説明

手摺用背もたれ

【課題】既設の手摺に沿って椅子を設置する場合に、活用できる床面積を最大限に拡げることができる手摺用背もたれを提供する。
【解決手段】建物の壁面16に突設したブラケット17に支持される手摺12に対して、取り外し自在に取り付ける手摺用背もたれ11であって、該手摺用背もたれ11は、手摺12に引っ掛ける係止部13と、該係止部13が取り付けられ手摺12の長手方向に沿って長板状に形成される背もたれ部14と、該背もたれ部14の裏面の下部に長手方向に沿って設けられる隙間調整部15とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や老人福祉施設等の廊下、待合室、又はホール等の壁面に設置された手摺に対して、取り外し自在に取り付ける手摺用背もたれに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や老人福祉施設等の廊下、待合室、又はホール等の壁面には、手摺が設置されているが、部屋の配置換えや間取り変更等の諸事情によって、当該手摺の設置位置に背もたれ付きの椅子の設置を望む場合がある。
【0003】
その場合は、図4に示すように、壁面1に設置した手摺2に背もたれ3を沿わして椅子4を設置することになる。壁面1と背もたれ3との間には、手摺2とブラケット5の突出幅が無駄なスペース6として存在し、換言すれば、そのスペース6の幅だけ当該背もたれ3付きの椅子4が前方に出っ張った状態で設置されることになる。
【0004】
なお、実用新案登録第3050886号公報には、背もたれが着脱自在な椅子に関する考案が開示されており(特許文献1参照)、また、特開2000−265635号公報には、可倒式の手摺に関する発明が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3050886号公報
【特許文献2】特開2000−265635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来例の場合においては、上述のように、壁面1と背もたれ3との間に無駄なスペース6が存在して、その幅の分だけ背もたれ3付きの椅子4が前方に出っ張ることとなるので、本来活用できる床面積が狭くなるという問題点を有している。
【0007】
一方、壁面1の手摺2とブラケット5を撤去すれば、壁面1に背もたれ3を沿わして椅子4を設置できる。しかしながら、再度の間取り変更等で手摺2が必要になることがあり、その場合は、再び手摺の取付工事が必要であって、作業手間が掛かって厄介である。
【0008】
従って、従来例における場合においては、手摺2とブラケット5を撤去せずに、無駄なスペース6を解消して、活用できる床面積を最大限に拡げることに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来例の課題を解決するための本発明の要旨は、建物の壁面に突設したブラケットに支持される手摺に対して、取り外し自在に取り付ける手摺用背もたれであって、該手摺用背もたれは、前記手摺に引っ掛ける係止部と、該係止部が取り付けられ前記手摺の長手方向に沿って長板状に形成される背もたれ部と、該背もたれ部の裏面の下部に長手方向に沿って設けられる隙間調整部とから構成されることである。
【0010】
また、前記背もたれ部の上部には、当該背もたれ部の裏側を遮蔽するための目隠し部材が配設されること、;
前記隙間調整部は、壁面に貼着されること、;
を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る手摺用背もたれによれば、既設の手摺に沿って椅子を設置する場合に、従来例のように手摺とブラケットの突出幅が無駄なスペースにならないので、手摺とブラケットを撤去せずに、活用できる床面積を最大限に拡げることができる。
また、椅子の設置位置の変更が容易にできることとなり、レイアウトの自由度が大幅に向上するという種々の優れた効果を奏する。
【0012】
背もたれ部の上部には、当該背もたれ部の裏側を遮蔽するための目隠し部材が配設されることによって、手摺用背もたれの裏側が隠れるので、意匠的な見映えがよいという優れた効果を奏する。
【0013】
隙間調整部は、壁面に貼着されることによって、背もたれ部のズレやガタ付きが生じないという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る手摺用背もたれ11と、壁面16に設けられた手摺12の側面図である。
【図2】本発明に係る手摺用背もたれ11の使用状態を示す側面図である。
【図3】本発明に係る手摺用背もたれ11の背面図である。
