説明

手書き入力装置、情報表示装置、手書き入力処理方法、制御プログラム、および記録媒体

【課題】利用者が手間を掛けずに手書き文字または図形の色を変更することができる手書き入力装置を実現する。
【解決手段】本発明に係るホワイトボードシステム1は、ディスプレイ2とタッチパネル3と情報処理装置4とを備える。情報処理装置4は、手書き入力された描画図形から、色を決定する単位となる一群の図形を単位図形として特定する文字検出部12と、上記単位図形の大きさを判定する文字サイズ判定部13と、上記単位図形の大きさに応じて上記単位図形の色を決定する文字色決定部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書き入力された文字等の色を変更(または指定)する手書き入力装置、および情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タッチパネルを備える大型ディスプレイを用いたホワイトボードシステムが利用されている。ホワイトボードシステムは、利用者が指またはタッチペン等によりタッチパネルに触れることにより、利用者による手書きの文字または記号等の図形(描画図形)の入力を受け付け、当該図形をその位置に表示するものである。このようなホワイトボードシステムは、プレゼンテーション、会議、または教育等において、利用者が複数の人に対して情報を提示して説明する場合に有用である。
【0003】
ホワイトボードシステムに対し、入力する文字等の色を変更する場合、例えば、利用者は文字の入力前にこれから入力する色「赤」を指定し、その後タッチパネルに描画し、ホワイトボードシステムが入力された文字を赤い色で表示するものが従来からある。また、入力した文字を指定し、当該文字の色の指定を文字入力の後に行うものもある。
【0004】
他に、入力された文字または記号等の図形の色を選択する技術として、以下の技術がある。
【0005】
特許文献1には、異なる色に対応した2個の筆記ユニットを有するスタイラスペンを用いて手書き文字を入力させ、入力された文字に、各筆記ユニットに応じた色を対応付ける手書き文字読取装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、手書きで入力された文字・図形の濃淡を、入力時の筆圧に応じて変化させる文字・図形入力装置が開示されている。この文字・図形入力装置は、圧電素子が1画素当たり1個の割合で格子状に配置されたタブレットを用いて、ペンにより手書き入力を行わせる。
【0007】
特許文献3には、文字の筆跡の入力速度に応じて、入力された手書き文字から認識された文字の文字属性(大きさ、色、太さ、書体)を決定する手書き文字入力装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭61−233881号公報(1986年10月18日公開)
【特許文献2】特開昭61−107419号公報(1986年5月26日公開)
【特許文献3】特開2001−266071号公報(2001年9月28日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、文字の入力前または入力後に文字の色を指定する上記構成では、色を変更する場合に色を指定する動作(例えば、タッチパネル上に表示された色選択パレットをタッチする動作)が必要であり、特にホワイトボードシステムが大画面の場合、色の変更に手間が掛かる。
【0010】
また、特許文献1に記載の技術でも同様に、指定したい色に応じて使用するスタイラスペンの筆記ユニットを変更するための動作(スタイラスペンの後端のスイッチを押す等の動作)が必要になる。また、色を指定して入力するために専用のペンが必要となり、指等で色を指定して入力することができなくなる。
【0011】
また、特許文献2に記載の技術を応用し、筆圧に応じて色を変化させるとしても、筆圧と色との関係が直感的ではないため、利用者が所望の色で文字を入力することが困難になり、使い勝手が悪い。また、筆圧を感知するための特別な機械構成が必要になり、装置が高価になる。
【0012】
また、特許文献3に記載の技術では、手書き文字の入力速度に応じて色等を変更するが、手書き文字の入力速度は人によって様々であり、所望の色になるように利用者が手書き文字の入力速度を調節するのは困難である。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者が手間を掛けずに手書き文字または図形の色を変更することができる手書き入力装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る手書き入力装置は、上記の課題を解決するために、手書き入力された描画図形から、色を決定する単位となる一群の図形を単位図形として特定する単位図形特定部と、上記単位図形の大きさを判定するサイズ判定部と、上記単位図形の大きさに応じて上記単位図形の色を決定する色決定部とを備えることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る手書き入力処理方法は、上記の課題を解決するために、手書き入力された描画図形から、色を決定する単位となる一群の図形を単位図形として特定する単位図形特定ステップと、上記単位図形の大きさを判定するサイズ判定ステップと、上記単位図形の大きさに応じて上記単位図形の色を決定する色決定ステップとを含むことを特徴としている。
【0016】
ここで、単位図形は、例えば1つの文字であっても、複数の文字からなる文字列であっても、その他の図形であってもよい。
【0017】
上記の構成によれば、手書き入力された描画図形から、文字または文字列等を示す単位図形を特定し、単位図形について、単位図形を構成する文字または文字列等の大きさに応じて自動的に色を決定することができる。そのため、利用者は色を選択するための煩わしい操作を行う必要がなく、利用者は手書きする文字等の図形の大きさを変えることにより、当該図形の色を変更(または指定)することができる。
【0018】
なお、サイズ判定部は、単位図形の高さ(縦方向の幅)、横方向の幅、または面積等によって単位図形の大きさを判定することができる。
【0019】
また、上記単位図形は、一群の図形からなるサブ単位図形を複数含み、上記単位図形特定部は、手書き入力された描画図形から、一群の図形をサブ単位図形として特定し、複数の上記サブ単位図形からなる図形を上記単位図形として特定し、上記サイズ判定部は、上記サブ単位図形の大きさを判定し、上記単位図形に含まれる上記サブ単位図形の大きさに基づき、上記単位図形の大きさを判定する構成であってもよい。
【0020】
