺壁の一例を示す正面図である。
【図2】図1に示す手摺壁のA−A拡大断面図である。
【図3】本発明に係る手摺壁の施工手順の一例を示す斜視図である。
【図4】同、施工手順の一例を示す斜視図である。
【図5】同、施工手順の一例を示す斜視図である。
【図6】同、施工手順の一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に係る手摺壁の他の一例を示す正面図である。
【図8】本発明に係る手摺壁の他の一例を示す正面図である。
【図9】本発明に係る手摺壁の他の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0025】
<第1の実施の形態>
図1は本実施の形態に係る手摺壁の一例を示す正面図である。
図1において符号1は、上面に床材1bが敷設された床を示す。この床1は、複数階からなる住宅等の建物の上階床を指している。この床1と下階床(図示せず)との間には、図3〜図6に示すように、階段3が架設されており、上下階間の行き来が可能となっている。
また、床1には、下階空間と上階空間とを連通する開口部2が形成されており、この開口部2を介して、階段3から床1上への移動を可能となっている。この床1の開口側縁部1aに、上階空間と階段3とを仕切る手摺壁10が立設されている。
【0026】
本実施の形態の手摺壁10は、図1〜図6に示すように、ガラス等の透明板材11a,11aを鉛直に配置してなる透明壁部11と、この透明壁部11の幅方向両端部に隣接して配置される二つの壁部12,13と、前記透明壁部11の上端部と前記一方の壁部12の上端部とにわたって、これら透明壁部11および一方の壁部12の上端部を覆うようにして設けられる笠木部材14と、長さ方向両端部が前記二つの壁部12,13にそれぞれ固定されるとともに、前記透明板材11a,11aの上端部を保持し、前記笠木部材14の取付下地となる補強フレーム15とを備えている。
【0027】
前記透明壁部11は、上述の透明板材11a,11aを鉛直に立設してなり、本実施の形態においては、前記壁部12と壁部13との間に設けられた2枚の透明板材11a,11aからなる。
これら透明板材11a,11aは、図1に示すように矩形状に形成されるとともに、互いに略等しいサイズに設定されている。
これら2枚の透明板材11a,11aは、隣り合う側端部間に隙間を形成するようにして配置されている。これによって、例えば1枚で、これら2枚の透明板材11a,11aに匹敵するサイズの透明板材を使用する場合に比して、地震等による建物躯体の変形時に、ひび割れや破損等を防ぎやすくなっている。
また、これら透明板材11a,11aと前記壁部12,13との間にも隙間が形成されており、2枚の透明板材11a,11a間の隙間と同様に、建物躯体の変形時における破損等を防ぎやすくなっている。
なお、本実施の形態の透明板材11aはガラスが採用されているが、これに限られるものではなく、透明樹脂を板状に成形したもの等を採用してもよい。
【0028】
前記壁部12は、矩形状に形成された壁パネルが採用されており、前記透明壁部11と略等しい高さに設定されている。また、この壁部12は、四側面のうちの一側面側だけが、自身とは別のものに隣接するようにして配置されている。すなわち、この一側面側には前記透明壁部11が配置されており、他の三側面側には壁等が何も配置されていない状態となっている。
また、この壁部12の階段3側面は、図3〜図6に示すように、前記開口側縁部1aを構成するとともに階段3と下階空間とを仕切る仕切り壁4と連続している。つまり、壁部12の階段3側面と、仕切り壁4の階段3側面とが、上下階方向に連続する同一平面に見えるようになっている。
また、この壁部12の上面12aには前記補強フレーム15の壁部12側端部が載置されるようになっている。
また、この壁部12の開口部2側面の下端部と、この開口部2側面とは反対の側面の下端部とには幅木12bがそれぞれ取り付けられている。
さらに、この壁部12の透明壁部11側面とは反対の側面には、上端部が前記笠木部材14の壁部12側端部と接続される側面仕上げ材14aが取り付けられている。この側面仕上げ材14aによって、前記笠木部材14と連続する化粧材として、この壁部12の透明壁部11側面とは反対の側面を化粧できるようになっている。
【0029】