【図4】従来例に係る無駄なスペース6を説明するための、手摺2と背もたれ3付きの椅子4の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1から図3において、符号11は手摺用背もたれを示し、この手摺用背もたれ11は、手摺12に引っ掛ける係止部13と、係止部13が取り付けられる背もたれ部14と、背もたれ部14の裏面の下部に長手方向に沿って設けられる隙間調整部15とから構成される。
【0016】
手摺用背もたれ11は、壁面16の複数箇所に突設したブラケット17に支持される所要長さの手摺12に対して、取り外し自在に取り付ける。このように取り付けた手摺用背もたれ11は、図2に示すように、背もたれが無いタイプの椅子19を壁面16に沿って設置して使用する。
【0017】
係止部13は、略コ字状に形成された引っ掛け金具であり、長めの取付片13aと、取付片13aの上端から直角に延出する上部13bと、上部13bの先端部から垂設する短めの先端片13cとからなる。取付片13aと先端片13cとの間隔は、手摺12の幅に応じて形成される。
【0018】
このような形状の係止部13は、図3に示すように、背もたれ部14の裏面の上部近傍に適宜な間隔を開けて複数箇所、例えば3箇所にビス止め手段によって取り付けられる。
【0019】
係止部13を手摺12に引っ掛ける場合は、先端片13cと取付片13aとの間に手摺12を嵌め込む。
【0020】
背もたれ部14は、手摺12の長手方向に沿って長板状に形成され、木製又は合成樹脂製等の下地材の上面に合成皮革等の表面材を張設して形成される。表側には、表面材と下地材との間にクッション材を介在させる。
【0021】
なお、背もたれ部14の上部には、当該背もたれ部14の裏側を遮蔽するための目隠し部材18を設けてもよい(図1参照)。この場合は、手摺用背もたれ11の裏側の構造が隠れるので、意匠的な見映えがよい。
【0022】
あるいは、背もたれ部14の中央部に短手方向に沿って折り畳み自在なヒンジ部を形成してもよい(図示せず)。この場合は、背もたれ部14を取り外した時に折り畳んでコンパクトに収納できる。
【0023】
更には、背もたれ部14の内部に、ヒーター機構を内蔵させて電源に接続可能な構造にしてもよい(図示せず)。この場合は、暖房装置としての機能が備わることとなる。
【0024】
隙間調整部15は、硬質ゴム材、合成樹脂材又は木材等で角柱状に形成され、背もたれ部14の裏面の下部に長手方向に沿って設けられる。この隙間調整部15は、図3に示すように、長尺な形状のものであってもよく、あるいは、適宜長さの隙間調整部15を所定の間隔を開けて連続的に設けてもよい。また、隙間調整部15の幅は、手摺12とブラケット17の突出幅に応じて形成される。
【0025】
また、隙間調整部15は、壁面16に対して、低粘着性の粘着剤を用いて貼り剥がし自在に貼着されることが望ましい。この場合は、背もたれ部14のズレやガタ付きが生じない。
【0026】
以上のように構成される手摺用背もたれ11は、間取り変更等の事情で既設の手摺12に沿って椅子を設置する場合に、当該手摺12に手摺用背もたれ11を取り付けて、背もたれが無いタイプの椅子19を壁面16に沿って設置して使用する(図2参照)。
【0027】
この場合、従来例のように手摺12とブラケット17の突出幅が無駄なスペース6にならないので、手摺12やブラケット17を撤去せずに、活用できる床面積を最大限に拡げることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 壁面
2 手摺
3 背もたれ
4 椅子
5 ブラケット
6 スペース
11 手摺用背もたれ
12 手摺
13 係止部
13a 取付片
13b 上部
13c 先端片
14 背もたれ部
15 隙間調整部
16 壁面
17 ブラケット
18 目隠し部材
19 椅子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁面に突設したブラケットに支持される手摺に対して、取り外し自在に取り付ける手摺用背もたれであって、
該手摺用背もたれは、前記手摺に引っ掛ける係止部と、該係止部が取り付けられ前記手摺の長手方向に沿って長板状に形成される背もたれ部と、該背もたれ部の裏面の下部に長手方向に沿って設けられる隙間調整部とから構成されること
を特徴とする手摺用背もたれ。
【請求項2】
背もたれ部の上部には、当該背もたれ部の裏側を遮蔽するための目隠し部材が配設されること
を特徴とする請求項1に記載の手摺用背もたれ。
【請求項3】
隙間調整部は、壁面に貼着されること
を特徴とする請求項1に記載の手摺用背もたれ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate