説明

手書き入力装置およびプログラム

【課題】メインタッチパネルとサブタッチパネルを搭載した電子辞書装置において、手書きにより検索語を入力して辞書検索する作業を、より円滑且つ面倒無く行うこと。
【解決手段】手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1,N2に手書き文字を入力している途中に、当該手書き文字の画数が多く同入力エリアN1(又はN2)内に上手く手書きできない等の理由により[拡大]キーKdを入力すると、前記手書き入力エリアN1(N2)に表示されている入力途中の手書きデータが、メイン表示部(メインタッチパネル)16に表示させた拡大手書き入力エリアNに移動されて拡大表示される。そして前記拡大手書き入力エリアNに移動表示された入力途中の手書きデータに続けて所望の手書き文字を入力し[認識]キーKnを入力すると、手書き認識された文字が検索語入力エリアAに表示され、[訳/決定]キーを入力すると、検索語と先頭一致する見出し語が検索されて一覧表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手書きの文字を入力するためのタッチパネル等を備えた手書き入力装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルを搭載した電子辞書装置は、メインの液晶画面に一体化したタッチパネルの他に、筐体のキーボード側のサブ液晶画面に一体化したサブタッチパネルを配置したものが一般的である。
【0003】
このような電子辞書装置において、辞書検索したい文字(検索語)として、読みの分からない漢字などがある場合には、サブ側に表示させた書き込み枠に手書きで文字を書き込み、これを手書き認識させて検索語を入力することができる。手書き認識された検索語はメインの液晶画面に表示され、同メインの液晶画面には検索語と先頭一致する見出し語も検索されて一覧表示される。
【0004】
また、サブ側に表示させた書き込み枠では手書きし辛い複雑な漢字などの場合、メイン側のタッチパネルに表示させた大きな書き込み枠に手書きで文字を書き込み、これを手書き認識させて検索語を入力することもできる。
【0005】
メインのタッチパネルとサブタッチパネルを有する電子辞書装置の手書き文字入力装置において、手書き認識された文字列が検索語として入力されメイン側に表示された状態で、訂正を指示すると、前記入力された文字列がサブタッチパネルに表示される。そして、このサブタッチパネルにおいて訂正したい文字を指定すると、当該指定の文字が手書き認識された際の候補文字が一覧表示され、この候補文字のうち正しい文字を選択すると、前記訂正したい文字が選択された文字と入れ替えられて表示されるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−158880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記従来のタッチパネルを搭載した電子辞書装置において、サブタッチパネルの書き込み枠に手書き文字を書き込んでいる途中で、書き込み辛いなどの理由によりメインタッチパネルの大きな書き込み枠を使用したくなった場合、一旦サブ側での入力処理を止めてからメイン側を手書き文字の書き込み用画面に切り替える必要があり、途中まで書き込んだ手書き文字は最初からの書き直しとなってしまう。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みなされたもので、メインタッチパネルとサブタッチパネルを搭載した電子辞書装置において、手書きにより検索語を入力して辞書検索する作業を、より円滑且つ面倒無く行うことが可能になる手書き入力装置およびその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の手書き入力装置は、メインタッチパネルとサブタッチパネルを有する手書き入力装置において、前記サブタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該サブタッチパネルに表示させるサブ側手書き入力受け付け手段と、このサブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示された手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するサブ側手書き認識手段と、ユーザ操作に応じて前記手書きデータの移動を指示する指示手段と、この指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示されている手書きデータを、前記メインタッチパネルに移動して表示させる手書きデータ移動表示手段と、前記メインタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該メインタッチパネルに表示させるメイン側手書き入力受け付け手段と、このメイン側手書き入力受け付け手段により前記メインタッチパネルに表示されている手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するメイン側手書き認識手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、メインタッチパネルとサブタッチパネルを搭載した電子辞書装置において、手書きにより検索語を入力して辞書検索する作業を、より円滑且つ面倒無く行うことが可能になる手書き入力装置およびその制御プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の手書き入力装置の実施形態に係る電子辞書装置10の外観構成を示す正面図。
【図2】前記電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図。
【図3】前記電子辞書装置10による手書き認識・辞書検索処理を示すフローチャート。
【図4】前記電子辞書装置10の手書き認識・辞書検索処理に伴う手書きデータ移動・表示処理を示すフローチャート。
【図5】前記電子辞書装置10の手書きデータ移動・表示処理に伴う表示動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の手書き入力装置の実施形態に係る電子辞書装置10の外観構成を示す正面図である。
【0014】
この電子辞書装置10は、以下に説明する電子辞書専用の携帯機器として構成されるか、辞書機能を備えたPDA(personal digital assistants)、PC(personal computer)、携帯電話、電子ブック、携帯ゲーム機等として構成される。
【0015】
この電子辞書装置10は、その本体ケース11と蓋体ケース12とがヒンジ部13を介して展開/閉塞可能な折り畳み型ケースを備えて構成される。この折り畳み型ケースを展開した本体ケース11の表面には、文字入力キー14a、辞書指定キー14b、[訳/決定]キー14c、[戻る]キー14d、カーソルキー14e、ページ送りキー14fなどを備えたキー入力部(キーボード)14、および手書き入力部(サブタッチパネル)15が備えられる。
【0016】
この手書き入力部(サブタッチパネル)15は、ユーザがペンや指等でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、キー入力部14の中央手前側において例えば256×64ドットのバックライト付きカラー液晶表示画面15dに透明タッチパネル15tを重ねて構成される。この手書き入力部15の入力領域は、必要に応じて、手書き文字を入力するための手書き文字入力領域や各種機能のキー入力領域、あるいは当該各入力領域が混在する領域に切り替えられる。
【0017】
そして、前記手書き入力部15が手書き文字入力領域に切り替えられた状態での手書き入力に伴う軌跡はそのバックライト付きカラー液晶表示画面15dにエコーバックして表示される。
【0018】
また蓋体ケース12の表面には、そのほぼ全面を対象に例えば480×320ドットのバックライト付きのメイン表示部(メインタッチパネル)16が設けられる。このメイン表示部(メインタッチパネル)16も、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15と同様に、ユーザがペンや指等でタッチした位置を検出するタッチ位置検出装置と表示装置が一体となった構造であり、そのバックライト付きカラー液晶表示画面16dに透明タッチパネル16tを重ねて構成される。
【0019】
図2は、前記電子辞書装置10の電子回路の構成を示すブロック図である。
【0020】
この電子辞書装置10は、各種の記憶媒体に記録されたプログラムを読み込んで、その読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータによって構成され、その電子回路には、CPU(central processing unit)21が備えられる。
【0021】
CPU21は、記憶装置22内に予め記憶された装置制御プログラム22a、あるいはROMカードなどの外部記憶媒体23から記憶媒体読み書き部24を介して前記記憶装置22に読み込まれた装置制御プログラム22a、あるいはインターネットN上のWebサーバ(この場合はプログラムサーバ)30から外部インターフェイス25を介して前記記憶装置22に読み込まれた装置制御プログラム22aに応じて、RAM26を作業用メモリとして回路各部の動作を制御する。
【0022】
前記記憶装置22に記憶された装置制御プログラム22aは、キー入力部14、手書き入力部(サブタッチパネル)15、メイン表示部(メインタッチパネル)16からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは外部インターフェイス25を介して接続されるインターネットN上の各Webサーバ30…との通信信号に応じて起動される。
【0023】
このように、前記CPU21には、前記記憶装置22、記憶媒体読み書き部24、外部インターフェイス25、RAM26、キー入力部14、手書き入力部(サブタッチパネル)15、メイン表示部(メインタッチパネル)16が接続される。
【0024】
記憶装置22には、装置制御プログラム22aとして、当該電子辞書装置10の全体の動作を司るシステムプログラムや外部インターフェイス25を介してインターネットN上の各Webサーバ30…や図示しないユーザPC(Personal Computer)などとデータ通信するための通信プログラム等が記憶される。また他に、辞書機能における手書き文字の入力・認識処理、検索語入力処理、検索語に対応した見出し語検索処理、検索見出し語の一覧表示処理、カーソルにより指定された見出し語に対応する訳語・意味内容・例文(用例)などの各種説明情報の読み出し表示処理など、同記憶装置22内に記憶された辞書データベース22bに基づく検索・表示処理全般を制御するための辞書検索プログラムが記憶される。
【0025】