なお、この壁部12を構成する壁パネルとは、図示はしないが、縦横の框材が矩形状に組み立てられるとともに、矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面に面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。さらに、その内部中空な部分には、通常、グラスウールやロックウール等の断熱材が装填されるものである。
また、本実施の形態においては、この壁部12だけでなく、建物躯体そのものが、このような建築用パネルを用いて構築されているものとする。
【0030】
前記壁部13は、図1,図3〜図6に示すように、前記床1上に立設される上階の壁を指しており、建物躯体の一構成要素として採用されている。したがって、この壁部13の高さは、前記壁部12よりも高くなるように設定されている。
この壁部13の透明壁部11側面に対して、透明壁部11側面が対向するようにして、前記壁部12が配置されている。
【0031】
前記笠木部材14は、図1〜図6に示すように、前記透明壁部11の上端部と前記一方の壁部12の上端部とにわたる長さとなるように設定されており、本実施の形態では、前記壁部13の透明壁部11側面から、前記壁部12の透明壁部11側面とは反対の側面に至る長さに設定されている。
また、この笠木部材14は、断面略凹字型に形成されており、長さ方向両端部が前記二つの壁部12,13にそれぞれ固定された前記補強フレーム15に外嵌されるようにして、前記透明壁部11および一方の壁部12の上端部を覆うようにして設けられている。
なお、この笠木部材14は、前記補強フレーム15に対してビス等の止着材や接着剤などによって固定されている
【0032】
また、この笠木部材14の凹み部分の両側面、すなわち、笠木部材14の内周面の両側には、断面凹凸状の摩擦部14b,14bが形成されている。したがって、笠木部材14を前記補強フレーム15に取り付ける際は、これら摩擦部14b,14bが前記補強フレーム15の両側面に当接し、確実に摩擦力を発揮できる。つまり、この笠木部材14が前記補強フレーム15から外れてしまうことを防ぎ、笠木部材14の前記補強フレーム15への固定状態を向上させることができる。
【0033】
なお、前記側面仕上げ材14aも、この笠木部材14と同様の断面形状となっており、前記壁部13の透明壁部11側とは反対の側端部に外嵌されている。
また、前記笠木部材14および側面仕上げ材14aは、例えばセルロース系微粉粒と樹脂とを混合して押出成形してなる長尺な木質様成形品が採用されている。
【0034】
前記補強フレーム15は、前記鉛直に立設された透明板材11a,11aの姿勢を保持するとともに前記笠木部材14を補強するものであり、アルミ等の金属を、前記透明壁部11の上端の長さ方向に沿って長尺となるように押出成形してなる。
また、この補強フレーム15は、図2に示すように、上面板150と、この上面板150の両側端部から下方に向かって設けられる側面板151,151と、これら側面板151,151の下端部から内側に向かって水平に設けられる下面板152,152と、一方の下面板152の下面に一体的に取り付けられるとともに前記透明板材11a,11aの上端部の一側面を受け止める板材受け部15dを有する板材受け板153とを有している。
【0035】
前記上面板150の幅寸法は、図2に示すように、前記笠木部材14の凹みの幅寸法よりも若干短くなるように設定されている。
前記側面板151,151は、前記笠木部材14の凹み部分の両側面に形成された摩擦部14b,14bに当接している。
【0036】
前記下面板152,152は、図2の断面視において、前記側面板151,151の下端部から補強フレーム15の中心に達しない長さに設定されている。
前記板材受け板153は、断面視略L字型に形成されており、前記一方の下面板152の下面に取り付けられる水平板部と、この水平板部の透明板材11a側端部から鉛直上方に立ち上がる板材受け部15dとからなる。
【0037】
そして、この板材受け部15dと、前記他方の下面板152の透明板材11a側端部との間には、前記補強フレーム15の長さ方向に延在するとともに下方に向かって開口し、前記透明板材11a,11aの上端部が挿入される溝部15bが形成されることになる。また、前記板材受け部15dは、図2において前記補強フレーム15の中心付近に位置している。
すなわち、前記板材受け部15dは、前記溝部15bの一側縁部を構成するものであり、前記透明板材11a,11aの取付時に、前記溝部15bに挿入された該透明板材11a,11aの上端部を受け止めることができる。
なお、前記板材受け部15dには前記透明板材11a,11aの上端部の一方の側面が当接するクッション材15eが予め取り付けられている。