ここで、例えば、サブ単位図形は文字を示し、単位図形は複数の文字からなる文字列を示す。
【0021】
上記の構成によれば、サイズ判定部は、単位図形に含まれるサブ単位図形の大きさに基づき、単位図形の大きさを判定し、色決定部は、判定した大きさに応じて単位図形の色を決定する。よって、単位図形が関連する文字からなる単語等の文字列を示す場合に、該文字列を同じ色にすることができる。そのため、文字列が促音文字等の小さい仮名文字(捨て仮名)またはアルファベットの小文字等を含む場合においても、その小さい文字だけを異なる色にしてしまうという不都合を回避することができる。
【0022】
また、上記サイズ判定部は、上記単位図形に含まれる上記サブ単位図形の内、最初に入力された上記サブ単位図形の大きさに基づき、上記単位図形の大きさを判定してもよい。
【0023】
上記の構成によれば、単位図形が関連する文字からなる単語等の文字列を示す場合に、先頭の文字の大きさに基づいて文字列の大きさを判定するので、文字列が促音文字等の小さい仮名文字を含む場合においても、その小さい文字だけを異なる色にしてしまうという不都合を回避することができる。
【0024】
また、上記サイズ判定部は、上記単位図形に含まれる上記サブ単位図形の内、最大の上記サブ単位図形の大きさに基づき、上記単位図形の大きさを判定してもよい。
【0025】
上記の構成によれば、単位図形が関連する文字からなる単語等の文字列を示す場合に、文字列に含まれる最も大きい文字の大きさに基づいて文字列の大きさを判定する。よって、例えば、文字列の先頭が小さい文字であっても、文字列が大きい文字を含む場合には、文字列を大きい文字に対応した色にすることができる。
【0026】
また、上記単位図形特定部は、第1の期間以上手書き入力がない状態が続いた場合に、手書き入力された描画図形を上記サブ単位図形として特定してもよい。
【0027】
利用者は、文字等を手書き入力する際、1つの文字または1つの単語を手書きする毎に、少し時間を置くことがある。
【0028】
上記の構成によれば、第1の期間以上手書き入力がない状態が続いた場合に、手書き入力中の文字等の入力を確定することができる。よって、文字等を示すサブ単位図形を適切に特定し、サブ単位図形の大きさを適切に判定することができる。そのため、サイズ判定部は、サブ単位図形を含む単位図形の大きさを適切に判定することができる。
【0029】
また、上記単位図形特定部は、第2の期間以上手書き入力がない状態が続いた場合に、以降に手書き入力される描画図形から特定されるサブ単位図形からなる図形を、新たな単位図形として特定してもよい。
【0030】
上記の構成によれば、第2の期間以上手書き入力がない状態が続いた場合に、手書き入力中の関連する文字からなる文字列等の入力を確定することができる。よって、文字列等を示す単位図形を適切に特定することができる。そのため、サイズ判定部は、単位図形の大きさを適切に判定することができる。
【0031】
また、上記単位図形特定部は、第1の単位図形に含まれる第1のサブ単位図形と、その直後に手書き入力された描画図形から特定された第2のサブ単位図形とが所定の距離以上離れている場合、第2のサブ単位図形を含む図形を第2の単位図形として特定してもよい。
【0032】
続けて手書き入力された2つのサブ単位図形がある程度離れている場合、それらのサブ単位図形が示す2つの文字は、異なる文字列に属するものであると考えられる。
【0033】
上記の構成によれば、手書き入力された文字が属する文字列を適切に特定することができる。すなわち、単位図形特定部は、文字列が含む文字を適切に特定することができるので、色決定部は、文字列の色を適切に決定することができる。
【0034】
また、横方向または縦方向を所定の方向としたとき、上記単位図形特定部は、第1のサブ単位図形の上記所定の方向における幅に応じて閾値を決定し、第1のサブ単位図形と第2のサブ単位図形との上記所定の方向における間隔が、上記閾値以上である場合、第2のサブ単位図形を含む図形を第2の単位図形として特定してもよい。
【0035】
一般に、大きい文字を手書き入力する場合、文字同士の間隔も大きくなる。
【0036】
上記の構成によれば、先に入力された文字等の幅に応じて、先に入力された文字と続けて入力された文字との間隔が大きいか否かを判定することができる。そのため、大きい文字が手書き入力されている場合は文字同士の間隔の閾値も大きく、小さい文字が手書き入力されている場合は文字同士の間隔の閾値も小さく設定することができる。
【0037】
また、本発明に係る手書き入力装置は、上記の課題を解決するために、手書き入力された描画図形の大きさに応じて上記描画図形の色を決定する色決定部を備えることを特徴としている。
【0038】
本発明に係る情報表示装置は、上記手書き入力装置と、利用者からの手書き入力を受け付ける手書き入力部と、上記単位図形を上記色決定部が決定した色で表示する表示部とを備えることを特徴としている。
【0039】
上記の構成によれば、利用者が手書き入力した描画図形を、手書き入力された文字または文字列等を示す図形の大きさに応じた色に変更し、表示部に表示させることができる。よって、情報表示装置は、例えば目立たせるために利用者が大きく板書した文字等を、自動的に異なる色に変更して表示することができる。
【0040】
なお、本発明の手書き入力装置をコンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記の各部として機能させる制御プログラム、該制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る手書き入力装置は、手書き入力された描画図形から、色を決定する単位となる一群の図形を単位図形として特定する単位図形特定部と、上記単位図形の大きさを判定するサイズ判定部と、上記単位図形の大きさに応じて上記単位図形の色を決定する色決定部とを備える。
【0042】
本発明に係る手書き入力処理方法は、手書き入力された描画図形から、色を決定する単位となる一群の図形を単位図形として特定する単位図形特定ステップと、上記単位図形の大きさを判定するサイズ判定ステップと、上記単位図形の大きさに応じて上記単位図形の色を決定する色決定ステップとを含む。
【0043】
そのため、利用者は色を選択するための煩わしい操作を行う必要がなく、利用者は手書きする文字等の図形の大きさを変えることにより、当該図形の色を変更(または指定)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の一形態のホワイトボードシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態の情報処理装置における処理の流れを示すフロー図である。