辞書データベース22bには、例えば日本語の見出し語に対応付けて日本語の説明情報が記述された[国語辞書]、英語の見出し語(単語)に対応付けて日本語の説明情報が記述された[英和辞書]、日本語の見出し語(単語)に対応付けて英語の説明情報が記述された[和英辞書]をはじめ、複数種類の辞書データが予め記憶されるかあるいはダウンロードされて記憶される。
【0026】
また、前記RAM26には、表示データメモリ26a、手書きデータメモリ26bが確保される。
【0027】
表示データメモリ26aには、前記メイン表示部(メインタッチパネル)16や手書き入力部(サブタッチパネル)15に表示させる表示データがビットマップパターンに展開されて記憶される。
【0028】
手書きデータメモリ26bには、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1,N2やメイン表示部16の拡大手書き入力エリアN(図5参照)に対応したメモリ領域を有し、各対応する手書き入力エリアN1,N2,Nにて手書き入力された手書きデータ(手書き軌跡のビットマップあるいは座標列)が記憶される。
【0029】
このように構成された電子辞書装置10は、CPU21が前記装置制御プログラム22a(手書き文字の入力・認識プログラム/検索語入力プログラム/検索語に対応した見出し語検索プログラム/検索見出し語の一覧表示プログラム/カーソルにより指定された見出し語に対応する各種説明情報の読み出し表示プログラムなどを含む)に記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる機能を実現する。
【0030】
次に、前記構成による電子辞書装置10の動作について説明する。
【0031】
図3は、前記電子辞書装置10による手書き認識・辞書検索処理を示すフローチャートである。
【0032】
例えば辞書指定キー14bにより任意の辞書を指定した見出し語検索モードに設定されると、手書き入力部(サブタッチパネル)15には、2つの手書き入力エリアN1,N2、[認識]キーKn、[書き直し]キーKr、[書直し拡大]キーKrd、[拡大]キーKdを配してなる手書き入力受け付け画面G(図5参照)が表示される。
【0033】
この手書き入力受け付け画面Gの手書き入力エリアN1,N2の一方において、ユーザの手書き操作に応じた入力があったと判断されると(ステップS1(Yes))、手書き入力された位置が受け付けられて手書きの軌跡が表示される(ステップS2)。
【0034】
なお、前記手書き入力エリアN1,N2に対する手書き入力の途中にあって、[書き直し]キーKrが入力されると、当該手書き入力エリアN1(N2)にこれまで書き込まれて表示された手書きの軌跡は消去され、最初からの書き直しを要する待機状態になる。
【0035】
ここで、ユーザが1つの文字の手書き入力を終え、次の文字を他の手書き入力エリアに書き始めるか、[認識]キーKnをタッチすると、手書き入力している入力エリアN1(又はN2)が、他の入力エリアN2(又はN1)に換わったと判断されるか(ステップS3(Yes))、または[認識]キーKnがタッチされたと判断され(ステップS4(Yes))、これまでの手書き入力エリアN1(又はN2)に手書きされて表示された手書きデータが手書き認識処理される(ステップS5)。そして、この手書き認識された文字データが、メイン表示部16に表示させた検索語入力エリアAに表示される(ステップS6)。
【0036】
手書き認識が終了し、検索文字列に入力文字が追加されると、前記手書き入力エリアN1(又はN2)に手書き表示された手書きデータは消去される(ステップS7)。
【0037】
すると、前記検索語入力エリアAに表示された文字データを検索語として、当該検索語と先頭一致する見出し語が前記指定の辞書から検索され(ステップS8)、当該検索された見出し語の一覧がメイン表示部16に表示される(ステップS9)。
【0038】
この見出し語一覧の表示状態において、所望の見出し語が選択されることなく(ステップS10(No))次の文字が手書きされると、前記ステップS1〜S8の処理が同様に実行され、見出し語一覧が更新される。見出し語一覧の表示状態において、所望の見出し語が選択されると(ステップS10(Yes))、この選択された見出し語の説明情報が前記指定の辞書から読み出されメイン表示部16に表示される(ステップS11)。
【0039】
これにより、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1,N2にて手書き入力されて文字認識された検索語に対応する見出し語が、ユーザ指定の辞書から検索されその説明情報が表示される。
【0040】
一方、前記手書き入力エリアN1,N2に対する手書き入力の途中にあって、文字が複雑であるため書ききれなくなる事態が生じることがある。そのような場合、ユーザは[拡大]キーKd、又は[書直し拡大]キーKrdを操作することで、メイン表示部(メインタッチパネル)16に表示される拡大手書き入力エリアを用いて書き足し、あるいは書き直しを行う。
【0041】
図5は、拡大手書き入力エリアを用いて書き足しする場合の、前記電子辞書装置10のう表示動作を示す図である。
【0042】
例えば図5に示すように、手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1に対する手書き文字「籠」の入力途中にあって(ステップS1,S2)、当該手書き文字「籠」の画数が多いなどの理由によりその全体を手書き入力エリアN1に手書きしきれなくなったとき、[拡大]キーKdが入力されると(ステップS12(Yes))、メイン表示部(メインタッチパネル)16に、前記検索語入力エリアAと共に、拡大手書き入力エリアN、[認識]キーKn、[書き直し]キーKrを配してなる拡大手書き入力受け付け画面Gmが表示される(ステップS13)。