【0038】
また、補強フレーム15は、前記溝部15bに前記透明板材11a,11aの上端部を挿入した状態で該溝部15bを閉塞し、前記透明板材11a,11aの上端部を固定するカバー材15cを有している。
このカバー材15cは、矩形状に形成された板状体であり、前記他方の下面板152に対し、ビス15h等の止着材によって固定されている。また、このカバー材15cの透明板材11側端部と、該透明板材11の上端部の他方の側面との間には若干の隙間が形成されており、この隙間には、前記透明板材11a,11aを前記クッション材15e側に押し付けるようにして固定するための固定材15fが挿入されている。
【0039】
そして、本実施の形態において、図1〜図6に示すように、前記補強フレーム15の長さ方向一端部は、前記二つの壁部12,13のうちの前記透明壁部11と略等しい高さに設定された一方の壁部12側に延出しており、この延出部分15aは前記一方の壁部12の上面12aに載置固定されている。延出部分15aの固定は、ビス15g等の止着材によって行われている。
さらに、前記補強フレーム15の長さ方向他端部は、前記二つの壁部12,13のうちの他方の壁部13の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16を介して固定されている。
【0040】
前記補強フレーム15の延出部分15aの長さは、この延出部分15aが載置固定される前記一方の壁部12の上面12aの長さよりも短く設定されている。
さらに、該壁部12の上面12aのうち、前記延出部分15aが載置固定されない部分には、図3〜図6に示すように、前記補強フレーム15とともに前記笠木部材14の取付下地となる下地材17が設けられている。
この下地材17は、幅および厚さ寸法が、前記補強フレーム15の幅および厚さ寸法と略等しくなるように設定されている。長さ寸法については、本実施の形態では下地材17よりも補強フレーム15の長さ寸法の方が長くなるように設定されている。
なお、本実施の形態の下地材17は、矩形板状の木材によって構成されているが、これに限るものではない。
【0041】
なお、前記上面板150と、側面板151,151と、下面板152,152とは、前記延出部分15aの長さの分、前記板材受け板153(板材受け部15d)と、クッション材15eと、カバー材15cと、固定材15fよりも長さが長く設定されている。
すなわち、前記板材受け板153(板材受け部15d)と、クッション材15eと、カバー材15cと、固定材15fとは、前記壁部12の透明壁部11側面と前記壁部13の透明壁部11側面との間の長さと略等しくなるように設定されている。したがって、前記一方の壁部12の上面12aに載置固定された補強フレーム15の延出部分15aのうち、前記一方の壁部12の上面12aに実際に載置されているのは前記下面板152,152となる。
【0042】
前記受け材16は、図2に示すように、断面略凹字型に形成されており、開口部分を下方に向けるようにして配置されている。
また、この受け材16は、前記壁部13側端部に設けられるとともに該壁部13の透明壁部11側面に固定される固定板部16aを有している。そして、この固定板部16aは前記壁部13の透明壁部11側面に対し、ビス16b,16b等の止着材によって固定されている。なお、この受け材16を強固に固定するために、前記壁部13には、ビス16bのねじ込みにも耐え得る強度の高い壁下地材が使用されている。例えば、石膏ボードは使用せずに、構造用合板等のように強度の高いものが採用される。
さらに、前記補強フレーム15の長さ方向他端部は、この受け材16に対し、ビス16c,16c等の止着材によって固定されている。このようにして、前記補強フレーム15の長さ方向他端部を、前記他方の壁部13の透明壁部11側面に、受け材16を介して固定することができる。
【0043】
また、この受け材16の上面は前記補強フレーム15の上面板150の下面と略等しい高さに位置しており、この受け材16の下面は前記補強フレーム15の下面板152,152の下面と略等しい高さに位置している。さらに、この受け材16の両側面は、前記補強フレーム15の下面板152,152の透明板材11a側端面の位置よりも内側に位置している。すなわち、受け材16は、前記補強フレーム15の内側に収容される大きさに設定されている。
さらに、この受け材16は、前記板材受け板153と、カバー材15cとによって遮蔽されている。
【0044】