【図3】本発明の実施の一形態の情報処理装置における処理の流れを示すフロー図である。
【図4】本発明の実施の一形態のホワイトボードシステムにおける、文字色の決定処理の例を説明する図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の一形態のホワイトボードシステムの表示例を示す図であり、(b)は、他の変形例のホワイトボードシステムの表示例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態のホワイトボードシステムにおける、文字色の決定処理の例を説明する図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の情報処理装置における処理の流れを示すフロー図である。
【図8】本発明の他の実施の形態の情報処理装置における処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
[実施の形態1]
本実施の形態のホワイトボードシステムは、利用者によって手書き入力される文字の大きさに応じて、入力された文字の色を自動的に変更して表示するものである。本実施の形態について、図1〜図5を参照して説明する。
【0046】
図4は、本実施の形態のホワイトボードシステムにおける、文字色の決定処理の例を説明する図である。なお、図4において、参考のため、一辺の長さがaのグリッドを点線で示している。
【0047】
図4(a)は、利用者によって手書き入力された文字の高さyが、閾値aより大きい場合の文字色の決定の例を示す図である。入力された文字20「あ」は、その高さが閾値aより大きいので、文字色を赤色に変更される。
【0048】
図4(b)は、利用者によって手書き入力された文字の高さyが、閾値a以下である場合の文字色の決定の例を示す図である。入力された文字列21「あいう」は、各文字の高さが閾値a以下であるので、文字色を黒色に変更される。
【0049】
図4(c)は、小さい仮名文字(捨て仮名)の文字色の決定の例を示す図である。入力された文字列22「カップ」は、促音文字として小さい仮名文字24「ッ」を含む。小さい仮名文字24「ッ」は、文字の高さが閾値a以下である。一方、先頭の文字23「カ」は、文字の高さyが閾値aより大きい文字である。小さい仮名文字24「ッ」のように、文字の高さyが閾値a以下の文字であっても、文字列の先頭の文字23「カ」の高さが閾値aより大きければ、促音等であるとみなし、小さい仮名文字24「ッ」も文字列の先頭の文字23「カ」と同じ文字色に変更する。よって、文字列22「カップ」および「キャップ」は赤色に変更される。
【0050】
上述の処理を行うホワイトボードシステムについて、以下に説明する。
【0051】
<ホワイトボードシステムの構成>
図1は、本実施の形態のホワイトボードシステム1の構成を示すブロック図である。ホワイトボードシステム(情報表示装置)1は、入力された文字や図形等の情報を表示する大型のディスプレイ(表示部)2と、ディスプレイ2の前面に配置されたタッチパネル(手書き入力部)3と、タッチパネル3から入力されたデータを処理する情報処理装置(手書き入力装置)4とを備える。タッチパネル3は、利用者から指またはタッチペン等を用いた手書きによる入力を受け付ける。タッチパネル3を通して利用者から手書き入力された描画図形(文字または記号等の図形)は、描画図形の大きさに応じて色が変更(選択)され、ディスプレイ2に表示される。
【0052】
情報処理装置4は、取得部11、文字検出部(単位図形特定部)12、文字サイズ判定部(サイズ判定部)13、文字色決定部(色決定部)14、画像生成部15、および出力部16を備える。情報処理装置4の上記各ブロックの機能は、情報処理装置4が備える演算処理装置(図示せず)および記憶装置(メモリおよびハードディスク等:図示せず)によって実現される。
【0053】
取得部11は、所定の時間(例えば1/30秒)毎にタッチパネル3が受け付けた手書き入力のデータを取得する。取得したデータには、利用者によって描画された点の座標が含まれる。また、取得したデータは、描画された複数の点、または描画された線を示す座標を含んでもよい。描画された複数の点、または描画された線の集合は、利用者によって描画された図形を示す。取得部11は、描画された点または線の座標を、画像生成部15および文字検出部12に出力する。
【0054】
文字検出部12は、取得部11から入力された、利用者によって描画された点または線の座標に基づき、入力中の文字等の図形を示す入力中図形として、入力中図形の中に点または線の図形を追加する。入力中図形は、描画された点または線の座標をデータとして含む。文字検出部12は、現在入力中の手書き図形である入力中図形を記憶している。文字検出部12は、手書き入力された文字を示す入力中図形から、1文字分の文字図形を検出する。文字図形が検出された場合、文字検出部12は、検出した文字図形を記憶する、すなわち、検出した文字図形を示す一群の点または線の座標を記憶する。さらに、検出された文字図形については利用者による当該文字の描画が完了したとして、文字検出部12は、入力中図形の、検出した文字図形に当たる部分(検出した文字図形を示す点または線の座標データ)を入力中図形から消去する。文字検出部12は、検出した文字図形(すなわち、検出した文字図形を示す一群の点または線の座標)を文字サイズ判定部13に出力する。
【0055】
なお、検出した文字図形は、必ずしも文字でなくてもよく、記号等の図形でもよい。すなわち、文字検出部12は、一群の点または線等の図形を文字図形として検出する。
【0056】
文字サイズ判定部13は、検出された文字図形が示す文字の大きさを判定する。文字サイズ判定部13は、文字図形が示す文字の大きさの判定結果を文字色決定部14に出力する。
【0057】
文字色決定部14は、文字図形が示す文字の色を、文字図形が示す文字の大きさに応じて決定する。文字色決定部14は、文字図形と、決定した文字色とを画像生成部15に出力する。
【0058】
画像生成部15は、ディスプレイ2に表示する表示画像を生成する。画像生成部15は、現在の表示画像の状態、すなわち表示画像の各画素の画素値を記憶している。画像生成部15は、取得部11から入力された、利用者によって描画された点の座標に基づき、表示画像の中に点または線の画像を追加する。画像生成部15は、変更した表示画像を出力部16に出力する。また、文字色決定部14から文字図形とその文字色とが入力された場合、画像生成部15は、表示画像における、文字図形が示す文字に対応する画素の色(画素値)を、該文字色に変更し、変更した表示画像を出力部16に出力する。