【0043】
すると、手書きデータ移動・表示処理へ移行され、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1に現時点で表示されている書き込み途中の手書きデータが、前記メイン表示部(メインタッチパネル)16の拡大手書き入力エリアNに移動され拡大されて表示される(ステップSA)。図4は、前記電子辞書装置10の手書き認識・辞書検索処理に伴う手書きデータ移動・表示処理を示すフローチャートである。
【0044】
すなわち、この手書きデータ移動・表示処理では、先ず、手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1に表示されている手書きデータの座標データが読み込まれる(ステップA1)。
【0045】
すると、この読み込まれた手書き座標データの前記手書き入力エリアN1内での分布に基づき、前記手書き座標データの手書き入力エリアN1における偏り度が算出される(ステップA2)。そして、この偏り度を元に書ききれなかった部分を判定し、書ききれなかった部分を追加入力するのに十分な領域を確保するように、その時点までの手書き入力の軌跡の拡大手書き入力エリアNでの表示位置が決定される(ステップA3)。
【0046】
そして、前記決定された表示位置に従い、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1から読み出された手書きデータが、前記メイン表示部(メインタッチパネル)16における拡大手書き入力エリアNに拡大されて表示される(ステップA4)。
【0047】
この後、前記メイン表示部(メインタッチパネル)16の拡大手書き入力エリアNに表示された手書き途中のデータに続けて、所望の手書き文字「籠」を入力して表示させ(ステップS14)、[認識]キーKnが入力されると(ステップS15(Yes))、当該拡大手書き入力エリアNに表示された手書き文字が認識され(ステップS20)、この手書き認識された文字データが、前記検索語入力エリアAに追加表示される(ステップS21)。
【0048】
すると、前記拡大手書き入力エリアNに移動表示および手書き表示された手書きデータは消去される(ステップS22)。
【0049】
この後さらに、前記拡大手書き入力エリアNに新たな手書き文字が入力されて表示され(ステップS23(Yes)→S18)、[認識]キーKnが入力されると(ステップS19(Yes))、当該拡大手書き入力エリアNに表示された手書き文字が認識され(ステップS20)、この手書き認識された新たな文字データが、前記検索語入力エリアAにさらに追加され表示される(ステップS21)。
【0050】
するとまた、前記拡大手書き入力エリアNに手書き表示された手書きデータは消去される(ステップS22)。
【0051】
ここで、更なる手書き文字を追加することなく[訳/決定]キー14cが入力されると(ステップS23(No)→S24(Yes))、前記検索語入力エリアAに表示された文字データを検索語として、当該検索語と先頭一致する見出し語が前記指定の辞書から検索され(ステップS8)、当該検索された見出し語の一覧がメイン表示部16に表示される(ステップS9)。
【0052】
この見出し語一覧の表示状態において、所望の見出し語が選択されると(ステップS10(Yes))、この選択された見出し語の説明情報が前記指定の辞書から読み出されメイン表示部16に表示される(ステップS11)。
【0053】
これにより、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1,N2にて手書き入力している途中に、その手書き文字が同手書き入力エリアN1(またはN2)内に書き辛くなった場合には、[拡大]キーKdを入力することで、それまでの手書きデータをメイン表示部(メインタッチパネル)16側の拡大手書き入力エリアNに移動して拡大表示させ、続きから手書き入力できる。よって、手書きにより検索語を入力して辞書検索する作業を、より円滑且つ面倒無く行うことが可能になる。
【0054】
一方、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1,N2に対する手書き入力の途中にあって(ステップS1,S2)、[書直し拡大]キーKrdが入力されると(ステップS16(Yes))、メイン表示部(メインタッチパネル)16に、前記検索語入力エリアAと共に、拡大手書き入力エリアN、[認識]キーKn、[書き直し]キーKrを配してなる拡大手書き入力受け付け画面Gmが表示され、この拡大手書き入力エリアNにて新たな手書き文字を最初からの書き直しする待機状態になる(ステップS17)。
【0055】
そして、前記拡大手書き入力エリアNに新たな手書き文字が入力されて表示され(ステップS18)、[認識]キーKnが入力されると(ステップS19(Yes))、当該拡大手書き入力エリアNに表示された手書き文字が認識され(ステップS20)、この手書き認識された新たな文字データが、前記検索語入力エリアAに追加され表示される(ステップS21)。
【0056】
すると、前記拡大手書き入力エリアNに手書き表示された手書きデータは消去される(ステップS22)。
【0057】
この後同様に、前記拡大手書き入力エリアNに手書き文字を入力し(ステップS23(Yes)→S18)、手書き認識させ(ステップS19(Yes)→S20)、前記検索語入力エリアAに所望の検索語を表示させた後(ステップS21)、[訳/決定]キー14cが入力されると(ステップS22〜S24(Yes))、前記検索語入力エリアAに表示された文字データを検索語として、当該検索語と先頭一致する見出し語が前記指定の辞書から検索され(ステップS8)、当該検索された見出し語の一覧がメイン表示部16に表示される(ステップS9)。
【0058】
そして、所望の見出し語が選択されると(ステップS10(Yes))、この選択された見出し語の説明情報が前記指定の辞書から読み出されメイン表示部16に表示される(ステップS11)。
【0059】
これにより、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1,N2にて手書き入力している途中に、[書直し拡大]キーKrdが入力された場合には、メイン表示部(メインタッチパネル)16の拡大手書き入力エリアNにおいて、新たに手書き入力される文字データを検索語として辞書検索することができる。
【0060】
したがって、前記構成の電子辞書装置10による手書き文字の入力・認識機能によれば、手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1,N2に手書き文字を入力している途中において、例えば当該手書き文字の画数が多く同入力エリアN1(またはN2)内に上手く手書きできない等の理由により[拡大]キーKdを入力すると、前記手書き入力エリアN1(またはN2)に表示されている入力途中の手書きデータが、メイン表示部(メインタッチパネル)16に表示させた拡大手書き入力エリアNに移動されて拡大表示される。そして、前記拡大手書き入力エリアNに移動表示された入力途中の手書きデータに続けて所望の手書き文字を入力し[認識]キーKnを入力すると、手書き認識された文字が検索語入力エリアAに表示され、[訳/決定]キー14cを入力すると、検索語と先頭一致する見出し語が検索されて一覧表示される。
【0061】
これにより、手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1(N2)にて手書きし辛くなった手書きデータを、ワンタッチでメイン表示部(メインタッチパネル)16の拡大手書き入力エリアNに移動させてその続きを直ちに手書き入力することができる。
【0062】
また、前記構成の電子辞書装置10による手書き文字の入力・認識機能によれば、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の[拡大]キーkdの入力に従い、手書き入力エリアN1(N2)にて入力途中の手書きデータをメイン表示部(メインタッチパネル)16の拡大手書き入力エリアNへ移動表示させる際には、当該手書きデータの前記手書き入力エリアN1(N2)における偏りを判断し、偏りが無い位置に調整して拡大手書き入力エリアNへ移動表示させる。
【0063】
これにより、例えば前記手書き入力エリアN1(N2)での手書き文字の手書き位置が偏り過ぎて途中で書き切れなくなった場合でも、拡大手書き入力エリアNにて所望の手書き文字を容易に続けて入力することができる。
【0064】
さらに、前記手書き入力部(サブタッチパネル)15の手書き入力エリアN1(N2)にて手書き文字の書き込みに失敗した場合などには、[書直し拡大]キーKrdを入力することで、ワンタッチでメイン表示部(メインタッチパネル)16に拡大手書き入力エリアNを表示させ、大きな手書きエリアにて直ぐに所望の手書き文字を書き直しできる。
【0065】
よって、手書きにより検索語を入力して辞書検索する作業を、より円滑且つ面倒無く行うことが可能になる。
【0066】
なお、前記各実施形態において記載した電子辞書装置10による各処理の手法、すなわち、図3のフローチャートに示す手書き認識・辞書検索処理、図4のフローチャートに示す前記手書き認識・辞書検索処理に伴う手書きデータ移動・表示処理などの各手法は、何れもコンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリ・カード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶媒体(23)に格納して配布することができる。そして、サブタッチパネル(15)、メインタッチパネル(16)、辞書データベース(22b)を備えた電子機器のコンピュータは、この外部記憶媒体23に記憶されたプログラムを記憶装置(22)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記各実施形態において説明した手書き文字の入力機能および手書き認識・辞書検索機能を実現し、前述した手法による同様の処理を実行することができる。
【0067】
また、前記各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワークN上を伝送させることができ、このプログラムデータを、ネットワークNに接続されたサブタッチパネル(15)、メインタッチパネル(16)、辞書データベース(22b)を備えた電子機器のコンピュータに通信制御部(25)によって取り込むことで、前述した手書き文字の入力機能および手書き認識・辞書検索機能を実現することもできる。
【0068】
なお、本願発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、各実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が異なる形態にして組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0069】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0070】
[1]
メインタッチパネルとサブタッチパネルを有する手書き入力装置において、
前記サブタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該サブタッチパネルに表示させるサブ側手書き入力受け付け手段と、
このサブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示された手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するサブ側手書き認識手段と、
ユーザ操作に応じて前記手書きデータの移動を指示する指示手段と、
この指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示されている手書きデータを、前記メインタッチパネルに移動して表示させる手書きデータ移動表示手段と、
前記メインタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該メインタッチパネルに表示させるメイン側手書き入力受け付け手段と、
このメイン側手書き入力受け付け手段により前記メインタッチパネルに表示されている手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するメイン側手書き認識手段と、
を備えたことを特徴とする手書き入力装置。
【0071】
[2]
前記メインタッチパネルの手書き入力エリアは、前記サブタッチパネルの手書き入力エリアよりも大きく、
前記手書きデータ移動表示手段は、前記指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルの手書き入力エリアに表示されている手書きデータを、前記メインタッチパネルの手書き入力エリアに移動し拡大して表示させる、
ことを特徴とする[1]に記載の手書き入力装置。
【0072】
[3]
前記手書きデータ移動表示手段は、
前記指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルの手書き入力エリアに表示されている手書きデータの当該手書き入力エリア内での偏りを判断する手書き偏り判断手段と、
この手書き偏り判断手段により判断された前記手書きデータの前記手書き入力エリア内での偏りに基づいて当該手書きデータの前記メインタッチパネルの手書き入力エリアに対する表示位置を決定する表示位置決定手段とを有し、
この表示位置決定手段により決定された表示位置に従って、前記サブタッチパネルの手書き入力エリアに表示されている手書きデータを前記メインタッチパネルの手書き入力エリアへ移動して表示させる、
ことを特徴とする[2]に記載の手書き入力装置。
【0073】
[4]
ユーザ操作に応じて前記サブタッチパネルに表示された手書きデータの書き直しを指示する書き直し指示手段と、
この書き直し指示手段により手書きデータの書き直しが指示された際に、前記メインタッチパネルに手書き入力エリアを表示させるメイン側手書き入力受け付け開始手段と、
を備えたことを特徴とする[2]に記載の手書き入力装置。
【0074】
[5]
メインタッチパネルとサブタッチパネルを有する電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記サブタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該サブタッチパネルに表示させるサブ側手書き入力受け付け手段、
このサブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示された手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するサブ側手書き認識手段、
ユーザ操作に応じて前記手書きデータの移動を指示する指示手段、
この指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示されている手書きデータを、前記メインタッチパネルに移動して表示させる手書きデータ移動表示手段、
前記メインタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該メインタッチパネルに表示させるメイン側手書き入力受け付け手段、
このメイン側手書き入力受け付け手段により前記メインタッチパネルに表示されている手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するメイン側手書き認識手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0075】
10 …電子辞書装置(手書き入力装置)
11 …本体ケース
12 …蓋体ケース
13 …ヒンジ部
14 …キー入力部(キーボード)
14a…文字入力キー
14b…辞書指定キー
14c…[訳/決定]キー
14d…[戻る]キー
14e…カーソルキー
14f…ページ送りキー
15 …手書き入力部(サブタッチパネル)
15d…カラー液晶表示部(バックライト付き)
15t…透明タッチパネル
16 …メイン表示部(メインタッチパネル)
16d…カラー液晶表示部(バックライト付き)
16t…透明タッチパネル
21 …CPU
22 …記憶装置
22a…装置制御プログラム
22b…辞書データベース
23 …外部記憶媒体
24 …記憶媒体読み書き部
25 …外部インターフェイス
26 …RAM
26a…表示データメモリ
26b…手書きデータメモリ
30 …Webサーバ
N …通信ネットワーク
G …手書き入力受け付け画面
N1,N2…手書き入力エリア
kn …[認識]キー
Kd …[拡大]キー
Krd …[書直し拡大]キー
Kr …[書き直し]キー
Gm …拡大手書き入力受け付け画面
A …検索語入力エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインタッチパネルとサブタッチパネルを有する手書き入力装置において、
前記サブタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該サブタッチパネルに表示させるサブ側手書き入力受け付け手段と、
このサブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示された手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するサブ側手書き認識手段と、
ユーザ操作に応じて前記手書きデータの移動を指示する指示手段と、
この指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示されている手書きデータを、前記メインタッチパネルに移動して表示させる手書きデータ移動表示手段と、
前記メインタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該メインタッチパネルに表示させるメイン側手書き入力受け付け手段と、
このメイン側手書き入力受け付け手段により前記メインタッチパネルに表示されている手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するメイン側手書き認識手段と、
を備えたことを特徴とする手書き入力装置。
【請求項2】
前記メインタッチパネルの手書き入力エリアは、前記サブタッチパネルの手書き入力エリアよりも大きく、
前記手書きデータ移動表示手段は、前記指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルの手書き入力エリアに表示されている手書きデータを、前記メインタッチパネルの手書き入力エリアに移動し拡大して表示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の手書き入力装置。
【請求項3】
前記手書きデータ移動表示手段は、
前記指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルの手書き入力エリアに表示されている手書きデータの当該手書き入力エリア内での偏りを判断する手書き偏り判断手段と、
この手書き偏り判断手段により判断された前記手書きデータの前記手書き入力エリア内での偏りに基づいて当該手書きデータの前記メインタッチパネルの手書き入力エリアに対する表示位置を決定する表示位置決定手段とを有し、
この表示位置決定手段により決定された表示位置に従って、前記サブタッチパネルの手書き入力エリアに表示されている手書きデータを前記メインタッチパネルの手書き入力エリアへ移動して表示させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の手書き入力装置。
【請求項4】
ユーザ操作に応じて前記サブタッチパネルに表示された手書きデータの書き直しを指示する書き直し指示手段と、
この書き直し指示手段により手書きデータの書き直しが指示された際に、前記メインタッチパネルに手書き入力エリアを表示させるメイン側手書き入力受け付け開始手段と、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の手書き入力装置。
【請求項5】
メインタッチパネルとサブタッチパネルを有する電子機器のコンピュータを制御するためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記サブタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該サブタッチパネルに表示させるサブ側手書き入力受け付け手段、
このサブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示された手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するサブ側手書き認識手段、
ユーザ操作に応じて前記手書きデータの移動を指示する指示手段、
この指示手段により手書きデータの移動が指示された際、前記サブ側手書き入力受け付け手段により前記サブタッチパネルに表示されている手書きデータを、前記メインタッチパネルに移動して表示させる手書きデータ移動表示手段、
前記メインタッチパネルに対する手書き入力に対応した手書きデータを当該メインタッチパネルに表示させるメイン側手書き入力受け付け手段、
このメイン側手書き入力受け付け手段により前記メインタッチパネルに表示されている手書きデータを、ユーザ操作に応じて文字認識するメイン側手書き認識手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−159992(P2012−159992A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18903(P2011−18903)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】