また、前記透明板材11a,11aの下端部は、前記床1の上面に、前記二つの壁部12,13間にわたって取り付けられた下枠部材18によって保持されている。
すなわち、この下枠部材18は、前記透明板材11a,11aの長さ方向に沿って長尺に形成され、前記床1の上面にビス18b等の止着材によって固定されるとともに互いに間隔をあけて配置される一対の下地材18a,18aと、これら一対の下地材18a,18aを覆うようにして該下地材18a,18aにそれぞれ取り付けられるとともに互いに間隔をあけて配置される一対の仕上げ材18e,18eと、これら一対の下地材18a,18a間および一対の仕上げ材18e,18e間に形成される溝部18cと、この溝部18cの底面に設けられるクッション材18dとを有している。
【0045】
なお、本実施の形態において、前記仕上げ材18e,18eは、前記下地材18a,18aの上面を覆う上面板部と、前記下地材18a,18aの側面を覆う側面板部とを備えており、それぞれ断面視略L字型に形成されている。これら仕上げ材18e,18eのうち、上階の床1側に設けられる仕上げ材18eの側面板部の下端部は、前記床材1bの厚さに対応して短く形成されている。
ただし、これら仕上げ材18e,18e、ひいては下枠部材18は、以上のような形態に限られるものではなく、前記透明板材11a,11aの下端部を保持するという趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0046】
次に、以上のような手摺壁10の施工方法について説明する。
なお、この手摺壁10は、建物躯体の構築が終了した後に施工されるものである。したがって、予め、前記開口部2を形成するようにして床1を敷設し、この床1上に壁部13を立設し、さらに、床1の上面に、床材1bを敷設した状態としておく。また、上階の床1と下階床との間に階段3を架設するとともに、下階床上には、階段3と下階空間とを仕切り壁4を立設しておく。
【0047】
さらに、壁部12を、図3に示すように、前記床1の開口側縁部1aに沿って立設しておく。この時、壁部12は、前記壁部13の透明壁部11側面に対向するとともに、階段3側面が、前記前記仕切り壁4の階段3側面と連続した状態となっている。
そして、前記壁部12,13の表面には、壁紙等が貼設されるなどして仕上げが行われた状態となっている。
【0048】
以上のような状態となるまでを手摺壁10を施工する前の準備工程とする。
この準備工程が終了したら、まず、前記下枠部材18の一対の下地材18a,18aのうち、開口部2側(図2では右側)の下地材18aを、前記床1の上面に、前記二つの壁部12,13間にわたってビス固定する。また、この開口部2側の下地材18aに、前記仕上げ材18eを、ビス固定や接着等により取り付ける。さらに、前記クッション材18dを、前記開口部2側の下地材18aの、前記開口部2側とは反対の側面に沿うようにして、前記床1上に取り付ける。
続いて、前記受け材16を、ビス16b等の止着材によって前記壁部13の透明壁部11側面に固定する。
【0049】
続いて、図3に示すように、前記補強フレーム15を、前記二つの壁部12,13間に固定する。
すなわち、この補強フレーム15の長さ方向一端部の延出部分15aを、前記壁部12の上面12aに載置固定するとともに、長さ方向他端部を、前記受け材16を介して前記壁部13の透明壁部11側面に固定する。
より具体的には、まず、前記補強フレーム15の長さ方向他端部を、前記壁部13の透明壁部11側面から突出する受け材16に対して外挿しながら、長さ方向一端部の延出部分15aを、前記壁部12の上面12aに載置する。続いて、ビス15g等の止着材によって前記延出部分15aを上面12aに固定するとともに、ビス16c等の止着材によって補強フレーム15を受け材16に固定する。
そして、前記壁部12の上面12aのうち、前記延出部分15aが載置固定されない部分に下地材17を設ける。下地材17の固定方法は、ビス等の止着材や接着剤等によって行われる。
【0050】
続いて、図4に示すように、前記透明板材11a,11aを、前記二つの壁部12,13間に鉛直に配置し、透明壁部11を形成する。
すなわち、まず、前記透明板材11a,11aの上端部を、前記補強フレーム15の溝部15bに挿入し、下端部を、前記下枠部材18の開口部2側の下地材18aに寄せつつ前記クッション材18d上に載せる。そして、前記板材受け部15dに当接させて鉛直に立たせた状態とする。
【0051】