【0059】
出力部16は、ディスプレイ2に表示画像を出力し、ディスプレイ2が表示画像を表示するよう制御する。
【0060】
<情報処理装置の処理の流れ>
図2および図3は、本実施の形態の情報処理装置4における処理の流れを示すフロー図である。
【0061】
取得部11は、所定の時間(例えば1/30秒)毎にタッチパネル3が受け付けた手書き入力のデータを取得し、利用者による手書き入力があった場合(S1でYes)、画像生成部15は、描画された点の座標に基づき、表示画像の中に黒色(基本色)の点の画像を追加する(S2)。なお、文字色確定前の画像は異なる色(例えばグレー)で表示するようにしてもよい。このとき、追加される点の画像は、あらかじめ設定または選択された線の太さに応じた大きさの点であってもよい。出力部16は、更新された表示画像をディスプレイ2に表示させる(S3)。文字検出部12は、描画された点の座標に基づき、入力中図形の中に点の図形を追加する(S4)。その後、S1の処理に戻る。なお、入力中図形は、現在利用者が入力中である文字等の図形のみを示す、すなわち、入力中図形は、現在利用者が入力中である文字等の図形を示す一群の点または線の座標によって表される。なお、入力中図形は、表示画像と同じ画素数の、入力中の文字または図形の画素を示す二値の画像データで表されてもよい。
【0062】
利用者による手書き入力がない場合(S1でNo)、文字検出部12は、手書き入力がない状態が所定の第1の期間(例えば5秒間)以上続いたか否かを判定する(S5)。
【0063】
手書き入力がない状態が5秒間以上続いている場合(S5でYes)、次に入力される手書き文字は、入力済の文字列とは関係のない(入力済の文字列とは異なる文字列に属する)文字であると考えられる。すなわち、長い期間(5秒間)手書き入力がされていなかった場合、次に入力される文字は、利用者が入力する単語等の文字列の1番目の文字であると判断できる。そのため、文字検出部12は、文字図形が示す文字が、文字列の何文字目かを示す変数nを初期化(n=0)する(S6)。ここで、文字列は、続けて入力される一群の文字(または図形)の集合を示す。その後、S1の処理に戻る。
【0064】
手書き入力がない状態が5秒間以上続いていない場合(S5でNo)、文字検出部12は、現在の入力中図形に何か(点等)が描かれているか否かを判定する(S7)。
【0065】
入力中図形が空白である場合(S7でNo)、すなわち、入力中図形に何も描かれていない場合、S1の処理に戻る。
【0066】
入力中図形に何かが描かれている場合(S7でYes)、文字検出部12は、手書き入力がない状態が第1の期間より短い所定の第2の期間(例えば1秒間)以上続いているか否かを判定する(S8)。
【0067】
手書き入力がない状態が1秒間以上続いていない場合(S8でNo)、S1の処理に戻る。
【0068】
手書き入力がない状態が1秒間以上続いている場合(S8でYes)、文字検出部12は、1文字の入力が完了したと判断し、現在の入力中図形を1文字分の文字図形として決定する(S9)。すなわち、手書き入力がないまま1秒間が経過すると、文字検出部12は、入力中図形が示す点または線の集まりを1文字分の文字図形として検出する。文字図形は、必ずしも文字を示すわけではなく、図形等を示すものであってもよいが、便宜的に文字を示すとして説明する。本実施の形態では、文字図形は、文字等の図形の色を決定する際の単位となる図形(単位図形)である。また、文字図形は、表示画像における文字(点)の座標の情報を有する。文字図形は、検出した文字(一群の図形)の画素を示す図形である。なお、文字図形は、表示画像と同じ画素数の二値の画像データで表されてもよい。
【0069】
文字検出部12は、文字図形を検出すると、当該文字図形を記憶し、入力中図形を初期化(点および線を消去)する(S10)。また、文字検出部12は、変数nの値に1を加算(n=n+1)する(S11)。変数nの値は、検出した文字が文字列におけるn番目の文字であることを示す。なお、最初の時点では、変数nは初期化(n=0)されている。
【0070】
文字サイズ判定部13は、文字の大きさの指標として文字図形が示す文字の高さ(上下の幅)yを求める(S12)。文字の高さは、文字の最下点の座標と最上点の座標との高さ成分の差から求めてもよい。
【0071】
文字色決定部14は、文字図形が示す文字の高さyと所定の高さaとを比較する(S13)。aは、文字の色を決定する基準となる閾値である。
【0072】
文字図形が示す文字の高さyが所定の高さaより大きい場合(S13でYes)、文字色決定部14は、文字図形が示す文字の色を赤色に決定する(S14)。なお、文字色決定部14は、nが1の場合、文字列の1つめの文字の文字色を記憶する。
【0073】
文字図形が示す文字の高さyが所定の高さa以下であり(S13でNo)、かつ、文字図形が示す文字が、文字列の1文字目である場合(S15でNo)、文字色決定部14は、文字図形が示す文字の色を黒色に決定する(S16)。また、文字色決定部14は、文字列の1つめの文字の文字色を記憶する。
【0074】
文字図形が示す文字の高さyが所定の高さa以下であり(S13でNo)、かつ、文字図形が示す文字が、文字列の1文字目ではない場合(S15でYes)、文字色決定部14は、文字列の1文字目の文字の文字色と同じ文字色を、現在の文字図形が示す文字の色として決定する(S17)。すなわち、文字列の1文字目(先頭)の文字の文字色が赤色であれば、それに続く文字が小さかった(y≦a)としても、文字色を赤色とする。これにより、促音文字「っ」または拗音表記のための小さい仮名文字(捨て仮名)「ゃ」等の文字色を、文字列の先頭の文字に基づいて判定することができる。そのため、「カップ」「キャップ」「Cup」等の小さい仮名文字または小文字を含む単語について、小さい仮名文字または小文字だけを異なる色に変更してしまうという不都合を回避することができる。
【0075】
S14、S16、またはS17の後、画像生成部15は、表示画像における、文字図形が示す文字に対応する画素の色を、決定された文字色に変更する(S18)。その後、S1の処理に戻る。
【0076】
本実施の形態によれば、利用者によって手書き入力された文字について、基準以下の大きさの文字は黒色で、基準より大きい文字は赤色で表示することができる。ホワイトボードシステムを利用して会議または教育等で出席者に説明する場合、利用者(発表者)は、出席者に印象づけたい重要な事項については、大きく板書することが多い。ホワイトボードシステム1は、大きく書かれた文字を自動的に赤色で表示するので、利用者は、煩わしい操作を行って文字色を指定する必要がなく、大きく書くだけで出席者に印象づけたい重要な事項を自動的に赤色で目立たせて表示させることができる。
【0077】
また、本実施の形態のホワイトボードシステム1では、文字色決定部14が、所定の時間(例えば5秒間)以上間をおかずに続けて描画される複数の文字を、同じ文字列に属する文字であると判定する。そして、所定の時間(5秒間)以上手書き入力がない場合に、文字色決定部14は、文字列の入力が完了したものとして文字列を確定し、その後に入力された文字を別の文字列として認識する。そのため、ホワイトボードシステム1は、一群の文字(文字列)を適切に認識し、一群の文字を同じ文字色にして表示することができる。
【0078】
図5(a)は、ホワイトボードシステム1の表示例を示す図である。タッチパネル3上には点線でグリッドが表示されている。このグリッドの一辺の長さは、色を変更する基準の長さaと同じである。グリッド1マスより大きい(高さが高い)文字は赤色で表示され、グリッド1マスに収まる文字は黒色で表示される。このように、ホワイトボードシステム1では、タッチパネル3上にグリッドが設けられているので、利用者は、どの程度の大きさの文字が色を変えて表示されるのかを、確認しながら描画することができる。
【0079】
図5(b)は、他の変形例のホワイトボードシステムの表示例を示す図である。このホワイトボードシステムでは、文字の高さに応じて3段階に色を変えて文字を表示する。すなわち、文字の高さがグリッドの高さa以下であれば黒色に、文字の高さがグリッドの高さaより高く2a以下であれば青色に、文字の高さがグリッドの高さ2aより高ければ赤色に、文字色を変えて表示する。このように、文字の大きさを判定する閾値を複数設定しておき、文字の大きさに応じて3段階以上に色を変えて表示してもよい。
【0080】
[実施の形態2]
本発明の他の実施の形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1にて説明した図面と同じ機能を有する部材・構成については、同じ符号を付記し、その詳細な説明を省略する。本実施の形態について、図1、図6〜図8を参照して説明する。
【0081】
図6は、本実施の形態のホワイトボードシステムにおける、文字色の決定処理の例を説明する図である。なお、図6において、参考のため、一辺の長さがaのグリッドを点線で示している。入力された文字列30「よっしゃ」は、一群の文字として認識され、文字の高さが閾値aより大きい文字を含むので、文字色を赤色に変更される。文字列30に続いて入力された文字31「あ」は、文字列30との距離が閾値bより大きいので、別の文字列に属する文字として認識され、文字の高さが閾値a以下であるので、黒色に変換される。
【0082】
上述の処理を行うホワイトボードシステムについて、以下に説明する。
【0083】
<ホワイトボードシステムの構成>
本実施の形態のホワイトボードシステム1は、図1に示すものと同じ構成である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0084】
なお、本実施の形態では、文字検出部12は手書き入力中の文字列を示す文字列図形を文字サイズ判定部13に出力し、文字サイズ判定部13は、文字列図形を文字色決定部14に出力する。
【0085】
<情報処理装置の処理の流れ>
図7および図8は、本実施の形態の情報処理装置4における処理の流れを示すフロー図である。
【0086】
取得部11は、所定の時間(例えば1/30秒)毎にタッチパネル3が受け付けた手書き入力のデータを取得し、利用者による手書き入力があった場合(S31でYes)、画像生成部15は、描画された点の座標に基づき、表示画像の中に黒色(基本色)の点の画像を追加する(S32)。出力部16は、更新された表示画像をディスプレイ2に表示させる(S33)。
【0087】
文字検出部12は、現在の入力中図形が示す文字と、描画された点との距離x1を求める。例えば、文字検出部12は、現在の入力中図形の中の最も右端の図形の点と、手書き入力された点との横方向の距離を距離x1とする。なお、現在の入力中図形の最後に入力された点と、手書き入力された点との距離を距離x1としてもよいし、現在の入力中図形に示される文字を囲む矩形の中心と、手書き入力された点との距離を距離x1としてもよい。
【0088】
距離x1が、閾値cより小さい場合(S34でNo)、文字検出部12は、描画された点の座標に基づき、入力中図形の中に点の図形を追加する(S35)。その後、S31の処理に戻る。
【0089】
距離x1が、閾値c以上である場合(S34でYes)、現在の入力中図形が示す文字の入力は完了したとする。すなわち、文字検出部12は、現在の入力中図形を1文字分の文字図形として決定する(S36)。ここで、閾値cは、所定の値であってもよく、現在の入力中図形に示される文字を囲む矩形の幅(すなわち直前の文字の横方向における幅)を基準に設定されてもよい。例えば、閾値cは、直前の文字の幅の半分の長さであってもよいし、同じ長さであってもよい。文字検出部12は、直前の文字の幅に所定の数を掛けて閾値cを求めることができる。また、文字検出部12は、あらかじめ用意した複数の値から、直前の文字の幅に応じて値を選ぶことにより閾値cを決定してもよい。つまり、前に手書き入力されている文字と、次に手書き入力された点との距離が大きく離れている場合、前に手書き入力されている文字の入力は完了したとして扱い、現在の入力中図形が示す点または線の集まりを1文字分の文字図形として検出する。そして、文字検出部12は、文字図形を検出すると、当該文字図形を記憶し、入力中図形を初期化(点および線を消去)し(S37)、描画された点の座標に基づき、入力中図形の中に点の図形を追加する(S38)。
【0090】
利用者による手書き入力がない場合(S31でNo)、文字検出部12は、手書き入力がない状態が所定の第1の期間(例えば5秒間)以上続いたか否かを判定する(S39)。
【0091】
手書き入力がない状態が5秒間以上続いている場合(S39でYes)、次に入力される手書き文字は、入力済の文字列とは関係のない(入力済の文字列とは異なる文字列に属する)文字であると考えられる。すなわち、長い期間(5秒間)手書き入力がされていなかった場合、次に入力される文字は、利用者が入力する単語等の文字列の1番目の文字であると判断できる。そのため、文字検出部12は、文字図形が示す文字が、文字列の何文字目かを示す変数nを初期化(n=0)し、文字列図形を初期化(点および線を消去)する(S40)。その後、S31の処理に戻る。
【0092】
手書き入力がない状態が5秒間以上続いていない場合(S39でNo)、文字検出部12は、現在の入力中図形に何か(点等)が描かれているか否かを判定する(S41)。