このように透明板材11a,11aを鉛直に立たせた状態で、前記下枠部材18の一対の下地材18a,18aのうち、開口部2側ではない他方の下地材18a(図2では左側)を、前記床1の上面に、前記二つの壁部12,13間にわたってビス固定する。
また、この他方の下地材18aに、前記仕上げ材18eを、ビス固定や接着等により取り付ける。この時、この仕上げ材18eの側面板部の下端部を、前記床材1b上に当接するように仕上げ材18eを取り付ける。
【0052】
続いて、図5に示すように、前記透明板材11a,11aの上端部を板材受け部15dに当接させた状態で、前記カバー材15cを、ビス15h等の止着材によって前記補強フレーム15の下面板152に固定する。
さらに、このカバー材15cの透明板材11側端部と、該透明板材11の上端部の他方の側面との間の隙間に、前記固定材15fを挿入し、透明板材11a,11aの上端部をしっかりと固定する。
【0053】
続いて、図6に示すように、前記笠木部材14を、前記補強フレーム15および下地材17に取り付けるようにして、前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12の上端部とにわたって設ける。
また、前記壁部12の透明壁部11側端部とは反対の側端部にも、前記側面仕上げ材14aを取り付ける。
さらに、前記壁部12の開口部2側面の下端部と、この開口部2側面とは反対の側面の下端部とに幅木12bをそれぞれ取り付ける。
以上のようにして手摺壁10を、建物内の床1の開口側縁部1aに立設できる。
【0054】
本実施の形態によれば、建物内の床1の開口側縁部1aに立設される手摺壁10として、前記ガラス等の透明板材11a,11aを鉛直に配置してなる透明壁部11を備えたものを採用することができるので、上階への視線が遮られることを防ぐことができ、階下に居る人への圧迫感を確実に軽減することができる。
また、前記補強フレーム15によって前記透明板材11a,11aの上端部を保持することができるので、前記透明板材11a,11aを確実に支持することができる。また、前記笠木部材14によって、隣接する前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12の上端部を一遍に覆うことができるので、この笠木部材14によって前記透明壁部11と前記少なくとも一方の壁部12とを一体的な壁として視認させることができる。また、前記透明壁部11と二つの壁部12,13とを隣接して配置し、前記二つの壁部12,13に前記補強フレーム15を固定し、前記笠木部材14を、前記補強フレーム15に取り付けるようにして、前記透明壁部11の上端部と前記少なくとも一方の壁部12の上端部とにわたって設けることで手摺壁10を形成することができるので、例えば透明板材11a,11aを支持するための支柱や複雑な機構を用いることなく、容易に施工を行うことができる。これによって、ガラス等の透明板材11a,11aが組み込まれた手摺壁10を建物内に確実に設置することができる。
【0055】
また、前記補強フレーム15の長さ方向一端部の延出部分15aを、前記一方の壁部12の上面12aに確実に固定することができるので、前記補強フレーム15の取付状態を確実なものとすることができる。これによって、この補強フレーム15によって保持される透明板材11a,11aと、この補強フレーム15を取付下地とする笠木部材14との取付状態も向上させることができる。
また、前記補強フレーム15の長さ方向他端部は、前記二つの壁部12,13のうちの他方の壁部13の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16を介して固定されていることから、前記他方の壁部13が前記透明壁部11よりも高さの高い壁であっても、前記補強フレーム15を前記他方の壁部13に確実に固定することができる。
【0056】
また、前記笠木部材14を、前記補強フレーム15と下地材17とに取り付けることができるので、前記補強フレーム15だけを取付下地とする場合に比して、前記笠木部材14の取付状態をより向上させることができる。
【0057】
また、前記透明板材11a,11aの上端部を前記溝部15bに挿入し、この状態で、前記カバー材15cによって該溝部15bを閉塞して透明板材11a,11aの上端部を固定することができるので、このカバー材15cによって前記透明板材11a,11aの上端部を確実に保持することができる。
【0058】
また、前記透明板材11a,11aの取付時に、前記クッション材15eを介して、前記板材受け部15dによって透明板材11a,11aの上端を受け止めることができるので、前記透明板材11a,11aの溝部15bへの挿入時や、前記カバー材15cで保持する時の前記透明板材11a,11aの上端部の破損を防ぐことができる。
【0059】
なお、本実施の形態の手摺壁10は、図1〜図6に示すように、前記透明壁部11と壁部12とを一直線上に配置した状態のものを採用しているが、これに限られるものではない。
すなわち、図7に示すように、前記透明壁部11と壁部12とを直交させて配置し、L字型の手摺壁10Aを採用してもよい。
このL字型の手摺壁10Aの壁部12は、この壁部12の四側面のうち、面積の広い二側面の一方を階段3側に向け、他方を前記壁部13と対向させるようにして配置されている。また、透明壁部11は、壁部12側端部が、この壁部12の他方の側面の開口部2側端部に位置するようにして配置されている。
さらに、笠木部材14Aは、直交する透明壁部11の上端部と壁部12の上端部とにわたって設けることができるように、L字型に形成されている。
【0060】
なお、本実施の形態の開口部2は、階段3を利用して上下階間を移動するためのものであるが、これに限られるものではなく、例えば下階の床から上階の天井まで連続する吹き抜け空間を形成するためのものであってもよい。
【0061】
<第2の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
本実施の形態の手摺壁20は、図8に示すように、ガラス等の透明板材11a,11aを鉛直に配置してなる透明壁部11と、この透明壁部11の幅方向両端部に隣接して配置されるとともに、前記透明壁部11と略等しい高さに設定された二つの壁部12,23と、前記透明壁部11の上端部と前記二つの壁部12,23の上端部とにわたって、これら透明壁部11および二つの壁部12,23の上端部を覆うようにして設けられる笠木部材24と、長さ方向両端部が前記二つの壁部12,23にそれぞれ固定されるとともに、前記透明板材11a,11aの上端部を保持し、前記笠木部材24の取付下地となる補強フレーム25とを備えている。
【0062】
ここで、前記壁部23は、前記壁部12と略等しい高さ設定されている。また、この壁部23は、図示はしないが、前記壁部12とともに建物内の床の開口側縁部に立設されている。また、この壁部23には、幅木23bが取り付けられている。
【0063】
また、前記笠木部材24は、前記壁部12の透明壁部11側端部と反対の側端部から、前記壁部13の透明壁部11側端部と反対の側端部までの長さに設定されている。
【0064】
また、前記補強フレーム25は、長さ方向両端部が、前記二つの壁部12,23側に延出しており、これら延出部分25a,25bは、前記二つの壁部12,23の上面12a,23aにそれぞれ載置固定されている。
【0065】
さらに、前記二つの壁部12,23の上面12a,23aのうち、前記延出部分25a,25bが載置固定されない部分には、前記補強フレーム25とともに前記笠木部材24の取付下地となる下地材17,17がそれぞれ設けられている。
【0066】
以上のような手摺壁20の施工は、まず、第1の実施の形態に記載した準備工程と、前記下枠部材18の一対の下地材18a,18aのうち、一方の下地材18aを、前記床1の上面に、前記二つの壁部12,23間にわたってビス固定する工程と、この一方の下地材18aに前記仕上げ材18eを取り付ける工程と、クッション材18dを前記床1上に取り付ける工程とを行う。
【0067】
続いて、図8に示すように、前記補強フレーム25の延出部分25a,25bを、前記二つの壁部12,23の上面12a,23aにそれぞれ載置固定する。これによって、前記補強フレーム25を、前記二つ壁部12,23間に架設できる。
そして、前記二つの壁部12,23の上面12a,23aのうち、前記延出部分25a,25bが載置固定されない部分に下地材17,17を設ける。
【0068】
続いて、前記透明板材11a,11aを、前記二つの壁部12,23間に鉛直に配置し、透明壁部11を形成する。さらに、下枠部材18の他方の下地材18aと、カバー材15cおよび固定材15fとにより、透明板材11a,11aの上下端部をしっかりと固定する。
【0069】
続いて、前記笠木部材14を、前記補強フレーム25および下地材17,17に取り付けるようにして、前記透明壁部11の上端部と前記二つの壁部12,23の上端部とにわたって設ける。
以上のようにして手摺壁20を、建物内の床1の開口側縁部1aに立設できる。
【0070】
本実施の形態によれば、前記補強フレーム25の長さ方向両端部の延出部分25a,25bを、前記二つの壁部12,23の上面12a,23aにそれぞれ確実に固定することができるので、前記補強フレーム25の取付状態を確実かつ強固なものとすることができる。これによって、この補強フレーム25によって保持される透明板材11a,11aと、この補強フレーム25を取付下地とする笠木部材24との取付状態も向上させることができる。
【0071】
<第3の実施の形態>
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
本実施の形態の手摺壁30は、図9に示すように、ガラス等の透明板材11a,11aを鉛直に配置してなる透明壁部11と、この透明壁部11の幅方向両端部に隣接して配置されるとともに、前記透明壁部11と略等しい高さに設定された二つの壁部12,33と、前記透明壁部11の上端部と前記二つの壁部12,33の上端部とにわたって、これら透明壁部11および二つの壁部12,33の上端部を覆うようにして設けられる笠木部材34と、長さ方向両端部が前記二つの壁部12,33にそれぞれ固定されるとともに、前記透明板材11a,11aの上端部を保持し、前記笠木部材34の取付下地となる補強フレーム35とを備えている。
【0072】
ここで、前記壁部33は、前記壁部12と略等しい高さ設定されている。また、この壁部33は、図示はしないが、前記壁部12とともに建物内の床の開口側縁部に立設されている。また、この壁部33には、幅木33bが取り付けられている。
【0073】
また、前記補強フレーム35の長さ方向両端部は、前記透明壁部11と略等しい高さに設定された二つの壁部12,33の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16,16を介して固定されている。
これら受け材16,16は、前記二つの壁部12,33の透明壁部11側面の等しい高さ位置に配置固定されている。
また、前記二つの壁部12,33間に固定された補強フレーム35の上面と、前記二つの壁部12,33の上面とは同じ高さになるように設定され、面一となっている。
【0074】
また、前記笠木部材34は、前記壁部12の透明壁部11側端部と反対の側端部から、前記壁部13の透明壁部11側端部と反対の側端部までの長さに設定されている。
さらに、この笠木部材34は、断面略凹字型に形成されており、前記補強フレーム35だけでなく、前記二つの壁部12,33の上端部に外嵌され、ビス等の止着材や接着剤などによって固定されている。
【0075】
以上のような手摺壁30の施工は、まず、第1の実施の形態に記載した準備工程と、前記下枠部材18の一対の下地材18a,18aのうち、一方の下地材18aを、前記床1の上面に、前記二つの壁部12,33間にわたってビス固定する工程と、この一方の下地材18aに前記仕上げ材18eを取り付ける工程と、クッション材18dを前記床1上に取り付ける工程とを行う。
続いて、前記受け材16,16を、ビス16b等の止着材によって前記壁部12,33の透明壁部11側面にそれぞれ固定する。
【0076】
続いて、前記補強フレーム35を、前記二つの壁部12,33間に固定する。
すなわち、この補強フレーム35の長さ方向両端部を、前記受け材16,16を介して前記二つの壁部12,33の透明壁部11側面に固定する。この時、前記補強フレーム35の板材受け板153を取り外しておき、補強フレーム35を前記受け材16,16に対して取り付けやすくしてもよい。
続いて、ビス等の止着材によって補強フレーム35を受け材16,16に固定する。
【0077】
続いて、前記透明板材11a,11aを、前記二つの壁部12,33間に鉛直に配置し、透明壁部11を形成する。さらに、下枠部材18の他方の下地材18aと、カバー材15cおよび固定材15fとにより、透明板材11a,11aの上下端部をしっかりと固定する。
【0078】
続いて、前記笠木部材34を、前記補強フレーム35および二つの壁部12,33の上端部に取り付ける。
以上のようにして手摺壁20を、建物内の床1の開口側縁部1aに立設できる。
【0079】
本実施の形態によれば、前記補強フレーム35の長さ方向両端部を、前記二つの壁部12,33の透明壁部11側面に、該透明壁部11側面に取り付けられた受け材16,16を介して固定することができるので、前記補強フレーム35の取付状態を確実なものとすることができる。これによって、この補強フレーム35によって保持される透明板材11a,11aと、この補強フレーム35を取付下地とする笠木部材35との取付状態も向上させることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 床