【0093】
入力中図形が空白である場合(S41でNo)、すなわち、入力中図形に何も描かれていない場合、S31の処理に戻る。
【0094】
入力中図形に何かが描かれている場合(S41でYes)、文字検出部12は、手書き入力がない状態が第1の期間より短い所定の第2の期間(例えば1秒間)以上続いているか否かを判定する(S42)。
【0095】
手書き入力がない状態が1秒間以上続いていない場合(S42でNo)、S31の処理に戻る。
【0096】
手書き入力がない状態が1秒間以上続いている場合(S42でYes)、文字検出部12は、1文字の入力が完了したと判断し、現在の入力中図形を1文字分の文字図形として決定する(S43)。すなわち、手書き入力がないまま1秒間が経過すると、文字検出部12は、入力中図形が示す点または線の集まりを1文字分の文字図形として検出する。文字検出部12は、文字図形を検出すると、当該文字図形を記憶し、入力中図形を初期化(点および線を消去)する(S44)。
【0097】
S38またはS44の後、文字検出部12は、現在の文字図形が示す文字(S36またはS43で文字検出部12が検出した文字)と、その直前に検出された文字との間の距離x2を求める。例えば、文字検出部12は、直前に検出された文字の情報(点の座標等)を記憶しておき、直前に検出された文字を囲む矩形と、現在の文字図形が示す文字を囲む矩形との間の横方向の距離を距離x2とする。なお、直前に検出された文字を囲む矩形の中心と、現在の文字図形が示す文字を囲む矩形の中心との間の距離を距離x2としてもよく、距離x2が、直前に検出された文字(または文字列)と、現在の文字図形が示す文字との距離を示すものであればよい。
【0098】
距離x2が閾値b以上である場合(S45でYes)、現在の文字図形が示す文字は、利用者が入力する単語等の文字列の1番目の文字であると判断できる。すなわち、直前に検出された文字とは別の文字列に属すると判断できる。ここで、閾値bは、所定の値であってもよく、現在の入力中図形に示される文字を囲む矩形の幅(すなわち直前の文字の横方向における幅)を基準に設定されてもよい。例えば、閾値bは、直前の文字の幅の半分の長さであってもよいし、倍の長さであってもよい。文字検出部12は、直前の文字の幅に所定の数を掛けて閾値bを求めることができる。また、文字検出部12は、あらかじめ用意した複数の値から、直前の文字の幅に応じて値を選ぶことにより閾値bを決定してもよい。ここでは、閾値b>閾値cとする。つまり、前に手書き入力されている文字と、次に手書き入力された点との距離が大きく離れている場合、前に手書き入力されている文字の入力は完了したとして扱い、現在の入力中図形が示す点または線の集まりを1文字分の文字図形として検出する。そのため、文字検出部12は、文字図形が示す文字は新しい文字列に属するものとして判定し、現在の文字図形を、一群の文字の図形(複数の文字または記号等の図形)を示す文字列図形として記憶し、変数nの値を1にする(n=1)(S46)。
【0099】
距離x2が閾値bより小さい場合(S45でNo)、現在の文字図形が示す文字は、現在入力中の文字列に属すると考えられる。そのため、文字検出部12は、文字図形が示す文字は現在入力中の文字列に属するものとして判定し、現在の文字図形の情報(文字または記号等の図形)を、文字列の図形を示す文字列図形に追加し、変数nの値に1を加算(n=n+1)する(S47)。変数nの値は、検出した文字が文字列におけるn番目の文字であることを示す。なお、最初の時点では、変数nは初期化(n=0)されている。本実施の形態では、文字列図形を、図形の色を決定する際の単位となる図形(単位図形)とする。
【0100】
なお、直前に検出された文字が存在しない場合、例えば、ホワイトボードシステムを起動させて最初に入力された文字については、文字列の1番目の文字であると判断できるので、文字検出部12は、距離x2を求めずに、現在の文字図形を、文字列図形として記憶し、変数nの値を1にする(n=1)。
【0101】
S46またはS47の後、文字サイズ判定部13は、文字の大きさの指標として文字図形が示す文字の高さyを求める(S48)。例えば、文字サイズ判定部13は、文字を囲む(外接する)矩形を特定し、矩形の上下の幅を文字の高さとして求める。
【0102】
文字図形が示す文字が、文字列の1文字目である場合(S49でNo)、すなわち、n<2の場合、文字色決定部14は、文字図形が示す文字の高さyと所定の高さaとを比較する(S50)。aは、文字の色を決定する基準となる閾値である。
【0103】
文字図形が示す文字の高さyが所定の高さaより大きい場合(S50でYes)、文字色決定部14は、文字図形が示す文字が属する文字列の色を赤色に決定する(S51)。なお、文字色決定部14は、文字列の文字色を赤色として記憶する。
【0104】
文字図形が示す文字の高さyが所定の高さa以下である場合(S50でNo)、文字色決定部14は、文字図形が示す文字が属する文字列の色を黒色に決定する(S52)。なお、文字色決定部14は、文字列の文字色を黒色として記憶する。
【0105】
文字図形が示す文字が、文字列の1文字目ではない場合(S49でYes)、すなわち、n≧2の場合、文字色決定部14は、現在の文字図形が示す文字が属する文字列の文字色を参照する。
【0106】
現在の文字図形が示す文字が属する文字列の文字色が赤色である場合(すなわち、入力中の文字列に属するいずれかの文字の高さyが所定の高さaより大きい場合)(S53でYes)、文字色決定部14は、文字図形が示す文字が属する文字列の色を赤色に決定する(S54)。
【0107】
現在の文字図形が示す文字が属する文字列の文字色が黒色である場合(S53でNo)、現在の文字図形が示す文字の高さyと所定の高さaとを比較する(S55)。
【0108】
文字図形が示す文字の高さyが所定の高さaより大きい場合(S55でYes)、文字色決定部14は、文字図形が示す文字が属する文字列の色を赤色に変更する(S56)。すなわち、文字列に属する、現在の文字図形より前に入力された文字についても、文字色を赤色に変更する。例えば、手書き入力された文字列「一日」において、先頭の文字「一」の高さが所定の高さa以下であり、2文字目の文字「日」の高さが所定の高さaより大きい場合、先頭の文字「一」が入力された時点では、文字「一」の文字色は黒色と判断される。しかしながら、2文字目の「日」が入力されると、先頭の文字「一」は大きい文字列(赤色で表示すべき文字列)の一部であると判断され、文字「一」と文字「日」の文字色は同じ赤色に変更される。これにより、先頭の文字が小さい場合でも、一群の文字の文字色を統一して表示させることができる。
【0109】
文字図形が示す文字の高さyが所定の高さa以下である場合(すなわち、入力中の文字列に属するいずれの文字の高さyも、所定の高さa以下である場合)(S55でNo)、文字色決定部14は、文字図形が示す文字が属する文字列の色を黒色に決定する(S57)。
【0110】
S51、S52、S54、S56、またはS57の後、画像生成部15は、表示画像における、文字列図形が示す文字列に対応する画素の色を、決定された文字色に変更する(S58)。その後S31の処理に戻る。
【0111】
なお、文字サイズ判定部13は、各文字の大きさを判定し、文字列に含まれる複数の文字の最大の大きさ(高さ)を、文字列(色を決定する単位となる一群の図形)の大きさ(高さ)として判定してもよい。そして、文字色決定部14は、判定された文字列の大きさに応じて文字列の文字色を決定してもよい。すなわち、文字サイズ判定部13は、色を決定する単位である文字列(単位図形)の大きさを、文字列を構成する図形である文字(サブ単位図形)の大きさに基づいて決定してもよい。
【0112】
本実施の形態によれば、手書き入力がない期間の長さ、または、検出された文字同士の間隔に基づいて、手書き入力された文字が属する文字列を認識し、文字列に含まれる文字の大きさに応じて、当該文字列の文字色を変更して表示することができる。例えば、文字列に含まれるいずれかの文字が大きければ、文字列を大きい文字に合わせた文字色で表示する。そのため、文字列の先頭の文字が小さい場合においても、適切に文字列の色を変更することができる。
【0113】
なお、高さ(グリッドの高さ)a、閾値b、および閾値c等は、あらかじめ利用者が設定することができる。
【0114】
[他の変形例]
上記の例では、横書きの手書き文字が入力された場合について説明したが、場合によっては、利用者は文字を縦書きに入力することもある。そこで、手書き入力の入力モードとして「横書き」/「縦書き」をあらかじめ選択できるように情報処理装置を構成してもよい。縦書き入力モードでは、文字サイズ判定部は、文字の横方向の幅によって文字の大きさを判定してもよい。また、縦書き入力モードでは、文字色決定部は、文字と文字との縦方向の距離(間隔等)に応じて、文字が属する文字列を判定してもよい。
【0115】
また、文字検出部は、手書き入力があった時点で、文字列図形の中の最も右端の図形の点と手書き入力された点との横方向の距離x3を求め、距離x3が所定の距離以上離れている場合、手書き入力された点とそれ以降に手書き入力される描画図形とを、新たな文字列として認識してもよい。
【0116】
また、上記の例では、手書き入力がない期間、または、文字の間隔等によって文字列を特定したが、小さい文字(高さa以下の文字)からなる文字列に続いて、大きい文字(高さaより大きい文字)が入力された場合に、文字検出部は、大きい文字を前の文字列とは別の文字列に属する文字であるとして特定してもよい。すなわち、文字検出部は、その大きい文字を新しい文字列の1番目の文字として扱う。例えば、文字色決定部は、小さい文字からなる前の文字列は黒色に、大きい文字を含む後の文字列を赤色に変換する。
【0117】
また、文字サイズ判定部は、検出された文字に外接する矩形または円等の図形の面積によって文字の大きさ(文字のサイズのレベル)を判定してもよい。また、文字サイズ判定部は、文字の縦方向の高さおよび横方向の幅のいずれか大きい方によって文字の大きさを判定してもよい。
【0118】
また、上記の例では、文字色決定部は、文字列の文字色を、文字列に含まれる文字の大きさの最大値に応じて決定したが、文字色決定部は、文字列の文字色を、文字列に含まれる文字の大きさの平均値、中央値、または重みづけ平均値等に応じて決定してもよい。また、文字色決定部は、文字列の文字色を、文字列に含まれる一部の文字の大きさに応じて決定してもよい。
【0119】
また、文字検出部は、従来からある文字認識技術によって手書き文字を検出してもよい。さらに、文字図形中の文字認識した手書き文字を、所定のフォントの文字の図形に置き換えてもよい。この場合、手書き文字の大きさに合わせて、置き換える文字のサイズを変更する。
【0120】
また、本発明の情報処理装置は、ホワイトボードシステムだけでなく、手書き文字入力装置として用いることができる。例えば、情報処理装置の出力部は、手書き入力されて文字色を決定した画像(表示画像)を、外部の記憶装置に出力して保存してもよく、他のコンピュータに出力してもよい。
【0121】
または、本発明の情報処理装置は、手書き文字を文字認識し、手書き文字を文字コードに置き換え、各文字に文字色を示す色属性を対応付けたデータを生成してもよい。そして、生成したデータを、外部の記憶装置またはコンピュータ等に出力してもよい。
【0122】
最後に、情報処理装置4の各ブロック、特に取得部11、文字検出部12、文字サイズ判定部13、文字色決定部14、画像生成部15、および出力部16は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPU(central processing unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0123】
すなわち、情報処理装置4は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである情報処理装置4の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記情報処理装置4に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU(microprocessor unit))が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0124】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM(compact disc read-only memory)/MO(magneto-optical)/MD(Mini Disc)/DVD(digital versatile disk)/CD−R(CD Recordable)等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM(erasable programmable read-only memory)/EEPROM(electrically erasable and programmable read-only memory)/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0125】