1a 開口側縁部
2 開口部
10 手摺壁
11 透明壁部
11a 透明板材
12 壁部
13 壁部
14 笠木部材
15 補強フレーム
16 受け材
20 手摺壁
23 壁部
24 笠木部材
25 補強フレーム
30 手摺壁
33 壁部
34 笠木部材
35 補強フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の床の開口側縁部に立設される手摺壁において、
ガラス等の透明板材を鉛直に配置してなる透明壁部と、
この透明壁部の幅方向両端部に隣接して配置されるとともに、少なくとも一方が前記透明壁部と略等しい高さに設定された二つの壁部と、
前記透明壁部の上端部と前記少なくとも一方の壁部の上端部とにわたって、これら透明壁部および少なくとも一方の壁部の上端部を覆うようにして設けられる笠木部材と、
長さ方向両端部が前記二つの壁部にそれぞれ固定されるとともに、前記透明板材の上端部を保持し、前記笠木部材の取付下地となる補強フレームとを備えていることを特徴とする手摺壁。
【請求項2】
請求項1に記載の手摺壁において、
前記補強フレームの長さ方向一端部は、前記二つの壁部のうちの前記透明壁部と略等しい高さに設定された一方の壁部側に延出しており、この延出部分は前記一方の壁部の上面に載置固定されており、
前記補強フレームの長さ方向他端部は、前記二つの壁部のうちの他方の壁部の透明壁部側面に、該透明壁部側面に取り付けられた受け材を介して固定されていることを特徴とする手摺壁。
【請求項3】
請求項1に記載の手摺壁において、
前記補強フレームの長さ方向両端部は、前記透明壁部と略等しい高さに設定された二つの壁部側に延出しており、これら延出部分は、前記二つの壁部の上面にそれぞれ載置固定されていることを特徴とする手摺壁。
【請求項4】
請求項2または3に記載の手摺壁において、
前記補強フレームの延出部分の長さは、この延出部分が載置固定される壁部の上面の長さよりも短く設定されており、該壁部の上面のうち、前記延出部分が載置固定されない部分には、前記補強フレームとともに前記笠木部材の取付下地となる下地材が設けられていることを特徴とする手摺壁。
【請求項5】
請求項1に記載の手摺壁において、
前記補強フレームの長さ方向両端部は、前記透明壁部と略等しい高さに設定された二つの壁部の透明壁部側面に、該透明壁部側面に取り付けられた受け材を介して固定されていることを特徴とする手摺壁。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の手摺壁において、
前記補強フレームは、この補強フレームの長さ方向に延在するとともに下方に向かって開口し、前記透明板材の上端部が挿入される溝部と、
この溝部に前記透明板材の上端部を挿入した状態で該溝部を閉塞し、前記透明板材の上端部を固定するカバー材とを有していることを特徴とする手摺壁。
【請求項7】
請求項6に記載の手摺壁において、
前記補強フレームは、前記溝部の一側縁部を構成するとともに、前記透明板材の取付時に、前記溝部に挿入された該透明板材の上端部を受け止める板材受け部を有しており、
この板材受け部には、前記透明板材の上端部の一方の側面が当接するクッション材が取り付けられていることを特徴とする手摺壁。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の手摺壁を、建物内の床の開口側縁部に立設する手摺壁の施工方法であって、
予め前記床上に立設された二つの壁部間に、前記補強フレームを固定し、
前記透明板材を、前記二つの壁部間に、上端部を前記補強フレームで保持するようにして鉛直に配置することによって透明壁部を形成し、
前記笠木部材を、前記補強フレームに取り付けるようにして、前記透明壁部の上端部と前記少なくとも一方の壁部の上端部とにわたって設けることを特徴とする手摺壁の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−77574(P2012−77574A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226197(P2010−226197)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】