また、情報処理装置4を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(local area network)、ISDN(integrated services digital network)、VAN(value-added network)、CATV(community antenna television)通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE(institute of electrical and electronic engineers)1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(asynchronous digital subscriber loop)回線等の有線でも、IrDA(infrared data association)やリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(high data rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。
【0126】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、手書き入力を行うことができるホワイトボードシステム、および、手書き入力装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 ホワイトボードシステム(情報表示装置)
2 ディスプレイ(表示部)
3 タッチパネル(手書き入力部)
4 情報処理装置(手書き入力装置)
11 取得部
12 文字検出部(単位図形特定部)
13 文字サイズ判定部(サイズ判定部)
14 文字色決定部(色決定部)
15 画像生成部
16 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手書き入力された描画図形から、色を決定する単位となる一群の図形を単位図形として特定する単位図形特定部と、
上記単位図形の大きさを判定するサイズ判定部と、
上記単位図形の大きさに応じて上記単位図形の色を決定する色決定部とを備えることを特徴とする手書き入力装置。
【請求項2】
上記単位図形は、一群の図形からなるサブ単位図形を複数含み、
上記単位図形特定部は、手書き入力された描画図形から、一群の図形をサブ単位図形として特定し、複数の上記サブ単位図形からなる図形を上記単位図形として特定し、
上記サイズ判定部は、上記サブ単位図形の大きさを判定し、上記単位図形に含まれる上記サブ単位図形の大きさに基づき、上記単位図形の大きさを判定することを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項3】
上記サイズ判定部は、上記単位図形に含まれる上記サブ単位図形の内、最初に入力された上記サブ単位図形の大きさに基づき、上記単位図形の大きさを判定することを特徴とする請求項2に記載の手書き入力装置。
【請求項4】
上記サイズ判定部は、上記単位図形に含まれる上記サブ単位図形の内、最大の上記サブ単位図形の大きさに基づき、上記単位図形の大きさを判定することを特徴とする請求項2に記載の手書き入力装置。
【請求項5】
上記単位図形特定部は、第1の期間以上手書き入力がない状態が続いた場合に、手書き入力された描画図形を上記サブ単位図形として特定することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の手書き入力装置。
【請求項6】
上記単位図形特定部は、第2の期間以上手書き入力がない状態が続いた場合に、以降に手書き入力される描画図形から特定されるサブ単位図形からなる図形を、新たな単位図形として特定することを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の手書き入力装置。
【請求項7】
上記単位図形特定部は、第1の期間以上手書き入力がない状態が続いた場合に、手書き入力された描画図形を上記単位図形として特定することを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項8】
上記単位図形特定部は、第1の単位図形に含まれる第1のサブ単位図形と、その直後に手書き入力された描画図形から特定された第2のサブ単位図形とが所定の距離以上離れている場合、第2のサブ単位図形を含む図形を第2の単位図形として特定することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載の手書き入力装置。
【請求項9】
横方向または縦方向を所定の方向とし、
上記単位図形特定部は、第1のサブ単位図形の上記所定の方向における幅に応じて閾値を決定し、第1のサブ単位図形と第2のサブ単位図形との上記所定の方向における間隔が、上記閾値以上である場合、第2のサブ単位図形を含む図形を第2の単位図形として特定することを特徴とする請求項8に記載の手書き入力装置。
【請求項10】
手書き入力された描画図形の大きさに応じて上記描画図形の色を決定する色決定部を備えることを特徴とする手書き入力装置。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の手書き入力装置を備えた情報表示装置であって、
利用者からの手書き入力を受け付ける手書き入力部と、
上記単位図形を、上記色決定部が決定した色で表示する表示部とを備えることを特徴とする情報表示装置。
【請求項12】
手書き入力された描画図形から、色を決定する単位となる一群の図形を単位図形として特定する単位図形特定ステップと、
上記単位図形の大きさを判定するサイズ判定ステップと、
上記単位図形の大きさに応じて上記単位図形の色を決定する色決定ステップとを含むことを特徴とする手書き入力処理方法。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の手書き入力装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、コンピュータを上記の各部として機能させるための制御プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−253221(P2011−253221A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124630(P2010−124630)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】